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その症状、肩こりではなく『首こり』かも?首こりの特徴を知ろう

『首こり』という言葉を耳にする機会が増えてきました。従来は首のこりも肩こりの一部と見なされており、整形外科でも肩こりと首こりのとらえ方に様々な意見が交わされてきました。しかしさまざまな科学的検査や研究により、首こりと肩こりの違いもわかってきています。

この記事では、首こりの特徴や、首こりを防ぐポイントなどをチェックしましょう。

 

 

首こりの特徴

ここでは肩や首にこりが発生する背景をふまえ、首こりの特徴をご紹介しましょう。

 

肩こりや首こりが起こる背景

人間の肩は全身の関節のなかで唯一、骨がぶら下がった構造となっています。その上、重い頭部も支えています。つまり肩には負荷がかかりやすいのです。

肩関節の周辺は、複数の役割の異なる筋肉が組み合わさり、重い腕を支えていますが、加齢により筋肉や骨がもろくなってくれば当然支える力も弱まります。筋力や関節の可動域が低下すると、その部分の負荷を補うために、ほかの筋肉に緊張が生じて“こりや張り”を引き起こす要因にもなります。肩こり=お年寄り、という日本でいえば昭和頃までの広いイメージはこのような現象が下敷きになってでき上ったものではないでしょうか。組織の劣化や運動機能の低下は、もっともシンプルな肩こりの原因と言えるでしょう。

しかし近年では、肩こりは高齢者だけのものではありません。むしろIT機器を駆使する現役世代、子どもからお年寄りまで肩こりを訴える年代層が広がっているのです。その大きな原因として、スマホやPCの長時間使用があげられています。悪い姿勢を常態化させ、眼も酷使した結果、頸椎と頭蓋骨をつないでいる筋肉群が凝り固まってしまい、肩だけでなく首のこりをも引き起こす可能性があります。

 

神経症状を伴ったら首こりの可能性を考えよう

首含め肩の周りが重い・つらいといった症状が出た場合、一般的には肩こりと呼ぶケースが多いのではないでしょうか。ですが厳密にいえば首こりと肩こりは異なります。それは「首こりには神経症状がある」という点です。

関連ページ:肩こりと首こりの決定的な違い(解剖学・生理学の視点から徹底解説)

首の骨の内側にある脊椎からは、頭部の感覚を司る人体にとって大切な神経が出ており、首のこりによってこれらが圧迫されると頭痛が誘発されることがあります。また、首にはさまざまな神経節も存在しています。

神経節は交感神経と副交感神経をコントロールして自律神経のバランスを保っているのですが、凝り固まった筋肉により神経節が圧迫されると、偏頭痛や吐き気、めまいなどの自律神経失調状態を引き起こすこともあるのです。自律神経は血圧や内臓機能、情緒の安定など全身のさまざまな場面に影響を与えることも予測できます。

さまざまな症状を全身に及ぼす可能性があるという点でも、神経症状を伴う首こりには注意が必要です。

 

首こりや肩こりには、どんな原因が考えられる?

慢性的、あるいは重症の肩こりにお悩みの方からは、よく「肩こりがひどくて背中や首までカチカチだ」とか、「肩こりのせいで頭痛がする」などということを聞きます。なぜ肩こりは発生するのでしょうか。

結果から言えば首こりや肩こりは、専門医でも原因がわからないケースが少なくありません。こりの原因というのは非常に多岐に渡っているだけでなく、多くの場合においていくつかの原因が複雑に絡み合っていることが珍しくないからです。

関連ページ:肩こりの原因と分類

例えば「痛みやしびれが現われる」、「関節が動かなくなる」といった症状の悪化を伴う方が診察を受けた結果、ある病気が判明。治療を受けたところ合わせて肩こりも治まったというケースもあります。こうした場合は、肩こりが病気のひとつの症状だったと考えられるでしょう。

首こりや肩こりの原因としては、他にも日々の生活習慣や運動不足なども考えられます。メカニズムはある程度判明しているものの、そこに至るまでの「なぜ」は千差万別であり、身体のどこで何が起こった結果肩こりを発症したのかを解明するのは容易ではないということです。

関連ページ:肩こりの原因(2)|どうして肩こり・首こりが発生するの?

 

スマホ首について

首こりの大きな要因のひとつとして、スマホやPCを長時間使用することで起こる姿勢の問題についてお伝えしました。ここでは「スマホ首(スマホネック/ストレートネック)」に注目してみましょう。

スマホ首とは、下を向いて背中を丸めた状態でスマホやタブレット、PCなどを長時間使用し続けることによって起こる首の症状です。

試しに背中とお尻を壁につけて立ってみてください。このとき、後頭部、肩甲骨、お尻、かかとの4か所が自然に壁についていれば問題はありません。そうでない場合は、スマホ首かもしれません。

前傾姿勢により首の前側にある胸鎖乳突筋が前に引っ張られ、固く縮みます。逆に首の後ろの筋肉は伸びてしまい、首が肩よりも前に出てしまいます。継続することでこの姿勢が固まってしまい、そうなると運動機能や自律神経にも影響を及ぼし、また目も酷使するため眼精疲労も誘発するとされています。1日に5時間以上スマホやPCを使用する、首や肩の凝りが慢性的である、猫背などが思い当たる方は何らかの対応をとることをおすすめします。

スマホ首はそれ自体の症状の辛さもありますが、放置すると悪化する可能性があるという点にも注意が必要です。人間の正常な頸椎は緩やかなカーブを描いていますが、スマホ首によって筋肉が固まり、そのまま関節が変形して首のカーブが失われ、まっすぐになってしまう状態からストレートネックと呼ばれることもあります。肩や首の張りやこりのほか、重症化するとしびれや痛み、頭痛、めまいや吐き気などの不定愁訴症状に発展するかもしれません。

 

 

首こりから解放されるために

首こりの有無を判断する際に、首の回転や上下の動きをチェックする方法があります。日本整形外科学会が発表している健全な首の回転角度の目安は、左右それぞれ60度です。

あわせて簡単な確認方法を紹介します。

首こりチェックの例

 

壁に背中をつけて立ち、正面を向きます。
片手を壁に沿って持ち上げ、壁からだいたい30度の位置に固定します。

正面を向いた首を、手を上げた方の壁に向かってゆっくり回します。
腕の位置を超えれば60度以上回転したとみなします。
このとき肩は壁につけて動かさないようにしましょう。
痛ければ無理に回さないこと。

これを左右の首で行い、首の動きをチェックしてください。
もし、60度を超えないようでしたらケアをおすすめします。

首こりを誘発する首の奥の筋肉群のこりをほぐす運動なども、SNSなどでさまざまに紹介されていますので自分に合ったものを試してみたいものです。激しい動きでなくとも、毎日少しずつ軽めに行い、続けていけることで凝りを蓄積させないことが大切です。

 

首こりを防ぎやすくなるスマホやPCの利用法

首こりの原因となるスマホやPCの利用方法についても守りたいポイントがいくつかあります。

  • 前傾姿勢や横向きはNG
  • スマホの画面は目線の高さに
  • PCのディスプレイ(特にノートPC)の高さに注意
  • 目から画面の距離は40cm程度話すのが理想的

 

まとめ

今回は首こりに着目しました。首こりも肩こりと同じく悪い姿勢や誤った対症療法が慢性化を引き起こす可能性があります。

こりや張りだけが継続し、湿布やマッサージなどの対処療法で一時的に改善してもすぐに元に戻ってしまうなどの慢性的な症状を抱えている場合、専門機関へ早めにご相談ください。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


【肩こりラボ推奨】肩こりの方向けモーニングルーティン

はじめに

 

今回は、首肩こりにお悩みの方向けに、肩こりラボが推奨する「肩こりケア モーニングルーティン」をご紹介いたします。

なぜ、「朝」を推奨するか

それは、

寝起きは筋肉の柔軟性が低い からです。

睡眠中は、寝返り等で体勢を変えるものの 圧倒的に筋肉を動かしていない時間が長くなります。そのため、起床直後は筋肉が日中と比べると硬い状態にあるといえます。

体温と筋膜の関係

また、起床時は1日の中で最も体温が低いです。

筋肉は「筋膜」と呼ばれる膜に表面が覆われており、その筋膜同士の滑走に関与するゲル状の基質は

 

温度があがればあがるほ粘性は低下し(=柔らかくなる)、

温度が下がるほど粘性は増加します(=硬くなる)。

 

つまり、1日の中で最も体温の低い朝は、筋膜の滑走性に関与する基質の粘性が高く
筋膜同士の滑走性が悪い、= 関節の可動域が悪い ということになります。

また、寝具が身体にあっていないとなおさら朝の身体のコンディションは落ちます。

過去の、枕について書いた記事もご参照くださいませ。
https://movementjourneys.com/post-16301/

筋肉が硬い状態のままだと、どのような支障が生じるか

筋肉が硬いまま活動を

準備体操せずにスポーツを始めるようなもので、筋肉への負担が大きくかかります。

特に肩こりでお悩みの方は、朝に肩こりにつながる筋肉をほぐし、正しい体の使い方を体操で行うことで身体の負担を減らすことができます。

朝が弱く、ついギリギリまで布団の中で過ごしてしまうという方もいらっしゃるでしょう。しかし、規則正しいリズムで生活することは肩こり予防にも良い効能があります。
こちらも後ほど詳しく説明してまいります。

以上のことから、「朝」に肩こりケアのルーティンをおすすめします。

ぜひ、明日の朝から取り入れてみてもらえますと幸いです。

太陽の光を浴びる

肩こりの原因にはさまざまありますが、そのうちの一つに「自律神経の切り替えがうまくできない」ことがあります。

肩こりと自律神経

実際に、自律神経失調症の患者さんが「肩こり」を自覚することがしばしばあります。

【自律神経失調症における症状】

画像をhttps://www.qlife.jp/dictionary/item/i_041241000/ より引用させていただきました。

 

人間の身体は、サーカディアンリズム(概日リズム)にコントロールされております。

サーカディアンリズムとは、

生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。人間においても体温やホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。この約24時間周期のリズムは概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれます。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.htmlより引用

光が体内時計をリセットする

また、このようなエビデンスもあります。

 

概日リズムは24時間より長い周期を有するが、同調因子によって24時間周期に調整されることを報告している。最も強い同調因子は、光である

つまり、我々ヒトの身体は、太陽の光を浴びることがきっかけでだいたい24時間周期体内時計が調整されるということを示しております。

 

この24時間周期が乱れていると、自律神経の乱れに繋がり、肩こりをはじめとする様々な不定愁訴が身体に現れることがあります。

心当たりのある方は、まずは一定のリズムでの生活を心がけ、朝に太陽を浴びて体内のサイクルを整えましょう。

体を温める

冷えと筋肉の関係

今の季節、特に冷えにお困りの方も多いのではないでしょうか。

冷えは、血液の巡りの悪さによって起こります。

血液には、熱を運んで体温を調節する働きと、臓器に酸素や栄養を運び、二酸化炭素や老廃物を回収する働きがあります。

血流が筋肉まで行き渡る→筋活動が増す→体温が上がる→身体活動がしやくなる

というサイクルが生まれるのです。

逆に、血流が各筋肉に行き渡らなくなると冷え、肩こり、腰痛、だるさ、疲れ…と、全身に不調が起こるようになります。

しかし、単なる冷え症だと思っていたら、膠原病や、甲状腺などの病気の場合もあります。長く続くようなら注意して、専門医を受診しましょう。

1日の中でもっとも体温が低い

朝の冷え対策に温かい飲み物を飲んでみましょう。

寝起きのからだは一日のうちで最も冷えているので、温かい飲むことによって消化管を刺激し、その後の消化を活発にします。

また、「白湯」も良いでしょう。

しっかりやかんで沸かしたお湯は、水の対流が起こるため、お湯全体が均一に温められ、電子レンジで温めたものと比べると冷めにくいという研究もあります。

白湯を取り入れる際は、ご参考にしてください。

 

また、前述したように、身体を温めるには、「筋肉」の働きが非常に重要です。

我々人間の体温は、暑い時期も寒い時期も一定に保たれています。

ヒトの細胞や組織が適正に働くことができる温度が37度付近であり、大きくここから変動があると生命維持に影響が出てしまうためです。

実は、この“熱”を作るという重要な働きも筋肉が担っております。

このあと紹介する「体操」も筋肉による熱産生が期待できます。冷え改善にもお役立てください。

体操

 

【ラボズプレップ(LABs PREP)】

本来prep(プレップ)とは、preparation の略で「準備をする」、という意味があります。

1日の活動の初めに行うことで、筋肉の柔軟性や関節の可動域の改善、正しく使うべき筋肉を活性化するなどの意義があります。

【ラボズプレップ(LABs PREP)】は、肩こり治療でも重要な 「股関節」「胸椎」 の可動域を出すメニュー中心に、これから動くぞ、という朝やトレーニング前などに準備体操としてもご活用しやすい内容となっています。

当院で患者さんにお伝えしているセルフケアも収録しております。

収録内容

00:12 腰と股関節のほぐし
00:48 お尻のストレッチ
01:47 背骨のひねりストレッチ
03:41 背中のストレッチ
04:50 ドローイン
05:40 太もも・股関節・わき腹伸ばし
07:51 大胸筋ほぐし
08:58 背伸びから肩よせ
09:48 背中式呼吸
10:40 もも裏のストレッチ

肩こり治療においても、治療が必要ない状態に至るまでには、多くの場合、運動療法が必要となります。

【ラボズプレップ(LABs PREP)】は、今まであまりトレーニングをされたことがないという方も始めやすい難易度ですので、運動に不安がある方も、まずはこちらからスタートしていただき、日々のセルフケアにご活用していただけますと幸いです。

顔周りの筋肉をほぐす

 

多くの方が朝、鏡の前に立つと思います。
その際に、【約3分間】顔や頭、首をほぐす時間を作ることはできますでしょうか。

肩こりや緊張性頭痛などでお悩みの方の中には、『食いしばり』や、夜間の『歯ぎしり』をご実感されている方も多くいらっしゃいます。

特に酷使しやすい、以下の筋肉を重点的にほぐしてみましょう。

咬筋(こうきん)

夜間の食いしばりや歯ぎしりで使う筋肉。硬くなるとエラが張る要因にもなります。

ほぐし方
左右から両手で人差し指・中指・薬指を咬筋にそえて、ゆっくり円を書くように回す。

側頭筋(そくとうきん)

こちらも食いしばりや歯ぎしりで使う筋肉。頭痛、頭こりにもつながる筋肉です。

 

ほぐし方
左右から両手の人差し指・中指・薬指・小指を側頭部にそえて、クルクル円を書くように回す。

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)

猫背姿勢が強いかた、肩こりの方で、過剰に働いてしまっている方が多く見られます。

ほぐし方
ほぐす側の反対の手の親指と人差し指でつまみ、上下や手前に引き出すように筋肉をつかんで動かす。
※指のはらで広く掴むようにしましょう。つかみにくい場合は、首を少し横に倒し(右をほぐすときは右へ倒す)、筋肉を弛緩させておこなってみて下さい。

皺眉筋(しゅうびきん)

眉間(みけん)にしわを作る時に働く筋肉。凝り固まると目の疲れにつながります。

ほぐし方
左右の親指と人差指で眉頭をつまむ。または親指で骨の際に沿って指圧。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

首肩こりにお悩みの方向けに、肩こりラボ推奨の「肩こりケア モーニングルーティン」をご紹介いたしました。

日々の朝の肩こりケアにお役立てください。

また、「寝ても回復しない」「マッサージに行ってもすぐに辛くなってしまう」肩こりは治療が必要な肩こりかもしれません。

肩こりの原因は一人一人異なり、また原因は一つではなく、複数の要因により現れていることが多く、中には、病気が隠れていることもあります。

ですので、ひどい首肩こりでお困りの方はどうかご無理をせず、専門家に診てもらうことをおすすめいたします。

 

参考文献

運動選手における睡眠及びマットレスの種類が筋硬度に及ぼす影響
スポーツ科学研究, 12, 38-47, 2015 年

男子大学生における健康関連 QOL 尺度と体温の日内変動特性および生活習慣の関連性
体力科学 第 65 巻 第 4 号 431-440(2016)

加齢とエネルギー代謝

「白湯」推奨医師 蓮村 誠
1961年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医学博士。医療法人社団邦友理至会理事長。オランダマハリシ・ヴェーダ大学、マハリシ・アーユルヴェーダ認定医。

マイクロ波加熱液中の異常な熱対流のマルチフィジックス解析 特徴


執筆者:伊藤 美里
Misato Ito

盛岡医療福祉専門学校卒業
日本医学柔整鍼灸専門学校卒業

鍼師・灸師
柔道整復師

学生時代バレーボールに打ち込み、当時自分の心の支えとなったアスリートやアーティストに携わる仕事をしたいと思い、「身体の治療・ケア」する道を選びました。
日々患者さんの治療にあたる中で、さらに治療の引き出しを増やすべく鍼灸師の資格を取得。
解剖学的な構造、運動学、最新のエビデンスの理論を基におひとりおひとりの「何が原因か」を追究し、よい治療をご提案できるよう努めてまいります。


自覚症状のない“隠れ肩こり”って?

肩こりの症状は環境や体質により人それぞれですが、こりを感じる自覚の度合いも人それぞれということがわかってきています。

そして肩こりであるにも関わらず、症状の自覚がない「隠れ肩こり」などと呼ばれるケースも存在しますが、本人には肩こりの自覚がないため放置されてしまいがちです。

今回はそんな隠れ肩こりに注目してみましょう。

 

 

隠れ肩こりとは?

一般的には肩こりと判断できる状況であるにも関わらず、本人に自覚症状がない状態を、“隠れ肩こり”と呼ぶことがあります。中には「最近肩が少し重いかも?」といった自覚があるにも関わらず、ご自身が肩こりだと気づいていないケースもあります。

様々な場面で「ずいぶん肩がこっていますね」などと言われた経験をお持ちの方は多いと思います。ここで「いえいえ、肩こりなんて感じたことはないですよ」と否定されたことがある方は、もしかしたら隠れ肩こりかもしれません。

整形外科でも、明らかに筋肉が凝り固まったこりの症状があるのに、患者本人は何とも感じていないという症例は珍しくもないそうです。こうした患者さんには、鎖骨周辺の前頚部の筋肉に張りがある、首の緩やかなS字カーブが消失している、姿勢が悪いなどの共通した症例が見られることもあるそうです。

 

隠れ肩こりは放置しても大丈夫?

結論から申し上げますと、放置はおすすめできません。“隠れ肩こり”と言っても実際に肩こりの症状は出ているわけですから、通常の肩こりと同じく、症状に合わせた改善を目指すほうが良いのではないでしょうか。

原因を探ったりケアをしたりせずに放置すれば、緊張と血行不良の悪循環によって症状が悪化したり、別の症状への引き金になったりすることも考えられます。

 

肩こりの主な原因、心当たりはありませんか?

「肩こり」の状態を医学的に説明すると、首や肩周辺の筋肉が緊張することによって起こる筋肉痛の一種と言えます。筋肉が緊張することで血管を圧迫すると、血行不良が起こり酸素の供給量が減少します。その結果乳酸などの疲労物質が蓄積し、神経を圧迫することで張りや痛みが起こります。これが肩こりを発症するメカニズムですが、大元である筋肉の緊張を引き起こす原因はじつにさまざまです。

例えば分かりやすいところでは「寒さ」があります。寒い季節の外出では体はぎゅっと縮こまりますし、そもそも外出を避けて運動不足になりがちです。いずれの場合も筋肉が緊張し血行不良を起こしやすいと言えます。

また近年では肩こりや首こりの原因の代表的なものとして「姿勢の悪さ」が挙げられます。スマホやPCに向かう時間が増え、首が前に出る悪い姿勢が身についてしまうと、首から肩にかけて常時緊張を強いることになり、やはり血行不良につながります。長時間同じ姿勢を取り続けることも同様です。ほかには、激しい運動による「筋肉疲労」や、「眼精疲労」、精神的な疲れからくる「ストレス」なども肩こりの原因と考えられています。

最近このような環境に心当たりがあるという方、もしかしたら知らず知らずのうちに“隠れ肩こり”になっているかもしれません。

 

どうして肩こりを自覚できないのか?

悩む方が多いはずの肩こりなのに、どうして「自覚できない」という状況が発生するのでしょうか?

症状を自覚できない場合には、肩こりが長く続き常態化して気にならない、こりや痛みに対して耐性がある、または鈍感であるなどの要因が考えられます。

 

 

 

肩こりを放置するとどうなる?

前項で肩こりを引き起こす原因について述べましたが、それ以外にも意外な病気の症状として肩こりが起こることもあります。なかには、放置してしまうと重大な結果につながる場合もありますので注意が必要です。

しつこい肩こりが、じつは頸椎系疾患だったという症例は少なからずみられます。頸椎は首の部分に重なる7つの椎骨からなり、それぞれの椎骨の間には椎間板というクッションがあり、衝撃を吸収しています。さまざまな要因によってこれら椎骨や椎間板に引き起こされる疾患には、「変形性頚椎症」や「椎間板ヘルニア」、「肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)」などがあります。また、まれには「腫瘍」や「がん」、「関節リウマチ」が原因で肩こりなどの症状が表れる場合もあります。いずれにしても、肩こりのみならず腕や手指のしびれ、痛みなどを伴うような場合は迷わず医師の診察を受けましょう。

高血圧症の患者さんでは急激に血圧が上昇した際に、首から肩にかけて張りや痛みの症状が表れる場合があるそうですし、貧血の場合は血液の酸素供給量が減ることから筋肉が疲労し、肩こりが起こることがあるといいます。肩こり専門外来では診察の最初には必ず血液検査を行うというくらい、肩こりと血液・血管の関係は密接なようです。高血圧や貧血の傾向がある方は多いと思われますので、肩こりを単独の症状ととらえず、体調の良し悪しを判断する際のひとつのポイントとしてとらえてほしいものです。

また心療内科の分野では、自律神経の乱れやうつ病などの心因性の原因から肩こりが引き起こされる場合があることもわかっています。肩こりが長く続く、なかなか改善しないなどの場合は、一度は整形外科の診察を受けることをおすすめします。

めったに起こることではありませんが、命にかかわる重篤な病気の前兆として肩こりが起こることもあります。心筋梗塞では、肩こりのほかにあごや首、腕や背中、胃などのあたりまで、こりや痛みが生じる場合もあるようです。普段、肩こりの自覚がない方でも、このような違和感があるときは迷わず医療機関を訪ねましょう。心筋梗塞以外では、解離性大動脈瘤、脳出血や脳梗塞、膵炎などの重篤な疾患の前兆として肩こりが現われるこがあるようです。

 

 

自分の肩こり度を知って「隠れ肩こり」を予防する

肩こりの原因をいろいろ紹介しましたが、実際には明確な原因がわからないまま肩こりを訴える人が大半なのだそうです。肩こりに悩む人は、日常生活を見返して原因になっていそうな事柄を一つひとつ排除していく地道な努力が必要と言えるでしょう。肩こりの自覚がない人には、ご自分の肩こり度はどの程度なのか知っておくことをおすすめします。肩こりの認識がないまま、重篤な病気の前兆を見過ごすようなことがあっては大変です。

ごく簡単な方法ですが、肩こりがあるかないか、セルフチェックの方法を紹介しますので試してみてください。

隠れ肩こりセルフチェックの例

 

正面を向いて顎を少し引き、姿勢を正します。
立っていても座っていても構いません。

肩の力を抜いてリラックスし、手は下にだらりと下ろします。そのまま体が動かないように、首だけを右にゆっくりと倒します。
このとき、右肩が上に上がらないよう注意してください。

一度首を正面に戻し、今度は左側にゆっくりと倒します。

次に、前と後ろに向かって首を倒します。

このとき、右と左、前と後ろで倒した首の角度に違いがあったり、ある位置で痛みや張りを感じたりするようなことがあれば、肩こりのある可能性があります。

両手で左右対称に筋肉を押してみて、固い部分や張っている部分がないか確認してみるのもいいでしょう。

 

 

まとめ

「隠れ肩こり」の人はこりや痛みへの耐性が強いか、そもそも「こり」がどういうものなのか認識できていないと思われます。

前述のセルフチェックで不快な部分を見つけることができたなら、その部分をシャワーやドライヤー、温湿布などで温めてみましょう。楽になったと感じられれば、自らの肩こり度を知ることができるのではないでしょうか。あるいはもっと確実な方法としては、専門家の診断を受け、どこがどの程度こっているのかを教えてもらうのもよいでしょう。

日常生活では正しい姿勢を心がけ、長時間同じ姿勢をとらない、ストレッチをこまめに取り入れる、入浴でリラックスするなど気軽に行える対処療法をまずは試してみることで、不快な「隠れ肩こり」とさよならしたいものです。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


疲れが肩こりを引き起こすかも?「疲れ」の主な原因とメカニズム

たったひとつの言葉に表現される「疲れ」も、原因とその結果から探っていくと内容はさまざまです。スポーツで汗をかいて楽しんだ後の心地よい疲れもあれば、理由もわからずだるさが続くというような心身ともに不快な疲れも。

また、原因不明の疲れが続く場合は、何らかの症状の前兆という可能性もあります。肩こりをはじめとする諸症状も疲れが要因のひとつとなることも珍しくありません。早い段階で疲れへと対処することで、より快適な生活を送れるかもしれません。

継続的な疲れから解放されるためにはまず、自分の疲れがどのようなものかを知る必要があります。もちろん、医療の専門家でもないのに勝手な自己診断はおすすめできませんが、おおまかな疲れの種類を知り、日常生活を振り返ることで見えてくるものもあるはずです。

 

 

「筋肉疲労」には充分な休息と栄養を

もっとも身近な疲労のひとつが「筋肉疲労」です。運動や肉体労働をした後に起こるもので、大概の方は経験があると思います。細かい繊維の集合体である筋肉は、動かすことで多少なりとも損傷します。また、筋肉を動かすことで体内のビタミン(特にビタミンB)やミネラルが消費されることも、疲れを感じる原因のひとつであると考えられています。体を動かした後は、栄養豊かな食事と充分な睡眠をとることが、筋肉の回復にとっては重要なのです。また、活動中には水分の補給や休憩を入れてリフレッシュするなど、疲労そのものを少なくする工夫にも留意したいところです。

また、姿勢が悪いと筋肉に不均衡な負担がかかり疲れや体のコリを誘発することがあります。最近では電車に乗るとほとんどの人が下を向いてスマホに見入っていますが、この悪習慣は姿勢だけでなく内臓にも負担をかけてしまいそうです。猫背にならず、意識的に背筋を延ばした姿勢で見ることを習慣にしたいものです。

ひと晩寝ても疲れが取れない、あるいは日に日に疲れが蓄積していくような場合は、運動や仕事の量や質が自分にとって適当なのか考えてみることも必要です。疲れだけでなくストレスも溜めてしまうとか、病気を誘発するきっかけになりこともありますので、たかが「疲れ」と軽んじないで自分の身体としっかり向き合いましょう。

 

 

避けることができない「ストレス」

21世紀の人類にとって「ストレス」は、あらゆる病気の原因のひとつにあげられるほど、なじみの深いものとなりました。人間関係や取り巻く環境など日常生活のごくささやかな不快感も、積もり積もればストレスとなって心身を攻撃してきます。ストレス耐性が弱い人は、こうした状況に打ち負かされ、強い疲労感に苛まれることもあるようです。

あくまで一例ですが、ある人は慢性的な首と肩のコリに悩まされていましたが、年に1、2回、会社の休みを利用して海外に出かけたときはその不快感から解放されていることに気づき、ストレスを発散することの大切さを実感したと言います。以来、自分が何に対してどう不快だと感じているのか、それまでは目をつぶっていたストレスの原因と向き合い、ひとつずつ克服していったのだそうです。その結果、少しずつではありますが、嫌なことがあってもそれを引きずらず、短時間で気分転換を図れるようになりました。それと同時に肩こりや疲れもあまり感じなくなってきたとか。

ストレス耐性を高めるのには、規則正しい生活と栄養バランスの整った食事も心掛けたいものです。特に、早起きをして朝の太陽光をたくさん浴びることで体内時計が活性化され、自律神経の訓練にもなると言われています。自律神経を鍛えると体内のオンとオフのスイッチの切り替えがよりスムーズにできるようになり、ストレスに負けない体を作ることにつながります。

 

 

「目の疲れ」から誘発される肩や首のコリ

ストレスと並んで、健康な生活のためにさよならしたいのが「目の疲れ」。そもそも紫外線の影響を受けやすく、日々のケアが必要な目ですが、PCやスマホ、タブレットなどの使用頻度が高くなるにつれ、ブルーライトの存在もクローズアップされてきました。

デジタル機器の液晶画面から発せられるブルーライト(太陽光線中にも存在する)の影についてはさまざまな報告がありますが、実際のところ、ブルーライトと疾病リスクの関連についてはデータの蓄積期間が短いこともあって明確な研究報告はなく、人間の眼の組織や視力にどれほどの影響を与えるかについてはまだよくわかっていない、というのが実情のようです。

しかし、長時間液晶画面を見続けた場合、瞬きの回数が半分から3分の1ほどに減ってしまうという報告もあり、これによりかすみ目やドライアイ、目の疲れが起こることは間違いないようです。物が見えにくくなるとよく見ようと眼の筋肉を酷使することになりますので、目の疲れから首や肩へと疲れが溜まっていく悪循環が生まれてしまいます。少しでも軽減するために、以下のようなことを習慣にするとよいと言われています。

・液晶画面をブルーライトカットのフィルターやフィルムで覆う

 

・一定時間、画面から離れて目を休める

・こまめにドライアイ用の点眼液をさす

・画面や部屋の照明器具の明るさを調整する

また、就寝前に液晶画面を長時間見続けると、寝つきや目覚めが悪くなるなど体内時計への悪影響があるという研究結果が、ハーバード大学(米)の研究チームから報告されています。眠りの質は疲れを翌日に持ち越さないために重要なもの。就寝前にはできるだけ液晶画面を見ることを控える、それが無理な場合はブルーライトカットのフィルターやメガネを使用するなどして睡眠の質を守りたいものです。

デジタル機器の使用に関しては、長時間同じ姿勢を続けがちなことから首や肩のコリ、腰痛などの一因となっていることも否めません。とはいえPCやスマホのない生活なんてもはや考えられない現代の生活。こまめに首や肩を回す、ストレッチをするなど血行を良くする工夫を忘れないこと。また、デスクや椅子の高さ、ディスプレイの位置などを調整してよい姿勢を保つことを心がけましょう。

 

 

疲れの原因を知ってベストな身体のケアを

筋肉疲労、ストレス、目の酷使と疲れの原因を紹介しましたが、疲れにはほかにもさまざまな原因とメカニズムがあることがわかっています。明確に疲れを意識することができ、生活習慣のなかで取り除く工夫ができるのはラッキーで、なかには「なんとなく体がだるい」、「気力がおきない」などの不調を、疲れとは意識できないまま放置するケースも少なくありません。疲れは病気のサインとして現われる場合もあり要注意です。うつ病などの心の疾病や更年期障害による自律神経の乱れ、糖尿病や肝臓などの内臓疾患などが隠れている場合もありますので、異常な疲れだと感じたら、迷わず病院に行くことをおすすめします。

 

 

まとめ

現代人が抱える疲れはさまざまです。まずは自分の疲れはどこからきているのか、向き合うことからケアが始まるとも言えます。

いちど自分の生活を振り返ってみましょう。夜更かししていませんか? 睡眠不足に陥っていませんか? 偏った食事や無理なダイエットで栄養不良になっていませんか?

疲れは、体のヘルプのサインでもあります。自分の体としっかり向き合い、その傾向を知ることは大切なこと。そのうえで、年代に応じたケアをすることが必要なのです。何かが足りないと感じたら、専門家に相談し自分に合った身体のケアを見つけたいものです。

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


【大学生の肩こり】原因を見つけ、肩こりから解放されるヒントを紹介!

2020年に全国大学生活協同組合連合会が大学生・院生に向けて学生生活にまつわるアンケートを実施しました。こちらの調査結果では、大学生はさまざまな不安を抱えているという実態が改めて浮き彫りにされています。

そして体調について気になることについて尋ねる項目では、「やる気が起きない」「ストレスを感じる」「目の疲れ」「肌荒れ」などの回答とあわせ、全体の16.5%が「最近肩こりを感じている」と回答しています。

参考:「緊急!大学生・院生向けアンケート」結果 | 全国大学生活協同組合連合会

今回は大学生の皆さんへ向けて、日常に潜む肩こりの原因や、肩こり解消のヒントをご紹介します。

 

 

 

2021年現在の大学生と肩こり

ニュースなどでも再三取り上げられていた通り、世状の変化は日本全国へ様々な影響を与えました。そして大学生の皆さんもまた大きな影響を受けたのではないでしょうか。

体験したことのない事態に対する戸惑いもあることでしょう。入学と同時に学校が閉鎖になってしまった学生の中には、クラスメートとほとんど会えないうちに2年間が経過したという声も聞かれます。また3年生4年生にとっては就職活動への不安も計り知れないものがあるはずです。

そして不安から来る精神的なストレス、体を動かす機会が減ったことによる筋力低下など、環境の変化は肩こりを引き起こす要因になりうる可能性があります。ここではとある学生の方の例を見ていきましょう。

 

大学デビューの肩こりの例

都内の私立大学に通う男子大学生のAさん (21歳)は、3年生になった2021年の春頃から体の不調を感じ始めました。

地方の高校を卒業し、大学進学のため一人暮らしを始めました。勉強やサークル活動、アルバイトと生活のリズムにもようやく慣れ、充実した毎日を過ごし始めていたところに突然、世間の状況を受けて1年ほどでキャンパスは閉鎖、生活環境が激変しました。友だちにも会えず、WEBでの授業を余儀なくされました。戸惑いを感じながらもあっという間に2年近い日が過ぎたのです。

授業、といってもキャンパスが閉鎖されて、この1年ほどはWEBでの授業のみだそうです。毎日決まった時間にノートPCに向かってで授業を受けますが、なんとなく集中力が続かず、先生の話も耳に入ってこないような気がします。そしてつねに、首の後ろや背中にかけて重苦しい感じがして、時々腕をぐるぐる回したり背中をそらしたりすると良くなるのですが、時間がたつとまた同じ不快な状態に戻ってしまうのです。

ついに、これが肩こりというものなのかと気づくまでには少しかかりました。「肩こりは年配の方がなるものだ」と思っており、まだ若い自分が肩こりになるのかとにわかには信じられなかったのです。そこでオンライン飲み会の際にクラスメートにその話をしてみたところ、意外にも自分のほかにも何人か、同じような症状のある友だちがいて話が盛り上がったといいます。なかにはそれがきっかけで肩こりに気付いた学生もおり、これが大学デビューだと笑い合ったとのこと。

 

 

大学生活における主な肩こりの原因と対処法

肩こりに至る原因は様々であり、その原因によって対処法も変わってきますが、ここでは一般的なものをピックアップしてご紹介します。

 

大学生の肩こりの原因

良く見られる肩こり発生のメカニズムとして、硬くなった筋肉が血行不良を誘発し、こりや痛みを引き起こすというものがあります。こうした症状も初期の頃であれば、マッサージやストレッチ運動などですぐに回復する可能性があります。ですがこりや痛みが蓄積し、負のスパイラルが起こってしまうと対処療法だけでは治りにくい状態に陥りやすくなります。

スマホやPCの使用

大学生の年齢や生活環境を推しはかると、スマホやPCの使用は原因として充分考えられるものです。スマホを見る際には頭を下げて首が前に出る姿勢になりがちです。この姿勢を長く続けることで、首の前側の筋肉が収縮し、さらに首の後ろ側の筋肉が伸びた状態になります。それが繰り返され固まってしまうと、頭が肩よりも前に出てしまう、いわゆるスマホ首を招きやすくなります。また大学生はノートPCを使用される機会も多いと思いますが、このタイプは机の上に置くと、ディスプレイの位置が頭の高さよりも低くなることが多いです。このため下を向いた姿勢を長時間続けることになり、首や肩に負担をかけることになります。同時に、目を酷使することで起こる眼精疲労は、首こりや肩こりの原因となることもわかっています。

運動不足

大学生になったこと高校時代に比べて運動量がまた通常であれば大学生はキャンパスにて体を動かす機会があるわけですが、リモート授業によりその機会が減ったこともあり、運動不足となっている方も少なくありません。これも肩こりを発症させる一因となっている可能性があります。

不規則な生活習慣

暴飲暴食による内臓の不調が肩こりを引き起こすこともあります。女性では生理不順やホルモンのバランス失調など、メンタルの問題から肩こりを発症させたり悪化させたりすることもあります。

 

大学生の肩こりを解消するヒント

わずか数年間の大学生生活、肩こりなどとは無縁の清々しい生活を楽しみたいものです。いくら肩こりを招きやすいからといって、スマホやPCを使わない生活など考えることはできないのが現代人です。そこで健康を維持するために、いくつかのポイントを押さえた生活を送ることをおすすめします。肩こりにならない、なっても慢性化させないためのヒントを紹介しましょう。

正しい姿勢を保つ

猫背にならず、首が肩より前に出ない姿勢を意識します。スマホを見るときは目の高さに持ち、下を向かないようにします。また横向きに寝転んだ姿勢でスマホを扱うのは最悪。この姿勢は目の筋肉も使うため、眼精疲労を起こしやすいのです。スマホやPCを使用する際にはできるだけ首が前に出ない姿勢を心がけ、同じ姿勢を長く続けない、一時間経ったら10分程度、ストレッチなどの軽い運動を取り入れるなどこまめに体を動かすことをおすすめします。また、日頃からウォーキングやランニングなどの、ひとりでもできる運動を生活の中に取り入れてみてください。

ストレスを放置しない

ストレスの原因を探り、取り除く努力をしましょう。また、自分に合ったストレス発散方法を考えましょう。ストレスが溜まっていると思える、あるいはやる気が起きない、気分がすぐれないなどの体調不良が続く場合は、心療内科などを受診することもお勧めします。

出来る限り規則正しい生活を心がける

運動暴飲暴食をさけ、栄養のある食事を心がけましょう。定期的に適度な運動を取り入れてください。特に、首の前側の筋肉を伸ばすストレッチは有効です。左右の手で鎖骨の下あたりを押さえて首を後ろにそらすだけでいいのです。こまめに行いましょう。あとは、十分な睡眠時間を確保し、健康で心豊かな生活を送ってください。

 

 

まとめ

肩こりを発症・悪化させないためには、できるだけストレスをためないように生活を改善していくことがポイントの1つになります。軽い運動・生活習慣の見直しによって、少しでも肩こりの原因を解消できる可能性があります。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
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社会人の皆さん、肩こりに悩んでいませんか?お悩みを解決するフィジカルアプローチ

新入社員であれミドルであれ、シニアであれ社会人として仕事をしていく以上、不安や悩みはつきものです。なぜか漠然と感じる不安もあれば、具体的な事象に対する問題もあります。

その中でも今回は肩こりをはじめとする健康面でのお悩みについて詳しく見ていきましょう。

 

 

現代の社会人が抱える体調面でのお悩みは?

2017年に養命酒製造株式会社が行った30歳以上の男性サラリーマン1000人に対するアンケートでは、実に7割以上の人が「病気ではないがなんとなく不調である」と回答しています。この病気ではないが何となく不調であるという状況は、はっきりとした原因が分かりにくい場合も見られます。

そしてそのうちの3割程度は「体がだるい、肩がこる」と感じているということです。

参考ページ:サラリーマンの未病実態に関する調査2017

 

年代により悩みが変化する傾向にある

社会人として働く人たちの年代によって、不安や悩みの内容は変化していきます。新入社員の頃は、「仕事についていけるのだろうか」「この仕事にむいているのだろうか」といった漠然とした不安が大きいでしょうが、キャリアを重ねるにつれ「プロジェクトを成功させなくては」「上司と部下の板挟みになっている」など具体的な問題に立ち向かわなくてはなりません。

いずれの場合も、精神的なストレスから肉体的なダメージへ発展するケースやその逆のケースもあり、ずるずるとマイナスのループに陥ってしまうことは避けなければなりません。

人が何かを成し遂げるためには活力が必要です。そして活力を維持し、ここぞという時に発揮するためには、常日頃から肉体的・精神的な健康維持が重要なのです。現代人にはあらゆるストレスや負荷がかかります。特に近年の生活様式の変化によって職場環境が激変したというケースも増えました。心身ともに疲弊を感じている方も多いことと思います。

 

社会人の方が気を付けるべき、筋力・体力、メンタル低下の落とし穴

社会人の私たちを取り巻くさまざまな不安や悩みは、年代ごとに大きな変化を伴うもの。特に悩みや不安、体調のわずかな変化を見過ごさず、その時折に対処することを心がけてほしいものです。ここでは30代から40代の年代の皆様に注目していきたいと思います。

30代40代の社会人が経験しやすい変化について

職場でも家庭でもあらゆる場面で大きな変化が起こる可能性のある年代です。職場においては責任ある仕事や部下のマネジメントを任せられることが多い時期でもあります。プライベートでは家庭環境が変わり、結婚や出産といった大きな人生のイベントを経験した方もいらっしゃるでしょう。いわば、人生の転機となりやすい時期なのですが、同時に肉体的に劇的な変化が起こり始めるのもこの時期です。

特に人間の身体では20代をピークとして、加齢とともに筋肉量が減少していく老化現象が起こり始めます。職場での立場も変わることで仕事量も増し、当然デジタル機器と向かい合う時間も少なくないことでしょう。同じ姿勢をとり続ける時間が続くことから肩や首のコリ腰痛などを悪化させる方も多いそうです。この状態に筋力の低下が重なるともはや20代の頃と同じケアでは改善は期待できません。

仕事の付き合いで生活が不規則になったり、深夜に食事を取ったりする方もいらっしゃるでしょう。こうした行動は内臓に負担をかけ、病気にまでは至らなくとも疲れた内臓がさまざまな影響を身体に与えるのもこの年代なのです。

出産や子育てをしながら職場に復帰するという女性も少なくありません。非常に体力を使いますので疲労がたまり、ホルモンのバランスを崩しやすくなる年代でもあります。コリや痛みは、身体が助けを求めているメッセージであることも多いのです。忙しいからといってご自分の身体の声をないがしろにはせず、メンタルケア、フィジカルケアを常に心がけてほしいものです。

 

 

社会人の肩こりや腰痛を改善するには

精神的・肉体的な負のスパイラルから肉体を守るために、どのようなことができるでしょうか。ここからは、社会人の皆様のお悩みのうち、肩こりや腰痛に注目して主な改善方法を見ていきましょう。

なお適切な改善方法は症状によっても異なります。特に痛みが辛い場合、悪化を感じる場合は早めに専門家へ相談することをおすすめいたします。

 

デスクワーク時の正しい姿勢を心掛ける

現代では、肩こりや腰痛を訴えるビジネスパーソンが増えてきている背景に、スマホやPCなどIT機器の利用が増加する職場環境があります。もちろんプライベートでも同様です。

近年では自宅でのリモートワークにより、デスクワーク時のスタイルが変化した方もいらっしゃるでしょう。職場のデスクやチェアはデスクワークに適した仕様のものが備え付けられているのがほとんどですが、自宅ではリビングやダイニングのテーブルをとりあえずの仕事机とされている方も少なくありません。デスクやチェアの高さや形状が変わったことで、姿勢に変化を強いられてはいませんか。些細なことのように思われますが、こうした姿勢の変化が肩や腰へ影響を与える事態は十分に考えられます。

ご自宅でのリモートワークをされている方は、使用するテーブルに会社から持ってきたノートPCを置いて、実際に座って体の位置を確認してみて下さい。横から見たときに、背中が曲がって猫背になってはいないでしょうか。悪い姿勢のまま作業を続けていると筋肉が緊張しすぎて肩や腰にこりや痛みを生じさせることがあります。

また、体と机が離れていると首が前に出てしまい、首の周りの筋肉に負荷がかかります。長時間この姿勢を続けることは肩こりや首こりの原因にもなります。テーブルと胴が離れすぎないように椅子を前に出し、座面を高くするなどしてまっすぐな姿勢を保てるよう調整してみましょう。

 

PCの位置が低すぎる場合は、下に台を置くなどして高さを変え、腕の下にもクッションやタオルなどを置いて手の高さも合わせるようにすると、手が疲れません。

またよい姿勢を保とうとするあまり、腰を反らせすぎると腰痛の原因になることもあります。椅子には深くかけ、足が届かない場合は台を置いて足を乗せるなど工夫をしてみてください。そして正しい姿勢を保つために、一時間に10分程度、軽いストレッチなどで筋肉をリラックスさせることをおすすめします。

関連ページ:肩こり・首こりが気になる方が意識すべき、パソコン作業時の適切な姿勢(座り方)とデスク環境とは? 厚生労働省のガイドラインをふまえて解説します。

 

日常に無理なく運動を取り入れる

軽い肩こりや首こりならば、無理のない範囲で運動してできるだけ体を動かす機会を増やし、ストレスも発散しながらやり過ごすのがいいでしょう。またスマホを長時間見続けるのはなるべく控え、見るときはできるだけ目の高さまで持ち上げて、首が前に出る姿勢を避けましょう。こうしたちょっとしたルール作りが、将来的に身体に負担を蓄積させるのを防いでくれるはずです。

年代によっても、体を動かすことに関する考え方が少し変わります。筋肉量が減少していく老化は年を重ねるごとに少しずつ始まってきます。若い頃に行っていたような、筋肉を伸ばすストレッチ運動だけでは効果を得ることができません。筋肉量の減少に対抗し、筋肉量を増やす運動を行う必要があります。

ストレッチにもさまざまな種類があります。YouTubeをはじめとする動画サイトでもいろいろと紹介されていますが、自分の身体がどんな状況になっていてどんな運動が適しているのか、きちんと知りたいと思われたときは、専門家の意見を聞いたり施術を受けたりすることもプラスになるはずです。

関連ページ:首肩の痛みに効く!!肩こり解消ストレッチ〜正しいストレッチ方法を解説

 

 

まとめ

身体のコリや痛みは原因を把握し、適切に対処すれば改善を目指すことができます。さまざまな悩みを抱えて生きていく社会人だからこそ、状況にあったケアにより活力を維持しながら不安や悩みと対峙していきたいものですね。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
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はり師、きゅう師になるには?仕事内容や資格取得方法をご紹介

肩こりや腰痛の改善方法にはり・きゅう(鍼灸)があります。こちらは「はり師」と「きゅう師」という資格を持っているプロのみが施術可能です。2つの資格を持っている方のことを鍼灸師と呼ぶこともあります。

はり・きゅうは人の体に鍼を刺したり灸を置いたりすることから、施術には正しい知識と技術が必要です。

ここでは、はり師・きゅう師の資格取得方法や仕事内容などをご紹介します。

 

はり師・きゅう師とは?

はり・きゅうを行う職業を一般的には鍼灸師と呼ぶケースも少なくありませんが、実は「鍼灸師」という資格はありません。

鍼専門を専門で行うことができる資格が「はり師」、灸を使い体調を整える資格が「きゅう師」です。この資格を共に所持している方が多いこともあって、鍼灸師と呼ばれるようになりました。

あわせて「あん摩マッサージ指圧師」をはじめとする関連資格を取得する方が多いのも特徴です。

関連ページ:あんまマッサージ指圧師の仕事や資格取得方法をご紹介

はり師・きゅう師はどちらも東洋医学を基にしており、鍼と灸を使って「ツボ」を刺激します。人の体にはりを刺したり、きゅうを置いたりと、人体に扱う職業に該当するためしっかりとした知識と技術が必要になります。

参考:あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師と無資格者との判別について|厚生労働省

 

はりときゅうの違い

はりときゅうの違いは鍼を扱うか灸を扱うかという点にあります。

まず、「はり(鍼)」ですが注射や裁縫で使用する針とは異なります。たとえば、注射で使用する針と鍼の太さで比べると注射針は0.4~1.6mmですが、鍼は0.14~0.3mmとかなり細いタイプです。さらに、注射針の先端は尖っていますが、鍼の先端は丸くなっているため体に刺しても痛みがほとんどない点が特徴です。そして、鍼の場合はツボに刺して使用します。

「きゅう(灸)」はヨモギといった薬草から作る「もぐさ」を使用することが特徴です。使用するときは適度な大きさの三角錐状にした団子をツボの上に置きます。方法は、三角錐状の団子の先端に火をつけて熱を発生させて、その熱でツボを刺激して治療します。ほんのり暖かいと感じる程度でゆっくりと燃えていくため、やけどする心配はありません。

このように、鍼灸師と1つの仕事で括られるはり・きゅうですが、全く異なる道具や方法を用いて治療します。そのため資格取得を目指し勉強する際に、どちらの仕事をしたいか、どちらの仕事もしたいのかなどをイメージしながら学ぶのも良いかもしれません。

 

あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師との違い

はり師ときゅう師と似たような資格で、あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師があります。まず、柔道整復師は骨や関節を整復・固定し、じん帯・腱・筋などの損傷を改善するのが目的です。あん摩マッサージ指圧師はマッサージ・指圧・あん摩などで、筋肉を揉んだり摩ったりして、体の状態を整えます。このように、はり師・きゅう師とは全く異なる方法で体調を整えますが、どの資格を取得しても体調を整えるという目的は同じです。

 

はり師・きゅう師を名乗るには国家資格が必要

はり師やきゅう師を名乗って仕事をするためには、国家資格を取得する必要があります。そのためには、まず国家試験の受験資格を取得しなければいけません。ここからは、2021年現在、はり師・きゅう師の国家資格を取得する方法をご紹介します。

参考:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律|厚生労働省

参考:はり師国家試験の施行|厚生労働省

参考:きゅう師国家試験の施行|厚生労働省

 

受験資格を得るには学校に行く必要がある

はり師・きゅう師の勉強を独学で行っても、国家資格の受験資格は取得できません。まずは、はり師・きゅう師の勉強ができる鍼灸系専門学校や鍼灸学科のある4年制大学または短期大学に入学しましょう。学校では知識だけではなく技術の勉強も単位に含まれています。

いずれかの学校で必要な単位を取得し、卒業見込みまたは卒業した状態になると国家試験の受験資格が与えられます。ただし、はり師ときゅう師の資格を同時に取得する場合は、2つの単位が取得できる学校を選びましょう。そのため、学校を選択するときは取得できる国家試験の種類も忘れずに確認してください。

 

はり師ときゅう師の国家試験

他の医療系国家試験と同じように、はり師・きゅう師の国家試験も年1回2月に実施します。1問1点としそれぞれ合計170点満点分が出題され、102点以上で合格です。他の医療系国家試験によっては合格ラインが変動するのもありますが、はり師・きゅう師の国家試験は102点以上と決まっているため勉強しやすい国家試験とも言えます。

はり師の試験科目は医学史を除いた医療概論・臨床医学総論・リハビリテーション医学など12科目です。ただし、同時にきゅう師の国家試験を受ける場合、はり理論またはきゅう理論以外の共通する科目について本人から申請があれば一方を免除できます。

受験するためにはいくつか手続きが必要です。さらに、受験料も必要です。そのため、提出期限までに受験料を払ったり必要な手続きをしたりして受験票を受け取りましょう。

 

はり師ときゅう師の合格率

受験者にとって合格率は気になるポイントです。2021年に行われたはり師の合格率は70.0%、きゅう師の合格率は72.2%です。合格率は低いときは57%のときもありますが、過去問をしっかりと行い、苦手な部分を克服したり基礎を抑えたりと対策しておきましょう。

 

 

はり師・きゅう師の就業先と給料

資格を取得するなら、資格を活かせる就業先で働きたいですよね。また、生活をしていくためには給料は大切です。

ここでははり師・きゅう師の資格が活かせる就業先と給料を見ていきましょう。

 

就業先

はり師・きゅう師の就業先は、鍼灸院だけではありません。まず、鍼灸院の場合は治療院・訪問サービスだけではなく、経験を積んだあとに独立開業をするのも方法の1つです。また、医療の場合は病院・助産院・クリニック、福祉分野ではリハビリテーションセンター・介護施設・保健施設などがあります。少し変わった就業先では美容分野でリラクゼーションサロンや美容鍼灸院、スポーツ関連では企業チームやスポーツ関連施設も選択肢の1つです。

就業先の分野によって経験できる内容や対象となる患者さんが異なるため、どのような分野に興味があるのか、どのような経験を積みたいのかなどを基準に就業先を決めましょう。

 

給料

はり師・きゅう師の給料は、他の職業と同じように勤務形態や地域、就業先などで異なります。さまざまな条件で変動しますが就職1年目で見た場合、平均的な年収は350万円です。もちろん、経験によっても給料は変動します。特にはり師・きゅう師の場合、他の職業とは違い独立開業をするのも選択肢にあるため、経験と知識を積んでから独立開業をするとそれまでの給料よりも増える可能性もゼロではありません。さまざまな就業先や働き方があるため、そのときに可能な働き方や就業先を選ぶのが大切です。

 

 

まとめ

人の体調を整えるはり師・きゅう師についてご紹介しました。どちらも国家資格のため受験資格を取得できる学校に行く必要があります。また、2つの資格を同時にとるのか1つにするのか、どのようなところで働きたいかなど将来のビジョンを考えて、学校を選んだり、必要な資格取得を目指したりすることが大切です。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
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あんまマッサージ指圧師の仕事や資格取得方法をご紹介

肩こりや腰痛などの解消手段としても知られているマッサージのプロが「あん摩マッサージ指圧師」です。れっきとした国家資格の一種ではあるものの、資格の取得方法や仕事内容など詳しく知らないという方も多いでしょう。

今回は、あん摩マッサージ指圧師について解説します。

 

 

あん摩(あんま)とは?

「あん摩」とは、人の身体を揉んだり叩いたり押したりなどの手技を用いる療法です。もしくはあん摩を行う人自体のことを指す場合もあります。漢字にすると「按摩」であり、「按」の意味は「押さえる」、「摩」は「なでる」という意味です。

主な手技療法

 

 

1、軽擦法(けいさつほう)

2、強擦法(きょうさつほう)

3、叩打法(こうだほう)

4、圧迫法(あっぱくほう)

5、振せん法(しんせんほう)

6、揉捏法(じゅうねつほう)

7、伸展法(しんてんほう)

 

「あん摩」と似た療法として、「マッサージ」や「指圧」があります。こちらはそれぞれ発祥が異なる技術となっています。

・あん摩:古代中国が発祥です。主に衣服の上から施術を行います。

 

 

・マッサージ:ヨーロッパが発祥です。主に皮膚を直接刺激し施術を行います。

・指圧:日本が発症です。主に衣服の上から施術を行います。

 

 

あん摩マッサージ指圧師になる方法

あん摩マッサージ指圧師を名乗るには、まず試験に合格し、既定の資格を取得しなければいけません。こちらは医師・看護師などと同じく “人体を扱う職業”に該当するため、国家資格と定められています。

さらに「業務独占資格」に該当するため、国家資格を持たない状態で「あん摩マッサージ指圧師だ」と名乗ることはできません。さらに、あん摩・マッサージ・指圧を用いた施術を行うのは法律で禁止されています。

参考:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 | 厚生労働省

 

受験資格を得るには

必要な単位を取得した方だけが受験資格を取得できます。そのためには高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働省大臣が認定する専門学校・短大・大学といった学校や養成施設にて3年以上勉強し、必要な単位を取得することが求められます。

必要な単位を取得するためにはこれらの養成所や学校で知識だけを得るのではなく、実習もクリアしなければいけません。そのため、独学で受験資格を得ることは不可能です。さらに、専門学校や養成所は数が少なく、入学することも難しいケースも見られるのが現状です。

なお学校や養成所によっては、はり師ときゅう師の受験資格も取得できるカリキュラムを設定しているところもあります。勉強や実習は大変にはなりますが、はり師ときゅう師の受験資格も取得したい方はカリキュラムも確認しましょう。

 

国家試験の概要と合格率

他の医療系国家試験と同じく年1回実施されます。毎年2月に実施するため、学校や養成所を卒業見込みの状態でも受験可能です。

試験内容は医学概論・あん摩マッサージ指圧理論・臨床医学総論など12科目から出題されます。筆記試験はマークシートですが、知識と技術はしっかりと身につけましょう。

合格基準はその年で変動します。例えば令和3年に実施された国家試験の場合、合格率84.1%で、96点以上(160点満点中)が合格でした。

 

 

あん摩マッサージ指圧師の主な就業先や給料

資格取得してから就業できるか、給料はいくらもらえるかは気になるポイントでしょう。ここでは主な就業先と給料についてご紹介します。

 

あん摩マッサージ指圧師の就業先

本資格のみの取得を目指すのではなく、はり師ときゅう師の資格をはじめとする関連資格も取得することで、就業先の選択肢を広げることが可能です。

就業先として最も多い場所は、個人が経営する治療院や施術所です。他にも病院・介護施設・スポーツ施設などがあります。2021年現在、福祉分野にて本資格所持者の需要が増加しており、特に訪問マッサージ師としての活躍が期待されます。

さらに、「あん摩マッサージ指圧師」として5年間の実務経験を積むことで、介護支援専門員(ケアマネージャー)の受験資格も取得できます。介護支援専門員の資格があると医療と福祉分野で就業できます。さらに経験を積んでから独立開業するのも良いかもしれません。

・治療院

本資格所持者の就業先として最も一般的であり、スキルと経験を積みたい方におすすめです。治療院によっては院内施術のみならず、訪問マッサージやスポーツ団体へトレーナーとして派遣される場合もあります。

・介護施設

入所者を中心にケアのためのマッサージをしたり、機能訓練指導員として入所者や利用者の身体機能のサポートをしたりします。介護支援専門員の資格取得を視野に入れている方におすすめです。

・病院

リハビリ部門のスタッフとして治療後や治療中にリハビリが必要な患者に対して施術します。医師・作業療法士・理学療法士と一緒に仕事をするため、幅広い知識と経験を積めます。

 

あん摩マッサージ指圧師の給料

他の職業と同じく、雇用形態・勤務形態・就業地域によって給料は異なります。

あん摩マッサージ指圧師の平均的な給料は20万円~25万円の間が一般的で、年収では300万円~400万円です。ただし、独立開業をすると給料はさらに変わり、平均的な月収は30万円以上となっています。

 

 

あん摩マッサージ指圧師の資格を取得する主なメリット

先にも述べたようにあん摩マッサージ指圧師を名乗るためには、国家試験に合格する必要があります。

似たような施術を行う職業に整体師やセラピストがあります。これらの職種は国家資格を必要としておらず、名乗るためのハードルが低くなっています。

ここからは、国家資格を取得する主なメリットをご紹介します。

 

「あん摩」「マッサージ」などの看板を掲げることができる

医師以外は資格がなければ、あん摩マッサージ指圧はできません。

もちろん、施術することも不可です。「あん摩」「マッサージ」などという看板をかかげるためには既定の国家資格が必須です。

 

資格を持っていることで信頼されやすくなる

肩こりや腰痛などの解消を目的としてマッサージ店を探す場合、資格を取得している施術者がいるかどうかが基準の1つです。そのため資格を持つことにより、信頼や安心感が生まれやすくなると言えます。

現在、足裏マッサージ・カイロプラクティック・整体などがありますが、国家資格を必要としないこともあり、専門的な知識・技術がないがためにトラブルに発展する事例も見受けられます。しかし、国家資格の有無は確認できないのが現状です。

そこで国は国家資格を取得しているのが分かるように、施術する場所や受付などに資格情報を掲示するように通知しています。たとえば、看板に資格保有者であることが記載してあったり、施術者が厚生労働大臣免許保有証をつけていたりします。

参考:あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師と無資格者との判別について | 厚生労働省

 

施術が健康保険の対象になる可能性がある

実は国家資格がなければ健康保険の対象になりません。ポイントは施術者が国家資格を保有していることです。そのため、施術をした方が無資格の場合は対象外になるため注意してください。そのため、肩こりや腰痛などのマッサージを受けるときは、資格取得者に施術してもらいましょう。

 

 

まとめ

あん摩マッサージ指圧師を名乗るためには国家資格を取得しなければいけません。国家資格があることは知識と技術の証明にもなります。

資格取得のメリットや方法をふまえて検討しましょう。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こり・首こりの方が、首肩の負担を減らすために、寝る時の姿勢で気をつけるべきポイント

肩こりや首こりにお悩みの方の中には、「首や肩が凝り固まりすぎて眠れない」「寝付きが悪い」「睡眠の質が悪い」「寝起きから凝っている」「寝ているだけで首肩が凝ってしまう」という方が少なくないと思います。

そして「就寝時の姿勢や枕が原因なのでは?」そう考えて、たくさんの記事を読まれたり、寝具屋さんに足を運ばれたり・・・オーダーメイドの枕を購入したという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

自分なりの工夫をして改善した方はいらっしゃると思いますが、なかなか改善方法が見出せずお困りの方も多いと思います。

当院にいらっしゃる患者さんからも、寝る時の姿勢や枕の選び方についてたくさんご質問いただきます。

 

そのため、今回は、肩こりや首こりにお悩みの方が、就寝時に気をつけるべきポイントを寝る姿勢ごとにまとめました。

実際には、個々のスタイルを詳しくお伺いして、それぞれにフィットした対策を行っていきますが、今回は一般論として、オススメすることをご紹介させていただきます。

「自分にあってるとされる枕を様々試したけどやっぱり変わらない・・・」そんな方に是非試していただきたい内容です。

さらに、より良い睡眠につなげるために、おすすめのストレッチをご紹介します。

 

本記事の内容を実践していただくことで、より良い睡眠、そして快適な寝起きにつながりましたら幸いです。

 

横向け寝の場合

(1)抱き枕を使用する

抱き枕を使うことで、巻き肩になってしまうことが防げます。巻き肩予防になるということは首肩の力みを軽減することに繋がります。

[方法]

体の横幅(左右の肋骨を結んだ距離)くらいの抱き枕を使用し、体が捻れないようにセッティングしてください。

※抱き枕でなくとも、使用していない掛け布団などでも代用できます。

(2)膝枕を使用する

膝に枕を挟むことで、体幹のねじれを出にくくしてくれます。

[方法]
タオルを折り畳む、もしくは何枚か重ねて10センチくらいの高さがあるクッションを作り、膝を曲げて足の間に挟んでください。

(3)頭、首枕の高さの設定

横向き姿勢は、肩の幅分(半身)頭が持ち上がるので、枕は必須になります。横向きで頭、首枕をしないで寝てしまうと頚椎を捻りやすいので枕は使用していきましょう。

[方法]
仰向けになり、胸の前で両腕をクロスし、股関節と両膝を曲げ、左右に寝返りを行います。首や肩がリラックスした状態で行える高さに設定しましょう。

 

仰向け寝の場合

(1)膝枕を使用する

膝を曲げさせることで股関節にゆとりをつくります。股関節が硬い方は膝が伸びていることにより、骨盤への影響か増えてしまいます。その場合、体が窮屈になり首肩が力みやすくなります。

[方法]
高さ10センチくらいのタオルロールをつくり、両膝下に置いてください。

(2)頭、首枕の位置

枕は高すぎると呼吸しにくくなったり、頭頚部の負担を増やしてしまいます。適切な高さに調整するだけでも首や肩の負担が減ります。

[方法]
首の筋肉首の角度が15°前後となる付近で、呼吸が楽で、後頭部の不快感がなく、首の後ろの筋肉が緩む高さをみつけます。
枕は頭だけではなく、首肩が包まれるように置きましょう。

 

うつ伏せ寝の場合

(1)胸枕を使用する

布団やマットレスのままだと肋骨が押さえつけられる状態になるので呼吸がしにくくなります。そうなると首肩が力みやすくなるため胸枕はご使用くださいませ。

[方法]
柔らかめのクッションや掛け布団を丸めたものを胸枕としてお使いください。

(2)顔枕を使用する

顔にクッションがあった方が寝返りしやすかったり、頸椎の過度な捻り予防になります。

[方法]
クッションやタオルでも良いので、うつ伏せになった時に顔がリラックスできる高さや柔らかさのものを使用しましょう。首の捻りが気にならない状態を作るとなお良いです。

※うつ伏せでは首を捻った状態になるため、寝違えてしまうことがあります。どうしても、うつ伏せでないと寝られない方以外は仰向けや横向きをお試しくださいませ。

 

肩こりラボおすすめのストレッチ

寝る姿勢を工夫するのとあわせまして、ストレッチで身体をほぐすと良いです。

ストレッチは様々なやり方がありますが、おすすめは動的ストレッチです。

一般的に、多くの方がご想像するストレッチは、該当の部位をゆっくりと引き伸ばして、それを数十秒キープする静的ストレッチだと思います。

動的ストレッチもストレッチなので筋肉を引き伸ばすのですが、静的ストレッチと異なるのは、動きの中で行うとい点です。

動きを伴うということは、筋肉の収縮が行われるわけなので、血行改善の効果が高まります。そのため、動的ストレッチをおすすめするのです。

本記事では、肩こり・首こりの方向けなので、肩甲骨まわりや背中をほぐすストレッチをご紹介します。

 

肩甲骨のストレッチ7選

こちらの動画にて、7つのストレッチをご紹介しています。YouTubeで一般公開しており、たいへん多くの方に好評いただいております。

首肩の緊張を緩和するためには、首や肩を直接伸ばすのではなく、肩甲骨を動かして、肩甲骨まわりの筋肉をほぐすのがポイントです。

7つご紹介していますが、全部行うのが難しければ、心地よくできるものや、特に伸びを感じるものを実践していただけたらと思います。

 

 

 

背中のストレッチ(タオルストレッチ)

背中が硬いまま眠ってしまうと、猫背で固定されて眠っているのと同じ状況になってしまいます。そうならないためにも就寝前に背中を伸ばすことを推奨させていただきます。

[方法]

①タオルを折り畳み、丸めてロールを作ります。

 

②両脇を結んだライン上(肩甲骨のあたり)に、横にしたタオルロールが当たるように仰向けになります。(膝は曲げた状態です)

 

③ゆっくり両腕を上に挙げ、バンザイをします。

 

④  “③”の状態のまま、脱力して10〜20秒、もしくは深呼吸4-5回、背中を伸ばしたら、腕を元に戻します。タオルロールの位置を、下図赤線の位置あたりに、ずらしながら、この一連の動きを2〜3回行ってください。

 

背中がほぐれると、首肩や腰の緊張も緩和します。

呼吸も深くなります。

上記の背中のストレッチ(タオルストレッチ)を以下の動画でもご紹介しています。

 

 

背中のストレッチの理論的なことを、こちらの動画でご紹介しています。

 

 

今回は以上になります。

ご参考になりましたら幸いです。

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。