肩こりの原因(2)|どうして肩こり・首こりが発生するの? 凝りが発生する根本的な原因と仕組み

肩こりとは肩の辺りがこわばって重苦しく感じられる自覚症状のことです。以前は年齢が高くなると発生しやすくなるとされていましたが、近年では若年層にも肩こりだという方が増えました。

医学的には「病気ではない」とされていますが、現代人にとって無視できない悩みの1つであり、慢性的につらい不快な症状を抱えている人も少なくありません。

放置していると慢性化し、頭痛や吐き気、耳鳴り、めまい、胃腸の不調、全身倦怠感、自律神経失調症様症状などといった、まるで病気なのではないかと思われるような症状が肩こりに伴って生じてしまう可能性もありますから、「時間が経てば治るかも?」「これぐらいの痛みだったらまだ耐えられるから……」等と我慢せずに、なるべく早い段階で対処するのがよいでしょう。

肩こりには、慢性化しやすいという特徴があります。慢性化すると、マッサージや湿布で一時的に痛みが解消したとしても、すぐにつらい症状が再発してしまうという繰り返しになりやすいです。

肩こりを解消するには、その原因を見つけ出し根本的に対処する必要があります。肩こりを解消したいなら、その原因を把握して対策を行わなければなりません。単純にマッサージを受けただけでは、すぐに再発してしまうことが多いため注意が必要です。

 

肩こりの原因を知ろう

それでは肩こりが発生する原因について考えていきましょう。

 

肩こりの原因は人それぞれですが、中でも多いのが

・運動不足からくる肩こり
・同じ姿勢を長い時間続けたことからくる肩こり
・目の疲れ(眼精疲労)からくる肩こり
・ストレスからくる肩こり

ではないでしょうか。

 

また人によっては原因が1つに絞り切れないことも。何らかの要因で発生した肩こりが別の要因によって悪化するケースも珍しくはありません。複数の要因が重なっている場合、1つを解消しただけでは根本的な対処にならず、改善に繋がらない場合もあります。

まずはご自身の肩こりが何によって発生しているのかを考えてみることが、解消への第一歩なのです。

 

 

運動不足からくる肩こり

体が運動不足状態になると、筋力が低下することにより、筋肉自体の緊張やこわばりが起きます。筋肉の緊張状態が続くと、疲れによって疲労物質が蓄積していきます。これにより筋肉が硬くなってしまうだけでなく、蓄積した疲労物質が血管を圧迫することから末梢神経が傷ついたり、血液の流れが悪くなったりします。このような状況が肩こりに繋がりやすいのです。

そして血行が良くない状態だと栄養分や新鮮な酸素が体全体に届きにくくなります。これも様々な体調不良を引き起こす可能性があるでしょう。

 

肩こりを解消するためには、筋肉が硬くならないよう適度に動かすことが大切です。筋肉が柔軟になると、血液を送るポンプになっている血流も改善されやすくなります。

 

既に凝り固まった筋肉も動かすことで症状を改善できる場合があります。下記のおすすめの運動をぜひ実践してみてください。

・散歩やウォーキング(手を大きく振って行うとより良い効果が期待できます)
・屈伸運動
(膝を伸ばすと同時に、両手を横、前、上に伸ばすとなお良いでしょう)
・肩を上下に動かす運動
・肩甲骨を回す運動
・ラジオ体操
・ストレッチ

 

少しの運動でも筋肉は変わっていくので、定期的に続けていくことが大事です。ただし症状が重い場合や状態によっては、無理に動かすことで悪化してしまう可能性もあります。特にもし不自然な痛みや耐えられないほどのつらさを感じた場合、速やかに医療機関へ相談することをお勧めします。

 

また筋肉の疲労解消のために良いとされることの1つがビタミンをはじめとする栄養をとること。特にビタミンEには血流を促す働きがあるため肩のこりを改善に繋げられるかもしれません。ビタミンEは、かぼちゃ、うなぎ、アーモンド等に多く含まれています。

同時にとっていきたいのがクエン酸。筋肉の疲れを解消する効果が期待できます。クエン酸はみかん等の柑橘類、梅干しに含まれています。果物は特に他のビタミンも摂取できる優れものなので積極的に食べていただきたいですね。

 

 

同じ姿勢を続けたことからくる肩こり

筋肉が集約している首と肩。普通に立っているだけでも腕と重い頭を支える必要があり、かかる負荷はかなりのものです。さらに同じ姿勢を続けることで首から肩の筋肉への負荷が増加します。この疲労が積み重なり、溜まることで肩こりを引き起こす可能性があります。

他に「バッグを常に左の肩にかける」「足を組む」等負荷が偏った姿勢、筋肉が疲労しやすい緊張状態を長く続けると同じような症状を引き起こすことがあります。

 

このタイプの肩こりの予防策は、何と言ってもこまめに体を動かし、筋肉への無理な負荷を軽減すること。例えば以下のような動きを取り入れてみましょう。

・同じ姿勢で長時間座っている場合、意識的に立ち上がってみる
・いつも同じ方向に鞄をかけている場合、鞄をかける方向を変えてみる
・いつも片側の歯だけを使って噛んでいる場合、時々普段とは逆の歯で噛んでみる

 

少しの意識で筋肉への負荷は変わります。

まずは自分の偏りを知り、無理な負荷を減らすことを念頭に置きながら生活してみてはいかがでしょうか。

 

 

目の疲れ(眼精疲労)からくる肩こり

目を酷使すると疲れから「目が痛い」「乾きを感じる」「焦点を合わせるのが難しい」等の症状が現れます。これが眼精疲労です。そして眼精疲労からくる症状は多岐に渡り、その1つが肩こりとなります。

目の疲れと肩こりは、共に自律神経系の状態と密接に関係しています。自律神経系は人の体内の環境を整える神経で、血管や内臓等の働きを制御しています。人を緊張させる交感神経と、安心させる副交感神経に分けることができるのですが、このバランスが崩れることによって体調に影響が出やすくなります。

同じ神経系と関係している症状ということもあり、眼精疲労になると肩こりを引き起こしやすくなります。またストレスで自律神経系が乱れることで、眼精疲労や肩こり等の症状を共に招く可能性もあるでしょう。

 

目の疲れの原因としては、「度が合わないメガネをかけ続ける」「スマホやパソコンを長時間見続ける」「文字を目で追う」「休む時間を取ることができない」等があります。これが疲れとなって目に定着した結果、肩こりにまで響いてしまうことがあるのです。肩こりを治すためにも、まずは目を労わりましょう。

対策方法としては、このようなものが挙げられます。

・睡眠時、充分にリラックスする状態を作り出すこと
・目薬をさす
・数分間目を閉じて休ませる
・こめかみを優しくマッサージする
・遠くを眺める

空き時間に簡単にできるものもあるので、ぜひお試しください。

 

 

ストレスからくる肩こり

ストレスが溜まると、目が疲れた時と同様に自律神経系が乱れ、肩こりが起こりやすくなります。例えストレスが溜まっても短期間で解消できれば肩こり発生のリスクも減るでしょう。ですが常にストレスが溜まった状態だと筋肉が過剰な緊張状態になりやすく、肩こりが慢性化する可能性もあります。

また精神的なストレスがあると睡眠不足に陥ったり、リラックス状態を作り出せなくなったりしてしまいます。この状態が続くと身体的な疲労と精神的な疲労から抜け出すことが困難になってしまいます。

 

ストレスからくる肩こりを治すためには、このような対策が有効かもしれません。

・環境を見直してみる
・軽い運動をする
・気分転換をする
・適度な休息をとる

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

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