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肩こりの原因(1)|肩こりや首こりの原因は血行不良や筋膜の癒着だけではありません。凝りでつらい部分は何がどうなっているのか?

はじめに

肩こりは大きく分けて、症候性肩こりと本態性肩こりの二つに分けられます。

 

症候性肩こりは、病気が元になって生じている肩こりで、この場合は医療機関にて病気の治療が必要となります。例えば、風邪の諸症状としての肩こり、メニエール病に伴う肩こり、肩関節周囲炎に伴う肩こり、うつ病に伴う肩こり、心臓病に伴う肩こり、などがあげられます。しばしば、テレビなどメディアで「肩こりだと思ったら怖い病気だった」などと報道されるのがこれにあたります。

 

一方、病気が元になって生じていないもの、言い換えれば症候性肩こり以外の肩こりを本態性肩こりといいます。本態性肩こりとは、症状は存在するけれど、現代医学的にはその原因が明らかでない肩こりのことを指します。世の中の多くの方が想像し、ご自覚される肩こりは、この本態性肩こりとなります。

 

本稿では、多くの方が該当する本態性肩こりの原因について解説していきます。

 

さて、本態性肩こりの原因は医学的に明らかとされていないのに、なぜ解説できるのかという矛盾を感じる方もいるかもしれません。

 

医学的に原因と言い切れるものは、因果関係が明確となった場合です。ですが、本態性肩こりを考えるうえで非常に難しいのは、ひとつの事象と症状発生の因果関係を見出すことが困難であるという点です。

 

筆者が考察する、本態性肩こりの原因を特定することが難しい理由は以下の4つです。

  1. 痛覚の閾値に個人差があるように、症状を自覚するにも個人差がある
  2. 症状は運動器(主に筋肉)にでるが、発症や症状の増減には自律神経や精神の影響を受ける
  3. 原因は想定できるが、定量化し難いため因果関係を見出すのが困難
  4. 複数ある原因が単一または複数絡み合うことで症状がでるが、この組み合わせに個人差がある

 

ご説明します。

 

たとえば、不良姿勢、柔軟性低下、筋力不足、運動不足などですと肩こりになりやすいイメージがあると思いますが、皆がそうであるかというとそうではありません。

おそらく皆さんの身の回りにも、姿勢が悪くても肩こりを感じない、体が硬くても肩こりを感じない、筋力がなくても肩こりを感じない、運動不足でも肩こりを感じないという方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

肩こりの原因を考える上で、まず一番の難しい点が、姿勢が悪い人が全員肩こりであるかというとそうではないという点です。柔軟性や筋力、運動量なども同様です。

例えばインフルエンザの原因は、インフルエンザウイルスに感染することです。これは因果関係がはっきりしていますが、本態性肩こりの場合は異なります。

症状が発生するわけですので、何らかの原因はあるはずなのですが、それでも因果関係が見出せない理由としてまずあげられるのは、痛みや凝りといった症状はあくまで主観であるという点です。

 

凝りも広い意味では痛みです。痛みに強い、弱いなどといわれるように、痛覚の自覚には個人差があります。貴方が痛いと感じる刺激と貴方の友人が痛いと感じる刺激は異なります。ですので、丸まった姿勢でPC作業をしていて、首肩の筋肉に負担がかかっているのは明白なのにも関わらず、症状の自覚に個人差があるのは、自覚症状の認知の仕方に個人差があるからなのです。

 

また、痛みの認知の仕方も、一個人のなかでも日々変動する様々な要素が関与しています。たとえば、自律神経やホルモンのバランス、精神的ストレス、気象条件 等、様々なことが関わり合い痛みの感じ方がかわってきます。

このように、医学的に因果関係がはっきりとした原因が見出せない理由として、まずは凝りという症状の定量化が難しいということと、認知の仕方が個人で異なるだけでなく、個人単位でも日々異なるという不確定要素が多分にあるからだと考えられます。

 

さらに、頚部の筋肉に負担をかけると考える日常生活動作、姿勢、柔軟性、筋力といった要素も、定量化がとても難しいです。

 

本態性肩こりは、定量化し難い様々な要素が関与しあって、症状が生じているため、医学的には原因が明らかとされていないとされているのです。

 

 

とはいえ、上記でも述べましたが、症状が発生するわけですので、何からの原因があるはずです。

 

 

ここからは、複数の文献や研究を元に、筆者の考察も交えまして、本態性肩こりの原因について解説していきます。尚、以下より本態性肩こりを「肩こり」と表記していきます。

 

 

肩こりの原因を考える上で大切なこと

 

はじめに、何度も繰り返しお伝えしていることですが、肩こりの原因を考える上でとても大切なことなのでここでもお話ししますね。

 

「凝り」はあくまでも「結果」です。

 

 

ですので、肩こりの原因は、二段階で考えると理解しやすいです。

 

二段階とは、

 

①症状を出している原因(凝り=結果の部分)

②「症状を出している原因」の原因

 

です。

 

この「結果=凝り」の部分はどういった状態になっているのか?これを結果因子といいます。

そして、この「結果=凝り」はなぜ生じるのか?これを原因因子といいます。

 

 

このように結果因子と原因因子に分けて考えることで、肩こりの原因が見えてきます。

 

 

 

結果因子とは

 

まずは①の「症状を出している原因」、結果因子から解説します。

 

日本整形外科学会によると、肩こりで凝り固まって症状を出す筋肉は、僧帽筋を中心に、頭半棘筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、棘上筋、菱形筋が例としてあげられています。

 

では、首や肩が凝りでつらいという時には、これらの筋肉にいったいどういったことが起こっているのでしょうか。

 

この症状を出している原因(症状の元)は大きく4段階あります。

 

 

一般的に、1)から4)になるにつれて、重症度が高い状態といえますが、一個人においてもそれぞれが混在しているケースが少なくありません。

 

1) 代謝の異常・疲労

代表的なものは疲労や循環障害(血行不良)です。筋肉を酷使することで、その筋肉が疲労することで生じる違和感や痛みです。

また、疲労した筋肉は縮こまって硬くなるので、血流を阻害し、血行不良を招きます。血行が滞ることでも痛みや違和感が出ますが、血流が滞った状態ですと、疲労も回復しにくくなるので、症状が持続してしまいやすくなります。

ただ、筋肉疲労やそれに伴って血行不良が生じることは、生体として異常ではありません。重い荷物をもったら腕の筋肉がパンパンになって痛くなる、長い階段を登ったら脚の筋肉がパンパンになって痛くなる、ということはご経験があるかと思いますが、これは異常はことではありませんね。

このように代謝障害によって症状が出現している肩こりの場合は、休息をとったり、患部の血行を改善することで解消されます。

ですので、日々の生活の中で「肩がこったなぁ」と感じても、入浴して温めたり、良く寝たら翌日には解消されているという方は、首肩の筋肉が疲労して代謝障害を起こしている状態かもしれません。

この状態の肩こりは、セルフケアでも十分に解消や改善が可能です。肩こりでも比較的軽症なものといえます。

 

 

2) 神経生理学的な異常

 

スパズム(筋緊張亢進状態)

怪我をしたり、痛みがあると、人は無意識に庇ったり動かさないようにします。痛みのある箇所を庇うというのは、その部位を防御するという意味で人に本来備わっている正常な反応です。

その一環として、神経生理学な反応として「スパズム」というものがあります。スパズムとは、傷めたり、炎症が生じた箇所の周囲の筋肉が、意思とは関係なく緊張が高まり、患部を守ろうとする防御機能です。

ですので、痛みが生じたことの反応としてスパズム(筋緊張の亢進)が生じることは正常です。一旦生じたスパズムも、スパズムを引き起こした痛みや炎症が取り除かれたら、自然とスパズムも解消されるというのが正しい流れとなります。

ところが、炎症や痛みが長引くと、スパズム(筋緊張亢進)状態も長引きます。そうなると、筋緊張が高まった状態が続くわけなので、循環障害が生じ、起因となった痛みとは別に、循環障害による痛みが生じてしまいます。

こうなるとスパズムを引き起こした元々の問題が解決しても、循環障害による痛みや違和感が生じることになってしまいます。このように、スパズムは、生じること自体は患部を守り痛みを緩和するための人体に備わった正しい反応ではありますが、スパズムが長期化することで今度は痛みを出す元になってしまうのです。

「痛みが痛みを呼ぶ」という状態になって負のスパイラルに陥ってしまうのは、スパズムという反応が関係しています。

スパズムを解消するためには、まずは早期に起因となった元の痛みを緩和することが大切となります。ですので、対症療法も重要です。

また、スパズムは、筋肉に命令をする神経の興奮によって生じるので、スパズムの解消には、神経の興奮をおさえるための対処が必要です。神経の興奮をおさえるための対処として、誰でもすぐにできることは、温めたりさすったりすることです。アイシングなどの寒冷療法が効果的な場合もあります。

 

 

3) 筋膜の異常

筋肉の筋膜(Myofascia)は物理的に筋肉を保護するためでなく、筋膜内には神経が密に分布しており、感覚のレセプター(受容器)がたくさんあることがわかってきています。そのため、筋膜の異常によって、痛みやしびれ、違和感などが生じるということがわかってきています。

 

筋膜が異常を起こして痛みが生じるものを、筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせい とうつうしょうこうぐん、Myofascial Pain Syndrome:MPS)と呼ばれています。

 

肩こりで、過緊張が起って症状を出す筋肉は、僧帽筋を中心に、頭半棘筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、棘上筋、菱形筋などがありますが、これらの筋膜が異常をおこして症状が出ている場合もあります。

 

筋膜の異常は大きく分けて三つあります。

1, 高密度化(筋膜のシワ)

「筋膜のシワ」とよばれるものです。血行不良の状態が続くことで、筋膜への循環不全が長期化することで、筋膜の水分量が低下してしまっている状態です。構造自体がかわってしまっているわけではないので、改善のためには、患部の血行を増加させて、筋膜への水分補充をすることが必要です。

 

2,滑走性低下(癒着)

筋肉は筋膜で覆われていますので、隣接する筋肉は筋膜で接しています。この筋膜間には潤滑物質であるヒアルロン酸があります。不動の状態(動かさない状態)が続いたり、血行不良が続くことで、ヒアルロン酸の水分量が低下し、隣接する筋膜同士がくっついて動かなくなってしまいます。このように動きが悪い状態(滑走不全)がさらに長期化することで、癒着して完全に動かなくなっていってしまいます。動いていた箇所が動かなくなるわけですから、関節可動域や動作に変化が生じるだけでなく、循環不全にも拍車がかかります。筋膜の滑走不全を改善させるには、筋膜間のヒアルロン酸に水分を与えることが必要です。高密度化を改善させるのと同様、構造自体がかわってしまっているわけではないので、患部の血行改善が必要です。

 

3,線維化

筋膜に対して組織の強度を超える物理的な負担がかかると傷や炎症が生じます。傷や炎症が同様の場所に反復継続的に生じたり、大きな損傷が生じると、きちんと元通りに組織の修復が行われず、「かさぶた」のような状態で治癒が終わってしまいます。この「かさぶた」の様なものは瘢痕組織といって、筋膜とは別に組織になってしまいます。このように、線維化は、スポット的に筋膜が筋膜ではない組織になってしまうことをいいます。線維化してしまった筋膜は、血行を改善しても基本的には元にはもどりません。ですので、この筋膜の線維化は、正しくは機能的変化ではなく、下記の構造的変化に該当しますが、筋膜の異常の一環として、こちらに記載させていただきました。

 

筋膜について詳しくはこちらにまとめましたので併せてご一読ください。

 

 

 

4) 構造的変化

代謝障害や神経生理学的な異常はあくまでも機能の変化でしたので解剖学的な組織の性質や形状が変わってしまうということはありませんでした。一方、構造的変化とは、文字通り構造が変わってしまうので、異常な組織に置き換わってしまう、あるいは異常な組織ができてしまうということです。

 

1,モヤモヤ血管

2012年に奥野祐次医師によって発見された病態です。

慢性炎症部位・慢性疼痛部位には創傷治癒過程で生じた毛細血管が残存増殖して存在していて、この部位を血管造影で観察するモヤモヤした状態に見えることから「モヤモヤ血管」と名づけられました。モヤモヤ血管とは、異常な毛細血管の増殖です。創傷治癒の過程で毛細血管が増殖することは正常な反応なのですが、治癒が長引いたり、反復して損傷することで、本来治癒したら自然と消えるはずの増殖した毛細血管が残存してしまうのです。血管は神経とセットで存在するため、異常毛細血管に血流があるとポリモーダル受容器を刺激して疼痛が発生するというメカニズムです。

モヤモヤ血管について詳しくはこちらにまとめましたので併せてご一読ください。

 

2,硬結(こうけつ)

しばしば肩こりで肩の部分に触知できるシコリの部分のことを硬結といいます。

この硬結は、1843年ドイツの内科医Robert Froriep氏がリウマチ患者の筋肉中に索状に触れる圧痛部位を発見し、結合組織の沈着が原因であることを報告したことがはじまりです。その後、線維性結合組織炎、筋スパズム、酸素欠乏、炎症などの仮説が提唱されてきました。

 

硬結を実際に触診してみると、玉状のものだけでなく、索状だったり扁平な形状をしていることもあり、形状は様々です。

 

近年の病理学研究から、硬結の部位は、上記でご説明しました筋膜の線維化だけでなく、様々な変化が生じていることがわかってきました。

硬結部位は以下の状態になっています。

◆ 代謝異常
→浮腫、エネルギー供給と酸素流入の低下、pH低下

◆炎症反応
→肥満細胞増加(ヒスタミン放出)、血小板増加(セロトニン放出)

◆細胞の変性
→核の増加、ミトコンドリアの異常(赤色ぼろ線維=Regged Red Fiber)、筋原線維の異常(虫食い線維=Moth-Eaten Fiber=収縮フィラメントの溶解とZバンドの破壊)、プロテオグリカン増殖

 

硬結ができる機序はこのように考えられています。

筋損傷・過剰な筋疲労 → 細胞膜・筋小胞体の破壊

カルシウムイオンの過剰流入 → 局所的な筋収縮亢進

筋弛緩のためにATPが必要となり代謝が亢進するが、過剰な筋収縮が局所循環障害を招き酸素欠乏とエネルギー不足を招く

筋収縮状態が恒常的となる

 

硬結部位は、代謝異常と炎症反応という機能上の変化だけでなく、筋細胞自体の構造が変化してしまっているのです。つまり、硬結は、いくら温めたり、ストレッチや揉みほぐしを行っても、解消はされないのです。

ですので、硬結の状態になってしまっている場合、代謝異常という機能上に問題だけでなく、細胞自体が変化してしまっているため、組織を破壊し、再生(リモデリング)を促す対処が必要となります。

 

 

肩こり・首こりの根本的な改善には結果因子だけでなく原因因子を考えることが大切

 

さて、ここまでは凝りの症状を生む元(結果因子)、つまり凝り固まってしまっている筋肉そのものにどのような変化が生じてしまっているかについて解説しました。

 

「こり」を感じているところ(筋肉)をほぐせば、一時的に解消はされますように、結果因子に対して対処を行えば、ひとまず症状は解消します。これを対症療法といいます。

 

たとえば、普通の本態性肩こりならば、僧帽筋の部分がつらいと感じるならば、僧帽筋をほぐせばラクになります。

 

 

ところが、みなさん誰もがご存知のとおり、ほとんどの場合は時間の経過と共に再び症状が生じてきます。また、凝る→ほぐす→凝るの繰り返しによって、慢性化していってもしまいます。

 

「凝ったらほぐす」を繰り返さないためには、そもそもなぜ凝るのか?を知る必要があります。慢性的な肩こりを治すためには、まず原因を知る、その原因を解決できれば根本的な改善につながります。

 

 

 

次に、結果である「凝り」がなぜ生じるのかの部分、原因因子について解説します。原因因子とは、上記でご説明した結果因子の原因です。

 

 

肩こりの原因因子は、様々ありますが、上記でご説明してきた結果因子が生じさせるのは、首や肩の筋肉・筋膜に反復継続的な物理的な負荷が加わることです。

 

これに加えて、環境や何らかの刺激により自律神経のバランスや精神が乱れることで過緊張が生じたり、痛みを感じやすくなることで、症状を自覚するようになります。

 

 

 

次回は、肩こりの根本原因(原因因子)について解説します。

 

 

参考文献

 

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この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

20年来の慢性的な首こりと、凝りに伴う頭痛がでゴールに至ったケース|ケースレポート

概要

整体とパーソナルトレーニングにより、一時のひどい状態からは改善したが、頭痛を伴う首こりによって仕事や日常生活に支障をきたしてしまっている。

O様 / 東京都在住 /  52歳 / 男性 / 会社員(管理職)

症状

・慢性的な首こり
・頭痛

状態

20年くらい前から肩こりと首こりで、様々な施術を受けてきた。

様々受けたなかで、肩こりや首こりを専門とする整体と、整体とは別のトレーナーによるパーソナルトレーニングに行き着き、この二つを併せて行うことで、かなり改善した(NRS 10→5)。
※NRS:Numerical Rating Scale 痛みを「0:痛みなし」から「10:これ以上ない痛み」までの11段階に分け、痛みの程度を数字で表す評価方法。

今は、もうほとんど肩こりの自覚はなく、姿勢も改善したという自覚がある。

姿勢はいつも気をつけているし、ゴルフやウォーキングなどの運動、日々のストレッチも行っているため、日常生活は特に問題がないと自覚している。

最も悪かった時から比べると今は5割ほどの状態だが、首こりだけがどうしても改善しない。肩こりは無いが、首がつらい。

首こりがひどい時は頭痛がして、仕事や日常生活に支障が出てしまう。頭痛は主に右の後頭部から頭頂部、両側のコメカミに生じる。

いくつかの病院で脳や首の検査を受けたが、異常は見つからず、おそらく凝りのせいだろうといわれた。整体で、強く押してもらうと気持ちが良いが、奥の芯の様な凝りが解消されず、改善には至らない。

見立て

【頭痛について】

まず、頭痛があるということで、命に影響を及ぼす疾患の可能性を考慮しなければならないが、当院初診一ヶ月前に、医療機関を受診して専門医の診察を受けて特に病気は無いといわれており、この間も症状に変化がないということから、再度の医療機関受診の必要性は低いと判断した。

触診により、首の後ろから横にかけての筋肉(僧帽筋、頭半棘筋、頭板状筋、後頭下筋群、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋)や、頭部の筋肉(側頭筋、前頭筋、後頭筋)が緊張していることがわかった。

頭の感覚を担う神経は、首に由来するものがある。大後頭神経、大耳介神経、小後頭神経である。これらは頚椎から出て、首の筋肉を貫いて、頭にむかうため、首こりによって頭痛になることがある。首こりによる大後頭神経痛はその一つである。

また、頭部にも筋肉(前頭筋、側頭筋、後頭筋)があるため、眼、顎、首の酷使によって、これらの頭の筋肉自体が硬くなり、頭痛を招くことがある。このような頭痛が緊張性頭痛である。

本件の場合は、複数の医療機関で検査を受けて、脳や首に異常がないことが確認されており、且つ、症状のある部位の筋緊張が見受けられたため、頭痛は首こりや頭こりによるもの(頭部の筋肉自体が緊張して生じる頭痛と首こりによって大後頭神経が圧迫されて生じる頭痛の混合)である可能性が高いと推測した。

【首こりを招く要因について】

診察時の様子からも、とても姿勢には気をつけていることがうかがえた。

ところが、背スジをピンと伸ばしてはいるが、顎を強く引きすぎてしまっていた。顎を引くと見た目は美しく見えるが、首は力んでしまう。喰いしばりも強くなり、側頭筋が緊張し、頭こりや顔こりにつながってしまう。

真っ直ぐに伸びることを強く意識しているため、見た目は美しいが、力みが強い姿勢といえる。この力みにより、首や頭の筋肉に負担がかかり、凝りが生じてしまっていると考えた。

仕事のストレスが多いことから、ストレスによる凝りもあると思われるが、肉体的な負担がかかっていることも明らかなので、まずは肉体的なものを改善させる方針とした。

治療

慢性的な首こりの解消のために、今まで強いマッサージを受けても解消しきれなかったため、初回から鍼治療を行った。

3D鍼で首の浅層から深層まで筋肉(僧帽筋、半棘筋、板状筋、後頭下筋群、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋)をひとつひとつほぐした。特に緊張が強い部分(半棘筋、板状筋)は、3D電気鍼(低周波鍼通電療法)も行った。

頭こりや顔こりは、マッサージで丁寧にほぐした。加えて、首と関連性が高い、背中や腰筋肉、肩甲骨の筋肉をマッサージで入念にほぐし、股関節と肩甲骨柔軟性改善のために、ストレッチを行った。

首こりは、1回の治療で、奥に芯となっているように感じていた慢性的な凝りが解消されたとのこと(NRS 1以下)。これにより、これまで週に2~3回は頭痛があったが、2回目の治療までの1週間で、一度も頭痛が出なかった。

首こりの解消も一時的なものではなく、一週間経過時点でも楽な状態が続いている。

 

首への負担を減らすために、原因療法として、同時に姿勢の改善も行った。

運動を行っているため、個々の筋力は十分だったので、それらを効率よく連動させる使い方の練習をした。姿勢の要点も確認して、首や肩に負担をかけない姿勢を体得していただいた。

一週間頻度で3回の治療で症状がほぼ無くなり、治療の内容を姿勢改善に重きをおくようシフトした。

4回目は2週間後。5回目は4週間後としたが、症状でつらくなることはなく、計5回の治療でゴールに至った。

コメント

本ケースの要点は二つあります。

一つ目は、対症療法。首こりや頭痛の元となっていた首の深層筋の凝りをくまなく解消することです。

O様は、これまでもマッサージ等の手技療法により、体の表面からは凝りのポイントに対処をしていました。実際、つらいところを強いマッサージでほぐしてもらうと、少しは楽になっていました。

ですが、いくら首を集中的にマッサージしても完全にすっきりすることはなく、翌日には戻ってしまう状態でした。一方、鍼治療も受けてはいましたが、翌日には戻ってしまうということに変わりはありませんでした。(鍼治療は、ツボや経絡に対して鍼をうつ東洋医学的な手法だったため、患部には直接的に刺してはいなかったとのことです。)

O様がこれまで受けてきた、凝りをほぐすための治療は、凝りのある皮膚上や、遠隔部から間接的には患部に対して対処をしていましたが、皮下にある「凝り」そのものに対して直接的なアプローチがなされていなかったということが想定されました。

そのため、対処を繰り返しても、凝りの「芯」が解消しきれず残ったままだったので、治療を受けてもすぐにぶり返してしまう状態だったのではないかと考えました。

全てではありませんが、慢性化している深層筋の凝りは、マッサージなどの体外からのアプローチでは解消しきれない場合が少なくありません。マッサージで解消しきれず慢性化してしまっている場合は、直接的にアプローチが可能な鍼が有効です。

鍼治療の技法は様々ありますが、このような筋肉性の場合は、ツボや経絡ではなく、対象となる筋肉に直接刺す手法が功を奏することが少なくありません。

O様の場合は、凝り固まってしまっている筋肉を鍼で直接ほぐしたところ、すぐに慢性的な状態から脱することができました。

O様の状態をひとことで言うと、ほぐし不足により慢性化してしまっていた、といえます。

 

二つめは、原因療法。首や肩に負担をかけない姿勢を理解し、体得することです。

実は、背筋をピンと伸ばして顎を引くという見た目が美しい姿勢と、首や肩に負担をかけない姿勢は、異なるものなのです。

O様は、姿勢を正そうと、とても意識をしてくださっていましたが、それが裏目に出てしまっていました。姿勢を正そうとすることで、かえって首を力ませてしまい、良かれと思って行っていたことが、かえって負担となってしまっていたのです。

O様は、日々運動をしていることから、柔軟性や筋力など基本的な要素が概ね良い状態でした。それ故に、簡単な補強運動と、体の使い方を練習し、姿勢のコツをお伝えすることで、すぐに正しい姿勢を身につけることができました

とはいえ、新しいことを体得するということはたいへんなことです。日常生活にて意識を続けてくださったことで、原因療法がスムーズに進み、早期にゴールに至ったと考えられます。

 

 

 

この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

肩こりや首こりを慢性化させないでほしい理由と慢性化させないための日常生活の工夫

テレワークで、慣れない環境や仕事に適していない環境で作業をしている方、オンラインでの仕事をはじめたことにより、以前よりもPC作業、タブレットやスマホでの作業が増えている、という方は少なくないでしょう。

 

新たな生活様式を構築してうまく折り合いをつけて生活できている方がいらっしゃる一方で、ストレスと運動不足が相まって、不調を自覚する方も少なくないと思います。

 

仕事や生活様式の変化によって、平時よりも首や肩への負担が増え、肩こりや首こりがつらくなってしまっているという方はいらっしゃるのではないでしょうか。

 

病気であれば、病院で診てもらうのが普通ですが、肩こりや首こりの場合はいかがでしょう。

 

全てではありませんが、多くの場合は、病院では異常がないとされる本態性肩こり(=病気が元ではない肩こり)ということで、おそらくほとんどの方は我慢か放置となってしまっているかもしれません。

 

また、平時であれば、つらくなったらマッサージに行ってほぐしていた方も、今は自粛しているという方もいらっしゃるかもしれません。

 

ほとんどの場合、肩こりや首こりは今すぐに命を脅かすものではありませんし、今すぐ生活に支障をきたすものでもありません。

 

ですが、はじめはたいしたことのなかった肩こりや首こりが慢性化、重症化することで思わぬ不調に陥ってしまうことがあります。

 

それを防ぐためには、軽症の時に、きちんと対処をすることです。

 

本格的な不調に陥る前に対処すれば、治療に費やさなけばならない経済的、時間的な負担軽減、情報収集のための労力軽減にもつながります。

 

何よりも、つらい思いをしなくて済みます。治療を受けなくてもよいのです。

 

ですので、是非この機会に、肩こり・首こりのイメージ、もっといえば筋肉や筋膜の過緊張という状態に対する考え方を改めていただきたいのです。

 

本記事では、主に以下2点をお伝えいたします。

1)肩こりや首こりを慢性化させないでいただきたい理由

2)慢性化・重症化を防ぐための2つのポイント

 

首や肩が凝ったな、重いな、なんだか不調だな・・・と思われた方は是非ご一読いただけましたら幸いです。

 

肩こりや首こりを慢性化させないでいただきたい理由

筋肉や筋膜の過緊張が生じるということ。これ自体は生理的な反応ですので、異常ではありません。

ではどのような状態が異常なのでしょうか。

まずはここからご説明いたします。

 

なにが正常で、なにが異常なのか?

誰でも筋肉を酷使すれば疲労します。

筋肉痛もおこります。

 

たとえば・・・

長い階段を登れば、太ももの筋肉に痛みが出るでしょう。

運動をすれば、翌日以降に筋肉痛が生じるでしょう。

長時間仕事をすれば、疲れるでしょう。

 

筋肉を酷使して疲労や筋肉痛が生じても、普通は、しばらく休めば元に戻ります。

負担を受けて、それに見合った疲労や痛みが一時的に出ることは、生きている限り自然なことです。

これは正常な状態です。

 

一方、いくら体を休めても、マッサージなどを受けても回復しない、あるいはすぐに再びつらくなってしまう場合があります。

また、たいして負担をかけていないにも関わらず、疲労や痛みが生じてしまうこともあります。

 

これは慢性化してしまっている状態です。

つまり、異常な状態といえます。

慢性化した肩こり・首こりは、カラダの自然治癒力が及ばない状態、つまり治療が必要といえます。

 

「治療って、そんな大げさな・・・」

「とにかく、ほぐしたいだけなんだけど」

「とりあえずラクになれればそれでいい」

 

肩こりや首こりで治療なんて・・・と敬遠されることでしょう。

 

でも、それは、おそらくそこまでヒドくない方だからこそです。

 

肩こりが慢性化すると病気のような症状を招く!?

肩こりを軽視してはいけない理由として一般的なのは、病気が元になっている肩こり(症候性肩こり)の可能性があり、命に関わる問題かもしれない、ということです。

 

これに関しては、メディアでも再三取り上げられていますし、ご存知の方も少なくないでしょう。

 

病気が元になっている肩こりがあるのは事実ではありますが、実際のところは、病気ではない肩こり(本態性肩こり)がほとんどなので実感がわかない方も多いと思います。

ですので、本記事では別角度からのお伝えをさせていただきます。

 

肩こりや首こりが慢性化すると、自律神経やメンタルにも影響が出てしまい、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。

 

首や肩の筋肉の過緊張が継続することで、筋肉の痛みや不快感以外の諸症状が生じてしまうのです。

 

凝りに伴う「凝り」以外の症状は、頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、倦怠感、胃腸の不具合、精神症状(気分の落ち込み、イライラ、不安感 等) などがしばしば見受けられますが、定型的なものではなく個々によって異なります。

 

一般的に、このような症状があれば、病院で治療を受けるのが普通でしょう。

 

ところが、凝りが元の諸症状であった場合、病院にいって診察を受けても決定的な診断がでない、あるいは原因がわからないということになります。

 

そして、凝りに伴う諸症状は、うつ病やパニック障害等の精神の不調や、自律神経失調症と呼ばれる状態と類似していることから、症状の対処として、精神安定剤や抗うつ剤などを処方されるということが少なくありません。

誤解しないで頂きたいこと。強調したいこと。

二つあります。

一つ目は、病院受診についてです。

凝りが元になった不調である可能性があったとしても、病院に行っても意味がないということではありません。まずは必ず病院に行きましょう。

病院に行き、診断名がつく病気が元で生じている症状なのかどうかをはじめに確認することが何よりも大切なのです。

安易に自己判断せず、医師の診察を受けるようにしてください。

病気ではないということが確認されて、はじめて凝りによる不調ではないかということになります。

二つ目は、服薬についてです。

薬を飲まないで健康であることに越したことはありませんし、生命を維持するうえに必要不可欠な場合を除き、極力長期的な服用は避けるべきだと考えておりますが、本記事は服薬を否定し、鍼灸マッサージ治療を推奨するということを目的としていません。

たとえば、侵害可塑性疼痛(nociplastic pain)のような慢性疼痛であれば、普通の消炎鎮痛剤(たとえばロキソンなどのNSAIDs)よりも、抗うつ剤の方が効果的であるといわれています。

この場合であれば、精神症状改善のためではなく、痛みの治療のために抗うつ剤を利用することになります。

痛みが痛みを呼ぶという観点からも、とにかく症状の緩和(鎮痛)を行うということは治療において意味のあることです。

 

ここでお伝えしたいのは、

  • 一般的に病気ではないとされる「肩こり」や「首こり」が元になり、様々な不調が引き起こされることがある
  • 肩こり首こりがひどくなり、日常生活に支障をきたし、社会生活が困難になってしまうことがある

この二つです。

 

何よりも、こういった実態があることを知っていただきたいのです。

 

病気ではないからといって、肩こりや首こりを軽視しないでいただきたいと切に願います。

 

もし周囲に「肩こりがつらい」とお悩み方がいらっしゃいましたら、「気のせいだ」「気持ちの持ちようだ」「病気ではないでしょ」と思わず、是非親身になってお考えいただけたらと思います。

 

お悩みの方は少なくありません

首や肩の凝りが元で、様々な不調が生じてしまう状態を「頚性神経筋症候群」や「首こり病」と呼ぶことがあります。

 

「症候群」や「病」とつきますが、これらは医学的に正式な病名ではありません。ですが、実態としてこのような症状で苦しんでいる方がいらっしゃるということを知っていただきたいのです。

なかには、凝りとそれに伴う諸症状により、仕事が手につかなくなり、休職を余儀なくされ、社会生活が送れなくなってしまっているという方もいらっしゃいます。

 

つらい。身動きがとれない。自覚的には異常事態なのに、医学的には病気ではないとされます。(現代医学が悪いわけではなく、現時点の医学ではカバーしていない範疇であるというだけです)

 

ある病院で目立った異常は無いとされたとしても、症状があって自覚的には具合が悪いわけなので、複数の病院で検査を受けます。

複数の病院で同様の結果を受け、病院ではなく、治療院や施術所に足を運ぶようになるというという方が少なくありません。

 

複数の病院受診、複数の治療院・施術所へ通院し、施術を受けるということは、多大な労力と時間、費用がかかります。

医療者・施術者に対して、自分の状態を説明すること、これ自体もとてもたいへんなことです。

 

首や肩こりが慢性化、重症化すると、社会生活に支障をきたしてしまうことがあるのです。

 

ですので、肩こりや首こりを慢性化させないでいただきたいのです。

 

当院にいらっしゃる、重度の首こり・肩こりを患った方々を治療するなかで切に感じること。

それは、最も重要なのは、頚性神経筋症候群や首こり病といわれるような、慢性的かつ病的な凝りの状態にならないようにするということ。

 

つまり予防です。

 

慢性化・重症化を防ぐための2つのポイント

肩こり・首こりの慢性化や重症化の予防において大切なのは以下2点です。

  1. 首や肩の疲労を蓄積させないこと
  2. 首や肩への負担を減らすこと

 

当然のことだと思われるかもしれませんが、生活のなかでいざ実行しようとすると、簡単ではありません。

そこで、肩こりラボでの実際の治療でも取り入れている肩こりラボが推奨する方法とポイントをご紹介させていただきます。

 

【1】首や肩の疲労を蓄積させないこと → こまめな解消

疲労解消法は様々ありますが、日頃デスクワークが多い方におきまして、特にオススメしたいのは、カラダを動かすことです。

 

ただ、闇雲に動かせば良いというわけではありません。

日頃、ジムでのトレーニングや、スポーツをされている方でも首肩こりにお悩みの方は少なくないように、「体を動かす」ことにおいては要点があります。

 

ポイントは3つです。

  1. つらい箇所(首や肩)のストレッチはやりすぎないこと。※傷めてしまうことがあるため
  2. 肩甲骨や体幹を動かすこと。※痛みを伴わなければ静的よりも動的ストレッチの方がオススメ
  3. 体の前面をほぐして、後ろに反れるようにすること。 ※特に背中と股関節が後ろに反れるようにする

 

具体的に「何をやるか」におきましては、既に何らかの対処を行っていて自分に適しているものがあるようでしたら是非それを継続し、その際に上記のポイントを意識してみてください。

 

もし効果的なストレッチ方法をお探しであれば、こちらのストレッチ(YouTubeにとびます)をお試しいただけたらと思います。

 

こちらのストレッチは、肩こりラボの治療でも、実際に行うことがある7つのストレッチをご紹介しています。

※動かすと痛い場合は、痛みや違和感が出ないもののみ行ってください。特に背骨や肩関節の問題のある方(ヘルニア、四十肩・五十肩、反復性肩関節脱臼 等)の方は決して無理のないようにしてください。

 

「肩こりはあるが、日時生活に支障あるわけではない」という方におきまして、症状解消と慢性化予防として、お役にたてることでしょう。多くの方は、このストレッチで、十分な緩和・メンテナンスになります。

 

【2】首や肩への負担を減らすこと → 根本改善に重要

現代の生活においてPCやスマホを使わないということは不可能なように、首や肩の負担を完全に無くすということは不可能です。

 

でも日常生活の中でちょっとした工夫をすることで、首や肩の負担を軽減させることはできます。

塵も積もれば山となるように、ちょっとした工夫でも、積み重ねれば大きな違いになります。

 

本稿では首や肩の負担を減らすためのスマートフォンとパソコンの操作方法をご紹介いたします。

 

実際の患者さんに行っていただき成果をあげている方法です。

 

PC操作の工夫

厚労省の VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン では、休憩の頻度や環境について等、心身の負担を減らすための指針が記載されています。

 

たとえば休憩ですが、ガイドラインによると、一連続作業時間は1時間を超えないようにして、連続作業と連続作業の間に10-15分の作業休止時間を設け、かつ一連続作業時間内において1-2回程度の小休止を設けることとされています。

 

これらがきちんと実行できれば、おそらく疲労は軽減されることでしょう。ですが、理想を現実は異なります。

ガイドラインに記載されていることをすべて実行することは実際は難しい・・・・という方は少なくないでしょう。

 

そこで、様々改善は必要だが、実際のはなかなか難しいという現状をふまえて、実践的な首や肩の負担を減らすための方法をご紹介します。

 

それは、PCのディスプレイの高さ調整です。

 

みなさんは、PCのディスプレイはどのような高さの設定するのが望ましいか、ご存知でしょうか。

 

上述した”厚労省の VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン”によると、「ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい。」とされています。

 

姿勢を正した姿勢で、ディスプレイの位置が下にありすぎると、背中は伸ばしていても、頭がうつむく形になってしまうと首には負担がかかってしまいます。

一方、ディスプレイの位置が高く、目線を上に向けすぎると眼精疲労の元になりますし、首を反らせて見上げる状態になってしまうと首にも負担になってしまうので位置が高すぎるのも要注意です。

 

体感として、適切な位置は、ディスプレイの大きさによっても異なりますので、厳格に画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにするのではなく、これを目安に、ご自身の首肩や眼の疲労感の感覚とみながら微調整していただけたらと思います。

 

ちょうどよい高さは個々によって異なりますので、中には、画面中の作業スペースが目線にあるのがちょうど良いという方もいらっしゃるかもしれません。

ですので、当院の患者さんには、眼の疲労感と首の緊張の程度みながら、なるべく下を向かないで無理なく作業ができる位置に調整していただくようにしています。

 

当記事をお読みの方も、ガイドラインを参考に、是非微調整をしてみていただけたらと思います。

 

 

さて、デスクトップPCは、ほとんどの場合、モニターの高さ調整が可能です。

調整の幅が少なくてちょうど良いところにできない場合は、モニターの下に台を置いたり、椅子の高さを調整してみましょう。

 

一方、ノートPCをメインに作業をする方モニターの高さ調整が困難に思えます。

「自分は普段ノートPCだから液晶画面を高くするのはムリ!」とあきらめないでくださいね。ノートPCの方が下を向く程度がおおきくなりますので、日頃ノートPCを使用するほど、トライしていただきたいのです。

 

ノートPCの方を使う方にお願いしているのは、外付けのキーボード、あるいは外付けモニターをご用意していただくことです。

ブランドに拘らなければ、安価なものが多数販売されています。モニターも、モバイルモニターとして持ち運び可能なものがあります。

 

外付けキーボードを使う場合は、ノートPCを台に載せて、画面を高くあげるようにしましょう。

画面の高さは、上記デスクトップの時と同様、画面内の頻繁に使用する作業領域が眼の高さとほぼ同じか、やや下になるようにします。

 

外付けのキーボードか、モニターどちらが良いのか、それぞれの作業環境によりますので、自らが実際に使える方をお選びいただけたらと思います。

ノートPCの場合、オフィスや出先など異なった環境で作業することもあると思いますので、場合によっては両方用意するのもありかと思います。

 

PC作業におきましては、極力下を向かないで作業できるよう環境を整えるということがポイントです。マッサージにいくのを一回我慢したとしても、中長期的には体には首や肩には良い影響がありますので、是非購入をご検討いただきたいと思います。

 

スマホ操作の工夫

まず一番のポイントはスマートフォンを保持する高さです。スマートフォンの操作で一番の問題は下を向き続けることにあります。

ですので、なるべく画面を目線の高さに持ち上げて保持し、操作をしてほしいのです。

 

例えば、スマートフォンを片手で持ち、持っている手の肘の下にもう一方の手を入れて支えると、目線の高さに保持することの負担は軽減できます。

電車での移動中など座位であれば、膝の上に荷物やクッションを置き、肘を荷物に乗せてスマートフォンを保持すると負担を軽減することができます。

 

次のポイントは目と画面の距離です。もちろん「目」に対しては近くない方がよいのですが、あくまでも姿勢の改善という点に限りますと、画面は遠いよりは近いほうがよいです。

 

なぜかというと、目線の高さで、画面を顔から遠くに離して操作するというのは、実際のところ困難です。

スマホを目線の高さに保ち、顔から話して操作しようとすると、テコの原理でスマホがとても重く感じますし、さらには上肢の重みも加わり、このような状態で操作は困難であることに気がつきます。

 

すると数分も経たずに、懐に端末を保持することになり、下を向く姿勢となってしまいます。首や肩の負担を減らすためには下をなるべく向かないようにすることが大切です。

眼の負担と首肩の負担を考慮しますと、スマホを長時間操作するということを見直し、別の方法に代用するか、使用時間を自己管理するのが良いかもしれませんね。

 

スマートフォンの機種選びも重要です。近年では液晶大画面化の傾向にありますが、視覚的に見やすい反面、片手で操作ができないことや重量があることによって丸まった姿勢で操作せざるを得ない状況にもなっています。

肩こりにお悩みの方は、軽量で、かつ片手で操作できる端末を選ぶことが望ましいといえます。

 

なお、この「首や肩に負担のかかりにくいスマートフォンの持ち方」は、読書や書類閲覧の際にも共通していえることですので是非生活に取り入れていただけましたらと思います。

 

治療を検討する目安

今現在、さほどひどくない方は、上述した「重症化予防のポイント」にご留意して生活いただき、症状がつらくない状態を維持できるようであれば治療は必要ありません。

日常生活のなかで、首や肩の負担を減らすことを意識して生活をしてください。

 

一方、もし既に首肩こりがひどくつらい状態であれば、改善のために、適切な対処が必要です。

まずは、ご自身にとって、治療が必要か不要か、それを判断していただきたいのです。

 

首肩がガチガチでひどくつらい方で、治療が必要かどうかは、まず、セルフケア動画で紹介したストレッチ(YouTubeにとびます)ができるかどうか? そして、楽になる実感があるかどうか? これで見極めてください。

 

今現在、ひどくつらい状態だとしても、このセルフケアを日常的に行なうことで調子が良くなれば治療の必要はございません。

 

つまり、動画でご紹介しているストレッチが効くなら、あなたの肩こりや首こりは治療の必要がない状態いうことです。

このストレッチで効果が感じられない場合は、肩こり・首こりの治療を受けることをご検討いただけたらと思います。

 

治療を検討するにあたっては、治療院、マッサージ、整体に行く前に、まずは医療機関の受診をするようにしてください

 

医療機関を受診し、病気が元で凝りが生じているようであれば、診断が出て、病院で治療が行われます。

診断が出ず、病院で治療が必要な状態でない場合は、治療院の受診をご検討ください。

 

肩こり・首こりの根本的な改善を目指すための治療院を探すには、こちらの記事【治療院の選び方】を参考にしていただけたらと思います。

 

 

【 参考 】

Pain Relief ー痛みと鎮痛の基礎知識

Recently introduced definition of “nociplastic pain” by the International Association for the Study of Pain needs better formulation

Wikipedia(頚性神経筋症候群)

厚生労働省労働基準局/VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて

 

 

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この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー