前回までは骨盤の前傾、後傾についてご紹介いたしました。
今回は骨盤と連動して動く腰椎(腰の骨)についてお伝えしていきます。
「反り腰だから腰が痛いんですよ」「反り腰を改善させないと腰痛は治りません」
腰痛になった方でしたら、こんな言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?
元々、腰は反っている構造なのに、なぜ反り腰は悪者扱いをされることが多いのでしょうか?
その疑問にお答えできたらと思います。
腰椎と骨盤の構造

写真のように、腰椎は5つの骨が連なり、お腹側に向かって自然なカーブ(前弯)をしています。腰椎の下には仙骨があり、その仙骨と左右の骨盤(寛骨)と仙腸関節を介してつながっています。
仙腸関節は靭帯で強く結合されているため、仙腸関節の可動性の有無についてはさまざまな見解があります。
仙骨だけが極端に前傾している方もいるので、仙腸関節もある程度の動きはあるものとして考えられます。
そのため、仙腸関節周囲が硬くなることで、腰椎や股関節に負担がかかりやすくなるため注意をする必要があります。
腰椎骨盤リズムとは
腰椎骨盤リズムとは、腰椎と骨盤が連動して動くパターンのことです。
効率良く体を動かすためには、このリズムがとても大切になります。
腰椎骨盤リズムの代表例として、立位での前屈・後屈を以下にご紹介いたします。

<立位前屈時>
骨盤前傾+腰椎屈曲(骨盤は前に傾き、腰椎は前に丸く曲がる)

<立位後屈時>
骨盤後傾+腰椎伸展(骨盤は後ろに傾き、腰椎は反る)
前屈、後屈での腰椎骨盤リズムは、動きの評価時に確認しています。
骨盤と腰椎がうまく連動することで、腰に負担をかけず動けるようになります。
反対に、体に不調がある場合は、骨盤前傾+腰椎伸展パターン(過剰な反り腰)になっていることが多いです。

お腹の力が抜けて腰が痛む場合は、腰椎骨盤リズムが正しくできているかをチェックしてみてください。
理想的な反り腰とは
人間の背骨はもともと生理的な弯曲(S字カーブ)となっているいるため、立った状態では自然な「反り腰」になります。
つまり、反り腰そのものが悪いわけではないのです。
「理想的な反り腰」を考えた場合は、どこにも負担がかからないことが重要ですが、「腰が疲れる」「太ももの前が張ってくる」という方は意外と多いです。
そんな方々は、骨盤後傾位のエクササイズを行ってから骨盤前傾・腰椎前弯の形を作り直していくと、理想的な反り腰を獲得しやすくなります。
理想的な反り腰を作る段階的プログラム
まずは腰や太ももの前の力を抜くためにも骨盤を後傾させる運動から開始していくことをオススメします。
骨盤を後傾させることで腹筋・ハムストリングスへの活性化にもなるため、骨盤が安定しやすくなります。

・ペルビックチルトI
仰向けで骨盤を後傾させます

・キャット&ドッグ
四つばいで背骨全体を丸めながら骨盤を後傾させます


・ペルビックチルトII(バレル使用)
ペルビックチルトIに比べると骨盤を前傾位でコントロールすることが必要です。
そのため、腹筋・ハムストリングスを引き伸ばされながら使う遠心性収縮が大切になってきます。
腹筋・ハムストリングスの力が抜けてしまうと腰の力が入りやすくなりますので、注意してください。
骨盤前傾位になった状態で、一番避けたいことは「腰が疲れる」ことです。
腰が疲れるということは、腰の筋肉が過度に頑張った状態で体を支えており、腹筋の力が抜けていることが多いです。
理想は腹筋の力が抜けずに骨盤前傾位を取れることです。
この状態をどんな姿勢であっても作れるようにしていきたいです。
そのためには上記のような段階的なトレーニングプログラムを進めていくことが大切です。
まとめ
腰や太ももの前の力が抜けずに骨盤前傾位が持続されると、お腹には力が入りにくい状況となり、結果的に腰へ負担をかけ続ける状況となってしまいます。
この状況は理想的な反り腰とは言えません。
理想的な反り腰とは、腹筋群がしっかりと働き、腰や太もも前の力が抜けてリラックスしている自然な状態です。
今回ご紹介しましたように、段階的にトレーニングを進めていくことで、腰痛の人にも安全に行え、そして確実に改善へと繋がります。
「背骨や骨盤の動きを自由自在にコントロールできる」そんな理想的な体を手に入れて、自分のやりたいことに思いきりチャレンジしていきましょう。
お悩みの方は是非、当院へご相談ください。

執筆者:進藤 孝大
Takahiro Shindo
湘南医療福祉専門学校 アスレティックトレーナー科卒業
東京衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業
鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
A-Yoga Movement coach
目の前にいる人の体のお悩み解決に全力を尽くす。
その想いだけで活動してまいりました。
スポーツトレーナーとして培ってきたノウハウと経験を活かして、
運動療法と鍼灸マッサージを組み合わせた治療を提案。
ご自身に合った適切なケア方法等、皆様のお悩み解決に向けて徹底サポートを行います。