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鴻崎国臣について

私が、肩こりラボでセラピストを目指したいきさつ

私はスポーツが大好きです。

本気でスポーツに打ち込んでいましたが、スポーツには怪我はつきもの。怪我をする度に、整形外科、整骨院などへ頻繁に通っておりました。

なぜ、頻繁に通わないといけなかったのか?

それは、どこへ行っても湿布、痛み止め、電気治療などマニュアル化された処置と対症療法に過ぎず、その時痛みは和らいだとしても同じような痛みを何度も繰り返しだったためです。

怪我が根治しないため、怪我を繰り返し負のサイクルから抜け出すことはできず、引退することになりました。
この悔しさは一生忘れることはないでしょう。そして、この悔しい経験をしてほしくない、という思いを、私自身が味わった悔しさ以上に強く持っています。

私は「治るかわからない、とりあえず試そう。」という世間一般の施術、治療に異を唱えます。

とりあえずの治療・施術は、惰性でしかなく、そのような施術を続けることで「治りにくい体」を作り上げてしまいます。

これは患者さんにとって、たまたま上手くいくことはあるかもしれませんが、デメリットでしかない場合がほとんどです。

本当に患者さんにとってのメリットを追求した治療には、原因を見極める「眼」と患者さん個々に適した「施術プラン」が必須です。いくら技術力があっても原因が分からなければ活かすことはできません。

肩こりや首こりの根本的な原因は、必ずしも首や肩にあるわけではありません。そして、とても複雑です。つらい部分である局所には筋肉一つ一つ、筋線維一本一本に着目する細かい視点を、一方、体は全身で一つの単位であるということを念頭に置き、教科書的ではなく患者さんの生活背景も考える幅広い視野を持ってトータル的な治療を行っています。

私事となりますが、私自身も頭痛で寝込んでしまうほどの猛烈な首こりに長年悩んでいました。

頭痛薬が手放せなく、良くないとわかっていながらも毎日飲まなくてはいられない状態からずっと抜け出すことができませんでした。また姿勢が悪い事から腰痛にも悩まされていました。それこそマッサージを受けても楽なのはその時のみというのを経験してきており、私も治るということを諦めていた一人でした。

まだ若いのに・・・と驚かれるのですが、本当の話です。

しかし、国家資格を取得し、研鑽を積み、肩こりラボの「凝っても元に戻る体造り」プログラムを実践したところ、いつの間にか症状が出現することがなくなりました。

体造りを始めることで、怪我でリタイヤせざるを得なかったスポーツ活動も再開することができ、「自己実現」の選択肢も広がりました。症状をなくすことでもっと色々なことにチャレンジできるということを、身をもって体験しました。教科書に書いてあることをそのまま行うのではなく、自分自身で試して結果が出た治療、納得できた治療だからこそ患者さんにご提供できるものと考えております。

痛みやコリによる辛さは当事者にしかわかりません。肉体的な辛さだけでなく精神的な辛さは、なかなか理解されません。

一人でも多くの患者さんを救うということ。患者さんを治すということが使命であるということ。そして、患者さんは私共に希望を持っていらしてくださるという気持ちを常にもち、いかなる時も親身に考え、治療を行わせていただきます。

 

 

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執筆者:鴻崎 国臣
Kuniomi Kouzaki

早稲田速記医療福祉専門学校 鍼灸医療科卒業
東京女子医科大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
ハワイ大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師
ストレッチナビ公認ストレッチ専門家コラムニスト

私は小学生のころから肩こり、首こり、頭痛に悩まされてました。
患者さんの症状と似ているので、辛さがとてもよくわかります。
自分自身が辛かったからこそ、「早く治したい」と思いますし、治療で何が必要かも身をもって体感しております。
「予防のための運動、姿勢改善」をして、カラダを変えていきましょう。


首こりと自律神経失調症・精神的不調との関係性・・・「首こり」が「肩こり」よりもツラい理由

はじめに
当記事は「首こり」が、うつ病・パニック障害・不眠などの原因であると決めつける内容ではございません。

頚性神経筋症候群・首こり病、首のこりを治せば、うつ病やパニック障害などの精神疾患や自律神経失調症が治ってしまうと謳っている東洋医学系の治療院が多数ございますが、ありえません!!

現代医学的に対症療法とならざるを得なくなっている症状が本当に治るならば、治ったという方が増えるはずです。

社会問題にもなりません。

原因がよくわからない不定愁訴は様々な原因が複雑に絡みあって生じます。原因がひとつであればよいのですが、残念ながら、そうではないのです。

自律神経の乱れや体調不良で心底お悩みで藁をもつかむ思いで、いまこのページをご覧の方には大変申し訳ないのですが、原因のよくわからない症状は「〇〇を治したら治る」という単純な図式では解決できないのです。「原因は○○だった!!○○を治せば・・・」というのは、ただのキャッチコピーです。

とにかく何をしても上手く行かない、何とかしたい、と強く思われる方は「答え」が欲しいはずです。

現代医学(西洋医学)的検査には出ない数々の不定愁訴のうち、おそらくもっとも多いであろう症状は「首のこり」です。

肩こりラボは、あくまで首の「こり」のための鍼灸院です。具体的には、首のこりの症状の緩和(対症療法)と「こり」を引き起こしているフィジカルの問題の解決(原因療法)を組み合わせた根本的な改善を行っています。

「首こり」が治れば何もかもよくなるわけではありません。少なくともフィジカルの問題のひとつは解決するわけですから、それに付随する悩み自体はなくなるでしょう。

この点をご留意の上、お読みください。

首こりには単純な首こりと慢性化した酷い首こりがあります。

首こりと一言で片付けることはできません。首すじのこりを何とかしたく、何をしても上手くいかない場合、まず、あなたの首こりはどんな首こりなのかを把握しましょう。

首こりは2つ種類があります

首こりを自覚されている方は、まず、あなたが悩まされている首のこりは、ただの首周辺の筋肉の一時的なこりなのか、それとも、慢性化してしまっている状態にあるのか、を知る必要があります。

あなたの首こりの状態をチェック

  • 連休で体を休めても、いつもより多く睡眠をとっても一向に疲れが抜けないし首・肩の具合が回復しない・・・
  • 体を休めようとしても緊張が抜けずに休まらない・・・
  • 頭痛がする・・・
  • 胃腸の調子が悪い・・・
  • 良くないとわかっていてもイライラしてしまう・・・

もし、このような状況が全てあてはまるようであれば、単純な首こりではなく、慢性化し全身症状へと波及してしまっている可能性があります。

普通の首こりであれば、首の筋肉の疲労・筋肉痛なので時間がたてば元に戻ります。慢性化した首こりは、時間がたっても元に戻らない・もしくはすぐに凝ってしまいます。

慢性化というのは自力でどうしようもならなくなってしまっている状態です。

首こりと自律神経の不調の関係性 http://irorio.jp/asteroid-b-612/20120710/17707/から引用させていただきました

悩ましい首こり・・・なぜ首が凝るのでしょうか?

一般的に肩こり・首こりの原因は筋疲労や血流、姿勢、骨格のゆがみ等とされています。

実際は、そんな単純ではありません。

首こりを引き起こすメカニズムは非常に複雑です。

まず、肩こり・首こりの原因は大きく3つあります。

 

原因① 解剖学的な問題
筋肉バランス、骨格、姿勢、動きなど主に体の構造面
原因② 神経生理学的な問題
自律神経、運動神経(脳と筋肉の命令系統)など主に体の機能面
原因③ 心理学的な問題
ストレスやメンタルバランスなど主に精神面

どの要素からスタートとなるか、どの要素が主な原因となるかは個人によって違いがあるのですが、いずれにしてもこの三つが複雑に絡み合って慢性的な症状が出現します。

例1・解剖学的な問題からスタートする場合

長時間のデスクワーク・不良姿勢などで首肩の筋肉が疲労する → 凝りが神経を圧迫して頭痛を招く→つらさや痛み、凝りが自律神経を乱す(交感神経優位となる) → 全身の緊張が高まりリラックスできなくなる → 体を休めようとしても休まらなくなる → 体だけでなく精神も休まらなくなる → いくら施術をうけてもすぐに元通り・・・

例2・神経生理学的な問題からスタートする場合

天気や気圧など環境の変化で体調が悪くなりやすい → 自律神経が乱れやすい → 交感神経が優位になる → 心身共に緊張しやすい、イライラしてしまう、偏頭痛になりやすい、胃腸の調子が慢性的に良くない → 苦痛から体の硬直を招き、不良姿勢となる → 首こりとなる → 筋肉の緊張や痛み・こりがさらに自律神経のバランスを乱し状態を悪化させる・・・

例3・心理学的な問題からスタートする場合

仕事や日常生活など心理的にストレスがかかる状況 → 交感神経が活発に働き続ける → 自律神経が乱れる → 首から背中にかけて交感神経幹が存在するため、筋緊張が高まり血流も悪くなる →  凝り感や痛みの出現 → 痛み・凝り・不快感によって良い姿勢がとれない → 胃腸など内臓の調子も良くない → まとわりつく不快な症状がさらにストレスとなる、常につらい状態で対症療法をしてもすぐに元通りとなるためそれもストレスに・・・

体のハード面の問題が精神や自律神経というソフト面に悪影響を及ぼし、それが元でさらにハード面の不調を生んでしまうというサイクル

首のこり・首の痛みなど慢性的な不快感は、それを伝える神経回路の性質上、感情に影響を及ぼします。これは情緒不安定でいう情緒に悪影響といった方がわかりやすいかもしれません。精神状態を悪化させ、自律神経を乱すことにつながります。

情動と慢性疼痛 http://www.carenet.com/report/series/orthopae/pain_practice/14.htmlから引用させていただきました

「肩こり・首こり」という体のハード面の問題が慢性化することで、精神や自律神経というソフト面に影響を及ぼし、再び筋肉・血流・内臓というハード面の不調を生む事となります。

慢性的な痛み・苦痛は情動(感情・情緒)に影響します。あまりイメージがわかないかもしれませんが、慢性疼痛を心療内科で診ることは珍しくありません。肩こり・首こりが心療内科の範疇として扱われ、デパスなどの抗不安薬が心理的要素や自律神経の影響が深く絡んでいるためです。

このように、上記原因①~③の三つのどれからスタートするかは個人差がありますが、いずれもマイナスに作用しあって負のサイクルを形成してしまいます。

軽症の方は疲れたなと思った時に温めたり軽く揉んだりすればすぐ良くなりますが、重症の方・慢性化してしまっている方は一時しのぎにしかならないことでしょう。軽症の方は原因①の解剖学的な問題の場合であり、後者は三つの原因が強く絡みあってしまっています。つまり、負のサイクルが生じてしまっているか、否かの違いです。

この負のサイクルが形成されてしまっているからこそ、「いくら対処を行っても一向に前に進まないだけでなく、年々悪化していく」状態となってしまうのです。

当院では、原因の特定できない様々な不調(不定愁訴)を安易にストレスのせいにすることは禁じております。

現実問題、心身相関という言葉があるように人間である以上「精神」「自律神経」「解剖学的要素」は密接に関係しています。

単純に骨格のゆがみや姿勢・部分的な血流といった解剖学的要素だけでなく体を総合的にとらえて対処しなければなりません。

肩こり・首こりは直近で生命の危機が及ぶことがない故に軽視されがちです。世の中では軽視されてるとはいえ慢性化し負のサイクルが出来上がってしまっている方の生活はとてもつらく、そのつらさからの解放の一つの手段としてフィジカル面の改善を当院では行なっています。

ネット上の情報には「首こりを治せばうつ病やパニック障害が治る!!」とありますが、冒頭でも申し上げたようにありえません。

確かに精神疾患をお持ちの方は首こりを自覚されていらっしゃる場合が多いです。

一方、首こりがつらくて精神面に影響が出てしまうこともあります。

結果、治ってしまったという方はいらっしゃるかもしれませんが、それはあくまで患者さんの捉え方であり、患者さんご自身によって克服した結果です。

私たち施術者側が、首のこりを治せばうつ病・不眠症・パニック障害などが治るというのは医学的に間違っていますし、論理的におかしいのです。

ただ、患者さんに希望を持たせるために言っている可能性もあります。それによって勇気付けられた・元気になったというケースもあるので一概に否定はできないのも事実です。

ですが、それで結局治らなかった場合は残酷です。

精神疾患をお持ちの方にとって首こりはあくまで症状のひとつにすぎないので、首こりを治したら病が治るというのは根拠もありませんし、あまりにも軽率すぎます。

このような無責任で軽率な宣伝広告は、精神疾患に苦しみ、藁にもすがる思いの患者さんに対して失礼極まりない事です。

そのため、当記事ではあえて「精神的不調」という表現をさせていただいております。

原因と結果、病気の本質と症状などを混同せず、きちんと整理する必要があるはずです。

肩こりより首こりの方ががつらいのには理由があります。

肩こりの専門家とされる整形外科医は、肩こりは首こりである、としますが、その違いに言及することは稀でしょう。たしかに肩こりの原因の多くは首の筋肉です。ですので、肩こりと首こりは、よく混同されますが決定的な違いがございます。首こりと肩こりの違いは神経症状の程度の差にあります。

特に首こり・首周囲の痛みを自覚されていらっしゃる方は、自律神経失調症も併発しやすい傾向にあります。反対に、自律神経失調症の方は首こりも自覚している場合が多いです。

これは当院での理学療法の経験からくる理論だけではなく、100年以上の歴史があるイギリスのJRSM(Journal of the Royal Society of Medicine)という医学雑誌にも、首の痛みと自律神経失調症の関係性を示した文献[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9771493]が掲載されておりました。

論文引用 上記文献より引用させていただきました

(当文献はアンケート調査としては対照群数が少なく、被験者の主観をまとめたものであり、メタ分析されたエビデンスレベルの高いものではありませんがひとつの根拠として示させていただきます。)

首と自律神経の深い関係を示す3つの根拠

根拠その1

解剖学上、首と自律神経は密接な関係にあります。頚部には交感神経の重要な中継地点である上・中・星状神経節や、副交感神経である迷走神経が狭いエリアに存在しています。 首の筋肉が硬くなること(首こり)で二つの自律神経に物理的負荷や血流障害が起こり、正常な機能を全うできなくなり自律神経失調症の症状が出てしまうことが考えられます。

星状神経節・自律神経 http://www.anatomy.med.keio.ac.jp/funatoka/anatomy/Rauber-Kopsch/2-57.htmlから引用させていただきました

根拠その2

頭部の感覚を担う大後頭神経・大耳介神経・小耳介神経は頚椎から出て、首の筋肉の間を貫き上部へ走行します。首の筋肉が硬くなり、これらの神経を圧迫することにより、後頭部や側頭部の頭痛を招くこととなります。

大後頭神経 http://shibukoz.exblog.jp/11287802/から引用させていただきました

根拠その3

上述しましたが、自律神経の乱れや頭痛など慢性的な苦痛によりイライラや不眠、うつ症状など精神的な症状にもつながってしまいます。

このように、自律神経失調症症状や頭痛が発生しやすいという点、そして精神症状の度合いからして肩こりと首こりを比較すると首こりの方がつらいと感じる場合が多いです。

読者様のうち、首こりだけではなく、イライラや過緊張といった症状・胃腸の不具合なども出ているようであれば、その原因はゆがみや血流だけでなく、他の要因も関与しており、少なくとも軽症ではない状態と推測できます。

自分でできる「首こり対処方法」はどれも一時しのぎ。割り切りが必要です。

今、この記事をご覧のあなたは肩こり・首こりがつらいということで市販薬や湿布、漢方をはじめ、マッサージやストレッチ、温熱療法などは既に様々行ってきたのではないでしょうか?

おそらく、楽になるのはその時のみ、または、変化が感じられない、のいずれかでしょう。

いま、このテキストをお読みのあなたは、きっと非常にお困りだからこそ、調べ、お読みでいただいていると思います。

そのため当記事では、よくある一時しのぎの首こり解消法を紹介しません。そのような方法を試されてダメだった方がお読みいただいているものと認識しております。

これらをふまえ、悩まれている方のことを真剣に考えますと、インターネット・テレビで紹介されているストレッチや体操、町の簡易的なもみほぐしや整体・カイロプラクティックなどでどうにかなるのは原因①の状態方で、つまりは軽症の方のみです。

原因①②③の要素が複雑に絡みあってしまっている重症の方は、残念ながら、セルフケアや簡易的な処置では一時しのぎであるだけではなく、いつまで経っても良くならない焦りやイライラが返って悪化を招き、先に進まず同じことを繰り返し行うことで慢性化させてしまいます。

軽症ではない方が根本的に改善したいようであれば、きちんと原因と状況を分析してもらう必要があります。

とはいえ、自ら行うことが全くないかというとそうではありません。

首こりでお悩みの方に是非試していただきたいセルフケア方法

よくあるツボ押し・ストレッチ・体操などの解消法は、こった部分に刺激を与えてほぐすことが目的です。

もうおわかりですね。

いくら続けても先に進むことはありません。

こっている部分はストレッチしても伸びませんし、無理をして伸ばすことによりかえって傷める可能性もあります。

首をいくらストレッチしても改善されることはありません。

慢性的にこっている部分は単なる筋疲労ではなく、神経系の不具合が生じています。

理想としては、第一に体の機能をつかさどる、自律神経のバランスを整える生活を意識していただき、それに加えて日頃に姿勢や筋肉バランスを整えていくことが良いのです。

セルフケアで大切なのは、こっている部分・つらい部分へのアプローチに執着しないことです。

自律神経が乱れやすいのは体質的な部分はもちろんありますが、特にマイナス要素は「不規則な生活」と「ストレス」です。

今すぐ実行できる対処としては、睡眠のリズム、食事のリズムはじめ、日常生活のリズムを規則正しくすることです。

自律神経は身体が不安定な状況となると、それを安定させるために活発に働き、それが慢性的になると負荷となります。

リラックス http://shibukoz.exblog.jp/11287802/から引用させていただきました

1)生活リズムに対する工夫

睡眠に関しては「長時間寝れば良い」「〇時間寝れば良い」というのではなく、できるだけ就寝時間と起床時間を一定にすることが自律神経にとって負担が少なくなります。極端なムラを無くすことが大切です。

例えば、日頃睡眠時間が少ないからといって休日は昼間まで寝るのではなく、あえてリズムを崩さずに起床し、昼寝や休日は早めに就寝し睡眠時間を確保する方が良いです。

食事においても、一日三食きっちり食べることが重要なのではなく、なるべく同時刻にムラなく食べることが自律神経には良い影響を与えます。嗜好品を無理に制限せず、栄養素や食材こだわったり、義務的に食べるのではなく、何よりも、食べることを楽しむということが重要です。

2)ストレスの対処について

生きている以上、ストレスを無くすことは不可能ですが、なるべくそれをため込まないようにすることは可能です。独自のストレス解消方法をお持ちの方はそれを意識的に実行していただくことが良いのですが、慢性的な不調を抱えていらっしゃる方は、その方法を持ち合わせていらっしゃらない場合が多いです。

レジャーにでかけると体は疲労しますが、メンタルの休息になるというのは良くあります。日頃の診療でも、体の休息とメンタルの休息を別個に考え、オフを管理する術を身に着けることを私はご推奨しております。

最適な方法は人によりけりですが、ひとつの手段として、適度な運動は効果的です。

ここでのポイントは少しでも良いので「汗」をかくことです。汗をかくことによりストレス解消や自律神経を安定させる効果が期待できます。

どんな運動・メニューを行えば良いか?というよりは、この場合は無理なく続けられる事なら何でも良いです。数回で終わるのではなく、あくまで習慣として細く長く続けられる、楽しく続けられることが一番肝心です。

例えば、好きな音楽を聴きながら20~30分早歩きするのも良いです。その準備運動の際に腕を頭上まで回すと肩甲骨のストレッチ効果となり、首こりに関連する筋肉に対して良い影響は期待できます。

また、入浴等で汗をかくよりも、運動によって体を能動的に動かすことによる発汗のほうが効果的です。筋肉の収縮と弛緩が交互に起こるため、筋ポンプ作用により全身の循環も促され、ムクミ対策にもなります。

適度な疲労を促すことにより、自律神経失調症の特徴である「寝つきが悪い」「眠りが浅い」などの睡眠に対する症状へも良い影響が期待できます。

ランニング

http://2ch-m.net/archives/545764.htmlから引用させていただきました

「ストレス解消=リラックス」という目的であればリラクセーションに行くことはよいことです。岩盤浴・温泉・スパ・アロマなどもリラックスを促し、ストレス解消の手段となります。

注意点しなければならないのは、リラクセーションはあくまでリラクセーション。クイックマッサージや整体は、肩こり・首こりが治るわけではない・心地よさ・気分のリフレッシュと割り切って利用しましょう。

また、たとえ気持ち良かったとしても、つらい部分をひたすらグイグイ押したり、関節をボキッとするような施術は返って状況を悪化させる可能性が高いので絶対におすすめできません

リラクセーションはあまり強くない力で全身をまんべんなく行うのがオススメです。とくに手や足への刺激は副交感神経を優位にします。リラックスは何事においてもとても大切な要素です。もし適度な強さで全身をまんべんなく施術受けても効果を実感できない場合、たとえ強く行ったり、その後その施術を続けても状況が変わることは考えられません。逆に悪化して慢性化してしまう可能性大です。

残念ながら、リラクセーションを肩こり・首こり解消だけでなく根本的な改善まであるかのように見せかけているケースが非常に多いです。ごく少数ではありますが、リラクセーションと医学的な効果・効能を明確に線引きしてお客様にきちんとお伝えしているお店は信頼度が高いといえます。

話が少しそれてしまいましたが、ツボ押しやストレッチなどセルフケアは数々の対処方法がありますが、それらのほとんどは不調となってしまった部分の対処法となります。

「不調になってしまってから対処する」のではなく、日頃から「自律神経に負担の少ない」「できるだけ乱れにくい」生活をし、全身へ目をむけることが肝心です。

(姿勢や筋肉バランスにおいてのセルフケア、筋力トレーニングはお体を拝見させていただかないと改善の見込みのある方法をご提案できませんので、ここでは割愛させていただきますことをご了承ください。)

 

まとめ

この長い文章を最後までお読みくださった読者様は、きっと今まで本当に様々な方法を試されてきたはずです。

そのため、セルフケアをお読みいただいて「規則正しい生活をしろって言われてもそれができないから困ってるのじゃないか。結局我慢するしかないんじゃないか。」と思われるかもしれません。

定期的に運動をしているし、ストレスもさほど自覚していない・・・  でもつらい。

そのような方もいらっしゃると思います。

「簡単肩こり解消マッサージ」「肩こり解消のツボ」「即効性のあるストレッチ」などインターネット上には様々な人が様々な「効果的な事」を提唱しています。それで本当に解消された方はどれくらいいるのでしょうか・・・?

正直に申し上げます。

現代社会において、セルフケアで全てを解決することは無理というのは言い過ぎではありません。

根本的な解決を目的とした場合、セルフケアには限界があります。

肩こり・首こりの仕組みは非常に複雑です。わたくしたち肩こりラボは、肩こり・首こり専門ですから、良くなります、と自信をお伝えしますが、施術自体は決して簡単ではありません。とても難しいことです。

とはいえ、根本を理解し、それに対する手立てを行うことは全く無意味ではありません。分かってはいるけど・・・という意識をするだけでも意味があります。

もし、「今のライフスタイル上、自分ではどうにもならない」「自分で頑張って色々やってみたけれど一向に改善されない」。しかし「なんとかしたい!!」という強い意志をお持ちでしたら、プロに相談してみることをご検討ください。

まずはセルフケアをためしてみる。もし、いろいろ試しても、効果がないならば専門家へ相談を。専門員とはそのような方のためにあるものと考えております。

肩こりラボによるセルフケア方法はこちらのYouTube動画でもご紹介していますので、ぜひお試しください。

 

肩こりの治療現場で行っているストレッチ

 

当記事が、迷走して困ってしまっている患者さんのヒントとなりましたら幸いです。

メンタルとフィジカルの問題は、どちらかを治せばよくなるわけではないということ。

ストレスや自律神経の乱れによる結果として、首や肩に負担がかかり頭痛などを引き起こすこともあれば、首や肩のこり・姿勢の悪さが自律神経に悪影響を与えることもあり、卵が先か鶏が先か問題のようなものともいえます。メンタルとフィジカルの問題は、どちらかを治せばよくなるわけではありません。肩こりラボでは、フィジカル面のサポートしかできません。フィジカル面の悩みが減ることでメンタル面に良い影響を与えるということは確実にあるはずです。

薬が手放せなくなってしまっている場合、現在の状態でよいとはおそらく誰も思っていないことでしょう。首や肩の治療だけで、あなたの悩みの全てを解決はできません。ですが、たくさんある悩みのひとつかふたつは解決できる可能性は間違いなくあると思います。

 

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


ひどい肩こりを何とかしたい!病院いけば治る?そもそも病院で診てもらう必要は?

肩こりラボ

肩こりが治りません。なにをしてもダメです。どうすればよいですか?

 

何をしても効果が感じられないのは肩こりが慢性化しています。慢性化した肩こりは医師や専門家でなければ改善は困難です。

整体いったりマッサージうけたり骨盤矯正もしました

 

実は整体や骨盤矯正などは対症療法としては効果あるかもしれませんが慢性的な肩こりには効果はございません

えっ!?保険も使えましたよ?

 

肩こりに対して、いわゆる健康保険が適用できるのは、医師の同意が必要です。

医者にはかかっていませんし、医者はいませんでした。

 

医師の同意がなくても保険が適用となるのは、骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む。)の施術を受けた場合に限られます。そして、これは柔道整復師に認められた権利です。保険が使えてしまっている場合のほとんどは、肩こりではなく捻挫といった急性の怪我ということにしているのです

たしかに捻挫ということにすれば、安くできると言われました

 

柔道整復師は鍼やマッサージはできません。ですが、柔道整復師のいる整骨院で、鍼灸師・マッサージ師が行う鍼・マッサージを捻挫への施術ということにして国を騙して保険適用させているのが現状です。度々摘発されている「医療費の不正請求」です。

不正な会計をしている会社の裏帳簿みたいなことですか?

 

はい。実際の問診票・カルテとは別に保険請求用のカルテを用意して、それを元に保険請求しているのです。

ただの金儲けということでしょうか?

 

お金儲けというより、そういうビジネスなのです。あなたのことを良くしたいのではなく、通ってもらいたいのです。今までお考えになられたことはないかもしれませんが、通う必要のない身体になりたいと思いませんか?

それができるなら、ぜひそうなりたいです。

慢性的な肩こりの根本的な問題を解決

まちなかに溢れかえっている肩こり腰痛の方向けのお店は、凝っている部分をほぐして楽になってもらうことを目的としています。

肩こりラボが開院した当初は、計画を立てる・原因へのアプローチといった方法を打ち出しているところはほとんどなかったのですが、現在では多くが当院と同じようなことを言っています。

残念なことに、当院で説明している内容を多くの整骨院・鍼灸院が無断でコピーして流用・転用しています。

情報はコピーできても、技術・ノウハウはコピーできませんので、放置していますが、結果として悩んでいる人を混乱させている・他所での低評価が当院にも当てはまるように捉えられてしまいます。

過去にこちらで公開した情報・記事は、常にアップデートしてまいります。

肩こりを根本的に改善するためには必要なのは対症療法+原因療法の2つです。

ここでいう「肩こり」とは、単に肩周辺の筋肉が凝ってツラいと感じる症状ではなく、以下のような慢性的な肩こり・ひどい肩こりを指します。

  • 特別なにかしたわけでもないのに、いつも首肩周辺が凝っている
  • 凝りをほぐしてもらっても、すぐ元に戻ってしまう
  • 体を休めても、症状がすぐに出る
  • 症状を感じない時間よりも感じる時間が長い・
  • 力を抜きたくても抜くことができない

このような「慢性的な肩こり」は、一時的な緩和すらできない状態にあり「お店」では手に負えません。

 

「肩こり」を治せる人が世の中に存在しなかった・・・

 

決して言い過ぎではございません。

仕事柄仕方ない、加齢による老化現象、肩もみや肩たたきが日本の家庭の一風景である、湿布やピップエレキバンが世の中に溢れている・・・肩こり=仕方ない、これは「常識」です。

肩こりを解消したい、肩こりを治したい、なんとかしたいと強く思う人はいても、本当の意味で治したいと思われる方は少ないのです。それも圧倒的に少ないのです。なぜ本当の意味でと申し上げたかといいますと「凝った部分をほぐす=治す」という勘違いしている施術者が大半なのに加えて、受ける側も「凝った部分をほぐれる=治った」という認識が一般的だからです。これらは大きな間違いです。

肩もみ・肩たたき、は子供が親に行う親孝行の定番です。日本の笑顔あふれる家庭・仲の良い家族を象徴する1シーンです。そして、湿布は家庭内の常備薬と同様なものとして扱われています。

もっともメジャーな湿布であるサロンパスを正露丸やバファリン・ロキソニン・オロナインと同じように常備していませんか?

日本人なら当たり前なことの延長線上に肩こりはあるが故の、誰もがなるもの、仕方のない症状という思い込み

医学的に「肩こり」という名称は、曖昧です。

日本人ならではの文化の影響もあり、肩こりという症状は古来より軽視されてきていると言えます。我慢・根性は現代の若者には疎まれるかもしれませんがやっぱり私たち日本人は大好きです。

肩が凝ったら生死に関わりますか?答えはNoです。

たかが肩こり、されど肩こり

世の中には、心底肩こりで悩まれて、人生の岐路に立たざるを得ない方もおられます。

腰痛は、歩けない、起き上がれない、ということで日常生活に大きな支障をきたすため心配される症状ですが、肩こりとなると話は別で、肩こりくらいで・・・という世の中の一般的な認識がありますから、精神的ストレスは相当なものでしょう。

肩こりって何?肩がこるってどういう症状なの?という恵まれた方も多くいらっしゃいます。軽度の肩こりの方でも、ひどい肩こりの辛さは、ひょっとしたら想像できないかもしれません。

ひどい肩こりは、ギックリ腰のように日常生活に支障をきたす場合もありますし、何よりも精神的に多大な悪影響がございます。慢性的な頭痛や耳鳴り・不眠と同じです。

肩こりの根本的な改善とは、肩こりで悩まないカラダづくり

 

「その場しのぎ」の一時的な肩こり解消でしたら、誰でもご自身で簡単にできる方法から一般的なリラクセーション店で可能です。

肩のコリをほぐす名人、ゴッドハンドと呼ばれている、もしくは自称されている方も数多くいらっしゃいます。

重症化していなければ一時的な緩和は難しいことではありません。

残念ながら肩こりで悩まなくなる魔法のようなお手軽な方法は存在しません。

病院では「その場しのぎ」さえもしてくれないことが多く、痛み止め・注射で様子を見るのが定番です。

筋膜リリースは画期的?

最近では、筋膜リリースを売りにしている病院もございますが、筋膜リリース自体は、鍼灸・マッサージ院ならどこでも行っている一般的な施術方法の一つです。

実際問題、鍼灸・マッサージの効果を認めない・認めたくない医師・理学療法士は多いのです。ちなみに鍼を打つことができるのは鍼師と医師のみです。

鍼灸・マッサージでは当たり前でも、医療の分野では注目されてこなかった・しようとしてこなかった中、注射という医療行為でできる新たな手法として売り出してきたのが筋膜リリース注射です。

筋膜リリース自体はいつかは廃れる流行りの方法ではなく昔から行われている方法であるということ。そしてあくまで対症療法でしかないということはとても大切なポイントです。

筋膜リリースとは?

繰り返しで恐縮ですが、肩のコリをほぐす方法・対症療法では、首肩を根本的な改善はできません。この勘違いが蔓延しているために、悩まれる方が増え続け、それをターゲットとしたビジネスがはびこっています。それこそがビジネス・お金儲けの真髄ともいえますが、その対象・手段として、人の身体・健康を使うべきではないと思います。

対症療法・一時的に症状を緩和することは勿論必要です。現在のつらい症状を緩和して、まずは楽になっていただくことは必須です。

根本的な改善のゴールとは、肩がたとえ凝っても少し休めば元通りになるという健全なカラダづくりです。

肩こりを放置すると内臓疾患だけでなく自律神経にも支障をきたす恐れ

肩が凝った・・・と感じる肩こりの初期症状は、肩の筋肉の問題です。肩の筋肉の問題ですが、肩のみならず、頭痛や頭が重いといった症状は身に覚えがある方も多いことでしょう。肩こりが慢性化していきますと、具体的には、神経や骨、内臓に影響が出るのです。さらに悪化すると・・・精神状態にも悪影響が出ることも多いのです。大切なことなので繰り返しますが、問題を起こしているのは筋肉です。骨ではないのです。

肩が凝ると、その痛みだけでなく、イライラしたり、眠れなくなったり、食欲が沸かなくなる、倦怠感で何もする気が起きなくなる方は少なくないと思います。これらは肩こりが原因で自律神経に悪影響がでているためです。

自律神経の問題となると、まず体を休ませようと思っても休まらない

リラックスしようとしても緊張が抜けなかったり、疲れているはずなのになかなか寝つけなかったり、寝ていても眠りが浅くすぐに起きてしまったり、長時間寝ているはずなのに全然つかれがぬけなかったり・・・。

加えて胃痛や胸やけ、便秘といった内臓の不調にも繋がり、内臓機能も含めた不調となり「つらい状態」の悪循環になります。また、血圧など循環器系へも影響を及ぼす可能性があります。

このように身体の様々なところに影響が出てしまうと、本当の原因がわからなくなる

病院で診てくれる医師には專門分野があります。専門外のところにも原因があるとしたら、どうでしょう?

つまり、部分的な症状で病院にいっても、根本の解決になる可能性は低いということ、肩こり解消は難しいということは、ご理解いただけると思います。

また、肩こり・首こりの方は常にその凝った部位の周囲が気になってしまい、ついついポキッと鳴らしてしまう方が多いと思います。関節の音を鳴らす感覚に近いかもしれません。

首ポキ

しかし首をポキッと鳴らすと寝違えやギックリ首になりやすくなるだけでなく、生命を脅かす脳血管障害(脳卒中など)となる可能性を高めることにもなります。

厚生労働省調べによると日本人の死因は、1位 ガン、2位 虚血性心疾患、3位が脳血管障害です。

首の関節を自ら鳴らす行為はもちろん、カイロプラクティックや整体などで鳴らされる場合が多いですが、本当に危険であるということを意識してください。

イギリスのブルネル大学(Brunel University)のリハビリテーション研究室の報告によっても「首ポキ」による脳血管障害や重篤な神経疾患へのリスクが示唆されているようです。

詳しくは、首ポキ解消法の真相(首をポキポキ鳴らすのは本当に危険なのか?脳血管障害・死亡リスクとの関連性)と題して別記事にまとめましたので是非ご覧ください。

首ポキ解消法の真相(首をポキポキ鳴らすのは本当に危険なのか?脳血管障害や死亡リスクとの関連性)

例えば腰痛になってしまった時、できるだけ痛くならないように普段はしないような体勢をとります。これは首や肩でも同じです。痛みを庇おうとして、無理な姿勢を長期間続けてしまいますと、一定の部位に負荷がかかり続けることになります。これは骨(主に頚椎・腰椎)を変形させ、神経を圧迫してしまうことがあり、痺れなどの症状を招く場合があります。

肩こり・首こりと聞くと、どうしても気軽に感じてしまいます。しかし、悪化すると日常生活を脅かす大変危険な症状の種でもあるということを、どうか覚えておいてください。そして、重症になればなるほど治りにくくなります。

「何回通ってもよくならない、むしろ通う頻度が増えた」・・・その理由を説明します。

肩こりの辛い痛みを何とかしようと、湿布や塗薬などを試される方は多いでしょう。それでも肩の痛みが解消されず、つらさがピークに達すると、たいていは近所のマッサージにいかれることでしょう。おそらく、つらい所を揉んでもらってその場をしのぐことはできますが、数日後には残念ながら元に戻ってしまうケースが多いはずです。

これは、その後も同じことの繰り返しになり、根本的な肩こりの解消にはなりません。

そればかりか回を重ねるごとに頑固になり、悪化していきます。最初は1~2週間効果があったのに最近は数時間~数日しか楽にならない・・・という話を度々耳にします。

辛い肩凝りを治したくてマッサージに通っているのに・・・原因はなんだと思いますか?

答えは「刺激に慣れてしまうため」です。

例えば、頭痛薬を頻繁に服用しているとだんだん効かなくなり次第に量や頻度が増えていってしまうのと同じことです。

鍼灸・マッサージは物理療法の一種です。生体へ刺激を与えて反射によって効果を得ます。その刺激への慣れが生じると、同じ強さの刺激では効かない(=満足できない)状況となります。

鍼の医学的根拠については別記事で解説しております。当院の鍼の使い方は、西洋医学(現代医学)的根拠に基づいております。ですので、一般的な鍼(東洋医学)との違いと合わせて解説しましたので、よろしければご覧ください。

ひどい肩こりや首こりが整骨院・整体に通い続けても一向に改善しない方は「東洋医学と西洋医学の違い」を知りましょう

刺激に対して体が慣れてしまう

「慣れって怖いよね」という言葉は、誰でも口にしたことがあるはずです。哺乳類は様々な環境に適応するため、外部からの刺激に順応する機能が備わっていますがこれがその「慣れ」を生じさせる原因となります。

刺激に慣れていってしまうと、通うごとに、施術者はどんどん刺激を強くしていきます。そうしないと、患者さんの満足感を得られないからです。そして、その刺激にも慣れてしまい・・・この繰り返しとなります。

この悪循環としかいえない施術の繰り返しは、頑固なコリへと進化(悪化)していくのです。終わりの無いサイクルができあがってしまいます。

何度も通ってもらえるから、マッサージをする側の人にとっては、よいサイクルでしょう。でも患者さんからすれば、たまったものではありません。肩や首の痛みは、腰痛と同じで、日常生活に支障をきたします。ちょっとした動きでも痛みがあるというのは本当につらいことです。精神的にも大きなストレスとなります。

このような酷い状況を招くのは100%施術者側の責任です。誠実な施術者であるならば、その場を楽にするだけではなく、リスクや副作用含め、刺激への感受性や慣れなど施術後のことまで考慮した上で計画を立て実行すべきです。

施術は相手の未来を想定して行うべきもの

「つらさから解放されるため」にいらしてくださっているわけですから、まず症状を落ち着かせること、これを常に念頭におきつつ、刺激に慣れさせないための管理も同時に行う必要があるのです。具体的には鍼の刺激の方法の選択・強弱のつけ方・鍼を打つ頻度の最適化を、未来を見据えて行わなければいけません。

施術を何回も受け続けても一向にお悩みの症状が解決しない!!そんな肩こり、首こりが治りにくい理由は3つ

一般的に肩こり・首こりの原因は、「姿勢」や「骨の歪み」である、とされています。

実際のところ、姿勢や骨の歪みを矯正するとされている施術を受け、肩こりが解消された方は極めて少ないはずです。そして肩がこらなくなった人は限りなくゼロに近いはずです。

良い姿勢を維持しようとすると返って疲れてしまい、それを持続することなどできない方も多いでしょう。肩が凝るのは姿勢が悪いから、ということはわかっていても、肝心な「良い姿勢が持続できない」「良い姿勢がわからない」という方が多数いらっしゃいます。

 

肩こりの原因はひとつではない

原因はひとつではなく、大きく分けて3つの要因があります。姿勢や筋肉の問題、いわゆる“ゆがみ”などはあくまでその一部分にすぎません。次項にて詳しく解説させていただきます。

 

本当に良い姿勢とはどのような姿勢か認識されていない

『良い姿勢=体への負荷が最小限となる姿勢=疲れない姿勢=首・肩に負担の少ない姿勢』です。大まかに 頚椎・肩甲骨・胸椎・腰椎・股関節・足首 の5つの要点があります。

 

骨盤・骨格の歪みは、そもそも徒手的に行う骨格矯正等では治らない

骨は受動的な構造物であり、単体のみでは動くことはできません。筋肉が作用して初めて動きが生じます。視覚的に見える骨のアンバランスは、不良姿勢・不合理な動作の結果であり、つまりは筋肉のアンバランスや脳から筋肉への命令系統の不備が原因となります。筋肉のバランスを整える事と命令系統である神経系を適切な状態とすることがいわゆる“骨のゆがみ”を解決する方法です。(変形など本当の意味での骨の問題を解決できるのは整形外科医による手術のみです)

以上が、なかなか治らない3つの理由です。

ただ、②、③で解説した形態的な部分を完璧にしたからといって必ずしも肩こり・首こりが解消するとは限りません。(ゆがみを治したら肩こりが治るという理論自体がそもそも根拠に乏しいです)

その理由は①の肩こりの原因は一つではない、にあります。詳しくは以下をご覧ください。

 

肩こりの原因は3つ

肩こりの原因はひとつではありません。大きくわけて3つあります。

  1. 解剖学的な問題

    筋肉バランス、骨格、姿勢、動きなど主に体の構造面

  2. 神経生理学的な問題

    自律神経、運動神経(脳と筋肉の命令系統)など主に体の機能面

  3. 心理学的な問題

    ストレスやメンタルバランスなど主に精神面

解剖学+神経学+心理学

この3つの要素が複雑に絡みあって首肩周囲の不快感が生じます。

解剖学的な問題点

ヒトは二足歩行により重い頭が最上部にありますが、反してそれを支える首や肩は構造上とても不安定であり、もともとの造り自体が、首肩へ過剰負荷とってしまうようにできています。

“動物”と書くようにヒトは動くのに適した構造をしています。 現代人は仕事や生活の中でも圧倒的に静止している時間が長いです。つまり構造的に不利な条件が合わさっているのです。

神経生理学的な問題点

ヒトは痛みや不快感、心身のストレスが持続すると、自律神経のうち交感神経が優位に働き、筋肉を固くします。さらに血液循環を滞らせ、感覚を過敏にしてしまうことから肩こりを増悪させます。

ツラいと感じていると無意識のうちに体はうつ向くため、知らず知らずのうちに姿勢が悪化します。そして、これも無意識で行ってしまうことなのですが、歯を噛みしめて食いしばってしまいます。さらに緊張が高まります。

このように不良姿勢が続くと、関節可動域も制限され本来の良い姿勢を取り戻せなくなります。

心理学的な問題点

加えて慢性的な肩こりは自律神経の乱れから内臓の不調につながることが多く、それがさらにストレスとなり悪化へとつながります。

施術を受けてもすぐに元通りになるので、いつまでたっても解消されないことに対する苛立ち・・・それもまた悪化要因です。

このように肩こりがどんどん悪化していってしまう負のスパイラルへ・・・抜け出すことができなくなってしまうのです。

 

肩こり・首こりへのアプローチ方法は、原因によって異なります。

 

肩こりの主な原因とそれぞれに対する方法の一覧です。

筋肉のトラブル ・・・
はり、マッサージ、ストレッチ
悪い姿勢・動作不良 ・・・
はり、マッサージ、ストレッチ、筋トレ、整体(?)、カイロプラクティック(?)
骨格・筋膜の歪み ・・・
マッサージ、ストレッチ、筋トレ、整体(?)、カイロプラクティック(?)
神経の不調 ・・・
投薬、はり、マッサージ
ストレス  ・・・
カウンセリング、リラックス

前述のとおり「肩こりの原因はコレ」といった分かりやすい説明はできません。そのような分かりやすい単純明快な「答え」を期待する方が多く、その需要に答えるべく「分かりやすいけど、実は意味のない回答」がインターネット上、メディア上に多くございます。

たまたま、その人にフィットした方法があったとしても、それは、他の人に当てはまるのかというと、大抵は当てはまりません。

ですから、様々な方法が、もてはやされては消え、のループになるのです。

効果のあるダイエット方法と同じですね。

肩こり解消方法も流行り・サイクルがあります。

整体や骨盤矯正で、なぜ肩こりが治らないのでしょうか?

整体で骨盤や肩甲骨のバランスを調整したとします。しかしそれだけで肩こりが生じているわけではないので、残りの原因を探り、対処しなければ全く先に進むことは出来ません。

整体で骨格を改善しても、マッサージや鍼で筋肉をゆるめても、運動で筋肉をつけても、薬を飲んでも、それだけでは原因の何割かしか改善されたことにはならないのです。

肩こりの原因が見えたら、あとはその一つ一つへ対処していき、負のサイクルを断ち切っていきます。

一つの方法には一長一短があり、各原因に対して最も効果的な手段を当てはめ、徹底的に行う必要があります。このようにして負のサイクルを断ち切り、正のサイクルを生み出すことで体は必然的に良い方向へ向かいます。

加えて常に同じ立ち位置ではなく、短期的・中期的・長期的な効果の予測をもって施術プランを考えなければならず、これが肝です。特定の施術方法に固執するのではなく、患者さんが抱える個々の問題に対して、それぞれ適切な処置を行わければなりません。

「マッサージ」や「鍼灸」を提供することが目的なのではなく「肩こりの苦しみから解放すること」が私どもへ与えられた使命と考えております。

どうも鍼灸・マッサージは“即効性”が強調され魔法のように考えられている場合が多いです。良くわからないけれども経験的に正しいとされていることを実践しているだけの鍼灸・マッサージもありますが、鍼灸・マッサージは決して魔法ではありません。長期的に蓄積された肩こりを一瞬できれいさっぱり無くすことは不可能です。

ゴッドハンドに代表されるようなあっという間に治るといったことはありえませんが、適切な見立てと計画の元、お体に最適な処置を行えば、さほど時間をかけず体が変わっていく兆候を実感して頂けます。

根本的に肩こりを改善するための肩こりラボ的考え方

例えば虫歯を想像してみてください。 これも直近で差し迫って命に関わる問題ではございません。

しかし放置し、症状が進行したら歯の根っこまで侵食し神経までおかされた場合は抜かなければなりません。

歯は抜くと二度と生えてきません。深く削れば二度と再生されません。

老後、自分の歯でしっかり噛んで食べるか否かで生活の充実度、さらには余命に多大な影響を及ぼします。それゆえに自分の歯を生涯にわたって守るために歯科検診や定期クリーニングといった予防歯科の大切さが叫ばれています。

では、次に身体について考えてみましょう。

内臓は定期的に健康診断を行いますが、その他は・・・おそらく痛くなければ気に止めることもないでしょう。

虫歯が進行して神経の問題となったらどうしようもないように、身体においても初期は筋肉の問題なのでどうにかなりますが進行し慢性化するにつれ、骨の問題に移行します。

骨の変形が生じるのです。

そうなってしまったら、残念ながら整形外科医による手術で骨を切ったり削ったり移植をしなければ治りません。背骨の手術となるとリスクが高い上につらいリハビリが待っています。無事手術は成功しても、今度は筋力低下などで二次的な痛みに悩まされる場合も多々あります。

ですから手術を断念し、その後一生つらい症状とともに生きていくという選択をせざるをえない方は多く、当院でも、このようにどうしようもない状況になってから来院される方は少なくありません。

鍼やマッサージは代替医療です。

代替といっても医療に取って代わるものではなく、一般的な医療でどうにもならない場合の別の手段としての代替であり、補完的な医療です。

ですから、どうしようもない状況になった方の救いになるような施術が求められるわけですが、どうしても限界があります。

理学療法の限界

正直なところ、骨の変形が問題となっているケースは、いくら治してほしいと言われても残念ながらそれは無理なのです。

抜いてしまった歯をまた生えさせて欲しいと言われても無理ですよね。

IPS細胞が整形外科領域で実用化されればこの限界を超えることが可能です。現実的にはまだ10年以上先になると思いますが未来は明るいといえます。

iPS細胞

骨の位置をきめているのは筋肉

骨の変形は無理でも、骨の位置・姿勢を正しくすることはできます。

よくある骨盤矯正・猫背矯正といった持続性のない一時的なものではございません。

骨を動かすのは筋肉であり、骨の位置を決めているのも筋肉です。内臓の位置もです。

痛みなどで筋肉が正常に動かせなくなると、骨の位置も変わってしまいます。筋肉は動かし方が重要で、しばらく使っていないと動かし方をカラダが忘れてしまいます。宇宙飛行士が地球にもどってきて歩けないのは、筋力の低下だけの問題ではありません。

つらい症状の緩和と筋力トレーニング・そして筋肉の使い方を覚える、これらを適切に行えば、首こり・肩こり・腰痛は理論的に治るということはご理解いただけると思います。

まだ治るうちに、手遅れとなる前のケアの重要性を訴え続けてまいります。

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


ひどい肩こりや首こりが整骨院・整体に通い続けても一向に改善しない方は「東洋医学と西洋医学の違い」を知りましょう

「リンパが詰まっているのが原因です。」

「痛みの原因は、老廃物がたまっているからです。

「骨が歪んでいますね。これを直せば楽になります。」

「背骨が歪んでいますので直します。」

このように自信満々に言われ、言われるがまま施術を受けられる方が多いと思います。実際に良くなられている方はよいのですが、そうでない方、疑問をお持ちの方が今このページをご覧になられていると思います。

この記事が、悩みや今抱えていらっしゃる疑問を解決するヒントになれば幸いです。

当記事での東洋医学とは鍼・灸・マッサージを指すこととさせていただきます。漢方は含みません。

医学的根拠は皆無なのに東洋医学的には正しいという謎

 

冒頭に上げた例は、街中に溢れている整体、カイロ、足つぼマッサージなどのお店や整骨院等でよく使われる言葉です。本当によく使われています。

結論から申し上げますが、医学的根拠は皆無です。

東洋医学的に・・・という説明をするところもあることでしょう。(西洋)医学的に説明できないことだけど、東洋医学的には正しい、効果がある、こんな風に言われたら、よく分からないけど信じてみるのは無理もありません。

ひどい肩こりで痛くてつらいと、痛みをすぐにでもなんとかしてほしいわけですから、説明とかはいいから!!となってしまうのが普通です。

分からないから不安になる。その不安を「知識」で解消しましょう。

もし、ご自身またはご家族が大きな手術をする、となった時、それが緊急事態ならやむを得ませんが、時間に余裕がある場合「とりあえずお願いします」となりますか?

きっと説明をよく聞くと思います。それが大切な人の場合でしたら自分の場合よりも理解しようとするはずです。ひとりだと不安だから誰かを同伴してお話をきく場合もあるでしょう。

肩こり・首こり・腰痛の場合は、どうしても大きな怪我・大病と比べれば緊急性が低い上に我慢もできてしまいます。ですから、正しい情報を一生懸命求めるよりも、どうしても受け身になりがちです。テレビでみた、雑誌で目にした、友達がいってた、といった情報、その情報の中でも「楽そう」「簡単そう」な情報に流されてしまいます。

すごく効くよって聞いて東洋医学系の施術を受けてみたものの一向に良くならない、それどころか悪化した・・・何ヶ月も予約でいっぱい、全国から訪れる評判のところにいったけど全然よくならない・・・このような方はかなりいらっしゃるはずです。

「わからない」「先が見えない」これは不安です。とてつもないストレスです。

不安やストレスを少しでも減らためには、正しい知識を身につけることです。仕組みや意味がわかるだけでストレスや悩みはぐっと減るはずです。

今、あなたは、このページ自体信用できるの?と思われたかもしれません。

少しだけお時間ください。読んでご判断ください。

鍼(はり)・お灸(きゅう)・マッサージといった東洋医学として世間一般で認識されている方法が、どのような考えをもとに行われているのか?それが西洋医学的な根拠に基づいた方法とどう違うのか?という点にフォーカスしていきます。

西洋医学と東洋医学のちがい

東洋医学という言葉を耳にして連想されるのはどのようなイメージでしょうか?

 

東洋医学というと、まず連想されるのが、中国4000年(最近では5000年に延長されています)の歴史、ツボ、気(気功)、ハリ、漢方・・・だと思います。漢方はさておき、肩こりに代表される体の不調を治す東洋医学のイメージは鍼や灸でツボ(経穴)を刺激し、気や経絡を整え、血流を改善することで自然治癒力を高め、体質改善を行うといった内容を想像されるのではないでしょうか。

上記に挙げた東洋医学らしい文言の中で、医学的根拠(EBM)に基づいているのは「血流を改善する」という部分のみです。

● 西洋医学では不可能とされた病でも東洋医学なら可能。

● 不治の病、難病を治した。

などといった宣伝文句をしばしば目の当たりにします。世の中には科学的に説明できないこともまだまだ多いですし、不思議なことだらけですから、東洋医学に不思議な力があると信じてしまう人もいれば、胡散臭く思う人もいることでしょう。

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。

東洋医学の世界では

  • 症例数に関わらず、1人でも改善すれば効果有り
    • 有効率の検討がなされておらず施術者の主観をよりどころとされている
  • 良いことしかアピールされない
    • 施術者から発信される情報にバイアス(偏り)がかかっている、施術者自身が信者となっている
  • 効果の判定が定量化されていない
    • 客観化数値化されていない、する努力をしない、あえてしない
  • 東洋医学的療法(鍼・灸・マッサージ等)を行ったから効果があったのか、たまたまだったのかの比較検討がなされていない
    • 二重設盲検法(Double Blind Test)、ランダム化比較試験(RCT::Randomized Controlled Tria)、がなされていない
  • 東洋医学の文献の大部分が筆者に都合の良い結論付けとなっている場合が多い
    • プール解析メタ分析(メタアナリシス)がなされていない

二重盲検法

二重盲検法(にじゅうもうけんほう、英: Double blind test)とは、特に医学の試験・研究で、実施している薬や治療法などの性質を、医師(観察者)からも患者からも不明にして行う方法である。プラセボ効果や観察者バイアスの影響を防ぐ意味がある。この考え方は一般的な科学的方法としても重要であり、人間を対象とする心理学、社会科学や法医学などにも応用されている。

行為の性質を対象である人間(患者)から見て不明にして行う試験・研究の方法を、単盲検法という。これにより真の薬効をプラセボ効果(偽薬であってもそれを薬として期待することで効果が現れる)と区別することを期待する。しかしこの方法では観察者(医師)には区別がつくので、観察者が無意識であっても薬効を実際より高くまたは低く評価する可能性(観察者バイアス)や、患者に薬効があるかどうかのヒントを無意識的に与えてしまう可能性が排除できない。そこでこれをも防ぐために、観察者からもその性質を不明にする方法が二重盲検法である。

ランダム化比較試験

ランダム化比較試験(ランダムかひかくしけん、RCT:Randomized Controlled Trial)とは、評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法である。従って根拠に基づく医療において、このランダム化比較試験を複数集め解析したメタアナリシスに次ぐ、根拠の質の高い研究手法である。主に医療分野で用いられる。略称はRCTである。

メタアナリシス

メタアナリシス(meta-analysis)とは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のことである。メタ分析、メタ解析とも言う。ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスは、根拠に基づく医療において、最も質の高い根拠とされる。

出典:Wikipedia

このように非常に曖昧な要素が根幹を成してしまっています。

ここで、読者の方にご確認しておいてほしいことがございます。これを書いている著者自身ははり師・灸師・あんま指圧マッサージ師の資格をもっております。これら3つの資格は国家資格であり、資格取得のためには東洋医学を最低3年間勉強し国家試験を受けて合格しなければなりません。

私自身、鍼灸師として仕事をはじめた最初の数年間は、東洋医学的な考え・方法を実践しました。西洋医学的な解釈からすれば無茶苦茶な理論でも結果は出るのかもしれないという期待はありました。しかし結局、自信をもってプラセボ以上といえる効果はあげるには至りませんでした。これは私自身の経験不足・知識不足のせいかもしれません。

確かなことは、特別な感性・才能をもったセラピストでなければ、東洋医学で効果をあげることは困難=再現性が低いのは間違いないと思います。

そして、私は過敏性腸症候群を患っていたことから、ゴッドハンドと呼ばれる有名な東洋医学的施術者のところへ通いました。今このブログをご覧のあなたと同じく、治療方法が解明されていない・病院で治らないなら、可能性があるとされる方法を信じたい、すがりたい気持ちは・・・きっと同じだったと思います。ですが、私自身は残念ながら東洋医学の神秘にふれることはできませんでした。

東洋医学をモットーとする施術者に「何を根拠に行っているのか?」とお尋ねすると「自分の感覚では・・・」「私は〇〇と考える」「何千年も前から伝えられている経験医学だ」などと答えます。よりどころとするのは経験であり、何千年も前に書かれた書物とのことです。

東洋医学関連の文献は数多く出典されてはいますが、その試験方法、解析方法に穴があり、症例報告の域を出ることがなく、信頼度の高いものが少ないという状況なのです。

首ポキ解消法の真相|首を鳴らす施術やポキポキ鳴らす行為の危険性。脳卒中や死亡リスクとの関連性。

このブログ記事は専門用語が多く、一般の方には読みにくいと思い、

Q&Aの会話形式で分かりやすく解説した記事「首ポキは肩こり解消になるの?ネットやテレビで喧伝される説への疑問にお答えします。」別途ご用意しました。

まず、最初にリンク先の記事をお読みいただければ、幸いです。

肩こり解消のために、ついつい首をポキポキ鳴らしていませんか?

 

デスクワークなどで、前傾姿勢を長時間続けますと、首や肩が疲れてしまいます。ですから首を回したり、伸びをしたりする人がほとんどではないでしょうか。その際に首の関節をボキボキ鳴らす人も少なくないでしょう。関節を鳴らすことが気持ちいいと感じる方もいらっしゃいます。

このような動作は、たしかに一瞬楽になったと感じるかもしれません。しかし、コリを解消する効果は残念ながらありません。凝った→ほぐす、の繰り返しでしかないのですが、これは実は悪循環です。

首をボキボキならすことを「首ポキ」と呼ばせていただきます。

 

2019年5月3日にCNNでこちらのニュース『「首ポキ」で脳卒中、左半身まひで入院 米男性』が報じられ、”首ポキが、実は危険な行為である”、ということがSNSを中心に話題になりましたが、情報が錯綜しています。

首をよく鳴らす人は脳卒中になりやすいという話を耳にした方も少なくないと思います。肩こり・首こりの専門院を開設している者として、詳しく解説したいと思います。

肩こりは、女性の体の悩み第1位、男性では第2位です。

 

厚生労働省発表の「平成22年 国民生活基礎調査の概況」によりますと、国民の13%、約1200万人の方が肩こり・首こりを訴えています。以下の表の有訴者というのは自覚症状をもっている人を意味します。

出典:厚生労働省国民生活基礎調査

肩こりは男性よりも女性に顕著で、肩こりで悩んでいる人は、なんと腰痛よりも多いのです。

「首ポキ」は患者さんから受ける質問、第1位です。

 

当院は肩こり・首こりを専門としておりますが、中でも患者さんから受ける質問で特に多いのが「首ポキ」です。

慢性的な肩こりや首こりにお悩みの方は少なくとも一回は首をポキっと鳴らしたことがあるのではないでしょうか?または、鳴らす目的はなくとも、首を曲げていたらポキっと鳴ってしまった経験がおありだと思います。

また、街中に溢れている整体やカイロプラクティックなどで施術を受けると、決まって「骨のゆがみ」を指摘され関節をポキポキと関節を鳴らされます。

 

首ポキ

出典:wikiHow

インターネット上で検索してみると、どれも大元の情報ソースが同じであろうと考えられる引用文章ばかりで「首を鳴らすと死ぬ」「1トンの圧力がかかる」などといった情報が流れており医学的な立場からの解説が乏しいです。

そこで今回は「首ポキ」について医学的な見解と解説をします。

首ポキに纏わるウワサを医学的に検証

① 関節ってなぜ鳴るのでしょうか?

関節の隙間内の空気が、風船が割れるような感じで鳴る、というイメージをお持ちの方が大半だと思います。

ポキポキという音の正体は、関節内に生じるキャビテーションです。キャビテーションとは耳慣れない言葉だと思いますので説明いたします。キャビテーションとは、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象です。余談ですがこの現象は19世紀末に、高速の舶用プロペラが、予想された性能を発揮しなかったことから発見されました。

関節が鳴る仕組みについては、昔から仮説・推測で説明されてきたのですが、2015年になって初めて実証されました。なんと、MRI撮影により、ポキッと鳴った瞬間の関節内部で起きていることが映像で記録できたのです!!Real-Time Visualization of Joint Cavitation PLOS ONE

人体の関節は骨と骨が関節包という袋のような物に覆われています。そして骨と骨の間には関節腔という僅かな隙間があるのですが、そこには滑液という一種の潤滑油で満たされています。大雑把にいいますと、関節は液体なのです。

普段動かさない範囲に関節を急に曲げたり伸ばしたりすると、関節腔の容積が一気に増すことになります。その時関節内で何が起きるかと言いますと空洞ができます。この空洞の正体は、滑液に溶けている窒素や二酸化炭素といった気体です。関節内の圧力が急に下がったために(陰圧)、滑液に溶けきれなくなった気体が気化するのです。といっても気化する量はごくわずかです。ですから、下がった圧力を戻す働きが作用し、反対側から滑液が一気に流入して空洞は消滅します。これらが消滅するときの衝撃により音が発生し、関節内で共鳴することであの「ポキッ」という音が鳴るのです。

 

関節 クラッキング
出典:http://www.wikihow.com/Crack-Your-Neck

つまり「ポキッ」と鳴る音は、骨や軟骨そのものが摩擦を起こすことで鳴っているのではないのです。なので「ポキッ」と鳴った後は通常数十分ほど時間が経たないと鳴りません。

肩や膝を動かすと常時パキパキ・ゴリゴリ・ジャリジャリと音がするのは関節の適合性や安定性が悪いがため発生する音なので別物です。 以下はキャビテーションにより発生する「ポキッ」を題材に話を進めます。

② 「1トンの衝撃」・・・鵜呑みは禁物です!!

様々な所で、首の骨を鳴らすと「1トンの衝撃」がかかると言われています。しかしこれには一考が必要です。

まず、「トン」は重量の単位であり衝撃力を表す単位ではありません。衝撃とは物理的には急激な速度変化の度合いのことをさします。

速度変化の大きさ(加速度)の単位は[m/s^2]が基本ですが、衝撃の場合は重力加速度との比をとって[G]が使われます。衝撃力はこの加速度に物体の質量を乗じたもので単位は[N]が基本ですが、重力加速度で割って[kgf]やこれを1000分の1にした[重量トン]が使われることが多いのです。

つまり、衝撃力を表す時に、直接その重量が負荷としてかかるわけではないのに慣用的に「〇〇キロの衝撃」や「〇〇トンの衝撃」と表現されることが多いのです。衝撃力には時間の概念が必須なため、力が作用する時間次第でがらりとイメージが変わってしまいます。

これらをふまえると、まず重量としての1トン(1000kg)が首にのしかかるというのは間違いです。仮に1トンという数値が本当だとして、衝撃力に換算にしても1000分の1秒で瞬間的に1kgがかかったら1トンの衝撃となるので、1トン(1000kg)の重さがのしかかるというイメージは間違っています。

そのため首ポキッにより1トンの衝撃がかかり即死亡したり、即重度の障害を生むことは考え辛いですが、上記の計算では少なくとも1キロの負荷はかかっていることになるので、例え1キロだとしても組織の微細な損傷は少なからず生じるものと考えられます。

そもそも、この「1トンの衝撃力」という根拠を調べてみても出所がわからず、クラッキング時の衝撃力を正確に計測したデータや実験についての文献が見つからないため、「歪みが原因の理論」と同様、マーケティングの一貫で患者さん方に恐怖を植え付けるためにどこかのセラピストが言い出したことなのかもしれません。

とはいえ、ものすごい破壊力のある衝撃が加わるわけではないものの、「ポキッ」は空気の破裂という現象により生じると考えられているため、その程度はわからずとも少なからずの衝撃があることには変わりはありません。関節内は非常にデリケートな部分であるが故に関節包という袋で守られていることもあり、小さな衝撃による組織損傷も十分に考えられるため軽視はできません。

③ 首ポキで死んでしまう可能性について

[1] インターネット上では「首をポキッと鳴らすと首に1トンもの衝撃が加わり、頚動脈破裂したり脊髄損傷が起こり死亡したり半身麻痺となる」などと書き込まれています。

果たしてその真相は・・・

まず、「1トンもの衝撃・・・」というのは≪2≫で解説しました。軽視はしてはいけませんが、みなさんがご想像する“1000kgの重量がのしかかる”という意味ではなく、即刻首の骨が折れるような負荷ではないことはお伝えさせていただきました。

[2] 続いて「頚動脈が破裂したり脊髄損傷が起こり・・・」という点です。

外から大きな力が加わり、首を傷めることによって生命に影響を及ぼすのは、

延髄(えんずい)損傷  …  脊髄と脳の移行部に存在し、呼吸や脈拍など生命維持に不可欠な機能を支配する中枢神経です。中枢神経と末梢神経を合わせて神経系といい体の機能や動きを調整します。中枢神経とは神経系の親玉のことです。例えば絞首刑では首を縄で絞めて呼吸できないようにするのではなく、落下時の衝撃で上部の頚椎を脱臼骨折させ延髄を破壊することを行います。延髄が破壊されたら人間は生きることはできません。

 

延髄
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz2/a-cg/a-800/a-830/IPA-acg430.htmから引用させていただきました。
 

頚髄(けいずい)損傷  …  頚椎、つまり首の骨の中に納まる中枢神経のことをいいます。より頭に近い上部の頚髄(第1~4頚髄)と、下部(第5~7頚髄)を損傷するのでは生命維持という点で大きな差があります。上部の頚髄は横隔膜を支配するため、損傷すると自分で呼吸ができなくなり人口呼吸器無しでは生きることはできません。下部の頚髄ではその程度により、動きだけでなく様々な内臓諸器官の機能不全がおこりますが、基本的には首から下が麻痺します(損傷頚髄以下の神経伝達が途絶えて運動が不可となります)。

 

頚髄

http://infoseek_rip.g.ribbon.to/bunseiri.hp.infoseek.co.jp/sekizui.htmから引用させていただきました

 

この二点が考えられます。

しかしこれらは交通事故や極限状態のスポーツによる日常生活では計りしれない衝撃が加わった際に、頚椎(首の骨)の脱臼骨折が起こり、その中に納まる延髄や頚髄が損傷します。「首ポキ」と交通事故などの衝撃をくらべると・・・答えは明らかです。お年寄りや、重症の骨粗鬆症を患っていない限り、自らの力でそこまで首の骨に負荷を与え、内部の中枢神経に負荷を与えることは不可能です。

ただし、カイロプラクティックや整体などでしばしば行われる首をお急激に動かす手技には危険が潜みます。

そのような手技を受ける際に患者は仰向けで脱力し筋肉や靭帯が緩む肢位、つまりとても無防備な状態で動かされることとなります。この状態で無理な力が加えられることにより、頚椎の脱臼骨折が起こる可能性は十分に考えられます。“首ポキ施術”による事故はこのような可能性があるので、他人によって力を加えられて行うのは避けるべきです。そのような危険をおかしてまで“首ポキ施術”を行っても、お悩みの症状は解決しませんし、「首ポキ」をしなくても治すことは可能だからです。

[3]  「頚動脈が破裂する・・・」においても解剖学上明らかに矛盾があります。

首に手を当てて拍動を触知できる、みなさんがご想像するいわゆる頚動脈は、首の骨・関節とは離れた部分にあます。また、動脈は生命活動に重要な血液を循環させているため非常に頑丈な構造となっています。“いわゆる頚動脈”の太さはタピオカの吸えるストローくらいですが、触った感じは例えるならば庭の水まきをするホースをご想像ください。あの硬さ・弾力が主要な動脈です。私は実際に人体解剖にて触知しましたが、引きちぎろうとしてもびくともしませんでした。それほど動脈とは強固な構造なのです。

なので「首ポキ」の衝撃の程度も前述しておりますが、即刻頚動脈が敗れる心配はありません。また、百歩譲って「首ポキ」が動脈を損傷可能な衝撃を持ち合わせていたとしても“いわゆる頚動脈”は首の骨の関節内にあるわけではないので、その衝撃をまともに受けるわけではありません。

しかし!!!!軽視はできません。

首の主要な動脈は2つあります。一つは“いわゆる頚動脈”と言われる総頚動脈です。総頚動脈はノド仏のあたりで外頚動脈内頚動脈に分かれます。その名の通り、外頚動脈は主に頭部の表面部分を栄養し、内頚動脈は頭の深部、つまり脳を栄養します。この総頚動脈からの流れは上記で説明しましたように、首の骨とは離れた部分にあるため首ポキ衝撃による影響は考え辛いです。しかしあまり知られていない首のもう一つの主要な動脈が椎骨動脈が論点となります。

 

椎骨動脈
出典:http://www.painneck.com/blog/neck-cracking-and-neck-popping/
 

椎骨動脈とは総頚動脈(内頚動脈)とは別ルートで脳を栄養する重要な血管です。解剖学的には、左右一対の椎骨動脈は首の骨の中(横突孔)を貫いて上行し、脳に入るとやがて一つに合わさり脳底動脈となり、脳の深部を栄養します。脳底動脈は脳の内部で内頚動脈と合流し脳の中で血管のループ(大脳動脈輪=ウィリスの動脈輪)を形成します。つまり、脳は重要な臓器であるため総頚動脈(内頚動脈)1つではなくサブルートをもって栄養されているのです。

 

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そこで着目するのが、椎骨動脈の走行です。

先ほども述べましたが、椎骨動脈は第1~第6頚椎を貫いて脳に至ります。つまり頚椎に直にくっついて存在します。1で解説しましたように「首ポキ」は頚椎の関節での物理現象により起こるため、その衝撃は椎骨動脈に影響を及ぼすことは十分に考えられます。

これまでをふまえて「首ポキ」の血管系への影響を考察と共に以下にまとめてみます。

A)  “いわゆる頚動脈”つまり総頚動脈(内頚動脈)への影響は解剖学的にみて考え辛く、可能性があるとすれば椎骨動脈である。

B)  ≪2≫で解説しましたように「首ポキ」による衝撃一撃で血管が破れることは考え辛いが、頻回行うことで椎骨動脈には少なからず影響を与える可能性はある。

C)  首が鳴るためには日常的な可動域を超えて動かすことになるため、首の骨の間(横突孔)というとても狭い通路を通るため、椎骨動脈には過剰は進展や摩擦などの刺激が加わる可能性がある。

D)  衝撃・進展・摩擦=物理的刺激は組織を傷つける可能性があり、血管の内部が傷つくとそこが変性し動脈硬化が促進される。また血栓が形成されやすくなる。

E)  椎骨動脈にできた血栓が何らかの影響で流れた場合、脳に侵入し、塞栓となり脳梗塞となる可能性がある。

補足)上記は動脈のみに着目して解説してきましたが、首の骨の内部を通る椎骨静脈系というのも存在します。こちらは静脈なので心臓へ帰るほうのルートです。静脈は動脈より壁が脆弱なため物理的刺激には圧倒的に弱いです。余談ですが、鍼灸の針では静脈は刺すことができますが、動脈は弾かれて刺すことはできません。この椎骨静脈系は首の骨にまとわりつくように存在するため、B)C)等の負荷の影響は動脈よりも受けやすいです。静脈系で血栓が生じそれが流れると、塞栓症として肺梗塞心筋梗塞のリスクが考えられます。

首ポキについてのまとめ

キャビテーションによる「首ポキ」は関節の構造が造りだす物理現象であり、関節の形状にも個人差があるため、鳴りやすい方・鳴りにくい方がいるのは確実です。そのため、鳴ること自体は異常ではありませんが長期に渡って常習的に鳴らしたり、無理な力で鳴らすことによる弊害はあります。

上記のように分析してみると、自ら動かした時に鳴ってしまうのは直近で生命につながる問題となるのは考え辛いです。しかしそれが長期間にわたり常習的に行われると血管に影響が出て循環器領域で生命を脅かす疾患につながる可能性は十分に考えられます。こういった点では鳴らす癖がある方は早めに治した方が良いでしょう。

一方、施術の一貫として行われる「首ポキ」においては、それを行うにあたってのメリットとデメリットを考慮すると、上記で説明した中枢神経を損傷するというリスクを抱えてまで行うメリット、つまり施術による効果が考えられません。首ポキ施術をすることによって一生首にまつわる不快な症状が消えるならばまだしも、そうではないからです。したがって、施術の一貫としての安易な「首ポキ」を受けるのは絶対に避けるべきです。

ところで、

なぜ、ついつい常習的に首を鳴らしてしまうのでしょうか?

首を鳴らさなくていてもたっていられなくなってしまうのでしょうか?

それは「硬ければ重症か?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説」で解説しましたが、重症・慢性化し神経症状としての肩コリ・首こりとなってしまっているからです。このように

常に気になってムズムズしてしまう

首を捻じったり 動かさないと いてもたってもいられない

無意識のうちにいじっていたり 鳴らしてしまう

発作的に急激につらくなる

睡眠が充実していなく、朝一が一番つらい

首こりつらい

出典:http://www.huffingtonpost.com/2012/10/03/neck-cracking-dangerous-spinal-manipulation_n_1929690.html

 

というのに心当たりがあれば、それは肩こり・首こりの負のスパイラルにはまってしまっているサインです。この状態では放置していても絶対に治ることはありませんし、簡単な施術による“ほぐし”程度ではすぐに元通りとなります。

つらくて我慢できない時にとんぷくとして簡易的な施術を受けるが楽になるのはその時のみで結局つらい状態から解放されることはなく、徐々に悪化していきます。この状態を変えるには「根本的な原因の解決」が必要です。

肩こり・首こりは直近で生活や生命に支障がでるわけではありません。しかし放置や適切な処置を行わないことに確実に進行・悪化していきます。1日でもはやく対処しましょう。

実際に首をボキっとしての危険性は、カイロプラクティックや整体などで首ボキ施術を受けても10万人に一人くらいしか起こらない、と言われています。

しかし「45才未満で脳卒中を起こした人は一週間以内にカイロプラクティックで首ボキをやっていた人がやっていなかった人と比べて5倍多かった」というデータがアメリカ心臓病学会の2001年に出された報告にて示唆されています。

こちらの記事を参照しました→http://stroke.ahajournals.org/content/32/5/1054.full

首ボキ施術のリスクについては、イギリスのブルネル大学(Brunel University)のリハビリテーション研究室の報告によっても椎骨動脈解離や脳血管障害をはじめ重篤な神経疾患への可能性が示唆されているようです。

こちらの記事を参照しました→http://www.brunel.ac.uk/news-and-events/news/news-items/ne_190062

このように首ボキ施術にはリスクが伴うことから、日本では厚生労働省からは禁止するよう促されております。参照:厚労省ホームページ

おそらく・・・ 自ら首をポキッと鳴らしてしまう方は首や肩がどうしてもわずらわしくて、気になってしまい、仕方がなく鳴らしてしまっていることでしょう。

また、首ポキ施術を受けた方、受けている方は肩こり・首こりを治したくて整体やカイロプラクティックにかかられたことでしょう。それで、肩こり・首こりが治った方はおそらくいないと思います。

百歩譲って、首をボキッとして根治するようならば、行う価値はあるかもしれませんが、現実問題それはありえません。(肩こり・首こりの原因は”骨のゆがみ”ではないからです。詳しくはこちらの記事で解説しています)

どのような施術を受けるかは患者さんの自由ではあるのですが、少なくとも首ポキ施術を受けるにあたって、リスクと効果を比べてお勧めはできません。

自ら首ポキを行ってしまう癖がある方も、それを繰り返すことは何もプラスにはなりませんので、是非意識していただきたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。分かりにくいテキストだったと思います。当記事をより分かりやすく解説した記事を別途ご用意いたしました。

あべこべ体操の効果を検証
  • 肩こり・首こりの原因とは・・・
  • マッサージなどの施術を受け続けてもいっこうに解消されないのはなぜか・・・?
  • 確実に解消するために必要な事は・・・?

をこちらにまとめました→「確実に肩こりを解消するために必要なこと

あわせてこちらもご覧になっていただけましたら幸いです。

鍼灸・マッサージの裏事情(1) 硬ければ重症か?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説

鍼灸・マッサージの裏事情(3) 血行改善により肩こり・首こりが解消されない理由 (医学的根拠に基づき神経生理学の観点から解説)

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


鍼灸マッサージの嘘と本当

簡単に治る・・・そんな魔法のような方法は“ありません”!!

「鍼灸」「マッサージ」ときいてどのようなイメージを持ちますか?

一般的には胡散臭いイメージ、古臭いイメージかもしれません。

小顔効果の美容鍼のイメージから「凄いテクニック」、凄腕整体師やゴッドハンドのメディア出演から「何にでも効果がある魔法のようなもの」のように錯覚されがちでもあります。ちなみに整体師というのは鍼灸師・あんま指圧マッサージ師ではございません。

人は、どうしても、楽なもの、便利なもの、コストがかからないもの、無料・・・に惹かれがちです。

美味しいもの、好きなものを我慢せず食べていれば、肥満になりますが、痩せることはとても大変なことです。その大変なことを、最後までやりぬくことができるのは意志がとても強い人。そんな強い人はごく一部の人たちです。多くの人は簡単な方法、魔法のような方法が大好きで流行に流されやすいですし、飽きっぽいものです。そんな世の中に出ては消えていく消費されるものこそが大きなビジネスを産みます。私たちは消費者です。

ですが、医療は、そうしたビジネス上にあるべきではない、と思うのです。

病院にいく時、自分は客だと思いますか?

思いませんよね。

医者というと、ほとんどの人が「お金持ち」というイメージを抱くと思います。

お金のために医師になった人ももちろんいると思いますが、そうでない医師だってたくさんいます。

肩こりラボで働くスタッフは、肩こりや首こり、腰痛などで悩まれている方を本気で救いたい気持ちを持った人しかいません。医療に携わる端くれとして、初心や理想は、一生忘れず、追求していくことが使命であるべきです。自らを戒めることも必要でしょう。このようなブログを書き続けていくことには、その意味もあります。

前置きが長くなりましたが、肩こり・腰痛からはじまり各種スポーツ障害はもちろん花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患、胃痛や便秘などの内臓疾患、はたまたリフトアップやシワとりの美容鍼やダイエット目的の鍼など効能としてうたわれるものは本当に多岐にわたります。

でもこれらは「本当」なのでしょうか?

「本当のことが知りたい」

真実・事実だけが全てではありません。人生を楽しむ上では不要だという人もいらっしゃるはずです。

今回は本当のことを知りたいと思う方のための記事です。首肩腰の諸症状で悩まれている方、現在通っている治療院に疑問をお持ちの方だけでなく、セラピストを目指している方にも読んでいただきたいと思います。

鍼灸・マッサージはあくまで物理療法の中の手段でしかありません。

以下の解説は医療(西洋医学)の観点からのみの解釈となります。客観的な裏付けという意味でご覧ください。

例えば病院。ひどい下痢でいらっしゃった患者さんに医師が行う治療は

①下痢止めを処方して下痢を止める

②あえて薬で下痢を止めない

ということを行います。

①は、下痢により脱水が生じ二次的な問題が生じることを防ぐため

②は、下痢は異物除去のための正しい生体反応なので無理に止めるとかえって長引いてしまう

という意味があります。

これらは各医師独自の方法であっても医学的根拠に基づき実施されます。

では、鍼灸師・あんま指圧マッサージ師はどうでしょう?

ほとんどの鍼灸師・あんま指圧マッサージ師は患者さんが下痢だと訴えたら「下痢に効くツボにお灸(鍼)をしましょう」と言うでしょう・・・。この場合は上記①②のような根拠に基づいておりません。鍼灸が下痢に効くか効かないかは別として、何にでも鍼灸を適用させてしまいます。

鍼灸師・あんま指圧マッサージ師は独自の理論「自分がこう考えたから」「経験的に」「直観で」、そして著名・高名な人の方法論に則り「〇〇と言われているから」に頼る傾向があります。

なんでもかんでも鍼灸で治るかのような都合のいい勝手な考え方をする鍼灸師が多い理由

それは「東洋医学」という逃げ道があるからです。もし医療関係者に問われたとしても独自の東洋医学に逃げることができてしまうのです。ここがそもそもの問題点です。

東洋医学は伝統医学、経験医学と言われ昔からの言い伝えや慣習を元に構築されています。言い換えると「何故かわからないけれど、こうやると良くなると言われているから行う」ということです。そして東洋医学独特の「気」や「経絡」といった考え方がありますがこれらはあくまで考え方、思想であり理論ではありません。

東洋医学による診断方法で脈や舌を診て状態を判断する方法がありますがこれにも疑問が残ります。脈診は施術者が手で触れて腕の動脈の拍動を感知して行いますが、手の触れる圧力や触覚は人により異なり、感じ方は千差万別のはずです。舌を診る場合は、舌苔(ぜったい)や色や形を診て状態を判断しますが、それだけで体の状態が本当にわかるのでしょうか?

個人的な感性で自分の状態を決定されてしまい、あなたは不安ではありませんか?

足の裏や背中、お腹を触って内臓の良し悪しを判断する場合もありますが、これにもまったくもって客観的根拠はありません。

たしかに胃が痛い時は背中が痛くなったり反応が出ることはありますが、背中が痛いから胃が悪いわけではありません。足の裏と各内臓との関連経路は解剖学的に全く存在しません。

有名とされる鍼灸師・あんま指圧マッサージ師は脈や舌、触診等で内臓から体質・性格まで患者さんの全てを把握しますが、それは単なるパフォーマンスです。100年に一人くらいは第6感を持っていて直観で全てがわかるかもしれませんがそんな人はいないも同然です。現在毎年4000名程の国家資格取得者が輩出されていますが、それらがみんな第6感を持っている、または修行により養われるとは到底考えられません。

また、有名になればなるほど神秘的なイメージを演出するようになり、メディアを通して根拠のない独自の理論を大々的に叫ぶため、この業種が占い師や呪術師と変わりない印象を受けて与えてしまい、現代医療からますます隔離してしまっています。少なくとも筆者はこのような鍼灸師・あんま指圧マッサージ師像、現状に納得しておりません。若き鍼灸師・あんま指圧マッサージ師がカリスマを目標としてみんながみんな“100年に一人の逸材”を目指しているのはもはや滑稽な話です。

ですから、一般的な医療従事者は、東洋医学というだけで偏見をもったり相手にもしない人が少なくありません。悲しいことに鍼灸・マッサージ自体がイコール東洋医学と決めつけられてしまいがちです。

ここまでの話を以下にまとめます。

東洋医学の現状におけるネガティブな部分

  • 鍼灸・マッサージが万能治療と考え何にでも適応しようとする
  • 説明や会話の中で、つじつまが合わなくなったり、理解があやふやになると最後は「東洋医学的には・・・」というくくりで片づける施術者が多い
  • 根拠があやふやなものでも「良いと言われている」「良いのではないか」というレベルで患者さんに施術を行ってしまう
  • コンプレックスを持っており、開業すると高確率で「医師のまねごと」をするようになる
  • 施術に対する厳格な評価から逃げ、結果リラクセーションと同じになる

ということです。

このような現状が患者さんの期待を裏切り続けて我々鍼灸師・あんま指圧マッサージ師の信頼が失われつつあります。もはや失われてしまっているのかもしれません・・・

一応ポジティブな部分もあります。

病院は定められた検査項目が陽性とならなければ診断とならず治療対象とならないが、実際は検査値に現れない症状(肩こり・首こり・自律神経失調症などの不定愁訴)に悩まれている方が非常に多く、そういった方々には鍼灸・マッサージは適している → 緩和医療には適している

ということです。

これを読み「あれ、ポジティブな部分が少ないぞ」と思われた方が多いのではないでしょうか。

そうです。

鍼灸・マッサージは魔法ではありません。万能療法でもありません。あくまでも物理療法の一つでしかなく、適用範囲が限られています。

物理療法とは温熱や寒冷、電気、触覚といった外的刺激を与えて生体反応を起こさせる治療方法です。鍼は異物を挿入するという機械的刺激。灸は温熱刺激。マッサージは触圧覚を利用した機械的刺激。

そのため、鍼灸・マッサージを行うことによっておこる生体反応は決まっています。これにより鍼灸・マッサージの限界も同時に存在します。実は鍼灸・マッサージの適用範囲とは非常に狭いが本当なのです。

限界を知っていれば、鍼灸・マッサージの効果を最大限発揮する適応範囲が自ずと決まります。

あらゆる病に効果的だと思わせる・堂々と効果があるというのは、嘘か思い込みのいずれかです

「美容」「ダイエット鍼」「体質改善鍼」「冷えムクミ改善」「アレルギー改善」「神経痛改善」「うつ病克服」「自律神経失調症改善」「不妊治療」・・・・・などの鍼灸・マッサージを受けた方は心から満足いく結果は感じられましたか?

おそらくないと思います。

実はこれらには大きな嘘が潜んでいます。

これらを行う治療者に問います。

『100人の患者さん相手に説明をし、全員がその治療の内容とメカニズムをきちんと理解することは可能でしょうか?』

『他の現代医療従事者に治療の内容と作用機序を納得してもらえるように説明することができるでしょうか?』

おそらく、医学的根拠のない「言葉」「理論」による、一般人には理解できない閉鎖的な別世界の話として説明されるか、一人でも治った人がいるという事実だけを根拠にして治らないケースは患者さんのせいにすることでしょう。

今回は長くなりましたので解説はまた次回にさせていただきます。最後までお読み頂きましてありがとうございます。

 

肩こり・首こりとは具体的にどのようなものなのか、解消するためにはどうすればよいのかについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ひどい肩こりを何とかしたい!病院いけば治る?そもそも病院で診てもらう必要は?

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こり・首こりの根本解消に有効なエクササイズとは(運動学・バイオメカニクスの観点から)

【問題】以下4つの中から肩こり・首こり改善に最も効果的なエクササイズはどれでしょう?   答えは一つです。

  1. “力こぶ”の筋トレ [バイセップスカール、アームカール等]
  2. “腹筋”の筋トレ [一般的腹筋運動、シットアップ、ツイスト等]
  3. “お尻”の筋トレ [スクワット・デッドリフト等]
  4. “胸”の筋トレ [ベンチプレス・バタフライマシン等]
 

“力こぶ”の筋トレ

女性は二の腕の引き締めのために、男性はたくましい腕にするために  よくトレーニングが行われる部分です。力こぶの筋肉(=上腕二頭筋・烏口腕筋)を筋トレし続けると、肩甲骨が上・外方向に移動してきます。すると、いわゆるこる部分や首と肩甲骨をつなぐ部分の筋肉が引き伸ばされます。引き伸ばされた筋肉は縮まる性質があるため(=伸長反射)つらい部分の筋肉はどんどん固くなります。腕の筋トレを行うことによって首こり・肩こりはどんどん頑固になってしまいます。

“腹筋”の筋トレ

姿勢が悪いのは腹筋が無いからだと考え六つに割れた腹筋を目指していわゆる腹筋運動(仰向けになって膝を曲げて状態を引き起こす動作、仰向けに寝てツイストしながら状態や足を持ち上げる動作など)を繰り返し行うと腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腸腰筋・大腿筋膜張筋・大腿直筋 が負荷を受け硬化していきます。すると・・・姿勢を良くするための筋トレなのに、どんどん丸まっていき猫背を悪化させます。姿勢が悪い方が足りない腹筋はお腹のインナーマッスルである”腹横筋”です。腹横筋はいわゆる腹筋運動では鍛えることができません。

“胸”の筋トレ

女性はバストアップ、男性は厚い胸板のために高い頻度でトレーニングされる部分です。しかしこの部分の筋トレをやり続けると大胸筋だけでなく小胸筋・前鋸筋が硬化します。この3つが硬くなると、肩甲骨がこれも上・外方向に移動し①と同様の状態となります。加えて背骨も丸まりますし、肋骨の動きが悪くなるので呼吸も浅くなり肩こり・首こりだけでなく疲れやすい体と化してしまします。

正解について

正解は③の“お尻”の筋トレです。

二足歩行をすることにおいて猿と人間の差、赤子と大人の差は臀部の筋力です。つまり臀部の筋肉(大臀筋・中臀筋・小殿筋)や股関節をとりまく6つのインナーマッスル(梨状筋・大腿方形筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・上双子筋・下双子筋)が発達し機能しているため二本足で立ち、安定した歩行が可能となります。

また、人間の重心は骨盤内に収まるため、いかに骨盤を安定させられるかどうかが重心を安定させることになり良い姿勢かどうかを決定づけます。

現代人はデスクワークによる座位姿勢を続けることが多いため、臀部の筋肉が衰えやすいです。立ち仕事の方は極端に立位時間が長いため臀部の筋肉は疲労しきってしまい、いつのまにかあまり使わないようになってしまいます。このような事から現代人は①臀筋が不足している ②臀筋はあるがうまく機能していない 状態の方が大多数です。

肩こり・首こりを根本的に改善するためには、局部をほぐしたり血行を良くするよりも、良好な姿勢を獲得すること何よりも重要です。多くの方は“良好な姿勢とはどのような姿勢なのか知らない”、または“とりたくてもとれない”状況にあります。それを打開するためのひとつの手段として臀部の筋力を活性化させることが有効です。

巷には様々な方法論が出回り体幹の重要性が示唆されておりますが、『体幹=腹筋』という間違った解釈が浸透してしまっています。筋トレにおいて最も肝心なのは「人体にとって“最少負荷となる姿勢”“合理的な動きができる姿勢”を維持するために不足している筋力を補う」ということです。前後・左右・上下で無理なく平衡がとれるようにすることが大切です。“体幹トレーニング”そのものが重要なわけではありませんし、腹筋が割れれば体幹の状態が良くなるわけではありません。アスリートは最低限これが充実した上で、パフォーマンスアップのためのトレーニングがありますが、大多数はこれに到達できていない状況です。だから、トレーニングをしてもいっこうにパフォーマンスが向上しない「見せかけの筋肉」となってしまうのです。

まとめると、①②④で対象となった筋肉と、相反する作用をする部分との相対的なバランスを整えることが成功する効果的な筋トレなのです。

【重要】   腕・胸・腹は自らの目に見える部分なのでつい強調したくなりますが、本当に大切なのは側面や後面からみたあなたの姿を美しくすることなのです。

肩こり・首こりとはどのようなものなのか、おおまかな全体像をとらえたい方はこちらをご覧ください。

ひどい肩こりを何とかしたい!病院いけば治る?そもそも病院で診てもらう必要は?

硬ければ重症なの?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説

 

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こりと首こりの決定的な違い(解剖学・生理学の視点から徹底解説)

首すじのコリで悩んでいらっしゃる方は大変多いのですが、「首こり」という言葉は、「肩こり」ほど一般的ではありません。

そんな「首こり」ですが、「肩こり」は同じようなものと思われがちです。

医学的にも「そもそも肩こりとは厳密には首こりである」と説明する医師も多くいらっしゃいます。

その根拠は、肩こりの原因が、首の筋肉にあるケースが多いためです。

ですから首こりと肩こりが混同されるのは、仕方ありません。

はっきりと結論から申し上げます。

「肩こり」と「首こり」には大きな違いがあります。

ほとんど肩こりと同じような首こりが多いのは事実です。

首こりにあって肩こりにはないもの、これが一般的に知られていないために、首こりで悩まされている人が救われない原因といえるでしょう。

 

肩こりと首こりを別物として捉える医師が少ないという現実

医療の専門家(整形外科医)の多くが、肩こりとは首こりであるという認識であり、違うものとして捉えている医師が少ないのです。病院にいっても肩こりが治らない、そして首こり肩こりを専門に扱っているような病院でも治らないケースが多いという残念な状況を作り出している理由のひとつだと思います。

そもそも、肩こり・首こりで悩まれている方で、病院を探す人自体少ないでしょう。近所の整体に行ってみる人、とりあえずピップエレキバン・マグネループ・湿布に頼ってみる、痛みがある場合でも、湿布や塗り薬に頼る人がほとんど。最初から、肩がこらないようにするには?という発想がないのです。

そして、四十肩・五十肩といった肩関節周囲炎にも言えることですが病院では「原因が分かりません」「痛みの原因はたぶん○○」と曖昧な回答をされた経験をお持ちの方は多いでしょう。様子をみましょうということで、症状の緩和のための痛み止めの薬・ブロック注射をされるというのが、典型的なパターンです。

風邪を引いたらクスリなどでつらい症状を緩和している間に自分自身の体が回復していきます。クスリはあくまでつらい症状の緩和、つまり対症療法です。

風邪とちがって、慢性的な首肩こり・四十肩・五十肩は、自己回復できないのです。自己回復できない状態にまでなってしまった=慢性化です。

対症療法の効果がない場合、それらを引き起こしている原因を解決しないといけません。正常であれば原因は自己解決できます。自己解決できなくなってしまった場合は、原因療法が必要になります。

首こりと肩こりは違います!!

首こりは、「首すじのこり」「首すじの痛み」といった表現をされることのほうが多いと思います。

首すじは漢字で書くと「首筋」または「頸筋」です。字の通り、首の筋肉を意味ですが、首すじというと、首の後ろの部分、いわゆる、くびねっこ・うなじを指します。

うなじって首ですか?それとも肩ですか?

首と答える方が多いと思いますが、肩と認識されている方も一定数いらっしゃるはずです。

ここで、本題に戻ります。

肩こりと首こりの違い、それは首と肩という筋肉の部位が違いでしょ?と誰もがお思いになるはずですが、違います。

ここで問題です。

首の筋肉が原因で肩が凝る、これは首こりですか?それとも肩こりですか?

正解は、肩こりです。

ツラい症状を感じる場所で、首こりと肩こりと言葉を分けるのが適切です。

症状を感じる場所が違う以外にも、肩こりと首こりとでは明確な違いがあります。肩こりと首こりの決定的な違い、それは神経症状として出るか出ないかです。

首こりは神経症状が出るのです。

「首こり」は神経に症状が出てしまう

首こりによる感覚神経の症状

首にはたくさんの神経が集中しています。

誰もが経験する頭痛。この頭痛は首と関係しているケースが多く「緊張性頭痛」という言葉はご存じの方も多いのではないでしょうか?

緊張性頭痛とは?

頭部の感覚は、大後頭だいこうとう神経、大耳介だいじかい神経、小耳介しょうじかい神経等といった神経が感じます。これらの頭部の感覚を担う神経は、首の骨の内側にある脊髄から出ているのです。 首がこると首の神経を圧迫し、後頭部・側頭部・頭頂部の痛みを誘発します。これがいわゆる緊張性頭痛です。(もちろん後頭筋や側頭筋などといった頭部の筋肉のコリが直接神経を圧迫する場合もあります。)

頭だけでなく肩・腕の神経の問題も首がポイント

肩~腕~手の動きや感覚を担う神経、および血管も首に由来します。神経は頚椎から出るのでイメージがつきやすいのですが「心臓から出た血管が腕に行く前になぜ首へ?」と疑問をもたれる方は少なくありません。解剖学を紐解くことで、その疑問は解決します。

心臓をスタートとする血管は一度鎖骨の高さまで上に上ってからまた腕の方へ降ります。その首の前側の鎖骨近辺で、首の筋肉である斜角筋しゃかくきんを貫くため、首こりによってシビレや血流障害による冷えなどが生じます。正確には斜角筋しゃかくきんはその位置によって前・中・後の三つに分かれ、前と中の間を斜角筋隙しゃかくきんげきという狭い隙間があります。この隙間に神経(腕神経叢=腕を支配する神経群)と血管(鎖骨下動脈・鎖骨下静脈)があるのです。首こりで斜角筋しゃかくきんが硬くなるとこの隙間を圧迫するのです。

ですが、これらはレントゲンに写りません。ですから病院でレントゲン検査をしても異常なし、となります。

これが、肩こり・首こりの重症の方が、腕や肩甲骨周囲に放散する不快な症状を自覚して、病院で検査しても異常なしとされる理由です。首が原因による腕の症状のうち、病院で原因不明、異常なしとされてしまう例として「手の冷え」があります。手が冷えるのは血流が悪いためです。なぜ血流が悪くなるかといいますと、首のコリにより血管が元詮をされている状態だからです。つまり冷えてしまっている末端を温めても温めても改善はしません。元栓がしまっている以上、血行がよくならないのです。

この症状は、正式な病名として胸郭出口きょうかくでぐち症候群の一つともいえます。ただ、胸郭出口きょうかくでぐち症候群は、肩こり・首こりだけが原因ではありません。

胸郭出口きょうかくでぐち症候群かも?と思われたら・・・

胸郭出口きょうかくでぐち症候群が疑わしい場合は、まずは整形外科にて骨や内臓の問題(特に頚椎の状態ですね)をチェックしていただき、異常がないということの確認が必須です。というのも、シビレや冷えなどは神経系・循環器系の病気が隠れている可能性があるため、決して軽視はできないからです。

特に目立った異常が見当たらない、ということであれば胸郭出口きょうかくでぐち症候群への理学療法が適応できます。胸郭出口きょうかくでぐち症候群は単にマッサージや鍼灸、電気・温熱療法だけでは、その場しのぎ止まりで、改善は困難です。

その場しのぎとはいえ、まず、緊張が高まっている斜角筋しゃかくきんを中心とした首の筋肉を弛める必要があります。筋肉を緩めた後、首に負担のかからないようにする筋力を強化しなくてはいけません。筋力強化が胸郭出口きょうかくでぐち症候群に対して必要なのです。

胸郭出口きょうかくでぐち症候群に対して行う筋力トレーニング

胸郭出口きょうかくでぐち症候群になりやすいのは、痩せ形・なで肩の女性です。女性はどうしても筋力が弱いため、首周囲へ負担が強いられてしまうという背景があります。ですから、筋力強化はもちろん必要なのですが、その筋力強化とは単にダンベルや重りをもって筋肉を肥大させる運動ではございません。強化すべき筋肉は体幹とインナーマッスルなのです。体幹とよばれる胴体部分の筋肉とインナーマッスルを活性化させると、体を効率よく負担がするないように動かすことができるようになります。ここで強化ではなく「活性化」と表現したのは、強化というとどうしても単に筋肉をつけて「マッチョ」になることと思われるためです。そうではなく、あくまでも負担なく合理的に体を動かせるようになることが目的で、そのための筋力トレーニングは筋力の強化ではなく活性化なのです。イメージとしては、女性でいうと痩せすぎていない「健康美」、男性でいうと「細マッチョ」です。胸郭出口きょうかくでぐち症候群に対して行う筋力トレーニングは、これを目指した体造りを行っていきます。

繰り返しとなりますが、ここでいう筋力強化は、重量物を歯を喰いしばって持ち上げるようなハードなトレーニングの必要はまったくございません。

まずは整形外科で診てもらうましょう!

胸郭出口きょうかくでぐち症候群になりやすい方を上記であげましたが、あくまでそれは「教科書的になりやすい」例にすぎません。

たとえ体重が多くても、筋肉量が多いとは限りません。個人的には発症しやすい例として「痩せ形」と表現することに疑問をもっています。痩せている女性やなで肩の女性に多いとはいえ、デスクワーク中心の男性にも実際多く見られます。

話が少しそれましたが、そのため「首肩こり」「(常にではないけどたまに)手にがしびれる」「手が冷えやすい」ということに心当たりがある方は、本当に症状が重篤になる前に一度整形外科にて診ていただき、MRIやCTといった検査を受けてください。ヘルニアや頚椎症の可能性があります。ヘルニアというと腰のイメージが強いですが、腰も首も背骨という意味では同じです。首のヘルニアは、頚椎椎間板ヘルニアといいます。

整形外科での検査で異常が無いようでしたら、整形外科の範疇ではないということになります。問題は、骨ではなく筋肉です。是非、軽症のうちに治してしまいましょう。胸郭出口きょうかくでぐち症候群は、解剖学に基づいた筋肉、そして、その動作に対する施術が必要となります。基本的には肩こり・首こりへの対処と同じなのです。

整形外科に行って異常なしとされ、次にどうすればよいか分からなくてお困りの方は以下の記事をご覧ください。

首肩腰でお悩みの方を迷わせない!病院・鍼灸院・整骨院・サロン選びのコツ

 

首こりによる自律神経の症状

首には上神経節・中神経節、星状神経節という自律神経(交感神経)のツボのような要所が存在します。

これらが首こりによって、圧迫刺激されることによりバランスを乱し、偏頭痛や吐き気、めまい、睡眠障害といった自律神経失調症状が引き起こされます。

この神経のツボ(交感神経節)は左右一対あり、数珠のように首から腰まで背骨の際を一つながりになり、交感神経幹という組織を形成します。そのため、それらが不調となると肩甲骨や背中の不快感にもつながります。

さらには自律神経への影響として血圧の変動といった循環器・各内臓機能も不安定となり、イライラや情緒不安定などの精神症状にもつながります。

また、迷走神経という副交感神経も脳から出て首の筋肉間を通って内臓へと下降していくため首こりにより不要な刺激を受けることでバランスを乱し、内臓諸機関の機能を乱します。

首肩こりと自律神経の関係を検索して調べていくと、自律神経が乱れるという所までは同じだが、つきつめると交感神経に着目してる説と副交感神経に着目している説があり、とてもわかりにくいと思います。

実はこれらは表裏一体でシーソーのように均衡を保っており、一概にどちらか一方のみといういいきれないというのが実情なのです。

首肩こりにお悩みの方は元々精神的ストレスを抱えていらっしゃる方もいますし、首肩がつらくてストレスとなってしまっている方もいます。天候など気圧の影響を受けやすい方も自律神経は乱れやすい体質といえます。

このような方々は自律神経のシーソーのバランスがとりにくく、片方へ傾いたら戻れなくなってしまったり、戻ろうとしたら戻りすぎてかえって反対に傾いてしまったりとしてしまうわけです。これがいわゆる「自律神経が乱れた状態」です。

つまり、自律神経を考える場合、対をなす交感神経と副交感神経がどちらか一方が働いてもう一方が働かなくなるいうように絶対的に変化するのではなく、あくまでも相対的なものなのであるとうことを頭にいれていただきまして、どちらか一方に着目するのではなく、ある事象が起きることによって双方に影響が出ることがあり、それは個人差があるということをご理解いただきたいと存じます。

そのため当記事でも首こりによって交感神経・副交感神経療法への影響をご紹介させていただきました。

このように首こりは悪化・長期化すると自律神経系の異常をきたし全身症状へと移行していきます。 (交感神経と副交感神経を合わせて自律神経といいます)

肩こりは主にその局所のつらさに留まる一方、首こりは高い頻度で全身症状へ移行してしまうため、首こりのほうがつらいと感じる方が多い傾向にあるようです。

病状は

  • 肩こりから首こりに移行するパターン
  • 首こりの症状として肩こりを感じるパターン

の2パターンあります。

肩こりを放置して首こりへ移行してしまわないようにするには、悪化しないためのケアを行うか、できるだけ早く治してしまえば問題ありません。

首こりの方はのんびりしているとどんどん悪化していってしまうので早急に集中的な対処を推奨します。

これは多くの肩こり・首こりの患者さんを診てきたセラピストとしての経験的なものですが、「施術をしてもすぐに元通り」という方は、肩こりではなく「首こりが原因」の方が多いです。

「首こり」と「肩こり」は似て非なるもの、この見極めはとても重要です。

肩こり・首こりと聞くと気軽に感じるかもしれませんが、それらは体からの悲鳴です。

肩こりや首こりを根本的に改善するということは、つらい症状を引き起こしている原因をひとつひとつ解決することです。つらい部分の症状を緩和しても再発するだけで、薬、お店、病院に通い続けることになるだけです。時間やお金がかかるだけでなく、厄介なことに徐々に悪化していきます。

ですから、どこで診てもらうか?どこに通うか?がとても重要になります。

どこに行けば肩こりは治るの?

まずはご自身の体が”どのような状態”で”何が起こっているのか”を知りましょう。医療機関などでの説明を受け身ではなく、理解する、疑問に思ったら質問して信頼できるかどうか見極めましょう。そのためには、正しい知識・情報が必要です。

重要なことですので、繰り返し申し上げますが、肩こり・首こり・腰痛に対してでもっとも大切なことは、症状の見極め、原因の究明です。これを間違えると、どんなによい腕を持った医師・セラピストでも改善することはできません。

マッサージ業界では、ゴッドハンドと呼ばれる(自称?)人がもてはやされますが、つらい症状を緩和するだけなら、ある意味誰でもできるといえます。

本当の意味で腕のいいセラピストとは、つらい症状の原因を正確に把握して、その人その人にあった適切な処置ができる人である、そう私は思います。そして、そう思っていただくために、セラピストの道を前へ前へと進んでまいります。

体操・ストレッチ・温熱療法など血行改善により肩こり・首こりが解消されない理由 (医学的根拠に基づき神経生理学の観点から解説)

以下の記事では医学的根拠に基づき肩こり・首こりについて解説しています。

鍼灸・マッサージの裏事情(1) 硬ければ重症か?コリのメカニズムを神経生理学の観点より解説

鍼灸・マッサージの裏事情(2) 首ポキ解消法の真相 脳血管障害・死亡率との関連性

鍼灸・マッサージの裏事情(3) 血行改善により肩こり・首こりが解消されない理由 (医学的根拠に基づき神経生理学の観点から解説)

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


競技者のパフォーマンスコントロールに有効なバイオフィードバックとは

アスリートが最高のパフォーマンスを発揮していただくために

アスリートにとって「調子が良い」状態を維持することは非常に大切です。しかしながら様々な要因が絡み合い「調子の波」があることは避けられません。

そこで重要となるのが「調子が良い時をいかに長くして、悪い時をいかに減らすか」ということです。調子が落ち込むことを避けられないならば、その状態を極力短期間にすれば良いのです。

 

その手助けとなるのがバイオフィードバックです。

 

それは、様々な刺激や環境条件の元で自らの体がどのような反応を示すのかということを客観的に認識することです。

主には生体の反応を数値化して自分の現状を視覚的に認識できるようにします。

このようにして、ある一定の刺激に対して自分の体がどのように反応するか、それがプラスなのかマイナスなのか客観的なデータを元に知ることをバイオフィードバックといいます。

調子が悪い時にそれをいち早く回復させるために、調子が良くなる条件を客観的なデータを元に知ることです。

 

例えば、ある音楽や匂いを嗅ぐと血圧や心拍数が優位に減少したとします。この事実をデータとして自身が認識することで、試合直前で緊張してあがってしまいそうな時にそのような刺激を与えることで心身ともにコントロールすることができます。

また、スランプに陥ってしまい体の機能がうまく噛み合わなくなってしまった時にも、調子の良い時にのフォームや関節の動きをデータとして残しておくことで、いち早く軌道修正が可能となります。

国立科学スポーツセンターではトッププロのサポートとして、このように様々なデータ収集が常日頃から行われています。

 

 

バイオフィードバックと単なるジンクスとの違いは、客観性があるかないかです。とはいえ、正確なデータ収集はアマチュアアスリートにとって困難です。

しかし、自分が調子の良い時はどのような心拍数や血圧なのか、はたまたどのような音や匂いを嗅ぐと心身共に安定するのかを知っておくことは重要だと思います。調子の良い時の動きを動画で残し、それを視覚的に確認するだけでも十分効果的です。

人間の脳は視覚からの情報がかなり重要視されるので視覚として認識できる形として記録を残すことが大切です。これらによりパフォーマンスのムラを軽減することや、スランプの早期脱出ができるのではないでしょうか。

 

アスリートにとってのパフォーマンスのコントロール、しいては心身のコントロールは永遠の課題です。

最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございます。

今回の記事はお役に立ちましたでしょうか?パフォーマンスアップについてお悩みの方、なんとかしたいとお思いの方、是非、一度ご相談ください。

SNSにて他の方にシェア頂けると励みになります。

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

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一流アスリートと二流アスリートを隔てる壁〜トレーニング計画の重要性

常に進化し、記録更新やパフォーマンスアップをし続けることができる一流アスリート。

対して、練習をやってもやっても一向に先に進まない、いつまでたっても現状打破できない二流アスリート。

この二者間には、前者からは見えるが後者からは見えない大きな壁が存在します。

 

一流選手と二流選手の決定的な差は何でしょうか?

 

今一度じっくり考えてみましょう。

今、あなたの肉体とパフォーマンスが明らかに右肩上がりに伸びて精神的にも充実していたとします。アスリートとして大成するために今一番大切なのは、この右肩上がりの状態を維持することです。

そこであなたがとるべき行動は何でしょうか?

おそらく大多数の方は心身共に充実している「今」が心地良くてそのままトレーニングを継続するか負荷を増加させていくでしょう。

その先に待っているもの。

はい。そうです。

故障です。

多くの二流アスリートは調子が良いとそのままそれが続くと思い、強弱とケアをおろそかにしてトレーニングをし続けます。そうすると知らぬ間に疲労が蓄積し徐々にパフォーマンスが低下していきます。

ここが分岐点となります。

この分岐点を把握し、コントロールできるか否か、これが一流と二流を分けることになります。

一流アスリートが行っていること

 

一流アスリートは先に述べた「分岐点」を認識しているため、事前に対策を行います。しかし二流アスリートは、スポーツ障害となりトレーニングを中断せざるをえなくなります。するとパフォーマンス低下は加速し、トレーニング前と同レベルかそれ以下に落ち込みます。しばらく療養しケガが治ったらトレーニングを再開しますが、本質がわかっていないためこれをひたすら繰り返してしまいます。

結局、年間単位でみてみると、一年経って全く立ち位置がかわっていないという状況となります。これは大成しない二流アスリートが陥っている典型的パターンなのです。

一流アスリートは、トレーニングよりもケア・治療に時間・お金をかける人が多いのは、ご存じの方も多いはずです。時間やお金をたくさん費やすことが大切なのではなく、かけるべきポイント、先に申し上げた「分岐点」の認識が大切なのです。

 

一流選手になるために必要なこと

 

一流選手になるために具体的に何をすればよいのでしょう?

一流選手のように事前に対処すること、これは今からでも遅くはありません。アスリートは競技力・パフォーマンスを向上させたいからこそ、つらいトレーニングを行っているはずです。誰も故障したくて故障しているわけではありません。誰もが進化を望んでいます。

目の前に落とし穴があり、それをあらかじめわかっていたとしても、避けられるものだとしても突っ込んでいく必要はありません。ですが、そうせざるを得ないことも多々あります。オリンピックやサッカーW杯が4年に1度しかないように、競技・大会・選考のタイミングは時として残酷です。本当に残念な涙をたくさんみてきました。だからこそアスリートはこのパターンにはまってしまうことだけは避けていただきたいと切に願います。

自分を追い込むことに逃げず、計画的に休む

多くの方は筋トレした翌日は超回復のために休んだ方が良いということは知っています。しかし数週間、数ヶ月単位といった長期間にわたるトレーニングセッション、トレーニング処方の組み合わせまで考えている人は極僅かです。そしてその計画の本当の意味まで理解していなければなりません。ストレングスなのかファンクショナルなのかフィットネスなのか、はたまたトリートメントなのか各トレーニング処方の本質的意義を認識する必要があるのですが、なされていないもしくは勘違いしている・思い込んでいるケースが多いです。

筋トレひとつにしても、その内容と目的により休息時間や頻度が異なります。

ここに問題がありました。

アスリートにとってピークパフォーマンスを発揮できるのは本当に短い期間です。そして競技レベルが上がれば上がるほど頻度が減り、年に何回もありません。目標となる大会や記録会とそれを合致させ、良い結果を出すことがトレーニングの最大の目的であるはずです。

目標が山の頂上にあり、いかにピークパフォーマンスの頂点とマッチさせることを考える必要があります

調子が良くてどんどん向上している「今」だからこそ、スポーツ障害に陥りパフォーマンス低下してしまうリスクも同時に潜んでいるということを忘れてはいけません。

調子が良い「今」だからこそ積極的休養、そしてケアを。

トレーニングをしないと不安だから、、、

とにかく追い込んで体をつくる、、、

休むのが嫌い、、、、

などといった単に自分の感情に任せてのトレーニングをしていては先へは進むことができません。

感情に流されず客観的視点にたってトレーニング計画をたてましょう

つらく苦しいトレーニングを行う目的とそれを行うモチベーションは、最高の結果を求めるからです。トレーニングをして前に進んでいなければ、あなたの今行っていることのどこかに、そもそも計画自体にエラーが生じている何よりもの証拠です。

アスリートに限らず人は、答えや結果ばかり安易に求めてしまいます。トレーニングに対してもより効率的に、効率的なトレーニングだから人の倍行えばさらに・・・と欲に流されがちです。それを自分を追い込むという精神論で美化しようとしてしまいます。ポジティブな思考はとても大切ですが、それ以上にどのような状況でも冷静に考えることができる精神的な強さが必要です。

伸び悩んでいるアスリートは、トレーニングの方法論うんぬんの前に、トレーニング計画の重要性を今一度お考えください。

計画を組み立てるには冷静な思考・判断が大切ですが、きちんとしたトレーニング計画とその意味・意義を理解していれば無理や無茶をせず冷静さを保てるはずです。

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
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