肩こりは日本人特有の症状である!という説の真偽の検証

夏目漱石と肩こり

解剖学・運動学をふまえた上での正しい姿勢とは?

解剖学・運動学をふまえたうえでの正しい姿勢というのは、人間の本来あるべき正しい体の構造を理解した上での姿勢を意味します。

背すじを伸ばすことが良い姿勢ではございません。

頭・首・背中・腰・骨盤には、それぞれ適切な位置があります。もちろん相互関係にありますから、それぞれが最適な位置にある状態、これが解剖学・運動学をふまえた上での良い姿勢です。良い姿勢とは、首や肩に負担のかけない姿勢です。具体的には次の図のような姿勢になります。

人体の構造を踏まえた正しい姿勢

ポイントは、図の青い丸が一直線であることです。

この線を「重心線」と言います。スポーツジムなどでは「体軸」という言葉が用いられます。

解剖学的・運動学的に正しい姿勢とは、重心線が一直線になっている姿勢です。詳しく解説しますと、この図のように横から見た時に、乳様突起(耳の後ろのでっぱり)、肩峰(肩関節の先端)、大転子(股関節の外側のでっぱり)、膝蓋骨の後方(膝のお皿の裏側)、外果の前方(外くるぶしの数センチ前)が一直線上に存在する状態なのです。

正しい姿勢とは、背すじがピンと伸びているかどうかは無関係です!!

「体を一直線に」「胸をはった」など一言で表すことが、わかりやすくて大衆受けしやすいのですが、実際の所、身体はとても複雑です。「体幹」という言葉を耳にする機会は多いと思いますが、それひとつにおきましても非常に多くのパーツから構成されており、それらが適切な位置にあって、適切に可動しなければならない所と動いてほしくない所がある、というようにとても複雑です。

セラピストの視点から見ると、姿勢ひとつにしても「一直線に伸びた方が良い」「胸をはった方が良い」などと簡略化して万人に標準化することは難しいということですね。

肩こりを治したいと思っている方へ、通われている治療院やお店の説明を鵜呑みにせず、色々質問してみましょう。

首肩のこり、腰痛に限らず病気は、医師や施術をする人が治すものではなく、患者さんと一緒に治していくものです。お金を払うから、とにかくさっさと治してちょうだい、という姿勢ではなく、患者さんご自身の治したいという意志・気持ちが必要です。病は気からというように、治すという強い意識は何よりも大切です。

言われるがままではなく、効果が感じられない、このまま通い続けることに疑問があれば、質問しましょう。

歪みが諸悪の根源説に対して疑問を持ってください。

体の歪みを治せば、何もかもよくなる、と説明するような整体に通われている方は「体の内臓って左右対称じゃないですけど?」と質問してみましょう。

手や足の大きさ、指の太さ、目の位置、鼻の高さ、みんな人それぞれ違います。まったく同じ人なんて存在しません。事故で手足を失ってしまった人は、一生原因不明の病や症状で悩まれるのでしょうか?

そんなことはありませんよね。

肩こりは日本人だけがなると説明されたら・・・

ここまでお読み頂けた方はお分かりのとおり、肩こりは日本人だけがなる特有の症状ではございません。正しくいうなれば日本の古くからの風習、昔からの生活スタイルは首や肩に負担をかけやすいものが多いということでしょう。

ですので、質問するまでもないので、他の治療院をお探しください。

「外国人は肩がこらないです」「海外には肩こりという言葉はありませんよ」というのは、初めて聞いたら「そうなんだ!!」と普通は思ってしまいます。このような説明を当たり前のように行っているところは、残念ながら少なくないようです。

このブログ記事の内容を納得され知識として身につけられた方は、是非、今後の治療院での質問や判断基準としてご活用ください。

 

 

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。