あんまマッサージ指圧師の仕事や資格取得方法をご紹介

肩こりや腰痛などの解消手段としても知られているマッサージのプロが「あん摩マッサージ指圧師」です。れっきとした国家資格の一種ではあるものの、資格の取得方法や仕事内容など詳しく知らないという方も多いでしょう。

今回は、あん摩マッサージ指圧師について解説します。

 

 

あん摩(あんま)とは?

「あん摩」とは、人の身体を揉んだり叩いたり押したりなどの手技を用いる療法です。もしくはあん摩を行う人自体のことを指す場合もあります。漢字にすると「按摩」であり、「按」の意味は「押さえる」、「摩」は「なでる」という意味です。

主な手技療法

 

 

1、軽擦法(けいさつほう)

2、強擦法(きょうさつほう)

3、叩打法(こうだほう)

4、圧迫法(あっぱくほう)

5、振せん法(しんせんほう)

6、揉捏法(じゅうねつほう)

7、伸展法(しんてんほう)

 

「あん摩」と似た療法として、「マッサージ」や「指圧」があります。こちらはそれぞれ発祥が異なる技術となっています。

・あん摩:古代中国が発祥です。主に衣服の上から施術を行います。

 

 

・マッサージ:ヨーロッパが発祥です。主に皮膚を直接刺激し施術を行います。

・指圧:日本が発症です。主に衣服の上から施術を行います。

 

 

あん摩マッサージ指圧師になる方法

あん摩マッサージ指圧師を名乗るには、まず試験に合格し、既定の資格を取得しなければいけません。こちらは医師・看護師などと同じく “人体を扱う職業”に該当するため、国家資格と定められています。

さらに「業務独占資格」に該当するため、国家資格を持たない状態で「あん摩マッサージ指圧師だ」と名乗ることはできません。さらに、あん摩・マッサージ・指圧を用いた施術を行うのは法律で禁止されています。

参考:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 | 厚生労働省

 

受験資格を得るには

必要な単位を取得した方だけが受験資格を取得できます。そのためには高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働省大臣が認定する専門学校・短大・大学といった学校や養成施設にて3年以上勉強し、必要な単位を取得することが求められます。

必要な単位を取得するためにはこれらの養成所や学校で知識だけを得るのではなく、実習もクリアしなければいけません。そのため、独学で受験資格を得ることは不可能です。さらに、専門学校や養成所は数が少なく、入学することも難しいケースも見られるのが現状です。

なお学校や養成所によっては、はり師ときゅう師の受験資格も取得できるカリキュラムを設定しているところもあります。勉強や実習は大変にはなりますが、はり師ときゅう師の受験資格も取得したい方はカリキュラムも確認しましょう。

 

国家試験の概要と合格率

他の医療系国家試験と同じく年1回実施されます。毎年2月に実施するため、学校や養成所を卒業見込みの状態でも受験可能です。

試験内容は医学概論・あん摩マッサージ指圧理論・臨床医学総論など12科目から出題されます。筆記試験はマークシートですが、知識と技術はしっかりと身につけましょう。

合格基準はその年で変動します。例えば令和3年に実施された国家試験の場合、合格率84.1%で、96点以上(160点満点中)が合格でした。

 

 

あん摩マッサージ指圧師の主な就業先や給料

資格取得してから就業できるか、給料はいくらもらえるかは気になるポイントでしょう。ここでは主な就業先と給料についてご紹介します。

 

あん摩マッサージ指圧師の就業先

本資格のみの取得を目指すのではなく、はり師ときゅう師の資格をはじめとする関連資格も取得することで、就業先の選択肢を広げることが可能です。

就業先として最も多い場所は、個人が経営する治療院や施術所です。他にも病院・介護施設・スポーツ施設などがあります。2021年現在、福祉分野にて本資格所持者の需要が増加しており、特に訪問マッサージ師としての活躍が期待されます。

さらに、「あん摩マッサージ指圧師」として5年間の実務経験を積むことで、介護支援専門員(ケアマネージャー)の受験資格も取得できます。介護支援専門員の資格があると医療と福祉分野で就業できます。さらに経験を積んでから独立開業するのも良いかもしれません。

・治療院

本資格所持者の就業先として最も一般的であり、スキルと経験を積みたい方におすすめです。治療院によっては院内施術のみならず、訪問マッサージやスポーツ団体へトレーナーとして派遣される場合もあります。

・介護施設

入所者を中心にケアのためのマッサージをしたり、機能訓練指導員として入所者や利用者の身体機能のサポートをしたりします。介護支援専門員の資格取得を視野に入れている方におすすめです。

・病院

リハビリ部門のスタッフとして治療後や治療中にリハビリが必要な患者に対して施術します。医師・作業療法士・理学療法士と一緒に仕事をするため、幅広い知識と経験を積めます。

 

あん摩マッサージ指圧師の給料

他の職業と同じく、雇用形態・勤務形態・就業地域によって給料は異なります。

あん摩マッサージ指圧師の平均的な給料は20万円~25万円の間が一般的で、年収では300万円~400万円です。ただし、独立開業をすると給料はさらに変わり、平均的な月収は30万円以上となっています。

 

 

あん摩マッサージ指圧師の資格を取得する主なメリット

先にも述べたようにあん摩マッサージ指圧師を名乗るためには、国家試験に合格する必要があります。

似たような施術を行う職業に整体師やセラピストがあります。これらの職種は国家資格を必要としておらず、名乗るためのハードルが低くなっています。

ここからは、国家資格を取得する主なメリットをご紹介します。

 

「あん摩」「マッサージ」などの看板を掲げることができる

医師以外は資格がなければ、あん摩マッサージ指圧はできません。

もちろん、施術することも不可です。「あん摩」「マッサージ」などという看板をかかげるためには既定の国家資格が必須です。

 

資格を持っていることで信頼されやすくなる

肩こりや腰痛などの解消を目的としてマッサージ店を探す場合、資格を取得している施術者がいるかどうかが基準の1つです。そのため資格を持つことにより、信頼や安心感が生まれやすくなると言えます。

現在、足裏マッサージ・カイロプラクティック・整体などがありますが、国家資格を必要としないこともあり、専門的な知識・技術がないがためにトラブルに発展する事例も見受けられます。しかし、国家資格の有無は確認できないのが現状です。

そこで国は国家資格を取得しているのが分かるように、施術する場所や受付などに資格情報を掲示するように通知しています。たとえば、看板に資格保有者であることが記載してあったり、施術者が厚生労働大臣免許保有証をつけていたりします。

参考:あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師と無資格者との判別について | 厚生労働省

 

施術が健康保険の対象になる可能性がある

実は国家資格がなければ健康保険の対象になりません。ポイントは施術者が国家資格を保有していることです。そのため、施術をした方が無資格の場合は対象外になるため注意してください。そのため、肩こりや腰痛などのマッサージを受けるときは、資格取得者に施術してもらいましょう。

 

 

まとめ

あん摩マッサージ指圧師を名乗るためには国家資格を取得しなければいけません。国家資格があることは知識と技術の証明にもなります。

資格取得のメリットや方法をふまえて検討しましょう。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

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