投稿者「肩こりラボ」のアーカイブ

【筋肉解説シリーズ第1回】 肩こりの代表格「僧帽筋」とはどんな筋肉?

肩こりと関係がある筋肉の代表といえば「僧帽筋」です。
肩こりでお悩みの方の中で、この「僧帽筋」にこりを感じる方が数多くいらっしゃいます。
肩の上の方がこっている感じがするそこのあなたも「僧帽筋」がこっているかもしれません。


このブログを最後までお読みいただくことで
「僧帽筋」がなぜこってしまうのか、どういった対処をしていくか
お伝えしたいと思いますので是非最後までお付き合いくださいませ。

僧帽筋とは

まず「僧帽筋」という名前ですが、由来としてはカトリック教会の一派であるカプチン会修道士のフードを見立てたそうです。


私はあまりフードに見えないのですが、いかがでしょうか。


実際にこちらがそのフード、いいえ「僧帽筋」です。

首から肩、背中にかけて大きく存在しており、体の表面に近い筋肉ですね。

僧帽筋の解剖学

では次に、「僧帽筋」の解剖学的なお話をさせていただきます。

起始停止作用支配神経
僧帽筋外後頭隆起
項靭帯
棘突起(全胸椎+第7頸椎)
鎖骨の外側1/3
肩峰(肩甲骨)
肩甲棘(肩甲骨)
上部 肩甲骨と鎖骨の挙上
中部 肩甲骨を内方に引き固定
下部 肩甲骨を回転し、上腕の挙上を助ける
副神経
第2~4頸神経

ここで解剖学 第2版/医歯薬出版/東洋療法学校協会に記載されている「僧帽筋」の説明を見ていきましょう。

僧帽筋は主として上肢の運動のとき、肩甲骨を動かし固定するが,上部・中部・下部の各部で線維の走行が異なるので,運動の方向はそれぞれ相違する。上部が収縮すると肩甲骨と鎖骨の外側端が挙上し、肩をすくめるような運動が起こる、中部は筋線維が水平に走り,肩甲骨を内方に引き固定する。たとえば、気をつけの姿勢で肩を後ろに引くときに働く。下部は肩甲棘の内側端を下方に引くので,肩甲骨は回転し、肩関節の外転時に腕の挙上を助ける。

上肢が固定されたとき、両側が同時に働けば頭を後屈させることができ、一側だけが働けば頸部をそちらの方に側屈することができる。

解剖学 第2版/医歯薬出版/東洋療法学校協会

要約していきますと、「僧帽筋」は
肩甲骨の安定や、首や腕、肩関節の動きに関わってくる大事な筋肉
なのですね。


また「僧帽筋」には
上部、中部、下部の3つの異なる線維があり、動作の役割も線維によって大きく変わります。


私たちが普段肩こりを感じてしまいやすい部分は「僧帽筋上部線維」になります。

僧帽筋と肩こりとの関係性

次に肩こりとの関係性について話していきます。

「結果因子」と「原因因子」

当院では肩こりに関わる筋肉を「結果因子」と「原因因子」に分けて考えています。


簡単に言えば
「結果因子」とは筋肉のこりのこと、
「原因因子」とはこりを起こしてしまう根本的な原因のことです。


「僧帽筋」はこりが起こる場所だから「結果因子」だ!と思われた方、半分正解です。


確かに長時間のデスクワークや、スマートフォンの使用などで首を前に倒した状態が長く続けば、その分「僧帽筋」はどんどん引き伸ばされ、負担が増し、こりにつながります。
また、「猫背」や「なで肩」などの姿勢不良も同様です。


姿勢が良くないことで「僧帽筋」にこりが生まれたという「結果」ですね。

「インナーマッスル」と「アウターマッスル」

見た目の姿勢を改善すれば解決というわけでもありません。
筋肉には「インナーマッスル」と「アウターマッスル」があります。


「アウターマッスル」は体の外側を覆うようにしてついている筋肉で、「表層筋」とも言われます。
強く大きな力を発揮する時に使い、持続力が低く、短時間で力を発揮する筋肉です。


そして「インナーマッスル」は体の深部にある筋肉で、「深層筋」とも言われます。
発揮できる最大の力は弱いものの、細かい調整や姿勢の維持、バランスをとる時に使い、持続力に優れ、様々な動きへの対応が可能です。


この2つが互いに協力することで様々な動きができるのです。


どちらも大事ではあるのですが、姿勢を維持する際には深層の「上部脊柱起立筋」によって行うことが理想とされます。


つまり、
「深層筋」を優先的に使って支えることができないと、「僧帽筋」を代表とする「表層筋」が過剰に働いてしまい、こりが生まれてしまうのです。

「原因因子」としての僧帽筋

さて先程なぜ半分正解と言ったかと言いますとこの「僧帽筋」、実は「原因因子」にもなるからなのです。


それでは解説していきます。
まずはこりのメカニズムについてです。


こりには筋肉が引き伸ばされて起こるものと縮んで起こるものの2種類あります。
筋肉が引き伸ばされて起こるこりの方が自覚的な症状として感じやすいです。
「僧帽筋」のこりも肩の後ろが引き伸ばされることで自覚的にこりを感じている方も少なくないでしょう。


ですが、ここでお話しするのは「僧帽筋」が縮んで起こるこりについてです。

写真の通り「僧帽筋」は肩の前側まで伸びています。


この前側の「僧帽筋」が不良姿勢などにより、縮んで固まってしまうと、いわゆる「巻き肩」となり、後ろ側の「僧帽筋」や、首の後ろ、肩甲骨の間にある筋肉などが引き伸ばされるということが起こります。


つまり「僧帽筋」は
筋線維の場所によって「原因因子」にも「結果因子」にもなる
ということです。


「僧帽筋」が他のこりの原因になること分かっていただけましたでしょうか。

僧帽筋上部のこりへの対処法

次は「僧帽筋上部」のこりを軽減させるために、実際にどのように対処していくか解説していきます。

動的ストレッチ

まず一つ目は「動的ストレッチ」です。


「動的ストレッチ」を行うことで筋肉の収縮と弛緩を促し、筋緊張を低下させます。
また血流を増加させ、血行の促進にも繋がります。


ゆっくり伸ばすだけの「静的ストレッチ」は可動域の改善に有効ですが、
こってしまっている部分を軽減させるには収縮と弛緩を交互に繰り返す
ことが重要です。


「僧帽筋の動的ストレッチ」の方法はこちらの動画を参考にしてみて下さい。

鍼/マッサージ

ひどくこってしまい、「ストレッチ」や「セルフマッサージ」などではつらさが軽減されない場合、「鍼」や「マッサージ」が有効です。


こってしまっている筋肉へ直接「鍼」や「マッサージ」を行うことで、筋肉を調整している神経に働きかけ、筋緊張を緩和させたり、血流の改善につながります。


「僧帽筋」に限ったことではありませんが、筋肉には厚みがあるため、
一方向ではなく様々な角度からこりに対してアプローチしていきます。
3D鍼/IDマッサージ


当院で実際に行なっている鍼治療をご覧ください。

こりのある「僧帽筋」に鍼が到達し、角度を調整しながら抜いたり入れたりしていると、筋肉がびくっと反応したのがお分かりでしょうか。


こちらは筋肉を調整している神経の反応です。


このような治療をしながら、
筋肉に備わった元々の収縮、弛緩機能を取り戻す手伝い
をしていきます。

まとめ

「僧帽筋」の特徴を以下3つにまとめました。


身体の表層にある筋肉であり、「インナーマッスル」が低下すると過剰に働いてしまう。

・「猫背」や「巻き肩」になっていると伸ばされて大きな負担がかかりやすい。

・「僧帽筋」の前側の線維が固まってしまうことで「猫背」や「巻き肩」の原因にもなりやすい。


以上のことから
「僧帽筋」が過度に引き伸ばされないような姿勢を、「インナーマッスル」で保つ
ことが重要です。


「僧帽筋」の軽いこりへの対処法は先程のストレッチ動画を参考にしてみてください。
ひどくこってしまった場合は「鍼」や「マッサージ」が効果的です。


「インナーマッスル」で良い姿勢保つための方法(原因療法)は、改めて記事にしますのでそちらも参考にしていただけると幸いです。

参考文献

(解剖学 第2版/医歯薬出版/東洋療法学校協会)
(筋骨格系のキネシオロジー)


執筆者:中込 優平
Yuhei Nakagome

帝京大学 医療技術学部スポーツ医療学科 健康スポーツコース卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
健康運動実践指導者

私は大学時代、 市営の体育館のトレーニングルームで運動指導をしていましたが、当時の自分にはお客様が肩や腰が痛いと仰っても解決する手立てがありませんでした。
そこから鍼灸あん摩マッサージ指圧師に興味を持ち始め、資格を取得しました。
日常生活の中で肩こりや腰痛などで悩み、 やりたいことができない方やもっと健康で良い生活をしていきたい方、 そんな方々のお力になりたいと考えています。


新たな筋膜リリース法【ハイドロリリース注射】とは

 

新たな筋膜リリース法「ハイドロリリース注射」

ハイドロリリース注射は、2012年頃、局所麻酔薬の代わりに生理食塩水を注入でもFascia(※)に由来する症状に関して、同等以上の効果を得られることが報告されております。(続MPSに対する新しい治療法.第10回MPS研究会学術集会. (2012.11))。

 

近年、徐々に普及し始めているため、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

※Faciaとは

Fasciaは日本語でいう「筋膜」にとどまらず、内臓の膜・骨を覆っている骨膜・関節を連結している靭帯や筋肉を骨とくっつける腱までも含まれます。筋肉に関する筋膜だけでも、筋内膜・筋周膜・筋外膜・筋上膜といった種類があります。

本来、筋肉の筋膜を意味するmyofasciaという単語があり、日本語で「筋筋膜」といいます。

myofasciaのmyoは筋肉のという接頭辞で筋肉の膜(fascia)ということです。「筋肉の筋膜」=「筋筋膜」、これがいわゆる筋膜を指す単語として正解・最適です。このページでは筋肉を覆っている・包んでいる膜=筋筋膜(myofascia)を筋膜として解説していきます。

 

今回は、普及し始めてまだ10年ほどの新しい治療法「ハイドロリリース注射」についてご紹介していきます。

ハイドロリリース注射とは

ハイドロリリース注射とは、主に生理食塩水を用いて、筋肉、筋膜、腱・靱帯、神経などの各組織を液性(ハイドロ)剥離(リリース)する手技のことを指します。

 

超音波診断装置(エコー)を使って、異常なFasciaに対して、アプローチすることから「エコーガイド下Fasciaリリース」とも言われることもあります。

 

従来の局所注射との違い

 

痛みなどの症状がある場所への局所注射は、痛み止めや麻酔薬などを使ってその薬剤の効果で痛みを緩和する治療となります。ハイドロリリース注射では、痛みなどの症状を引き起こす「Fasciaの癒着」を剥がすことを目的に行いますので、主に生理食塩水を注射しています。

また、局所注射の場合は薬剤の効果がなくなれば症状が再び戻りますが、ハイドロリリースでは原因になっている癒着が解消できるため、局所注射と比べ、改善効果が比較的長続きすることが期待されます。

 

なぜ生理食塩水で痛みが無くなるか

筋膜リリース(筋膜fasciaリリース)注射とは、超音波ガイド下でこの筋膜や結合組織の癒着によって厚く重積した白い部分を確認し生理食塩水などを神経ブロックで使用する薬液の倍以上の量を注入して癒着を剥がして動きを良くするとともに痛み物質を洗い流して痛みを改善させます。

神田痛みのクリニック引用

 

つまり、ハイドロリリースにより痛みが解消されるメカニズムは

 

  • 水圧でFascia同士の癒着を剥がしていく
  • 結合組織の周りに蓄積されていた痛み物質を洗い流す

この過程により、Fascia同士の癒着を取り除き、また、癒着によって滞ってしまっていた痛み物質までも押し流していくことで痛みを緩和できるのです。

 

尚、医療機関によっては、生理食塩水に微量の麻酔薬・鎮痛薬を混合させている場合もあります。薬にアレルギーや過敏症などがある場合は受診される前に、あらかじめ医師に相談しましょう。

 

どこで受けられるか

ハイドロリリース注射は、医療機関で医師によって行われる医療行為です。

治療院や整骨院、マッサージ院で施術を受けることはできません。

 

具体的には、整形外科、ペインクリニックなどで施術を受けられます。

 

料金について

Fasciaや筋筋膜に対して生理食塩水を注入することが保険診療で認められていないため現時点では自費診療となります。

 

医療機関により、ひらきがありますが概ね 約6,000円〜(1部位) が多いようです。

 

詳細は、施術をおこなっている医療機関へお問い合わせください。

 

「凝り」の実態

Fasciaおよび筋筋膜が痛みを感じる

日本整形外科学会HPより写真を引用させていただきました。

冒頭の説明にもあったように、Fasciaの中でも特に、筋肉を包んでいる膜を筋筋膜と言います。

以前から筋硬結(しこり)を触れると感じる圧痛点「トリガーポイント」は主として筋筋膜の上にあることが判ってましたが、最近の研究ではそれ以外にも腱や靭帯、脂肪などのFasciaにもあることが判明しました。

 

筋筋膜については、過去の記事「筋膜リリースを解説します」も併せてご覧いただけますと幸いです。

 

トリガーポイントとMPS(筋膜性疼痛症候群)

「トリガーポイント」とは、Fasciaおよび硬くなった筋筋膜の上にある圧痛点のことをいいます。

 

トリガーポイントは、「ギターの弦のようであったり、米粒のような小さな粒状であったりする。それらの硬度は骨や腱に匹敵するほど硬い」とも表現されるように、正常の筋肉とは明確に異なる状態であることが触診でわかります。

 

そこを押したときに普段の肩こりなどの症状が再現される病態を「筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)」と言います。

 

肩や腰など、普段辛い部位を指圧などで押した際にも「痛い」もしくは「痛気持ちいい」箇所はトリガーポイントが存在し、筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)にあると言えます。

 

逆に、誰かに筋肉を揉まれて「硬いね」と言われれも、本人が「痛み」としての自覚症状がなければ筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)ではないのです。

ハイドロリリース注射の適応

肩こり、首こり、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、腰痛など、Fascia由来のものであれば特に効果が期待できると言われています。

逆に、肩関節の炎症(肩関節周囲炎)、頸椎や脊髄の病気(椎間板ヘルニアや頚椎症)、胸郭出口症候群、交感神経の過緊張などには効果が限られます。

 

上記のような疾患に対しては、痛みの根源の治療をメインに、補助的にFascia由来の痛みを合併している場合に筋膜リリース併用されることがあります。

筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome: MPS)の治療法

単純な筋膜性疼痛症候群(MPS)では、適切な局所治療(ハイドロリリース、トリガーポイント注射・鍼、徒手治療など)が実施されれば、1回の治療効果は数日から1週間は持続し、数回程度で改善することが多い傾向にあります。

 

ただし、局所的に凝りが改善されても、凝りを作ってしまう原因がそのままではまた繰り返し発症することが少なくありません。

 

従って、トリガーポイント周囲の局所的な改善と、使い過ぎている・または使えていない筋肉を改善する全身的な改善、両方のアプローチが必要となるわけです。

 

ハイドロリリース注射のメリット・デメリット

現在、筋肉の凝りに対してのアプローチ法は多岐に渡ります。

トリガーポイント注射、マッサージ、カイロプラクティック、鍼灸治療、超音波などを使用した温熱療法、低周波治療(EMS)、ストレッチ、ヨガ、ピラティス、運動療法等が挙げられます。

 

以下にて、ハイドロリリースを他の手法と比較した際のメリット・デメリットを紹介します。

 

 

他の手法と比較したメリット

・直後効果を実感しやすい

・エコーによる投影で的確な癒着ポイントへアプローチが可能

・他の疾患が疑われる場合、スムーズに医療的処置を受けられる

 

他の手法と比較したデメリット

・注射による注入痛が伴う

・稀に内出血ができることがある

・一度打った生理食塩水も1週間ほどで吸収されるため、一時的に痛みが消失しても、生活習慣や身体の使い方が変わらなければ症状は繰り返し出現する

・新しい治療法のため受けられる医療機関が少ない

 

フォームローラーやマッサージガンなどのアイテムも豊富になり、セルフケアでもある程度の症状の改善はおこないやすい反面、自分にどの手法が最も適しているか迷われている方も多いのではないでしょうか。

 

どの手法が最適なのかは状態や個人差によって異なります。

ハイドロリリース注射のメリット・デメリットも加味した上でご検討ください。

 

まとめ

ハイドロリリース注射について解説してまいりました。

 

ハイドロリリースは注射により患部のFasciaおよび筋筋膜の癒着を水圧で剥がしていく施術でありながら、副作用が少なく、直後効果を感じやすい新しい「凝り」に対する治療法です。

 

しかし、効果を保つためには、筋・筋膜、靭帯、などの状態を良好に保つことが大切です。そのため、注射で癒着が取れても、悪い姿勢や必要な筋力が獲得できていなければ、同じ部位に負担がかかり続け、容易に再発します。

再発をさせないためには、原因へのアプローチは必須となることを念頭に、ハイドロリリース注射も選択肢の一つと考えてみてはいかがでしょうか。

 

参考文献

一般社団法人 日本整形内科学研究会 H P

シンポジウム 「疼痛に対する理学療法の科学性を問う」

筋・ 筋膜性疼痛症候群の治療目的について

神田痛みのクリニックHP  TOP画像も神田痛みのクリニックHPより引用させていただきました。

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こりが気になるなら、食事も見直してみませんか?

日常的に肩こりにお悩みの方に考えてほしいことの1つが、日々の生活の見直しです。肩こりは他の重要疾患が原因の場合を除けば、生活習慣に起因しているものが非常に多くなっています。

関連ページ:肩こりを解消したいなら、まずは毎日の暮らしを見直そう

しかし生活習慣をいきなりがらっと変えるのはなかなか難しいし、長続きしないことが多い方が多いのも事実です。そこで試してほしいのが、必ず毎日行う習慣といえる食事のちょっとした見直しです。大きく変えずとも、ほんの少しの変更でじんわり効果を期待できるかもしれません。また無理のない範囲であれば長続きしやすい可能性もあるでしょう。

今回は、肩こりにお悩みの方のために、日々の食事を見直すための基礎知識や見直しのヒントをお届けしたいと思います。

食事は毎日の生活習慣

まず心掛けたいのはできる限り決まった時間に食事を摂るようにして生活のリズムを整えること。できるだけ決まった時間に1日3回、朝・昼・晩の食事を欠かさないようにしましょう。

あわせて食事の内容を見直しましょう。必要な栄養素が足らなかったり、逆に摂り過ぎたりしていませんか?

人間は体の中で合成できない栄養素が沢山あります。それらは食事で体内に取り入れるほかありません。また摂りすぎるとかえって良くないものもあります。バランスの良い摂取こそが、健康への第1歩なのです。厚生労働省では、望ましい食生活の指針となる「食事バランスガイド」を公表していますから、気になる方は調べてみるとよいでしょう。

参考ページ:「食事バランスガイド」について|厚生労働省

以下は代表的な栄養素の中から、いくつかピックアップして説明していきましょう。

◎ビタミンB1

糖質をエネルギーに変える栄養素です。脳や神経の働きを正常に保つために欠かせませんが、疲労物質の分解にも関わってくるので肌肉をときほぐし肩こりを防いでくれます。豚肉、大豆、うなぎ、玄米、ブリ、タイ、マイタケなどに多く含まれているのですが、水溶性で熱にも弱いので手早く調理しましょう。アリシンが吸収を助けるのでニンニクやネギなどの香味野菜と一緒に食べると効果的です。

◎ビタミンB12

葉酸と共に赤血球の製造に関係しているので、酸素を体中に運んでくれます。また神経の働きを活発にする効果もあるのでやはり肩こり解消のためには意識して取りたい栄養素といえるでしょう。レバー、アサリやシジミなどの貝類、サンマやイワシなどの魚類に多い栄養素です。植物性食品にはほとんど含まれていないのでビーガンの方はサプリメントなどで補給してください。

◎ビタミンC

ストレスへの抵抗度を高めることで筋肉の緊張をやわらげて、肩こりを防ぐ効果が期待できます。多く含まれる食材はかぼちゃ、アーモンド、うなぎ、アボカド、植物油など。水溶性で熱に弱いので水へのさらし過ぎや加熱のし過ぎに注意して調理しましょう。

◎ビタミンE

血管拡大に効果があるので、血行を良くして筋肉へ血液をいきわたらせることで肩こり防止につながります。この成分を多く含む食品はカボチャ、アーモンド、うなぎ、アボカド、植物油など。脂溶性なので吸収率を高めるには揚げ物や炒め物が調理法としては適しているでしょう。

◎マグネシウム

筋肉の緊張をほぐす働きを持っています。この成分が多いのは昆布やわかめなどの海藻類、豆腐や納豆などの大豆加工食品、アーモンドなどのナッツ類などの食品。ただしリンが含まれる食品と一緒に摂ると吸収が阻害されることがあるので気を付けてください。

◎クエン酸

激しい運動をした時などに溜まる疲労物質の乳酸を分解します。梅干し、イチゴ、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類、などに多く含まれている栄養素で、摂取されにくいカルシウムや鉄はクエン酸と一緒に摂ると吸収率が高くなります。このような栄養素を含む食物を摂れば必ず肩こりが解消すると言い切ることは出来ません。しかし、栄養素と健康に関係があることには科学的なエビデンスがあることは既に実証されています。肩こりもしかりといえるでしょう。

コンビニやスーパーで手軽に調達

バランスが良い食生活が大切だということを理解してはいても、なかなか実現は難しいかもしれません。忙しいので料理にかける時間がない、また朝は1分でも長く眠っていたいという方もいらっしゃると思います。そこでお勧めなのが手軽に手に入り価格もリーズナブルなコンビニエンスストアで購入できるメニューです。

コンビニやスーパー利用のメリット

なんといってもコンビニやスーパーを利用すれば調理の手間も省くことができるのも魅力といえるでしょう。また調理をしないので、食材の無駄も出にくいです。

他にも値段の手頃さもあります。コンビニでは大抵のメニューを数百円で気軽に購入できます。もちろん自炊に比べれば高くつくというケースもあるでしょうが、手軽さに比べてその金額を払うメリットがあるなら問題ないかと思います。

メニューを選ぶポイント

コンビニやスーパーで調理済みの食品を選ぶ場合、健康を意識するためには、必要な栄養素は何か、そしてそれらが含まれる食材はどういうものかを把握しておかなければなりません。ちょっと面倒に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、インターネットの検索ページを利用すればそれらの知識は簡単に手に入れることができます。スーパーやコンビニでは食品表示を確認していつも持ち歩くスマホでその成分を検索すれば、すぐに食品を選ぶことが可能です。もしくは様々なサイトで健康を意識したメニュー選びについても紹介されています。

例えば豚汁。豚肉にはビタミンB1、B6が豊富に含まれています。これらは糖質やタンパク質をエネルギーに変える時に使われる栄養素です。血流を良くして筋肉をほぐすので肩こり防止にはもってこいといえるでしょう。またアーモンドは先ほど述べたようにビタミンEが多い食品です。梅干しにはクエン酸が含まれています。そのままでも梅干し入りのおにぎりでもいいでしょう。

コンビニやスーパーに限らず、地域によって様々な選択肢があると思います。身近で気軽に購入できるお気に入りの健康志向メニューを探してみるのもおすすめです。

食事とあわせて考えたい肩こり予防のヒント

肩こりは、血行不良や筋肉疲労などが原因で発生します。肩こりになると頭痛や吐き気などを感じることもあり、場合によっては仕事や家事など日常生活に影響します。まずは肩こりにならないため、悪化させないために肩こりを予防することが大切です。

さまざまな予防方法があり、主なものは以下の5つになるでしょう。

  • 適度な運動や体操で体を動かす
  • 長い時間同じ姿勢はやめる
  • 入浴などで体を温める
  • リラックスする
  • 肩を温め血行をよくする

もし日常の中で色々と試しても肩こりの発症を防げない場合、もしくは改善しない場合は、思ってもいないことが原因になっている可能性があります。早めに専門家へ相談することが改善の近道となるでしょう。

まとめ

今回は、肩こりにお悩みの方のために、毎日の食事を見直すための基礎知識や見直しのヒントをお届けしました。食事で摂取する栄養素というのは、私たちの身体を作るもとになっています。食事を適切に見直せば、肩こりだけでなく、健康全般の改善にもつながるかもしれません。


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


ストレッチ動画第二弾【解説ブログ】

はじめに

 

肩こりラボでは、2016年に第1弾となるストレッチ動画

 

「【根本解決ストレッチ】首肩専門治療院[肩こりラボ]による、肩こり解消ストレッチ、首こり解消ストレッチ」

 

をYouTubeにてアップしたところ、79万回再生、7100高評価(2022.2月現在) とたくさんの方々にご視聴いただいております。

 

本投稿をご覧の方のなかでもご視聴頂いた方がいらっしゃいましたら、御礼申し上げます。

 

 

今回は、前回に続きまして、

 

「第二弾!【根本改善ストレッチ】首肩専門治療院[肩こりラボ]推奨、肩こり解消ルーティンストレッチ“Labs PREP”」

 

をアップロードいたしました。

 

第1弾と、あわせておこなっていただくことで、

より肩こり解消にお役立ていただける内容となっております。

 

今回の動画のメリット(特徴)は、

・動画を見ながら同時に進められるようにカウントタイマー付き。

 

・良い姿勢を保つために欠かせないインナーマッスル「腹横筋」に対してのアプローチを追加。

 

・首肩まわりに加えて、肩こり改善に重要とされる胸椎(背骨)股関節の柔軟性にフォーカスを当てたメニューも多数収録。

 

・起床時の横になった姿勢(臥位)から、活動時の姿勢(立位)に徐々に起き上がっていけるようメニューを構成。

 

以上を踏まえまして、

毎朝のルーティンとして続けていただくことで、つらい凝りをほぐすだけではなく、「首肩が凝りにくくなる」身体に改善していくことを意識し、構成しました。

 

 

動画につきましては、現在、肩こりラボ公式YouTubeチャンネルにて公開中です。

 

なお、本記事は、公開している動画の内容を文章にて書き起こしたものです。

 

現在公開している動画と合わせてご覧いただけたらと思います。 (動画は最下部からもご覧いただけます)

 

それでは、さっそく内容に入っていきます。

 

 

肩こりの改善にもつながる、筋肉の柔軟性と関節可動域を十分に獲得するためのストレッチです。

 

腰と股関節のほぐし

仰向けの状態からスタートしていきます。

膝を曲げた状態から、両膝を同時に左右へ倒します。

 

ゆらゆら脱力しながら股関節周囲と腰の筋肉をほぐしていきましょう。

 

腰や股関節に痛みの出る方は、無理せず、痛みのないところまでで大丈夫です。

 

お尻のストレッチ

次は、膝を倒した状態から 脚を上下にずらし、腰からお尻、わき腹のストレッチを行います。

 

上の脚を手で押さえると、わき腹の「腹斜筋群」と呼ばれる筋肉によりストレッチがかかります。

 

腰に違和感がある場合は無理をしなくても大丈夫です。その場合、一つ前のメニューを続けてみてください。

 

背骨のひねりストレッチ

次は、横向きに寝て背骨のひねりのストレッチです。

耳の横に手をセットして、肘で大きな半円を描くように前の床、そして後ろの床をタッチします。

 

こちらは 上部の背骨「胸椎」の動きを出すストレッチです。下の手で、膝を押さえると骨盤が固定されより背骨を大きく動かすことができます。

 

反対向きも同じように行ってまいります。普段、体をひねる動きは腰よりも背中の背骨の方が大きく動きます。今動かしている 上部の背骨の動きが悪いと、それをカバーしようと、首や腰に負担がかかり肩こりや腰痛へつながることがあります。

 

肩こりを改善するためにも、しっかり背骨の動きを出していきましょう。

 

背中のストレッチ

次は、四つ這いの姿勢からお尻を後ろに下げ両手を遠くへ伸ばします。頭を丸め、腕の付け根から背中がしっかり伸びるように意識しましょう。

 

(ここら10秒間スタートします。)

 

四つ這いにもどり、背中を天井方向へグーっと高く持ち上げます。目線はおへそ付近に向け、背骨のしなりを出していきます。

 

次は反対です。背中を大きくそらせるとともにお腹側も伸ばしていきましょう。

 

ドローイン

次は、ドローインと呼ばれる体幹の「腹横筋」のトレーニングです。

 

鼻から大きく息を吸い下腹がギューっと凹んでくるように口から息を吐き切ります。

凹ませたお腹をキープしながらゆっくり30秒間 呼吸を続けてみましょう。

 

首や肩、背中、腰は脱力するように意識してみてください。

 

太もも・股関節・わき腹伸ばし

次に太もも・股関節・わき腹を伸ばしていきます。片足を一歩前に踏み出し、後ろの足の甲を持ってお尻に引き寄せます。

腰が丸まらないように胸を張ります。ももの前がしっかり伸びていることを感じましょう。

次に、前側の足に重心を移動させ股関節の付け根、腸腰筋のストレッチです。こちらも10秒間スタートします。

 

さらに、わき腹のストレッチを加えます。

股関節が伸びている側の腕を大きく反対側に持っていき体側を伸ばしましょう。

 

では、足を替えて反対側も同じようにおこなっていきます。まず最初は、太ももの前のストレッチを10秒間です。前の脚を一歩踏み出し、前側に重心をかけ股関節の前側をストレッチしていきます。

 

わき腹を伸ばします。バランスが取りにくい方は、前のももに肘をついても大丈夫です。

 

バランスを崩しやすいので、ゆっくり元の位置に戻りましょう。

 

大胸筋ほぐし

次に「大胸筋」という筋肉をほぐしていきます。

脇の前側についている筋肉を反対側の手でつかみ、肩に手をあて、大きく肩甲骨を動かしましょう。

 

何度か肩を回したら、反対方向にも回します。肘の先で大きく円を描くように肩甲骨を動かしましょう。

 

反対も同じようにおこないます。この「大胸筋」が硬くなっていると、肩が内側に入り、猫背の姿勢を作りやすくなります。しっかりとほぐして、肩甲骨が後ろに引きやすい状態を作りましょう。

 

背伸びからの肩よせ

 

次に、背伸びから肩を寄せる動きです。3秒ほど大きく背伸びをしたら肘を背中の中央に向かって引き、肩甲骨をよせます。

 

肩甲骨を寄せる際は大きく胸を拡げることも意識してみてください。

 

背中式呼吸

次に、背中式呼吸です。頭の重さを利用して、大きく胸を拡げ深呼吸をしていきます。

 

首の筋肉が緊張してしまわないよう、頭の重さをしっかり手で支えましょう。胸を拡げながら大きく息を吸い、口から息を吐きます。無理にペースを合わせなくても大丈夫です。

 

ご自身のペースでおこなってみてください。

 

もも裏のストレッチ

最後に、立ち上がってももの裏のストレッチです。

テーブルなどに手をついて、腰を丸めないように、股関節から前へおじぎをします。

 

膝を少し曲げながら、お尻を後ろへ突き出しももの裏が伸びることを感じましょう。こちらが難しい場合や、ストレッチ感が得られない場合は、このように、片脚ずつ行ってみてください。ご自身のペースで大丈夫ですので、30秒間、おこなってみましょう。

 

コツがつかめてきた方はこのように、支えのない状態ですとレベルアップになります。

 

ぜひ、チャレンジしてみてください。いかがでしたでしょうか。

 

ぜひ、LABs PREP を日常生活に取り入れて筋肉の柔軟性と、正しい関節の可動域を獲得してみてください。

 

まとめ

肩こりラボでは、患者さん一人ひとりのお身体の状態に適したセルフケアのストレッチや運動療法を行っていただいております。

 

その一部を本動画にてご紹介させていただきました。

 

ぜひ、動画と合わせておこなっていただけますと幸いです。

 

ただし、ストレッチ中に痛みや違和感が出る場合は、無理に続けず、中断もしくはペースや強度を落として実施してみるようお願い申し上げます。

 

 


執筆者:伊藤 美里
Misato Ito

盛岡医療福祉専門学校卒業
日本医学柔整鍼灸専門学校卒業

鍼師・灸師
柔道整復師

学生時代バレーボールに打ち込み、当時自分の心の支えとなったアスリートやアーティストに携わる仕事をしたいと思い、「身体の治療・ケア」する道を選びました。
日々患者さんの治療にあたる中で、さらに治療の引き出しを増やすべく鍼灸師の資格を取得。
解剖学的な構造、運動学、最新のエビデンスの理論を基におひとりおひとりの「何が原因か」を追究し、よい治療をご提案できるよう努めてまいります。


歯ぎしり習慣化が肩こりを招くかも?歯ぎしり予防のヒントを紹介

気付いたら歯ぎしりをしていたという経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

歯ぎしりは多くの場合、無意識のうちに行ってしまう動作となっています。よって中には、「自分が歯ぎしりをしている」という認識が無い方も珍しくありません。

厚生労働省の情報提供サイトe-ヘルスネットでは、歯ぎしりが習慣化した場合に身体に起こりうる症状の1つとして肩こりを挙げています。

参考ページ:歯ぎしり | e-ヘルスネット(厚生労働省)

ここでは歯ぎしりの原因やデメリット、歯ぎしり予防のヒントなどをご紹介します。

 

 

歯ぎしりとは

実際に歯ぎしりを指摘されてもどのような動作か知らなかったり、言葉しか知らなかったりする方もいるでしょう。歯ぎしりとは、上下の歯をこすり合わせたり無意識のうちに食いしばったりして、上下の歯が触れなくてもいいときに触れ合っている状態のことです。日本人の70%は歯ぎしりを経験し、ほとんどの方が自覚をしていないとも言われています。

 

歯ぎしりの種類

少し前までの歯ぎしりの定義は、寝ている間か無意識のうちに強く歯と歯をギリギリと擦り合わせて音が出ている状態を示していました。しかし、現在では起きているときの動作も含めて歯ぎしりと呼びます。

寝ているときや起きているときを問わず歯を擦り合わせたり、噛みしめたりする状態を非機能性咬合習癖(ブラキシズム)と呼びます。ブラキシズムはいくつかに分類されますが、その代表的な状態がグラインディング・グレンチング・タッピングです。まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

【グラインディング】

上下の歯を左右にギリギリと擦り合わせている状態で、俗に言う「歯ぎしり」のことです。擦り合わせるときに音がすることもあるため、周囲が気付きやすいタイプです。また、強く歯と歯を押し付けた状態でギリギリと擦り合わせるため、大きなダメージを歯に与えます。これによって、臼状の奥歯がすり減ることで平らになります。

その他の影響は以下を参考にしてください。

  • 極端に歯がすり減っている
  • 歯ぎしりを指摘された(家庭や歯科医院などで)
  • 歯の付け根がくぼんでいる
  • 詰め物が外れる
  • 虫歯が無いのに歯がしみる
  • エラが張っている

 

【グレンチング】

力強くぐっと噛みしめたり、食いしばったりしている状態です。しかし、グラインディングのように歯がすり減ることはありません。グレンチングをするタイミングは、勉強や仕事など集中していたり、寝ていたりするときです。さらにカチカチ・ギリギリといった音がしないため、周囲はもちろん本人も気付きません。唯一、周囲が気付くきっかけは、頬に力が入っているため頬が膨らんでいる状態を見つけたときです。

グレンチングによる影響は、歯がすり減るだけではなく肩こりや歯が割れるなども表れます。

  • 歯が割れる
  • 頬の内側に歯の跡がつく
  • 肩こり
  • 無意識に噛みしめている
  • 顎がこわばっている
  • 詰め物がはずれる
  • 骨が隆起している
  • あごの関節が傷んだりあごを動かしたりしたときに音が気になる
  • ストレスがたまりやすい

 

【タッピング】

上下の歯をカチカチとするタイプで、寒いときに震えて歯が鳴っているような状態です。他の2種類と比べると、タッピングは少ないタイプです。

医療が進んでいる現代ですが、歯ぎしりの理由ははっきりと分かっていません。飲酒やストレス、睡眠時無呼吸症候群で眠りが浅いときや、逆流性食道炎が関係していると言われています。

 

歯ぎしりの主な原因

歯ぎしりの主な原因とされていることは以下の内容です。

  • 噛み合わせ
  • ストレス
  • 歯並び
  • 過度の緊張
  • 集中している

 

 

歯ぎしりの診断

無自覚のことが多いため、診断が難しいのが現状です。問診で睡眠中の歯ぎしりを診断するときは、起きたときの顎の痛みやこわばりの有無・周囲から歯ぎしりをしていると言われたことがあるかなどを確認します。そのほかには、歯のすり減り方・口腔内の歯型の有無・エラが張っていないかなどが診察項目です。

 

歯ぎしりの自己チェック

歯ぎしりをしているか簡単に自己チェックができます。チェック項目は以下の10項目です。

  • 集中しているとき、上下の歯を当てたり歯を食いしばったりしていることがある
  • 朝起きたとき、顎や頬の筋肉が張っていたりこわばったりしていることがある
  • 頬や舌に歯型がついている
  • 「歯ぎしりをしている」と周囲に言われたことがある
  • 歯がすり減り短くなってきた
  • 歯の根元が削れてきた
  • 下の内側・上の頬側・上顎の真ん中に骨のコブがある
  • 詰め物がよく取れたり、割れたりする
  • 知覚過敏
  • 歯に亀裂が多くある

 

歯ぎしりの治療

歯ぎしりは眠っているときや集中しているときなど無意識にしてしまうため、マウスピースを装着します。上下どちらかの歯にマウスピースを装着することで、上下の歯が直接触れることを防ぐことが目的です。そうすることで、詰め物が取れたり歯がすり減ったりするなどのリスクを減らすことができます。

日中の歯ぎしりに対しては意識して予防したり、場合によってはマウスピースを装着したりすることも方法の1つです。

 

 

歯ぎしりを放置するデメリット

歯をずっと食いしばっていると口の中のトラブルだけではなく、口の周りの筋肉が疲れます。たとえば、口の周囲のこり・肩こり・頭痛などの症状が現れ日常生活に影響します。そのため、歯ぎしりは対策することが大切です。

さらに、歯ぎしりが原因で発生した変化は、そこからさまざまな体調の変化に繋がります。歯ぎしりを放置しておくとデメリットしかありません。たとえば、以下のようなデメリットがあります。

  • 歯ぎしりによって口の周囲にある筋肉が炎症を起こし、繋がっている肩や首回りなどの筋肉も影響。すると、肩こりや頭痛などの症状が出る
  • 歯がすり減ることで象牙質が出てしまう。すると水がしみたり歯ブラシが当たったりするだけで痛みを感じる知覚過敏になる
  • 歯並びが悪くなったり歯の位置が移動したりする

 

歯ぎしりと肩こり

歯ぎしりをしていると、さまざまな筋肉に力が入り続けます。そして筋肉に余計な力が入った状態が続くと、肩こりをはじめ体の不調につながることがあります。肩こりに悩んでいる方の中には、歯ぎしりも抱えている可能性も考えられます。

肩こりや歯ぎしりだけでなく体の不調は、複数の原因が複雑に絡み合っていることがあります。そのため、1つずつ原因と思われることを改善していきましょう。

関連ページ:歯ぎしりが肩こり原因?咬み合わせが悪いと肩や首が凝るって本当?

 

 

歯ぎしりを予防するには

歯ぎしりは気付いたときに、口を動かして力を抜きましょう。また、原因は人によって異なるため、1つずつ原因と思われることを改善していくことが大切です。たとえば、ストレスが溜まっていると感じたら発散方法を探してみましょう。過度の緊張であればリラックスできる方法を試してみましょう。

またマウスピースを装着することも治療でもあり予防方法の1つです。マウスピースは一人ひとり口腔内の型をとって、ぴったりと合うマウスピースを作る必要があります。もしくは市販のマウスピースを使用する場合、自身に合うマウスピースを選ぶことが大切です。

治療や予防のために使用するマウスピースが合わなければ、歯ぎしりを悪化させることもあります。マウスピースは保険適用の範囲内で制作できるため、かかりつけの歯科医に相談してみましょう。

 

 

まとめ

歯ぎしりはさまざまな体調不良の原因になります。歯がすり減ったり知覚過敏になったりするだけではなく、肩こりや頭痛など、歯以外に影響がでることもあります。まずはご自身の体の状態を把握しましょう。


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


その症状、肩こりではなく『首こり』かも?首こりの特徴を知ろう

『首こり』という言葉を耳にする機会が増えてきました。従来は首のこりも肩こりの一部と見なされており、整形外科でも肩こりと首こりのとらえ方に様々な意見が交わされてきました。しかしさまざまな科学的検査や研究により、首こりと肩こりの違いもわかってきています。

この記事では、首こりの特徴や、首こりを防ぐポイントなどをチェックしましょう。

 

 

首こりの特徴

ここでは肩や首にこりが発生する背景をふまえ、首こりの特徴をご紹介しましょう。

 

肩こりや首こりが起こる背景

人間の肩は全身の関節のなかで唯一、骨がぶら下がった構造となっています。その上、重い頭部も支えています。つまり肩には負荷がかかりやすいのです。

肩関節の周辺は、複数の役割の異なる筋肉が組み合わさり、重い腕を支えていますが、加齢により筋肉や骨がもろくなってくれば当然支える力も弱まります。筋力や関節の可動域が低下すると、その部分の負荷を補うために、ほかの筋肉に緊張が生じて“こりや張り”を引き起こす要因にもなります。肩こり=お年寄り、という日本でいえば昭和頃までの広いイメージはこのような現象が下敷きになってでき上ったものではないでしょうか。組織の劣化や運動機能の低下は、もっともシンプルな肩こりの原因と言えるでしょう。

しかし近年では、肩こりは高齢者だけのものではありません。むしろIT機器を駆使する現役世代、子どもからお年寄りまで肩こりを訴える年代層が広がっているのです。その大きな原因として、スマホやPCの長時間使用があげられています。悪い姿勢を常態化させ、眼も酷使した結果、頸椎と頭蓋骨をつないでいる筋肉群が凝り固まってしまい、肩だけでなく首のこりをも引き起こす可能性があります。

 

神経症状を伴ったら首こりの可能性を考えよう

首含め肩の周りが重い・つらいといった症状が出た場合、一般的には肩こりと呼ぶケースが多いのではないでしょうか。ですが厳密にいえば首こりと肩こりは異なります。それは「首こりには神経症状がある」という点です。

関連ページ:肩こりと首こりの決定的な違い(解剖学・生理学の視点から徹底解説)

首の骨の内側にある脊椎からは、頭部の感覚を司る人体にとって大切な神経が出ており、首のこりによってこれらが圧迫されると頭痛が誘発されることがあります。また、首にはさまざまな神経節も存在しています。

神経節は交感神経と副交感神経をコントロールして自律神経のバランスを保っているのですが、凝り固まった筋肉により神経節が圧迫されると、偏頭痛や吐き気、めまいなどの自律神経失調状態を引き起こすこともあるのです。自律神経は血圧や内臓機能、情緒の安定など全身のさまざまな場面に影響を与えることも予測できます。

さまざまな症状を全身に及ぼす可能性があるという点でも、神経症状を伴う首こりには注意が必要です。

 

首こりや肩こりには、どんな原因が考えられる?

慢性的、あるいは重症の肩こりにお悩みの方からは、よく「肩こりがひどくて背中や首までカチカチだ」とか、「肩こりのせいで頭痛がする」などということを聞きます。なぜ肩こりは発生するのでしょうか。

結果から言えば首こりや肩こりは、専門医でも原因がわからないケースが少なくありません。こりの原因というのは非常に多岐に渡っているだけでなく、多くの場合においていくつかの原因が複雑に絡み合っていることが珍しくないからです。

関連ページ:肩こりの原因と分類

例えば「痛みやしびれが現われる」、「関節が動かなくなる」といった症状の悪化を伴う方が診察を受けた結果、ある病気が判明。治療を受けたところ合わせて肩こりも治まったというケースもあります。こうした場合は、肩こりが病気のひとつの症状だったと考えられるでしょう。

首こりや肩こりの原因としては、他にも日々の生活習慣や運動不足なども考えられます。メカニズムはある程度判明しているものの、そこに至るまでの「なぜ」は千差万別であり、身体のどこで何が起こった結果肩こりを発症したのかを解明するのは容易ではないということです。

関連ページ:肩こりの原因(2)|どうして肩こり・首こりが発生するの?

 

スマホ首について

首こりの大きな要因のひとつとして、スマホやPCを長時間使用することで起こる姿勢の問題についてお伝えしました。ここでは「スマホ首(スマホネック/ストレートネック)」に注目してみましょう。

スマホ首とは、下を向いて背中を丸めた状態でスマホやタブレット、PCなどを長時間使用し続けることによって起こる首の症状です。

試しに背中とお尻を壁につけて立ってみてください。このとき、後頭部、肩甲骨、お尻、かかとの4か所が自然に壁についていれば問題はありません。そうでない場合は、スマホ首かもしれません。

前傾姿勢により首の前側にある胸鎖乳突筋が前に引っ張られ、固く縮みます。逆に首の後ろの筋肉は伸びてしまい、首が肩よりも前に出てしまいます。継続することでこの姿勢が固まってしまい、そうなると運動機能や自律神経にも影響を及ぼし、また目も酷使するため眼精疲労も誘発するとされています。1日に5時間以上スマホやPCを使用する、首や肩の凝りが慢性的である、猫背などが思い当たる方は何らかの対応をとることをおすすめします。

スマホ首はそれ自体の症状の辛さもありますが、放置すると悪化する可能性があるという点にも注意が必要です。人間の正常な頸椎は緩やかなカーブを描いていますが、スマホ首によって筋肉が固まり、そのまま関節が変形して首のカーブが失われ、まっすぐになってしまう状態からストレートネックと呼ばれることもあります。肩や首の張りやこりのほか、重症化するとしびれや痛み、頭痛、めまいや吐き気などの不定愁訴症状に発展するかもしれません。

 

 

首こりから解放されるために

首こりの有無を判断する際に、首の回転や上下の動きをチェックする方法があります。日本整形外科学会が発表している健全な首の回転角度の目安は、左右それぞれ60度です。

あわせて簡単な確認方法を紹介します。

首こりチェックの例

 

壁に背中をつけて立ち、正面を向きます。
片手を壁に沿って持ち上げ、壁からだいたい30度の位置に固定します。

正面を向いた首を、手を上げた方の壁に向かってゆっくり回します。
腕の位置を超えれば60度以上回転したとみなします。
このとき肩は壁につけて動かさないようにしましょう。
痛ければ無理に回さないこと。

これを左右の首で行い、首の動きをチェックしてください。
もし、60度を超えないようでしたらケアをおすすめします。

首こりを誘発する首の奥の筋肉群のこりをほぐす運動なども、SNSなどでさまざまに紹介されていますので自分に合ったものを試してみたいものです。激しい動きでなくとも、毎日少しずつ軽めに行い、続けていけることで凝りを蓄積させないことが大切です。

 

首こりを防ぎやすくなるスマホやPCの利用法

首こりの原因となるスマホやPCの利用方法についても守りたいポイントがいくつかあります。

  • 前傾姿勢や横向きはNG
  • スマホの画面は目線の高さに
  • PCのディスプレイ(特にノートPC)の高さに注意
  • 目から画面の距離は40cm程度話すのが理想的

 

まとめ

今回は首こりに着目しました。首こりも肩こりと同じく悪い姿勢や誤った対症療法が慢性化を引き起こす可能性があります。

こりや張りだけが継続し、湿布やマッサージなどの対処療法で一時的に改善してもすぐに元に戻ってしまうなどの慢性的な症状を抱えている場合、専門機関へ早めにご相談ください。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


【肩こりラボ推奨】肩こりの方向けモーニングルーティン

はじめに

 

今回は、首肩こりにお悩みの方向けに、肩こりラボが推奨する「肩こりケア モーニングルーティン」をご紹介いたします。

なぜ、「朝」を推奨するか

それは、

寝起きは筋肉の柔軟性が低い からです。

睡眠中は、寝返り等で体勢を変えるものの 圧倒的に筋肉を動かしていない時間が長くなります。そのため、起床直後は筋肉が日中と比べると硬い状態にあるといえます。

体温と筋膜の関係

また、起床時は1日の中で最も体温が低いです。

筋肉は「筋膜」と呼ばれる膜に表面が覆われており、その筋膜同士の滑走に関与するゲル状の基質は

 

温度があがればあがるほ粘性は低下し(=柔らかくなる)、

温度が下がるほど粘性は増加します(=硬くなる)。

 

つまり、1日の中で最も体温の低い朝は、筋膜の滑走性に関与する基質の粘性が高く
筋膜同士の滑走性が悪い、= 関節の可動域が悪い ということになります。

また、寝具が身体にあっていないとなおさら朝の身体のコンディションは落ちます。

過去の、枕について書いた記事もご参照くださいませ。
https://movementjourneys.com/post-16301/

筋肉が硬い状態のままだと、どのような支障が生じるか

筋肉が硬いまま活動を

準備体操せずにスポーツを始めるようなもので、筋肉への負担が大きくかかります。

特に肩こりでお悩みの方は、朝に肩こりにつながる筋肉をほぐし、正しい体の使い方を体操で行うことで身体の負担を減らすことができます。

朝が弱く、ついギリギリまで布団の中で過ごしてしまうという方もいらっしゃるでしょう。しかし、規則正しいリズムで生活することは肩こり予防にも良い効能があります。
こちらも後ほど詳しく説明してまいります。

以上のことから、「朝」に肩こりケアのルーティンをおすすめします。

ぜひ、明日の朝から取り入れてみてもらえますと幸いです。

太陽の光を浴びる

肩こりの原因にはさまざまありますが、そのうちの一つに「自律神経の切り替えがうまくできない」ことがあります。

肩こりと自律神経

実際に、自律神経失調症の患者さんが「肩こり」を自覚することがしばしばあります。

【自律神経失調症における症状】

画像をhttps://www.qlife.jp/dictionary/item/i_041241000/ より引用させていただきました。

 

人間の身体は、サーカディアンリズム(概日リズム)にコントロールされております。

サーカディアンリズムとは、

生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。人間においても体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。この約24時間周期のリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれます。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.htmlより引用

光が体内時計をリセットする

また、このようなエビデンスもあります。

 

概日リズムは24時間より長い周期を有するが、同調因子によって24時間周期に調整されることを報告している。最も強い同調因子は、光である

つまり、我々ヒトの身体は、太陽の光を浴びることがきっかけでだいたい24時間周期体内時計が調整されるということを示しております。

 

この24時間周期が乱れていると、自律神経の乱れに繋がり、肩こりをはじめとする様々な不定愁訴が身体に現れることがあります。

心当たりのある方は、まずは一定のリズムでの生活を心がけ、朝に太陽を浴びて体内のサイクルを整えましょう。

体を温める

冷えと筋肉の関係

今の季節、特に冷えにお困りの方も多いのではないでしょうか。

冷えは、血液の巡りの悪さによって起こります。

血液には、熱を運んで体温を調節する働きと、臓器に酸素や栄養を運び、二酸化炭素や老廃物を回収する働きがあります。

血流が筋肉まで行き渡る→筋活動が増す→体温が上がる→身体活動がしやくなる

というサイクルが生まれるのです。

逆に、血流が各筋肉に行き渡らなくなると冷え、肩こり、腰痛、だるさ、疲れ…と、全身に不調が起こるようになります。

しかし、単なる冷え症だと思っていたら、膠原病や、甲状腺などの病気の場合もあります。長く続くようなら注意して、専門医を受診しましょう。

1日の中でもっとも体温が低い

朝の冷え対策に温かい飲み物を飲んでみましょう。

寝起きのからだは一日のうちで最も冷えているので、温かい飲むことによって消化管を刺激し、その後の消化を活発にします。

また、「白湯」も良いでしょう。

しっかりやかんで沸かしたお湯は、水の対流が起こるため、お湯全体が均一に温められ、電子レンジで温めたものと比べると冷めにくいという研究もあります。

白湯を取り入れる際は、ご参考にしてください。

 

また、前述したように、身体を温めるには、「筋肉」の働きが非常に重要です。

我々人間の体温は、暑い時期も寒い時期も一定に保たれています。

ヒトの細胞や組織が適正に働くことができる温度が37度付近であり、大きくここから変動があると生命維持に影響が出てしまうためです。

実は、この“熱”を作るという重要な働きも筋肉が担っております。

このあと紹介する「体操」も筋肉による熱産生が期待できます。冷え改善にもお役立てください。

体操

 

【ラボズプレップ(LABs PREP)】

本来prep(プレップ)とは、preparation の略で「準備をする」、という意味があります。

1日の活動の初めに行うことで、筋肉の柔軟性や関節の可動域の改善、正しく使うべき筋肉を活性化するなどの意義があります。

【ラボズプレップ(LABs PREP)】は、肩こり治療でも重要な 「股関節」「胸椎」 の可動域を出すメニュー中心に、これから動くぞ、という朝やトレーニング前などに準備体操としてもご活用しやすい内容となっています。

当院で患者さんにお伝えしているセルフケアも収録しております。

収録内容

00:12 腰と股関節のほぐし
00:48 お尻のストレッチ
01:47 背骨のひねりストレッチ
03:41 背中のストレッチ
04:50 ドローイン
05:40 太もも・股関節・わき腹伸ばし
07:51 大胸筋ほぐし
08:58 背伸びから肩よせ
09:48 背中式呼吸
10:40 もも裏のストレッチ

肩こり治療においても、治療が必要ない状態に至るまでには、多くの場合、運動療法が必要となります。

【ラボズプレップ(LABs PREP)】は、今まであまりトレーニングをされたことがないという方も始めやすい難易度ですので、運動に不安がある方も、まずはこちらからスタートしていただき、日々のセルフケアにご活用していただけますと幸いです。

顔周りの筋肉をほぐす

 

多くの方が朝、鏡の前に立つと思います。
その際に、【約3分間】顔や頭、首をほぐす時間を作ることはできますでしょうか。

肩こりや緊張性頭痛などでお悩みの方の中には、『食いしばり』や、夜間の『歯ぎしり』をご実感されている方も多くいらっしゃいます。

特に酷使しやすい、以下の筋肉を重点的にほぐしてみましょう。

咬筋(こうきん)

夜間の食いしばりや歯ぎしりで使う筋肉。硬くなるとエラが張る要因にもなります。

ほぐし方
左右から両手で人差し指・中指・薬指を咬筋にそえて、ゆっくり円を書くように回す。

側頭筋(そくとうきん)

こちらも食いしばりや歯ぎしりで使う筋肉。頭痛、頭こりにもつながる筋肉です。

 

ほぐし方
左右から両手の人差し指・中指・薬指・小指を側頭部にそえて、クルクル円を書くように回す。

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)

猫背姿勢が強いかた、肩こりの方で、過剰に働いてしまっている方が多く見られます。

ほぐし方
ほぐす側の反対の手の親指と人差し指でつまみ、上下や手前に引き出すように筋肉をつかんで動かす。
※指のはらで広く掴むようにしましょう。つかみにくい場合は、首を少し横に倒し(右をほぐすときは右へ倒す)、筋肉を弛緩させておこなってみて下さい。

皺眉筋(しゅうびきん)

眉間(みけん)にしわを作る時に働く筋肉。凝り固まると目の疲れにつながります。

ほぐし方
左右の親指と人差指で眉頭をつまむ。または親指で骨の際に沿って指圧。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

首肩こりにお悩みの方向けに、肩こりラボ推奨の「肩こりケア モーニングルーティン」をご紹介いたしました。

日々の朝の肩こりケアにお役立てください。

また、「寝ても回復しない」「マッサージに行ってもすぐに辛くなってしまう」肩こりは治療が必要な肩こりかもしれません。

肩こりの原因は一人一人異なり、また原因は一つではなく、複数の要因により現れていることが多く、中には、病気が隠れていることもあります。

ですので、ひどい首肩こりでお困りの方はどうかご無理をせず、専門家に診てもらうことをおすすめいたします。

 

参考文献

運動選手における睡眠及びマットレスの種類が筋硬度に及ぼす影響
スポーツ科学研究, 12, 38-47, 2015 年

男子大学生における健康関連 QOL 尺度と体温の日内変動特性および生活習慣の関連性
体力科学 第 65 巻 第 4 号 431-440(2016)

加齢とエネルギー代謝

「白湯」推奨医師 蓮村 誠
1961年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医学博士。医療法人社団邦友理至会理事長。オランダマハリシ・ヴェーダ大学、マハリシ・アーユルヴェーダ認定医。

マイクロ波加熱液中の異常な熱対流のマルチフィジックス解析 特徴


執筆者:伊藤 美里
Misato Ito

盛岡医療福祉専門学校卒業
日本医学柔整鍼灸専門学校卒業

鍼師・灸師
柔道整復師

学生時代バレーボールに打ち込み、当時自分の心の支えとなったアスリートやアーティストに携わる仕事をしたいと思い、「身体の治療・ケア」する道を選びました。
日々患者さんの治療にあたる中で、さらに治療の引き出しを増やすべく鍼灸師の資格を取得。
解剖学的な構造、運動学、最新のエビデンスの理論を基におひとりおひとりの「何が原因か」を追究し、よい治療をご提案できるよう努めてまいります。


自覚症状のない“隠れ肩こり”って?

肩こりの症状は環境や体質により人それぞれですが、こりを感じる自覚の度合いも人それぞれということがわかってきています。

そして肩こりであるにも関わらず、症状の自覚がない「隠れ肩こり」などと呼ばれるケースも存在しますが、本人には肩こりの自覚がないため放置されてしまいがちです。

今回はそんな隠れ肩こりに注目してみましょう。

 

 

隠れ肩こりとは?

一般的には肩こりと判断できる状況であるにも関わらず、本人に自覚症状がない状態を、“隠れ肩こり”と呼ぶことがあります。中には「最近肩が少し重いかも?」といった自覚があるにも関わらず、ご自身が肩こりだと気づいていないケースもあります。

様々な場面で「ずいぶん肩がこっていますね」などと言われた経験をお持ちの方は多いと思います。ここで「いえいえ、肩こりなんて感じたことはないですよ」と否定されたことがある方は、もしかしたら隠れ肩こりかもしれません。

整形外科でも、明らかに筋肉が凝り固まったこりの症状があるのに、患者本人は何とも感じていないという症例は珍しくもないそうです。こうした患者さんには、鎖骨周辺の前頚部の筋肉に張りがある、首の緩やかなS字カーブが消失している、姿勢が悪いなどの共通した症例が見られることもあるそうです。

 

隠れ肩こりは放置しても大丈夫?

結論から申し上げますと、放置はおすすめできません。“隠れ肩こり”と言っても実際に肩こりの症状は出ているわけですから、通常の肩こりと同じく、症状に合わせた改善を目指すほうが良いのではないでしょうか。

原因を探ったりケアをしたりせずに放置すれば、緊張と血行不良の悪循環によって症状が悪化したり、別の症状への引き金になったりすることも考えられます。

 

肩こりの主な原因、心当たりはありませんか?

「肩こり」の状態を医学的に説明すると、首や肩周辺の筋肉が緊張することによって起こる筋肉痛の一種と言えます。筋肉が緊張することで血管を圧迫すると、血行不良が起こり酸素の供給量が減少します。その結果乳酸などの疲労物質が蓄積し、神経を圧迫することで張りや痛みが起こります。これが肩こりを発症するメカニズムですが、大元である筋肉の緊張を引き起こす原因はじつにさまざまです。

例えば分かりやすいところでは「寒さ」があります。寒い季節の外出では体はぎゅっと縮こまりますし、そもそも外出を避けて運動不足になりがちです。いずれの場合も筋肉が緊張し血行不良を起こしやすいと言えます。

また近年では肩こりや首こりの原因の代表的なものとして「姿勢の悪さ」が挙げられます。スマホやPCに向かう時間が増え、首が前に出る悪い姿勢が身についてしまうと、首から肩にかけて常時緊張を強いることになり、やはり血行不良につながります。長時間同じ姿勢を取り続けることも同様です。ほかには、激しい運動による「筋肉疲労」や、「眼精疲労」、精神的な疲れからくる「ストレス」なども肩こりの原因と考えられています。

最近このような環境に心当たりがあるという方、もしかしたら知らず知らずのうちに“隠れ肩こり”になっているかもしれません。

 

どうして肩こりを自覚できないのか?

悩む方が多いはずの肩こりなのに、どうして「自覚できない」という状況が発生するのでしょうか?

症状を自覚できない場合には、肩こりが長く続き常態化して気にならない、こりや痛みに対して耐性がある、または鈍感であるなどの要因が考えられます。

 

 

 

肩こりを放置するとどうなる?

前項で肩こりを引き起こす原因について述べましたが、それ以外にも意外な病気の症状として肩こりが起こることもあります。なかには、放置してしまうと重大な結果につながる場合もありますので注意が必要です。

しつこい肩こりが、じつは頸椎系疾患だったという症例は少なからずみられます。頸椎は首の部分に重なる7つの椎骨からなり、それぞれの椎骨の間には椎間板というクッションがあり、衝撃を吸収しています。さまざまな要因によってこれら椎骨や椎間板に引き起こされる疾患には、「変形性頚椎症」や「椎間板ヘルニア」、「肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)」などがあります。また、まれには「腫瘍」や「がん」、「関節リウマチ」が原因で肩こりなどの症状が表れる場合もあります。いずれにしても、肩こりのみならず腕や手指のしびれ、痛みなどを伴うような場合は迷わず医師の診察を受けましょう。

高血圧症の患者さんでは急激に血圧が上昇した際に、首から肩にかけて張りや痛みの症状が表れる場合があるそうですし、貧血の場合は血液の酸素供給量が減ることから筋肉が疲労し、肩こりが起こることがあるといいます。肩こり専門外来では診察の最初には必ず血液検査を行うというくらい、肩こりと血液・血管の関係は密接なようです。高血圧や貧血の傾向がある方は多いと思われますので、肩こりを単独の症状ととらえず、体調の良し悪しを判断する際のひとつのポイントとしてとらえてほしいものです。

また心療内科の分野では、自律神経の乱れやうつ病などの心因性の原因から肩こりが引き起こされる場合があることもわかっています。肩こりが長く続く、なかなか改善しないなどの場合は、一度は整形外科の診察を受けることをおすすめします。

めったに起こることではありませんが、命にかかわる重篤な病気の前兆として肩こりが起こることもあります。心筋梗塞では、肩こりのほかにあごや首、腕や背中、胃などのあたりまで、こりや痛みが生じる場合もあるようです。普段、肩こりの自覚がない方でも、このような違和感があるときは迷わず医療機関を訪ねましょう。心筋梗塞以外では、解離性大動脈瘤、脳出血や脳梗塞、膵炎などの重篤な疾患の前兆として肩こりが現われるこがあるようです。

 

 

自分の肩こり度を知って「隠れ肩こり」を予防する

肩こりの原因をいろいろ紹介しましたが、実際には明確な原因がわからないまま肩こりを訴える人が大半なのだそうです。肩こりに悩む人は、日常生活を見返して原因になっていそうな事柄を一つひとつ排除していく地道な努力が必要と言えるでしょう。肩こりの自覚がない人には、ご自分の肩こり度はどの程度なのか知っておくことをおすすめします。肩こりの認識がないまま、重篤な病気の前兆を見過ごすようなことがあっては大変です。

ごく簡単な方法ですが、肩こりがあるかないか、セルフチェックの方法を紹介しますので試してみてください。

隠れ肩こりセルフチェックの例

 

正面を向いて顎を少し引き、姿勢を正します。
立っていても座っていても構いません。

肩の力を抜いてリラックスし、手は下にだらりと下ろします。そのまま体が動かないように、首だけを右にゆっくりと倒します。
このとき、右肩が上に上がらないよう注意してください。

一度首を正面に戻し、今度は左側にゆっくりと倒します。

次に、前と後ろに向かって首を倒します。

このとき、右と左、前と後ろで倒した首の角度に違いがあったり、ある位置で痛みや張りを感じたりするようなことがあれば、肩こりのある可能性があります。

両手で左右対称に筋肉を押してみて、固い部分や張っている部分がないか確認してみるのもいいでしょう。

 

 

まとめ

「隠れ肩こり」の人はこりや痛みへの耐性が強いか、そもそも「こり」がどういうものなのか認識できていないと思われます。

前述のセルフチェックで不快な部分を見つけることができたなら、その部分をシャワーやドライヤー、温湿布などで温めてみましょう。楽になったと感じられれば、自らの肩こり度を知ることができるのではないでしょうか。あるいはもっと確実な方法としては、専門家の診断を受け、どこがどの程度こっているのかを教えてもらうのもよいでしょう。

日常生活では正しい姿勢を心がけ、長時間同じ姿勢をとらない、ストレッチをこまめに取り入れる、入浴でリラックスするなど気軽に行える対処療法をまずは試してみることで、不快な「隠れ肩こり」とさよならしたいものです。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


疲れが肩こりを引き起こすかも?「疲れ」の主な原因とメカニズム

たったひとつの言葉に表現される「疲れ」も、原因とその結果から探っていくと内容はさまざまです。スポーツで汗をかいて楽しんだ後の心地よい疲れもあれば、理由もわからずだるさが続くというような心身ともに不快な疲れも。

また、原因不明の疲れが続く場合は、何らかの症状の前兆という可能性もあります。肩こりをはじめとする諸症状も疲れが要因のひとつとなることも珍しくありません。早い段階で疲れへと対処することで、より快適な生活を送れるかもしれません。

継続的な疲れから解放されるためにはまず、自分の疲れがどのようなものかを知る必要があります。もちろん、医療の専門家でもないのに勝手な自己診断はおすすめできませんが、おおまかな疲れの種類を知り、日常生活を振り返ることで見えてくるものもあるはずです。

 

 

「筋肉疲労」には充分な休息と栄養を

もっとも身近な疲労のひとつが「筋肉疲労」です。運動や肉体労働をした後に起こるもので、大概の方は経験があると思います。細かい繊維の集合体である筋肉は、動かすことで多少なりとも損傷します。また、筋肉を動かすことで体内のビタミン(特にビタミンB)やミネラルが消費されることも、疲れを感じる原因のひとつであると考えられています。体を動かした後は、栄養豊かな食事と充分な睡眠をとることが、筋肉の回復にとっては重要なのです。また、活動中には水分の補給や休憩を入れてリフレッシュするなど、疲労そのものを少なくする工夫にも留意したいところです。

また、姿勢が悪いと筋肉に不均衡な負担がかかり疲れや体のコリを誘発することがあります。最近では電車に乗るとほとんどの人が下を向いてスマホに見入っていますが、この悪習慣は姿勢だけでなく内臓にも負担をかけてしまいそうです。猫背にならず、意識的に背筋を延ばした姿勢で見ることを習慣にしたいものです。

ひと晩寝ても疲れが取れない、あるいは日に日に疲れが蓄積していくような場合は、運動や仕事の量や質が自分にとって適当なのか考えてみることも必要です。疲れだけでなくストレスも溜めてしまうとか、病気を誘発するきっかけになりこともありますので、たかが「疲れ」と軽んじないで自分の身体としっかり向き合いましょう。

 

 

避けることができない「ストレス」

21世紀の人類にとって「ストレス」は、あらゆる病気の原因のひとつにあげられるほど、なじみの深いものとなりました。人間関係や取り巻く環境など日常生活のごくささやかな不快感も、積もり積もればストレスとなって心身を攻撃してきます。ストレス耐性が弱い人は、こうした状況に打ち負かされ、強い疲労感に苛まれることもあるようです。

あくまで一例ですが、ある人は慢性的な首と肩のコリに悩まされていましたが、年に1、2回、会社の休みを利用して海外に出かけたときはその不快感から解放されていることに気づき、ストレスを発散することの大切さを実感したと言います。以来、自分が何に対してどう不快だと感じているのか、それまでは目をつぶっていたストレスの原因と向き合い、ひとつずつ克服していったのだそうです。その結果、少しずつではありますが、嫌なことがあってもそれを引きずらず、短時間で気分転換を図れるようになりました。それと同時に肩こりや疲れもあまり感じなくなってきたとか。

ストレス耐性を高めるのには、規則正しい生活と栄養バランスの整った食事も心掛けたいものです。特に、早起きをして朝の太陽光をたくさん浴びることで体内時計が活性化され、自律神経の訓練にもなると言われています。自律神経を鍛えると体内のオンとオフのスイッチの切り替えがよりスムーズにできるようになり、ストレスに負けない体を作ることにつながります。

 

 

「目の疲れ」から誘発される肩や首のコリ

ストレスと並んで、健康な生活のためにさよならしたいのが「目の疲れ」。そもそも紫外線の影響を受けやすく、日々のケアが必要な目ですが、PCやスマホ、タブレットなどの使用頻度が高くなるにつれ、ブルーライトの存在もクローズアップされてきました。

デジタル機器の液晶画面から発せられるブルーライト(太陽光線中にも存在する)の影についてはさまざまな報告がありますが、実際のところ、ブルーライトと疾病リスクの関連についてはデータの蓄積期間が短いこともあって明確な研究報告はなく、人間の眼の組織や視力にどれほどの影響を与えるかについてはまだよくわかっていない、というのが実情のようです。

しかし、長時間液晶画面を見続けた場合、瞬きの回数が半分から3分の1ほどに減ってしまうという報告もあり、これによりかすみ目やドライアイ、目の疲れが起こることは間違いないようです。物が見えにくくなるとよく見ようと眼の筋肉を酷使することになりますので、目の疲れから首や肩へと疲れが溜まっていく悪循環が生まれてしまいます。少しでも軽減するために、以下のようなことを習慣にするとよいと言われています。

・液晶画面をブルーライトカットのフィルターやフィルムで覆う

 

・一定時間、画面から離れて目を休める

・こまめにドライアイ用の点眼液をさす

・画面や部屋の照明器具の明るさを調整する

また、就寝前に液晶画面を長時間見続けると、寝つきや目覚めが悪くなるなど体内時計への悪影響があるという研究結果が、ハーバード大学(米)の研究チームから報告されています。眠りの質は疲れを翌日に持ち越さないために重要なもの。就寝前にはできるだけ液晶画面を見ることを控える、それが無理な場合はブルーライトカットのフィルターやメガネを使用するなどして睡眠の質を守りたいものです。

デジタル機器の使用に関しては、長時間同じ姿勢を続けがちなことから首や肩のコリ、腰痛などの一因となっていることも否めません。とはいえPCやスマホのない生活なんてもはや考えられない現代の生活。こまめに首や肩を回す、ストレッチをするなど血行を良くする工夫を忘れないこと。また、デスクや椅子の高さ、ディスプレイの位置などを調整してよい姿勢を保つことを心がけましょう。

 

 

疲れの原因を知ってベストな身体のケアを

筋肉疲労、ストレス、目の酷使と疲れの原因を紹介しましたが、疲れにはほかにもさまざまな原因とメカニズムがあることがわかっています。明確に疲れを意識することができ、生活習慣のなかで取り除く工夫ができるのはラッキーで、なかには「なんとなく体がだるい」、「気力がおきない」などの不調を、疲れとは意識できないまま放置するケースも少なくありません。疲れは病気のサインとして現われる場合もあり要注意です。うつ病などの心の疾病や更年期障害による自律神経の乱れ、糖尿病や肝臓などの内臓疾患などが隠れている場合もありますので、異常な疲れだと感じたら、迷わず病院に行くことをおすすめします。

 

 

まとめ

現代人が抱える疲れはさまざまです。まずは自分の疲れはどこからきているのか、向き合うことからケアが始まるとも言えます。

いちど自分の生活を振り返ってみましょう。夜更かししていませんか? 睡眠不足に陥っていませんか? 偏った食事や無理なダイエットで栄養不良になっていませんか?

疲れは、体のヘルプのサインでもあります。自分の体としっかり向き合い、その傾向を知ることは大切なこと。そのうえで、年代に応じたケアをすることが必要なのです。何かが足りないと感じたら、専門家に相談し自分に合った身体のケアを見つけたいものです。

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


【大学生の肩こり】原因を見つけ、肩こりから解放されるヒントを紹介!

2020年に全国大学生活協同組合連合会が大学生・院生に向けて学生生活にまつわるアンケートを実施しました。こちらの調査結果では、大学生はさまざまな不安を抱えているという実態が改めて浮き彫りにされています。

そして体調について気になることについて尋ねる項目では、「やる気が起きない」「ストレスを感じる」「目の疲れ」「肌荒れ」などの回答とあわせ、全体の16.5%が「最近肩こりを感じている」と回答しています。

参考:「緊急!大学生・院生向けアンケート」結果 | 全国大学生活協同組合連合会

今回は大学生の皆さんへ向けて、日常に潜む肩こりの原因や、肩こり解消のヒントをご紹介します。

 

 

 

2021年現在の大学生と肩こり

ニュースなどでも再三取り上げられていた通り、世状の変化は日本全国へ様々な影響を与えました。そして大学生の皆さんもまた大きな影響を受けたのではないでしょうか。

体験したことのない事態に対する戸惑いもあることでしょう。入学と同時に学校が閉鎖になってしまった学生の中には、クラスメートとほとんど会えないうちに2年間が経過したという声も聞かれます。また3年生4年生にとっては就職活動への不安も計り知れないものがあるはずです。

そして不安から来る精神的なストレス、体を動かす機会が減ったことによる筋力低下など、環境の変化は肩こりを引き起こす要因になりうる可能性があります。ここではとある学生の方の例を見ていきましょう。

 

大学デビューの肩こりの例

都内の私立大学に通う男子大学生のAさん (21歳)は、3年生になった2021年の春頃から体の不調を感じ始めました。

地方の高校を卒業し、大学進学のため一人暮らしを始めました。勉強やサークル活動、アルバイトと生活のリズムにもようやく慣れ、充実した毎日を過ごし始めていたところに突然、世間の状況を受けて1年ほどでキャンパスは閉鎖、生活環境が激変しました。友だちにも会えず、WEBでの授業を余儀なくされました。戸惑いを感じながらもあっという間に2年近い日が過ぎたのです。

授業、といってもキャンパスが閉鎖されて、この1年ほどはWEBでの授業のみだそうです。毎日決まった時間にノートPCに向かってで授業を受けますが、なんとなく集中力が続かず、先生の話も耳に入ってこないような気がします。そしてつねに、首の後ろや背中にかけて重苦しい感じがして、時々腕をぐるぐる回したり背中をそらしたりすると良くなるのですが、時間がたつとまた同じ不快な状態に戻ってしまうのです。

ついに、これが肩こりというものなのかと気づくまでには少しかかりました。「肩こりは年配の方がなるものだ」と思っており、まだ若い自分が肩こりになるのかとにわかには信じられなかったのです。そこでオンライン飲み会の際にクラスメートにその話をしてみたところ、意外にも自分のほかにも何人か、同じような症状のある友だちがいて話が盛り上がったといいます。なかにはそれがきっかけで肩こりに気付いた学生もおり、これが大学デビューだと笑い合ったとのこと。

 

 

大学生活における主な肩こりの原因と対処法

肩こりに至る原因は様々であり、その原因によって対処法も変わってきますが、ここでは一般的なものをピックアップしてご紹介します。

 

大学生の肩こりの原因

良く見られる肩こり発生のメカニズムとして、硬くなった筋肉が血行不良を誘発し、こりや痛みを引き起こすというものがあります。こうした症状も初期の頃であれば、マッサージやストレッチ運動などですぐに回復する可能性があります。ですがこりや痛みが蓄積し、負のスパイラルが起こってしまうと対処療法だけでは治りにくい状態に陥りやすくなります。

スマホやPCの使用

大学生の年齢や生活環境を推しはかると、スマホやPCの使用は原因として充分考えられるものです。スマホを見る際には頭を下げて首が前に出る姿勢になりがちです。この姿勢を長く続けることで、首の前側の筋肉が収縮し、さらに首の後ろ側の筋肉が伸びた状態になります。それが繰り返され固まってしまうと、頭が肩よりも前に出てしまう、いわゆるスマホ首を招きやすくなります。また大学生はノートPCを使用される機会も多いと思いますが、このタイプは机の上に置くと、ディスプレイの位置が頭の高さよりも低くなることが多いです。このため下を向いた姿勢を長時間続けることになり、首や肩に負担をかけることになります。同時に、目を酷使することで起こる眼精疲労は、首こりや肩こりの原因となることもわかっています。

運動不足

大学生になったこと高校時代に比べて運動量がまた通常であれば大学生はキャンパスにて体を動かす機会があるわけですが、リモート授業によりその機会が減ったこともあり、運動不足となっている方も少なくありません。これも肩こりを発症させる一因となっている可能性があります。

不規則な生活習慣

暴飲暴食による内臓の不調が肩こりを引き起こすこともあります。女性では生理不順やホルモンのバランス失調など、メンタルの問題から肩こりを発症させたり悪化させたりすることもあります。

 

大学生の肩こりを解消するヒント

わずか数年間の大学生生活、肩こりなどとは無縁の清々しい生活を楽しみたいものです。いくら肩こりを招きやすいからといって、スマホやPCを使わない生活など考えることはできないのが現代人です。そこで健康を維持するために、いくつかのポイントを押さえた生活を送ることをおすすめします。肩こりにならない、なっても慢性化させないためのヒントを紹介しましょう。

正しい姿勢を保つ

猫背にならず、首が肩より前に出ない姿勢を意識します。スマホを見るときは目の高さに持ち、下を向かないようにします。また横向きに寝転んだ姿勢でスマホを扱うのは最悪。この姿勢は目の筋肉も使うため、眼精疲労を起こしやすいのです。スマホやPCを使用する際にはできるだけ首が前に出ない姿勢を心がけ、同じ姿勢を長く続けない、一時間経ったら10分程度、ストレッチなどの軽い運動を取り入れるなどこまめに体を動かすことをおすすめします。また、日頃からウォーキングやランニングなどの、ひとりでもできる運動を生活の中に取り入れてみてください。

ストレスを放置しない

ストレスの原因を探り、取り除く努力をしましょう。また、自分に合ったストレス発散方法を考えましょう。ストレスが溜まっていると思える、あるいはやる気が起きない、気分がすぐれないなどの体調不良が続く場合は、心療内科などを受診することもお勧めします。

出来る限り規則正しい生活を心がける

運動暴飲暴食をさけ、栄養のある食事を心がけましょう。定期的に適度な運動を取り入れてください。特に、首の前側の筋肉を伸ばすストレッチは有効です。左右の手で鎖骨の下あたりを押さえて首を後ろにそらすだけでいいのです。こまめに行いましょう。あとは、十分な睡眠時間を確保し、健康で心豊かな生活を送ってください。

 

 

まとめ

肩こりを発症・悪化させないためには、できるだけストレスをためないように生活を改善していくことがポイントの1つになります。軽い運動・生活習慣の見直しによって、少しでも肩こりの原因を解消できる可能性があります。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。