右肩の可動域制限にお悩みのケース|ケースレポート

概要

I様/東京都在住/45歳/女性/会社員

症状

• 髪を結ぶ・洗うなどの動作が困難

• 肩を90度以上あげられない

状態

2024年5月、マシンピラティス中に右肩をひねって痛めたのがきっかけ。

それより前から、四十肩のような違和感はあった。

整形外科でのMRI検査にて関節唇損傷が見つかり、薬やリハビリを受けたものの、肩の動きは改善せず、10月に当院を受診。

来院時には強い痛みはなく、肩の可動域制限が一番の悩み。

背中側の筋肉(広背筋・大円筋・僧帽筋上部・肩甲挙筋)の緊張が強い。

また、肩甲骨を正しい位置に安定させた状態「パッキング」ができず、

肩を上げようとすると力ませて肩をすくめる「シュラッグ」が出てしまっていた。

見立て

MRIによる画像診断にて関節唇損傷と診断。

炎症や痛みは落ち着いている。

そのため、可動域の制限は筋緊張・姿勢の崩れ・肩甲骨の使い方が主な原因と考えた。

GHJの安定性の再構築、肩甲帯および体幹との協調性の改善、ローテーターカフの強化を行うことで症状の改善を見込めると考えた。

治療

初期は鍼やマッサージを用いて筋肉の緊張を緩めつつ、肩がすくまないようインナーマッスルエクササイズを行った。

治療のペースは週1回で、自宅でのセルフトレーニングを併用していただいた。

肩を正しく動かすため、肩甲骨と腕の連動(肩甲上腕リズム)や肩甲骨パッキングも練習。

徐々に運動療法をメインに移行し、姿勢を安定させるためにお腹や背中の筋肉にもアプローチ。

肩のインナーマッスルが強くなってきたことで行うトレーニングもより高度なもの(胸より高い高さ)に移行。

以前のようなシュラッグや代償動作も自然と消え、髪を結ぶ・洗うなどの日常動作もスムーズにこなせるようになり、今回の治療はゴールとなった。

コメント

肩のトレーニングは、動きが地味で繊細な分、気づかないうちに自己流になってしまいがちです。

自己流で続けてしまうと、本来働かせたい筋肉がうまく使えず、かえって他の筋肉に負担がかかってしまうケースも多く見られます。

I様は週1回のペースで動きを丁寧に確認し、その都度修正しながら正しい使い方を身につけていかれました。

すぐに修正できる環境が整っていたことが大きな強みだったと思います。

地道な積み重ねが、肩の可動域とスムーズな動作の回復につながりました。

正しい動かし方をコツコツ習得できたことが、今回の回復の一番のポイントだったと感じています。


執筆者:中込 優平
Yuhei Nakagome

帝京大学 医療技術学部スポーツ医療学科 健康スポーツコース卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
健康運動実践指導者

私は大学時代、 市営の体育館のトレーニングルームで運動指導をしていましたが、当時の自分にはお客様が肩や腰が痛いと仰っても解決する手立てがありませんでした。
そこから鍼灸あん摩マッサージ指圧師に興味を持ち始め、資格を取得しました。
日常生活の中で肩こりや腰痛などで悩み、 やりたいことができない方やもっと健康で良い生活をしていきたい方、 そんな方々のお力になりたいと考えています。