概要
Y様 / 静岡県在住 / 33歳 / 女性 / 会社員
症状
肩こり
首こり
頭痛
状態
肩こり、首こりは高校生の頃からあったが、1年前くらいから特にひどくなってきた。
ひどい時は頭痛や吐き気を伴うこともある。
頭痛外来にて精密検査などを行ったが、これといった異常所見はみられなかった。
はっきりとした原因が特定できないまま、徐々に症状が悪化してきたためご来院された。
頭痛が特にひどいときは痛み止めを飲みながら緩和している。
マッサージや鍼を受けると一時的に緩和するが、数日すると元のつらい状態に戻ってしまう。
仕事はデスクワークが中心で、長時間座りながらパソコン作業をしていることが多い。
見立て
まず、首や肩のつらい部分と一致して、頭半棘筋、頭板状筋、肩甲挙筋、僧帽筋に強い筋緊張がみられる。そして頭半棘筋や僧帽筋を圧迫した際に、普段の頭痛に近い痛みが再現された。
このことから、頭痛は首や肩の筋緊張により、引き起こされている可能性が高いと考えた。
そして各関節可動域や筋力を検査したところ、股関節や胸椎の可動域の低さ、姿勢維持のために適した筋(脊柱起立筋、腹横筋、大殿筋)の筋力が十分ではないことがわかった。
上記の関節可動域の低下や筋力低下があると、良い姿勢を長時間キープすることが困難となる。
仕事では長時間座るため、適した筋肉で支えられていないことで首や肩にかなりの負担を強いることとなる。
まずは鍼やマッサージで筋緊張を緩和し、自覚症状をできるだけ少なくするよう努める。
次に根本的な部分の改善として運動療法をメインに進めていき、治療期間をあけても大丈夫な状態を目指すこととなった。
治療
初期治療
初期治療では通常一週間に一度ほどの頻度で集中的に治療をしていくが、静岡県からご来院されるため、二週間に一度のペースで行っていくこととなった。
そして次回の治療までに、なるべくこりの少ない状態をキープしていただくために、セルフケアとしてストレッチや体操を通常よりも多く行ってもらった。
治療を開始して約3ヶ月、7回の治療でこりや頭痛の程度がNRS3まで落ち着いたため、運動療法がメインとなる中期治療へ移行した。
※NRS:Numeric Rating Scale。痛みを「0:痛みなし」から「10:これ以上ない痛み」までの11段階に分け、痛みの程度を数字で表す評価方法。
中期治療
まずは治療開始前のような強いこりや頭痛が出ないようにすること。(鍼やマッサージによるほぐし)
そして姿勢改善のため、可動域改善と筋力強化をメイン課題として運動療法を中心に治療を進めた。
まずは脊柱起立筋、腹横筋、大殿筋など姿勢維持のために必要な筋を個々にトレーニング。
それぞれが十分に使えるようになったら、徐々に連動性をもたせるトレーニングへと発展。
トレーニング開始してから間もない頃は、背中の筋を使おうとすると首や肩など、上半身に力が入ってしまっていた。
腹横筋や大殿筋など体幹や下肢の筋肉が使えるようになると、徐々に上半身の余計な力みがなくなり、目的の筋を選択的に収縮できるようになった。
治療を開始してから約1年。治療回数は26回。良好姿勢が定着したため、後期治療へ移行した。
後期治療
Y様とのご相談により、3ヶ月に一度の治療頻度で良好な状態がキープできるようにすることを目標に、徐々に治療間隔をあけていった。
肩や肩甲骨、鎖骨周りが張ることもしばしばあったが、大きく調子を崩すこともなく、良好姿勢やセルフケアの習慣化なども出来ており、3ヶ月あけても問題ない状態となったため、治療はゴール。
治療期間は約1年9ヶ月。総治療回数は31回。
コメント
当院には、北海道から九州までさまざまな地域から治療を受けにいらっしゃいます。
遠方からご来院される方や、さまざまな事情により当院が推奨している頻度で通うことが難しい場合でも、セルフケアや治療内容のカスタマイズにより、根本的改善に向かっていくことは十分可能です。
Y様も静岡県からのご来院ということもあり、平均よりも長期間となることを見据えての治療計画となりました。
セルフケアなど地道に続けていただいた結果、着実に身体が改善していき、ゴールへと到達することができました。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。