猫背と反り腰による慢性的な首肩こり・腰痛にお悩みのケース|ケースレポート

概要

猫背と反り腰による慢性的な首肩こり・腰痛にお悩みのケース

N様/東京都在住/25歳/男性/会社員

症状

・首肩こり

・腰痛

状態

・スウェイバック姿勢(頭が前に出て背中が丸まっている、反り腰、骨盤後傾、ハムストリングス過緊張)

・胸椎伸展制限

・股関節モビリティ不足

・ヒップヒンジ機能の欠如

見立て

日常的にカメラ作業やPC業務が多く、立ちっぱなし・座りっぱなしの時間が長いため、ハムストリングスの筋緊張が強く、骨盤が後傾した姿勢になっていると考えられる。

骨盤の後傾により、胸椎の伸展が制限され、背中が丸まりやすく、さらに頭部が前方へ突き出た姿勢となっている。

この結果、僧帽筋・頭半棘筋・頭板状筋など、首や肩の後面の筋肉に持続的な負担がかかり、慢性的なこりを引き起こしている。

また、ヒップヒンジの機能を使えておらず、座位や日常動作において本来骨盤・股関節で支えるべき重心を、上半身(特に首・肩)で代償している可能性が高い。

これが腰への負担も増やし、腰痛の一因となっていると考えられる。

まずはこりの強い筋肉(僧帽筋、頭半棘筋、頭板状筋、腰部多裂筋)に対してマッサージでしっかりほぐして筋緊張を緩和。

あわせて胸椎と股関節のモビリティ改善を目的としたストレッチや正しいヒップヒンジを体得するためのトレーニングを行う。

動作の体得とともにハムストリングスや臀部の筋力強化も行うことで、骨盤の安定性を高め、根本的なこりの原因を改善できると考えた。

治療

治療のペースは10日~2週間に1回の頻度で、マッサージによる筋緊張の緩和と機能改善のためのトレーニングを併用して進めた。

まずは、強いこりが見られた僧帽筋・頭半棘筋・頭板状筋・腰部多裂筋などの筋肉に対して、マッサージでアプローチし、過緊張を和らげた。

運動面では、体の硬さによって姿勢が崩れ、正しい動きが出せない状態だったため、初期段階では股関節周囲や胸椎の伸展を促すストレッチからスタート。

さらに、胸を開くエクササイズを取り入れることで、短縮していた前面の筋群をゆるめ、猫背姿勢の改善を図った。

股関節の可動性を高めると同時に、ヒップヒンジ動作の習得にも取り組んだ。

それに伴い、スクワットやヒップリフトなどの下半身強化エクササイズを段階的に導入し、臀部やハムストリングスの筋力強化を目指した。

継続的なトレーニングの結果、股関節や胸椎の可動域が改善され、ヒップヒンジ動作も習得。

骨盤の後傾姿勢が改善されるとともに、正しい姿勢を作れるようになった。

その結果として、首・肩周りへの過剰な負担が軽減され、慢性的なこりの症状も大きく緩和。

姿勢の改善により、仕事中の疲労感の軽減にもつながっている。

コメント

N様のように、姿勢の乱れが原因で肩や腰に不調が出ている場合、マッサージなどで一時的に楽になることはあっても、それだけでは根本的な改善にはつながらないことが多いです。

治療を行う上で、モビリティ(可動性)を回復することを最も重視しました。

正しい姿勢を取ろうとしても、体が固くて動けなければ、そもそも正しい姿勢自体ができません。

まずはその土台を整えることが大切です。

そのために、

• 固くなった筋肉をゆるめる

• 動きが少なくなっている関節の柔軟性を取り戻す

• 使えていない筋肉を目覚めさせて、支える力をつける


といった多角的なアプローチを行いました。

また、普段の座り方や立ち方、歩き方など、何気ない日常のクセが想像以上に体へ負担をかけていることも少なくありません。

「ちょっとした意識の変化」や「正しい身体の使い方」を取り入れるだけでも、慢性的な不調が大きく改善に向かう可能性があります。

姿勢改善は一朝一夕にはいきませんが、正しく動ける体づくりを土台にした継続的な取り組みが、最も確実な近道です。


執筆者:中込 優平
Yuhei Nakagome

帝京大学 医療技術学部スポーツ医療学科 健康スポーツコース卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
健康運動実践指導者

私は大学時代、 市営の体育館のトレーニングルームで運動指導をしていましたが、当時の自分にはお客様が肩や腰が痛いと仰っても解決する手立てがありませんでした。
そこから鍼灸あん摩マッサージ指圧師に興味を持ち始め、資格を取得しました。
日常生活の中で肩こりや腰痛などで悩み、 やりたいことができない方やもっと健康で良い生活をしていきたい方、 そんな方々のお力になりたいと考えています。