概要
S様 / 東京都在住 / 33歳 / 女性 / 自営業(技術職)
症状
首こり 肩こり
肩甲骨周りのこり
状態
長い間慢性的な首肩こりや、肩甲骨周りのこりに悩まされており、5年前から鍼灸マッサージ院に通い始めた。
通う以前と比べるとだいぶ良い状態に改善したが、仕事が忙しくなり、座る時間が長くなると、まだこりを感じてしまうため、来院された。
見立て
一見すると姿勢は悪くないが、インナーマッスル(脊柱起立筋、腹横筋など)と比較して、アウターマッスル(僧帽筋、広背筋など)が優位に働きやすく、姿勢の維持をアウターマッスルに頼ってしまっている。
アウターマッスルは強い張力を発揮するが、持続性に乏しく筋疲労を起こしやすい。
そのため、長時間同じ姿勢をとっていると、筋疲労や筋緊張が起こりやすい状態となっている。
インナーマッスルを優先的に使えるようにトレーニングをすることで、長時間の姿勢維持が可能となり、現状打破できると考えた。
治療
1〜3回目
こりの出やすい首、肩や肩甲骨周りを中心に鍼やマッサージで全体的に筋肉をほぐした。
また、並行してインナーマッスル(腹横筋、脊柱起立筋など)のトレーニングを行なった。
治療頻度は2週間に1回のペース。
治療後はこりから解放され楽になる感覚はあったが、1週間ほどでまたこりを感じてしまう状況で、これ以上短いペースで治療をすることは仕事の都合上難しかった。
だが、日常生活の中でセルフケアとしてトレーニングをすることによっても、こりの緩和を実感されていたため、あえて鍼やマッサージを使わずにトレーニングのみで、筋力強化とこりの緩和を狙う方針に方向転換した。
4〜7回目
姿勢を長時間キープするのに必要な要素(腹横筋、脊柱起立筋など)を個別にトレーニングしつつ、徐々にスクワットやデッドリフトなど、それぞれの筋肉を連動させながら動かすトレーニングにステップアップしていった。
また、肩甲骨周りがこりやすいので、こりの解消を目的として、肩甲骨を積極的に動かすトレーニングをセルフケアでも入念に行なっていただいた。
はじめのうちは、うまく連動させることができなかったが、トレーニングを重ねるごとに少しずつ、連動性が増していき、負荷の増量や、回数、セット数も多くこなせるようになった。
8回目
トレーニングを重ね、アウターマッスルのみに頼りすぎず、インナーマッスルと協調して姿勢キープができるように改善した。
仕事が立て込んでいる際に、こりはまだ多少感じることはあったが、日々のセルフケアによっておおよそコントロールができるようになり、日常生活や仕事にも支障をきたさなくなってきたため、治療はゴールとなった。
コメント
今回のケースのように、鍼治療やマッサージ治療にて、ある程度まで改善したけれど、その状態からなかなか先に進まないという方は少なくありません。
鍼やマッサージは対症療法です。一定の頻度で通い続けていれば、つらさは低い水準で保つことができます。
ですが、S様のように、今まで以上に仕事が忙しくなってしまったり、治療間隔をあけてしまうと、こりがつらくなってしまうという方は、トレーニングを行い身体を支えるのに適した筋肉(多くの場合はインナーマッスル)で、効率的に姿勢を維持する必要があります。
S様は日々のセルフケアでこりがひどくならないように保ちながら、体幹のインナーマッスルを強化することで、徐々に治療の必要がない身体へと改善することができました。
本件は、運動療法によって根本的な改善にいたった例といえます。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
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「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。