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イトーUST-770を使った超音波療法

超音波療法は物理療法のひとつ

整形外科領域のリハビリテーション(理学療法)には、物理療法と運動療法の二つの柱があります。温めたり電気を流したりするのが物理療法、筋トレやストレッチなど実際に身体を動かすものが運動療法となります。

物理療法or運動療法ではなく、共に大切です。現在の日本の医療において、保険制度における点数の兼ね合いから物理療法の割合が減り、運動療法が主体になっているのですが、物理療法は運動療法とともに理学療法の両輪をなします。

超音波療法は、物理療法のひとつです。理学療法としての超音波療法は、超音波自体を物理的な刺激として生体に与えて、はたらきかけます。一般外傷や運動器系の急性期及び慢性期の痛み、スポーツ障害などの治療に活用されています。

超音波療法の効果とは?

超音波療法は、主に整形外科のリハビリで患部を温めるのに用いられています。これは超音波が生体組織内に吸収されると超音波の振動エネルギーが熱エネルギーに変換されるためです。特にコラーゲン含有量の高い組織(腱・靭帯・関節包・筋膜など)に加温の効果があります。

超音波には温熱効果だけではなく「音圧効果」があります。

「超音波骨折治療法」をご存知の方も多いのではないでしょうか?骨折の治癒を超音波によって早める治療法で、サッカーのデビッド・ベッカム選手や野球の松井秀喜選手が骨折治療のために受けたことでも注目され、現在では多くの医療機関で行われています。

これは超音波の温熱効果によるものではありません。その詳しい仕組みはさておき、超音波のもう一つの特徴である音圧効果について簡単に説明します。

音波はその字のとおり音の波(波動)です。波と聞けばどうしても海の波を思い浮かべがちですが、海の波と音の波は別物です。音波は縦波です。光やロープを伝わるような波は横波です。横波とは波の進行方向と垂直に揺れる波であり、縦波は進行方向と同じ向きで揺れる波です。縦波は波の進行方向に対して平行な振動が伝わります。

縦波と横波の違い
超音波は縦波です

この振動によって物理的な刺激を与える効果を音圧効果といいますが、音圧効果はそれだけではありません。例えばメガネ屋さんにあるメガネ洗浄機、使ったことある方も多いでしょう。超音波によって水中の気体を膨張→破裂させて、その衝撃でメガネの汚れを落としやすくしているのです。適度な超音波ですと水中の気泡は膨張→収縮を繰り返し、大きな出力で破裂します。これを超音波キャビテーションといいます。

超音波洗浄の仕組み

 

超音波キャビテーション

実際のところ、超音波自体による物理的な振動による刺激だけでなく、このキャビテーション効果による刺激・影響も大きいと考えられています。

私たちのカラダの組織には血液をはじめとした液体があらゆる部位に存在しています。そして液体中には微小気泡が必ず存在します。この気泡が圧縮・拡張を繰り返すと細胞膜を適度に刺激し細胞が活性化を促す、これがキャビテーション効果の考え方です。

過度なキャビテーションは気泡を破裂させます。気泡の破裂による衝撃で組織を損傷してしまう可能性もあります。超音波を医療で使用するには細かいコントロールが必須です。

この音圧効果は、温熱効果と区別して非温熱効果とも呼ばれています。

超音波がなぜ骨折の治癒を早める効果があるのか?

物理的な振動とキャビテーションが同時に起きているため、詳しい仕組みが明確になっていない部分も多いのですが、このキャビテーション効果が人体に何らかの影響を与えていると予想されており研究が進んでいます。

また超音波は音として捉えることはできませんが、人間の耳の中にあるセンサーは感知はしています。最近では、超音波を脳研究や治療に使う可能性についての研究も盛んです。

超音波はまだわからないことが多いのですが、難治性の骨折や偽関節の治癒促進、骨の手術をした後の骨折治癒期間を短縮する目的での超音波治療は健康保険が適用されます。つまり、一定の実績・効果は認められているのです。

実は海外では以前から超音波治療は一般的で身近なものでした。残念ながら日本はいわゆるガラパゴス状態でしたが、ようやく広まりつつあります。

超音波治療器 UST-770

ITO UST-770

 

UST-770伊藤超短波株式会社

肩こりラボでは、伊藤超短波社製の超音波療法機器のなかでもフラッグシップモデル(2018年12月現在) である「イトー UST-770」を導入しています。

超音波治療機器は本体とプローブで構成されています。UST-770の場合、大きなディスプレイを搭載した本体と左側1本・右側に2本のケーブルが接続されています。このケーブルの先端から超音波が出力されます。これをプローブといいます。

UST-770のプローブ

 

プローブを肌に当てて使用します Ito Co., Ltd.

超音波治療器はどれも使い方・基本的な構造自体は同じです。各メーカーから、様々な超音波治療器が発売されています。

UST-770は、国内メーカーの製品であり、一般的なモデルと比べると非常に高価な機種です。

  • なぜ廉価版ではないのか?
  • なぜ海外製のものではないのか?
  • なぜポータブルのものではないのか?

当機種を選んだのには3つの理由があります。それは【安全性】【信頼性】【応用性】です。

イトー UST-770を選んだ3つの理由

安全性

医療機器で重要なのは性能ではありません。もっとも大切なこと、それは安全性です。

超音波治療器のスペックを表す指標に、BNR(Beam Non-uniformity Ratio=ビーム不均等率)があります。BNRは超音波を照射している際の、平均強度(W/cm²)に対する最大強度の比率です。BNRの値が小さければ均等性が高く、逆に値が大きければ出力に大きなムラがあることを意味します。

つまり、超音波を、どれだけムラなく均一に出すことができるか?の指標がBNRです。

超音波治療器は、プローブの先端から超音波が発せられます。実は、この先端部分の面全体から常時均一に一定の超音波が出てはいません。設定した出力は一定でも、実際に出ている超音波は、強くなったり弱くなったりの誤差が生じます。出力される超音波にはムラがあるのです。誤差を完全に無くすことは不可能ですが、この誤差をできるだけ低く抑えることができるかが機器の安全性に繋がります。

そこでBNRでムラの程度をみることができます。たとえば、BNRが5の機器は、平均強度を1W/cm²と設定して照射した場合、最大強度が5W/cm²の部分があることになります。これは、皮膚に当たっているプローブの一部分に5倍の強度の超音波が出てしまう可能性があるということです。

BNRが5の場合の超音波のイメージ

 

超音波のムラのイメージ

超音波には温熱作用がありますから温めすぎると火傷します。施術者が1W/cm²の出力設定で施術しているつもりでも、ピンポイントで強い出力の部分があると意図せずに強い出力を与えてしまう可能性があり、火傷のリスクとなります。ですからBNRが低ければ低いほど均一に超音波が発せられている、つまり火傷しにくいのです。BNRは5以下が良好なBNR値とされています。

国内外含めて様々な超音波療法機器があります。伊藤超短波社からも、複数の超音波療法機器が出されています。たとえば当院で導入している「イトー UST-770」と、同社製のポータブル機器の「イトー US-101L」のBNRを、比較してみると、以下の違いがあります。

 BNR
UST-770(1MHz)2.9
US-101L(1MHz)3.5

このようにBNRに着目してみてみると、ポータブルと比較して、イトー UST-770は安全性が高いといえます。とはいえ、BNR3.5は決して悪い数値ではありません。一般的に良好とされているBNRは5以下で最高クラスの性能でBNRは2〜3です。そう考えれば、ポータブルの「イトー US-101L」も十分安全性が高いといえます。

機器の価格だけでみれば、ポータブルのイトー US-101Lはイトー UST-770の半分以下です。持ち運びができて、スポーツ現場等で使用することを考えれば非常にすぐれた製品といえるでしょう。

ですが、なぜ価格が2倍以上違うにも関わらずイトー UST-770を採用したのか?それは安全性だけは絶対に譲れないためです。たとえわずかだったとしても安全性が高い方を選ぶのが当院の方針です。

 

信頼性

いくら機器が安全でも実際に効果がなければ意味がありません。本当に効果のある機器なのか?安全性に次いで大切なのは機器の信頼性です。

超音波は目に見えません。その機器からきちんと超音波が発せられていなければ、効果は見込めません。機器を扱う施術者の技術はもちろん必要ですが、効果のある施術をするためにも、機器自体に信頼性があるのが前提となります。

超音波機器の品質を示す指標として、安全性であげたBNR以外にERA(Effective Radiation Area=有効照射面積) があります。ERAは超音波が出るプローブの先端部分の面積の内、有効に超音波が出ている部分がどれくらいあるのかを示すものです。ERAは、プローブ先端の面積に近ければ近いほど、品質的に優れているといえます。

超音波機器のERAの比較

 

太田厚美「何故,超音波療法は世界的に最も評価が高いか」より 国立研究開発法人科学技術振興機構

この違いが何に影響するかといいますと、超音波療法の正確性と効率性です。

正確性

超音波療法は、患部の病状、対象(部位と深度)、患者さんの感受性などを考慮して施術者が任意で細かく設定をできることが利点でもあります。これは他の温熱療法の機器との大きな違いです。

ところが、ERAが不良ですと、施術者としては病巣部位に対して施術を行っているつもりでも、そもそも、実際はきちんと超音波が照射されていなかったことになってしまいます。そうしますと、超音波療法の利点が利点ではなくなってしまいますね。

効率性

同じ部位に、同じ設定・時間で超音波療法を行う場合、ERAの良好な機種とそうでないものでは当然ですが効果に差がでます。

例えばですがERAが良好な機種で5分間で得られる効果が得られるのに対して、ERAが不良な機種で同等の効果を出すのに10分かかってしまうといったケースは容易に想像できるはずです。

超音波療法の施術を行っている最中は、施術者の手が塞がってしまうので、同時に他のことはできません。治療の時間は限られていますので、効率性はとても重要となります。先程の例でいうと、A機種であれば、Bを使った場合よりも、5分間プラスで他の施術ができます。A or B どちらの機種を使ったほうが、治療全体としての効果が期待できるか?言うまでもありませんね。

超音波治療器は、ピンポイトで施術ができるメリットがある反面、基本的には施術者が常に操作をし続けなければなりません。他の治療機器と比較して、正確性の面で利点がありますが、同時進行で複数の施術ができないため、効率面では他の方法に劣ります。正確性と効率性が相反する関係にあるからこそ、機器の精度により、効率性を補うことが大切となります。

超音波は目に見えませんので、設定した通りにきちんと出ているかは、機械の精度に頼らざるを得ません。ですので、超音波療法を行ううえで、機器の信頼性はとても重要です。そのためにBNRとERAは重要な指標となります。

 

応用性

BNRやERAの観点から、安全性と信頼性が高い機器は「イトー UST-770」以外にもありますが、応用性の点で「イトー UST-770」は優れています。設定範囲が広く、幅広い疾患に対応することができるのです。

超音波療法には大きく二つの効果が期待できます。

温熱作用

  • 疼痛緩和(血流改善、循環改善)
  • 組織の伸展性改善
  • 筋スパズムの改善(筋紡錘の感度軽減)
  • 骨格筋の収縮機能の改善(血流改善)

音圧作用

  • 炎症の治癒促進(微細振動による細胞膜の透過性や活性度を改善)
  • 浮腫軽減(微細振動のマッサージによる循環改善)

この音圧作用は、機械的作用ともいわれ、超音波療法ならではの効果です。

一般的には、急性の炎症がある時は、患部への強い刺激はNGです。原則は安静です。ですが、近年では、絶対安静はかえって治癒を遅らせてしまい、安静は必要でも適度な負荷を与えたほうがよい、と提唱されています。

急性の炎症がある時ほど、痛みがあり、どうにかして欲しいのが患者さん心理ですが、標準医学的な観点からみると、闇雲に弄くることでかえって病状を悪化させかねません。ですので、早期に痛みを引かせるために「(急性の炎症がある)患部にはあえて触らない」という判断をする場合があります。炎症がある部位に鍼をうったら余計炎症が増してしまうのは想像できますよね。

急性の炎症がある際は、無闇に触れないのが早期治癒には大切です。患部に関しては、あえて積極的に施術をせず、患部周辺のコンディション改善が教科書的な対処方法でした。ところが、超音波の音圧作用を利用すると、急性炎症の患部に対しても早期治癒のために積極的な施術ができるのです。

これまでは炎症が引くのを“待つ”、しばらく我慢するのが当たり前でしたが、治癒促進のための対処を可能にしたのが超音波療法です。

音圧作用を効果的に使うために重要なポイントがあります。それは温めてはいけないのです。具体的には、出力を低くし、照射時間も短くすることで、患部を温めずに、微細振動による軽微な刺激を患部へ与えることができます。

低出力パルスの超音波も出力できるUST-770

イトー UST-770には、LIPUS( Low Intensity Pulsed Ultrasound / ライプス )という機能があります。直訳すると、低出力パルス超音波となります。極々弱い超音波を断続的に発振することができます。発熱が弱いため患部に固定して使用することができ、筋・腱・靭帯といった軟部組織の損傷にたいして効果的な機能です。

イトー UST-770のLIPUSは、30mW/cm²、45mW/cm²、60mW/cm²の3つの出力設定ができます。これがどのくらい弱いかというと、イトー UST-770や、他の国産のもの含めて、通常の超音波治療器の設定ですと0.1W/cm²の出力が最小となります。

0.1W/cm²=100mW/cm²ですので、通常の設定で最小となるものからさらに3分の1程度弱い設定ができるのです。つまり、従来の設定ではできなかった、とても弱い超音波による施術ができるのです。

照射する深さも柔軟に変えることができるため、炎症があって敏感な箇所や、感受性が豊かな方に対しても用いることができます。

 

UST-770はプローブによって浅部から深部まで対応できる

 

皮膚に近い部分から遠く深い部分まで幅広く対応 Ito Co., Ltd.

ライプスは、難治性の骨折や偽関節の治癒促進、骨の手術をした後の骨折治癒期間を短縮する目的での利用において、健康保険が適用となっています。健康保険が適用される、つまりライプスを使った治療は国から一定の効果が認められているわけです。

肩こりラボでは、健康保険を利用した治療、ならびに骨の治療は行っておりませんが、このような標準医学的観点から認められている機器を利用して、筋線維・筋膜・腱・靭帯などの軟部組織のトラブルに対して施術を行っています。具体的には、五十肩の炎症期(急性期)、腱鞘炎、肉離れや捻挫をはじめとした各種スポーツ傷害の急性期に対する理学療法の手段として使用しています。

超音波と低出力パルスを兼ね備えた唯一の国産機器

一般的なイメージとは逆かもしれませんが「いかに強い刺激を与えられるか」よりも「いかに弱い刺激を与えるか」「いかに弱い刺激で効果を出すか」のほうがずっと難しいのです。機器においても、出力を高めることよりも、いかに弱い出力で安定して超音波を発振できるかという方が、出力の制御や微調整の面で技術的に難しいのです。

2019年1月時点で、ライプス機能のみの超音波療法器はありますが、通常のモードとライプスの両方を、1台の機器で行うことができる国産の機器はイトー UST-770のみです。

超音波療法には、温熱効果と音圧効果が期待できます。ライプス機能があることで、音圧効果を期待した施術の幅が広がり、より繊細な施術につながります。

肩こりラボでの超音波療法の位置付け

超音波療法は、温熱作用により深部を温められること、そして音圧作用により炎症部位へアプローチできるという特徴があります。これらは、鍼・マッサージ・運動療法だけでは難しい、できたとしてもとても効率的なアプローチとはいえません。

肩こりラボでの超音波療法

 

超音波療法が最適な場合にのみ使用します

当院は鍼灸院ですが、鍼・マッサージが全てではありません。鍼もマッサージもあくまで手段・方法のひとつです。鍼がベストな場合は鍼、マッサージがベストならマッサージ、常に最適かつもっとも効果的な方法をとるのが肩こりラボが行ってきた・行っている理学療法です。鍼やマッサージ・運動療法とならんでひとつの手段として超音波療法を取り入れています。

超音波療法を使用する頻度が高いのは、40肩や50肩といった肩関節痛、腱鞘炎、スポーツ傷害、肉離れ、捻挫などです。当院は首こりや肩こりの改善が専門ですが、実はこのような疾患を抱えている方が多数いらっしゃっております。

首肩こりにお悩みの方は、長時間のデスクワークをしている場合が多く、マウス作業のしすぎで腱鞘炎になってしまうこともあります。首肩こりの改善と並行して腱鞘炎に対して超音波を使った施術も行います。また、いわゆる筋膜リリースの手段として筋膜の癒着やシワ(高密度化)の改善に用いることもあります。

超音波療法を行うことが治療そのものではない

繰り返しで恐縮ですが、超音波療法は、あくまでも施術手段の一つでしかありません。

「とりあえず電気でも流しておきましょう」

整形外科でこのようなことを言われた経験がある方は多いと多いますが、当院では超音波療法はとりあえずやってみましょうといった使い方はしません。

必要に応じて、そして効果が期待できると判断した場合に使います。

一発で治る、そんな万能な方法は存在しません

特定の症状を抑える・緩和に一発で効く方法はありますが、慢性的な症状は簡単には治りませんし、再発しないようにすることが理想のゴールです。

どのようなものにも長所と短所があります。

どれだけ優秀な選手が集まってもチームとして機能するかは話が別です。仕事やプロジェクトでも同じです。

鍼・マッサージ・超音波・運動、これらがそれぞれどれだけ優れていたとしても、単体では活きません。

肩こりラボでは、各施術を、長所が活きるよう施術者が見極めて行い、また、他の施術を組み合わせることで短所を補うのが大切だと考えています。そのため、1回の施術で超音波療法のみ行うことはほぼありません。

五十肩に超音波を使用する場合

たとえば、五十肩の急性期。痛くて非常につらい時期です。炎症があって痛みがある時は、炎症による痛みに加えて、周囲の筋肉がかばって硬くなって、結果として痛みを助長させてしまいます。このような場合、肩こりラボでは、炎症がある関節部分には音圧作用を求めて超音波療法、周囲の筋緊張に対しては鍼やマッサージを行います。

超音波を用いた施術でも、筋肉を緩めることはできますが、一般的にみて鍼やマッサージと比較して効果がマイルドで局所的にしか効果がありません。広範囲を施術するにはどうしても超音波だけでは所用時間が長くかかります。

効果と効率性を考えると、防御によって生じている周囲の筋緊張の緩和には鍼・マッサージを施すこと多いのです。ですが、これも必ずではなく、鍼やマッサージが苦手な方、敏感でできない方もいらっしゃいます。このような場合には、超音波療法にて筋緊張の緩和を図ることもあります。

カスタムメイド医療の考え方で、患者さんのお身体状況や感受性、そして考え方を尊重した施術を行います。

UST-770を使用する施術

肩こり・首こり専門コース四十肩・五十肩専門コース腰痛専門コース足専門コース体幹コンディショニング

参考文献

  • 「何故,超音波療法は世界的に最も評価が高いか」
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/mpta/17/1/17_1_14/_pdf
  • 「艾の燃焼温度と生体内温度変化に関する研究」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/38/3/38_3_326/_pdf/-char/ja
  • 「艾の燃焼温度と生体内温度変化に関する研究(第2報)-隔物灸について-」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/39/2/39_2_241/_pdf/-char/ja

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


東京理科大学オープンカレッジにて講義を行いました

2018年6月3日(日)に「ひとりで出来る肩こり改善方法」と題して講義を行いました。

東京理科大学オープンカレッジは、東京理科大学が、生涯現役であり続けたい方、社会人として豊かな教養を身に付けたい方、ビジネスパーソンとして見識を深めたい方をはじめとした一般の方向けの「社会人教育・リカレント教育」の場として開講しています。

 

iPad用の解剖学アプリの画面をプロジェクタースクリーンに投影しつつ、肩周辺の筋肉はどうなっているのか?肩こりの仕組みについて解説。

 

今回の受講者全員でセルフケアを実際に行っていただきました。多くの方に効果を実感していただけたようです。ぜひ今後ご家庭で行っていただけたら幸いです。

 

一般的な方法ではどうにもならない場合でも、お試しいただきたいタオルを使ったストレッチも紹介しました。

 

受講者の方から積極的な質問も多く、講義する側としてはとても助けられました。そして大変参考になりました。

ネットだけの情報発信だけではダメ

当院はネット上でのみ情報の発信を行っております。

雑誌やテレビ・他のWebメディアからの取材依頼には出来る限り応えてはいますが、いわゆる宣伝・有料広告は行っておりません。

今回、はじめて一般の方向けの講義を行い、情報化社会がゆえの迷い・悩みの増加を実感しました。

今後も一般向けのこのような場を増やしていかなければいけない、積極的に治療院の外でも「治療」につながる活動をしなければいけない、そう強く思いました。

肩こりの概念を再定義する

これは、大げさかもしれませんが世の中の常識を変えるということです。

実現に向けて、一人でも多くの患者さんを治す、という治療現場と並行して、活動の場を広げていきたいと思います。

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

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◯秒で肩こり知らず?すぐにできる!肩こり解消方法・・・それって本当?というの疑問にお答えします

当ページをご覧の方は、肩こり首こりで心底お悩みの方が多いと思いますが、中には肩こり“ぐらい”で・・・なんていうまだ我慢できる・まだまだなんとか大丈夫!というくらいの方もいらっしゃると思います。病気と同様、重度の肩こりよりも軽度の方が治りやすいわけで、セルフケアでなんとかしたいとお思いの方が勘違いしやすい肩こり情報をQ&A形式でアップしていきます。

肩こりを改善する方法編

肩コリ解消方法の嘘と本当
 

肩を毎日回せばこりは解消する説

やらないよりはやった方がいいかな、というのが正直なところです。

肩のこりを引き起こしている原因は、肩だけではないので、肩以外のコンディションが悪いままでしたら、こりが改善されたとしても一時的です。

肩を効果的に回すポイントは、肩甲骨を動かすことです。ただ、なんとなく肩を回すだけでは、肩甲骨はあまり動きません。肩甲骨が動くためには、肘の位置が耳よりも上にくるように回す必要があります。今、やってみてください。結構きついはずです。

四十肩・五十肩など肩関節に痛みがある場合は、無理をせず、痛みが出ない範囲で動かすようにしてください。

背すじを伸ばしていれば肩こりにならない説

バレエダンサーやホテルマンといったサービス業のような見た目の姿勢が美しい人に肩こりが多いのです。猫背になりがちなデスクワーカーにももちろん多いのですが、背筋を伸ばしていれば肩こりにならないというのは大きな間違いです。

直立で背筋を一直線にすると、本来のS字カーブを意図的に伸ばすため首や肩に負担がかかって疲れやすい状態になります。

肩こりを予防するための正しい姿勢と、見た目が美しい姿勢は異なります。肩こり予防の観点からの正しい姿勢に要点は大きく2つあります。

  1. 背骨がS字曲線を描くようにある程度の均一のたわみがあること

    多くの場合、腰は反り腰、背中は円背、首はストレートネックといったように不均等はカーブとなってしまっています。

  2. 体幹の筋肉で支えること

    身体を支えることに適した筋肉で支えること。具体的には殿部、腹部、背部の筋肉。多くの場合はこれらが弱ってしまっていて代わりに別の箇所で支えるようになってしまっています。その別の箇所というのが首肩や腰の筋肉=凝りができやすい筋肉なのです。

筋肉のこり=炎症なら冷やせばよい説

ズキズキと疼くような痛みなら冷やしたほうがよいです。

一般的に慢性的な肩こりであれば温めるのが正解です。ただし、温めることで一時的には軽減されるとはいえ、治ったわけではないので繰り返すことでだんだん慣れてしまいます。結果、こりが悪化する可能性もあります。

原因が様々であるのと同様、肩こりの症状の出方は様々で、肩こりの一言だけでは収まりません。

一般論として、「緊張感」や「ハリ感」の場合は温め、「痛み」であればアイシングがよいでしょう。症状が広範囲または一定エリアの場合は温め、ピンポイントの場合はアイシングが有効なことが多いです。

よくあるケースとして、首や肩の凝り、広範囲(一定エリア)の凝りがある場合の対処としては温め。一方、「痛み」として自覚する凝り、ズキズキ疼くような凝り、ピンポイントでつらい箇所がある場合にはアイシングが功を奏することがあります。

痩せれば肩こりが治る説

たしかに太っていると、姿勢が乱れやすくなりますし、上肢の重量も増えるため、それを支える首や肩の負担が増えて凝りが生じやすいコンディションにはなります。ダイエットをして肩こりが楽になるケース自体は間違いなくあります。

「痩せたら肩が凝らなくなりますか?」

これは、カウンセリングでよく質問されます。

痩せることで、首肩への負担が減り、それによってつらい首・肩のこりが解消されればよいのですが、太っていても肩こり知らずの人もいれば、痩せていても酷い首肩こりでお困りの方がいる、つまり、単に痩せれば良いかというとそうではないのです。

とにかくまずは痩せるように言われ、無理なダイエットをして、肩こりも特に治まらないばかりか身体を壊してしまうとなると本末転倒です。痩せれば何とかなるという考えは捨てて下さい。

首肩への負担を減らすために必要なのは体幹の筋力

首や肩の負担を減らすにはズバリ「体幹の筋力UP」です。体幹の筋肉(特にインナーマッスル)がしっかりと働くことでカラダを支えることができるのです。体幹がしっかりしていると正しい姿勢が無理なくとれるようになり、結果、首肩の負担が軽減します。

痩せている方はカラダをきちんと支える筋力が少ないために首や肩に負担がかかり凝ってしまいます。不適切なダイエットによって脂肪だけでなく筋肉まで落としてしまうと、かえって首や肩の負担が増えてしまい悪化をしてしまうということもありますので注意が必要です。

ダイエットにおいて大切なのは、脂肪は減らすが筋肉は減らさず、むしろ増やすことです。肩こりの原因は様々です。肥満が元となり負担がかかってしまっているなら、痩せることで肩こりが改善するかもしれません。ですが減量によってかえって悪化をしてしまうこともありますし、反対に痩せすぎが肩こりの原因になってしまうこともあります。

ですので、肩こりがひどくてダイエットを検討している方は、単に減量するのではなく、体幹の筋力を意識して取り組みましょう。そのためには食事制限だけでなく体幹のインナーマッスルを意識した運動が大切ですね。

筋力アップのためには様々なトレーニング方法があり、どれも一長一短です。体幹のインナーマッスルを鍛えてカラダを引き締め、しなやかなカラダを目指したい方にはパワープレート・トレーニングがオススメです。

肩だけ揉んでおけばよい説

肩こりは体全体のバランスが崩れて負担が方に集約された結果です。肩だけが原因ではありません。

正しい姿勢をキープするのがつらい人はバランスが崩れている証拠です。

背中や太ももの筋肉の硬直や衰えが原因になっている場合も多く、姿勢改善や運動不足解消などで意識せずに肩をもんでも意味はありません。

実際のところ、姿勢が悪いから肩が凝るだけでなく、肩が凝るから姿勢が悪くなってしまうということもあります。ですので、凝りのある個所をしっかりほぐして症状を解消するということは大切なことです。

肝心なのは、つらい箇所をほぐして一時的に症状が緩和したとしてもそれで良しとしないでいただきたいということです。凝りのある部分だけをほぐした場合、その時は楽になったとしても多くは時間の経過とともに戻ってしまいます。凝りをほぐす→戻る、ということを繰り返すうちに、刺激にも慣れていき次第に強いマッサージを求め、どんどん頑固な凝りになっていってしまいます。それは結局のところ慢性化を招いてしまうことになります。マッサージを受けて、はじめは1カ月効果が持続していたのに、最近は1週間持たなくなってきた・・・・いつの間にか通う頻度が増えてきた・・・というのに心当たりがある方は要注意です。

肩こりを根本的に改善するためには、凝りをほぐすこと=対症療法と、姿勢や生活習慣を正すこと=原因療法をセットで行うことが大切です。

冬のつらい首肩こり、首を温めればよい説

首を温めることで血流が改善して楽になることは多いのですが、首だけ温めるというのはオススメできません。

冬の寒い時期は、耳もあたためましょう。耳あての着用や、ニット帽を深くかぶる、フードをかぶる、マフラーの巻き方をアレンジするなど色々な方法がありますね。耳の中には、気圧の変化をキャッチするセンサーがあります。首と耳、神経・センサーが近いのです。首を温める場合、耳も一緒に温めましょう。

血流が増すことで痛みが増加してしまうこともあります。温めて痛みが増したり、つらさが増してしまったら、我慢せずに逆に冷やして下さい。押してダメなら引いてみろです。ひとつのやり方に縛られて我慢してより悪化・慢性化してしまう人が多いのです。温めてダメなら冷やす、冷やしてもダメなら温める、これは絶対に覚えておいてほしいポイントです。

 

 

「外人は肩こり知らず?」「肩こりで死んでしまうことがあるって本当?」「肩こりは働き盛りの人特有?」「親が肩こりだから自分も肩こり?遺伝なの?」といった肩こりにまつわる噂や説についてのQ&Aを以下にまとめました。

肩こりのウソ!?ホント??

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
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katakori LABS Study Session 2017.08.03

鍼灸師の皆さまへ

現在、日本には約17万人の鍼灸師がいます。

「肩こりは治ります」

17万人の中で、こう言い切れるセラピストはどれくらいいるでしょう。

肩こりを治すということ、それは凝りをほぐして一時的な症状の緩和をすることではなく、治療を必要としない体にかえることです。

もちろん凝りをほぐすということは大切なことですし、気持ちの良いマッサージも必要です。

ですが、肩こりを治したいと願う患者さんに対しては、それだけでは応えられないという現状が実際のところあるのではないかと思います。

治したいという気持ちを強くお持ちのセラピストの方と当院が培ってきた技術・見解・未来を共有できれば幸いです。

Study Sessionプログラム

学校では教えてくれない肩こりを改善する方法

  • 肩こりの定義
  • 肩こりの原因
  • 肩こりの病態生理学
  • 肩こりの評価法
  • 肩こりを改善する方法(施術プラン・治療方法・セルフケア)
  • 肩こりラボの施術技術紹介(IDマッサージ・3D鍼・運動療法)

全て現代医学に則った内容となります。東洋医学的な内容はございません。

内容は若干変更となる場合がございます。

 

学校では、凝りのほぐし方は教えてくれても治し方は教えてくれません。

鍼をうつ、灸をすえる、揉みほぐすという従来の鍼灸・マッサージだけでは、一時的な緩和はできても慢性的な肩こりを治すことは極めて困難です。もちろん運動療法のみでも困難です。

では、何をすればよいのか?

肩こりの根本治療において肝心なことは、何をするか?ではありません。

患者さん個々によって異なる原因を見極めること。これが最も大切なことです。原因を見極めた上で、一貫した方向性をもって鍼灸・マッサージと運動療法を組み合わせることができれば根本治療は可能です。

根本治療の第一歩は、まず患者さんの「病態の把握(見立て)」、そして「施術プラン(内容や頻度)」です。これを実践するための大前提として、そもそも肩こりとはどういった状態なのか(定義)、そして肩こり発症のメカニズム(原因)を身につけている必要があります。

近年の研究により、慢性的な肩こりは単なる筋疲労や血行障害ではないということもわかってきています。第1回となる今回は肩こり治療の土台となる部分を解説します。受講後は「肩こり」がこれまでとは違ったものにみえてくるでしょう。

理論の元、然るべきアプローチをすれば、肩こりを治すことは誰にでも可能なことです。

多くの方にご参加いただき、誠にありがとうございました。

次回は、2018年11月中の開催を予定しております。

katakori LABS study session 2018

 
 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩ラボが次世代の鍼として開発した3D鍼

一般的な鍼は、ツボに代表される東洋医学的・古典的な手法ですが、肩コリ ラボでは現代的な解釈で鍼を行っています。

当院の鍼は解剖・生理学的な観点からカラダの機能の異常を捉える、そして医療と連携可能な施術です。

従来の鍼とは異なる新しいアプローチ・・・3D鍼は鍼(ハリ)の進化形

3Dというと立体をイメージされると思います。3DはThree Dimensionの略で3次元という意味です。3D鍼は3次元鍼ということになりますが、鍼を打つという行為自体が3次元では?と思われることでしょう。

確かにその通りです。私たちのいる空間そのものが3次元です。

ここで、人体の解剖図を思い描いてください。普通は平面図、つまり2次元(2D)ですよね。

3D鍼の3Dとは人体を立体的にとらえて三次元の観点からハリ治療を行うという意味です。

具体的に3D鍼 (スリーディーハリ)とは?

従来のマッサージやハリ治療では十分な効果が得られない方のために当院が考案したオリジナル技術です。

 

鍼は、マッサージでは埒があかないほどのひどい症状でお悩みの方向けの物理療法です。

鍼自体は古くからある方法ですが、当院の鍼施術は一般的な方法論とはまったく違う新しいアプローチ方法です。今までいくらハリを刺しても届かなかった領域に刺激を与える、3D鍼なら今までのハリ治療の効果と明らかな違いをお約束します。

頑固なコリ自体だけでなくコリを引き起こす原因へアプローチ

ソフトな刺激では効かない頑固なコリの核となるそのポイントを確実にとらえ粉砕します。

コリによるつらい症状そのものだけでなく、そのコリを引き起こしている「原因」を姿勢や動きから突き止めます。

例えば、うなじ付近には後頭下筋群とよばれる4種類の筋肉の集まりがあるのですが、この部分の筋肉が凝ると首や肩のコリだけでなく、眼精疲労・頭痛なども引き起こすことが知られています。

後頭下筋郡

原因となっている筋膜・筋肉をピンポイントかつダイレクトにアプローチできる、それが鍼ならではのチカラです。

3D鍼といっても鍼自体は普通の鍼

身体の状態によっては低周波機器を併用する場合もございますが、鍼自体は特別な鍼ではございません。ごく一般的に流通しているものです。

3D鍼とは「技術」のこと

3D鍼は、度重なる人体解剖によって培われたリアルな解剖学と、IDマッサージによる筋肉を個別の触診する技術から構築された技術です。

使用する鍼はなんでもよいのです。3D鍼は国家資格である鍼灸師の中でも、人体解剖学・スポーツ医学・運動生理学に精通した者だけが行うことができる特別な鍼(ハリ)の技術でkatakori LABSのみでしか行っておりません。豊富な治療経験で培われた「手」と「鍼」で患者さんの症状を改善いたします。

3D鍼の「筋膜」に対する効果とは?

ここ数年「筋膜」という言葉を目にする・耳にする機会が増えましたが、そもそも鍼は筋膜へアプローチするものです。鍼を打つことができるのは医師と鍼師のみですが、医師が鍼を行うことはほとんどなく、筋膜へのアプローチ自体が今までされてきませんでした。そこで鍼ではなく注射によって筋膜へ働きかける手法が脚光をあび広まってきたのです。いわゆるハイドロリリース注射・筋膜リリース注射と呼ばれている治療方法です。

ですから筋膜は発見でもなんでもありません。マッサージやストレッチ・鍼で筋肉に対して行うアプローチは筋膜も当然含んでいます。(厳密にいうと筋膜というのは筋肉に限らずあらゆるものを包み込んでおり、よくわかっていないことが多いのは事実です。)

3D鍼を刺すことで筋膜へ期待できる作用

  1. 血流を改善し水分補給をすることで、高密度化した筋膜の柔軟性獲得と潤滑剤の滑走性回復
  2. 線維化してしまった部位に微細な組織損傷を与えて組織のリモデリングを誘導(表層から深層まで任意で可)

ここ数年、医療機関で最新の肩コリ治療として紹介されている筋膜リリース注射・ハイドロリリース注射は、生理食塩水と筋膜に注射することで固くなった筋膜へ水分補給して柔らかくする方法です。古くから行われている筋膜への鍼を打つ方法と根本的な原理は同じです。鍼灸院が鍼を打つ施術を注射に置き換えて行っているだけで実は最新でも画期的な方法でもありません。エコーを使って筋膜の状態を可視化して行っているという点は画期的です。

筋膜リリースとは?

効果比較

 3D鍼IDマッサージ一般の鍼一般のマッサージ
 
3D鍼は次世代の鍼(ハリ)のあるべき姿です。
  
効果持続時間★★★★★☆★☆☆
弛緩作用★★★★★☆★☆☆
即効性★★★★★☆★☆☆

3D鍼のメリット

  1. 即効性の高さ

    →とにかく頑固なコリをほぐすことが可能

  2. 全身調整

    →筋肉だけでなく自律神経・内臓機能を整えることが可能

  3. 持続効果

    →マッサージよりも効果持続期間が長い

  4. 鎮痛効果

    →痛みに対し鎮痛効果(鍼の麻酔作用は科学的に証明済み)

3D鍼のデメリット

  • ハリが怖い方には第一選択肢とならない
  • 個人差がありますが、副作用として、もみ返しのような筋肉痛・内出血・倦怠感といった現象がおこる場合がある(調整可能)

肩コリ ラボで使用する鍼はノンシリコンの「使い捨て」の鍼です。

当院では衛生面を重視しています。使用する鍼はディスポーザブル鍼と呼ばれる使い捨ての鍼です。治療で使用する際にはじめて開封します。

未開封状態にあるパッケージはエチレンオキサイドガス滅菌(EOG滅菌)によって清潔に保たれています。

シリコンの鍼を使用しない理由

医療用シリコーンでコーティングされた鍼がございますが、当院ではノンシリコンの鍼を使用しています。医療用シリコンは人体への悪影響はないとされていますが、なぜ当院で使用していないのかといいますと、医療用シリコンによるコーティングが患者さんにとってのメリットはないためです。シリコンコーティング鍼のメリットは刺しやすさです。つまり恩恵をうけるのは鍼を刺す側であって、シリコンでコーティングされているから痛みが少ないといったことはございません。また、シリコンが体内に残る可能性とシリコンの残留が人体に与える影響は当院では解りかねます。患者さんの不安が少しでも残るものは使用しないという当院の方針で使い捨てのノンシリコン鍼を使用しています。なお鍼は国産の原材料でつくられたものです。

また一度使用したはりは廃棄します。鍼を一時的におく鍼皿も使い捨てでございます。ご安心ください。

3D鍼を使用する治療

肩コリ・首こり専門コース四十肩・五十肩専門コース腰痛治療足専門コース体幹コンディショニング

肩コリ ラボの施術にかかる費用

執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩ラボ独自のマッサージ技術「IDマッサージ」

IDマッサージは一般的なマッサージ方法とは一線を画する画期的なメディカル・マッサージです。

IDマッサージは、肩こりラボが通常のマッサージや整体などでダメだった方のために考案した「技術」です。はりが怖い方へも最適です。

一般のマッサージでは触れられない細かい部分や隠れたコリに対してIDマッサージなら十分な刺激を与えることができます。

通常のマッサージや整体とは全く違うマッサージですので肩こりラボの「独自技術」と謳っておりますが、その中身は医学的根拠に基づいた本来あるべきの正しいマッサージ方法です。

IDマッサージの効果は、施術直後から感じていただけることをお約束します。

IDマッサージのID(アイディー)の意味

一般的にIDとはindividualの略で「個々の」という意味です。

人間の身体は非常に多くの筋肉がありますが、人間皆、筋肉の構造自体は同じです。

構造は同じでも、人によって症状は様々、感じ方は違います。

問題となっている筋肉を特定し、その筋肉に対してマッサージをする、つまり、つらい症状を引き起こしている筋肉を的確に捉え、その人その人に合わせた(individualized)丹念に丁寧に行うマッサージ、それがIDマッサージです。

アウターとインナーの両筋肉にダイレクトにアプローチ

人間の筋肉はとても数が多く複雑に組み合わさっています。ですので、首がこる・肩が凝るといってもその症状をおこしている付近になんとなくマッサージするだけでは、気持ちいいだけで効果は期待できません。筋肉一つ一つを個別にとらえてマッサージする必要があります。

IDマッサージはアウターとインナーの両筋肉にダイレクトにアプローチします。

単にコリに対して刺激を加えるだけでなく、コリの原因となっている身体の乱れや筋肉バランス、関節の可動性を整えます。解剖学に精通した国家資格取得者のみが行うことができる技術で、「手」のみで患者さんの症状を改善させる物理療法です。

 

具体的にIDマッサージとはどのようなマッサージなのか?

IDマッサージは、マッサージとストレッチと関節モビリゼーションの良い所のみを組み合わせた混合技です。

もっと詳しく説明しますと、按摩・指圧・オイルマッサージ・ストレッチ・関節モビリゼーション・筋膜リリースを総合的に組み合わせて行う技術です。徒手による筋膜リリース(緩やかな圧迫と伸張与える手技)やIASTM(オイルやクリームなどの滑剤を用いて皮膚を摩擦する手技)の技術はIDマッサージのなかに含まれます。

IDマッサージは多岐に渡る処置方法の総合技術です。ですので患者さん個々の要望や体の特性次第で行う内容が変わります。ですから単なる「もみほぐし」ではなく、筋膜に異常があれば筋膜リリースを、筋肉に異常があればマッサージを、関節可動域に異常があればストレッチや関節モビリゼーションを適宜行います。自律神経の乱れがあれば体性-自律神経反射を利用して自律神経にはたらきかけます。

筋膜リリースとは?

IDマッサージの「筋膜」に対する効果とは?

IDマッサージはコリをほぐすだけでなく体のバランスを修正し自律神経を整え「体をかえる」技術です。体のバランスを修正するためには筋肉だけでなく筋膜のコンディションの改善は必要不可欠です。

IDマッサージによる筋膜への作用

  1. 血流を改善し水分補給をすることで、高密度化した筋膜の柔軟性獲得と潤滑剤の滑走性回復
  2. 物理的な伸長刺激を与えて、高密度化した部位の伸縮性改善
  3. 線維化してしまった部位に微細な組織損傷を与えて組織のリモデリングを誘導(表層のみ可)

効果の比較

一般的な鍼・マッサージとIDマッサージの比較
 3D鍼IDマッサージ一般の鍼一般のマッサージ
  
IDマッサージは肩こりラボの根幹をなす技術です。
 
効果持続時間★★★★★☆★☆☆
弛緩作用★★★★★☆★☆☆
即効性★★★★★☆★☆☆

IDマッサージのメリット

  • 心地よい刺激
    どんな方でも受けることが可能
  • 姿勢改善
    通常触れないインナーマッスルを整えるので姿勢改善効果が高い
  • ゆがみ改善
    背骨・肩甲骨・骨盤のバランスを整えることが可能

IDマッサージのデメリット

  • はりに比べてコリをほぐす力が劣る
  • 通常のマッサージよりは明らかに長いが、当院の技術の中では効果持続期間が短め

IDマッサージを使うコース

肩こり・首こり専門コース腰痛コース足・膝専門コース体幹コンディショニング

肩ラボの理学療法は計画に基づいて行いますが、緊急かつ時間が短い場合の応急処置を行う処置は、こちらで解説したIDマッサージ、またはオイルを使用してのI D オイルマッサージとなります。

肩こりラボの各コースの費用

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


筋膜リリースを解説します。

筋膜の正しい知識を知り、筋膜リリースの本質を理解する

筋膜きんまくリリース筋膜きんまくはがしといった言葉を目にする・耳にする機会が増えてきました。筋膜へのアプローチ自体は古くから実践されてますしはり・マッサージにおいては基本なので、新しいものではないのですが、ここ10年で一気に有名になりました。当院の患者さんからも「筋膜リリースをしてほしい」という要望をいただく機会は大変多いです。

肩こりの原因は筋膜にあり、筋膜のシワ・たるみ・癒着が問題である→筋肉をいくらほぐしても筋膜にシワやたるみがあれば肩こりは治らない、といった説明がガッテン・金スマといった人気テレビ番組で紹介されネット上にも情報が拡散されています。また、それと同時に肩こりの原因は肩以外にあるという説明も多くなりました。

肩こりの原因は肩以外にある説は正しいです。ただし筋膜だけで全てが解決されません。肩こりの原因は筋肉ではなく筋膜であるという説明が多いのですが筋膜は筋肉の一部です。筋膜のみへのアプローチは根本的な解決にはなりません。筋膜と筋肉を分けるべきではありません。筋膜と筋肉はセットです。これはとても大切なポイントです。

日本語の筋膜という単語の定義は定まっていない

筋膜はラテン語のFasciaを日本語にしたものです。ファシィアまたはフェィシャと発音するこのラテン語の単語は、ドイツ語でいうbunde、すなわち物を包んだり結び合わせたりする帯を意味します。Fasciaは日本語でいう筋膜にとどまらず、内臓の膜・骨を覆っている骨膜・関節を連結している靭帯じんたいや筋肉を骨とくっつけるけんまでも含まれます。筋肉に関する筋膜だけでも、筋内膜・筋周膜・筋外膜・筋上膜といった種類があります。これらも筋膜という一言で説明されてしまっています。

筋膜は魔法の言葉?

最近では四十肩・五十肩といった症状も筋膜に原因があるといった説明が目立つようになってきました。筋膜とよべる組織が多岐に渡りすぎているため、何から何まで筋膜という単語ひとつで説明されてしまっている、つまり間違ってはいないけど正確でもない。マスメディアで取り上げられることで誤解を与えていることだけは確かです。

今までと何も変わらないストレッチや体操もいつのまにか筋膜ストレッチ、筋膜体操といった名前に変わっています。筋膜は身体のあらゆる組織に存在しています。どんなストレッチでも運動でも筋膜は使われています。つまり何をするにしても筋膜へのアプローチはあるわけですから、嘘偽りではないのです。

Myofasciaは筋筋膜と訳されているのに、頭の筋がとれて筋膜リリースという言葉が広まってしまった

筋肉の筋膜を意味するmyofasciaという単語があり、日本語で筋筋膜といいます。myofasciamyoは筋肉のという接頭辞で筋肉の膜(fascia)ということです。「筋肉の筋膜」=「筋筋膜」、これがいわゆる筋膜を指す単語として正解・最適なのですが、筋筋膜は筋・筋膜となぜか分離された表記が少なくありません。筋肉と筋膜という並列の意味で説明している専門家もいらっしゃいます。

筋膜リリースという言葉はMyofascial releaseを日本語にしたものです。本来であれば筋筋膜リリースと訳されるべきだったのです。

このページでは筋肉を覆っている・包んでいる膜=筋筋膜(myofascia)を筋膜として解説していきます。

筋膜は古くからある人体解剖図に存在していない

残念ながら医学界では「筋膜」は無視されてきました。なぜ無視されてきてしまったのかといいますと、医学でもっとも重要なのは内臓・骨・筋肉といった“体の中身”だったからです。

人体の構造を学ぶ上での根幹は解剖です。筋膜は解剖の際に取っ払って捨てられてしまうものでした。

ですが人体についてはまだまだ解明されていない不明点が数え切れないほど多く、あまり注目されていなかった筋膜についての研究を進めてきた研究者たちがいました。その研究者たちのおかげで、近年、病気との関連が判明してきたのです。

これは鍼灸しんきゅう・マッサージにおいても大変意義があります。鍼灸・マッサージにおける筋膜へのアプローチは基本ではあるのですが、医学的な根拠・裏付けに欠けており経験則にしたがっている(これの最たるものが、当院では取り入れていませんが、いわゆるツボや経路といった考え方)部分が大きく、曖昧かつ確実でない情報をもとに行われているのが現実です。

はりを刺す・打つ、といった行為は鍼灸・マッサージの基本です。鍼は鍼師と医師のみが打つことができます。この鍼を打つ目的のひとつが、硬くなった筋膜の緩和です。

鍼を打つと筋膜が緩和する仕組み

硬くなった筋膜に鍼を刺すことで一時的に筋膜を壊します。膜に傷がつくわけですから出血します。出血するということは、その部分の血流が増します。血流が増すと硬くなった部分が柔らかくなります(たびたびテレビ番組などで紹介される筋膜リリース注射・ハイドロリリース注射は生理食塩水を注入して筋膜を柔らかくする方法ですが根本原理は同じ)。壊れた筋膜は新たに作られますが、硬くなっていない正常な筋膜が作られます(リモデル)。もちろんそれだけではないのですが、筋膜含めて「筋肉」であり、筋肉の外側・内側問わず必要な箇所に打つのが鍼です。

筋膜リリースは新発見ではないし画期的な方法でもない

硬くなった筋膜へ鍼を打つ基本的な処置以外にも筋膜へのアプローチ方法は、いろいろな方法があります。それこそマッサージやストレッチにも当然ながら筋膜リリースは含まれています。つまりアプローチ自体は新発見でもなんでもありません。あくまで、今まで分かっていなかった筋膜の果たす役割・機能が医学的に新発見であって、筋膜リリース自体は新発見ではないことをご理解ください。

今までわからなかったことが分かってきたということは、鍼の有効性が医学的に意味づけされる・理論づけされて認められる可能性があり、今後の研究に大いに期待しています。

筋膜が注目を集めるようになった理由を理解するために必要な知識

筋膜は「第二の骨格」「ボディスーツ」といった表現をされます。それはそれで正しいのですが、実際は分かりやすいシンプルなものではありません。

浅筋膜はボディスーツ

このような皮膚みたいなイメージをお持ちの方は多いかもしれませんが、厳密には違います。たしかにこのように皮膚のように体全体を覆っている筋膜はあります。その体全体を覆っている筋膜は、「浅筋膜せんきんまく」という名前の筋膜です。浅筋膜は皮下脂肪の中にあるので全身を覆っているといえるわけです。

人間の体は以下のように様々な筋肉があります。表から見えない部分にもたくさんの筋肉があります。

筋肉図

筋肉の数は膨大で、一つ一つ「○○筋」と名称があります。これらひとつひとつがそれぞれ膜で覆われています。これこそがメインとなる筋膜です。さらに、これらの筋肉同士も筋膜で連結されていたり、まとまったグループごとに筋膜で覆われ、そのグループ同士も連続性をもって繋がっています。浅筋膜ほどではないのですが、ある程度全身を包んでいるともいえます。

筋肉を包み込んでいる膜が筋膜と述べましたが、これを浅筋膜と分けるために深筋膜しんきんまくと呼びます。深筋膜の捉え方・定義は実際はバラバラです。深筋膜を筋内膜・筋外膜・筋周膜・筋上膜と名前がついているものの総称として解説されていたりしますが、ここではひとつのまとまった筋肉を覆っている外側の膜(筋上膜とも呼ばれます)を深筋膜とします。

筋筋膜の構造図

上図は、二の腕部分の断面図になります。赤い筋肉の塊の境界線となっている白い部分が深筋膜です。この図では6つの筋肉の境界線のように見えますが、6つそれぞれを深筋膜が覆っていており、隣接していることを表しています。骨も骨膜で覆われています。骨膜と深筋膜も隣接しているわけです。

実はこの深筋膜、一枚の膜のように見えますが、体の部位によって構造が異なるのです。

浅筋膜と深筋膜の違い

薄いピンクの層が深筋膜です。一つ前の二の腕の断面図で白くなっていた部分のうち皮膚に近い部分では3層になっているのです。手や足の深筋膜は3層構造となっていますが、胴体の胸やお腹では1枚の膜になっています。このように深筋膜といっても場所によって構造が異なります。

水色の層が深筋膜同士の滑りに欠かせない潤滑剤の働きをします。ヒアルロン酸を多く含んでいます。筋膜同士が滑ることで筋肉の収縮ができるわけです。筋膜は滑るものという認識はとても大切なポイントです。

先に示した筋肉の図のように筋肉の数は膨大です。膜といえば分かりやすいですが、実際はそれぞれを包んでいる膜の構造も複雑です。深筋膜は、筋肉一つ一つを包んでいるものの、部位によっては構造が異なる上に、それぞれの膜同士も繋がっている箇所が多く、シンプルに構造を説明するのは困難です。ですから膜という一枚のペラっとしたものよりはfasciaの原義である帯・包むものの方がイメージに近いといえます。

解剖学上、存在していないことになっている筋連結

筋肉だけを示している人体図は、実は深筋膜がない状態の図なのです。あくまで筋肉本体をわかりやすく示しているにすぎません。

このように筋膜は実在はするものの、昔からある解剖学の教科書にはきちんと載っていないのです。筋肉と筋肉のつながりは、筋膜同士の繋がりです。その繋がり(筋連結)が明示どころか一切排除された筋肉だけの図が、皆さまが目にする筋肉図です。ですから、筋膜に関することは現時点では「医学的根拠がない」とされてしまうのは致し方ないことなのです。

これが筋膜が整形外科の世界で「シンデレラ」に例えられるような「新発見」とされる理由です。また、病院にいっても治らないとされる要因のひとつともいえるかもしれません。

「筋膜リリース」とは筋膜をどのようにすること?

筋膜についての説明がながくなりましたが、本題の筋膜リリースについてです。筋膜リリースとは筋膜を異常な状態から正常な状態に戻すための技術です。

リリースという言葉から「筋膜を解き放つ」「筋膜を離す」といった膜をはがすかのようなイメージをお持ちになるかもしれませんが、異常な状態にある筋膜を正常な状態に戻すために行うのが筋膜リリースです。

筋膜を整えるといっても、元の状態を確認できない

よれたり、ねじれたりしている状態にある筋膜を整えるという説明も多く目にしますが、冷静になって考えてみて下さい。

どうやって確認しますか?

すっきりした!楽になった!という感覚で「効いている」「筋膜リリースすごい」と思い込んでいませんか?

普通のストレッチやマッサージ方法が、筋膜リリースという冠がつくだけで、特別な方法・画期的な方法ということになってしまっています。

そもそも、よれたりねじれたりしているとされる筋膜の状態自体を確認できません。よくテレビなどで紹介されるエコーによる筋膜の状態の確認は厚くなっている・硬くなっているといったざっくりしたレベルです。解剖しない限り筋膜の正確な状態はわかりません。筋膜の状態を確認するためだけに皮膚を剥がすわけにもいきません。

つまり現実問題、元の状態もよくなった状態も確認することは不可能です。確認は不可能でも、楽にはなったことは実感はできてしまいます。でもそれは一般的なストレッチや体操でも同じことです。

結合組織である筋膜の構造とは

筋膜は人体において「結合組織」に分類されます。結合組織の主な役割は、体の構造を支持すること、組織間の隙間を埋めること。筋膜は、筋肉と筋肉の連結・筋肉と骨の連結といった結合の主役なのです。筋肉を包み込むだけでなく配置を維持するために必要であることはイメージできるのではないでしょうか。

筋膜はメッシュ状の構造なのでセーターのようなものによく例えられます。ですが、セーターのような衣類の生地のように綺麗な均一なメッシュ状ではなく以下のような構造になっています。

筋膜はコラーゲンとエラスチンが主成分

よくある筋膜リリースの解説で、綺麗な格子状が崩れる・捻れる、といった説明がなされますが、それはあくまで分かりやすさに特化したイメージにすぎません。

上記画像のように筋膜は、コラーゲン線維とエラスチン線維が複雑に絡み合った構造で線維芽細胞せんいがさいぼうという細胞があります。線維芽細胞はコラーゲンなどを生み出す細胞です。コラーゲンはタンパク質で弾力をもっています。エラスチンもタンパク質でこちらは伸縮性があります。線維間はヒアルロン酸をたっぷり含んだ水分です。ですので膜という名前からサランラップのようなイメージを持たれるかもしれませんが、むしろ水分をたっぷり含んだ薄いシート状のスポンジとお考えください。女性が美容のためにお使いになるシートマスクに近いといえます。

ここで女性の方はお気付きの方もいらっしゃるかもしれません。筋膜の構造自体は皮膚の下にある真皮に近いのです。

筋膜が正常でない状態とはどんな状態?

筋膜が異常である場合、以下の3つの状態にあります。

  1. 潤滑剤(ヒアルロン酸)の凝縮化による膜間の滑走性不良→いわゆる「癒着」
  2. 細胞外基質中における糖タンパク質の脱水(ゲル化)と線維(コラーゲンとエラスチン)の高密度化による膜の圧縮→筋膜が硬くなる
  3. 組織損傷や慢性炎症、「癒着」と「硬化」の慢性化による膜の変性→筋膜が別の組織に変化(線維化)

このうち筋膜リリースによって改善が期待できるのは「癒着」と「硬化」の2つです。硬くなった筋膜を柔らかくするのはイメージできることでしょう。一方、癒着ですが、“筋膜はがし”という言葉や“リリース”という言葉から一般の方が連想するのはおそらく癒着の改善でしょう。ですが、恐らくほとんどの方がベリべりっと剥がすイメージを抱いているはずです。それは大きな誤解なのです。筋膜は滑るものです。癒着の改善とは、筋膜の滑りを良くすること、とご理解ください。

なお、線維化して別の組織に変性してしまったものは基本的には元には戻りません。

まとめますと、以下の2つが筋膜リリースの主な目的になります。

筋膜リリースの目的

  • 潤滑剤を元に戻して膜同士の滑走性を取り戻す
  • 線維の高密度化と基質のゲル化を解消して膜の伸縮性・弾力性を取り戻す

これらを達成するのために「水分補給」と「温度を高める」必要があります。

潤滑剤を元に戻して膜同士の滑走性を取り戻すために温度を高めます。潤滑剤であるヒアルロン酸は温度が上がれば潤滑機能が高まります。お風呂上がりに体の柔軟性が増すのはこのためです。運動前に体をあたためる・ウォーミングアップの目的も同じです。

いくら筋膜の滑りをよくしても、膜自体が硬くなっていてはいけません。筋膜の柔軟性・弾力性を維持するためには水分が必要不可欠です。水分を補給するために、筋膜に水分を届ける血液の流れが重要です。血流を増すことが水分補給になるのです。血流が増すと体温は上昇します。

羽生結弦選手が筋筋膜性腰痛症でフィンランディア杯欠場!筋筋膜性腰痛は身近な腰痛です。

筋筋膜性腰痛きんきんまくせいようつうという言葉がニュースに出てきて驚きました。そのニュースとは男子フィギアスケートの羽生結弦選手が練習中に腰を痛めてフィンランディア杯を欠場するというものでした。

ソチ五輪の金メダリストである羽生選手は、先日の会見では「今季は全部勝ちたい!!」と強い意気込みを語っていただけに残念でなりません。私もプロ・アスリートのケアを行っておりますので、他人ごとに思えず、また、自分の専門分野のひとつですので記事を書いた次第でございます。

羽生選手を今季の初戦欠場にまで追いこんだ腰痛の名前が「筋筋膜性腰痛きんきんまくせいようつう症」。この腰痛は決してアスリートだけのものではなく、一般の方にもとても多い疾患です。いわゆる「ぎっくり腰」のひとつです。(ぎっくり腰は、急に腰を痛めた際の症状の総称ですので、ギックリ腰といっても、種類は様々です。)

筋筋膜性腰痛は実は身近な腰痛です。腰痛の種類と原因について解説します。

筋筋膜性きんきんまくせい腰痛は身近な腰痛です。そこで今回は「筋筋膜性腰痛になってしまったら、どうすればよいの?」という疑問にお答えします。

最初に筋筋膜という言葉ですが、これはずばり一般的な筋膜です。筋膜は、単語に筋とはいってはいますが、カラダの内臓をはじめあらゆる組織を包んでいます。その中でも筋肉を包んでいる筋膜が筋筋膜、英語ではmyofasciaといいます。

筋筋膜は、筋・筋膜と表記されることが多いのですが、肩こり ラボでは筋筋膜が正しいと考えています。筋筋膜は英語ではmyofasciaといいますが、これはmyo+fasciaで、myoは「筋肉の」、fasciaは「筋膜」です。つまり体全体に張り巡らされている筋膜という組織のうち筋肉を覆っているものはmyofasciaなのです。筋・筋膜は、筋肉と筋膜と解説されていることが多いのですが、筋膜は筋肉を構成する要素です。筋繊維を覆っているのは筋内膜という筋膜、筋繊維の束を覆っているのは筋周膜という筋膜、筋肉全体を覆っているのも筋膜(深筋膜・筋上膜ともいう)です。筋筋膜は、一般的な筋膜とお考え下さい。

慢性的な腰痛いわゆる「腰痛持ち」に心当たりがあるある方は是非ご一読ください。

腰痛は診断名がつくものとつかないものの2つに分類されます。

腰痛と一言でいいましても実際はいろいろな種類がございます。自分の腰痛は一体どんな腰痛なのか?腰痛は医療機関で診断名のつくかつかないかの2種類に大きく分けられます。

  1. 診断名がつく腰痛 特異的腰痛
  2. 診断名がつかない腰痛 非特異的腰痛

「特異的」というのは、これは特殊でレアなという意味ではなく、医療機関で診断がきちんとなされる腰痛です。肩こりでは症候性肩こりに相当します。

一方、非特異性腰痛は、原因がはっきりしない腰痛です。多くの人が悩む腰痛はこちらになります。一般的には、とりあえずの対症療法や「様子を見ましょう」という対応になります。肩こりでは本態性肩こりに相当します。つらい首・肩・腰の痛みに・・・効くとされる薬のCMを見ない日はないと思いますが、それだけ悩みを解決できない方がたくさんいらっしゃるということです。

医療機関で診断がなされるものが特異的というのは、それだけ治りにくい・治らない腰痛が多く、苦しんでいる方が非常に多いことを意味します。

ですから、諦めてしまう人も多いのです。

誤解のないよう繰り返し申し上げますが、非特異性腰痛は、医療機関において原因がはっきりしないとされる腰痛です。医療機関で原因がわからなくても、医学的に腰痛の原因は明確に3つあります。

原因がはっきりしている腰痛は3パターン

原因がはっきりしている腰痛は以下の3パターンに分けることができます。

腰痛を引き起こす原因

  1. 骨のトラブル 特異的腰痛
  2. 関節のトラブル 非特異的腰痛
  3. 筋肉のトラブル 非特異的腰痛

それぞれ詳しく解説します。

骨の問題による腰痛

骨の問題で起こる腰痛は、器質的な異常があることを指します。専門用語で分かりにくいですが、骨格の形態的異常があって、レントゲンやMRIなど画像検査として異常が見受けられるものです。代表的なものとしては、椎間板ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、変形性腰椎症などがあげられます。

関節の問題による腰痛

背骨は頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨1個(5個とカウントする場合もありますが、ここでは便宜上1つとさせていただきます)、尾骨1個(3~4個とカウントする場合もありますが、ここでは便宜上1つとさせていただきます)の計26個が連結してできています。骨が連結して、可動するという事はそこに関節が存在することになります。背骨は、上下の骨が2ヶ所で接しており、左右一対の椎間関節があります。仙骨と尾骨は通常の関節の構造となっていないことから便宜上ここでは関節ではないとカウントします。また、第1頚椎と頭蓋骨も関節の関係にあり、背骨には、(後頭骨を含めて)25個の骨×2つの関節=50個もの椎間関節が存在することになります。

この背骨の関節が、何らかのダメージを受けて傷めてしまうのを椎間関節性腰痛といいます。例えば、中腰で重い物を持った時、不用意にくしゃみをした時、予想外に足を踏み外してしまった時などに急激に椎間関節に力が加わり傷めてしまいます。誰もがご存知のぎっくり腰、それも身動きがとれないほどの重度のぎっくり腰は椎間関節を傷めてしまっているケースが多いのです。(ぎっくり腰は「突然生じる腰痛」の総称なため、その病態は様々あり、椎間関節性以外のものもあります) この関節の問題の場合は、残念ながらレントゲンなどでは分かりません。つまり、レントゲンを撮っても「異常無し」となり、鎮痛薬と湿布の処置となります。

ぎっくり腰が癖になるのには理由があります。

病院(整形外科)での典型的な処置の場合、3~7日間の安静で日常生活が可能となるため、この時点で治ったと解釈されます。しかし、注意が必要です。関節を傷めると、関節が動くのを守るために周囲の筋肉が不必要に緊張します。これを筋スパズムと言います。インナーマッスルなど関節運動に関わる筋肉がスパズム状態に陥ると、関節を正しく動くかすことができません。具体的には、背骨は一つ一つの骨がしなるように動くのが正常ですが、動きにムラが生じて本来動くべき所か動かず、動いてはいけない部分が動くようになってしまいます。結果的に、不自然な動きとなります。厄介なことに、この不自然さを感じるのは一流アスリートのような一部の方だけなのです。一般の方が不自然さを自覚されることは稀です。そのため、一定期間が経つと痛みはなくなりますが、正確には治ったわけではなく、その後時間が経ってから慢性腰痛に移行したり、繰り返し傷めてしまう可能性が高いのが特徴です。これがぎっくり腰が癖になってしまう原因です。

関節の問題による腰痛を解決するためには・・・

椎間関節性の腰痛を根治させるためには、急性例であれば一定期間の安静の後、日常生活が可能なレベルまで痛みが引いたら、その後は余分な筋スパズムを深部の筋肉までくまなく取り除き、さらに体幹のインナーマッスルを中心とした筋力トレーニングを行います。そして背骨の関節に負担のかからない動作改善の練習を行います。ここまで行うことで慢性化・再発のリスクを限りなく軽減させることができます。

筋肉の問題による腰痛  筋筋膜性腰痛症

筋筋膜性腰痛症は筋肉の問題による腰痛です。筋肉は構造上、筋膜というその名の通り膜状の組織に覆われています。実は筋膜には筋肉そのものよりも痛覚を感じるセンサーなど、神経が密に分布されており、それ故に重要な組織です。医学的な信憑性・効果はさておき「筋膜リリース」「筋膜はがし」「筋膜の癒着をはがす」などの手技療法が流行っているのはそのためです。 話を戻しますね。 筋肉や筋膜が傷んでしまう事、または筋スパズム状態に陥ってしまうことで痛みを生じるものを筋筋膜性腰痛といいます。

筋膜リリースとは?

筋膜性腰痛には2パターンあります。

筋膜性腰痛はその発症メカニズムから2つに分類できます。

①急性の場合

ぎっくり腰の一つといえます。椎間関節性腰痛の所と繰り返しになりますが、腰に何らかの負荷が急激にかかることで発症します。急性腰痛(=ぎっくり腰)の場合、関節にダメージがいった場合は椎間関節性腰痛へ。筋膜や筋肉にダメージがある場合は筋筋膜性腰痛と考えられます。「考えられる」というのは、これら2つは画像所見によって鑑別することができないため、発症の状況と症状の所見によって推測される、という域に留まるからです。もしレントゲン・CT・MRIなどによって異常が発見されるようであれば別の診断名がつくこととなります。それ故に「(レントゲンを撮って)骨に異常がありませんね。痛み止と湿布を出しておくので、1週間安静にして様子をみてください。」という事となります。・・・しかしそれでは根本的に治ったといえない場合が多いというのは上述させていただきました。(椎間関節性腰痛の項で解説しましたが、急性の筋筋膜性腰痛でも長期的には同様の経過をたどることとなります)

②慢性の場合

日本人の抱える自覚症状のうち最も多いのが(慢性)腰痛です。その最たるものが、この慢性の筋筋膜性腰痛です。 こちらは、上述しましたように、ぎっくり腰の激痛がおさまった後に移行してしまうパターンと、きっかけがあるなど特に思い当たる節はないけれども常に腰が重く感じていて疲労によって痛みの程度が上下するといったパターンがあります。

今回の羽生選手の場合は、何が根本が原因かは存じませんが、フィギュアスケートは前屈・後屈・捻転を正常の可動範囲を越えて動かすなど、とにかく腰を酷使するスポーツ。それを幼少期からハードな練習を行ってきたということから推測すると、腰には長年の負荷が蓄積されていたものと思われます。

筋筋膜性腰痛になってしまったら、まずは徹底的にスパズム状態にある筋肉を弛める必要があります。一時の鋭い痛みは安静によって改善しますが、ある一定まで落ち着くとそれ以上は変化が生じなくなります。ですから、筋スパズムをしっかりと取り除かなければなりません。どうすればよいかといいますと、残念ながら安静だけでは異常な筋緊張状態は全て解除することはできません。電気療法、温熱療法、超音波療法(厳密にはマッサージ効果を出す用い方もありますが便宜上ここでは温熱療法の一貫と解釈します)、ストレッチなどの方法が一般的ではありますが、実は筋スパズムをくまなく解除するにはこれらでは不十分です。マッサージか鍼にて異常を起こしている筋肉へ直接アプローチする方法がとても効果的です。手前味噌となりますが、鍼・マッサージは筋肉を弛めるという点においては最適な方法です。薬剤を使って筋弛緩を生じさせると筋肉の収縮力まで低下させてしまうため、筋の正常な機能を維持したままでの方法では最も優れているといえます。 筋肉を弛めるという点で大切なのはアウターマッスルとインナーマッスルの概念です。 つまり、マッサージではアウターマッスルしか弛めることができないため、インナーマッスルが硬くなって問題が生じている場合はどうしても効果が甘くなります。鍼はこのあたりの問題を解決可能です。(インナーマッスルは関節を安定させるためのものだから弛めたらいけないんじゃないの?一部の方は考えるかもしれませんが、弛める=収縮力を低下させるわけではありませんので、それよりもスパズムであったり、硬くなって収縮できない状況にある筋をある程度弛める事は、反対に収縮力を復活させることができると考えて施術にあたっております)

鍼やマッサージにて筋肉を弛めれば、直後の痛みは軽減可能です。しかしこの状態では、高確率で数日~数週間経つと元の状態に戻ってしまいます。 そのため、しっかりと筋肉を弛めて、個々の背骨がスムーズに動くことができる環境を整えたら、体幹と呼ばれる胴体部分の筋力トレーニングを行い、いわゆる「腹筋と背筋のバランスが悪い」状態を改善します。(当院の実際の施術では基本、同時並行で行います)これが体幹トレーニングです。

腰痛を改善する方法http://matome.naver.jp/odai/2141146523977583101/2141146686679253803から引用させていただきました

体幹トレーニングで注意しなければならいポイント

体幹を鍛えるために行う体幹トレーニングは、仰向けで状態をおこすいわゆる腹筋運動や体を反らせる背筋運動ではございません。これは非常に重要です。つまり、HOW TO本に記載されている体幹トレーニングメニューを行っても改善する可能性は低いのです。本に書いてある事は確かに概ね正しいのですが、決定的なエラーがあります。「記載されているポーズをとることができれば良い」ということではないのです。「体幹」というそのポージングを連想するくらいブームとなっておりますので、おそらく今これを読んでくださっている方もご想像できると思います。 つまり、腰痛改善のための筋力トレーニングは型にはまったものではなく、個々の体の状況、身体能力レベルに最適化させなければなりません。自己流で行うにも限界があるのも事実なので、本当にお困りの方はNATA-ATC 、 NSCA-CSCS、理学療法士のライセンスを持った専門家にご相談いただくのが良いかもしれません。

筋筋膜性腰痛を根本的に改善する上での最重要ポイント

さて、筋肉を弛めて、筋肉を鍛えて終わりではありません。

最後の仕上げが肝です。

それは、ズバリ「身体動作の改善」です。

歩き方・立ち方・座り方・重量物の持ち上げ方・・・アスリートであれば走り方・跳び方・競技のフォームなど、腰に負担をかけている行動パターンを修正します。

これらはトレーニングの延長ともいえますが、現状多くのトレーナーはトレーニングルームでのエクササイズメニューにこだわるあまり、生活背景や行動パターンへ介入できていない・できないことが多く、これでは「木をみて森をみず」となってしまいます。

惜しい所までいってるのに、あと一歩!で足踏みしてしまう人が非常に多いのです。行動パターンの修正、これが肝心要なのです。

筋筋膜性腰痛を改善するために必要な手順

長くなりましたのでまとめます。筋筋膜性腰痛は

  1. 背骨がひとつひとつ滑らかに動くような環境づくり。そのために深部の筋肉までしっかりと弛める。
  2. 腰にかかる負担を減らすための筋肉をつける。
  3. 腰に負担をかける動作を改善する。

この3つの手順を踏む必要があります。

注意しなければならないのは、冒頭でご説明しましたように腰痛には特異的なものも存在するということ。非特異的腰痛である筋筋膜性腰痛や椎間関節性腰痛は、レントゲンを撮影しても現れません。ですので詳しいことはよく分からないから、筋筋膜性腰痛でしょう、椎間関節性腰痛でしょう、と病院で診断されることがあります。しかし、心理面が関与していたり、本当に原因がわからない特殊な特異的腰痛が、まざっていることはあります。そのため、どんなに体のハード面を完璧にしても治らない例もありますし、反対にあれやこれや腰にたいする処置を一切やめたら気がついたら痛くなくなっていた、などというケースも実際にあります。

鍼灸・マッサージの効果の検討も、単純に平均への回帰だったのか、本当に効果があったかまだ決着がついていません。(効果がなかったという結論の文献も実際にあります)

ただし、鍼・マッサージは筋肉を弛めるという点においては特化しているとお考えください。鍼灸・マッサージのみで、筋筋膜性腰痛が根本的に改善することは困難です。しかし、根本的解決する上で有効な手段であることは間違いありません。

非特異的腰痛を根本的に改善するにはどこにいけば良いのでしょうか?

まず整形外科を受診いただきまして骨格の形態的異常、内臓疾患が無いかチェックを受けてください。これは必須です。以前、病院に行って異常無しと言われたとしても、その時から半年以上経っている場合は、再度受診してください。

病院での診察・検査で、特に目立った異常が見当たらない、もしくは筋筋膜性腰痛と診断をもらうことがファーストステップです。

腰痛というと、整形外科のリハビリに通う、もしくは、整形外科以外の施術所を選択する、の2択です。

他の施術所を選択する場合は、基本的に腰痛は肩コリの根本的改善のための選び方と同じです。念のために補足いたしますと、整体やカイロプラクティックで行われている骨格矯正術では筋筋膜性腰痛はよくなることはありません。

骨格の問題は整形外科にてチェック済みですし骨が筋肉を動かすのではく、筋肉が骨を動かすものだからです。ストレッチをすれば大まかに筋肉を弛めることができますが、細かく背骨一つ一つのインナーマッスルへのアプローチはできません。つまり、腰痛を根本的に改善する場合ストレッチだけでは不十分です。 パーソナルトレーニングは大切ですが筋トレだけでは腰痛は治らないということは上述させていただきました。

では、鍼灸・マッサージ院であれば良いかのというと、そうではありません。方針によります。

筋筋膜性腰痛は、筋肉の細かい分析と対処ができるか否かにかかっています。

筋筋膜性腰痛で肝となるのは、とにかく筋肉を細かく分析して対処することです。例えば代表的ないわゆる背筋は正式には脊柱起立筋といいまして棘筋・最長筋・腸肋筋に分かれ、さらにそれぞれが三つのパートに分かれます。そらを一つ一つ個別に対処する必要があり、さらにはインナーマッスルである多裂筋・腸腰筋・腰方形筋は単なるツボへの施術ではアプローチが難しく、特殊な技術が必要です。具体的には角度と深度をピンポイントでアプローチしなればなりません。これを可能にするのは経絡やツボの知識ではなく、三次元での筋肉の人体解剖学です。そのため、鍼灸・マッサージを希望する場合は西洋医学的な理論のもと施術を行う鍼灸院を選択いただけたらと思います。

ただし、特異的腰痛の場合は東洋医学的な鍼灸が有効である可能性があるため、西洋医学的な理学療法が絶対というわけではない、ということも心の隅に留めておいてください。

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。