日常的に肩こりにお悩みの方に考えてほしいことの1つが、日々の生活の見直しです。肩こりは他の重要疾患が原因の場合を除けば、生活習慣に起因しているものが非常に多くなっています。
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しかし生活習慣をいきなりがらっと変えるのはなかなか難しいし、長続きしないことが多い方が多いのも事実です。そこで試してほしいのが、必ず毎日行う習慣といえる食事のちょっとした見直しです。大きく変えずとも、ほんの少しの変更でじんわり効果を期待できるかもしれません。また無理のない範囲であれば長続きしやすい可能性もあるでしょう。
今回は、肩こりにお悩みの方のために、日々の食事を見直すための基礎知識や見直しのヒントをお届けしたいと思います。
食事は毎日の生活習慣
まず心掛けたいのはできる限り決まった時間に食事を摂るようにして生活のリズムを整えること。できるだけ決まった時間に1日3回、朝・昼・晩の食事を欠かさないようにしましょう。
あわせて食事の内容を見直しましょう。必要な栄養素が足らなかったり、逆に摂り過ぎたりしていませんか?
人間は体の中で合成できない栄養素が沢山あります。それらは食事で体内に取り入れるほかありません。また摂りすぎるとかえって良くないものもあります。バランスの良い摂取こそが、健康への第1歩なのです。厚生労働省では、望ましい食生活の指針となる「食事バランスガイド」を公表していますから、気になる方は調べてみるとよいでしょう。
参考ページ:「食事バランスガイド」について|厚生労働省
以下は代表的な栄養素の中から、いくつかピックアップして説明していきましょう。
◎ビタミンB1
糖質をエネルギーに変える栄養素です。脳や神経の働きを正常に保つために欠かせませんが、疲労物質の分解にも関わってくるので肌肉をときほぐし肩こりを防いでくれます。豚肉、大豆、うなぎ、玄米、ブリ、タイ、マイタケなどに多く含まれているのですが、水溶性で熱にも弱いので手早く調理しましょう。アリシンが吸収を助けるのでニンニクやネギなどの香味野菜と一緒に食べると効果的です。
◎ビタミンB12
葉酸と共に赤血球の製造に関係しているので、酸素を体中に運んでくれます。また神経の働きを活発にする効果もあるのでやはり肩こり解消のためには意識して取りたい栄養素といえるでしょう。レバー、アサリやシジミなどの貝類、サンマやイワシなどの魚類に多い栄養素です。植物性食品にはほとんど含まれていないのでビーガンの方はサプリメントなどで補給してください。
◎ビタミンC
ストレスへの抵抗度を高めることで筋肉の緊張をやわらげて、肩こりを防ぐ効果が期待できます。多く含まれる食材はかぼちゃ、アーモンド、うなぎ、アボカド、植物油など。水溶性で熱に弱いので水へのさらし過ぎや加熱のし過ぎに注意して調理しましょう。
◎ビタミンE
血管拡大に効果があるので、血行を良くして筋肉へ血液をいきわたらせることで肩こり防止につながります。この成分を多く含む食品はカボチャ、アーモンド、うなぎ、アボカド、植物油など。脂溶性なので吸収率を高めるには揚げ物や炒め物が調理法としては適しているでしょう。
◎マグネシウム
筋肉の緊張をほぐす働きを持っています。この成分が多いのは昆布やわかめなどの海藻類、豆腐や納豆などの大豆加工食品、アーモンドなどのナッツ類などの食品。ただしリンが含まれる食品と一緒に摂ると吸収が阻害されることがあるので気を付けてください。
◎クエン酸
激しい運動をした時などに溜まる疲労物質の乳酸を分解します。梅干し、イチゴ、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類、などに多く含まれている栄養素で、摂取されにくいカルシウムや鉄はクエン酸と一緒に摂ると吸収率が高くなります。このような栄養素を含む食物を摂れば必ず肩こりが解消すると言い切ることは出来ません。しかし、栄養素と健康に関係があることには科学的なエビデンスがあることは既に実証されています。肩こりもしかりといえるでしょう。
コンビニやスーパーで手軽に調達
バランスが良い食生活が大切だということを理解してはいても、なかなか実現は難しいかもしれません。忙しいので料理にかける時間がない、また朝は1分でも長く眠っていたいという方もいらっしゃると思います。そこでお勧めなのが手軽に手に入り価格もリーズナブルなコンビニエンスストアで購入できるメニューです。
コンビニやスーパー利用のメリット
なんといってもコンビニやスーパーを利用すれば調理の手間も省くことができるのも魅力といえるでしょう。また調理をしないので、食材の無駄も出にくいです。
他にも値段の手頃さもあります。コンビニでは大抵のメニューを数百円で気軽に購入できます。もちろん自炊に比べれば高くつくというケースもあるでしょうが、手軽さに比べてその金額を払うメリットがあるなら問題ないかと思います。
メニューを選ぶポイント
コンビニやスーパーで調理済みの食品を選ぶ場合、健康を意識するためには、必要な栄養素は何か、そしてそれらが含まれる食材はどういうものかを把握しておかなければなりません。ちょっと面倒に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、インターネットの検索ページを利用すればそれらの知識は簡単に手に入れることができます。スーパーやコンビニでは食品表示を確認していつも持ち歩くスマホでその成分を検索すれば、すぐに食品を選ぶことが可能です。もしくは様々なサイトで健康を意識したメニュー選びについても紹介されています。
例えば豚汁。豚肉にはビタミンB1、B6が豊富に含まれています。これらは糖質やタンパク質をエネルギーに変える時に使われる栄養素です。血流を良くして筋肉をほぐすので肩こり防止にはもってこいといえるでしょう。またアーモンドは先ほど述べたようにビタミンEが多い食品です。梅干しにはクエン酸が含まれています。そのままでも梅干し入りのおにぎりでもいいでしょう。
コンビニやスーパーに限らず、地域によって様々な選択肢があると思います。身近で気軽に購入できるお気に入りの健康志向メニューを探してみるのもおすすめです。
食事とあわせて考えたい肩こり予防のヒント
肩こりは、血行不良や筋肉疲労などが原因で発生します。肩こりになると頭痛や吐き気などを感じることもあり、場合によっては仕事や家事など日常生活に影響します。まずは肩こりにならないため、悪化させないために肩こりを予防することが大切です。
さまざまな予防方法があり、主なものは以下の5つになるでしょう。
- 適度な運動や体操で体を動かす
- 長い時間同じ姿勢はやめる
- 入浴などで体を温める
- リラックスする
- 肩を温め血行をよくする
もし日常の中で色々と試しても肩こりの発症を防げない場合、もしくは改善しない場合は、思ってもいないことが原因になっている可能性があります。早めに専門家へ相談することが改善の近道となるでしょう。
まとめ
今回は、肩こりにお悩みの方のために、毎日の食事を見直すための基礎知識や見直しのヒントをお届けしました。食事で摂取する栄養素というのは、私たちの身体を作るもとになっています。食事を適切に見直せば、肩こりだけでなく、健康全般の改善にもつながるかもしれません。
執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。