肩こり・首こりが気になる方が意識すべき、パソコン作業時の適切な姿勢(座り方)とデスク環境とは? 厚生労働省のガイドラインをふまえて解説します。

肩こり・首こりが気になる方が意識すべき、パソコン作業時の適切な姿勢(座り方)とデスク環境とは? 厚生労働省のガイドラインをふまえて解説します。

はじめに

 

昨今リモートワークが急激に普及し、パソコンを自宅で使う機会が多くなりました。

 

通勤時間の減少などメリットも多い一方で、運動不足に陥り、首こり・肩こりなどの慢性的な不調を訴える方が、より増えてきていると実感しております。当院の患者さんからも、自宅にてテレワークを行うことで、今まで通勤やオフィス内の移動が運動になっていたことに気がついたとおっしゃられる方が少なくありません。

 

これまでは普段仕事をする環境ではなかった場所で、長時間のデスクワークを余儀無くされているわけですから、今までより負担が増大するのも頷けます。

 

そこで今回は、首こり・肩こりの予防を目的として、自宅で簡単に実践できる「パソコン作業を行う上での適切なデスク環境」をご紹介していきたいと思います。今現在、肩こりや首こりがおつらいという方も、根本的な改善のためには、首や肩にかかる負担を減らすことが大切なので、是非参考にしていただけたらと思います。

 

 

なぜデスク環境が大事なのか?

 

それではまず、首こり・肩こりの予防としてデスク環境を整えることがなぜ大事なのか?

 

以下3点を理由に挙げます。

 

  1. 首こり・肩こりでお悩みの患者さんは座り仕事の方が圧倒的に多い。
  2. 長時間過ごすため、少しの負担がチリツモになりやすい。
  3. 首こり・肩こりの軽減として即効性が高い。

 

首こり・肩こりでお悩みの患者さんは座り仕事の方が圧倒的に多い。

 

座っている姿勢は、立っている姿勢と比べると疲れにくいし、楽に感じる方も多いと思います。

 

しかし、実際は座り姿勢の方が正しい姿勢を保ちにくく、首肩や腰に関しては負荷がかかりやすい状態となります。

 

 

長時間過ごすため、少しの負担がチリツモになりやすい。

 

デスクワーカーなど、仕事でパソコンを使う方などにとっては、1日のほぼ大半をデスクで過ごすことになります。

 

重い物を持つなどの重労働と比べると、短い時間にかかる負担の量は少ないです。

 

しかし、塵も積もれば山となるように、少しの負担でも1日8時間以上ともなると、蓄積される負荷量はかなりのものになるでしょう。

 

 

首こり・肩こりの軽減として即効性が高い。

 

首こり、肩こりを軽減させるために、トレーニングやストレッチなどの運動は大切です。

 

しかし、筋力や柔軟性は一朝一夕で改善されるものではなく、効果の実感までに時間を要することが大半です。(今まで使えていなかった筋の使い方を覚えることで、一回のトレーニングで劇的に変化する方も中にはいらっしゃいます。)

 

その点デスク環境など、環境要因を改善することは、負担の軽減に即効性があり、かつ一度整えてしまえば半永久的にその恩恵が受けられます。

 

以上の理由からデスク環境を整えることは、治療をすることと同等に首こり・肩こりの軽減に必要なことと考えます。

 

むしろ環境要因の改善そのものが治療の一部といっても過言ではありません。

 

 

厚生労働省のガイドライン

 

厚生労働省では、パソコン等の作業における労働衛生管理のためのガイドラインを公表しています。

 

平成14年4月5日「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が基発され、その後技術の発展に伴い、情報機器を扱う作業形態はより多様化していきました。

 

基本的な考え方は維持しつつ、多様な作業形態に対応するため、改定版として令和元年7月12日「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が基発されました。

 

情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて(基発0712第3号)[PDF形式:1464KB]

 

 

このような公的機関により発出されたガイドラインは一定の基準と考えて良いでしょう。

 

ただ、理想と現実がありますように、個々のおかれている状況は異なりますし、作業環境を改善させるのにも限界があるというのも実際のところです。

 

また、公的なガイドラインがあるものの、デスクワークにより、不調をきたす方が多いのも事実です。

 

今回は、厚生労働省のガイドラインをふまえた上で、私たち肩こりラボが肩こりや首こりの治療に日々取り組む中で見出してきた、より実践的なデスク環境をご紹介させていただきます。

 

一部、ガイドラインに記載されている内容と異なる箇所がありますが、実際をふまえたうえでの肩こりラボ独自のノウハウとなりますので、この点を予めご了承いただきますようよろしくお願いいたします。

 

肩こりラボ推奨のデスクワーク環境設定

 

まずは早速、首肩に負担のかかりにくい理想の姿勢をご覧ください。

 

 

上記の姿勢を取る上で重要なポイントを大きく3つに分けました。

 

1.机と椅子の高さの調整

2.ディスプレイやキーボードの置き方

3.姿勢の意識

 

 

机と椅子の高さの調整

 

 

椅子の高さは、座って脇を閉じたまま机に手を置いた時に、肘の角度が概ね90°となるようにしましょう。

 

机が高すぎる場合、あるいは椅子が低すぎる場合、多くは肘の角度が90°以下になります。そうなると肩がすくみやすくなり、上肢も力みやすくなるため、負担が大きくなります。

 

また、机の高さはJIS規格により、その多くが床から70cmとなっていることが多いです。

 

これは1971年頃に成人男性の一般的な体格に合うように作られた規格です。

 

よって小柄な方ですと、前述の方法で机を基準に椅子の高さを合わせると、足が浮いてしまい不安定になってしまいます。成人男性を元にしているわけですから、当然ながら女性には適してはいないわけです。

 

昇降デスクであれば高さの調節が可能ですが、そうでない場合、足元に足置き台などを置いて足がしっかり床に付くようにすると安定します。

 

ディスプレイやキーボードの置き方

デスクトップ型パソコンの場合

 

 

ディスプレイの上端が目の高さと同じ、もしくはやや下となるように高さを合わせます。

 

キーボードは肘や腕を机に乗せるスペースを確保しつつ、なるべく自分に近づけましょう。

 

肘掛けのある椅子を使用するとキーボードをなるべく近くに寄せることができます。

 

 

ノートパソコンの場合

 

 

ノートパソコンは持ち運びに優れる反面、ディスプレイとキーボードが一体となっています。

 

ディスプレイを適切な高さに合わせるとキーボードが高い位置になりすぎてしまい、その逆もまた然りです。

 

一番良い方法は外付けのキーボードかディスプレイを使用し、デスクトップ型と同じ環境にすることです。

 

ですが、このようにすると体への負担は減りますが、物品は増えるために難しいという方もいらっしゃることでしょう。そこで、もう少し手軽な方法を推奨します。

 

それはキーボードに傾斜をつけることです。

 

 

手前が低く、奥が高くなるように傾斜をつけると、ディスプレイの高さを出しつつも、キーボード操作が可能となります。

 

このノートPC自体に傾斜をつける方法は、スタンドも市販されていますが、雑誌などで簡易的に対応もできるため、誰でもすぐに実行でき、ディスプレイを高くして首肩の負担を減らすことができる利点があります。

 

一方で、キーボードを打つ際に、手首の背屈角度(反らす角度)が増すというデメリットもあります。手首の背屈が増すということは、前腕の筋肉(特に伸筋群)の負担が増えることになり、手首や肘の痛みにつながってしまう可能性もあります。

 

手首や肘への負担が反復継続することで、腱鞘炎やテニス肘につながってしまうということもあり得ますので、この方法は外出時やどうしても外付けのキーボードやモニターを用意できない場合など、あくまでも短時間の作業時に留めておくことが良いでしょう。

 

日々ノートパソコンで長時間の作業を行う方は、多少のコストは発生しますが、一回マッサージに行くよりも肩こりや首こりに対してはプラスにはたらくと考えられますので、是非外付けのキーボードかモニターをご用意していただけたらと思います。

 

 

姿勢の意識

最後は姿勢、座り方のコツです。

 

 

重心位置

省エネで効率的に姿勢を保つために、重心をどこに置くかが重要です。まずは正しい重心の位置をご説明します。

 

猫背で丸まってしまっている時は尾骨や仙骨あたりに体重が乗っていることが多いです。このような「仙骨座り」は言うまでもなくよろしくないというの皆さんお分かりだと思います。

 

問題は「良い姿勢」をとった時にどこに重心があるかです。

 

試しに良い姿勢をとってみましょう。どこに一番体重が乗っているでしょうか。

 

おそらくですが、多くの方が坐骨というお尻の出っ張っている骨の部分に体重が乗っているのではないでしょうか。

 

実はこの「坐骨座り」は、この状態をキープして姿勢を支えるのにたくさんの筋力が必要となります。ですから良い姿勢をキープしようとしてもすぐに疲れてしまい維持できないのです。頑張って維持したとしても腰まわりの筋肉を酷使することになるので、背筋が疲労し、緊張して、腰痛の元になってしまうかもしれません。

 

「坐骨座り」でピッと背すじを伸ばしている姿勢は見た目はキレイですが、とても力を必要としますので、体には優しくなく、かつ長時間のデスクワークを考えると現実的ではありません。良い姿勢をとりたくても、維持できなかったり、かえってつらいという方はこの「坐骨座り」が原因かもしれません。

 

ではどうすれば良いかといいますと、重心位置を坐骨よりもさらに前方にします。坐骨よりも前側、太もものつけねです。

 

首肩に優しい重心のポジションを意識した座り方は「太もも座り」になります。

 

太腿に重心を置いた「太もも座り」にすると、慣れないうちは少し前傾気味に感じると思いますが、鏡で横から見ると思いのほか姿勢がまっすぐになっているのが確認できると思います。

 

ただし太もも座りにも欠点があります。それは腰椎の前弯が増す(腰が反る)ので、場合によっては腰に痛みや負担感をご自覚する方もいらっしゃるかもしれません。

 

当記事はあくまでも肩こり首こりの予防と改善を目的とした記事となっておりますので、腰に問題を抱えている方の場合はその通りではありませんで、無理に「太もも座り」を維持しようとしないでください。

 

首肩こりと腰痛があるという方の場合は、個別に適切な重心位置を調整する必要がありますので、一般化してブログ上で解説することが困難であることをどうかご了承ください。

 

 

上半身の使い方/ポイントは「胸」

重心位置が整ったら次は上半身を整えていきます。

 

巻き肩(内巻き肩)が気になっている方は少なくないと思います。良い姿勢と言うと、肩甲骨をグッと後ろに引いた状態をイメージしがちですが、実は努力して肩を後ろに引こうとすることで僧帽筋や広背筋が収縮することになります。

 

 

僧帽筋は肩こりで硬直してしまっている筋肉であることは多くの方がご存知だと思いますが、頑張って肩甲骨を後方に引こうとすることは僧帽筋を使うことになります。頭を支えるために負担がかかってしまっている僧帽筋をさらに使えばもっと疲れてしまうというのは容易に想像できるでしょう。

 

やりたいことがその逆です。いかに僧帽筋を使わないようにするか、いかに僧帽筋の負担を減らせるかです。

 

そのために正しい姿勢をとりたいのです。ですので、努力して肩甲骨を後ろに引こうとすることはやめましょう。

 

一方、広背筋が収縮することで、肩関節の内旋が生じます。肩が内側に回旋している状態・・・いわゆる「巻き肩」の状態になりやすくなります。

 

また、肩甲骨は、先ほど申し上げた僧帽筋、そして肩甲挙筋といった首肩こりで硬直して症状をだしている原因となっている筋肉で首と連結しています。(首からぶら下がっている様な状態)

 

 

広背筋は肩甲骨を下に引っ張るはたらきもありますので、収縮することで、上から吊るしている僧帽筋や肩甲挙筋にテンションをかけることになります。

 

肩関節や体幹の機能を考える上で、僧帽筋も広背筋も非常に重要な筋肉ではあるのですが、それ以上に重要なのは身体全体としてのバランスです。

 

説明が長くなりましたが、丸まっているのを直そうとして肩をグッと後ろにひこうとすることで、効果が無いだけでなくかえって状況が悪くなってしまう可能性もありますので、注意をしてくださいね。

 

では丸まった状態を改善するのに上半身はどのようにすればよいのでしょうか。

 

正しい方法は、上背部の脊柱起立筋を使うことです。

 

 

そのために、背筋を使おうとするのではなく、胸を前上方に突き出すように意識してみましょう。

 

「肩を引く」のではなく、「胸を出す(引き上げる)」ようにすることで、脊柱起立筋という姿勢維持に適した筋肉が収縮しやすくなり、長時間の座り姿勢を少ない負担で支えることができます。

 

 

サポートアイテムの利用

 

上記2つ「太もも座り」と「胸出し」を意識して座ると、大腿部と背部の筋肉を使えるようになり、首肩への負担軽減につながります。

 

ですが、この姿勢をキープするにもある程度体幹の筋力が必要であり、最初のうちは短い時間で疲れてしまうかと思います。

 

そこである道具を使うことで、姿勢のキープがとても楽になります。

 

正しい姿勢を理想論ではなく、今日から実際に活かしていただくためのとっておきの方法です。

 

それは、クッションです。ただしその使い方が特殊です。

 

 

世の中に、姿勢をサポートするクッションなどのグッズはごまんとありますが、その多くは座面や背もたれに設置するタイプのものです。

 

肩こりラボが推奨するクッションの使い方は、座面や背もたれに挟むのではなく、クッションを太ももの上に置き、お腹と机で挟み込むように座りましょう。

 

クッションを前方に設置することで、背もたれ側ではなく、お腹の方に寄りかかることができます。このようにすることで、自然と太もも座りや胸出しを促すことになり、無意識に背中が丸まってしまうのを防ぐことができます。

 

また、ここで使うクッションは、ソファ用クッションや座布団、あるういはタオルや掛け布団を丸めたものでも代用できます。今現在ご自宅にあるもので代用できますので、新たなものも購入する必要はございません。

 

市販されている、骨盤が立つように座面をサポートしてくれるシートなどと併せて行っていただいてもよいでしょう。

 

 

まとめ

 

首・肩に負担をかけにくいデスク環境を以下にまとめます。

 

 

椅子と机の高さは肘が概ね90°になるように調節する。

※足が浮いてしまう場合は足置き台などを使用。

昇降式のデスクと椅子を使用するのがベスト。

 

ディスプレイ上端が目と同じ高さ、キーボードはなるべく近くに寄せる。

※ノートパソコンの場合

外付けのディスプレイかキーボードを使用

もしくはキーボードに傾斜をつける

 

理想の姿勢は重心が太もものつけね、胸を突き出した状態。

※長時間キープが疲れてしまう場合

クッションを太ももの上に置き、机とお腹で挟む

 

 

現在使用しているパソコンがノートパソコンの場合は上の図のようにサポートアイテムを使うことで、首や肩の負担を減らすことができます。

 

家にあるもので代用しやすいので、新たに周辺機器を購入する必要がないのがメリットです。

 

厚生労働省のガイドラインは学術的知見を踏まえて、適切なデスク環境への措置方法が網羅されています。

 

本記事も厚生労働省のガイドラインに基づいた内容となっておりますが、中には会社の規定や個人的な事情により、ベストな状況にしたくてもできない方も多いと思います。

 

そのため、家にあるもので代用できる案も、合わせてご紹介をさせていただきました。

 

まずは簡単に実践できるものから試してみてはいかがでしょうか。

 

 

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