首こりと首の痛みによって睡眠障害に陥り日常生活に支障をきたしてしまったケース|治療実例

首こりと首の痛みによって睡眠障害に陥り日常生活に支障をきたしてしまったケース|治療実例

概要

首こりと首の痛みが慢性化して、つらさのあまり、寝付きが悪い、眠りが浅い、寝ても疲れがとれない、頻繁に起きてしまうといった睡眠障害に陥ってしまい、心身ともに疲弊してしまった。

S様 / 東京都在住 / 29歳 / 女性 / 会社員

症状

首こり
首の痛み

状態

社会人になってから、首こりを自覚するようになった。仕事の忙しさと比例して、首の凝りが気になる状態だったが、デスクワークなので仕方がないと思っていた。首が凝っても、一晩休めば治るので、特に生活に支障はなかった。

ところが、一年ほど前に転職して仕事がかわった頃から急激にひどくなり、痛みも出るようになってしまった。これまでであれば 首が凝っても一晩寝れば回復していたが、最近は体を休めても回復しない。

つらい状態が続き、痛みも出てしまっていたため、整形外科を受診した。特に異常は見つからず、ストレートネックだといわれ、湿布と痛み止めを処方された。ところが鎮痛剤を飲んでも楽にならなかった。知人に鍼と整体を紹介されて何度か行ったが、効果を感じることができなかった。

首がつらくて、寝付けないこともある。眠れたとしても、何度も起きてしまったり、寝ても疲れがとれない状態になり、日中ぼーっとするようにもなってしまい、今が最もひどい状態。仕事に集中できなくなり、本格的に日常生活に支障をきたしてしまうようになってしまったので治療にきた。

見立て

首を触診したところ、表層の僧帽筋だけでなく、深層の半棘筋や板状筋まで過緊張状態にあることがわかった。首の緊張が最も強いが、頭から腰まで上半身全体の筋肉が硬くなってしまっていた。上下に首を動かすと、痛みが出る。(上を向く動作、下を向く動作共に痛みが出るためうがいができない状態)

整形外科で診察を受けて、骨や椎間板に異常や、病気がない事が確認されているため、筋肉や筋膜による痛み(筋筋膜性疼痛症候群:Myofascial Pain Syndrome:MPS)や、頚椎の機能不全(関節の動きの不調)の状態と推測した。

姿勢にも問題が見受けられた。立位だと反り腰となり、頭が前方に出ていた。座位では骨盤が後傾し、背中が丸まっており、猫背の状態となっていた。座位、立位いずれの場合も、頭が体よりも前方に出てしまっていた。丸まっている姿勢でパソコン作業をすることで首に負担がかかるが、立位姿勢も崩れているため、仕事以外の時間も首に負担がかかっており、回復できなくなってしまっていると考えられた。

首に負担をかけている要因として体幹部の機能不全が考えられるため、体幹に着目してさらに分析する。まず、背中が丸まっている(胸椎の後弯増強)ことから、胸郭の動きが少なくなり、胸式呼吸ができない状態となっていた。このため、頭が前方に出ている姿勢による首の筋肉に負担がかっていることに加えて、呼吸をすることでも首を力ませてしまっていた。

また、長時間のパソコン作業で胸や腕の緊張が強く、巻き肩になってしまっているため、仰向けで寝ても肩が浮いてしまう状態だった。その結果、就寝中も首や肩の緊張が抜けない状態となり、寝ても凝ってしまうことになる。首肩の緊張が最も高いが、手や足、頭を含める全身の筋肉の緊張が高まってしまっていた。

姿勢が崩れてしまう要因は、股関節の柔軟性不足、大殿筋・腹横筋・脊柱起立筋の筋力不足が主な要因と考えられる。筋力が低いため、身体造りの期間が長くかかることが予想される。セルフケアがどれだけできるかによってゴールまでの期間や回数がかわるだろう。

治療

首を中心に、全身の筋緊張を緩和するためにマッサージをしたが、首の緊張だけがどうしても緩和されなかった。そのため、深層筋に直接刺激を与えるために、3D鍼で、僧帽筋、半棘筋、板状筋、肩甲挙筋にアプローチをした。

深層筋への鍼が奏功し、1回で首の痛みが約半分(首痛のNRS 10→5)になり、3回の治療終了時点で首の動きに伴う痛みが無くなった(首痛のNRS 0)。
※NRS:Numerical Rating Scale 痛みを「0:痛みなし」から「10:これ以上ない痛み」までの11段階に分け、痛みの程度を数字で表す評価方法。

痛みが改善したので、残るは凝りの症状緩和となる。凝りは、治療後は楽になるが、時間の経過と共につらくなってしまう状態なので、体幹のコンディション改善と、日常生活の姿勢改善が必要となる。

初診時からマッサージに加えて、ストレッチを続けていることから、股関節の柔軟性は概ね良好になったので、今後は、筋力強化が課題となる。セルフケアを筋トレをメインとした。大殿筋強化はクラムシェルとヒップリフト、腹横筋強化は四つ這いドローイン、脊柱起立筋強化は肘つき、全体のためにスクワット、を行っていただいた。

鍼、マッサージ、ストレッチにて筋肉をほぐして症状を緩和するのと、関節可動域の改善を図り、筋トレで姿勢を保つための筋力と、正しい体の使い方の体得する治療を行った。

計7回の治療で、首の痛みと凝りがほぼ全て解消されて[首痛のNRS 0、首こりのNRS 1]、2週間経っても良い状態をキープできるようになった。その後、3週、4週と期間をあけても具合が悪くなることはなく、セルフケアも習慣化できていたため計9回の治療でゴールとなった。

コメント

首こりが慢性化し、ひどくなり、睡眠障害にまで発展してしまったケースです。一年前に、急激に悪化しましたが、それより以前から首や肩の筋肉に負担がかかりやすいお体であったたと推測でき、仕事が変わる前からの蓄積はあったと考えらます。

肩こりラボでは、肩こりという症状を客観的に診て、治療をするために、筋肉が硬いだけでは凝りではなく、症状を自覚してはじめて「凝り」である、と定義しています。

触診状の筋肉の硬さと症状の程度には、必ずしも相関関係はありませんが、硬くなっているということは、血行障害が生じやすく、筋肉や筋膜のコンディションが低下しやすい状況といえます。慢性的に筋肉の緊張が高く、硬くなっているという基盤があり、その上に心身のストレスや負担が加わることで、突如発症したり、悪化するという例は珍しくありません。本件もこのようなパターンであったと考えられます。

以前は自覚症状は強くは無かったとはいえ、コンディションが良いとはいえない状況のなか、仕事がかわって慣れない環境や作業により心身の負担が増えて、急に症状が顕在化したのではないかと考えらます。

痛み止めが効かないほど、強い症状が出ていましたが、対症療法としての3D鍼が著効し、早期に症状が解消しました。加えて、原因療法としてのセルフケアにもしっかりと取り組んでくださったおかげで、当初の予想よりも早くゴールに至ることができました。