ドライニードルとはどんな治療法?一般的な鍼治療とはどう違うのか解説!

「ドライニードル」という治療法をご存知でしょうか?

筋肉や筋膜をターゲットとしたこの治療法は、マッサージでは届かない深部の筋肉にも直接作用し、多くの方がその即効性を実感しています。

本記事ではドライニードルとは何か、そのメカニズム、どんな方に適しているか、どんなリスクがあるかについても詳しく解説します。

ドライニードルのことを深く知り、こりの治療の新常識を変えていきましょう。

当院「肩こりラボ」でもドライニードル治療を元にした独自技術「3D鍼」を行っています。

なかなか改善しない首こり・肩こりを始め、様々な筋肉の症状に悩まれている方や、怪我の治療やパフォーマンスを最大化したいアスリートの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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ドライニードルとは?

西洋医学の観点から行う鍼治療のこと

ドライニードルについて、ドライニードル臨床研究会では以下のように述べています。

ドライニードル(以下DN)は、欧米を中心に世界各国の医療関係者が鍼(はり)を使って筋肉のコリを弛め、その結果、血流を改善させ、痛みを緩和させるテクニックです。

英語ではdry needlingが正式名となります。

(中略)

DNは同じ鍼を使いますが西洋医学を基に欧米で発展してきました。

そのため、特に詳しくツボや経絡の知識がなくとも 解剖・生理学的な知識がある医療従事者であれば学びやすく、臨床にも効果があらわれやすいと世界的に注目をされています。

効果について、欧米では麻酔薬を注射した(Wet Needling)後の鎮痛効果にも匹敵するといわれており、筋肉のコリを弛緩させることで血流改善を促し、鎮痛効果が長く持続するのが特徴です。

ドライニードル臨床研究会ホームページより

日本では経絡・経穴(いわゆるツボ)など、東洋医学の観点で治療を行うところもありますが、西洋医学(現代医学)の観点から行う鍼治療を「ドライニードル」と呼びます。

ターゲットは筋肉・筋膜

ドライニードルがターゲットにしているものは筋肉や筋膜です。

筋肉に慢性的な負荷がかかり続ける、もしくは長時間動かさない状態でいると血流不足になり、硬結、トリガーポイントなどと呼ばれるいわゆる「コリ」の状態になります。

ドライニードルでは、コリに対して直接的に鍼の刺激を加えて、神経反射や血流改善により、正常な筋肉の状態へと戻すことを目的としています。

使用する鍼は一般的なディスポーザブル鍼

ドライニードルで使用する鍼は、一般的な鍼治療で使用する鍼と変わりません。

ステンレス製のディスポーザブル鍼(使い捨ての鍼)が使われることが多いです。

(東洋医学の鍼灸院では、流派によって金や銀を使った鍼を使用するところもあります)

ドライニードルを受けた筋肉はどうなる?

神経の反射により緩む(筋スパズムの改善)

コリのある筋肉は、神経の命令がうまく働かず、本来の伸び縮みがしにくい状態となっています。

その状態を「筋スパズム」と呼びます。

ドライニードルによってコリのある筋肉や、筋肉を覆っている筋膜に鍼が到達すると、筋肉の伸び縮みをコントロールしている神経が作用し、「ビクっ」と筋肉に単収縮が起こることがあります。

それにより、神経が筋肉を正しい緩み具合に調節できるようになり、正しい筋活動が行えるようになります。(筋スパズムの改善)

血流が改善する

鍼を刺入すると、その刺激に対して血管を広げる作用を持つ神経が自動的に働き、鍼を打った場所やその周囲の血流を改善させる効果があります。

これを「軸索反射」と呼びます。

局所的に血流低下が起こっていると、組織(筋肉など)から痛みを引き起こす物質が出るため、血流改善をすることは慢性的な痛みを改善することにつながります。

ドライニードルのメリット

マッサージでは届かない筋肉に直接アプローチできる

マッサージもドライニードルと同じく、筋肉に対して刺激を加えて、神経反射、血流改善を促す作用があります。

しかし、マッサージでは深部にあるコリに対しては間接的に圧を加えることはできるものの、改善に時間がかかったり、コリが取り切れないこともあります。

その点ドライニードルでは、深部のコリに対して直接クリティカルヒットさせることが可能なため、マッサージでは取り切れなかったコリを改善させることができます。

即効性があり効果を明確に実感しやすい

強力な筋スパズムが原因となって、痛みを引き起こしている場合、ドライニードルによって筋スパズムが一気に解消されると、その直後から体が楽に感じられることが多いです。

しかしドライニードルには、後ほど説明する副作用が出ることもあるため、効果の実感までに時間を要するケースもあります。

これはどれくらい刺激を敏感に受け取ってしまうか(刺激の受容性)が、個人によってかなり感覚に差があるため起こります。

ドライニードルのデメリット

一時的な副作用が出る人もいる

メリットで前述したとおり、筋肉を緩める効果が大きい分、治療直後〜数日にかけて筋肉痛のような重だるさを感じる方が一定数います。

これは悪い反応ではないのですが、あまりに重だるさが強く出るようでは支障をきたすので、ドライニードルの刺激を加える強度を調節する必要があります(鍼の太さ、打つ回数etc.)

副作用の強弱は、体がどれくらい刺激を敏感に受け取るか(刺激の受容性)の個人差によって変わります。

解剖学を熟知した施術者でないとリスクあり

ドライニードルはコリのある筋肉に対して直接アプローチするため、解剖学(人体の構造)を熟知した施術者でないと正確に鍼を刺入することができません。

また、効果的でないどころか、肺などの損傷(気胸)を起こすリスクもあるため、解剖学に精通した施術者から受けるようにしましょう。

海外では民間療法として、ドライニードルが認められている国もありますが、日本では鍼を使った治療は、国家資格を取得した鍼師(鍼灸師)か、医師でないと認められていません。

ドライニードルが効果的な人はどんな人?

筋肉の張りやコリが慢性的につらい人

姿勢不良や、偏った体の使い方などによる、慢性的な筋肉の張り、コリに対してドライニードルは有効です。

慢性的な痛みによって、QOL(生活の質)が下がってしまった状態では、自力で元に戻すことは容易ではありません。

正しい姿勢や、バランスの取れた体の使い方をしようと思っても、筋スパズムがある状態では、スムーズな収縮ができません。

ドライニードルによって、痛みから開放された状態にしつつ、正しい運動方法や姿勢を獲得することで、慢性的な状態から根本的に改善することができます。

寝違え・ぎっくり腰など、急性に筋肉が固まってしまった人

痛みの原因が筋肉であれば、寝違え・ぎっくり腰などの急性の症状にもドライニードルを行うことで改善が期待できます。

このような急性の痛みは、筋肉に疲労が蓄積した状態で、何かしらのトリガーをきっかけに急激に筋スパズムが生じて発生します。

筋肉が強くつってしまった状態とも言えます。

このように強い筋スパズムが痛みの主な原因の場合、ドライニードルが有効ですが、あまりに筋肉や、周囲の組織に強い炎症があると、炎症を早く鎮めるための処置が必要となります。

また、関節や神経の異常により痛みが出ている場合も、必要な処置が異なる場合があります。

判断が難しい場合は一度治療院に問い合わせをすることをおすすめします。

効果的なトレーニングを行いたい人

普段からトレーニングを行う方にもドライニードルは助けとなることができます。

筋スパズムがあると、目的の筋肉に効かせるためのトレーニング動作を阻害してしまうことがあります。

ドライニードルで必要な可動域を確保し、収縮・弛緩しやすい状態でトレーニングを行うことで、筋肉への負荷・刺激が入りやすくなり、効率を上げることができます。

まとめ

以下、ドライニードルについてまとめます。

<ドライニードルとは?>

  • 西洋医学に基づき、筋肉や筋膜に対して鍼を打つ治療法。
  • 手の届きにくい部分へのコリの改善が期待できる。
  • 直後は筋肉痛のような反応が出ることもある。

<どんな人に有効?>

  • 筋肉が原因であれば慢性、急性の痛みどちらも有効。
  • トレーニングの質を高めたいアスリートにもおすすめ。

<どこで受けられる?>

  • 日本では医師、または鍼灸師の資格を持った者だけが行える。
  • 一部の鍼灸院でしか行っていない

ドライニードル治療を正しく行えば、これまでなかなか改善がみられなかったコリや筋肉の症状に対して、しっかりとアプローチをすることができます。

当院「肩こりラボ」ではドライニードル治療の技術を元に、あらゆる角度から筋肉に対してアプローチする独自技術「3D鍼」を行っています。

なかなか改善しない首こり・肩こりを始め、様々な筋肉の症状に悩まれている方や、怪我の治療やパフォーマンスを最大化したいアスリートの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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執筆者:須藤 大登
Hiroto Sudo

呉竹鍼灸柔整専門学校 柔整科卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
柔道整復師

学生の頃、大きな怪我で部活が出来ない時期がありました。
全治2~3ヶ月と診断を受けた時、リハビリ担当の先生が「大丈夫。しっかり治すために一緒に頑張ろう」と声をかけてくれました。
なんでもない言葉ですが、当時の私にはすごく心強く、前向きになれたことを覚えています。
治療する立場となった現在、かつて私がしてもらったように、少しでも前向きに思えるような治療や言葉を届けられる存在となれるよう日々精進いたします。