概要
K様/東京都在住/48歳/男性/会社員
症状
首肩こり
頭痛
首を鳴らしたくなる
状態
もともと肩こりは慢性的にあったが、30代半ばからより辛くなった。
ここ1ヶ月で仕事が忙しくなり、朝から夜まで長時間デスクワークをしている。
その影響か頭痛も出るようになった。
鍼やマッサージを受けに行ったことはない。
床屋さんの強いマッサージは苦手。
Youtubeの動画を見て自宅で10分運動している。体を動かすことは好き。
見立て
首肩の筋肉(僧帽筋や頭半棘筋、頭板状筋)の緊張が強い状態。
頭痛は医療機関で異常がないことが確認されており、筋緊張から緊張型頭痛の可能性が高いと考えられる。
問診や検査から首肩こりを引き起こしている主な原因は、座位や立位時に背中が丸まって首が前に出てしまっていること、日常生活での「姿勢」にあるのではないかと考えた。
この丸まった姿勢の原因をさらに調べると、胸椎の可動性が低いことで、丸まった背中を伸ばせない状態であることがわかった。
そこで胸椎について掘り下げて調べてみると、固まっているだけではなく、腹横筋を中心とした腹筋群や、上背部の脊柱起立筋や多裂筋が弱いことで背中を伸ばす機能が低下してしいた。
そのため、意識や努力だけでは良い姿勢をとることができない状態であった。
また、腹部に力を入れようとしても首・肩周りを力ませるような使い方になってしまっており、お腹に力を入れて姿勢を正しても、かえって首肩を力ませてしまい、負担が軽減されない状態であった。
まずはマッサージで緊張している筋肉(僧帽筋、頭半棘筋、頭板状筋) をほぐして症状を緩和すること。
そして、胸椎の可動性を改善することが必要と考えた。
胸椎の可動性改善のために、胸椎のストレッチだけでなく、可動させるために必要な筋肉の強化をしていくことで、根本的な原因を改善できると考えた。
治療
初期治療
強い刺激が苦手であることからゆっくり奥に届くような押圧でマッサージを行い、筋緊張を緩めていった。
初期治療では7~10日のペースで治療を行い、間隔を空けないようにした。
また、運動では頭痛体操や首肩に負担のかかりくい座り方を行っていき、セルフケアとしてご自宅でも行っていただいた。
中期治療
ペースは2週間〜3週間。
首肩こりの辛さが減り、首を鳴らしたくなる回数も減った。
また、頭痛も気にならなくなった。
トレーニングの時間をより増やし、胸椎の可動域改善や姿勢保持筋(腹横筋、脊柱起立筋)の筋力、持久力強化を行った。
セルフケアもより強度を上げていきながら、朝晩で行っていただいた。
後期治療
ペースは中期治療と変わらず2週間に1度。
運動療法は毎回行いながら、マッサージの頻度は1ヶ月に1度に。
首肩こりの辛さはなくなり、セルフケアも継続して良い状態を維持できているためゴール。
今後はこの状態を維持、よりプラスにしていけるよう継続してトレーニングを行っていく。
ゴールまでの総治療回数は15回。
コメント
K様は仕事中に姿勢が悪くなっている自覚がありましたが、自分で良い姿勢に戻すのは難しい状態でした。
良い姿勢を取る上で胸椎の柔軟性が重要になります。
胸椎の柔軟性が低下している状態で良い姿勢を取ろうとすると首や腰の過伸展が起き、凝りにもつながります。
そのためまずは胸椎の可動域を上げていくこと、その上で良い姿勢を知り、意識しなくても良い姿勢を取れるよう反復することが重要でした。
K様は初期治療からセルフケアを毎日行ってくださったこともあり、胸椎の可動域改善や正しい座り方の体得までが早い段階で達成できました。
そこからはその姿勢を維持するための持久力をつけるトレーニングを行い、少しずつ良い姿勢を取れる時間が増えていきました。
よって、45~60分の治療を15回、所要期間約6ヶ月でゴールまで至ることが出来たかと思います。

執筆者:中込 優平
Yuhei Nakagome
帝京大学 医療技術学部スポーツ医療学科 健康スポーツコース卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業
鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
健康運動実践指導者
私は大学時代、 市営の体育館のトレーニングルームで運動指導をしていましたが、当時の自分にはお客様が肩や腰が痛いと仰っても解決する手立てがありませんでした。
そこから鍼灸あん摩マッサージ指圧師に興味を持ち始め、資格を取得しました。
日常生活の中で肩こりや腰痛などで悩み、 やりたいことができない方やもっと健康で良い生活をしていきたい方、 そんな方々のお力になりたいと考えています。