湿布との付き合い方〜肩こりにお悩みの方へ、湿布の種類と選び方を解説

湿布との付き合い方〜肩こりにお悩みの方へ、湿布の種類と選び方を解説

はじめに

テレビの健康番組のテーマでも取り上げられることが多い肩こり。現代には肩こりで悩んでいる人が少なくないことの表れだと言えるでしょう。

肩こりや首こりがつらくて、薬局で購入するという方はいらっしゃるのではないでしょうか。

薬局の湿布コーナーに足を運ぶと、商品の種類がたくさんありすぎて何が良いのかわからない!とお感じの方もいらっしゃることでしょう。

今回は、湿布が必要になった際に、どのようにして選べば良いか、湿布の種類や選び方を解説します。

あわせて、湿布にまつわる税制上の優遇なと雑学的なこともお伝えしますね。

 

 

さて、早速本題にはいりましょう。

今日の日本は、超高齢社会であるといういうことは皆さんご存知だと思います。

それに伴い、健康寿命の延伸が課題となっています。

このような現代社会において、今、セルフメディテーションが推奨されています。

 

セルフメディテーションとは

WHO(世界保健機関)の定義によると、セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」です。

つまり、「皆さんセルフケアをしましょう」ということですね。

 

国も推奨しているセルフメディテーション

国が推奨している証左の一つとして、医療費控除の特例で、セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)があります。

セルフメディケーション税制とは、平成29年1月1日以降に、健康増進や病気の予防として、自分と生計を共にする家族のために、1年間に12,000円以上のスイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

※スイッチOTC医薬品とは、簡単にいうと、従来、医師の処方箋がないと使用できなかった医療用医薬品だったものが、一定の要件を満たすことで、市販薬にかわった(スイッチした)ものをいいます。

詳しくはこちらの厚労省のページ国税庁のページをご覧ください。

 

私たちの生活に身近なスイッチOTC薬品

鎮痛剤・解熱剤と利用される「ロキソニン」はご存知の方も少なくないでしょう。

新型コロナウイルスワクチンの副反応による発熱や関節の痛みへの対策として、薬局でお求めになった方もいらっしゃると思います。

 

このロキソニンが、まさにスイッチOTCの代表例です。

ロキソニンは飲み薬だけでなく、湿布(ロキソニンテープ)もあります。ロキソニン®S外用薬シリーズは、従来は、医師の処方箋がないと使用できませんでしたが、2016年にスイッチOTCとして、ドラッグストアにて購入できるようになりました。

 

ちなみにOTCとは、「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略語で、対面販売でくすりを買うことを意味しています。これまで「大衆薬」や「市販薬」とも呼ばれてきましたが、最近では、国際的表現の「OTC医薬品」という呼称が使われるようになってきています。

 

さて、肩こりや首こりがつらいという方が行うセルフメディテーションとはいったいなんでしょうか。

WHOの提唱する定義に基づくと、ストレッチや運動もセルフメディテーションに該当しますが、多くの方が利用するのは湿布ではないでしょうか。

 

今回は、セルフメディテーションの一貫として、家庭でも比較的利用している方も多であろう「湿布」について詳しく見ていきたいと思います。

 

 

湿布はあくまで対症療法

まず大前提として、肩こりの根本的な原因を湿布だけで改善するのは難しいです。

あくまで応急処置として、症状の緩和が期待できるのが湿布であり、根本的な解決にはならないと思ったほうがよいでしょう。

理由をご説明します。

 

肩こりのメカニズム

例えば、人間の背中、肩の部分には僧帽筋という筋肉があります。

僧帽筋は、肩甲骨を動かす作用があります。

つまり、僧帽筋は、上肢を動かす筋肉です。

背骨を適切な位置にキープしたり、背骨を可動させるための筋肉は、背面は脊柱起立筋(腸肋筋・最長筋・棘筋)や多裂筋で、前面は腹筋群です。

 

ところが、運動不足や不適切なトレーニングによって、脊柱起立筋や多裂筋、腹筋群などに筋力低下が生じたり、うまく使えなくなってしまうと、僧帽筋が、姿勢を維持するために過活動を起こすようになります。
※臨床所見上、肩こりや首こりにお悩みの方は、胸椎周囲の背筋(脊柱起立筋・多裂筋)が衰えてしまうことが多いです。

 

本来姿勢をキープするために働くべき筋肉(脊柱起立筋や多裂筋)が使われないかわりに、本来の働きとはことなる僧帽筋が過剰に働いてしまうことで、僧帽筋が疲労し、血行が悪くなることで、凝りの症状が生じてきます。

このような物理的負荷による、疲労や血行障害が、反復継続することで、僧帽筋の筋膜に異常が生じたり、硬結やモヤモヤ血管が生じることで慢性的な肩こりとなってしまいます。

 

また、僧帽筋と並んで肩こりの原因(症状の元)となることが多いが、肩甲拳筋です。

肩甲挙筋は、肩甲骨と頚椎をつなぐ筋肉で、肩の動きに作用します。丸まった姿勢(猫背姿勢)は、体よりも頭が前方にある状態です。

このような状態ですと、肩甲挙筋が引き伸ばされた状態になり、かつ頭を支えるために頑張らなければなりません。

この状態が続くと、血行肩甲挙筋の血行が悪くなり、こりの症状が出ることになります。

僧帽筋と同様に、このような状態が反復継続することで、肩甲挙筋の筋膜に異常が生じたり、硬結やモヤモヤ血管が生じるて、慢性的な肩こり(首こり)となってしまいます。

 

肩こりの病態は様々ありますが、その第一段階は物理的な負荷が加わったことによって生じる筋疲労とそれに伴う血行不良です。

筋肉を使ったあるとパンパンになるということは多くの方がご経験があると思います。

筋肉を酷使すると、その筋肉は疲労し、縮み、硬くなります。すると中を通る血管を圧迫して、血行が妨げられてしまいます。

血液は約1分間で体をめぐり酸素や必要な栄養素を供給し、筋肉に溜まった老廃物を体外に排出しているのですが、血行が滞るとこの役割が鈍り充分に機能せず、筋肉の疲労が回復できなくなってしまいます。

 

体幹筋がうまく使えない・不良姿勢

僧帽筋への過負荷

僧帽筋が疲労

僧帽筋が短縮して硬くなる

血行が阻害される

症状が発生する

血行不良と物理的負担が反復継続

筋膜などの組織に異常が生じる

 

これが肩こりのメカニズムです。

 

根本改善のための手順

ですので、凝りを一時的に緩和して、すぐに再びつらくなるということを繰り返さないためには、

  1. 僧帽筋への負担を改善すること(体幹へのアプローチ)
  2. 僧帽筋自体の過緊張を緩和して血行改善(僧帽筋へのアプローチ)

これらが必要となります。(僧帽筋の肩こりの場合です)

 

湿布はあくまでも症状の緩和のため、つまり対症療法のためのものです。

 

ただ、「対症療法はダメ」というわけではありません。

ペインクリニックというカテゴリーもあるように、痛みが痛みを呼ぶこと、痛みがあるからこそ身動きがとれないということが珍しくはありませんので、対症療法は非常に重要です。

湿布は対症療法であるということを認識した上で、適切に使用していただきたいのです。

 

知っておいてトクする湿布の豆知識

以下では、肩こりにお悩みの方に向けて、湿布について少し掘り下げていきます。

湿布の種類や選び方を解説します。

薬局で湿布を購入する際の参考にしていただけたらと思います。

 

温湿布 or 冷湿布 どっちがいいの??

以下、患者さんから、しばしば受けるご質問とその回答です。

(患)「今の私の状態は、温湿布と冷湿布どちらを貼れば良いでしょうか?」

 

(私)「どちらでもかまいません。温湿布と冷湿布はそれぞれ、温かく感じる、あるいは冷たく感じるだけであって、実際に本当に温めたり冷やしているわけでありません。ですので、直感的に冷えているから温めたいな、熱をもってそうだから冷やしたいな、という思う方。心地よいと感じる方で大丈夫です。」

 

(私)「少し補足しますね。 温感湿布に主に含まれているのがカプサイシンという成分。トウガラシに多いものです。トウガラシが効いた辛い料理を食べると汗をかく程に暑くなることがあるでしょう。それと同じ効果がカプサイシン配合の温湿布にはあるということです。冷感湿布にはカンフル・メントール・ハッカ油といった成分が配合されています。これがヒンヤリ感をもたらしてくれるのです。」

 

さらに・・・

 

(私)「温湿布や冷湿布という表記のあるものは、ほとんどの場合、第3類医薬品です。市販の湿布で、リラクセーション以上の一定の効果を期待するならば、第1類医薬品または第2類医薬品のものを購入してください。」

 

さて、ここで「第◯類医薬品」という何やら難しそうな分類がでてきました。

 

私たちが、薬局で買える市販薬は、薬機法によって、要指導医薬品と一般用医薬品の二つに分けられます。※2014年(平成26年)11月に、薬事法が改正されて、薬機法となりました。

薬機法は、正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。

要指導薬品は、処方箋が必要な医療用医薬品に準じたもので、一般用になって間もないためリスクが不確定なものや、劇薬などがあります。

自由に手に取ることができない場所に置いてあり、薬剤師から対面での指導、文書での情報提供を受けた上で購入可能となるものです。

一方、一般用医薬品は、薬剤の種類や効果、考えられる副作用の程度(リスク)によって第1類〜第3類まで三つに分類されます。第3類が最もリスクが低く、第1類が最もリスクが高くなっております。

第1類医薬品は、要指導医薬品と同様に、自由に手に取ることができない場所に置いてあり、薬剤師からの情報提供を受けないと購入できません。

一方、第2類医薬品と第3類医薬品は、ほとんどお場合棚に陳列されており、薬局で自分の意思で購入することができます。

 

ちょっとわかりにくいなという方は、アイセイ薬局様のページにて、イラストつきでわかりやすく説明されていますので、併せてご覧いただけたらと思います。

 

※ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000050568.pdf から引用させていただきました

 

さて、ここまでの市販薬の分類を理解した上で、話を元に戻しますね。

上述しましたように、一般的に販売されている、温感または冷感作用をメインとする湿布は、ほとんどの場合第3類医薬品です。

第3類医薬品は、第1類や第2類のものと比べて、副作用のリスクは、最も低いですが、一方で、期待される効果も一番マイルドになります。(第3類に効果が全くないというわけではありません。あくまでも比較した場合です)

もちろん、学術的に効果の高いとされる薬や薬効の強い薬が自分にとって最適な薬かというとそうではないでしょう。自分に合っているクスリが最適な薬であると当方は考えます。

ですが、一般論として、第3類医薬品である温感湿布や冷感湿布よりも、第1類や第2類に該当する湿布のほうが、消炎鎮痛としての湿布の効果は期待できることになるのです。

中には、第1類や第2類の湿布にも、温感または冷感作用を付加したものもあるようです。そのため、「温感」「冷感」という表記だけで選ぶのではく、この湿布は第何類医薬品なのか?という点で選ぶようにしてください。

法令に則った製品の場合は、第何類医薬品なのかは必ず表記されていますので、ご確認いただけたらと思います。

その上で「温感」か「冷感」は、効果においてさほど差はありませんので、気分的にどうかという点でお選びください。

 

第二世代の湿布!?

従来からある温湿布や冷湿布を第一世代として、NASIDs(非ステロイド性抗炎症薬 )という薬効成分が入った湿布を、「第二世代の湿布」と呼ばれることがありますが、これは正しい分類ではありません。

市販されている湿布の正しい分類は、薬機法に基づいた一般用医薬品の第1類〜第3類の三つの分類です。

ただ、NSAIDsが含まれているか否かで見分けられるという意味では、期待できる効果とリスクがわかりやすいというメリットもあります。

「第二世代だからなんとなく効きそう」というイメージ購入するのではなく、「第二世代の湿布」というのは、あくまでも俗称であるということを知ったうえで、第一世代の湿布との違い(NSAIDs含有の有無)を理解したうえで、市販の湿布をお選びいただく際の目安にしていただけたらと思います。

 

いわゆる「第二世代の湿布」に含有されているNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬 )は、その名の通り、ステロイドではない消炎鎮痛剤の総称です。

具体的には、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、ケトプロフェン、といった薬剤が湿布に使用されることが多いです。

それぞれ代表的な製品が出ていますので、ご紹介したいと思います。

  • インドメタシンを主成分とするのは、興和株式会社のバンテリン®︎
  • フェルビナクを主成分とするのは、久光製薬株式会社のフェイタス®︎
  • ジクロフェナクナトリウムを主成分とするのは、グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社のボルタレン®︎
  • ロキソプロフェンを主成分とするのは、第一三共ヘルスケア株式会社のロキソニン®︎
  • ケトプロフェンを主成分とするのは、久光製薬のモーラス®︎。(モーラス®︎は、要指導医薬品のため医師の処方箋が必要となります)

 

各社から様々な製品が出されていますが、どれも一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

NSAIDsは、正しく使用すれば強い消炎鎮痛効果が得られますが、あくまでも対症療法です。

肩こりや首こりのセルフメディテーションとして利用する際は、この点をきちんと理解した上で、使用するようにしてください。

 

市販の湿布、主な成分3つを解説

第1類医薬品や第2類医薬品の湿布、そして医師の処方による要指導医薬品の湿布は、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬が含まれていることから、NSAIDsが含まれていない湿布と比較して「第二世代の湿布」と呼ばれることがあります。

いわゆる「第二世代の湿布」と呼ばれる湿布に含まれるNSAIDsは1つではありません。上述しましたように、いくつもの種類があります。

第2類医薬品として市販されており、誰もが比較的簡単に入手しやすい湿布に含有されている成分として、「フェルビナク」「ジクロフェナクナトリウム」「インドメタシン」の3つがあります。

Medicalook(メディカルック)様のこちらの記事にて、成分ごとに商品を踏まえて解説解説していますので、興味がある方はご覧いただけたらと思います。

 

湿布の形状による種類の違い

湿布にはその形状によっても分類をすることができます。

・テープ剤
プラスター材とも呼ばれますが、比較的薄くて粘着力が強いのが特徴です。粘着力が強いので皮膚がかぶれやすい点がデメリットといえるでしょう。しかしデメリットは裏返すとメリットも言えます。剝がれにくく伸縮性があるので 肘・膝・関節などの伸縮性が必要な部位、首などには適した湿布です。肩こりが首の付け根まで及ぶような人にはテープ剤がお勧めです。

・ハップ剤
比較的厚めで張るとヒヤッと感じます。テープ剤に比べてかぶれにくいといわれていてこれがメリット。剝がれやすいことから伸縮する膝や肘には使いにくいのがデメリットといえるでしょう。しかし膝や肘がこるということはまずないので、皮膚がかぶれやすい体質の人、ヒッヤとした清涼感を求める人はハップ剤を湿布として使用するのがいいでしょう。

 

感じ方は個人差がありますが、当方としては、伸縮性や粘着力という観点から、テープ剤の方が、利便性が高いと感じます。テープ剤のほうが匂いが少ないということもありますね。

 

異常を感じたらすぐ医療機関へ

患部に貼るだけなので湿布は飲み薬に比べると副作用が少ないといわれています。とはいえ医薬品などに分類されることに変わりはありませんので、副作用はあります。

使い方によっては症状が悪化したり、何らかの副作用が出たりすることもあります。特に注意しなければならないのがアレルギー反応の一種であるアナフィラキシーショックで、重篤な場合には命に関わることもあります。

他にも湿布を貼ったらそれまでになかった全身におよぶ湿疹、酷い皮膚炎、息切れや呼吸がしづらいなどの呼吸器症状、血圧の低下やふらつきなどの症状が起きることもあります。

また、紫外線にあててはいけないものもありません。

そのため、市販されているとはいえ、湿布お薬であるという認識をもち、正しい使用方法を心掛けましょう。

そして少しでも異常を感じたらすぐに医療機関へ行き医師の診断を受けるようにしてください。

 

 

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この記事を書いた人
丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー