概要
M様 / 埼玉県在住 / 27歳 / 男性 / 会社員(営業職)
症状
- 肩こり
- 背中こり
状態
学生の頃から教科書などをたくさん入れた重い荷物を持ち歩くことが多く、肩から背中にかけて強いこり感があった。この時がピークでつらかった。
その後、配送業に就き、現在は転職し営業の仕事をしている。
外回りで長時間車を運転することが多いのと、週に一度は長時間デスクワークをするため、その際にはこりを強く感じやすい。
また、スーツのジャケットを着用していると窮屈さからどうしても姿勢が丸まってしまい、さらに強いこりを感じやすくなる。
運動は現在あまりしていない。趣味としてダイビングをやっている。酸素ボンベを背負う時も肩や背中はつらくなりやすい。
見立て
肩から背中にかけてこりを感じる部分と一致して、筋肉の緊張がみられる(僧帽筋、最長筋、腸肋筋など)。
姿勢を正そうとしても、すぐに崩れやすい主な要因として、股関節と胸椎の柔軟性不足が考えられる。
姿勢を支えることに適している筋(脊柱起立筋、腹横筋、大殿筋など)の筋力低下はあまりみられないが、股関節や胸椎の柔軟性が低いため、相対的に姿勢を支えるために強力な筋力が必要な状態。
治療は、マッサージや鍼で筋緊張を緩和しつつ、柔軟性の改善と筋力強化の両方向から改善を図る。
また、車の運転中などは姿勢に意識を集中させることが難しいため、無意識の状態でも良い姿勢を保てるように、反復継続的にトレーニングを行うことが重要と考えた。
治療
初期治療
まずはマッサージや鍼を用いて、筋緊張の緩和を優先して治療を進めた。
治療頻度は1週間に一度のペース。
鍼はこれまで受けたことはなかったが、筋の反応がとても良く、1回の治療ごとにこりの自覚症状が改善していき、3回目の治療で NRS 1まで症状改善を実感されたため、中期治療に移行することになった。
※NRS:Numeric Rating Scale。痛みを「0:痛みなし」から「10:これ以上ない痛み」までの11段階に分け、痛みの程度を数字で表す評価方法。
中期治療
自覚症状をほとんど感じなくなったため、こりが悪化しないように定期的に筋肉は緩めつつ、柔軟性の改善と筋力強化を目的とし、運動療法をメインに治療を行った。
治療頻度は2週間に一度のペース。
中期治療のはじめは個々の関節可動域の改善や、筋肉をそれぞれ個別に使えるようにするストレッチやトレーニングから開始。徐々に連動的に身体が使えるようにトレーニング内容をステップアップさせていった。
10回目の治療で、姿勢の維持をするために必要な柔軟性や筋力が身についてきたため後期治療に移行。
後期治療
運動療法のペースは保ちつつ、徐々に鍼やマッサージなど、ほぐし治療の頻度をあけていった。
ご相談の上、2ヶ月間肩こり、背中こりに悩まされない状況をキープできたため、ゴールとなった。
治療開始からゴールまでの期間は約10ヶ月間。総治療回数は22回。
そのうち8回は鍼やマッサージをせず、運動療法のみの短い治療。
コメント
本ケースは初診からゴールまで、順調な経過をたどったケースです。
肩こりの根本的な改善を目指すにあたって、中期治療以降は自覚症状の変化が緩やかになり、改善の実感を得にくくなりますが、この期間でしっかりと運動療法を重ねていくことにより、より早期にゴールに近づくことができます。
M様は、気持ちの切れやすい中期治療の際に、セルフケアとして日々しっかりとストレッチや筋力トレーニングを行なってくださったことが早期ゴールにもつながったと考察しております。
TOPページに戻る:肩こりや首こりの治療や解消なら専門情報サイト肩こりラボ
執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。