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テレビ東京 なないろ日和!【肩こり対策を肩もみ以外で…鎖骨ほぐし、尻鍛え、脇鍛え】

つらい肩こりには、鎖骨、尻、脇!達人が伝授もみ方・鍛え方

テレビ東京で毎朝放送されている「なないろ日和」にて取り上げられた肩こり対策へ取材協力しました。

つらいつらい肩こりに

脇運動の達人

藤本靖(ボディワーカー)

尻運動の達人

丸山太地(肩こりラボ代表)

鎖骨ほぐしの達人

吉田一也(理学療法士、医学博士、人間総合科学大学保健医療学部准教授)

放送スケジュール

2019年4月23日(火)午前9時59分〜

テレビ東京・BSテレ東

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


書籍「宝くじで1億円当たった人の末路」にインタビューが収録されました。

2014年9月に日経ビジネスONLINEに掲載された「【緊急報告】仕事中の“首鳴らし”はパイルドライバーより危ない!?」で、日経ビジネスの副編集長である鈴木信行氏による当院の丸山太地へのインタビューが記事になりました。

その鈴木信行氏が2017年3月に出版した「宝くじで1億円当たった人の末路」に、当時の記事が収録されました。

宝くじで1億円当たった人の末路日経BP社

掲載された23の末路エピソードのひとつ「癖で首をポキポキ鳴らし続けた人の末路」です。

≪23の末路≫

  • 宝くじで1億円当たった人の末路
  • 事故物件借りちゃった人の末路
  • キラキラネームの人の末路
  • 「友達ゼロ」の人の末路
  • 子供を作らなかった人の末路
  • 教育費貧乏な家庭の末路
  • 賃貸派の末路
  • 自分を探し続けた人(バックパッカー)の末路
  • 留学に逃げた人(学歴ロンダリング)の末路
  • 「疲れた。海辺の町でのんびり暮らしたい」と思った人の末路
  • 電車で「中ほど」まで進まない人の末路
  • 「グロい漫画」が好きな人の末路
  • 外国人観光客が嫌いな人の末路
  • 癖で首をポキポキ鳴らし続けた人の末路
  • 8時間以上寝る人の末路
  • いつも不機嫌そうな上司の末路
  • 体が硬い人の末路
  • 禁煙にしない店の末路
  • 日本一顧客思いのクリーニング店の末路
  • リモコン発見器の末路
  • ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路1
  • ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路2
  • 男の末路
  • アジアの路上生活障害者の末路

話題の書籍ですので、書店で目にする機会も多いと思いますので、ぜひご覧ください。

首をポキポキ鳴らしてしまう癖がある方へ

指の関節をポキっと鳴らすように、首の骨を鳴らしてしまう癖がある人は結構多いのですが、首はとてもデリケートなもの。

癖をやめるのは難しいかもしれませんが、以下の記事で首ポキについてQ&A形式でまとめてありますので、ぜひ一度ご覧ください。

首ポキは肩こり解消になるの?ネットやテレビで喧伝される説への疑問にお答えします。

実は、脳卒中や脳梗塞といった命に関わる病も、首と深い関係があります。

動脈解離・・・一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

首の骨と椎骨動脈解離の正しい知識。自分の体は自分で守りましょう。

何気ないことに気をつけることが、健康に人生に大きく影響することがあります。

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


首の骨と椎骨動脈解離の正しい知識。自分の体は自分で守りましょう。

動脈解離という言葉は耳にしたことがある、ご存知の方は少なくないと思います。この動脈解離という病名を目にする・耳にするのは、芸能人や有名人の方が「動脈解離で入院」「大動脈解離で死去」といったニュースがもっとも多いのではないでしょうか。

解離と動脈というワードですと「解離性脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血」というのもよくありますね。

ついこの間まで元気だったのに・・・そんな突然の入院や訃報・・・そこで頻繁に出てくる「動脈解離」以外にも「脳梗塞」や「くも膜下出血」「脳内出血」もよくきく病名ですね。これらは、いわゆる脳卒中です。

脳卒中はなってしまったらどうしようもない、と思われていませんか?

実は、この脳卒中と動脈解離は深い関係にあります。

当記事は、脳卒中を防ぐための方法についてのブログではございませんが、身近にあるリスクを少しでも減らしてほしいのです。脳卒中は年配の方に限った病気ではございません。子供でも起こります。脳卒中に年齢は関係ございません。

誰もが正しい生活習慣が大切ということは分かっています。ですが、実際の所、正しい生活習慣って何でしょう?たとえば、食事の場合、朝昼晩と1日3食が正しいのでしょうか?正しい睡眠時間って何時間?

正解は人によって異なる、というよりも正解はない、のが正解なのではないでしょうか。

生活習慣に正解はなくても、してはいけないこと、気をつけないといけないこと、これは絶体にあります。

そこで今回お伝えしたいのは「首を大切にしよう」ということです。

スマホが生み出したストレートネック

スマホが子供の首に悪影響を及ぼす可能性via:ZDNet

ストレートネックは首の骨が真っ直ぐになってしまっている状態をさす言葉です。耳にしたことがある方も多いでしょう。これが一般的になってきたのはスマートフォンの普及による影響です。スマホ首、スマホッ首ともいうそうです。

海外ではテキストネックと呼ばれています。そう、勉強や読書をする際は、下を向いて長時間首が動かないことがしばしばです。下を向いたまま首を動かさない、これが問題なのです。仕事や勉強の場合、集中力の途切れたり眠くなったりと、合間合間で息抜きを自然といれますが、スマホの場合、楽しすぎたり熱中してしまったりで時間を忘れてしまうことが多いのと、片手で操作できてしまうが故に立っていても歩いていても横になっていても使えてしまうので、首を長時間動かさないリスクが非常に高いのです。

脳卒中は、首への高負荷と深い関係があります。

脳卒中ならびに動脈解離は、だれでにも起こりうることです。子供、大人関係ありません。当記事は、ぜひとも、知識としてあらゆる人に知っておいてほしい内容です。

椎骨動脈解離という病気をご存知ですか?

椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)という病名を耳にしたことがあるという方は多くはないと思います。

2014年、国家資格を持っていない無資格者が免疫力を高めるためと称した独自の手技で乳幼児が死亡させるという大変痛ましい事件がありました。「ずんずん運動」という名前を記憶されている方はきっと多いと思います。

 

「ずんずん運動」は変わった名称なのでフォーカスされがちですが、上記の新聞の紙面にある通り「首ひねり」が一番の問題です。

乳幼児の首を無理に捻ることで、何が起こるか・・・乳幼児に限らず成人でも危険なことは誰にでも想像つくはずです。人間の関節は、個人差はありますが動かせる範囲(可動域)は大体決まっています。可動域をトレーニングで多少広げることは可能ですが、可動域を超えた動きをすれば怪我します。首の場合は、命に関わる危険があります。

人間は自分一人の力では無理な動き・可動域を逸脱した動きは普通はできません。ただ、人にやってもらうとなると話は変わってきます。

厚生労働省が禁止にしている首ポキ施術

身体に無理な負荷をかければ怪我するのは当然のこと。肩・肘・膝などを痛めれば日常生活に支障をきたしますが、生命に別状はないことがほとんどです。

ただし、首となると話は別です。

人間が生きていく上で最も大切な部位は、心臓と脳です。心臓と脳つまり頭と体をつないでいるのが首です。首は背骨の一部で、背骨の中に脊髄があります。そして脳は脊髄と繋がっています。脳が機能するために必要な血液は首にある動脈を通って送り込まれます。

首へのダメージが命取りになりやすいことはご理解いただけると思います。

では自分で首を捻る・首の骨をポキポキ鳴らすといった行為で簡単に首がダメージを受けるかと言いますと、そこまで人間の体はもろくは出来ておりません。ただし人にやってもらう場合は要注意です。自分自身ではできない動き、つまり人間本来の動作ではない、つまり、そのような行為に耐えれるように体はできていないためです。

整骨院・カイロプラクティックでは首ポキを施術することが多々ありますが・・・

一部の危険な手技の禁止

カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。

出典:医業類似行為に対する取扱いについて 厚生労働省

国が禁止するよう通達しています。

当通知は平成3年、今から25年以上も前に、厚労省が当時の業界の氾濫状況を危惧し出されたものです。今と昔は違うから問題はない、という意見をネット上で散見しますが、厚労省サイト上にこの内容を撤回する新たな通知はありません。よって厚労省としては現在でもスラスト法などの首ポキ施術は危険なため自粛するようにという見解といえるでしょう。(スラスト法とはカイロプラクティックの用語です。アジャストメントの一種で関節をボキっとするときに瞬間的な圧を加える動作そのものの通称のことです。)

首に無理な負荷がかかることが大変危険とはいえ、具体的に首の中では何が起こるのでしょうか?きっと「首の筋肉を痛める」「首の骨が折れる」といったことを想像されることでしょう。

首には頸動脈があります。頸動脈が切れたら死んでしまう、というのは、映画・漫画などでも度々描写されてきました。

首の血管に着目しますと、椎骨動脈解離・脳動脈解離を引き起こす可能性があるのです。

椎骨(ついこつ)とは、首から腰までの背骨の構成パーツとなっている骨です。首の骨、いわゆる頚椎(けいつい)とは7つの椎骨で構成されています。

頚椎の椎骨は7つ

椎骨動脈は、頚椎の椎骨の中にある動脈です。後ほど詳しく解説しますが、椎骨動脈は首にある動脈の1つであるとだけ心に留めておいてください。

日本人の死因の代表「脳卒中」

脳卒中は、頭(脳)に異常が起こり、突然、倒れる(卒倒する)という意味で、昔から使われてきている言葉ですが実は医学用語ではありません。一般用語です。正式には脳血管障害と言います。脳血管疾患と表記されることもあります。脳血管障害は、病名ではなく、脳をとりまく病気の総称です。脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血が代表的で、もやもや病・慢性硬膜下血腫も脳血管障害に分類されます。

最新の平成25年の人口動態統計では、脳血管要害は日本人の死因第4位に入っています。長年トップ3に鎮座していましたので、脳卒中はガンと同じくらい知名度あることでしょう。

動脈解離を理解するために必要な血管についての基礎知識

血管は大きく3つの種類に分かれます。

まず、この病気を理解するために血管の構造を理解していただきたいと思います。

血管は動脈・静脈・毛細血管に大別されます。

心臓から血液を送り出すのが動脈。心臓に血液を戻すのが静脈。動脈・静脈ともに末端の細い血管は細動脈・細静脈と呼びますが、その細動脈と細静脈を結んでいるのが毛細血管です。

血管は3層構造

下図をご参照ください。血管は単なる管のように見えますが、実はその構造は複雑です。血管の壁は、内側から外側にかけて、内膜、中膜、外膜の三つの層から出来ています。これは動脈・静脈共通の仕様です。

このように血管は動脈と静脈共に3層構造です。同じ3層構造ではありますが、動脈と静脈では構成する組織が異なります。動脈は静脈に比べて、より強力な組織でできています。動脈は、万が一破れてしまうと内臓に栄養を送れなくなってしまい生命に関わる一大事になってしまうため、めったなことでは破れたりしないような強固な構造になっています。

動脈が静脈と比較してどれくらい強固かと言いますと、動脈にははりが通りません。静脈には鍼は通ります。鍼を経験されたことない方は、鍼を刺すと血管を突き破るのでは?と不安に思われることでしょう。ご安心ください。毛細血管をはじめとする細い血管には損傷を与えますが、すぐに回復する問題のないレベルです。鍼が動脈に刺さることはありません。

 

鍼は動脈に刺さらない

筆者は中国でおこなった人体解剖実習にて、動脈と静脈に鍼を刺して感触の違いを学びました。

もちろん生きている人間で試すことはできません。実習で使用させていただいたご献体はホルマリンで細胞が変性しているとはいえ、その感触の差は歴然!!

なんとか動脈に刺してみるぞと意気込んでみるものの、通常に鍼灸用の鍼では刺すどころか逆に鍼が曲がってしまい負けてしまいます。

静脈は鍼を刺すことはできますが、動脈は刺すことができないほどその壁は強固なものなのです。

血管に鍼を刺さることを心配される方はたくさんいらっしゃいます。今一度強調しておきたいこと、それは鍼灸用の鍼で、重大な問題が起こり得る動脈に鍼を刺すことはそもそも物理的に困難であるという事実です。そして、ある程度の経験を積んだ鍼灸師ならば筋肉とそれ以外の組織の感触の差を感知できます。仮に誤って動脈に刺そうとしてしまう可能性そのものが極めて低いということをご理解いただけたらと存じます。

動脈解離の「解離」とは何が解き離れるのでしょうか?

動脈の構造の次は、イマイチわかりにくい「解離」を説明します。

動脈の管の壁は3層構造です。この層と層との間で避けてしまった状態を医学用語で「解離」と言います。

何らかの理由で動脈の壁が内側から破れて、動脈内を流れる血液がこの壁の中に入り、動脈の壁が層と層との間で裂けてしまった状態を指します。内膜・中膜・外膜と重層構造になってくっついている血管の壁がはがれてしまうことですね。

これには二つのタイプがあります。

狭窄型

内膜と中膜との間が裂けて、その間に入った血液が、裂けた内膜を内腔側に向かって膨らませてしまうタイプ

すると、その部分の動脈の通路は狭くなって、ひどい時には狭くなった部分が詰まってしまうこともあります。その結果、血液が流れなくなって、脳梗塞を引き起こしてしまうこともあります。

 

動脈瘤(どうみゃくりゅう)型

中膜と外膜との間が裂けて、その間に血液が入った場合で、外膜が動脈の外側に向かって膨らんで血管のコブ(瘤)のようになるタイプ

このタイプで重症の場合はコブが破れてくも膜下出血が起こることがあります。

 

動脈解離が生じる原因

動脈解離というと大動脈解離が有名ですが、動脈解離は全身の動脈で起こります。

動脈解離が何故起きるのか?残念ながら原因は一つではありません。高血圧・糖尿病・高脂血症といった生活習慣病や、喫煙・動脈硬化・血管の病気・外傷など様々な原因があります。複数の要因が合わさっていることの方が多いでしょう。そして原因が特定できない原因不明なことも珍しくありません。

椎骨動脈解離は椎骨動脈の動脈解離です。椎骨動脈とは?

椎骨(ついこつ)は、首の骨の名前です。

首の動脈は2種類。左右で1本ずつで合計4本。

当院は首こりの専門院ですので首の動脈に焦点を当てます。首の動脈と言っても頚動脈と首の骨の中にある椎骨動脈の2つあります。首の動脈といえば頸動脈。当記事では頸動脈解離ではなく「椎骨動脈解離」について取り上げます。

椎骨動脈は右と左に一本ずつあります。「未破裂左椎骨動脈解離」という病名の場合、左側の椎骨動脈に解離が生じているが破裂まではしていないということです。

椎骨動脈解離は大変危険です。

「椎骨動脈解離」とは、何らかの理由で、椎骨動脈の壁が破れてしまい、血流が妨げられてしまう病気です。椎骨動脈は脳の深部へ血液を送る重要な血管なので、ここからの血流が閉ざされてしまうと生命に重大な影響を及ぼします。

特に、動脈解離が生じ②のタイプにように、動脈瘤(血管のコブ)ができることを医学用語で解離性動脈瘤と呼びます。

解離性動脈瘤は、脳に関連する動脈の中でも特に頚部の回転の影響を受けやすい椎骨動脈から脳底動脈(椎骨動脈の延長にあり脳の深部へ到達する血管)に多く、発病の年齢は年齢も40歳代最も多いですがそれに限らず20~60歳代と幅広いです。一般的な脳血管障害は中高年者に多いという認識がありますが、解離性動脈瘤を起点とした脳血管障害は比較的若年者、働き盛りの年代に多いといえます。脳神経外科領域では、年齢の若い世代に起こった脳梗塞(のうこうそく)やくも膜下出血などの脳卒中の場合、まずこの病気を疑うといわれるほどです。

椎骨動脈の解離性動脈瘤は、脳梗塞やくも膜下出血といった症状が出現する前に、突然に起こる片側の項部(うなじ)や後頭部の痛みが出現することが多いです。これは動脈の壁が裂かれて解離するときに感じる痛みであろうと考えられています。それに続いて脳梗塞やくも膜下出血が起こるのです。

そこで、急に起こったひどい項部痛や後頭部の痛みがあれば、この病気を疑う必要があり、その場合、頚部~頭蓋内の椎骨動脈のMRA検査を実施するのが普通です。(MRAとはMRI検査の技術を応用した血管造影検査のことです)

また、動脈解離が原因でなくとも、先天的に無症状で動脈瘤をもっているという方もいらっしゃいます。その場所が椎骨動脈である可能性も考あります。動脈瘤は症状が無ければ検査を受けることもありません。危険かどうかの判別は、たまたま検査して見つかった場合くらいしかできないのが現実でしょう。そもそも症状がない場合、精密な検査は保険がきかず高額であり、さらに中規模以上の病院で行う必要があるため、ハードルが高いのです。

ここまでを簡単にまとめると、椎骨動脈解離が生じると、脳への血流が閉ざされて脳血管障害の元となる可能性があります。脳出血やクモ膜下出血などの前段階となる場合があるので、馴染みが薄いとはいえ軽視はできない重い病気といえるでしょう。

 

椎骨動脈解離が生じる原因

椎骨動脈解離を発病する原因、すなわち首の動脈が内側から裂けてしまう主な原因は、頚椎の捻転を伴う動きやスポーツや運動などによって頚椎の中を走行する椎骨動脈に対する軽微な外傷と考えられています。動脈硬化が進行していたり、高血圧の場合には、確実にリスクは高まるでしょう。残念ながら、明らかな原因が不明の特発性(非外傷性)の場合もあります。

横突孔に沿って椎骨動脈は走行

頚椎は7つの椎骨で構成されていますが、椎骨の両サイドにある小さい穴があり、横突孔(おうとつこう)と言います。椎骨動脈は、その7つの横突孔のうち6つの横突孔から成る狭いトンネルを通って首から脳へむかって走行しています。つまり、頚椎の動きに連動して椎骨動脈も動きます。

このように解剖学的な面からも、首を普段自分で動かすことができる可動域を超えて他者の力で急に捻転させてポキっと鳴らす行為は、少なくとも椎骨動脈にとって良い影響は期待できないこととなります。

ストレートネックの人が首ポキ施術を受けるとリスク増大

首ポキ施術は、ほとんどの場合、首・肩こりやそれに伴う頭痛などの症状を解消する目的で行われます。そのような症状を抱えている方は高い確率でストレートネックの状態であることが多いです。

スマホ首いわゆるストレートネック急増の原因はスマートフォン

ストレートネックは一昔前まではパソコンを使ったデスクワークの方が訴える症状でしたが、今ではスマホ症候群の一つとして有名で「スマホ首」とも呼ばれています。スマートフォンの普及の結果、スマホ首・ストレートネックで悩むのは大人だけではありません。むしろスマートフォンを長時間使っているのは子供です。ということは、国民の多くが、首や肩のこり・痛みといった症状を抱えており、首の骨を鳴らす行為を癖にしている方が少なくない、首ポキ施術でスッキリしたいと思っている方が増え続けているとも言えます。

ストレートネックを引き起こす原因は筋肉。骨ではありません。これは肩こり・首こりにも言えます。

本来カーブあって然るべきものが、そのカーブがなくなってしまうと椎骨動脈の通るトンネルも不自然な形となってしまいます。すると中を通る椎骨動脈も不自然な走行となります。ストレートネックの状態で無理に首を動かそうとすると、頚椎に負担をかけ痛みにつながるだけでなく、椎骨動脈にも必要以上のストレスをかけてしまうことになるのは想像できると思います。

スマホ首という言葉が広まっているようで、ストレートネックは現代病の代表のひとつといえる状況になりつつあります。ですからストレートネックについては後日詳しく書きたいと思いますが・・・ストレートネックを引き起こす原因についてだけ押さえておいてください。ストレートネックは高齢者や一部の特殊な例を除いてほとんどが筋肉によって引き起こされます。骨ではなく「筋肉」です。骨の配列は筋バランス(アライメントと呼ばれることが多いです)や体の使い方によって生じます。長年、悪い姿勢が悪い状態が続くと筋肉がそれに合わせて変化していきます。ここはとても重要なポイントです。骨の配列が歪むのは、筋肉の変化による結果です。ですので、関節をボキボキ鳴らして矯正と呼ばれる施術を行っても一時的だったり、気分的によくなった感じがするだけで、配列そのものが根本的に改善されることは絶対にありえません。

脱臼してはずれてしまった関節を元に戻す「整復」というものがあります。これは柔道整復師の専門領域です。外れた関節を元に戻すわけですから、ボキっとやれば骨のゆがみが治るようなイメージをもたれる方は少なくないと思います。脱臼と骨の配列(アライメント)の矯正は根本的に異なるものです。脱臼は無理な力が関節に急激にかかったことで生じますが、アライメント異常は小さな力が持続的にかかり時間をかけて生じますので、発生の原因からして異なります。ですから、脱臼の整復と、ストレートネックなどのアライメント異常の矯正は、目的こそ骨も配列を整えるということで同じですが、内容としては全く別物です。

骨にアプローチしたところで歪みは一時的に矯正されるだけです。すぐに元に戻ります。

骨にアプローチするのではなく筋肉にアプローチすることで骨格を正す。これが正解です。姿勢という点では、納得していただけると思います。

とは言いましても、人は様々な不調を抱えています。関節の痛みや腰痛といった姿勢や動作と直接関係していると思われそうな症状以外で、最もポピュラーな悩みの代表は頭痛かもしれません。

業界の実状としましては「首から後頭部にかけての頭痛は椎骨動脈が原因であり、背骨のゆがみが椎骨動脈に負担をかけている・・・」という考え方があります。整体やカイロプラクティックの領域ではしばしば「〇〇矯正」「アジャストメント」といった施術によって関節をボキッと鳴らして「ゆがみ」を矯正することで頭痛が治るとされる行為が気軽に行われています。

ですが、ここで忘れてはいけない大事なことがあります。

頭痛は椎骨動脈解離の症状のひとつ!!

頭痛で病院にいって検査をして助かったという話はよくきくと思います。放置していたら手遅れになるところだったというのは割と身近な話であり、誰にでも起こりうることなのです。

頭痛は椎骨動脈解離の初期症状のひとつです。これが大事に至った結果、脳梗塞・クモ膜下出血といった脳卒中になる可能性が高いのです。脳動脈瘤・脳動脈かい離といった言葉が使われることが多いかもしれませんが、脳動脈は椎骨動脈と繋がっています。つまり椎骨動脈の上の部分からは脳動脈です。

頭痛の原因が椎骨動脈解離の症状かどうかを判断できるのは病院のMRIなどを使った検査のみです。頭痛の原因は、整体やカイロにいっても絶対にわかりません。

整体やカイロを体験したことがある方でしたら、一度くらいはボキっという施術を受けたことがあることでしょう。頭痛持ちの方でしたら自殺行為・ロシアンルーレットです。そして頭痛持ちでない場合でも、はっきりと申し上げますが、首ボキ施術はたいへん危険です。厚生労働省もとりわけスラスト法とよばれる首ポキ施術に関しては危険であり自粛するよう警笛をならしているということは首ポキ解消法の真相(首をポキポキ鳴らすのは本当に危険なのか?脳血管障害や死亡リスクとの関連性)でもお伝えさせていただきました。また、カイロプラクティックの本場であるアメリカにおいても、米国心臓協会と米国脳卒中学会は、スラスト法が脳卒中を引き起こす可能性があるとの声明を、2014年8月7日発行の米医学誌「Stroke」(電子版) に掲載しています。

首ポキ施術は受けないでください。そして、施術者も絶対に行わないでほしい。

自ら首を捻じってポキっと鳴らすのと、他者の力で動かして鳴らすのでは訳がちがいます。「首ポキ施術」は本当に危険なのです。スッキリ感が得られる以外のメリットはありません。一瞬の爽快感と引き換えに生命に関わる危険性を高めてしまうのはもはやデメリットの範疇を超えています。

アライメント異常は骨をボキボキしても治らない

前述しましたように、首肩周辺に症状をかかえている方はストレートネックなどの頚椎のアライメント異常をかかえている方が多いです。アライメント異常があると関節は正しく動くことができないため、そのような状態で急激に動かすことによってかえって傷めてしまうこともあります。

アライメントの異常はいくら骨をボキボキしても改善しません。それどころか骨の配列が正しくない状態で首を動かすことは椎骨動脈にも余分なストレスを与えてしまう可能性もあります。首ポキ施術は気軽に受けるべきではないですし、施術者は絶対に行うべきではないのです。

脳神経外科の医師も注意を呼びかけています

脳神経外科の第一人者である平山晃康教授は以下のように述べておられます。

痛みを主訴とする脳外科疾患の診断のポイント

椎骨動脈解離を診断する契機になる初発症状は、突発する片側の後頭部から後頚部にかけての痛みである。出血型では、解離による関連痛に加えて、くも膜下出血が頭痛の原因になっている。虚血型でも、同様の痛みが起きる。よって、中年の成人に片側の後頭部から後頚部にかけての頭痛が突発したときには、椎骨動脈解離を疑わなければならない。また、カイロプラクティックの頚部への施術や、美容院などでのシャンプー後(hairdresser’s salon syndrome or beauty parlor syndrome)にも起こる可能性があるので充分注意が必要である。

出典:痛みを主訴とする脳外科疾患の診断のポイント 日本大学病院脳神経外科 平山晃康教授

首ポキ施術は「一時的なスッキリ感」を得られます。そのスッキリ感とリスク・代償を天秤にかけたら・・・受けたいと思われる方は限りなく少ないのではないでしょうか。リスクを冒してまでの得られるメリットは無いため、首ポキ施術を受けるのだけは絶対にオススメしないと主張させていただきます。

誰にでもできる脳卒中予防方法

ここまで小難しい話・危険や不安を煽るような表現をしてしまいましたが、何ができる?どうすればいいの?とお思いでしょう。

首はデリケートだから大切にするという意識をもつ

コメカミや後頭部を強打したら死んでしまう可能性があることは多くの人がご存知のことですが、普段コメカミや後頭部を守ろうと意識されている方は少ないはずです。ですが、外部からの衝撃がありそうでしたら自然と守ろうとするはずです。

首に対しても同じような意識を持ちましょう。

女性なら見ず知らずの男性に髪の毛を触られるのはとっても嫌なことでしょう。首を勝手に触られるのを嫌!強い力で触らないで!くらいの意識でよいと思います。

首の骨を鳴らすのを目的としない

スマホが生活の一部になってしまい、首肩への負担は老若男女とわずどんどん増しています。

気づけば街中にストレッチ店がいっぱいあります。少し前までなかったと思いませんか?

首や肩が凝ったらストレッチするのは良いことです。が、首の骨を鳴らすことを目的になってしまっている人が結構います。

数年前に大橋未歩アナを襲った「若年性脳梗塞」・・・原因は首をボキボキ鳴らす癖だったそうです。

「若年性脳梗塞」でいう若年性とは45歳以下を指します。20代・30代・40代前半はみな若年として扱われます。

漫画「北斗の拳」のケンシロウのように拳をボキボキ鳴らしたりするのと同じ感覚で、首や肩の骨を鳴らしてしまうのはやめましょう。

首ポキ施術だけは受けない!

整体やカイロプラクティックに通っている方、通うことをご検討中の方に対して、整体やカイロプラクティックへ通わないで!!とは言いません。

首ポキ施術だけは遠慮する旨を、予めお伝えください!

脳卒中の100%予防するのは不可能です。

脳卒中になって、治って通常の生活に戻れる可能性は決して高くはありません。

脳卒中は年齢に関係ございません。リスクを避けることは簡単です。誰にでもできることです。知っているか、知らないか、だけです。

首ポキをしない・受けない・・・心よりお願い申し上げます。

カイロプラクティックや整体で救われた・救われている人がいるのも事実

ここまで首ポキ施術は危険だから受けるべきではない!!という一点ばりの主張でしたが、カイロプラクティックや整体を全否定しているわけではありません。当たり前のことですが否定はできません。これらの施術で救われた患者さんは実際にいらっしゃるわけです。

カイロや整体が果たす役割を明確にして民間療法としての責務をはたしている施術者がいないわけありません。現実には簡単な講習やセミナーを受けただけの整体師やカイロプラクターがほとんどかもしれません。カイロプラクターや整体師に関する法律自体が存在しないため、誰でも名乗りたければ名乗れます。

今、この記事をご覧のあなたも「カイロプラクターです」「整体師です」って自称できるのです。

ゴッドハンド多すぎる問題

それぞれがゴットハンドを自称しているという実状があります。ゴッドハンドと呼ばれている人、多すぎると思いませんか?真面目に堅実に標準医学に則っり信念を持って施術している施術者がいないわけでは決してないにせよ、それは極めて少ないのです。

医師でないのに医師であるかのごとくまたは医師や医療を連想させるような名称の表現を用いたり診断行為が実際行われていること、とにかく何回も通ってもらうことが第一に考えられているために利用者の混乱を招き、本当に困っている方が適切な処置を受けられない状況であったり、かえって難治性となってしまうということが実際に起こってしまっているという点です。

首や肩の調子が悪くてなんとかしたいと思っている方で、通りすがりのお店・整骨院になんとなく入ってみようとお思いになられる方は少なくないと思いますが、街中にはコンビニ以上に溢れています。ドラッグストアでも、薬剤師のいないところといるところがあるように(薬剤師がいなければ例えばロキソニンは買えません)、肩こり・腰痛に効きそうなお店・整骨院は、国家資格保持者が行っているところとそうでないところが混在しています。雰囲気・技術云々以前に、最低限国家資格者かどうかだけは確認しましょう。これは腕うんぬんの話ではなくトラブルにあう確率の話です。悪化してしまう・無駄なお金と時間を使ってしまう確率を下げたいのであれば、まず国家資格者を選びましょう。

首ポキは絶対に行わないでください。

筆者個人的には、医学的根拠として周知されるよう前向きな努力・研究を惜しまないということが前提であればの話ですが、現時点で厳格な統計学的処理をパスした医学的根拠に乏しくとも一定の規範や倫理観をもって受け手のメリットを追求した施術に徹することは、ある程度は許容されるものではないかと考えています。

 

海外では医療として認められている。WHOが・・・といったキャッチフレーズについて

カイロプラクティックを行っているところが日本では認められていないけど海外では医療として認められている・海外では医療である、と宣伝しているのを目にしたことある方は少なくないと思います。日本では認められていませんので、整体師・カイロプラクターは誰でも名乗れますし開業も可能です。国内で民間資格はありますが、国家資格ではありません。

「アメリカやヨーロッパ諸国では医者として認定されている。」や「カイロプラクティック医師」、「アメリカでは第一医療機関として認められている」等といった表現/主張は間違いである。これは先ず、アメリカにおいてのカイロプラクティックは、日本では医師のみが行うことが認められているX線撮影装置の使用による検査や診断・診察業務が法律により認められている事や、州によっては一部の外科的処置を行うことが法律により認められているという、我が国には前例のない専門職であることによるものだと考えられる。また、これはアメリカにおいてDoctor of Chiropracticという第一職業専門職学位が授与されることで、Doctorを医師と間違って訳しているまたは、広告のための誇張だと考えられる。アメリカにおいてはDoctor(Dr.)の敬称は医師にのみつかうものではなく、Doctorate degreesが授与される専門職、Ph.D.の学位をもつものを習慣的にDr.の敬称をつけて呼ぶ。

出典:カイロプラクティック wikipedia

ウィキペディアより引用しました。当然のことですが日本ではX線撮影装置の使用による検査や診断をカイロプラクターが行うことは出来ません。アメリカでいうドクターの呼び方と日本のドクターの意味が異なっているという事実。アメリカでドクターだから、日本では医師、とはなりません。これを恣意的に悪用しているケースが多いので、この点を踏まえてカイロに通うことを検討なさってください。

首ポキ施術行為の蔓延問題の本質

鍼灸・マッサージは一般的には「東洋医学」という認識されています。今では美容鍼ブームのおかげで美容にいいというイメージをお持ちの方が増えたかもしれませんが、まだまだ「気」や「ツボ」といったよくわからないけれど効くらしい・・・という得体のしれないイメージをお持ちの方が多いはずです。

鍼灸治療は今では多くの大学病院でも取り入れられておりますが、医療関係者の中には擬似科学、インチキだとお考えの方もいらっしゃいます。施術を行う側としても「曖昧さ」や「東洋医学」に甘んじて、「根拠のない見せかけの医学」を行ってしまっている施術者が少なくないのも事実。このようなことからも「鍼灸・マッサージは疑似科学・ニセ医学である」という考えを否定したくてもできない状況であるということが実際のところです。

首ポキ施術行為が蔓延していう本質的理由はこれらの業界の現状によるところが大きいと思います。

例えば、鍼ひとつとっても、ツボにうつという東洋医学的な手法が大半ですが、現代医学的に考えて的確に筋肉・筋膜にうつやり方もあります。世間一般では鍼=東洋医学ですが、西洋医学的に鍼を行っている人も、知らない人からみれば東洋医学やってる人と思われるわけです。一般の方ならそう思われても仕方ないのですが、医療関係者でも「はいはい、東洋医学ね」と理解しようとすらしてくれないことが割と普通です。

ですから、まして国家資格者でない人が、首の骨を鳴らす施術していても最初から眼中にすらないのです。医師が気にするのは眼の前の患者さんです。カイロや整体で首ポキをしている人たちではありません。だから好き勝手にやれてしまい、行政の指導も、結局は事件・事故で大きな社会問題にならない限り放置と一緒です。

あなた自身だけでなく、身の回りの人・大切な人に伝えてください

首ポキ施術蔓延の原因が業界自体の体質?にあるとはいえ、今は国民ひとりひとりが情報発信者のネット社会です。業界ではなく社会をつくっているのは私たちひとりひとりです。つまり誰にでも変えられる力があります。力の大きさは関係ありません。

脳卒中になると、意識が戻らずコミュニケーションとれないまま亡くなられるのはよくあることです。そして運良く生き残れたとしても障害を持ったまま生きていかないといけないケースも多いです。

一番大切な人が、寝たきりで意識が戻らない、そんな悲しい残酷な世界を想像してみてください。

知らなかった、そう言われたから・・・では後の祭りです。

「首の骨ならす癖やめなよ!死ぬかもしれないよ!!。」

たとえ、そう声かけたところで癖になっている人の癖を直すことなんて難しいのですが、少なくとも「え?死ぬ?」という意識を持ってもらうことは間違いなくできます。そんな小さな意識だけでも、全然ちがってきます。

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


首ポキは肩こり解消になるの?ネットやテレビで喧伝される説への疑問にお答えします。

 

当院にいらっしゃる患者さんから受ける質問で、もっとも多いのが首の関節をボキボキと鳴らす「首ポキ」についての質問です。テレビ、雑誌、インターネット上で「首ポキは危険」と話題になりました。首をよく鳴らす人は脳卒中になりやすい、脳梗塞の危険性がある、という話も耳にしたことがある方も少なくないと思います。

首ポキって危ないの?

そのウワサの真相を肩こり、首こり治療の専門家として責任をもって解説します。

 

首ポキに関する疑問・・・関節が鳴る仕組みについて

よく首をボキボキと鳴らすのですが、これは良くないことでしょうか?

首をポキポキ鳴らすことは、肩こり・首こりのセラピストとしては、良いことではない、とハッキリ申し上げます。

そもそも、関節が鳴るのは何故でしょうか? 関節の鳴る仕組みを教えてください。

関節が鳴る音の正体は気泡がはじける音です。わかりやすくいうと、関節の隙間に溜まった空気が弾ける音です。専門用語でキャビテーションといいます。実は、この関節の音の正体ですが、2015年になって初めて確認されました。関節の音が鳴る仕組みが映像として記録されたのです。

Pull my finger: Why joints crack

骨と骨が擦れたりして鳴っているわけではないということでしょうか?

関節がポキッと鳴るのは骨と骨の摩擦によって音が出るのではありません。骨と骨の間には隙間があります。その隙間は、滑液という液体で満たされているのです。ですので、関節は様々な動きが可能になります。潤滑油みたいなものですね。関節液とも言います。

液体が入っているとは驚きました。でも、ポキっていう音は空気が弾ける音なんですよね?

はい。液体なのですが、その中に溶けている空気があります。その空気が液体の中から気泡となって出てくるのです。

どうして、気泡が出てくるのでしょうか?すごく不思議です。

例えば、手の指の関節を鳴らす時、普段動かしている方向と逆に反るようにしていると思います。筋を伸ばすような感じです。そうすると、骨と骨の隙間が大きくなります。つまり関節内の容積が増えるのです。すると、液体の圧力、水でいうところの水圧、が低くなります。すると、液体の中に溶けていた空気が、溶けていられなくなります。気泡となって外に出ようとするのです。

ちょっと難しくて、よくわかりません。もう少し詳しく解説をお願いします。

身近な例をあげます。たとえばコーラなどの炭酸飲料。炭酸水でしたら、水に二酸化炭素を溶かしたものですが、むりやり溶かしています。この無理矢理というのは、圧力をかけるという意味です。その圧力を維持するために、密閉された状態で販売されています。

栓や蓋をあけると、どんどん炭酸が抜けていきます。コップに注ぐと泡がでていきます。

そうですね。それは、先ほどの関節内の液体の中の空気と同じことなのです。パッケージされた炭酸水の中の圧力は高いですが、開栓してしまうと、外の空気圧と同じになります。つまり圧力が下がってしまいます。高い圧力だから溶けていたものですから、溶けきれなくなり、外に出ていきます。それが気泡です。

関節の中の圧力が変わることで、溶けていた空気が出たり入ったりするということですか?

そのとおりです。ただ、一度出てしまったものが再び溶けるのには時間がかかります。ですので、一度鳴らした関節は、しばらくの間は音がなりません。

首ポキに関する間違った情報について

なんとか理解できました。ところで、首の関節を鳴らすと1トンの圧力がかかるのですか?

1トンというのは質量の単位です。圧力というのは、面を押す力です。面積あたりの大きさですので、1平方メートルあたりの大きさが通常用いられます。時速だったら、〇〇km/時と1時間あたりの速度で表現しますよね。トンという単位も用いないのですが、単純に速度でいうところの「/時」に当たる部分が抜け落ちていますし。つまり1トンの圧力という言葉そのものが間違いです。

1トンという数値は、何を表しているのでしょうか?あまりにも大きいと思います。

恐らく、不安を煽るために大きく見せた広告的な表現、もしくは、根本的に理解していないかのどちらかです。圧力というのは、たいていは1平方メートルあたりの数値です。1トンは1000kgです。1平方メートルというのは、100cm x 100cmですので、10,000平方センチメートルです。首の面積的には1平方センチメートルで考えると、0.1キログラム、つまり100グラムです。

たったの100gなんですか。別に大した大きさではないですよね・・・

それが、恐らく1トンの圧力という表現の正体です。この数字とセットで、半身不随になるとか、危険だという噂が広まったわけです。

首ポキの危険性を誇張してるわけですね。騙されたような気持ちで、腹立たしいです。デマということですよね。

この話は、テレビやネット上で広まったようですね。「関節をポキッと鳴らしているとき、骨には1トンもの圧力がかかっているんですよ」と整骨院の先生が話したことが原因です。この先生が本当にそう言われたのか、それを文字にしたマスコミの人が理解していなかったためなのかは定かではありません。私は、鍼灸師・あんま指圧マッサージ師ですが、一般的には、整体、整骨、マッサージは同じように捉えられています。この話を聞いた人の中には、「これだから、整骨やマッサージは信用できない」と思う人も少なくないと思います。残念なことです。

ただ、首をならす癖をやめさせたいという強い信念があって、敢えて誇張した表現を広めようとした可能性もあります・・・が、多分違うと思います。

首ポキは危険である、これは否定できません。

首の関節を鳴らすと脳卒中になったり、半身麻痺、最悪死んでしまうといった可能性は実際問題、あるのですか?

首は非常にデリケートな部分であるため、1回ポキっと鳴らしても大きなダメージとはならずとも、空気の破裂で少なからず刺激はされます。例えわずかな衝撃であったとしても、血管や神経などデリケートな組織に微細な損傷がおこることは十分に考えられます。

特に、頚椎の中を貫く椎骨動脈・椎骨静脈は関節の近くにあるので、衝撃を受けやすい部分です。その血管内部が傷つくとその場所が変性し動脈硬化や血栓などになりやすくなり、血栓が血流にのって流れていくと脳梗塞・肺梗塞・心筋梗塞などの重篤な疾患を招く可能性はないとは言えません。

整体やカイロが街中に氾濫しているが故に間違った認識が蔓延

整体やカイロプラクティックでよく骨をボキッとされますがあれはどうなのでしょうか?

整体やカイロプラクティックの先生にうかがうと、背骨のゆがみが様々な病の原因となり、特に頚椎は重要とのことです。そのゆがみをボキっとすることで元に戻すそうなのですが、これには多々疑問が残ります。

その疑問点について、詳しく教えてください。何回通っても結局治らなくて。

整体における頚椎の歪みを直すことについての疑問点は4つあります。

  1. レントゲンを使わない・使えない

    骨の問題を診るのにレントゲンを使わない点です。使うこと自体できません。レントゲンを使用して骨の問題を診断・処置できるのは整形外科医のみです。

  2. あらゆることを根拠なく歪みで説明する

    筋・骨格系の問題だけでなく様々な内臓病や癌までも背骨のゆがみが原因と理由づけしてしまう点は大問題です。医学的根拠があるならばよいのですがございません。

  3. 骨は動くもの。支えているのは筋肉・筋膜

    骨はあくまで筋肉の作用を受けて動く受動的なものなので、ボキっと外から力を加えて仮に正しい位置に戻ったとしても、筋肉の問題・または身体動作を改善しなければすぐに元通りとなってしまうということ。

  4. そもそも“歪み”は医学用語ではない

    “ゆがみ”とは医学用語ではありません。定義があやふやであるということ。

整体やカイロプラクティックの理論では“左右対称”“左右均等”が良いとされますが、人間は本来内臓の配置自体が左右非対称(右には肝臓、左には心臓や胃や膵臓など)ですし、利き手・利き足・効き目・効き顎もあるので対象となることは不可能です。それを目指すこと自体が終わりがなく机上の空論ではないでしょうか。

自分で鳴らすのはよくないけど、整体やカイロで鳴らすのはよいという主張もあります。

頚椎は7つあるのですが、整体やカイロでは、その7つのうちの〇番目だけを任意に鳴らすことができるそうです。しかし、誰もそれを確かめることができません。

肩こりラボで治療を受けている患者さんで、整体での骨格矯正を受けたものの、具体的な内容はわからない、症状がよくなるどころか逆につらくなった、という方が本当に多いのです。

歪みを直す=骨ボキ、というのは、施術する側が勝手に押し付けているだけだと常々感じています。

整体やカイロプラクティックで肩こりが治る可能性について

100%治らないと断言は出来ません。治る方もいらっしゃるとは思いますが、極めて稀だと思います。実際、当院に初めて来られる患者さんから、いつまでたっても治らない、整体などに通う頻度だけ増える、なんとかしてほしい、というご相談を非常に多く受けます。

カイロプラクティックや整体で行う首をゴキっとならす施術は、脱力した状態で頚椎を急激に伸ばしたり、曲げることは脊髄損傷など重篤な神経障害を引き起こす可能性がないとはいえませんし、何より椎骨動脈解離を起こす危険性があります。これは脳梗塞やくも膜下出血の原因となる可能性が極めて高いので、首を鳴らす施術は絶対に受けないでください。

事実、厚生労働省によって禁止するようにと20年以上前から通達されています。

これまでのお話から、首ポキはやらないほうがいいということですね?

現在ネットに書かれている内容は非科学的で信憑性がありません。実際のところ、自ら行う1回の骨ポキで生命につながる問題となる可能性は極めて低いです。しかし繰り返す事は確実に良いことではなく、塵も積もれば山となるで、小さな刺激が積み重なることによって後々重大は疾患につながってしまう可能性があります。

首ポキの危険性については、イギリスのブルネル大学(Brunel University)のリハビリテーション研究室の報告によっても椎骨動脈解離や脳血管障害をはじめ重篤な神経疾患への可能性が示唆されています。

また、首をボキっとする施術の危険性は、カイロプラクティックや整体などで首ボキ施術を受けても10万人に1人くらいしか起こらない、と言われています。しかし「45才未満で脳卒中を起こした人は一週間以内にカイロプラクティックで首ボキをやっていた人がやっていなかった人と比べて5倍多かった」というデータがアメリカ心臓病学会の2001年に出された報告にて示唆されています。実際はもっと多いと思います。

日本ではカイロプラクティックは無認可の民間療法です。それって違法では?と思われると思いますが、そもそも法律が存在しません。つまり誰でもカイロプラクターと自称できてしまいます。このようなグレーゾーンな状況である以上、首ポキの施術を受けるということは、素人が関節を鳴らしているだけ、という可能性もないとは言い切れません。

もちろん、ご自身で首の関節を鳴らすことも、極力避けていただきたいですね。

首ポキの癖を直すために必要なこと

首ポキやめたいです。でも、ついつい首を鳴らしてしまう癖は直りますか?

癖で行うのは、何かしらの症状があるためです。例えば「常に気になってムズムズしてしまう」「首を捻じったり 動かさないと いてもたってもいられない」「無意識のうちにいじっていたり 鳴らしてしまう」「発作的に急激につらくなる」「睡眠が充実していなく、朝一が一番つらい」といった事に心当たりはないでしょうか?もしこれらに該当するようでしたら、それは肩こり・首こりの負のスパイラルにはまってしまっているサインです。大げさに聞こえるかもしれませんが、首の関節を鳴らす癖があるということは、今後酷くなっていく前兆ともいえます。放置していては、絶対に治ることはありませんし、首ポキはもちろん、肩もみなどの簡単な施術による“ほぐし”程度ではすぐに元通りとなります。

つらくて我慢できない時に簡易的な施術を受ければ楽にはなるでしょう。それしか方法がない場合はもちろん仕方ありません。

しかし、楽になるのはその時のみの短期間であって、すぐに元に戻ってしまい、つらくなる度に施術を受けるという繰り返しになります。

しかも、施術の刺激に慣れていってしまうので、徐々に悪化していきます。施術を受ける間隔も短くなり、より強い施術を求めるようになります。完全に悪循環になります。得するのは簡易的な施術を提供する側ということです。

この状態を変えるには「治療」が必要なのです。

つまり、首ポキの癖を直すには、原因そのものを治す治療が必要ということですね。

そのとおりです。治療をすれば、癖は出なくなります。肩こり・首こりは直近で生活や生命に支障がでるわけではありません。しかし放置や適切な処置を行わないことに確実に進行・悪化していきます。首や肩のこりは、頭痛や目眩、倦怠感をはじめとする様々な体の不調の要因になりますし、最悪のケースとして、例えば脳梗塞といった重病の引き金になる可能性も否定はできません。

脳梗塞といえばアナウンサーの大橋未歩さんが若年性脳梗塞になったことは衝撃でした。

脳梗塞といえば高齢の方がかかるというイメージがどうしてもあります。しかし、若い方で脳梗塞にかかるケースは少ないとはいえ近年急増しています。特に脳動脈解離・椎骨動脈解離による脳梗塞です。大橋さんが患った若年性脳梗塞が首ポキが原因だったかどうかはわかりません。しかし、首こりや肩こりが脳梗塞に繋がる何かしらの原因であった可能性は高いと思います。

デスクワークでお忙しい方はもちろんのこと、スマートフォンの普及で「スマホ症候群」と呼ばれる首や肩への負荷による痛みや凝りも問題になっています。ストレートネックという言葉も普及していますね。若い方も首ポキをしてしまう人が多いようです。

現代の生活環境の利便性と体の健康はトレードオフ

スマホを長時間見ていると首が痛くなります。まさに「スマホ症候群」ですね。

スマートフォンやタブレット、ノートパソコンを使用する場合、うつむいて操作をしてしまう方が多いです。すると、首の骨が本来持っているゆるやかなカーブが、伸びて真っすぐになります。これが、ストレートネックです。首をまっすぐにした状態が長時間続くと凝ります。誰でも凝ります。特に女性は、男性に比べて首が細く筋肉が少ないので、負荷を受けやすいのです。

ですから、楽になろうと首を回したり、左右に振ってみたり、関節を鳴らしてみるわけですが・・・猫背って楽な姿勢だからついついとってしまう人は多いですよね。でも、猫背は良くない、姿勢が悪くなる、という認識は多分多くの方がお持ちだと思います。

他にも例えば、ふかふかのソファーに座ると楽で気持ちよくても、実際は腰に相当な負担をかけています。快適すぎて立ち上がる気をなくしてしまう「人をダメにするソファ」が人気ですが、腰への負担がとても心配です。

プラスなことがあればマイナスなことがあります。パソコンやスマートフォン、タブレットが普及し、生活になくてはならないものになっています。それによって首や肩の不調を訴える人は、激増しています。利便性故に本来やる必要のないことが増えてしまいストレスが増えた方も多いことでしょう。首ポキは、まさにその延長線上にあるといえます。

治療を真剣に考えたいと思います。最後に、他にアドバイスあればお聞かせください。

しつこいようで恐縮ですが、首ポキの癖は、首や肩の不調のサインです。そして、首ポキが重い疾患の引き金になる可能性は低いかもしれません。しかし、可能性は確実にある、ということだけはどうか覚えておいてください。

肩こりや首こりは、その場しのぎのほぐしでは治らないどころかむしろ徐々に悪化していきます。30秒で驚くほど効果がある体操やストレッチ方法などが定期的に話題にはなりますが、一時的には楽になっても治ることはありません。治る人がいないから、流行るのです。

まずは、首の関節を鳴らすのは、良くないことだと意識するようにしてください。ご家族やお友達で、首ポキをされている方がいたら、ぜひ注意してあげてください。

そして、できれば、早めに治療を受けてください。

これは、医療に携わる者としての切実な願いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。ご不明な点、ご質問等ありましたら、遠慮なくご連絡ください。

 

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


首ポキ解消法の真相|首を鳴らす施術やポキポキ鳴らす行為の危険性。脳卒中や死亡リスクとの関連性。

このブログ記事は専門用語が多く、一般の方には読みにくいと思い、

Q&Aの会話形式で分かりやすく解説した記事「首ポキは肩こり解消になるの?ネットやテレビで喧伝される説への疑問にお答えします。」別途ご用意しました。

まず、最初にリンク先の記事をお読みいただければ、幸いです。

肩こり解消のために、ついつい首をポキポキ鳴らしていませんか?

 

デスクワークなどで、前傾姿勢を長時間続けますと、首や肩が疲れてしまいます。ですから首を回したり、伸びをしたりする人がほとんどではないでしょうか。その際に首の関節をボキボキ鳴らす人も少なくないでしょう。関節を鳴らすことが気持ちいいと感じる方もいらっしゃいます。

このような動作は、たしかに一瞬楽になったと感じるかもしれません。しかし、コリを解消する効果は残念ながらありません。凝った→ほぐす、の繰り返しでしかないのですが、これは実は悪循環です。

首をボキボキならすことを「首ポキ」と呼ばせていただきます。

 

2019年5月3日にCNNでこちらのニュース『「首ポキ」で脳卒中、左半身まひで入院 米男性』が報じられ、”首ポキが、実は危険な行為である”、ということがSNSを中心に話題になりましたが、情報が錯綜しています。

首をよく鳴らす人は脳卒中になりやすいという話を耳にした方も少なくないと思います。肩こり・首こりの専門院を開設している者として、詳しく解説したいと思います。

肩こりは、女性の体の悩み第1位、男性では第2位です。

 

厚生労働省発表の「平成22年 国民生活基礎調査の概況」によりますと、国民の13%、約1200万人の方が肩こり・首こりを訴えています。以下の表の有訴者というのは自覚症状をもっている人を意味します。

出典:厚生労働省国民生活基礎調査

肩こりは男性よりも女性に顕著で、肩こりで悩んでいる人は、なんと腰痛よりも多いのです。

「首ポキ」は患者さんから受ける質問、第1位です。

 

当院は肩こり・首こりを専門としておりますが、中でも患者さんから受ける質問で特に多いのが「首ポキ」です。

慢性的な肩こりや首こりにお悩みの方は少なくとも一回は首をポキっと鳴らしたことがあるのではないでしょうか?または、鳴らす目的はなくとも、首を曲げていたらポキっと鳴ってしまった経験がおありだと思います。

また、街中に溢れている整体やカイロプラクティックなどで施術を受けると、決まって「骨のゆがみ」を指摘され関節をポキポキと関節を鳴らされます。

 

首ポキ

出典:wikiHow

インターネット上で検索してみると、どれも大元の情報ソースが同じであろうと考えられる引用文章ばかりで「首を鳴らすと死ぬ」「1トンの圧力がかかる」などといった情報が流れており医学的な立場からの解説が乏しいです。

そこで今回は「首ポキ」について医学的な見解と解説をします。

首ポキに纏わるウワサを医学的に検証

① 関節ってなぜ鳴るのでしょうか?

関節の隙間内の空気が、風船が割れるような感じで鳴る、というイメージをお持ちの方が大半だと思います。

ポキポキという音の正体は、関節内に生じるキャビテーションです。キャビテーションとは耳慣れない言葉だと思いますので説明いたします。キャビテーションとは、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象です。余談ですがこの現象は19世紀末に、高速の舶用プロペラが、予想された性能を発揮しなかったことから発見されました。

関節が鳴る仕組みについては、昔から仮説・推測で説明されてきたのですが、2015年になって初めて実証されました。なんと、MRI撮影により、ポキッと鳴った瞬間の関節内部で起きていることが映像で記録できたのです!!Real-Time Visualization of Joint Cavitation PLOS ONE

人体の関節は骨と骨が関節包という袋のような物に覆われています。そして骨と骨の間には関節腔という僅かな隙間があるのですが、そこには滑液という一種の潤滑油で満たされています。大雑把にいいますと、関節は液体なのです。

普段動かさない範囲に関節を急に曲げたり伸ばしたりすると、関節腔の容積が一気に増すことになります。その時関節内で何が起きるかと言いますと空洞ができます。この空洞の正体は、滑液に溶けている窒素や二酸化炭素といった気体です。関節内の圧力が急に下がったために(陰圧)、滑液に溶けきれなくなった気体が気化するのです。といっても気化する量はごくわずかです。ですから、下がった圧力を戻す働きが作用し、反対側から滑液が一気に流入して空洞は消滅します。これらが消滅するときの衝撃により音が発生し、関節内で共鳴することであの「ポキッ」という音が鳴るのです。

 

関節 クラッキング
出典:http://www.wikihow.com/Crack-Your-Neck

つまり「ポキッ」と鳴る音は、骨や軟骨そのものが摩擦を起こすことで鳴っているのではないのです。なので「ポキッ」と鳴った後は通常数十分ほど時間が経たないと鳴りません。

肩や膝を動かすと常時パキパキ・ゴリゴリ・ジャリジャリと音がするのは関節の適合性や安定性が悪いがため発生する音なので別物です。 以下はキャビテーションにより発生する「ポキッ」を題材に話を進めます。

② 「1トンの衝撃」・・・鵜呑みは禁物です!!

様々な所で、首の骨を鳴らすと「1トンの衝撃」がかかると言われています。しかしこれには一考が必要です。

まず、「トン」は重量の単位であり衝撃力を表す単位ではありません。衝撃とは物理的には急激な速度変化の度合いのことをさします。

速度変化の大きさ(加速度)の単位は[m/s^2]が基本ですが、衝撃の場合は重力加速度との比をとって[G]が使われます。衝撃力はこの加速度に物体の質量を乗じたもので単位は[N]が基本ですが、重力加速度で割って[kgf]やこれを1000分の1にした[重量トン]が使われることが多いのです。

つまり、衝撃力を表す時に、直接その重量が負荷としてかかるわけではないのに慣用的に「〇〇キロの衝撃」や「〇〇トンの衝撃」と表現されることが多いのです。衝撃力には時間の概念が必須なため、力が作用する時間次第でがらりとイメージが変わってしまいます。

これらをふまえると、まず重量としての1トン(1000kg)が首にのしかかるというのは間違いです。仮に1トンという数値が本当だとして、衝撃力に換算にしても1000分の1秒で瞬間的に1kgがかかったら1トンの衝撃となるので、1トン(1000kg)の重さがのしかかるというイメージは間違っています。

そのため首ポキッにより1トンの衝撃がかかり即死亡したり、即重度の障害を生むことは考え辛いですが、上記の計算では少なくとも1キロの負荷はかかっていることになるので、例え1キロだとしても組織の微細な損傷は少なからず生じるものと考えられます。

そもそも、この「1トンの衝撃力」という根拠を調べてみても出所がわからず、クラッキング時の衝撃力を正確に計測したデータや実験についての文献が見つからないため、「歪みが原因の理論」と同様、マーケティングの一貫で患者さん方に恐怖を植え付けるためにどこかのセラピストが言い出したことなのかもしれません。

とはいえ、ものすごい破壊力のある衝撃が加わるわけではないものの、「ポキッ」は空気の破裂という現象により生じると考えられているため、その程度はわからずとも少なからずの衝撃があることには変わりはありません。関節内は非常にデリケートな部分であるが故に関節包という袋で守られていることもあり、小さな衝撃による組織損傷も十分に考えられるため軽視はできません。

③ 首ポキで死んでしまう可能性について

[1] インターネット上では「首をポキッと鳴らすと首に1トンもの衝撃が加わり、頚動脈破裂したり脊髄損傷が起こり死亡したり半身麻痺となる」などと書き込まれています。

果たしてその真相は・・・

まず、「1トンもの衝撃・・・」というのは≪2≫で解説しました。軽視はしてはいけませんが、みなさんがご想像する“1000kgの重量がのしかかる”という意味ではなく、即刻首の骨が折れるような負荷ではないことはお伝えさせていただきました。

[2] 続いて「頚動脈が破裂したり脊髄損傷が起こり・・・」という点です。

外から大きな力が加わり、首を傷めることによって生命に影響を及ぼすのは、

延髄(えんずい)損傷  …  脊髄と脳の移行部に存在し、呼吸や脈拍など生命維持に不可欠な機能を支配する中枢神経です。中枢神経と末梢神経を合わせて神経系といい体の機能や動きを調整します。中枢神経とは神経系の親玉のことです。例えば絞首刑では首を縄で絞めて呼吸できないようにするのではなく、落下時の衝撃で上部の頚椎を脱臼骨折させ延髄を破壊することを行います。延髄が破壊されたら人間は生きることはできません。

 

延髄
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz2/a-cg/a-800/a-830/IPA-acg430.htmから引用させていただきました。
 

頚髄(けいずい)損傷  …  頚椎、つまり首の骨の中に納まる中枢神経のことをいいます。より頭に近い上部の頚髄(第1~4頚髄)と、下部(第5~7頚髄)を損傷するのでは生命維持という点で大きな差があります。上部の頚髄は横隔膜を支配するため、損傷すると自分で呼吸ができなくなり人口呼吸器無しでは生きることはできません。下部の頚髄ではその程度により、動きだけでなく様々な内臓諸器官の機能不全がおこりますが、基本的には首から下が麻痺します(損傷頚髄以下の神経伝達が途絶えて運動が不可となります)。

 

頚髄

http://infoseek_rip.g.ribbon.to/bunseiri.hp.infoseek.co.jp/sekizui.htmから引用させていただきました

 

この二点が考えられます。

しかしこれらは交通事故や極限状態のスポーツによる日常生活では計りしれない衝撃が加わった際に、頚椎(首の骨)の脱臼骨折が起こり、その中に納まる延髄や頚髄が損傷します。「首ポキ」と交通事故などの衝撃をくらべると・・・答えは明らかです。お年寄りや、重症の骨粗鬆症を患っていない限り、自らの力でそこまで首の骨に負荷を与え、内部の中枢神経に負荷を与えることは不可能です。

ただし、カイロプラクティックや整体などでしばしば行われる首をお急激に動かす手技には危険が潜みます。

そのような手技を受ける際に患者は仰向けで脱力し筋肉や靭帯が緩む肢位、つまりとても無防備な状態で動かされることとなります。この状態で無理な力が加えられることにより、頚椎の脱臼骨折が起こる可能性は十分に考えられます。“首ポキ施術”による事故はこのような可能性があるので、他人によって力を加えられて行うのは避けるべきです。そのような危険をおかしてまで“首ポキ施術”を行っても、お悩みの症状は解決しませんし、「首ポキ」をしなくても治すことは可能だからです。

[3]  「頚動脈が破裂する・・・」においても解剖学上明らかに矛盾があります。

首に手を当てて拍動を触知できる、みなさんがご想像するいわゆる頚動脈は、首の骨・関節とは離れた部分にあます。また、動脈は生命活動に重要な血液を循環させているため非常に頑丈な構造となっています。“いわゆる頚動脈”の太さはタピオカの吸えるストローくらいですが、触った感じは例えるならば庭の水まきをするホースをご想像ください。あの硬さ・弾力が主要な動脈です。私は実際に人体解剖にて触知しましたが、引きちぎろうとしてもびくともしませんでした。それほど動脈とは強固な構造なのです。

なので「首ポキ」の衝撃の程度も前述しておりますが、即刻頚動脈が敗れる心配はありません。また、百歩譲って「首ポキ」が動脈を損傷可能な衝撃を持ち合わせていたとしても“いわゆる頚動脈”は首の骨の関節内にあるわけではないので、その衝撃をまともに受けるわけではありません。

しかし!!!!軽視はできません。

首の主要な動脈は2つあります。一つは“いわゆる頚動脈”と言われる総頚動脈です。総頚動脈はノド仏のあたりで外頚動脈内頚動脈に分かれます。その名の通り、外頚動脈は主に頭部の表面部分を栄養し、内頚動脈は頭の深部、つまり脳を栄養します。この総頚動脈からの流れは上記で説明しましたように、首の骨とは離れた部分にあるため首ポキ衝撃による影響は考え辛いです。しかしあまり知られていない首のもう一つの主要な動脈が椎骨動脈が論点となります。

 

椎骨動脈
出典:http://www.painneck.com/blog/neck-cracking-and-neck-popping/
 

椎骨動脈とは総頚動脈(内頚動脈)とは別ルートで脳を栄養する重要な血管です。解剖学的には、左右一対の椎骨動脈は首の骨の中(横突孔)を貫いて上行し、脳に入るとやがて一つに合わさり脳底動脈となり、脳の深部を栄養します。脳底動脈は脳の内部で内頚動脈と合流し脳の中で血管のループ(大脳動脈輪=ウィリスの動脈輪)を形成します。つまり、脳は重要な臓器であるため総頚動脈(内頚動脈)1つではなくサブルートをもって栄養されているのです。

 

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そこで着目するのが、椎骨動脈の走行です。

先ほども述べましたが、椎骨動脈は第1~第6頚椎を貫いて脳に至ります。つまり頚椎に直にくっついて存在します。1で解説しましたように「首ポキ」は頚椎の関節での物理現象により起こるため、その衝撃は椎骨動脈に影響を及ぼすことは十分に考えられます。

これまでをふまえて「首ポキ」の血管系への影響を考察と共に以下にまとめてみます。

A)  “いわゆる頚動脈”つまり総頚動脈(内頚動脈)への影響は解剖学的にみて考え辛く、可能性があるとすれば椎骨動脈である。

B)  ≪2≫で解説しましたように「首ポキ」による衝撃一撃で血管が破れることは考え辛いが、頻回行うことで椎骨動脈には少なからず影響を与える可能性はある。

C)  首が鳴るためには日常的な可動域を超えて動かすことになるため、首の骨の間(横突孔)というとても狭い通路を通るため、椎骨動脈には過剰は進展や摩擦などの刺激が加わる可能性がある。

D)  衝撃・進展・摩擦=物理的刺激は組織を傷つける可能性があり、血管の内部が傷つくとそこが変性し動脈硬化が促進される。また血栓が形成されやすくなる。

E)  椎骨動脈にできた血栓が何らかの影響で流れた場合、脳に侵入し、塞栓となり脳梗塞となる可能性がある。

補足)上記は動脈のみに着目して解説してきましたが、首の骨の内部を通る椎骨静脈系というのも存在します。こちらは静脈なので心臓へ帰るほうのルートです。静脈は動脈より壁が脆弱なため物理的刺激には圧倒的に弱いです。余談ですが、鍼灸の針では静脈は刺すことができますが、動脈は弾かれて刺すことはできません。この椎骨静脈系は首の骨にまとわりつくように存在するため、B)C)等の負荷の影響は動脈よりも受けやすいです。静脈系で血栓が生じそれが流れると、塞栓症として肺梗塞心筋梗塞のリスクが考えられます。

首ポキについてのまとめ

キャビテーションによる「首ポキ」は関節の構造が造りだす物理現象であり、関節の形状にも個人差があるため、鳴りやすい方・鳴りにくい方がいるのは確実です。そのため、鳴ること自体は異常ではありませんが長期に渡って常習的に鳴らしたり、無理な力で鳴らすことによる弊害はあります。

上記のように分析してみると、自ら動かした時に鳴ってしまうのは直近で生命につながる問題となるのは考え辛いです。しかしそれが長期間にわたり常習的に行われると血管に影響が出て循環器領域で生命を脅かす疾患につながる可能性は十分に考えられます。こういった点では鳴らす癖がある方は早めに治した方が良いでしょう。

一方、施術の一貫として行われる「首ポキ」においては、それを行うにあたってのメリットとデメリットを考慮すると、上記で説明した中枢神経を損傷するというリスクを抱えてまで行うメリット、つまり施術による効果が考えられません。首ポキ施術をすることによって一生首にまつわる不快な症状が消えるならばまだしも、そうではないからです。したがって、施術の一貫としての安易な「首ポキ」を受けるのは絶対に避けるべきです。

ところで、

なぜ、ついつい常習的に首を鳴らしてしまうのでしょうか?

首を鳴らさなくていてもたっていられなくなってしまうのでしょうか?

それは「硬ければ重症か?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説」で解説しましたが、重症・慢性化し神経症状としての肩コリ・首こりとなってしまっているからです。このように

常に気になってムズムズしてしまう

首を捻じったり 動かさないと いてもたってもいられない

無意識のうちにいじっていたり 鳴らしてしまう

発作的に急激につらくなる

睡眠が充実していなく、朝一が一番つらい

首こりつらい

出典:http://www.huffingtonpost.com/2012/10/03/neck-cracking-dangerous-spinal-manipulation_n_1929690.html

 

というのに心当たりがあれば、それは肩こり・首こりの負のスパイラルにはまってしまっているサインです。この状態では放置していても絶対に治ることはありませんし、簡単な施術による“ほぐし”程度ではすぐに元通りとなります。

つらくて我慢できない時にとんぷくとして簡易的な施術を受けるが楽になるのはその時のみで結局つらい状態から解放されることはなく、徐々に悪化していきます。この状態を変えるには「根本的な原因の解決」が必要です。

肩こり・首こりは直近で生活や生命に支障がでるわけではありません。しかし放置や適切な処置を行わないことに確実に進行・悪化していきます。1日でもはやく対処しましょう。

実際に首をボキっとしての危険性は、カイロプラクティックや整体などで首ボキ施術を受けても10万人に一人くらいしか起こらない、と言われています。

しかし「45才未満で脳卒中を起こした人は一週間以内にカイロプラクティックで首ボキをやっていた人がやっていなかった人と比べて5倍多かった」というデータがアメリカ心臓病学会の2001年に出された報告にて示唆されています。

こちらの記事を参照しました→http://stroke.ahajournals.org/content/32/5/1054.full

首ボキ施術のリスクについては、イギリスのブルネル大学(Brunel University)のリハビリテーション研究室の報告によっても椎骨動脈解離や脳血管障害をはじめ重篤な神経疾患への可能性が示唆されているようです。

こちらの記事を参照しました→http://www.brunel.ac.uk/news-and-events/news/news-items/ne_190062

このように首ボキ施術にはリスクが伴うことから、日本では厚生労働省からは禁止するよう促されております。参照:厚労省ホームページ

おそらく・・・ 自ら首をポキッと鳴らしてしまう方は首や肩がどうしてもわずらわしくて、気になってしまい、仕方がなく鳴らしてしまっていることでしょう。

また、首ポキ施術を受けた方、受けている方は肩こり・首こりを治したくて整体やカイロプラクティックにかかられたことでしょう。それで、肩こり・首こりが治った方はおそらくいないと思います。

百歩譲って、首をボキッとして根治するようならば、行う価値はあるかもしれませんが、現実問題それはありえません。(肩こり・首こりの原因は”骨のゆがみ”ではないからです。詳しくはこちらの記事で解説しています)

どのような施術を受けるかは患者さんの自由ではあるのですが、少なくとも首ポキ施術を受けるにあたって、リスクと効果を比べてお勧めはできません。

自ら首ポキを行ってしまう癖がある方も、それを繰り返すことは何もプラスにはなりませんので、是非意識していただきたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。分かりにくいテキストだったと思います。当記事をより分かりやすく解説した記事を別途ご用意いたしました。

あべこべ体操の効果を検証
  • 肩こり・首こりの原因とは・・・
  • マッサージなどの施術を受け続けてもいっこうに解消されないのはなぜか・・・?
  • 確実に解消するために必要な事は・・・?

をこちらにまとめました→「確実に肩こりを解消するために必要なこと

あわせてこちらもご覧になっていただけましたら幸いです。

鍼灸・マッサージの裏事情(1) 硬ければ重症か?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説

鍼灸・マッサージの裏事情(3) 血行改善により肩こり・首こりが解消されない理由 (医学的根拠に基づき神経生理学の観点から解説)

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。