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歯ぎしりが肩こり原因?咬み合わせが悪いと肩や首が凝るって本当?

むし歯がないのに歯が痛い!!

肩こりからくる歯痛??

歯が痛いと肩が凝る・・・?

肩こり・首こりが歯痛の原因?

噛み合わせを治せば、肩こりが治る?

肩こりと歯痛、そして咬み合わせや歯ぎしりといった咬合異常と肩こり・首こりは関係があるということはきっと聞いたことがあるはずです。

なぜか、その根拠は明確にされていません。

つまり噛み合わせと首肩こりの関連性の根拠が示されていないのです。

鍼灸・マッサージの現場においても「なんとなくみんなが言っているからそうなんだろう」という考えで発言している施術者ばかりです。

今回は論文・文献を基に、その関連性を探っていきます。また、ガムの噛みすぎの問題点、首や肩への影響、正しいガムの噛み方についても触れていますので、是非お読みください。

正しいガムの噛み方

記事内容において一部専門用語が入っておりますのではじめに解説させていただきます。



しゃく
口で物を噛むことです。摂取した食物を歯で咬み粉砕することです。

咀嚼
そしゃく
噛むのに顎を動かすための筋肉です。咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋の4つをいいます。機能上、舌骨上筋群を含める場合もあります。

咀嚼
そしゃく
運動
モノを噛む動きのこと。

こう
ごう
上の歯と下の歯とのかみ合わせのこと。

モノを噛む時には首に力学的負荷がかかります

頚椎は高機能

動物実験ではありますが、意識とは関係なく、噛み合わせ・咬合時には頚椎(けいつい)に負荷がかかることがわかっています。頚椎というのは首の骨です。人間の頚椎は7つの骨で構成されていますが、哺乳類の頚椎は大体みんな7つあります。首の長いキリンも頚椎は7つです。

キリンも人間も首の骨は七つ

噛む力はとても強いということ

噛む力というのはとても大きく、例えば肉を噛む時は、1平方センチ当たり約10~14キロもあります。ですから歯の表面が人体でもっとも固いエナメル質で覆われているんですね。モノを噛むと頚椎に負荷がかかると申し上げましたが、これも大きなカであることは何となくご理解いただけると思います。

頚椎人間の体は上手くできていまして、大きな力による負荷をうまく分散させる構造になっています。人間の頭の重さは大体5kg。頭を上手く支える為に頚椎はまっすぐではなく緩やかにカーブしていて、7つの骨がスプリングのような構造をとっています。

これは、脳がきちんと働くようにするためです。つまり、どんな体勢でも脳がきちんと機能するように、体は頭をなるべく平衡に保とうとするのです。そして、モノを噛む時にかかる負荷も分散・吸収するようになっています。

具体的にどのように頚椎に負荷がかかるのか?

  • 片側で噛んだ場合、噛んでいない側に負担がかかる。つまり、右側の歯で噛んだ時は頚椎の左側へ負担がかかり、反対も然りとなる。
  • 片側で噛んだ場合、噛んでいない側に頭部を傾ける力が作用する事となる。
  • 噛んでいない側では、第3および第7頚椎は頭部が片側に傾斜するのを防ぐ支点となる。
  • 噛んでいる側では、犬歯で木片を噛ませたときには第2頚椎が、第1大臼歯で噛ませたときは第4頚椎が、片側に傾斜するのを防ぐ支点として働く。
  • 咀嚼運動において、頚椎にかかる力学的負荷は第6頚椎に最も集中する。

ちょっと複雑ですね。

もっと簡単で、わかりやすく説明します。

食事の際、両側同時や同じ配分でモノを噛む方はとても少ないと思います。ほとんどの方が左右どちらかの歯で噛むと思います。左右どちらかで噛むと いうことは、首が傾くような力が無意識に加わっているということです。それにも関わらず首が動かず直立を保っていることができるのは、首周囲の筋肉が働き、その動きを制御しているという事なのです。

つまり、癖や口の中の痛みなどでどちらか一方のみでモノを噛み続けると、頚椎や頚部の筋肉の一定部位にも継続的に負担がかかることとなります。

[参考文献1] 咬合力に対するサル頚椎の力学的反応 http://ci.nii.ac.jp/naid/110001723670/

噛む時だけではなく、口を開ける時にも首に負担がかかります

モノを食べている時の骨と筋肉の動きに着目してみると、一見、顎の関節のみが動いているように感じます。しかし、詳細に分析をしてみますと、その力学的運動軸は顎関節ではなく、7つある頚椎の骨の上から2番目に位置する第二頚椎の歯突起部にある、ということがわかっています。1番目と2番目の頚椎は以下の頭のようになっています。

第一頚椎と第二頚椎

第二頚椎は、このように特徴ある形状で軸椎とも言います。この歯突起というのは 「のど仏」(火葬場で拾うお骨の方です。喉にある膨らみも喉仏といいますが、あれは軟骨です。)です。その部位は本来、矢状面(体を横から見た面)上を回転するための構造はしておらず、顎の動きと同様に動く関節としての機能はもちあわせていませんが、回転する力が作用します。

あくびをする時など自然と顔面は上を向きますし、むちうち症などで頚椎を損傷すると口の開け閉めだけで頚部に痛みを感じることから、開閉口運動に上部頚椎が関与していることは間違いありません。

噛み合わせは閉口動作ばかりが着目されがちですが、実は開口動作も重要です。だらんと力を抜けば重力に引っ張られて口があくため、口を開くのに負担はないように思えますが、開口動作にも筋肉がしっかりと働いています。首に対する力学的負荷は、口の開け閉めともに考えなければなりません。

開口閉口

開口時、外側翼突筋・舌骨上筋群が働きますが、それに伴い頭が前方へ引っ張られることとなります。しかし、モノをたべている時に頭が前後に動いている方はいませんよね。これは、物理の法則上、力が作用しているのに関わらず動きが出現しないということは、それと同じ強さの力が相反する方向に作用していることを意味します。つまり、口を開ける時、頭が前方にいくのを後方へ引っ張る力が見えない所で作用しているということです。これを担っているのが、首の深部に存在する後頭下筋群です。後頭下筋群は、しばしば頭痛をまねく頑固な首こりの原因となる筋肉です。

 

後頭下筋郡

首の筋肉は、意識のない所で姿勢を保つために作用しているため、異常な状態でなくとも負担のかかりやすい部分なのです。すごく大雑把な言い方ですが、肩こりの原因は、この首の筋肉の問題であることが多いのです。

[参考文献2] 顎関節症 –生理的咬合の判定基準– (歯科ブックレットシリーズ35) 著者:藤田和也 出版元:株式会社デンタルフォーラム社

顎関節症持ちは姿勢も悪い?

顎関節症と姿勢の関連性について調査した結果、顎関節症の方が健常者と比べて、前のめり(猫背)の姿勢になっている傾向があることがわかりました。

猫背になれば、当然頭部を支えるために首肩の筋肉は必要以上に疲労する事となります。つまり、肩こり・首こりとなりやすいといえます。

猫背となる原因が顎関節症とはいえませんが、顎関節症を患っていると同時に首こりを自覚する方が多いという事のひとつの理由になるのではないでしょうか。

[参考文献3] The relationship between forward head posture and temporomandibular disorders. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7488986

ものを咬む筋肉と首には深い関係があります

咀嚼筋が緊張すると首の筋肉も緊張する

顎関節症の患者さんは顎を動かす咀嚼筋の硬化や痛みと同時に首こりや痛みを自覚することが多いため、咀嚼筋と首の筋肉の関連性を調べた所、咀嚼筋が 硬い人は僧帽筋と胸鎖乳突筋も同時に硬くなっていることがわかりました。

また、咀嚼筋を動かすと、同時に胸鎖乳突筋、舌骨上筋群、舌骨下筋群、頭半棘筋、頚半棘筋、多裂筋が共同的に収縮を起こすことがわかっています。

顎関節を動かす咀嚼筋と、肩こり・首こりにお悩みの方が硬くなっている頚部の筋肉は密接な関係にあるようです。

[参考文献4]Influence of masticatory muscle pain on electromyographic activities of cervical muscles in patients with myogenous temporomandibular disorders http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-2842.2004.01266.x/abstract?deniedAccessCustomisedMessage=&userIsAuthenticated=false

[参考文献5]Anterior and posterior neck muscle activation during a variety of biting tasks http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-0722.2012.00969.x/abstract?deniedAccessCustomisedMessage=&userIsAuthenticated=false

咀嚼筋は一般的な筋肉の中でも特殊な存在だった!?

北海道大学 大学院歯学研究科 北川 善政教授の研究では、顎を動かす働きをする咀嚼筋の特殊な性質を示しています。

咀嚼筋は骨格筋に分類されますが、特にヒトの咬筋は、手足の筋肉ではみられない心筋(心臓の筋肉)と同じ細胞の特徴を持っており、さらに咀嚼筋の興奮性には交感神経系の調節が関与していることがわかっています。

咀嚼筋

発生学上、咀嚼筋は鰓弓(さいきゅう)から分化するため、鰓弓筋ともいわれます。鰓弓筋は、他に呼吸や嚥下(えんげ:食物を飲み込むこと)に関わる筋肉、つ まり生命を維持するために重要度が高い部分を構成する筋肉が該当します。例えば呼吸は意識的(随意運動)に行うこともできますが、通常は無意識的 (不随意運動)に行われています。

嚥下も喉元までは舌による随意運動ですが、その先は不随意運動となり胃まで食物を運びます。 考察となりますが、無意識的に歯を喰いしばったり、歯ぎしりをしてしまうのも咀嚼筋が鰓弓由来であり不随意運動を行う要素を持ち合わせているからかもしれません。

そして、肩こり・首こりでつらくなる僧帽筋や胸鎖乳突筋なども鰓弓筋であるため、上記であげさせていただいたように、咀嚼運動と首の筋肉が同時に 興奮するなど密接な関係にあるのではないかと考えられます。鰓弓由来の筋肉は、手足に存在する一般的な骨格筋と分子レベルで構造が異なっていることがわかっています。

咬合異常(噛み合わせ・ブラキシズムなど)と肩こり・首こりが関連づけられるは、単に経験則ではなく解剖学・生理学・運動学の観点から考察すると あながち間違いではなさそうです。

[参考文献6]顎変形症の成因に関する咀嚼筋の筋病理学的研究 http://kaken.nii.ac.jp/d/p/17659621.ja.html

[参考文献7]除神経嚥下筋におけるエネルギー代謝と筋病理学的解析 http://kaken.nii.ac.jp/pdf/2011/seika/C-19/10101/22659361seika.pdf

[参考文献8]鰓弓筋の発育と筋蛋白質の分化 http://kaken.nii.ac.jp/d/p/12771094.ja.html

咀嚼筋を支配している神経も特殊である!

通常、骨格筋(手足など自らの動かすことのできる筋肉)は交感神経の働きによって血流が増加します。

ところが咬む筋肉は副交感神経性血管拡張神経の働きによって血流が支配されているのです。

これはどういうことかといいますと、ストレスがかかっていたり、体が冷えている状況では、顎の筋肉の血流が悪くなります。それが、痛みなどの原因 となる可能性があるということです。

また、咀嚼筋は交感神経が活発に働くと緊張が増すという研究結果もあり、自律神経と密接な関係にあることが示されています。

原因不明の歯痛や難治性の三叉神経痛・顔面神経麻痺、肩こりなどの処置として首肩を温めることが推奨されますが、これは単に局所の血流を良くする ためだけではなく、交感神経の働きを抑え、副交感神経を優位にすることも大きな目的です。ペインクリニックでは、そのような症状に対して星状神経 節ブロック(交感神経の働きを抑える注射)が行われる事もあります。

このような事から、顔・顎・首周辺の痛みやコリに関しても自律神経が非常に密接に関わっていることが考えられます。

[参考文献9]Evidence for parasympathetic vasodilator fibres in the rat masseter muscle http://jp.physoc.org/content/569/2/617.full

[参考文献10]咀嚼筋の分化と痛みに対する交感神経活動の影響 http://kaken.nii.ac.jp/d/p/22592203.ja.html

ただし、これらは医学的根拠であるとは、まだ完全には言い切れません。

これまでは噛み合わせ・咀嚼運動と頚椎・首周囲の筋肉との関連性を示してきましたが、否定的な文献もあります。

[参考文献11]The association between the cervical spine, the stomatognathic system, and craniofacial pain: a critical review.

この文献では、数々の文献をまとめて総合的に評価するメタ分析(メタアナリシス)を行っています。総評として、当領域の各文献のエビデンスレベル が低いことがあげられており、歯科領域と首から上部の痛み・不快感との関連性は現段階の研究では必ずしも確定的とはいえないという結論に至っています。

痛み、症状の感じ方というのは、あくまで自覚症状です。自覚症状は錯覚や思い込みの影響が少なくないために、判定には聴取を行うことがとても大切なのです。信頼性を高めるためにはできるだけ多くのサンプル数が必要になりますが、それには大変な労力がかかります。時間も必要です。だからこそ、患者さんとの向き合う時間は、本当に大切です。

ガムを噛む=健康に良い・・・って思っていませんか?

難しい話が続いてしまいましたので、噛むことと首や肩との関連する話で、身近な話をしたいと思います。

よく噛んで食べなさい!!誰もが子供の頃言われることですが、よく噛んで食ことをすることはとても大切なことです。

最近ではなんと視力にも関係していて、噛む筋力が弱まると眼球の筋肉も弱まり視力が低下するということもわかってきました。

健康のためにガムを噛むということ

仕事中にリラックスや集中など何かしらのメリットを期待して長時間にわたってガムを噛み続けている方は多いと思います。

ところが、体に良いことをしているつもりが知らず知らずのうちにかえって首に負担をかけてしまっている可能性があります。

ガム噛みすぎ

噛むことはとても大切!!健康維持には絶対に必要です。

ガムを噛むことで健康増進に効果があるように宣伝されています。特保マークのついた商品もよく目にします。

一般的に提唱されているガムを噛むメリット

  1. 唾液分泌が増加する

    口臭予防・虫歯予防・免疫力アップ・癌予防

  2. 顎を動かすことによって血流が増加する

    脳の活性化

  3. 嗜好品として楽しむ

    ストレス解消・リラックス

  4. 満腹中枢が刺激される

    ダイエット

などがあげられます。

調査をしてみると、確かに咀嚼運動によって脳内血流が増加することや、自律神経の乱れが整うという文献が存在します。そして、唾液には免疫グロブリンや、殺菌・消毒効果のある酵素が含まれることもわかっています。これを単純に免疫力アップ・癌予防と結びつけるのは一考が必要です。

免疫力アップと聞くと病気にかからなくなるようなイメージを持つかもしれませんが、唾液によるものはあくまで「食物からの感染を防止する」という ことが主な目的となります。血液中の白血球数や免疫グロブリンの量が増え、全身的な免疫力が向上して感染症への耐性が増すのではないのです。

癌予防効果については、唾液に含まれる一部の酵素が発ガン物質の作用を低下させるのではないかと言われていますが、この真相は定かではありません。唾液の作用としてはあくまでも消化の補助と口の中の殺菌・消毒です。また、ガンは非常に複雑なメカニズムによって形成され、発ガン物質があれば必ずしも発症するわけではなく、反対に発ガン物質が体内に入らなくても発症します。ガムを噛み、唾液が分泌され、ガンを予防する効果がどれほどあるのか・・・医学的にはかなりあやふや状態です。

ガムを噛む事によって血流改善や唾液分泌量が増えるのは良い事です。だからといって免疫やガンにまで話が及ぶのは・・・行き過ぎだと思います。

インターネットで調べてみますと、ガムを噛むと良いことしかないといった宣伝広告が目立つので、つい否定的な側面を記してしまいましたが・・・多くの方がガムを噛む目的は「口臭予防」「虫歯予防」「リラックス」と思います。こういった効果は『顎を適度に動かして、なるべく多く唾液を分泌させる』ことによるものです。

噛みすぎは禁物!!頭痛の原因にも・・・

ガムは歯のためだけでなく、口臭予防、禁煙のため、噛む筋肉を鍛えての小顔効果を期待、満腹中枢を刺激して食事量を減らすダイエット目的で噛む人も多いでしょう。目的があると、どうしても必要以上に長時間ガムをかみ続けてしまうと思います。しかし、これは咀嚼筋を疲労させますし、首にも負担をかけることになります。咬みすぎるということは、歯ぎしりや食いしばりにも同じことがいえます。わかりやすい体への弊害としてこめかみ部分の頭痛(いわゆる緊張性頭痛)があります。これは側頭筋が疲労・硬化することに起因することが多いです。

日々、肩こり、首こりでお悩みの患者さんの治療を行っている者としての経験的な考えではありますが、咀嚼筋をほぐすと首の筋肉も緩みます。ですので、首肩こり治療においては、当院では必ず手を加える部分であります。

正しいガムの噛み方

“正しい”は過剰な表現ではありますが、せっかく健康のためにガムを噛むわけですから、長時間噛みつづけて顎や首に負担をかけたくはないはずです。顎や首への負担を抑え効率よく唾液を分泌させるようなガムの噛み方について考えてみました。

ガムを噛み始めて最も唾液が分泌するのは30~60秒で、その後150~180秒ほどで一定となるデータが出ています。「顎を鍛えるために積極的に噛むトレーニングをする必要がある」というのは下顎が成長する可能性のある20代までで、それ以降は必要以上に負担をかけてしまう方が問題点とされることが多いそうです。そのため子供から20代までは顎を鍛えるために積極的に咀嚼運動を促す必要があり、30代以降は長時間ガムを噛み続けて しまうのも注意が必要です。持続的な咀嚼運動に伴い周囲の筋肉が疲労するという点も考慮して、推奨するガムを噛む時間は、一般的なガムの味が無くなる5分間程度が望ましいといえます。しかし、歯科医が薦めるガムの噛む時間は10-20分のようです。

そこで、ここからが重要なポイントです。

味が無くなったガムは噛まずにそのまま口の中に残しておき、奥歯と頬の間に留めておきます。そして、会話をしない時などは、舌の上をコロコロと転がします。唾液は必ずしも咀嚼運動を伴わなくとも分泌されます。噛まずとも口の中ガムを留めておく事で、体がガムを異物と認識し唾液腺を刺激する 事となります。このように体の機能である反射を利用して唾液分泌を促すのです。

これで、筋肉を無駄に疲れさせることなく、効果的に長時間噛むことができます。そして静かに噛めます!!くちゃくちゃと音を立てて噛むことに嫌悪感を覚える方は多いですよね。

ガムの味でも効果の差があるのです。

実は、唾液を分泌させる効果は、味によっても差があります。

弱 ミント系 < フルーツ系 < 柑橘系 強

唾液分泌を促う効果が高いのは柑橘系の味なのです。興味深いのは、口臭予防にはミント系ガムが多いのですが、唾液による殺菌・消毒・自浄作用に着目した場合、柑橘系のガムの方が、口臭予防効果が高い事となります。もちろん、砂糖を使っていないガムのがお口には良いでしょうね。

自律神経のバランスを整える効果

シトラスはいわゆる柑橘類です。シトラス系の香りには、交感神経を抑えて副交感神経を優位にする中枢神経調整作用や交感神経鎮静作用があることが知られています。

自律神経には、交感神経系と副交感神経系の2つの神経系があります。自律神経のバランスは一般的によくいわれますが、具体的には2つの神経系のバランスを意味します。

一般的に、ストレスが多いというのは、交感神経過多であるということです。つまり、自律神経が乱れていることになります。

リラックスというのは、高ぶっている交感神経を抑えて、副交感神経とちょうどよいバランスを保つということです。

唾液を多く分泌させるガムの味は、シトラス系であると説明しましたが、リラックス効果も期待できるということです。ガム選びの際の参考にしてみください!!

このようにして、「咬む時間」「噛み方」「味」を工夫することによって、負担を適度にとどめながらも最大限唾液を分泌させ、ガムのメリットを引き出 せるのではないでしょうか。最近は長時間にわたって味が持続するミント系のガムがしばしば見られますが・・・健康と結びつけて考えてみると良し悪しが分かれる所です。

オーラルケアや嗜好品としてガムを噛むメリットは十分にあります。では、長時間噛み続けたらそれだけ良い効果が期待できるのかというと必ずしもそうではありません。「過ぎたるはなお及ばざるが如し」という言葉があるように、首こり、肩こりをご自覚している方は、是非とも心に留めておいていただきたいと思います。

[参考文献12]ガムの味の違いが唾液分泌に与える影響 http://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/2272/1/60_22.pdf

[参考文献13]味や香りに対する情動が咀嚼時の循環応答に与える影響 http://kaken.nii.ac.jp/d/p/21791887.en.html

[参考文献14]顎口腔機能の回復が脳血流に及ぼす影響についての研究 http://kaken.nii.ac.jp/d/p/19791433.ja.html

体の不調には全て原因があります。原因はひとつではなく様々です。

「頭が重い」「イライラする」「疲労感が取れない」「よく眠れない」などの、何となく体調が悪いという自覚症状を訴えて検査をしても原因となる病気が見つからない状態(不定愁訴)でお悩みの方は多いです。ですから「〇〇を治せば全て解決」という宣伝文句が溢れています。原因と結果、因果律が混同されてしまっている場合が多い上に、宣伝として利用されてしまっていることが患者さんを混乱させる問題点ではないかと考えております。

鍼灸師やマッサージ師がよく言う「背中がハっているから胃が悪い・・・」「足裏が痛いから内臓が悪い・・・」もその例です。胃が悪いと確かに背中 に反応が出ることがある、というだけにすぎません。足裏はもっとあやふやです。

その他「ふくらはぎを揉めば・・・」「尻を叩けば・・・」などからはじまり、中でも特に多いのが「噛み合わせ」「頚椎」「骨盤」の矯正です。たしかに、この3つは人体を構成するとても重要な部分です。しかし、徒手的な方法で本当に矯正されるかどうかは定かではありません。歯科専門医による噛み合わせ矯正は別ですが、カイロプラクティック・整体でボキッと行ったとしても咬合異常は治りません。肩こりも同じです。治りません。

歯ぎしりをしてしまうのには理由がある。つまり体が歯ぎしりを必要としている。このように考えてみましょう。

寝ている間に歯ぎしりをするということは、体が唾液を必要としているケースは確実にあるはずです。もちろん、それが全てではないでしょう。歯ぎしりの原因には諸説あり断定はできませんが、歯ぎしりと唾液についての関係は逆流性食道炎でもしばしば話題になる話でもあります。

消化器系に問題があって、そのために唾液が必要だから、睡眠中に歯ぎしりをする、となると、いくら歯ぎしりをしないようにしても、意味がありません。根本の原因の解決になっていません。

肩こりも同じことで、凝った肩周辺の筋肉をいくらほぐしても、それは一時的なもの。また、肩はこります。肩こりの原因は、複数あり、人によって様々なのです。

噛みあわせを治した結果、肩こりが治ってしまう場合はあります。

噛み合わせを治せば、肩こり・首こりが治るというのは、ケースバイケースです。肩こりの原因は複数あると申し上げましたが、具体的には大きく三つ(解剖学的な問題・神経生理学的な問題・心理学的な問題)あります。噛み合わせはその中の解剖学的な問題の一つですが、それでしかないのです。

現状、咀嚼筋と首肩の筋肉は関連性があることがわかっておりますが、咬合異常(噛み合わせ・歯ぎしりなど)を治せば首肩こりが治るとは言えないのです。

実際問題、歯科医師曰く、噛み合わせを完璧にしたのにも関わらず肩こりが改善されない方は多数いらっしゃるそうです。そして、鍼灸・マッサージにおいても筋肉・姿勢・動きの問題を解決したのに、肩こりから解放されない方も、もちろんいらっしゃいます。

1対1の分かりやすい原因と結果だけを追い求めてしまいがちです。単純な答えの追求は迷宮。振り回されないようにしましょう。

同じことの繰り返しで恐縮でございますが、原因の特定できない不快な症状(不定愁訴)は数々の要素が複雑に絡み合って生じます。肩こり・首こりも然りです。不定愁訴の治療は原因をひとつに 決めつけるのではなく、体を総合的にとらえて個人個人の状態に適切な治療を行う必要があります。

かといって当院は何でもかんでも行う治療院ではありません。

当院では医学的根拠に基づいて、

  1. 解剖学的要因である筋肉を良好な状態とする事(ゆるめるだけではなく鍛えることも含めて)
  2. 神経生理学的要因である自律神経の乱れを調整する事(体性-自律神経反射を利用して調整)、および運動神経を適切に働かせるように促す事(単なる 筋トレではない特殊な運動療法にて)

また、原因と結果、因果律に反した広告宣伝が氾濫している中、それらをしっかりと整理し、何でもありではなく 「できる事とできない事」を明確化し、患者さんにわかりやすくお伝えすることを常に意識して治療を行わせていただいております。

体に良いとされていることは、たくさんありますが、人によって効果の有無は異なります。ご自身でできることは、日々の生活の中で、適度に試してみましょう。要点をおさえ、正しく行えばセルフケアでも十分に効果が期待できるものはあります。

その正しい方法がわからない!良かれと思って実践したらかえって悪化した!

患者さんからいただく質問で「巷で噂の肩こり解消法は本当に効果があるんですか?」の類が大変多いです。当院では、解剖学・生理学に則って適時ご説明させていただいております。

肩こりや首こりの原因は、本当に様々です。

根本治療には少しお手間と時間がかかるかもしれませんが、原因を一緒に探求し、最適な治療法を決めて実践するという、オーダメイドの治療をするのが、肩こりラボです。

テレビやインターネット上の情報、雑誌、書籍での言われていることを試すのはもちろん自由ですが、様々な方法をいくら実践しても一向に症状が改善されないようでしたら、一度お近くの治療院に相談することをおすすめします(リラクセーションやカイロプラクティックではなく治療院、医院へお願いします!!)。

肩こり・首こりの根本治療を行うにあたっては、噛み合わせや、顎関節に関連する咀嚼筋ついても考える必要があるため、当院では、歯科医を含む医師 等と共同で治療方法の研究に努めております。

痛みなく健康であること・・何よりも大事なことですから。

 

 

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この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

ひどい肩こりを何とかしたい!病院いけば治る?そもそも病院で診てもらう必要は?

肩こりラボ

肩こりが治りません。なにをしてもダメです。どうすればよいですか?

何をしても効果が感じられないのは肩こりが慢性化しています。慢性化した肩こりは医師や専門家でなければ改善は困難です。

整体いったりマッサージうけたり骨盤矯正もしました

実は整体や骨盤矯正などは対症療法としては効果あるかもしれませんが慢性的な肩こりには効果はございません

えっ!?保険も使えましたよ?

肩こりに対して、いわゆる健康保険が適用できるのは、医師の同意が必要です。

医者にはかかっていませんし、医者はいませんでした。

医師の同意がなくても保険が適用となるのは、骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合に限られます。そして、これは柔道整復師に認められた権利です。保険が使えてしまっている場合のほとんどは、肩こりではなく捻挫といった急性の怪我ということにしているのです

たしかに捻挫ということにすれば、安くできると言われました

柔道整復師は鍼やマッサージはできません。ですが、柔道整復師のいる整骨院で、鍼灸師・マッサージ師が行う鍼・マッサージを捻挫への施術ということにして国を騙して保険適用させているのが現状です。度々摘発されている「医療費の不正請求」です。

不正な会計をしている会社の裏帳簿みたいなことですか?

はい。実際の問診票・カルテとは別に保険請求用のカルテを用意して、それを元に保険請求しているのです。

ただの金儲けということでしょうか?

お金儲けというより、そういうビジネスなのです。あなたのことを良くしたいのではなく、通ってもらいたいのです。今までお考えになられたことはないかもしれませんが、通う必要のない身体になりたいと思いませんか?

それができるなら、ぜひそうなりたいです。

慢性的な肩こりの根本的な問題を解決

まちなかに溢れかえっている肩こり腰痛の方向けのお店は、凝っている部分をほぐして楽になってもらうことを目的としています。

肩こりラボが開院した当初は、計画を立てる・原因へのアプローチといった方法を打ち出しているところはほとんどなかったのですが、現在では多くが当院と同じようなことを言っています。

残念なことに、当院で説明している内容を多くの整骨院・鍼灸院が無断でコピーして流用・転用しています。

情報はコピーできても、技術・ノウハウはコピーできませんので、放置していますが、結果として悩んでいる人を混乱させている・他所での低評価が当院にも当てはまるように捉えられてしまいます。

過去にこちらで公開した情報・記事は、常にアップデートしてまいります。

肩こりを根本的に改善するためには必要なのは対症療法+原因療法の2つです。

ここでいう「肩こり」とは、単に肩周辺の筋肉が凝ってツラいと感じる症状ではなく、以下のような慢性的な肩こり・ひどい肩こりを指します。

  • 特別なにかしたわけでもないのに、いつも首肩周辺が凝っている
  • 凝りをほぐしてもらっても、すぐ元に戻ってしまう
  • 体を休めても、症状がすぐに出る
  • 症状を感じない時間よりも感じる時間が長い・
  • 力を抜きたくても抜くことができない

このような「慢性的な肩こり」は、一時的な緩和すらできない状態にあり「お店」では手に負えません。

「肩こり」を治せる人が世の中に存在しなかった・・・

 

決して言い過ぎではございません。

仕事柄仕方ない、加齢による老化現象、肩もみや肩たたきが日本の家庭の一風景である、湿布やピップエレキバンが世の中に溢れている・・・肩こり=仕方ない、これは「常識」です。

肩こりを解消したい、肩こりを治したい、なんとかしたいと強く思う人はいても、本当の意味で治したいと思われる方は少ないのです。それも圧倒的に少ないのです。なぜ本当の意味でと申し上げたかといいますと「凝った部分をほぐす=治す」という勘違いしている施術者が大半なのに加えて、受ける側も「凝った部分をほぐれる=治った」という認識が一般的だからです。これらは大きな間違いです。

肩もみ・肩たたき、は子供が親に行う親孝行の定番です。日本の笑顔あふれる家庭・仲の良い家族を象徴する1シーンです。そして、湿布は家庭内の常備薬と同様なものとして扱われています。

もっともメジャーな湿布であるサロンパスを正露丸やバファリン・ロキソニン・オロナインと同じように常備していませんか?

日本人なら当たり前なことの延長線上に肩こりはあるが故の、誰もがなるもの、仕方のない症状という思い込み

医学的に「肩こり」という名称は、曖昧です。

日本人ならではの文化の影響もあり、肩こりという症状は古来より軽視されてきていると言えます。我慢・根性は現代の若者には疎まれるかもしれませんがやっぱり私たち日本人は大好きです。

肩が凝ったら生死に関わりますか?答えはNoです。

たかが肩こり、されど肩こり

世の中には、心底肩こりで悩まれて、人生の岐路に立たざるを得ない方もおられます。

腰痛は、歩けない、起き上がれない、ということで日常生活に大きな支障をきたすため心配される症状ですが、肩こりとなると話は別で、肩こりくらいで・・・という世の中の一般的な認識がありますから、精神的ストレスは相当なものでしょう。

肩こりって何?肩がこるってどういう症状なの?という恵まれた方も多くいらっしゃいます。軽度の肩こりの方でも、ひどい肩こりの辛さは、ひょっとしたら想像できないかもしれません。

ひどい肩こりは、ギックリ腰のように日常生活に支障をきたす場合もありますし、何よりも精神的に多大な悪影響がございます。慢性的な頭痛や耳鳴り・不眠と同じです。

肩こりの根本的な改善とは、肩こりで悩まないカラダづくり

 

「その場しのぎ」の一時的な肩こり解消でしたら、誰でもご自身で簡単にできる方法から一般的なリラクセーション店で可能です。

肩のコリをほぐす名人、ゴッドハンドと呼ばれている、もしくは自称されている方も数多くいらっしゃいます。

重症化していなければ一時的な緩和は難しいことではありません。

残念ながら肩こりで悩まなくなる魔法のようなお手軽な方法は存在しません。

病院では「その場しのぎ」さえもしてくれないことが多く、痛み止め・注射で様子を見るのが定番です。

筋膜リリースは画期的?

最近では、筋膜リリースを売りにしている病院もございますが、筋膜リリース自体は、鍼灸・マッサージ院ならどこでも行っている一般的な施術方法の一つです。

実際問題、鍼灸・マッサージの効果を認めない・認めたくない医師・理学療法士は多いのです。ちなみに鍼を打つことができるのは鍼師と医師のみです。

鍼灸・マッサージでは当たり前でも、医療の分野では注目されてこなかった・しようとしてこなかった中、注射という医療行為でできる新たな手法として売り出してきたのが筋膜リリース注射です。

筋膜リリース自体はいつかは廃れる流行りの方法ではなく昔から行われている方法であるということ。そしてあくまで対症療法でしかないということはとても大切なポイントです。

筋膜リリースとは?

繰り返しで恐縮ですが、肩のコリをほぐす方法・対症療法では、首肩を根本的な改善はできません。この勘違いが蔓延しているために、悩まれる方が増え続け、それをターゲットとしたビジネスがはびこっています。それこそがビジネス・お金儲けの真髄ともいえますが、その対象・手段として、人の身体・健康を使うべきではないと思います。

対症療法・一時的に症状を緩和することは勿論必要です。現在のつらい症状を緩和して、まずは楽になっていただくことは必須です。

根本的な改善のゴールとは、肩がたとえ凝っても少し休めば元通りになるという健全なカラダづくりです。

肩こりを放置すると内臓疾患だけでなく自律神経にも支障をきたす恐れ

肩が凝った・・・と感じる肩こりの初期症状は、肩の筋肉の問題です。肩の筋肉の問題ですが、肩のみならず、頭痛や頭が重いといった症状は身に覚えがある方も多いことでしょう。肩こりが慢性化していきますと、具体的には、神経や骨、内臓に影響が出るのです。さらに悪化すると・・・精神状態にも悪影響が出ることも多いのです。大切なことなので繰り返しますが、問題を起こしているのは筋肉です。骨ではないのです。

肩が凝ると、その痛みだけでなく、イライラしたり、眠れなくなったり、食欲が沸かなくなる、倦怠感で何もする気が起きなくなる方は少なくないと思います。これらは肩こりが原因で自律神経に悪影響がでているためです。

自律神経の問題となると、まず体を休ませようと思っても休まらない

リラックスしようとしても緊張が抜けなかったり、疲れているはずなのになかなか寝つけなかったり、寝ていても眠りが浅くすぐに起きてしまったり、長時間寝ているはずなのに全然つかれがぬけなかったり・・・。

加えて胃痛や胸やけ、便秘といった内臓の不調にも繋がり、内臓機能も含めた不調となり「つらい状態」の悪循環になります。また、血圧など循環器系へも影響を及ぼす可能性があります。

このように身体の様々なところに影響が出てしまうと、本当の原因がわからなくなる

病院で診てくれる医師には專門分野があります。専門外のところにも原因があるとしたら、どうでしょう?

つまり、部分的な症状で病院にいっても、根本の解決になる可能性は低いということ、肩こり解消は難しいということは、ご理解いただけると思います。

また、肩こり・首こりの方は常にその凝った部位の周囲が気になってしまい、ついついポキッと鳴らしてしまう方が多いと思います。関節の音を鳴らす感覚に近いかもしれません。

首ポキ

しかし首をポキッと鳴らすと寝違えやギックリ首になりやすくなるだけでなく、生命を脅かす脳血管障害(脳卒中など)となる可能性を高めることにもなります。

厚生労働省調べによると日本人の死因は、1位 ガン、2位 虚血性心疾患、3位が脳血管障害です。

首の関節を自ら鳴らす行為はもちろん、カイロプラクティックや整体などで鳴らされる場合が多いですが、本当に危険であるということを意識してください。

イギリスのブルネル大学(Brunel University)のリハビリテーション研究室の報告によっても「首ポキ」による脳血管障害や重篤な神経疾患へのリスクが示唆されているようです。

詳しくは、首ポキ解消法の真相(首をポキポキ鳴らすのは本当に危険なのか?脳血管障害・死亡リスクとの関連性)と題して別記事にまとめましたので是非ご覧ください。

首ポキ解消法の真相(首をポキポキ鳴らすのは本当に危険なのか?脳血管障害や死亡リスクとの関連性)

例えば腰痛になってしまった時、できるだけ痛くならないように普段はしないような体勢をとります。これは首や肩でも同じです。痛みを庇おうとして、無理な姿勢を長期間続けてしまいますと、一定の部位に負荷がかかり続けることになります。これは骨(主に頚椎・腰椎)を変形させ、神経を圧迫してしまうことがあり、痺れなどの症状を招く場合があります。

肩こり・首こりと聞くと、どうしても気軽に感じてしまいます。しかし、悪化すると日常生活を脅かす大変危険な症状の種でもあるということを、どうか覚えておいてください。そして、重症になればなるほど治りにくくなります。

「何回通ってもよくならない、むしろ通う頻度が増えた」・・・その理由を説明します。

肩こりの辛い痛みを何とかしようと、湿布や塗薬などを試される方は多いでしょう。それでも肩の痛みが解消されず、つらさがピークに達すると、たいていは近所のマッサージにいかれることでしょう。おそらく、つらい所を揉んでもらってその場をしのぐことはできますが、数日後には残念ながら元に戻ってしまうケースが多いはずです。

これは、その後も同じことの繰り返しになり、根本的な肩こりの解消にはなりません。

そればかりか回を重ねるごとに頑固になり、悪化していきます。最初は1~2週間効果があったのに最近は数時間~数日しか楽にならない・・・という話を度々耳にします。

辛い肩凝りを治したくてマッサージに通っているのに・・・原因はなんだと思いますか?

答えは「刺激に慣れてしまうため」です。

例えば、頭痛薬を頻繁に服用しているとだんだん効かなくなり次第に量や頻度が増えていってしまうのと同じことです。

鍼灸・マッサージは物理療法の一種です。生体へ刺激を与えて反射によって効果を得ます。その刺激への慣れが生じると、同じ強さの刺激では効かない(=満足できない)状況となります。

鍼の医学的根拠については別記事で解説しております。当院の鍼の使い方は、西洋医学(現代医学)的根拠に基づいております。ですので、一般的な鍼(東洋医学)との違いと合わせて解説しましたので、よろしければご覧ください。

ひどい肩こりや首こりが整骨院・整体に通い続けても一向に改善しない方は「東洋医学と西洋医学の違い」を知りましょう

刺激に対して体が慣れてしまう

「慣れって怖いよね」という言葉は、誰でも口にしたことがあるはずです。哺乳類は様々な環境に適応するため、外部からの刺激に順応する機能が備わっていますがこれがその「慣れ」を生じさせる原因となります。

刺激に慣れていってしまうと、通うごとに、施術者はどんどん刺激を強くしていきます。そうしないと、患者さんの満足感を得られないからです。そして、その刺激にも慣れてしまい・・・この繰り返しとなります。

この悪循環としかいえない施術の繰り返しは、頑固なコリへと進化(悪化)していくのです。終わりの無いサイクルができあがってしまいます。

何度も通ってもらえるから、マッサージをする側の人にとっては、よいサイクルでしょう。でも患者さんからすれば、たまったものではありません。肩や首の痛みは、腰痛と同じで、日常生活に支障をきたします。ちょっとした動きでも痛みがあるというのは本当につらいことです。精神的にも大きなストレスとなります。

このような酷い状況を招くのは100%施術者側の責任です。誠実な施術者であるならば、その場を楽にするだけではなく、リスクや副作用含め、刺激への感受性や慣れなど施術後のことまで考慮した上で計画を立て実行すべきです。

施術は相手の未来を想定して行うべきもの

「つらさから解放されるため」にいらしてくださっているわけですから、まず症状を落ち着かせること、これを常に念頭におきつつ、刺激に慣れさせないための管理も同時に行う必要があるのです。具体的には鍼の刺激の方法の選択・強弱のつけ方・鍼を打つ頻度の最適化を、未来を見据えて行わなければいけません。

施術を何回も受け続けても一向にお悩みの症状が解決しない!!そんな肩こり、首こりが治りにくい理由は3つ

一般的に肩こり・首こりの原因は、「姿勢」や「骨の歪み」である、とされています。

実際のところ、姿勢や骨の歪みを矯正するとされている施術を受け、肩こりが解消された方は極めて少ないはずです。そして肩がこらなくなった人は限りなくゼロに近いはずです。

良い姿勢を維持しようとすると返って疲れてしまい、それを持続することなどできない方も多いでしょう。肩が凝るのは姿勢が悪いから、ということはわかっていても、肝心な「良い姿勢が持続できない」「良い姿勢がわからない」という方が多数いらっしゃいます。

 

肩こりの原因はひとつではない

原因はひとつではなく、大きく分けて3つの要因があります。姿勢や筋肉の問題、いわゆる“ゆがみ”などはあくまでその一部分にすぎません。次項にて詳しく解説させていただきます。

 

本当に良い姿勢とはどのような姿勢か認識されていない

『良い姿勢=体への負荷が最小限となる姿勢=疲れない姿勢=首・肩に負担の少ない姿勢』です。大まかに 頚椎・肩甲骨・胸椎・腰椎・股関節・足首 の5つの要点があります。

 

骨盤・骨格の歪みは、そもそも徒手的に行う骨格矯正等では治らない

骨は受動的な構造物であり、単体のみでは動くことはできません。筋肉が作用して初めて動きが生じます。視覚的に見える骨のアンバランスは、不良姿勢・不合理な動作の結果であり、つまりは筋肉のアンバランスや脳から筋肉への命令系統の不備が原因となります。筋肉のバランスを整える事と命令系統である神経系を適切な状態とすることがいわゆる“骨のゆがみ”を解決する方法です。(変形など本当の意味での骨の問題を解決できるのは整形外科医による手術のみです)

以上が、なかなか治らない3つの理由です。

ただ、②、③で解説した形態的な部分を完璧にしたからといって必ずしも肩こり・首こりが解消するとは限りません。(ゆがみを治したら肩こりが治るという理論自体がそもそも根拠に乏しいです)

その理由は①の肩こりの原因は一つではない、にあります。詳しくは以下をご覧ください。

 

肩こりの原因は3つ

肩こりの原因はひとつではありません。大きくわけて3つあります。

  1. 解剖学的な問題

    筋肉バランス、骨格、姿勢、動きなど主に体の構造面

  2. 神経生理学的な問題

    自律神経、運動神経(脳と筋肉の命令系統)など主に体の機能面

  3. 心理学的な問題

    ストレスやメンタルバランスなど主に精神面

解剖学+神経学+心理学

この3つの要素が複雑に絡みあって首肩周囲の不快感が生じます。

解剖学的な問題点

ヒトは二足歩行により重い頭が最上部にありますが、反してそれを支える首や肩は構造上とても不安定であり、もともとの造り自体が、首肩へ過剰負荷とってしまうようにできています。

“動物”と書くようにヒトは動くのに適した構造をしています。 現代人は仕事や生活の中でも圧倒的に静止している時間が長いです。つまり構造的に不利な条件が合わさっているのです。

神経生理学的な問題点

ヒトは痛みや不快感、心身のストレスが持続すると、自律神経のうち交感神経が優位に働き、筋肉を固くします。さらに血液循環を滞らせ、感覚を過敏にしてしまうことから肩こりを増悪させます。

ツラいと感じていると無意識のうちに体はうつ向くため、知らず知らずのうちに姿勢が悪化します。そして、これも無意識で行ってしまうことなのですが、歯を噛みしめて食いしばってしまいます。さらに緊張が高まります。

このように不良姿勢が続くと、関節可動域も制限され本来の良い姿勢を取り戻せなくなります。

心理学的な問題点

加えて慢性的な肩こりは自律神経の乱れから内臓の不調につながることが多く、それがさらにストレスとなり悪化へとつながります。

施術を受けてもすぐに元通りになるので、いつまでたっても解消されないことに対する苛立ち・・・それもまた悪化要因です。

このように肩こりがどんどん悪化していってしまう負のスパイラルへ・・・抜け出すことができなくなってしまうのです。

 

肩こり・首こりへのアプローチ方法は、原因によって異なります。

 

肩こりの主な原因とそれぞれに対する方法の一覧です。

筋肉のトラブル ・・・
はり、マッサージ、ストレッチ
悪い姿勢・動作不良 ・・・
はり、マッサージ、ストレッチ、筋トレ、整体(?)、カイロプラクティック(?)
骨格・筋膜の歪み ・・・
マッサージ、ストレッチ、筋トレ、整体(?)、カイロプラクティック(?)
神経の不調 ・・・
投薬、はり、マッサージ
ストレス  ・・・
カウンセリング、リラックス

前述のとおり「肩こりの原因はコレ」といった分かりやすい説明はできません。そのような分かりやすい単純明快な「答え」を期待する方が多く、その需要に答えるべく「分かりやすいけど、実は意味のない回答」がインターネット上、メディア上に多くございます。

たまたま、その人にフィットした方法があったとしても、それは、他の人に当てはまるのかというと、大抵は当てはまりません。

ですから、様々な方法が、もてはやされては消え、のループになるのです。

効果のあるダイエット方法と同じですね。

肩こり解消方法も流行り・サイクルがあります。

整体や骨盤矯正で、なぜ肩こりが治らないのでしょうか?

整体で骨盤や肩甲骨のバランスを調整したとします。しかしそれだけで肩こりが生じているわけではないので、残りの原因を探り、対処しなければ全く先に進むことは出来ません。

整体で骨格を改善しても、マッサージや鍼で筋肉をゆるめても、運動で筋肉をつけても、薬を飲んでも、それだけでは原因の何割かしか改善されたことにはならないのです。

肩こりの原因が見えたら、あとはその一つ一つへ対処していき、負のサイクルを断ち切っていきます。

一つの方法には一長一短があり、各原因に対して最も効果的な手段を当てはめ、徹底的に行う必要があります。このようにして負のサイクルを断ち切り、正のサイクルを生み出すことで体は必然的に良い方向へ向かいます。

加えて常に同じ立ち位置ではなく、短期的・中期的・長期的な効果の予測をもって施術プランを考えなければならず、これが肝です。特定の施術方法に固執するのではなく、患者さんが抱える個々の問題に対して、それぞれ適切な処置を行わければなりません。

「マッサージ」や「鍼灸」を提供することが目的なのではなく「肩こりの苦しみから解放すること」が私どもへ与えられた使命と考えております。

どうも鍼灸・マッサージは“即効性”が強調され魔法のように考えられている場合が多いです。良くわからないけれども経験的に正しいとされていることを実践しているだけの鍼灸・マッサージもありますが、鍼灸・マッサージは決して魔法ではありません。長期的に蓄積された肩こりを一瞬できれいさっぱり無くすことは不可能です。

ゴッドハンドに代表されるようなあっという間に治るといったことはありえませんが、適切な見立てと計画の元、お体に最適な処置を行えば、さほど時間をかけず体が変わっていく兆候を実感して頂けます。

根本的に肩こりを改善するための肩こりラボ的考え方

例えば虫歯を想像してみてください。 これも直近で差し迫って命に関わる問題ではございません。

しかし放置し、症状が進行したら歯の根っこまで侵食し神経までおかされた場合は抜かなければなりません。

歯は抜くと二度と生えてきません。深く削れば二度と再生されません。

老後、自分の歯でしっかり噛んで食べるか否かで生活の充実度、さらには余命に多大な影響を及ぼします。それゆえに自分の歯を生涯にわたって守るために歯科検診や定期クリーニングといった予防歯科の大切さが叫ばれています。

では、次に身体について考えてみましょう。

内臓は定期的に健康診断を行いますが、その他は・・・おそらく痛くなければ気に止めることもないでしょう。

虫歯が進行して神経の問題となったらどうしようもないように、身体においても初期は筋肉の問題なのでどうにかなりますが進行し慢性化するにつれ、骨の問題に移行します。

骨の変形が生じるのです。

そうなってしまったら、残念ながら整形外科医による手術で骨を切ったり削ったり移植をしなければ治りません。背骨の手術となるとリスクが高い上につらいリハビリが待っています。無事手術は成功しても、今度は筋力低下などで二次的な痛みに悩まされる場合も多々あります。

ですから手術を断念し、その後一生つらい症状とともに生きていくという選択をせざるをえない方は多く、当院でも、このようにどうしようもない状況になってから来院される方は少なくありません。

鍼やマッサージは代替医療です。

代替といっても医療に取って代わるものではなく、一般的な医療でどうにもならない場合の別の手段としての代替であり、補完的な医療です。

ですから、どうしようもない状況になった方の救いになるような施術が求められるわけですが、どうしても限界があります。

理学療法の限界

正直なところ、骨の変形が問題となっているケースは、いくら治してほしいと言われても残念ながらそれは無理なのです。

抜いてしまった歯をまた生えさせて欲しいと言われても無理ですよね。

IPS細胞が整形外科領域で実用化されればこの限界を超えることが可能です。現実的にはまだ10年以上先になると思いますが未来は明るいといえます。

iPS細胞

骨の位置をきめているのは筋肉

骨の変形は無理でも、骨の位置・姿勢を正しくすることはできます。

よくある骨盤矯正・猫背矯正といった持続性のない一時的なものではございません。

骨を動かすのは筋肉であり、骨の位置を決めているのも筋肉です。内臓の位置もです。

痛みなどで筋肉が正常に動かせなくなると、骨の位置も変わってしまいます。筋肉は動かし方が重要で、しばらく使っていないと動かし方をカラダが忘れてしまいます。宇宙飛行士が地球にもどってきて歩けないのは、筋力の低下だけの問題ではありません。

つらい症状の緩和と筋力トレーニング・そして筋肉の使い方を覚える、これらを適切に行えば、首こり・肩こり・腰痛は理論的に治るということはご理解いただけると思います。

まだ治るうちに、手遅れとなる前のケアの重要性を訴え続けてまいります。

 

 

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この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

パフォーマンスアップを望むアスリート(ダンサー含む)に有効な鍼とマッサージ。客観的視点から再検討してみました。

鍼で秘孔をついてパワーアップ

アスリートの方から「鍼で秘孔(ツボ)をついてパフォーマンスアップできませんか?」というご質問をしばしば頂きます。

一般の方の感覚からすれば、冗談のように思えますが、ケガが治らないトレーニングを行っても一向に変化無しといった状況のアスリートにとっては藁をもつかむ心情なのです。

どうも鍼(ハリ)はツボを刺激すると思われていますし「北斗の拳」といった国民的人気コミックの影響で秘孔という言葉だけは広く知られ、中国四千年の歴史というイメージ(中国が建国されたのは1949年です。)・・・といったイメージがあるようで“不可能が可能になる“1発で劇的な変化が起こる”といった期待を抱く方が多いようです。

しかし鍼(ハリ)はあくまで機械的刺激を用いた物理療法のひとつです。(物理療法とは、電気・温熱・寒冷・触圧など物理的な方法で行う療法。)

人体に鍼を刺して起こる反応は限られています。これは以前の記事で解説いたしました。

→ 医学的根拠に基づく鍼灸・マッサージとは(通い続けても改善しない重症肩コリ・首こり患者さんにお読み頂きたい東洋医学と西洋医学の違い)

 

鍼はパワーアップではなくダウンさせるためのもの

鍼を打つことで筋力アップといった素晴らしい効果があるのか、ないのか?ずばり事実を申し上げます。

基本的に鍼(ハリ)は筋肉弛緩させ、血流を増加させると同時に張力(発揮する力)を低下させます。

[文献1] 肘関節屈曲伸展運動に伴う筋疲労に及す円皮鍼の効果 異なる施鍼部位でのパイロットスタディ 

そのため、鍼(ハリ)はアスリートにとっては体調を整えるコンディショニング・ケアという点では有効ですが、鍼を刺すことにより筋肉な弛緩するため筋収縮力は低下し、競技直前の鍼施術はパフォーマンスを低下させるであろうことが理論上通説とされています。

しかし、こちらの研究では競技前に鍼(ハリ)を行う事の有効性が示唆されています。↓↓↓

[文献2]トライアスロン競技後の筋肉痛に及ぼす円皮鍼の効果-プラセボを用いた比較試験- 

こちらを要約すると、腰の一定部に長さ0.6㎜の極短い置き鍼(円皮鍼)を行って運動を行った所、疲労感と運動後の筋肉痛(遅発性筋痛=DOMS=Delayed Onset Muscle Soreness)が軽減されたとのことです。

ここに置き鍼を行い運動を行ったところ効果があったとの報告です↓↓

円皮鍼

円皮鍼2

上記[文献2]より引用させていただきました

 

円皮鍼とはこのようなものです↓↓

円皮鍼5

http://www.jizo-s.jp/treatment.htmlから引用させていただきました

円皮鍼4

http://shibasaki.hmpg.org/index.php?FrontPageから引用させていただきました

 

遅発性筋痛=DOMS=Delayed Onset Muscle Soreness とは↓↓

遅発性筋痛 delayed onset muscle soreness

  • 運動後数時間から24時間程度経過して、筋肉を圧迫したり動かしたりした時に知覚され、運動1-3日後をピークとなり、7-10日以内には消失する痛み
  • DOMSが筋や結合組織の微細構造の損傷を引き起こす伸張性(エクセントリック)筋活動を含む運動にともなって起こることから、筋線維あるいは結合組織の損傷、およびその後の炎症反応が原因だとする(損傷・炎症説)が広く支持されている
  • DOMSと乳酸は無関係であるといっても過言でない
  • 筋のスパスムと筋の虚血の相互作用がDOMSを引き起こすという筋スパズム説も否定されている
  • 遅発性筋痛は、伸張性(エクセントリック)筋活動を含む運動で発現し、短縮性(コンセントリック)あるいは等尺性(アイソメトリック)筋活動のみでは、ほとんど発現しない
  • DOMSが発現するのは、運動に不慣れな場合や、運動時間が普段より長かったり、運動強度が激しかったりした場合
  • 筋の損傷・炎症は、筋力、関節可動域、筋周径囲、CPK、ミオグロビン、超音波、MRI画像変化から間接的に把握される
  • DOMSの程度は筋損傷の程度を反映しておらず、筋肉痛が激しいことは必ずしも筋損傷の程度が激しいことを意味していないと結論づけられる
  • 加齢に伴ってDOMSの発現時期が遅延するという事実は必ずしも明確でない
  • 上腕屈筋群のエクセントリック運動を20歳代と50-60歳代の被験者に負荷して筋痛の出現時期を比較した結果、どちらの被験者群においても、一日後に筋痛が出現し、2日目にさらにひどくなり、3日目以降に回復していくという結果で差は求められなかった
  • 3-5才児筋痛なし 小学生になるとDOMSが生じる
  • DOMSの発現を完全に抑制する効果を有する手段はみつかっていない
  • NSAIDのDOMSに対する効果は認められていないか、認められたとする報告でもその効果はわずかである

遅発性筋痛の意味

  • 一般に痛みは危険信号だと考えられ、異常を知らせ、痛みがある部位を安静に保つことを促していることが多い。しかし、DOMSにおいては、痛みが生じるのは運動後であり、仮に運動が危険であることを知らせるには手遅れである。また、痛みがある筋を安静に保たせるための信号であるとすると、DOMSのある筋を無理して動かした後、痛みが軽減し、回復過程に対しても悪影響がないことと矛盾する。さらに、筋痛が発現する時期は、組織学的な損傷・炎症の時間経過と一致せずまた、痛みの程度と損傷の程度は無関係である。これらのことは、DOMSの生理学的意義に対して疑問を投げかけるものである。なぜ運動後DOMSが出現するのであろうかDOMSにはどのような意味、意義があるのであろうか。これらの疑問に対する答えは、現在のところ得られていない。

出典:遅発性筋痛の病態生理学 理学療法 2001;18(5):476-484(野坂和則)

競技前に行う鍼(ハリ)によるパフォーマンスアップについて

先行研究と合わせて、競技前の鍼(ハリ)とパフォーマンス向上について考察をします。

①鍼をどこに刺すか

鍼を筋肉へ刺さると、その筋肉は弛緩します。 鍼を刺すと筋肉を弛緩させ収縮力を低下させるため、特殊なケースを除き、競技前にむやみに鍼を刺すと“発揮される力の低下”=“パフォーマンス低下”を招く可能性があります。 しばしば選手からの「筋肉の緊張がとれて可動域は広がるが、力が入りにくくなる」という訴えを耳にします。(過剰に力んでしまい可動域制限と意図する動きができない方には有効的ですが・・・)

また、その反応は神経支配比が密(神経がたくさん集中している)な体の末端部分で顕著に出る傾向があるため、足や腕など競技中に筋肉の収縮・弛緩が激しく繰り返される部分に施術を行うと返ってマイナスに作用してしまう可能性があります。

アスリートにとって、競技中に違和感として実感されるのはマイナスとなりかねないので”置き鍼をしているのかしていないのかわからない”状態とするのが好ましいです。

よって、末端部分ではなく体幹部分へ施術を行うことが推奨されます。 体幹の背骨の近隣に刺激を行うと、体性-自律神経反射により遠隔部の血流を改善させることが可能となります。

例えば腰へ施術を行うと足が、首へ施術を行うと手の血流が増加します。このため、足に鍼を行わなくても、腰へ施術を行うことで、重だるさが生じる可能性を限りなくゼロに近づけて足の状態を上向きにすることが可能です。

②鍼を刺す深さは

皮膚は表皮(約0.2㎜)、真皮(約2㎜)、皮下組織(主に脂肪で個人差有り)で構成され、その深部に筋膜で包まれた筋肉が存在します。鍼が筋膜を通過する際に鈍痛や重だるさを覚える場合が多いため、それらを生じさせないためには“筋膜を貫かない”ことが大切です。

そのため0~数㎜以下の深さで鍼を挿入することが推奨されます。その点、円皮鍼は長くても1.5㎜なので有効な手段といえます。

また、真皮層には痛みや違和感を感じる神経が密に分布するため、違和感を予防するという意味では実験で使用した0.6㎜のものか最も短い0.3㎜のものが有効的なのではないでしょうか。

ちなみに、0㎜~としたのは刺さず皮膚表面へ刺激を与えるだけでも反射を喚起することができるからです。

(しかし刺さないとなると鍼である必要がないのでは・・・という意見が出るはずです。私自身も刺さないならば鍼である必要はないと考えているので、極弱い刺激が適している場合にはマッサージにて対処を行っております。)

筋膜リリースとは?

③鍼のデメリットは

ウェイトリフティングや陸上の短距離・跳躍・投的など、瞬発的に高いパワーを発揮する競技には不向きかもしれません。

バイオメカニクス上、身体動作における発揮される力の源は体幹です。筋肉までは到底到達することがない極浅い円皮鍼という刺激であっても、刺した部分の筋肉が弛緩することは考えられます。(経験上は弛緩します。)

上記のような限界ギリギリの所で勝負をする競技においては、わずかでも筋収縮力が低下することは、パフォーマンス低下を招きまねきかねません。よって筋肉の収縮力次第でパフォーマンスが大きく左右する瞬発系の競技においては、競技前の鍼(ハリ)は避けた方が良いのではないでしょうか。

 

競技前の鍼(ハリ)が適しているスポーツとは?

多くのスポーツは筋肉の収縮力が第一の理由でパフォーマンスは決定しません。長・中距離や多くの球技等は筋力だけでなく、有酸素系代謝能力や多くの要因が絡み合いパフォーマンスが決定します。

すなわち、多くの競技は筋力とパフォーマンスは正の相関関係にありません。よって、体幹部分に多少の筋力低下が生じたとしても(円皮鍼を刺して筋力低下を実感できるのは国際レベルの極少数のトップアスリートぐらいですが・・・)、末端部の循環を良好な状態に保ち、疲労しにくい状態をつくることは結果として動作を円滑に、持続的に遂行することにつながるはずです。

そして、何よりも怪我や痛みを抱えずに、継続的・漸増的にトレーニングを積むことがアスリートのパフォーマンスアップには不可欠です。このようなことから、瞬発系競技以外のスポーツにおいて、競技前に鍼(ハリ)を行うことは、パフォーマンスアップの補助となるのではないでしょうか。

個人的には、長距離ランナーはじめ有酸素系のアスリートは、疲労のコントロールと障害予防という点で日常的に円皮鍼を使用し練習を行うと良いのではないかと考えております。

また、バスケットボール、サッカー、野球、バレーボール、ダンスなど部分部分では瞬発力の求められる競技も、トータルでとらえると持久力・協調性・スキルが高い次元で両立されることが求められるため、有効的なのではないでしょうか。

海外の選手と瞬発力含め身体能力勝負をしても、日本人に勝ち目はありません。身体能力勝負をすると越えられない壁はつきものですが、今後日本人が世界で活躍するためには、持久力・協調性・スキルで勝負をする必要があるのではないでしょうか。

鍼(ハリ)は筋力アップという点ではマイナスですが、持久力・協調性・スキルという点ではプラスに作用する可能性が高いです。

このようなことから、バスケットボールやサッカーなどといった一見瞬発力の求められる競技においても、競技前の円皮鍼による治療は有効的なのではないかと考えております。

スポーツと鍼(ハリ)についてのまとめ

鍼(ハリ)(東洋医学・ツボ)は魔法ではないため、漫画のイメージのように不可能を可能とすることはできません。

「長年悩んだ〇〇の痛みが劇的に・・・」「あきらめていた〇〇が1発で・・・」などの奇跡体験が美談として語られますが、ごく稀に奇跡のような事象はたしかに起こります。

しかしそもそも“その治療”が本当に効果あったのか、はたまた“その治療”に関係なく生じた現象なのか(単に平均への回帰だったのか)、その美談が公平な視点から検証された形跡はありません

残念ながら、アスリートのパフォーマンスアップに近道はありません。しかし“寄り道”をしないことは可能です

アスリートが進化し続けるためには、第一に漸増的・持続的にトレーニングを行うことができるかどうかが求められます。寄り道とは、スポーツ障害や不適切なトレーニング計画・メニューによって無駄な時間を過ごしてしまい、トレーニングを漸増的・持続的に実行不可能となってしまうことです。

アスリートが鍼(ハリ)によってパフォーマンスアップ可能かどうか。

結論、鍼(ハリ)によって劇的にパフォーマンスアップを図ることは不可能ですが、パフォーマンスアップを阻害する“寄り道”の可能性を大いに低下させることは可能です。その手段として、今までは競技後のコンディショニング一辺倒だった施術が、競技前にも有効的な手段があるということが示唆されたのではないでしょうか。

円皮鍼を用いた施術は、低リスク・低費用で簡易的な施術になりますので、どこの治療院でも気軽に実施可能です。 そのためプロアスリートに限らず多くのアマチュアアスリートの方々にも実施していただくことが可能です。プロ・アマ問わず、日本のスポーツ発展にわずかでもプラスとなるのではないかと考えております。

最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございます。

今回の記事はお役に立ちましたでしょうか?パフォーマンスアップについてお悩みの方、なんとかしたいとお思いの方、是非、一度ご相談ください。

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丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

ひどい肩こりや首こりが整骨院・整体に通い続けても一向に改善しない方は「東洋医学と西洋医学の違い」を知りましょう

「リンパが詰まっているのが原因です。」

「痛みの原因は、老廃物がたまっているからです。

「骨が歪んでいますね。これを直せば楽になります。」

「背骨が歪んでいますので直します。」

このように自信満々に言われ、言われるがまま施術を受けられる方が多いと思います。実際に良くなられている方はよいのですが、そうでない方、疑問をお持ちの方が今このページをご覧になられていると思います。

この記事が、悩みや今抱えていらっしゃる疑問を解決するヒントになれば幸いです。

当記事での東洋医学とは鍼・灸・マッサージを指すこととさせていただきます。漢方は含みません。

医学的根拠は皆無なのに東洋医学的には正しいという謎

 

冒頭に上げた例は、街中に溢れている整体、カイロ、足つぼマッサージなどのお店や整骨院等でよく使われる言葉です。本当によく使われています。

結論から申し上げますが、医学的根拠は皆無です。

東洋医学的に・・・という説明をするところもあることでしょう。(西洋)医学的に説明できないことだけど、東洋医学的には正しい、効果がある、こんな風に言われたら、よく分からないけど信じてみるのは無理もありません。

ひどい肩こりで痛くてつらいと、痛みをすぐにでもなんとかしてほしいわけですから、説明とかはいいから!!となってしまうのが普通です。

分からないから不安になる。その不安を「知識」で解消しましょう。

もし、ご自身またはご家族が大きな手術をする、となった時、それが緊急事態ならやむを得ませんが、時間に余裕がある場合「とりあえずお願いします」となりますか?

きっと説明をよく聞くと思います。それが大切な人の場合でしたら自分の場合よりも理解しようとするはずです。ひとりだと不安だから誰かを同伴してお話をきく場合もあるでしょう。

肩こり・首こり・腰痛の場合は、どうしても大きな怪我・大病と比べれば緊急性が低い上に我慢もできてしまいます。ですから、正しい情報を一生懸命求めるよりも、どうしても受け身になりがちです。テレビでみた、雑誌で目にした、友達がいってた、といった情報、その情報の中でも「楽そう」「簡単そう」な情報に流されてしまいます。

すごく効くよって聞いて東洋医学系の施術を受けてみたものの一向に良くならない、それどころか悪化した・・・何ヶ月も予約でいっぱい、全国から訪れる評判のところにいったけど全然よくならない・・・このような方はかなりいらっしゃるはずです。

「わからない」「先が見えない」これは不安です。とてつもないストレスです。

不安やストレスを少しでも減らためには、正しい知識を身につけることです。仕組みや意味がわかるだけでストレスや悩みはぐっと減るはずです。

今、あなたは、このページ自体信用できるの?と思われたかもしれません。

少しだけお時間ください。読んでご判断ください。

鍼(はり)・お灸(きゅう)・マッサージといった東洋医学として世間一般で認識されている方法が、どのような考えをもとに行われているのか?それが西洋医学的な根拠に基づいた方法とどう違うのか?という点にフォーカスしていきます。

西洋医学と東洋医学のちがい

東洋医学という言葉を耳にして連想されるのはどのようなイメージでしょうか?

 

東洋医学というと、まず連想されるのが、中国4000年(最近では5000年に延長されています)の歴史、ツボ、気(気功)、ハリ、漢方・・・だと思います。漢方はさておき、肩こりに代表される体の不調を治す東洋医学のイメージは鍼や灸でツボ(経穴)を刺激し、気や経絡を整え、血流を改善することで自然治癒力を高め、体質改善を行うといった内容を想像されるのではないでしょうか。

上記に挙げた東洋医学らしい文言の中で、医学的根拠(EBM)に基づいているのは「血流を改善する」という部分のみです。

● 西洋医学では不可能とされた病でも東洋医学なら可能。

● 不治の病、難病を治した。

などといった宣伝文句をしばしば目の当たりにします。世の中には科学的に説明できないこともまだまだ多いですし、不思議なことだらけですから、東洋医学に不思議な力があると信じてしまう人もいれば、胡散臭く思う人もいることでしょう。

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。

東洋医学の世界では

  • 症例数に関わらず、1人でも改善すれば効果有り
    • 有効率の検討がなされておらず施術者の主観をよりどころとされている
  • 良いことしかアピールされない
    • 施術者から発信される情報にバイアス(偏り)がかかっている、施術者自身が信者となっている
  • 効果の判定が定量化されていない
    • 客観化数値化されていない、する努力をしない、あえてしない
  • 東洋医学的療法(鍼・灸・マッサージ等)を行ったから効果があったのか、たまたまだったのかの比較検討がなされていない
    • 二重設盲検法(Double Blind Test)、ランダム化比較試験(RCT::Randomized Controlled Tria)、がなされていない
  • 東洋医学の文献の大部分が筆者に都合の良い結論付けとなっている場合が多い
    • プール解析メタ分析(メタアナリシス)がなされていない

二重盲検法

二重盲検法(にじゅうもうけんほう、英: Double blind test)とは、特に医学の試験・研究で、実施している薬や治療法などの性質を、医師(観察者)からも患者からも不明にして行う方法である。プラセボ効果や観察者バイアスの影響を防ぐ意味がある。この考え方は一般的な科学的方法としても重要であり、人間を対象とする心理学、社会科学や法医学などにも応用されている。

行為の性質を対象である人間(患者)から見て不明にして行う試験・研究の方法を、単盲検法という。これにより真の薬効をプラセボ効果(偽薬であってもそれを薬として期待することで効果が現れる)と区別することを期待する。しかしこの方法では観察者(医師)には区別がつくので、観察者が無意識であっても薬効を実際より高くまたは低く評価する可能性(観察者バイアス)や、患者に薬効があるかどうかのヒントを無意識的に与えてしまう可能性が排除できない。そこでこれをも防ぐために、観察者からもその性質を不明にする方法が二重盲検法である。

ランダム化比較試験

ランダム化比較試験(ランダムかひかくしけん、RCT:Randomized Controlled Trial)とは、評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法である。従って根拠に基づく医療において、このランダム化比較試験を複数集め解析したメタアナリシスに次ぐ、根拠の質の高い研究手法である。主に医療分野で用いられる。略称はRCTである。

メタアナリシス

メタアナリシス(meta-analysis)とは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のことである。メタ分析、メタ解析とも言う。ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスは、根拠に基づく医療において、最も質の高い根拠とされる。

出典:Wikipedia

このように非常に曖昧な要素が根幹を成してしまっています。

ここで、読者の方にご確認しておいてほしいことがございます。これを書いている著者自身ははり師・灸師・あんま指圧マッサージ師の資格をもっております。これら3つの資格は国家資格であり、資格取得のためには東洋医学を最低3年間勉強し国家試験を受けて合格しなければなりません。

私自身、鍼灸師として仕事をはじめた最初の数年間は、東洋医学的な考え・方法を実践しました。西洋医学的な解釈からすれば無茶苦茶な理論でも結果は出るのかもしれないという期待はありました。しかし結局、自信をもってプラセボ以上といえる効果はあげるには至りませんでした。これは私自身の経験不足・知識不足のせいかもしれません。

確かなことは、特別な感性・才能をもったセラピストでなければ、東洋医学で効果をあげることは困難=再現性が低いのは間違いないと思います。

そして、私は過敏性腸症候群を患っていたことから、ゴッドハンドと呼ばれる有名な東洋医学的施術者のところへ通いました。今このブログをご覧のあなたと同じく、治療方法が解明されていない・病院で治らないなら、可能性があるとされる方法を信じたい、すがりたい気持ちは・・・きっと同じだったと思います。ですが、私自身は残念ながら東洋医学の神秘にふれることはできませんでした。

東洋医学をモットーとする施術者に「何を根拠に行っているのか?」とお尋ねすると「自分の感覚では・・・」「私は〇〇と考える」「何千年も前から伝えられている経験医学だ」などと答えます。よりどころとするのは経験であり、何千年も前に書かれた書物とのことです。

東洋医学関連の文献は数多く出典されてはいますが、その試験方法、解析方法に穴があり、症例報告の域を出ることがなく、信頼度の高いものが少ないという状況なのです。

硬ければ重症なの?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説

その肩コリは気のせいかもしれません

親子、夫婦、恋人同士の間で「肩もみ」「マッサージ」をする、される、のはごくありふれたこと、日常のいち風景でしょう。海外ではどうかわかりませんが、日本人にとって肩たたきは親孝行の代名詞(のはず)。

街中に整体・リラクセーションマッサージ店がたくさんあります。本当に多いです。ですがお店でマッサージを受けたことがない方でも、美容院でシャンプーのあとに「マッサージしてもよろしいですか?」と声をかけられたことがない方は恐らくいないでしょう。

「肩、凝ってますね〜」

とりあえず、凝っていると言われませんか?世の中の女性の半分以上が肩こりを抱えていると言われていますが、別に凝ってないのに凝っていると言われたことがある方はきっと少なくないはずです。

そして、整形外科、鍼灸院、整体、整骨院などで以下のように言われたことはありませんか?

「体がカタイですね。」

「筋肉がカタくなっていますね。」

体が硬い、筋肉が凝り固まっている、と言われたら『硬い=重症』と思うのは当然です

実は筋肉が硬い=重症であるという認識は大きな誤りです。

トップアスリート、一流のスポーツ選手の体は柔らかい、筋肉が柔らかい、ということを耳にしたことがある、そう信じていらっしゃる方は少なくないはずです。

このブログ記事では、これら通説について、正しい知識を身につけていただきたいという強い思いを込めて解説いたします。

筋肉の正常な機能とは?

骨格筋(内臓以外の筋肉)の作用は収縮と弛緩をスムーズに繰り返すことです。

つまり、“伸び”“縮み”を円滑に行うことが主な仕事となります。厳密には一定の緊張(トーヌス)を保ち続けるという働きや体温調節作用・血液循環補助作用・外的刺激からの内臓防御作用も重要ですが、これらは適切な“伸び”“縮み”が行われることによって機能します。

凝った筋肉とは、具体的にどのような状態なのか?

 

筋肉が凝っている状態は、筋肉の一部分が“縮み続けてしまっている状態”を意味します。

筋肉が縮み続けてしまっていると言われても、いまいちピンとこないと思います。

まず、ご理解いただきたいポイント、それはこの筋肉が収縮し続けている原因は血流が悪いからではないという点です。血行不良だけの単一原因ではなく神経生理学上の複雑な不具合が絡み合っているのです。

脳や脊髄などの中枢神経や代謝の異常が無い健常人において、筋肉は通常単独では伸び縮みすることができません。中枢神経(命令の出発地点)から発せられた信号が抹消神経(命令の通路)を伝わり、それが対象となる筋肉に到達して収縮が起こります。(実際は電気信号が伝わってから顕微鏡的な化学物質のやり取りが行われ反応が起こりますがここでは割愛します。)

そして、その命令が途絶えると筋肉は収縮するのを止めます。つまり、能動的に筋肉に作用するスイッチは“縮め”という命令しか無いのです。

一方、“伸び=弛緩”は受動的に起こります。“縮め”の命令が出ていない場合か、表の筋肉が収縮している時は裏の筋肉は弛緩します。例えば太ももの前(大腿四頭筋)が収縮した時は後面(ハムストリングス)が弛緩します。これを相反性抑制(=反回抑制=Ia抑制)と言い円滑な動作を行うために重要な反射機構です。

また、筋肉は両端部分のスジが引き伸ばされても反射的に弛緩します。これをIb抑制と言い、筋肉の収縮や外力によって急激に引き伸ばされスジが断裂するのを防ぐための防御機能です。この反射を応用したものがスタティックストレッチ(ゆっくり引き伸ばして行うストレッチ)となります。

特に急激に筋肉が引き伸ばされた時は伸長反射(脚気の検査で行う膝のお皿の下をたたくと膝が伸びる反射です)が起こり、引き伸ばされた筋肉が収縮します。これは関節が過剰に動き破壊されてしまうのを防ぐためです。伸長反射によって急激に収縮すると、収縮した筋肉のスジが強く引っ張られます。ここでIb抑制が働き、正常な状態に戻すのです。

実際の動きの中では裏表で明確に収縮と弛緩が分けられてはおらず、同時収縮や収縮しながら伸びるといったことが連続的におこります。上記の説明はあくまでも動きをあくまでも簡略化した場合です。

要するに、筋肉の仕事は収縮と弛緩のみであり、そのうち自発的な命令は“収縮”のみ。実際には無意識下での反射機構が複雑に組み合わさり動作を円滑に行わせる、ということなのです。

話が少し脱線しましたが、ここでお伝えしたいのは“筋肉”単体だけではダメで、神経が命令を出して・伝えて、初めて仕事を行うことができるということです。

これらをふまえて“コリができる=筋肉が固まってしまう”状態には3段階あります。

 

持続的に一定部位の筋を収縮し続けざるを得ない状態となっている

不良姿勢や不合理な動きを続けることにより、限られた筋肉が収縮し続けます。ここまでは筋疲労です。

例えば猫背でデスクワークを続けていると重い頭(体重の約10%)を支えるために首や胴体の後面の筋肉が収縮します。良好な姿勢でも重力に抗するために後面の筋肉は収縮しますが、猫背であるとテコのアームが伸びることとなり只でさえ重い頭部の重量が数倍となり背面の筋肉がそれを支えることとなるのです。

体重60kgの方の頭部重量は約6kg。2リットルのペットボトル3本をずっと片手に持っていたら腕が猛烈に疲れますが同様のことが首や肩周囲の筋肉で起こるので、疲労するのもうなずけます。

 

本来備わる反射機構が円滑に行われない(筋肉の状態をキャッチするセンサーの不具合)

筋肉の緊張を調整する反射がスムーズに行われるためには、その伸び縮みをキャッチするセンサーが働かなければなりません。人間には様々なセンサーが存在しますが、それらは生体に変化が生じた瞬間を情報としてとらえます。

例えば血圧が高いとそれをキャッチするセンサーがありますが、慢性的に高血圧の方はそのセンサーが鈍ってしまい“血圧を下げる”という反応が起こりにくくなります。筋肉内のセンサーであれば引き伸ばされたり縮んだりする瞬間をキャッチして反応を起こします。ところが、持続的に一定の状態にあり続けるとセンサー鈍くなり、情報をキャッチできなくなります。

不良姿勢等により一定部位の筋肉が常に収縮しているとスジの伸びをキャッチするゴルジ腱器官というセンサーが鈍ってしまい、筋肉を弛緩させるための反射(Ib抑制)が起こりにくくなります。この段階になると、マッサージやストレッチを行ってもなかなか筋肉が弛緩してくれなくなります。(ゴルジ腱器官以外のセンサーも関わりますがここでは話を単純化するために割愛します)

この筋肉の緊張を調節する反射機構が鈍った状態が“つらいコリ”となるのです。この段階になるとちょっとやそっとのことでは筋肉は反応してくれず、マッサージや整体、ストレッチなどの施術を受けても1週間が良い所となります。こうなると生活の中で“つらい”時間が増えてきます。つらい時間が増えると常につらい部分を気にするようになり、首を動かしたり、ポキポキならしたり、いじったりするようになります。

 

筋肉への命令系統の不具合(常に“収縮しろ”という命令が出続けてしまう)

人間の運動調節機能のひとつに「γ環γ(ガンマ)ループ」というものがあります。筋肉を動かすための神経はγ運動神経α運動神経に分けられ、2つを合わせて運動神経と言います。αは動かそうと思った時の命令を伝える神経で、γはαを補足して微妙な動きの調節をするための命令を伝える神経です。

直接対象となる筋肉を動かそうとしなくても、γ運動神経を介した動きは“その部位に意識を向けると自然と筋肉の緊張が増す”という普段意識しない部分での運動調節なのです。例えば筋トレの時に鏡で鍛えたい部分を見て、意識を集中させたほうがより効果的となるのはこの作用を応用です。

筋肉の状態をキャッチするセンサーの不具合が長期化すると常につらい部分に意識が向きます。つらい箇所を頻繁に触ったり、首を動かすことでγ環の活動を促してしまうのです。これは、常に“収縮しろ”という命令が出続けてしまうわけで、かえって緊張が増加してしまうのです。

緊張をときたいのに緊張をするように筋肉へ無意識に命令してしまう、命令系統のバグが生じてしまっているこの第3段階までくると「24時間つらい」「発作的に急激につらくなる」「どんな解消方法を行っても3日以内に完全に元通り」という酷い肩こり・首こり状態です。筋肉がほぐれなくて心底お悩みの方はこの状態にあるのです。

たかがコリなのにそんな大げさなと、コリでお悩みでない方は誰もが思うことでしょう。このような酷いコリは自律神経を乱しさらなる緊張を生むと共に、精神症状へとつながります。さらに全身症状へと移行します。これは事実です。そして特に首こり患者さんに多い傾向があります

筋肉が硬ければ硬いほど重症なのか?

 

重症化するにつれて変化するのは“筋肉の硬さ”ではなく“神経の問題がどれだけあるのか?”という点です。つまり「筋肉の硬さを調整する機能がどれだけ鈍ってしまっているかどうか」が問題です。

その機能が侵されていればいるほど、頑固なコリ=ほぐれないコリ=すぐ元に戻るコリ なのです。

よって、触って硬い・硬くないは重症度とは必ずしも関係があるわけではなく「与えた刺激に対してどれだけ反応性があるかどうか」が重症度を判定する指標となります。  重症であるほど、筋肉だけに留まらず、神経系の異常へ移行していくのです。

トップアスリート、プロスポーツ選手の筋肉は一般人の筋肉と何が違うのか?

 

一般的に、一流アスリートの筋肉は柔らかいと認知されていますがこれは間違いです。上記に説明してきましたように筋肉の硬さはその質を図る上でたいして意味をなしません。関節の可動域は筋肉の硬度以外の要素が大きく関係していますし、関節が柔らかいと返って問題も生じます。関節は柔らかければよいということではありません。関節は硬い方が弾性を利用することができ、かえって有利に働く場合もあります。

ハードトレーニングをして、カチカチになった筋肉はそれだけ収縮力があるということなので、高いパフォーマンスがあることを示しています。重要なのは筋肉を動かす機能がどれだけ鋭敏に反応するかどうかです。言い換えると、神経と筋肉の反応がどれだけ充実しているかどうか、が一番の論点となります。

つまり、ハードトレーニングをしてカチカチになった筋肉が短時間・弱刺激でほぐれるほど、質の良い筋肉と言えるのです。往々にして一流アスリートの筋肉はどんなにカチカチになっていても短時間・弱刺激でほぐれて回復させることが可能なのです。

一般常識とされていることもいつかは非常識になることはたくさんあると思います。

一般常識として浸透している知識にも、よく考えてみると辻褄が合わないことがたくさんあります。一見気軽に感じる“コリ”においても心底苦しんでいらっしゃる方が実際にいます。生活に支障が出ている方々が実際にいます、本当に苦しんでいらっしゃる方々の参考になれば幸いです。 「〇〇と言われている」ではなく、医学的根拠のある知識を得て自身の体に何が起こっているのかを知る必要があるのではと思います。

肩こり・首こりとはどのようなものなのか??その、おおまかな全体像をとらえたい方は下の記事をご覧ください。

ひどい肩こりを何とかしたい!病院いけば治る?そもそも病院で診てもらう必要は?

最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございます。

もし当記事が、少しでもあなたのお役に立てたようでしたら、他の方にシェア頂ければ幸いです。

 

 

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この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

肩こりと首こりの決定的な違い(解剖学・生理学の視点から徹底解説)

首すじのコリで悩んでいらっしゃる方は大変多いのですが、「首こり」という言葉は、「肩こり」ほど一般的ではありません。

そんな「首こり」ですが、「肩こり」は同じようなものと思われがちです。

医学的にも「そもそも肩こりとは厳密には首こりである」と説明する医師も多くいらっしゃいます。

その根拠は、肩こりの原因が、首の筋肉にあるケースが多いためです。

ですから首こりと肩こりが混同されるのは、仕方ありません。

はっきりと結論から申し上げます。

「肩こり」と「首こり」には大きな違いがあります。

ほとんど肩こりと同じような首こりが多いのは事実です。

首こりにあって肩こりにはないもの、これが一般的に知られていないために、首こりで悩まされている人が救われない原因といえるでしょう。

肩こりと首こりを別物として捉える医師が少ないという現実

医療の専門家(整形外科医)の多くが、肩こりとは首こりであるという認識であり、違うものとして捉えている医師が少ないのです。病院にいっても肩こりが治らない、そして首こり肩こりを専門に扱っているような病院でも治らないケースが多いという残念な状況を作り出している理由のひとつだと思います。

そもそも、肩こり・首こりで悩まれている方で、病院を探す人自体少ないでしょう。近所の整体に行ってみる人、とりあえずピップエレキバン・マグネループ・湿布に頼ってみる、痛みがある場合でも、湿布や塗り薬に頼る人がほとんど。最初から、肩がこらないようにするには?という発想がないのです。

そして、四十肩・五十肩といった肩関節周囲炎にも言えることですが病院では「原因が分かりません」「痛みの原因はたぶん○○」と曖昧な回答をされた経験をお持ちの方は多いでしょう。様子をみましょうということで、症状の緩和のための痛み止めの薬・ブロック注射をされるというのが、典型的なパターンです。

風邪を引いたらクスリなどでつらい症状を緩和している間に自分自身の体が回復していきます。クスリはあくまでつらい症状の緩和、つまり対症療法です。

風邪とちがって、慢性的な首肩こり・四十肩・五十肩は、自己回復できないのです。自己回復できない状態にまでなってしまった=慢性化です。

対症療法の効果がない場合、それらを引き起こしている原因を解決しないといけません。正常であれば原因は自己解決できます。自己解決できなくなってしまった場合は、原因療法が必要になります。

首こりと肩こりは違います!!

首こりは、「首すじのこり」「首すじの痛み」といった表現をされることのほうが多いと思います。

首すじは漢字で書くと「首筋」または「頸筋」です。字の通り、首の筋肉を意味ですが、首すじというと、首の後ろの部分、いわゆる、くびねっこ・うなじを指します。

うなじって首ですか?それとも肩ですか?

首と答える方が多いと思いますが、肩と認識されている方も一定数いらっしゃるはずです。

ここで、本題に戻ります。

肩こりと首こりの違い、それは首と肩という筋肉の部位が違いでしょ?と誰もがお思いになるはずですが、違います。

ここで問題です。

首の筋肉が原因で肩が凝る、これは首こりですか?それとも肩こりですか?

正解は、肩こりです。

ツラい症状を感じる場所で、首こりと肩こりと言葉を分けるのが適切です。

症状を感じる場所が違う以外にも、肩こりと首こりとでは明確な違いがあります。肩こりと首こりの決定的な違い、それは神経症状として出るか出ないかです。

首こりは神経症状が出るのです。

「首こり」は神経に症状が出てしまう

首こりによる感覚神経の症状

首にはたくさんの神経が集中しています。

誰もが経験する頭痛。この頭痛は首と関係しているケースが多く「緊張性頭痛」という言葉はご存じの方も多いのではないでしょうか?

緊張性頭痛とは?

頭部の感覚は、大後頭だいこうとう神経、大耳介だいじかい神経、小耳介しょうじかい神経等といった神経が感じます。これらの頭部の感覚を担う神経は、首の骨の内側にある脊髄から出ているのです。 首がこると首の神経を圧迫し、後頭部・側頭部・頭頂部の痛みを誘発します。これがいわゆる緊張性頭痛です。(もちろん後頭筋や側頭筋などといった頭部の筋肉のコリが直接神経を圧迫する場合もあります。)

頭だけでなく肩・腕の神経の問題も首がポイント

肩~腕~手の動きや感覚を担う神経、および血管も首に由来します。神経は頚椎から出るのでイメージがつきやすいのですが「心臓から出た血管が腕に行く前になぜ首へ?」と疑問をもたれる方は少なくありません。解剖学を紐解くことで、その疑問は解決します。

心臓をスタートとする血管は一度鎖骨の高さまで上に上ってからまた腕の方へ降ります。その首の前側の鎖骨近辺で、首の筋肉である斜角筋しゃかくきんを貫くため、首こりによってシビレや血流障害による冷えなどが生じます。正確には斜角筋しゃかくきんはその位置によって前・中・後の三つに分かれ、前と中の間を斜角筋隙しゃかくきんげきという狭い隙間があります。この隙間に神経(腕神経叢=腕を支配する神経群)と血管(鎖骨下動脈・鎖骨下静脈)があるのです。首こりで斜角筋しゃかくきんが硬くなるとこの隙間を圧迫するのです。

ですが、これらはレントゲンに写りません。ですから病院でレントゲン検査をしても異常なし、となります。

これが、肩こり・首こりの重症の方が、腕や肩甲骨周囲に放散する不快な症状を自覚して、病院で検査しても異常なしとされる理由です。首が原因による腕の症状のうち、病院で原因不明、異常なしとされてしまう例として「手の冷え」があります。手が冷えるのは血流が悪いためです。なぜ血流が悪くなるかといいますと、首のコリにより血管が元詮をされている状態だからです。つまり冷えてしまっている末端を温めても温めても改善はしません。元栓がしまっている以上、血行がよくならないのです。

この症状は、正式な病名として胸郭出口きょうかくでぐち症候群の一つともいえます。ただ、胸郭出口きょうかくでぐち症候群は、肩こり・首こりだけが原因ではありません。

胸郭出口きょうかくでぐち症候群かも?と思われたら・・・

胸郭出口きょうかくでぐち症候群が疑わしい場合は、まずは整形外科にて骨や内臓の問題(特に頚椎の状態ですね)をチェックしていただき、異常がないということの確認が必須です。というのも、シビレや冷えなどは神経系・循環器系の病気が隠れている可能性があるため、決して軽視はできないからです。

特に目立った異常が見当たらない、ということであれば胸郭出口きょうかくでぐち症候群への理学療法が適応できます。胸郭出口きょうかくでぐち症候群は単にマッサージや鍼灸、電気・温熱療法だけでは、その場しのぎ止まりで、改善は困難です。

その場しのぎとはいえ、まず、緊張が高まっている斜角筋しゃかくきんを中心とした首の筋肉を弛める必要があります。筋肉を緩めた後、首に負担のかからないようにする筋力を強化しなくてはいけません。筋力強化が胸郭出口きょうかくでぐち症候群に対して必要なのです。

胸郭出口きょうかくでぐち症候群に対して行う筋力トレーニング

胸郭出口きょうかくでぐち症候群になりやすいのは、痩せ形・なで肩の女性です。女性はどうしても筋力が弱いため、首周囲へ負担が強いられてしまうという背景があります。ですから、筋力強化はもちろん必要なのですが、その筋力強化とは単にダンベルや重りをもって筋肉を肥大させる運動ではございません。強化すべき筋肉は体幹とインナーマッスルなのです。体幹とよばれる胴体部分の筋肉とインナーマッスルを活性化させると、体を効率よく負担がするないように動かすことができるようになります。ここで強化ではなく「活性化」と表現したのは、強化というとどうしても単に筋肉をつけて「マッチョ」になることと思われるためです。そうではなく、あくまでも負担なく合理的に体を動かせるようになることが目的で、そのための筋力トレーニングは筋力の強化ではなく活性化なのです。イメージとしては、女性でいうと痩せすぎていない「健康美」、男性でいうと「細マッチョ」です。胸郭出口きょうかくでぐち症候群に対して行う筋力トレーニングは、これを目指した体造りを行っていきます。

繰り返しとなりますが、ここでいう筋力強化は、重量物を歯を喰いしばって持ち上げるようなハードなトレーニングの必要はまったくございません。

まずは整形外科で診てもらうましょう!

胸郭出口きょうかくでぐち症候群になりやすい方を上記であげましたが、あくまでそれは「教科書的になりやすい」例にすぎません。

たとえ体重が多くても、筋肉量が多いとは限りません。個人的には発症しやすい例として「痩せ形」と表現することに疑問をもっています。痩せている女性やなで肩の女性に多いとはいえ、デスクワーク中心の男性にも実際多く見られます。

話が少しそれましたが、そのため「首肩こり」「(常にではないけどたまに)手にがしびれる」「手が冷えやすい」ということに心当たりがある方は、本当に症状が重篤になる前に一度整形外科にて診ていただき、MRIやCTといった検査を受けてください。ヘルニアや頚椎症の可能性があります。ヘルニアというと腰のイメージが強いですが、腰も首も背骨という意味では同じです。首のヘルニアは、頚椎椎間板ヘルニアといいます。

整形外科での検査で異常が無いようでしたら、整形外科の範疇ではないということになります。問題は、骨ではなく筋肉です。是非、軽症のうちに治してしまいましょう。胸郭出口きょうかくでぐち症候群は、解剖学に基づいた筋肉、そして、その動作に対する施術が必要となります。基本的には肩こり・首こりへの対処と同じなのです。

整形外科に行って異常なしとされ、次にどうすればよいか分からなくてお困りの方は以下の記事をご覧ください。

首肩腰でお悩みの方を迷わせない!病院・鍼灸院・整骨院・サロン選びのコツ

 

首こりによる自律神経の症状

首には上神経節・中神経節、星状神経節という自律神経(交感神経)のツボのような要所が存在します。

これらが首こりによって、圧迫刺激されることによりバランスを乱し、偏頭痛や吐き気、めまい、睡眠障害といった自律神経失調症状が引き起こされます。

この神経のツボ(交感神経節)は左右一対あり、数珠のように首から腰まで背骨の際を一つながりになり、交感神経幹という組織を形成します。そのため、それらが不調となると肩甲骨や背中の不快感にもつながります。

さらには自律神経への影響として血圧の変動といった循環器・各内臓機能も不安定となり、イライラや情緒不安定などの精神症状にもつながります。

また、迷走神経という副交感神経も脳から出て首の筋肉間を通って内臓へと下降していくため首こりにより不要な刺激を受けることでバランスを乱し、内臓諸機関の機能を乱します。

首肩こりと自律神経の関係を検索して調べていくと、自律神経が乱れるという所までは同じだが、つきつめると交感神経に着目してる説と副交感神経に着目している説があり、とてもわかりにくいと思います。

実はこれらは表裏一体でシーソーのように均衡を保っており、一概にどちらか一方のみといういいきれないというのが実情なのです。

首肩こりにお悩みの方は元々精神的ストレスを抱えていらっしゃる方もいますし、首肩がつらくてストレスとなってしまっている方もいます。天候など気圧の影響を受けやすい方も自律神経は乱れやすい体質といえます。

このような方々は自律神経のシーソーのバランスがとりにくく、片方へ傾いたら戻れなくなってしまったり、戻ろうとしたら戻りすぎてかえって反対に傾いてしまったりとしてしまうわけです。これがいわゆる「自律神経が乱れた状態」です。

つまり、自律神経を考える場合、対をなす交感神経と副交感神経がどちらか一方が働いてもう一方が働かなくなるいうように絶対的に変化するのではなく、あくまでも相対的なものなのであるとうことを頭にいれていただきまして、どちらか一方に着目するのではなく、ある事象が起きることによって双方に影響が出ることがあり、それは個人差があるということをご理解いただきたいと存じます。

そのため当記事でも首こりによって交感神経・副交感神経療法への影響をご紹介させていただきました。

このように首こりは悪化・長期化すると自律神経系の異常をきたし全身症状へと移行していきます。 (交感神経と副交感神経を合わせて自律神経といいます)

肩こりは主にその局所のつらさに留まる一方、首こりは高い頻度で全身症状へ移行してしまうため、首こりのほうがつらいと感じる方が多い傾向にあるようです。

病状は

  • 肩こりから首こりに移行するパターン
  • 首こりの症状として肩こりを感じるパターン

の2パターンあります。

肩こりを放置して首こりへ移行してしまわないようにするには、悪化しないためのケアを行うか、できるだけ早く治してしまえば問題ありません。

首こりの方はのんびりしているとどんどん悪化していってしまうので早急に集中的な対処を推奨します。

これは多くの肩こり・首こりの患者さんを診てきたセラピストとしての経験的なものですが、「施術をしてもすぐに元通り」という方は、肩こりではなく「首こりが原因」の方が多いです。

「首こり」と「肩こり」は似て非なるもの、この見極めはとても重要です。

肩こり・首こりと聞くと気軽に感じるかもしれませんが、それらは体からの悲鳴です。

肩こりや首こりを根本的に改善するということは、つらい症状を引き起こしている原因をひとつひとつ解決することです。つらい部分の症状を緩和しても再発するだけで、薬、お店、病院に通い続けることになるだけです。時間やお金がかかるだけでなく、厄介なことに徐々に悪化していきます。

ですから、どこで診てもらうか?どこに通うか?がとても重要になります。

どこに行けば肩こりは治るの?

まずはご自身の体が”どのような状態”で”何が起こっているのか”を知りましょう。医療機関などでの説明を受け身ではなく、理解する、疑問に思ったら質問して信頼できるかどうか見極めましょう。そのためには、正しい知識・情報が必要です。

重要なことですので、繰り返し申し上げますが、肩こり・首こり・腰痛に対してでもっとも大切なことは、症状の見極め、原因の究明です。これを間違えると、どんなによい腕を持った医師・セラピストでも改善することはできません。

マッサージ業界では、ゴッドハンドと呼ばれる(自称?)人がもてはやされますが、つらい症状を緩和するだけなら、ある意味誰でもできるといえます。

本当の意味で腕のいいセラピストとは、つらい症状の原因を正確に把握して、その人その人にあった適切な処置ができる人である、そう私は思います。そして、そう思っていただくために、セラピストの道を前へ前へと進んでまいります。

体操・ストレッチ・温熱療法など血行改善により肩こり・首こりが解消されない理由 (医学的根拠に基づき神経生理学の観点から解説)

以下の記事では医学的根拠に基づき肩こり・首こりについて解説しています。

鍼灸・マッサージの裏事情(1) 硬ければ重症か?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説

鍼灸・マッサージの裏事情(2) 首ポキ解消法の真相 脳血管障害・死亡率との関連性

鍼灸・マッサージの裏事情(3) 血行改善により肩こり・首こりが解消されない理由 (医学的根拠に基づき神経生理学の観点から解説)

 

 

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この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

肩こりラボが首肩だけでなく足・腰も対象にしている理由

肩こり専門院なのに、腰痛や足も?・・・疑問に思われて当然かもしれません。

幅広く患者さんを集めるため?

追加のオプションサービス?

専門外だけど一応できるという片手間の施術?

いいえ、違います!!

実は、首も肩も腰も足も全て専門分野であり得意分野なのです。

なぜ足腰が得意分野なのか?その理由を説明します。

肩や首のコリの原因を見極めるには体全体を診る必要がある

肩こり・首こりの原因は多岐にわたります。多岐にわたるのですが、以下の3つに大きく分けることができます。

  1. 解剖学的な問題

    筋肉バランス、筋力バランス、姿勢など

  2. 神経学的な問題

    自律神経(交感神経と副交感神経のバランス)、ホルモンバランスなど

  3. 心理学的な問題

    精神的な負荷、ストレスなど

この3つの原因が、肩こり・首こりを引き起こします。

ただし、この3つの原因のどれか1つが原因ではないのです。

程度の差はありますが、3つの原因すべてが複雑に絡み合っています。

現代社会はストレス社会です。どうしても逃れることはできないでしょう。そんなストレスが原因で、しかも複雑に絡み合っていたらどうしようもない、そう思ってしまうはずです。

安心してください。万人に共通している大きな要因があります。

解剖学的な問題」です。

どんな複雑な問題でも、何か一つのことがきっかけで大きく前進することがあります。

確実に解くことのできる問題、少なくとも正解がある問題、それが解剖学的な問題です。

解剖学的な問題の答えを予想するのがカウンセリング・検査です。

その答え合わせが施術・処置です。

採点するのは「あなた」です。

肩こりの根本的解消とは、良い姿勢を保って生活できる身体ができた時

どんな施術にも必ず意味と目的がございます。

施術の目的は、本来は一つです。

施術する側の目的と、受ける側の目的が異なっていることが多いのです。

需要と供給と同じで、施術する側と受ける側の意思が合致していなければなりません。合致してはじめて本来のひとつの目的となります。

肩こり・首こりの根本的な解消を検討される方は、とにかくもうこれ以上首・肩の不調で悩まされたくないからなんとかしたい人もいれば、とにかく今現在のツライ症状だけでもなんとかしてほしい、という人もいます。

治療にはゴールがあるが、ゴールは1つではない。

治療にはゴールがあります。

もちろん根治がひとつのゴールではありますが、今つらい症状がおさまった、これもゴールです。

今現在の症状を抑える、発症しても症状の度合いを抑える・発症の頻度を減らしていく、いつのまにか気にならなくなる・・・ここまでいけば根治です。

つまり、根治という最終目標のまえに、目標を定めてクリアしていく必要があります。

根本的に改善するために必要となるのは、良い姿勢を保持できる体を造ることです。

良い姿勢というと立ち姿をイメージされるでしょう。静止している不動の姿勢にかぎりません。姿勢は、頭部,体幹、四肢の相対的位置関係を意味します。カラダは動くものであり、動かすものです。静止しているよりも動いている時間のが多いわけです。つまり静的姿勢だけでなくスポーツなどによる動的姿勢も含めなければいけません。つまり良い姿勢を体得できれば、良い動きにつながります。

肩こり・首こりを根本的に改善する唯一の方法=合理的に動く体造りなのです。

良い姿勢ってそもそもどんな姿勢?

姿勢に着目する場合、全身を考えなければなりません。

不適切な足の使い方をしているがために不合理な姿勢となっていることもあります。ほんのちょっと足の使い方を変えるだけで、ほんの数ミリ重心を動かすだけで、上部に存在する首肩にかかる負担が大幅に減ることがしばしばあります。

腰・骨盤の筋肉バランスが乱れているがために良い姿勢がとれないこともあります。(単に“ゆがみ“が原因ではありません。ゆがみを原因とするのは安直すぎます。)

写真を撮ると傾いていたり、気がつくと捻れていたり、猫背となってしまうということは筋力バランスの乱れが原因かもしれません。これは一概に筋力低下とは言えず、あくまで前後・左右・対称的なバランスの乱れです。

これらは人体という不安定な構造物を支えるため必要な筋力不足と筋の過緊張、合理的な使い方が原因です。

背筋を伸ばした姿勢は美しい姿勢だが、良い姿勢ではない

良い姿勢というのは、決して背筋をピンと伸ばして力んだ姿勢ではありません。バレエダンサーの姿勢でもありません。良い姿勢とは、最小筋力で体重を能動的に支えることができる姿勢です。つまり、最も疲れない姿勢です。

ここで勘違いされる方が多いのですが、だら〜っと力みのない脱力姿勢ではありません。そのような姿勢は確かに楽です。ただし楽なのは、ごくごく短い間だけです。楽な姿勢を維持しようとすると骨に負荷がかかります。骨への負荷が長期にわたると、変形が生じます。これが加齢によって骨が変形する理由です。

骨が変形してしまうと、もはや能動的な姿勢がとれなくなります。そのため首・肩・腰に慢性的に負荷がかかり続けます。

加齢による骨の変形と申し上げましたが、生活環境の変化により、年配の方だけの問題ではないのです。

スマホの使いすぎによるストレートネック(スマホ首)も、骨の変形です。

骨の変形は大げさなことではなく、実はとても身近な問題になってしまっています。

良い姿勢のポイントは腰と足

肩こり治療の目的が良い姿勢を保つための体づくりであるわけですから、肩こり・首こりに関係がないように思える腰や足は、実は非常に重要な意味があるのです。

脳科学上、人間はつらいと感じる部分は基本一か所なので、本当は腰が悪くても自覚がなくて肩こり・首こりの症状が治ることで、腰に症状を感じるようになってしまうこともめずらしいことではありません。足の痛みをかばうことで姿勢が乱れて、結果的に首・肩・腰に負担が蓄積してしまうこともあります。

肩こり・首こりを根本的に改善するためには、体全体、つまり腰や足の十分な知識と技術が必要不可欠です。

肩こり・首こり専門の治療院が腰痛や足の治療を行うのは必要だからではなく必然なのです。

katakori LABSが腰や足の治療を行う理由

最後に蛇を例にお話しします。

蛇は頭から尻尾の先まで骨があります。

シンプルに全部繋がっていますので、尻尾に問題があれば、頭の方にも影響が出ることは容易に想像できるでしょう。

人間の体も同じです。少なくとも人間の背骨は頭蓋骨から骨盤まで繋がっています。首や肩の辛い症状の原因が実は腰だった!!なんてことは、珍しいことでもなんでもありません。

人間は2足歩行しますから、蛇と違って、足は足で独立しているとはいえ、骨格としては繋がっています。形状は違いますが、蛇の頭と尻尾と同じように、人間の足と腰は密接な関係にあるのです。

足や腰に問題が生じますと、日常生活に大きな影響がでます。なんとかしないと困るのでほとんどの人は病院にいくと思います。しかし首や肩の場合は、コリを感じるくらいでしたら、日常生活に支障がでることは少ないでしょう。ですから、そのまま放置し続けることで治療が必要なくらい悪化してしまう人が多いのです。

最終的かつもっとも代表的な症状、そしてわかりやすい言葉が「肩こり」なので、当院は「肩こりラボ」という名前になりました。

肩こりラボ(katakori LABS)は、全身の筋肉の問題に由来するあらゆる症状に対して物理療法を行う鍼灸・マッサージ院なのです。本当は、筋肉ラボが正しいのかもしれませんが、筋肉ラボでしたら確実にスポーツジムと勘違いされますよね。

 

 

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この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー