はじめに
今回は、首肩こりにお悩みの方向けに、肩こりラボが推奨する「肩こりケア モーニングルーティン」をご紹介いたします。
なぜ、「朝」を推奨するか
それは、
寝起きは筋肉の柔軟性が低い からです。
睡眠中は、寝返り等で体勢を変えるものの 圧倒的に筋肉を動かしていない時間が長くなります。そのため、起床直後は筋肉が日中と比べると硬い状態にあるといえます。
体温と筋膜の関係
また、起床時は1日の中で最も体温が低いです。
筋肉は「筋膜」と呼ばれる膜に表面が覆われており、その筋膜同士の滑走に関与するゲル状の基質は
温度があがればあがるほ粘性は低下し(=柔らかくなる)、
温度が下がるほど粘性は増加します(=硬くなる)。
つまり、1日の中で最も体温の低い朝は、筋膜の滑走性に関与する基質の粘性が高く
筋膜同士の滑走性が悪い、= 関節の可動域が悪い ということになります。
また、寝具が身体にあっていないとなおさら朝の身体のコンディションは落ちます。
過去の、枕について書いた記事もご参照くださいませ。
https://movementjourneys.com/post-16301/
筋肉が硬い状態のままだと、どのような支障が生じるか
筋肉が硬いまま活動を
準備体操せずにスポーツを始めるようなもので、筋肉への負担が大きくかかります。
特に肩こりでお悩みの方は、朝に肩こりにつながる筋肉をほぐし、正しい体の使い方を体操で行うことで身体の負担を減らすことができます。
朝が弱く、ついギリギリまで布団の中で過ごしてしまうという方もいらっしゃるでしょう。しかし、規則正しいリズムで生活することは肩こり予防にも良い効能があります。
こちらも後ほど詳しく説明してまいります。
以上のことから、「朝」に肩こりケアのルーティンをおすすめします。
ぜひ、明日の朝から取り入れてみてもらえますと幸いです。
太陽の光を浴びる
肩こりの原因にはさまざまありますが、そのうちの一つに「自律神経の切り替えがうまくできない」ことがあります。
肩こりと自律神経
実際に、自律神経失調症の患者さんが「肩こり」を自覚することがしばしばあります。
【自律神経失調症における症状】
画像をhttps://www.qlife.jp/dictionary/item/i_041241000/ より引用させていただきました。
人間の身体は、サーカディアンリズム(概日リズム)にコントロールされております。
サーカディアンリズムとは、
生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。人間においても体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。この約24時間周期のリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれます。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.htmlより引用
光が体内時計をリセットする
また、このようなエビデンスもあります。
概日リズムは24時間より長い周期を有するが、同調因子によって24時間周期に調整されることを報告している。最も強い同調因子は、光である
つまり、我々ヒトの身体は、太陽の光を浴びることがきっかけでだいたい24時間周期体内時計が調整されるということを示しております。
この24時間周期が乱れていると、自律神経の乱れに繋がり、肩こりをはじめとする様々な不定愁訴が身体に現れることがあります。
心当たりのある方は、まずは一定のリズムでの生活を心がけ、朝に太陽を浴びて体内のサイクルを整えましょう。
体を温める
冷えと筋肉の関係
今の季節、特に冷えにお困りの方も多いのではないでしょうか。
冷えは、血液の巡りの悪さによって起こります。
血液には、熱を運んで体温を調節する働きと、臓器に酸素や栄養を運び、二酸化炭素や老廃物を回収する働きがあります。
血流が筋肉まで行き渡る→筋活動が増す→体温が上がる→身体活動がしやくなる
というサイクルが生まれるのです。
逆に、血流が各筋肉に行き渡らなくなると冷え、肩こり、腰痛、だるさ、疲れ…と、全身に不調が起こるようになります。
しかし、単なる冷え症だと思っていたら、膠原病や、甲状腺などの病気の場合もあります。長く続くようなら注意して、専門医を受診しましょう。
1日の中でもっとも体温が低い
朝の冷え対策に温かい飲み物を飲んでみましょう。
寝起きのからだは一日のうちで最も冷えているので、温かい飲むことによって消化管を刺激し、その後の消化を活発にします。
また、「白湯」も良いでしょう。
しっかりやかんで沸かしたお湯は、水の対流が起こるため、お湯全体が均一に温められ、電子レンジで温めたものと比べると冷めにくいという研究もあります。
白湯を取り入れる際は、ご参考にしてください。
また、前述したように、身体を温めるには、「筋肉」の働きが非常に重要です。
我々人間の体温は、暑い時期も寒い時期も一定に保たれています。
ヒトの細胞や組織が適正に働くことができる温度が37度付近であり、大きくここから変動があると生命維持に影響が出てしまうためです。
実は、この“熱”を作るという重要な働きも筋肉が担っております。
このあと紹介する「体操」も筋肉による熱産生が期待できます。冷え改善にもお役立てください。
体操
【ラボズプレップ(LABs PREP)】
本来prep(プレップ)とは、preparation の略で「準備をする」、という意味があります。
1日の活動の初めに行うことで、筋肉の柔軟性や関節の可動域の改善、正しく使うべき筋肉を活性化するなどの意義があります。
【ラボズプレップ(LABs PREP)】は、肩こり治療でも重要な 「股関節」「胸椎」 の可動域を出すメニュー中心に、これから動くぞ、という朝やトレーニング前などに準備体操としてもご活用しやすい内容となっています。
当院で患者さんにお伝えしているセルフケアも収録しております。
収録内容
00:12 腰と股関節のほぐし
00:48 お尻のストレッチ
01:47 背骨のひねりストレッチ
03:41 背中のストレッチ
04:50 ドローイン
05:40 太もも・股関節・わき腹伸ばし
07:51 大胸筋ほぐし
08:58 背伸びから肩よせ
09:48 背中式呼吸
10:40 もも裏のストレッチ
肩こり治療においても、治療が必要ない状態に至るまでには、多くの場合、運動療法が必要となります。
【ラボズプレップ(LABs PREP)】は、今まであまりトレーニングをされたことがないという方も始めやすい難易度ですので、運動に不安がある方も、まずはこちらからスタートしていただき、日々のセルフケアにご活用していただけますと幸いです。
顔周りの筋肉をほぐす
多くの方が朝、鏡の前に立つと思います。
その際に、【約3分間】顔や頭、首をほぐす時間を作ることはできますでしょうか。
肩こりや緊張性頭痛などでお悩みの方の中には、『食いしばり』や、夜間の『歯ぎしり』をご実感されている方も多くいらっしゃいます。
特に酷使しやすい、以下の筋肉を重点的にほぐしてみましょう。
咬筋(こうきん)
夜間の食いしばりや歯ぎしりで使う筋肉。硬くなるとエラが張る要因にもなります。
ほぐし方
左右から両手で人差し指・中指・薬指を咬筋にそえて、ゆっくり円を書くように回す。
側頭筋(そくとうきん)
こちらも食いしばりや歯ぎしりで使う筋肉。頭痛、頭こりにもつながる筋肉です。
ほぐし方
左右から両手の人差し指・中指・薬指・小指を側頭部にそえて、クルクル円を書くように回す。
胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
猫背姿勢が強いかた、肩こりの方で、過剰に働いてしまっている方が多く見られます。
ほぐし方
ほぐす側の反対の手の親指と人差し指でつまみ、上下や手前に引き出すように筋肉をつかんで動かす。
※指のはらで広く掴むようにしましょう。つかみにくい場合は、首を少し横に倒し(右をほぐすときは右へ倒す)、筋肉を弛緩させておこなってみて下さい。
皺眉筋(しゅうびきん)
眉間(みけん)にしわを作る時に働く筋肉。凝り固まると目の疲れにつながります。
ほぐし方
左右の親指と人差指で眉頭をつまむ。または親指で骨の際に沿って指圧。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
首肩こりにお悩みの方向けに、肩こりラボ推奨の「肩こりケア モーニングルーティン」をご紹介いたしました。
日々の朝の肩こりケアにお役立てください。
また、「寝ても回復しない」「マッサージに行ってもすぐに辛くなってしまう」肩こりは治療が必要な肩こりかもしれません。
肩こりの原因は一人一人異なり、また原因は一つではなく、複数の要因により現れていることが多く、中には、病気が隠れていることもあります。
ですので、ひどい首肩こりでお困りの方はどうかご無理をせず、専門家に診てもらうことをおすすめいたします。
参考文献
運動選手における睡眠及びマットレスの種類が筋硬度に及ぼす影響
スポーツ科学研究, 12, 38-47, 2015 年
男子大学生における健康関連 QOL 尺度と体温の日内変動特性および生活習慣の関連性
体力科学 第 65 巻 第 4 号 431-440(2016)
「白湯」推奨医師 蓮村 誠
1961年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医学博士。医療法人社団邦友理至会理事長。オランダマハリシ・ヴェーダ大学、マハリシ・アーユルヴェーダ認定医。
マイクロ波加熱液中の異常な熱対流のマルチフィジックス解析 特徴
執筆者:伊藤 美里
Misato Ito
盛岡医療福祉専門学校卒業
日本医学柔整鍼灸専門学校卒業
鍼師・灸師
柔道整復師
学生時代バレーボールに打ち込み、当時自分の心の支えとなったアスリートやアーティストに携わる仕事をしたいと思い、「身体の治療・ケア」する道を選びました。
日々患者さんの治療にあたる中で、さらに治療の引き出しを増やすべく鍼灸師の資格を取得。
解剖学的な構造、運動学、最新のエビデンスの理論を基におひとりおひとりの「何が原因か」を追究し、よい治療をご提案できるよう努めてまいります。