肩こりの現状

画像を厚生労働省ホームページから引用させていただきました

 

厚労省が行っている国民生活基礎調査によると、肩こりは、日本人が抱える自覚症状のうち腰痛に続いて上位にある症状です。

有訴者率(人口千対)の最も高い症状を性別にみると、男性は「腰痛」、女性は「肩こり」となっており、男女あわせて一位が腰痛で、二位が肩こりという状態が、何年も続いています。

厚労省のサイトで、閲覧することができる過去の国民生活基礎調査をみる限り、少なくとも、平成10年以降、20年間以上、肩こりが日本人の抱える自覚症状の上位3位以内にあるということがわかります。

 

そして、2020年はコロナ禍の影響により、多くの方が急遽テレワークをせざるを得なくなりました。

世の中の流れとして、コロナ禍以前から、東京オリンピック開催に向けてテレワークを推奨するながれになっていたとはいえ、コロナ禍をきっかけに、十分な準備が整わないまま、デスクワークに適した環境が整っていないなか、テレワークにて長時間のPC作業をすることになってしまったという方は少なくでしょう。

 

PC作業自体、首や肩に負担がかかりやすいのですが、適していない環境で作業をすることで今まで以上に負担がかかってしまいます。

加えて、在宅勤務となると外出する機会が極端に減ってしまい、運動不足にも拍車がかかってしまいます。活動量の低下や運動不足が続くことで、筋力低下や体重増加、そして肩こりや首こりにお悩みの方が増えてしまっているように感じます。

あくまで日々の治療を通して感じる体感的なものとなりますが、病気ではないけれど、良い状態ではないという方が増えているように思えます。

 

冒頭でお話したように長年にわたって日本人の多くが自覚症状として抱えている肩こりですが、「肩こり」という言葉や現象自体は知っていても、医学的に、具体的にどのような状態なのか、何をもって肩こりとするのか、ということを理解しているという方はそう多くはないのではないでしょうか。

 

「肩こりは首や肩まわりの血行が悪くなっているんでしょ?」という声が聞こえてきそうですが、残念ながら血行が悪くなっているだけではありません。特に慢性的な場合は。

血行が悪いのが原因ならば、入浴して血行が良くなれば改善するはずです。しかし慢性的な肩こりの場合は、入浴したり温めても改善されない、温めている最中だけ緩和するがその時だけ、ということが少なくありません。この場合、血行をよくしても改善されないわけですから、血行が悪いことだけが原因ではないのです。

一方で、「肩こりの原因は筋膜。筋膜が癒着しているんでしょ?」という声も聞こえてきそうです。これも間違いではありませんが、正解ではありません。ハイドロリリースという、エコーで目視しながら生理食塩水で、癒着している筋膜を物理的に剥がす施術がありますが、これを行っても肩こりが解消されない、あるいはすぐに再びつらくなってしまうという方もいらっしゃいます。

 

もちろん血行改善すれば肩こりが緩和する方、ハイドロリリースで肩こりが改善したという方は一定数いるでしょう。ですが、これらを行っても改善しないという方も一定数いるのです。

たしかに、血行不良や筋膜の癒着によって肩こりの症状がでることがありますので、それぞれは一つの原因として間違ってはいません。たいせつなのは、原因はひとつではないということです。

こう考えることで「なぜ自分は施術を受けているのに肩こりが改善しないのか」ということも腑に落ちてきませんか?

そうです。治療を受けているのに改善しない理由は、あなたの肩こりの原因に対して適切が対処が行われていないからです。

 

世の中には、肩こりにまつわる様々な情報がありますが、ある一部分を切り取って言及しているパターンが多いように感じます。

当記事では、肩こりとはいったい何なのか?何がどうなっているのか?ということを、現代医学的な理論に則り解説します。「肩こりとは  まとめ 」のような形にしていきますので、ご一読いただけましたら幸いです。

 

——  [ 肩こりの定義 ] に続く——

 

【参考】

厚生労働省ホームページ

 

 

肩こりラボは、真面目に、世の中から肩こりでお悩みの方を無くしたいと考え、日々活動しています。

 

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。