「首肩が疲れやすい人」に共通する姿勢、頭部前方位を徹底解説

首がすぐに疲れる、肩がこる、頭痛や眼精疲労を感じやすい。

そんな方に共通してよく見られるのが頭部前方位(Forward Head Posture) です。

「自分は頭が前に出ているかもしれない」と自覚されている方も多く、比較的イメージがしやすい姿勢の一つです。

頭部前方位の基準としては、「耳たぶが肩より前に出ている状態」を指します。

スマートフォンやパソコンの使用が増えた現代人には特に多く、首や肩はもちろんですが、胸・背中・腰、さらには呼吸や自律神経にも影響を与えます。

今回は、体の専門家の視点から、

  • ・頭部前方位による体への影響
  • ・なぜ頭は前に出てしまうのか
  • ・改善するための具体的なアプローチ

について、わかりやすく解説していきます。

頭部前方位とは?

頭部前方位とは、簡単に言うと 「頭が肩より前に出ている姿勢」 です。

頭が前に出ることで、首の自然なカーブ(頚椎の前弯)が減少し、顎が前に突き出たり、肩が丸まったりしやすくなります。

その結果、頚椎全体で頭の重さを支えることができなくなり、頚椎や首肩の筋肉、椎間板などの組織に大きな負荷がかかりやすくなります。

頭の重さはおよそ4.5~5.5kgあります。

これは2リットルのペットボトルを2〜3本持っているのとほぼ同じ重さです。

本来は頚椎の自然なカーブによりこの重さをうまく分散していますが、頭の位置がわずかに前へずれるだけで、負担のかかり方が大きく変わります。

たとえば、5kgのお米を購入し、その袋を腕を伸ばしたまま長時間持っているところを想像してみてください。

最初はそれほど重く感じなくても、時間が経つにつれて腕や肩がどんどん疲れてくるのは想像できるのではないでしょうか。

それと同じで、頭が前に出た姿勢では、首肩にとっては、「重い頭を無理やり支えていること」を強いられることになります。

さらに、頭が 1インチ(約2.5cm)前方へ移動するごとに、首の負荷は約4〜5kg増える とされています。

例として、

  • ・頭が5cm前に出る → 負荷が 8〜10kg増加 → 合計14〜15kgの負荷(頭の重さと合わせて)
  • ・頭が7.5cm前に出る → 負荷が 12〜15kg増加 → 合計17〜20kgの負荷

となり、理想的な姿勢と比べると首肩にかかる負担は 2〜4倍 に増加します。

普段は自分の頭の重さを意識することはありませんが、こうして見ると、少し頭が前に出ているだけで首肩がどれほど頑張っているかがよく分かります。

「なんとなく続く首こりや肩の張り」は、実は小さな姿勢のズレが大きな原因になっていることが多いのです。

頭部前方位が起こる原因

デジタルデバイスの過使用による姿勢不良

現代ではスマートフォンやパソコンを長時間使うことが多くなっています。

長時間見続けることで、どうしても頭が前に出やすくなります。

画面に集中すればするほど背中は丸まりやすく、胸もつぶれ、首にかかる負担はさらに増加していきます。

毎日の習慣が積み重なることで、頭部前方位は「その人の標準姿勢」として定着し、肩こりや慢性的な首の張りも起こりやすくなります。

首(頚椎)周囲の筋力低下

頭が前に出た姿勢では、顎が上がりやすく、首の前後の深層筋である後頭下筋群や椎前筋が十分に働きにくくなります。

これらの筋肉は頭を正しい位置に保つ役割があるため、弱くなると頭を支えることがより難しくなり、頭部前方位をさらに助長します。

背中(胸椎伸展)の可動域低下

頭が前に出ると、背中の中でも特に胸椎上部が丸まりやすくなります。

背中が丸く硬くなると、胸を開いて伸ばす動き(胸椎伸展)が制限されます。

その結果、頭を後ろに戻すことが難しくなります。

「背中が丸い → 頭が前に出る」の悪循環になるため、常に負担がかかり続けてしまうことになります。

体幹の筋力低下による骨盤の後傾位

体幹の筋力が低下すると、骨盤が後傾しやすくなり、結果として背骨全体が丸まり、頭は自然と前へ移動します。

以前のブログで「骨盤後傾位の必要性」に触れた通り、「骨盤後傾は良いことではないの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

以前のブログはこちら

日常生活で無意識に出てしまう骨盤後傾は、姿勢を維持できない代償的な状態であり、改善が必要です。

トレーニング中に意図的に骨盤後傾をコントロールする場合とは、意味が異なります。

座位・立位といった日常姿勢では、骨盤はニュートラル〜前傾位の方が楽に姿勢をキープでき、効率良く体を使うことができます。

そのための姿勢保持に必要な体幹の深層筋群の働きは欠かせません。

頭部前方位の改善のアプローチ

前項で出てきた首周囲の筋力強化、背中の可動域獲得、体幹筋力の獲得を含めてのアプローチ方法をご紹介していきます。

エクササイズの順番としては、首の筋力強化は後半に持ってきた方が良いと考えています。首より下の部分をある程度整えてからの方が、首のトレーニングが効果的になりやすいです。

チェストオープナー

横向きになり、上側の胸を開いて胸の筋肉を伸ばしていきます。

胸が開きにくい場合は腰の反りが出やすいので、股関節をしっかり曲げておくことで腰の反りを減らすことができます。

リバースプランク

後ろに手を当てて、膝を立てた状態で座ります。

腕に体重を乗せるイメージで、胸を張りながら持ち上げていきます。

胸のストレッチ感、肩甲骨内側の筋肉の収縮感を感じます。

顎引きエクササイズ

壁にお尻、背中、頭を付けてあぐらをかいて座ります。

後頭部で軽く壁を押しながら、顎を引いていきます。

強い力で行うと首の外側の胸鎖乳突筋の疲労感を感じますので、その疲労感が感じないように行ってください。

まとめ

現代では頭部前方位の姿勢の方が非常に多く、頭が前に出るだけで首肩へ想像以上の負担がかかっています。

症状が出てはじめて気づくことがほとんどですが、具体的な数字で見るとその影響の大きさがとても分かりやすいかと思います。

デジタルデバイスを使う時間が長い現代だからこそ、症状改善だけでなく、予防の観点からも日々の運動習慣は重要です。「頭が前に出ている気がする」

「背中が硬い」

「骨盤が後傾してしまう」

このような心当たりがある方は、ぜひ今回のエクササイズを試してみてください。

何をしたら良いかわからない場合や、自分の状態を一度しっかり見てもらいたい方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。


執筆者:進藤 孝大
Takahiro Shindo

湘南医療福祉専門学校 アスレティックトレーナー科卒業
東京衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
A-Yoga Movement coach

目の前にいる人の体のお悩み解決に全力を尽くす。
その想いだけで活動してまいりました。
スポーツトレーナーとして培ってきたノウハウと経験を活かして、
運動療法と鍼灸マッサージを組み合わせた治療を提案。
ご自身に合った適切なケア方法等、皆様のお悩み解決に向けて徹底サポートを行います。