簡単に治る・・・そんな魔法のような方法は“ありません”!!
「鍼灸」「マッサージ」ときいてどのようなイメージを持ちますか?
一般的には胡散臭いイメージ、古臭いイメージかもしれません。
小顔効果の美容鍼のイメージから「凄いテクニック」、凄腕整体師やゴッドハンドのメディア出演から「何にでも効果がある魔法のようなもの」のように錯覚されがちでもあります。ちなみに整体師というのは鍼灸師・あんま指圧マッサージ師ではございません。
人は、どうしても、楽なもの、便利なもの、コストがかからないもの、無料・・・に惹かれがちです。
美味しいもの、好きなものを我慢せず食べていれば、肥満になりますが、痩せることはとても大変なことです。その大変なことを、最後までやりぬくことができるのは意志がとても強い人。そんな強い人はごく一部の人たちです。多くの人は簡単な方法、魔法のような方法が大好きで流行に流されやすいですし、飽きっぽいものです。そんな世の中に出ては消えていく消費されるものこそが大きなビジネスを産みます。私たちは消費者です。
ですが、医療は、そうしたビジネス上にあるべきではない、と思うのです。
病院にいく時、自分は客だと思いますか?
思いませんよね。
医者というと、ほとんどの人が「お金持ち」というイメージを抱くと思います。
お金のために医師になった人ももちろんいると思いますが、そうでない医師だってたくさんいます。
肩こりラボで働くスタッフは、肩こりや首こり、腰痛などで悩まれている方を本気で救いたい気持ちを持った人しかいません。医療に携わる端くれとして、初心や理想は、一生忘れず、追求していくことが使命であるべきです。自らを戒めることも必要でしょう。このようなブログを書き続けていくことには、その意味もあります。
前置きが長くなりましたが、肩こり・腰痛からはじまり各種スポーツ障害はもちろん花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患、胃痛や便秘などの内臓疾患、はたまたリフトアップやシワとりの美容鍼やダイエット目的の鍼など効能としてうたわれるものは本当に多岐にわたります。
でもこれらは「本当」なのでしょうか?
「本当のことが知りたい」
真実・事実だけが全てではありません。人生を楽しむ上では不要だという人もいらっしゃるはずです。
今回は本当のことを知りたいと思う方のための記事です。首肩腰の諸症状で悩まれている方、現在通っている治療院に疑問をお持ちの方だけでなく、セラピストを目指している方にも読んでいただきたいと思います。
鍼灸・マッサージはあくまで物理療法の中の手段でしかありません。
以下の解説は医療(西洋医学)の観点からのみの解釈となります。客観的な裏付けという意味でご覧ください。
例えば病院。ひどい下痢でいらっしゃった患者さんに医師が行う治療は
①下痢止めを処方して下痢を止める
②あえて薬で下痢を止めない
ということを行います。
①は、下痢により脱水が生じ二次的な問題が生じることを防ぐため
②は、下痢は異物除去のための正しい生体反応なので無理に止めるとかえって長引いてしまう
という意味があります。
これらは各医師独自の方法であっても医学的根拠に基づき実施されます。
では、鍼灸師・あんま指圧マッサージ師はどうでしょう?
ほとんどの鍼灸師・あんま指圧マッサージ師は患者さんが下痢だと訴えたら「下痢に効くツボにお灸(鍼)をしましょう」と言うでしょう・・・。この場合は上記①②のような根拠に基づいておりません。鍼灸が下痢に効くか効かないかは別として、何にでも鍼灸を適用させてしまいます。
鍼灸師・あんま指圧マッサージ師は独自の理論「自分がこう考えたから」「経験的に」「直観で」、そして著名・高名な人の方法論に則り「〇〇と言われているから」に頼る傾向があります。
なんでもかんでも鍼灸で治るかのような都合のいい勝手な考え方をする鍼灸師が多い理由
それは「東洋医学」という逃げ道があるからです。もし医療関係者に問われたとしても独自の東洋医学に逃げることができてしまうのです。ここがそもそもの問題点です。
東洋医学は伝統医学、経験医学と言われ昔からの言い伝えや慣習を元に構築されています。言い換えると「何故かわからないけれど、こうやると良くなると言われているから行う」ということです。そして東洋医学独特の「気」や「経絡」といった考え方がありますがこれらはあくまで考え方、思想であり理論ではありません。
東洋医学による診断方法で脈や舌を診て状態を判断する方法がありますがこれにも疑問が残ります。脈診は施術者が手で触れて腕の動脈の拍動を感知して行いますが、手の触れる圧力や触覚は人により異なり、感じ方は千差万別のはずです。舌を診る場合は、舌苔(ぜったい)や色や形を診て状態を判断しますが、それだけで体の状態が本当にわかるのでしょうか?
個人的な感性で自分の状態を決定されてしまい、あなたは不安ではありませんか?
足の裏や背中、お腹を触って内臓の良し悪しを判断する場合もありますが、これにもまったくもって客観的根拠はありません。
たしかに胃が痛い時は背中が痛くなったり反応が出ることはありますが、背中が痛いから胃が悪いわけではありません。足の裏と各内臓との関連経路は解剖学的に全く存在しません。
有名とされる鍼灸師・あんま指圧マッサージ師は脈や舌、触診等で内臓から体質・性格まで患者さんの全てを把握しますが、それは単なるパフォーマンスです。100年に一人くらいは第6感を持っていて直観で全てがわかるかもしれませんがそんな人はいないも同然です。現在毎年4000名程の国家資格取得者が輩出されていますが、それらがみんな第6感を持っている、または修行により養われるとは到底考えられません。
また、有名になればなるほど神秘的なイメージを演出するようになり、メディアを通して根拠のない独自の理論を大々的に叫ぶため、この業種が占い師や呪術師と変わりない印象を受けて与えてしまい、現代医療からますます隔離してしまっています。少なくとも筆者はこのような鍼灸師・あんま指圧マッサージ師像、現状に納得しておりません。若き鍼灸師・あんま指圧マッサージ師がカリスマを目標としてみんながみんな“100年に一人の逸材”を目指しているのはもはや滑稽な話です。
ですから、一般的な医療従事者は、東洋医学というだけで偏見をもったり相手にもしない人が少なくありません。悲しいことに鍼灸・マッサージ自体がイコール東洋医学と決めつけられてしまいがちです。
ここまでの話を以下にまとめます。
東洋医学の現状におけるネガティブな部分は
- 鍼灸・マッサージが万能治療と考え何にでも適応しようとする
- 説明や会話の中で、つじつまが合わなくなったり、理解があやふやになると最後は「東洋医学的には・・・」というくくりで片づける施術者が多い
- 根拠があやふやなものでも「良いと言われている」「良いのではないか」というレベルで患者さんに施術を行ってしまう
- コンプレックスを持っており、開業すると高確率で「医師のまねごと」をするようになる
- 施術に対する厳格な評価から逃げ、結果リラクセーションと同じになる
ということです。
このような現状が患者さんの期待を裏切り続けて我々鍼灸師・あんま指圧マッサージ師の信頼が失われつつあります。もはや失われてしまっているのかもしれません・・・
一応ポジティブな部分もあります。
病院は定められた検査項目が陽性とならなければ診断とならず治療対象とならないが、実際は検査値に現れない症状(肩こり・首こり・自律神経失調症などの不定愁訴)に悩まれている方が非常に多く、そういった方々には鍼灸・マッサージは適している → 緩和医療には適している
ということです。
これを読み「あれ、ポジティブな部分が少ないぞ」と思われた方が多いのではないでしょうか。
そうです。
鍼灸・マッサージは魔法ではありません。万能療法でもありません。あくまでも物理療法の一つでしかなく、適用範囲が限られています。
物理療法とは温熱や寒冷、電気、触覚といった外的刺激を与えて生体反応を起こさせる治療方法です。鍼は異物を挿入するという機械的刺激。灸は温熱刺激。マッサージは触圧覚を利用した機械的刺激。
そのため、鍼灸・マッサージを行うことによっておこる生体反応は決まっています。これにより鍼灸・マッサージの限界も同時に存在します。実は鍼灸・マッサージの適用範囲とは非常に狭いが本当なのです。
限界を知っていれば、鍼灸・マッサージの効果を最大限発揮する適応範囲が自ずと決まります。
あらゆる病に効果的だと思わせる・堂々と効果があるというのは、嘘か思い込みのいずれかです
「美容」「ダイエット鍼」「体質改善鍼」「冷えムクミ改善」「アレルギー改善」「神経痛改善」「うつ病克服」「自律神経失調症改善」「不妊治療」・・・・・などの鍼灸・マッサージを受けた方は心から満足いく結果は感じられましたか?
おそらくないと思います。
実はこれらには大きな嘘が潜んでいます。
これらを行う治療者に問います。
『100人の患者さん相手に説明をし、全員がその治療の内容とメカニズムをきちんと理解することは可能でしょうか?』
『他の現代医療従事者に治療の内容と作用機序を納得してもらえるように説明することができるでしょうか?』
おそらく、医学的根拠のない「言葉」「理論」による、一般人には理解できない閉鎖的な別世界の話として説明されるか、一人でも治った人がいるという事実だけを根拠にして治らないケースは患者さんのせいにすることでしょう。
今回は長くなりましたので解説はまた次回にさせていただきます。最後までお読み頂きましてありがとうございます。
肩こり・首こりとは具体的にどのようなものなのか、解消するためにはどうすればよいのかについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ひどい肩こりを何とかしたい!病院いけば治る?そもそも病院で診てもらう必要は?
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。