当ページをご覧の方は、肩こり首こりで心底お悩みの方が多いと思いますが、中には肩こり“ぐらい”で・・・なんていうまだ我慢できる・まだまだなんとか大丈夫!というくらいの方もいらっしゃると思います。病気と同様、重度の肩こりよりも軽度の方が治りやすいわけで、セルフケアでなんとかしたいとお思いの方が勘違いしやすい肩こり情報をQ&A形式でアップしていきます。
肩こりを改善する方法編
肩を毎日回せばこりは解消する説
やらないよりはやった方がいいかな、というのが正直なところです。
肩のこりを引き起こしている原因は、肩だけではないので、肩以外のコンディションが悪いままでしたら、こりが改善されたとしても一時的です。
肩を効果的に回すポイントは、肩甲骨を動かすことです。ただ、なんとなく肩を回すだけでは、肩甲骨はあまり動きません。肩甲骨が動くためには、肘の位置が耳よりも上にくるように回す必要があります。今、やってみてください。結構きついはずです。
四十肩・五十肩など肩関節に痛みがある場合は、無理をせず、痛みが出ない範囲で動かすようにしてください。
背すじを伸ばしていれば肩こりにならない説
バレエダンサーやホテルマンといったサービス業のような見た目の姿勢が美しい人に肩こりが多いのです。猫背になりがちなデスクワーカーにももちろん多いのですが、背筋を伸ばしていれば肩こりにならないというのは大きな間違いです。
直立で背筋を一直線にすると、本来のS字カーブを意図的に伸ばすため首や肩に負担がかかって疲れやすい状態になります。
肩こりを予防するための正しい姿勢と、見た目が美しい姿勢は異なります。肩こり予防の観点からの正しい姿勢に要点は大きく2つあります。
- 背骨がS字曲線を描くようにある程度の均一のたわみがあること
多くの場合、腰は反り腰、背中は円背、首はストレートネックといったように不均等はカーブとなってしまっています。
- 体幹の筋肉で支えること
身体を支えることに適した筋肉で支えること。具体的には殿部、腹部、背部の筋肉。多くの場合はこれらが弱ってしまっていて代わりに別の箇所で支えるようになってしまっています。その別の箇所というのが首肩や腰の筋肉=凝りができやすい筋肉なのです。
筋肉のこり=炎症なら冷やせばよい説
ズキズキと疼くような痛みなら冷やしたほうがよいです。
一般的に慢性的な肩こりであれば温めるのが正解です。ただし、温めることで一時的には軽減されるとはいえ、治ったわけではないので繰り返すことでだんだん慣れてしまいます。結果、こりが悪化する可能性もあります。
原因が様々であるのと同様、肩こりの症状の出方は様々で、肩こりの一言だけでは収まりません。
一般論として、「緊張感」や「ハリ感」の場合は温め、「痛み」であればアイシングがよいでしょう。症状が広範囲または一定エリアの場合は温め、ピンポイントの場合はアイシングが有効なことが多いです。
よくあるケースとして、首や肩の凝り、広範囲(一定エリア)の凝りがある場合の対処としては温め。一方、「痛み」として自覚する凝り、ズキズキ疼くような凝り、ピンポイントでつらい箇所がある場合にはアイシングが功を奏することがあります。
痩せれば肩こりが治る説
たしかに太っていると、姿勢が乱れやすくなりますし、上肢の重量も増えるため、それを支える首や肩の負担が増えて凝りが生じやすいコンディションにはなります。ダイエットをして肩こりが楽になるケース自体は間違いなくあります。
「痩せたら肩が凝らなくなりますか?」
これは、カウンセリングでよく質問されます。
痩せることで、首肩への負担が減り、それによってつらい首・肩のこりが解消されればよいのですが、太っていても肩こり知らずの人もいれば、痩せていても酷い首肩こりでお困りの方がいる、つまり、単に痩せれば良いかというとそうではないのです。
とにかくまずは痩せるように言われ、無理なダイエットをして、肩こりも特に治まらないばかりか身体を壊してしまうとなると本末転倒です。痩せれば何とかなるという考えは捨てて下さい。
首肩への負担を減らすために必要なのは体幹の筋力
首や肩の負担を減らすにはズバリ「体幹の筋力UP」です。体幹の筋肉(特にインナーマッスル)がしっかりと働くことでカラダを支えることができるのです。体幹がしっかりしていると正しい姿勢が無理なくとれるようになり、結果、首肩の負担が軽減します。
痩せている方はカラダをきちんと支える筋力が少ないために首や肩に負担がかかり凝ってしまいます。不適切なダイエットによって脂肪だけでなく筋肉まで落としてしまうと、かえって首や肩の負担が増えてしまい悪化をしてしまうということもありますので注意が必要です。
ダイエットにおいて大切なのは、脂肪は減らすが筋肉は減らさず、むしろ増やすことです。肩こりの原因は様々です。肥満が元となり負担がかかってしまっているなら、痩せることで肩こりが改善するかもしれません。ですが減量によってかえって悪化をしてしまうこともありますし、反対に痩せすぎが肩こりの原因になってしまうこともあります。
ですので、肩こりがひどくてダイエットを検討している方は、単に減量するのではなく、体幹の筋力を意識して取り組みましょう。そのためには食事制限だけでなく体幹のインナーマッスルを意識した運動が大切ですね。
筋力アップのためには様々なトレーニング方法があり、どれも一長一短です。体幹のインナーマッスルを鍛えてカラダを引き締め、しなやかなカラダを目指したい方にはパワープレート・トレーニングがオススメです。
肩だけ揉んでおけばよい説
肩こりは体全体のバランスが崩れて負担が方に集約された結果です。肩だけが原因ではありません。
正しい姿勢をキープするのがつらい人はバランスが崩れている証拠です。
背中や太ももの筋肉の硬直や衰えが原因になっている場合も多く、姿勢改善や運動不足解消などで意識せずに肩をもんでも意味はありません。
実際のところ、姿勢が悪いから肩が凝るだけでなく、肩が凝るから姿勢が悪くなってしまうということもあります。ですので、凝りのある個所をしっかりほぐして症状を解消するということは大切なことです。
肝心なのは、つらい箇所をほぐして一時的に症状が緩和したとしてもそれで良しとしないでいただきたいということです。凝りのある部分だけをほぐした場合、その時は楽になったとしても多くは時間の経過とともに戻ってしまいます。凝りをほぐす→戻る、ということを繰り返すうちに、刺激にも慣れていき次第に強いマッサージを求め、どんどん頑固な凝りになっていってしまいます。それは結局のところ慢性化を招いてしまうことになります。マッサージを受けて、はじめは1カ月効果が持続していたのに、最近は1週間持たなくなってきた・・・・いつの間にか通う頻度が増えてきた・・・というのに心当たりがある方は要注意です。
肩こりを根本的に改善するためには、凝りをほぐすこと=対症療法と、姿勢や生活習慣を正すこと=原因療法をセットで行うことが大切です。
冬のつらい首肩こり、首を温めればよい説
首を温めることで血流が改善して楽になることは多いのですが、首だけ温めるというのはオススメできません。
冬の寒い時期は、耳もあたためましょう。耳あての着用や、ニット帽を深くかぶる、フードをかぶる、マフラーの巻き方をアレンジするなど色々な方法がありますね。耳の中には、気圧の変化をキャッチするセンサーがあります。首と耳、神経・センサーが近いのです。首を温める場合、耳も一緒に温めましょう。
血流が増すことで痛みが増加してしまうこともあります。温めて痛みが増したり、つらさが増してしまったら、我慢せずに逆に冷やして下さい。押してダメなら引いてみろです。ひとつのやり方に縛られて我慢してより悪化・慢性化してしまう人が多いのです。温めてダメなら冷やす、冷やしてもダメなら温める、これは絶対に覚えておいてほしいポイントです。
「外人は肩こり知らず?」「肩こりで死んでしまうことがあるって本当?」「肩こりは働き盛りの人特有?」「親が肩こりだから自分も肩こり?遺伝なの?」といった肩こりにまつわる噂や説についてのQ&Aを以下にまとめました。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。