疲れが肩こりを引き起こすかも?「疲れ」の主な原因とメカニズム

たったひとつの言葉に表現される「疲れ」も、原因とその結果から探っていくと内容はさまざまです。スポーツで汗をかいて楽しんだ後の心地よい疲れもあれば、理由もわからずだるさが続くというような心身ともに不快な疲れも。

また、原因不明の疲れが続く場合は、何らかの症状の前兆という可能性もあります。肩こりをはじめとする諸症状も疲れが要因のひとつとなることも珍しくありません。早い段階で疲れへと対処することで、より快適な生活を送れるかもしれません。

継続的な疲れから解放されるためにはまず、自分の疲れがどのようなものかを知る必要があります。もちろん、医療の専門家でもないのに勝手な自己診断はおすすめできませんが、おおまかな疲れの種類を知り、日常生活を振り返ることで見えてくるものもあるはずです。

 

 

「筋肉疲労」には充分な休息と栄養を

もっとも身近な疲労のひとつが「筋肉疲労」です。運動や肉体労働をした後に起こるもので、大概の方は経験があると思います。細かい繊維の集合体である筋肉は、動かすことで多少なりとも損傷します。また、筋肉を動かすことで体内のビタミン(特にビタミンB)やミネラルが消費されることも、疲れを感じる原因のひとつであると考えられています。体を動かした後は、栄養豊かな食事と充分な睡眠をとることが、筋肉の回復にとっては重要なのです。また、活動中には水分の補給や休憩を入れてリフレッシュするなど、疲労そのものを少なくする工夫にも留意したいところです。

また、姿勢が悪いと筋肉に不均衡な負担がかかり疲れや体のコリを誘発することがあります。最近では電車に乗るとほとんどの人が下を向いてスマホに見入っていますが、この悪習慣は姿勢だけでなく内臓にも負担をかけてしまいそうです。猫背にならず、意識的に背筋を延ばした姿勢で見ることを習慣にしたいものです。

ひと晩寝ても疲れが取れない、あるいは日に日に疲れが蓄積していくような場合は、運動や仕事の量や質が自分にとって適当なのか考えてみることも必要です。疲れだけでなくストレスも溜めてしまうとか、病気を誘発するきっかけになりこともありますので、たかが「疲れ」と軽んじないで自分の身体としっかり向き合いましょう。

 

 

避けることができない「ストレス」

21世紀の人類にとって「ストレス」は、あらゆる病気の原因のひとつにあげられるほど、なじみの深いものとなりました。人間関係や取り巻く環境など日常生活のごくささやかな不快感も、積もり積もればストレスとなって心身を攻撃してきます。ストレス耐性が弱い人は、こうした状況に打ち負かされ、強い疲労感に苛まれることもあるようです。

あくまで一例ですが、ある人は慢性的な首と肩のコリに悩まされていましたが、年に1、2回、会社の休みを利用して海外に出かけたときはその不快感から解放されていることに気づき、ストレスを発散することの大切さを実感したと言います。以来、自分が何に対してどう不快だと感じているのか、それまでは目をつぶっていたストレスの原因と向き合い、ひとつずつ克服していったのだそうです。その結果、少しずつではありますが、嫌なことがあってもそれを引きずらず、短時間で気分転換を図れるようになりました。それと同時に肩こりや疲れもあまり感じなくなってきたとか。

ストレス耐性を高めるのには、規則正しい生活と栄養バランスの整った食事も心掛けたいものです。特に、早起きをして朝の太陽光をたくさん浴びることで体内時計が活性化され、自律神経の訓練にもなると言われています。自律神経を鍛えると体内のオンとオフのスイッチの切り替えがよりスムーズにできるようになり、ストレスに負けない体を作ることにつながります。

 

 

「目の疲れ」から誘発される肩や首のコリ

ストレスと並んで、健康な生活のためにさよならしたいのが「目の疲れ」。そもそも紫外線の影響を受けやすく、日々のケアが必要な目ですが、PCやスマホ、タブレットなどの使用頻度が高くなるにつれ、ブルーライトの存在もクローズアップされてきました。

デジタル機器の液晶画面から発せられるブルーライト(太陽光線中にも存在する)の影についてはさまざまな報告がありますが、実際のところ、ブルーライトと疾病リスクの関連についてはデータの蓄積期間が短いこともあって明確な研究報告はなく、人間の眼の組織や視力にどれほどの影響を与えるかについてはまだよくわかっていない、というのが実情のようです。

しかし、長時間液晶画面を見続けた場合、瞬きの回数が半分から3分の1ほどに減ってしまうという報告もあり、これによりかすみ目やドライアイ、目の疲れが起こることは間違いないようです。物が見えにくくなるとよく見ようと眼の筋肉を酷使することになりますので、目の疲れから首や肩へと疲れが溜まっていく悪循環が生まれてしまいます。少しでも軽減するために、以下のようなことを習慣にするとよいと言われています。

・液晶画面をブルーライトカットのフィルターやフィルムで覆う

 

・一定時間、画面から離れて目を休める

・こまめにドライアイ用の点眼液をさす

・画面や部屋の照明器具の明るさを調整する

また、就寝前に液晶画面を長時間見続けると、寝つきや目覚めが悪くなるなど体内時計への悪影響があるという研究結果が、ハーバード大学(米)の研究チームから報告されています。眠りの質は疲れを翌日に持ち越さないために重要なもの。就寝前にはできるだけ液晶画面を見ることを控える、それが無理な場合はブルーライトカットのフィルターやメガネを使用するなどして睡眠の質を守りたいものです。

デジタル機器の使用に関しては、長時間同じ姿勢を続けがちなことから首や肩のコリ、腰痛などの一因となっていることも否めません。とはいえPCやスマホのない生活なんてもはや考えられない現代の生活。こまめに首や肩を回す、ストレッチをするなど血行を良くする工夫を忘れないこと。また、デスクや椅子の高さ、ディスプレイの位置などを調整してよい姿勢を保つことを心がけましょう。

 

 

疲れの原因を知ってベストな身体のケアを

筋肉疲労、ストレス、目の酷使と疲れの原因を紹介しましたが、疲れにはほかにもさまざまな原因とメカニズムがあることがわかっています。明確に疲れを意識することができ、生活習慣のなかで取り除く工夫ができるのはラッキーで、なかには「なんとなく体がだるい」、「気力がおきない」などの不調を、疲れとは意識できないまま放置するケースも少なくありません。疲れは病気のサインとして現われる場合もあり要注意です。うつ病などの心の疾病や更年期障害による自律神経の乱れ、糖尿病や肝臓などの内臓疾患などが隠れている場合もありますので、異常な疲れだと感じたら、迷わず病院に行くことをおすすめします。

 

 

まとめ

現代人が抱える疲れはさまざまです。まずは自分の疲れはどこからきているのか、向き合うことからケアが始まるとも言えます。

いちど自分の生活を振り返ってみましょう。夜更かししていませんか? 睡眠不足に陥っていませんか? 偏った食事や無理なダイエットで栄養不良になっていませんか?

疲れは、体のヘルプのサインでもあります。自分の体としっかり向き合い、その傾向を知ることは大切なこと。そのうえで、年代に応じたケアをすることが必要なのです。何かが足りないと感じたら、専門家に相談し自分に合った身体のケアを見つけたいものです。

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。