体幹という言葉は、誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 雑誌やインターネット上には、お決まりのエクササイズがいくらでも掲載されています。しかしそれを行っている方の中で、体幹とはいったい何なのか?体幹トレーニングとは何なのか?目的は何なのか?その効果は?といったことを正確に認識している方は極々少数だと思います。
体幹トレーニングの“体幹”の本当の意味
体幹という言葉は、誰しもが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 雑誌やインターネット上には、お決まりのエクササイズがいくらでも掲載されています。しかしそれを行っている方の中で、体幹とはいったい何なのか?体幹トレーニングとは何なのか?目的は何なのか?その効果は?といったことを正確に認識している方は極々少数だと思います。
なんとなく、体幹を鍛えると良いらしいから、みんなやっているから、雑誌に書いてあるから、決められたメニューだから・・・といった方が多いのではないでしょうか。では体幹トレーニングとはいったい何のために行うのでしょうか。
体幹トレーニングを日々行っている方は、少なくとも何かしらの目的意識をもっていると思います。しかしそれを行い十分な効果の実感と目的を達成した方はいないのではないでしょうか。
世には体幹トレーニングの方法論は溢れています。しかし、突き詰めた本質的部分は解説されてはいません。その本質的部分がしっかりと理解されていないからこそ、結果の出ないことを行い続けてしまっているのです。トレーニングは、正しく行えば必ず目的への距離は縮まります。その距離が変化しないということはどこかにエラーが生じている証拠です。
そこで今回は、多くの方々がなんとなく行っている体幹トレーニングの技術やメニューといった表面的な部分ではなく、不透明な本質的な部分を解説します。
行い続けても先に進まずお悩みの方へ、少しでも参考になれれば幸いです。
そもそも体幹とは何を意味するのかご説明いたします。
体幹という言葉は、実は部位を示す正確な解剖学用語ではありません。解剖学書を隅々までくまなく探しても詳細な記述はありませんでした。体幹とは人体の特定の部位をさす名称ではなく、あくまで「おおまかなエリア」を指す用語でしかありません。ですから、どの骨・どの筋肉と詳細に断定することができないのです。具体的にどこを示すかは諸説あり、定まっておりません。
また、以下で解説しておりますが、体幹トレーニングを考える上で骨や筋肉など個々の部分に着目するのは二の次です。そのため、解剖学的な解説はここでは割愛させていただきます。
当記事では、体幹=腕・大腿・頭以外の胴体部分とさせていただきます。
身体運動と体幹部分の関連性とは
故障せず高いパフォーマンスを発揮するためには単に筋力やパワー(この二つは違うもの)ではなく身体活動のベースとなる可動性(mobility)と安定性(stability)が必要です。
- 身体活動のエネルギーは、胴体がしなることで生まれます。(誤解のないように補足します。体をしならせるためには筋力が必要です。しかし筋力だけでなく伸長反射などの反射機構も同時に行われる必要があります。)
- 生まれたエネルギーは主要な関節を可動させ、末端方向へ伝わっていきます。
- 最後に手や足を介して外部へ伝えられパフォーマンスとして発現します。
- そして忘れてならないのは発生したエネルギーを制御する動きの制動能力です。
(https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/limedio/dlam/B23/B2366992/1.pdf内から引用させていただきました)
これらをふまえてアスリートが高いパフォーマンスを発揮するためには
- 上記一連の流れがスムーズであること
- 初動の大きなエネルギーを生むために背骨と大きな関節が十分にしなること(可動性=mobility)
- 末端に伝わったエネルギーが外部へ伝達される際に胴体や大きな関節がしっかりと固定されぶれないこと(安定性=stability)
- 末端に伝わったエネルギーは手や足を胴体から引き離そうとするためそれを制御し次の動きへ繋げるための制動能力(能力としたのは単純に筋力だけではないから。これが欠如すると故障へつながる。)
が求められます。つまり、体幹トレーニングの本来の目的とは「動くこと」と「静止すること」といった相反する作用を両立させることなのです。
(http://www.re-studio.jpさんのHPからお借りしました)
体幹トレーニングの本質
多くの方が「体幹トレーニング」と認識しているフロントブリッヂやサイドブリッヂ、バランスボールを用いたメニューの目的は主に腹部の筋肉の強化です。腹部の筋肉強化は、体幹に求められる機能のほんの一部でしかありません。
そもそも、体幹の強化するために腹部の筋肉を強化すべきなのかどうか?人によって強化すべきポイントは様々です。たとえばフロントブリッヂなどのお決まりのポーズを30秒→1分→2分と長時間できるようになっても体幹が強化された・問題が解決した方はいないのではないでしょうか?そして、パフォーマンスが飛躍的に向上したということもないのではないでしょう。
自覚的に安定感が増したなどといった効果の実感はあったとしても、記録や結果として効果が反映されることは極めて少ないのです。
体幹トレーニングを行う本当の目的
技量不足のトレーナーが多く、そんなトレーナーがメディアに多く登場するによって、やたらに体幹という用語が使われるようになりました。体幹という言葉を耳にしたことがない方はいないでしょう。
体幹の本来の肝心な意味(本質)が置き去りにされてしまっているのが現状です。そればかりか、体幹=腹部、体幹トレーニング=腹部筋力強化、体幹トレーニング=一定のポーズを長時間維持すること、といった誤った認識をしている方が非常に多いです。
体幹トレーニングとは、上記①~④中の不具合を見つけ修正することです。 最も重要なので繰り返します。
トレーニングと聞くと筋力強化をイメージしがちですが、それはあくまでもほんの一部分です。肝心なのは体幹本来の機能のエラーを見つけ修正することです。
体幹トレーニングの間違った認識と内容の誤り、これがいくら行っても一向にパフォーマンスアップしない、腰痛が治らない、故障を繰り返す理由です。
事実、トレーニングを全てセルフで行うのは限界があります。ルーティンワークとしてお決まりのメニューを行い続けることによって返ってマイナスに作用する可能性があります。
トレーニングに何らかの効果を求めている方は、『体幹トレーニング』においては是非専門化に相談し、あなた様のエラーを見つけてもらうことを是非おすすめします。(もちろん私でなくてもかまいません。しっかりと本質を理解した専門家に診てもらうことが大切です。) 日々のトレーニングはご自身で行うにしても、定点ごとに現在の体の状態を把握し、それにあわせたトレーニング計画を修正していく必要性を強くお伝えしたいです。
[参考文献]
1、http://jn.physiology.org/content/95/6/3426.full
2、http://jap.physiology.org/content/97/6/2266.full
3、https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/limedio/dlam/B23/B2366992/1.pdf(デッドリンク)
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
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