前回のブログでは、「視覚(見え方)」が姿勢や体のバランスに関係していることについてお伝えしました。
・周囲との距離感
・空間の広がり
・景色と動きの一致
などを、私たちは無意識に利用しながら姿勢や動きを調整しています。
今回はその続きとして、長時間のデスクワークの方で起こりやすい
⚫︎長時間画面を見続けることでの「固定視」の増加
⚫︎それに伴い、周囲を見る力である「周辺視」の低下
が、首や肩こりにつながる理由について解説していきます。
デスクワーク中の目はどうなっている?
長時間のデスクワークでは、目の使い方が偏りやすくなります。
パソコン作業中は、画面に表示される近くの小さな情報を集中して見続けています。
すると自然と、
「一点をじっと見る時間」が長くなり、反対に「周囲を見る時間」が少なくなっていきます。
例えばデスクワークに集中している時、
・画面以外の周囲の様子があまり入ってこない
・同僚が近づいてくることに気がつかなかった
・呼びかけられてハッとする
といった経験はないでしょうか。
これは、目の前に集中するあまり、周囲を見る働きが少なくなっている状態です。
本来、私たちは目の前だけでなく、
・周りの景色の様子
・空間の広がり
・周囲の人や物の動き
なども無意識に捉えながら過ごしています。
しかしデスクワークでは、視線が同じ場所に留まりやすく、見える範囲も狭くなりやすくなります。
つまり、「一点を見続ける状態」が増え、「周囲を自然に見る状態」が減っていくのです。
このような目の使い方が長時間続くことで、体も徐々に緊張しやすくなっていきます。
固定視が続くと体は緊張しやすくなる

私たちの体は、見えている情報をもとに無意識に体を調整されています。
特に、一点を集中して見続けている時は、脳も「集中モード」に入りやすくなります。
例えば、
・細かい文字を見続ける
・ミスをしないように注意しながら作業する
・長時間パソコンの画面に集中する
といった状況では、自然と周囲を見る力が減り、視野が狭くなりやすくなります。
集中するために視野が狭くなること自体は、自然な反応です。
しかし、その状態が長時間続くことで、体は徐々に緊張しやすくなっていきます。
本来、私たちは周囲の景色や空間の広がりを無意識に捉えながら、姿勢や動きを調整しています。
ところが固定視が続くと、「周囲を広く把握する」という働きが低下していきます。
すると体は、その不安定さを補うように、
[肩や首に力が入る]、[呼吸が浅くなる]、[体が固まりやすくなる]
といった反応を起こしやすくなります。
周辺視が狭くなると「警戒モード」になりやすい
前回のブログでもお伝えしたように、周辺視には、
・周囲との距離感
・空間の広がり
・動いているものの位置の把握
といった役割があります。
しかしデスクワークでは、近距離にある画面ばかりを見る時間が長くなります。
すると、「周囲を見る」という働きが減り、周辺視が狭くなりやすくなります。
周辺視が十分に確保されていない状態では、脳は周囲の状況を把握しにくくなります。
すると体は、「安心・安全が十分に作られていない状態」として、無意識に警戒を強めやすくなります。
その結果、
・肩や首が固まる
・背中が緊張する
・呼吸が浅くなる
・疲れやすくなる
といった状態につながることがあります。
これは、「どのように周囲を見ているか」という“見え方”と脳の反応も関係している可能性があります。
当院の患者さんの中には「気が付いたら、3時間もパソコン作業を続けていた」という方もいらっしゃいました。
このような状態では、
・パソコンの画面を見続けたことによる固定視の増加
・周辺視の低下
・同じ姿勢の保持(頭や肩が前に出る、背中が丸まる)
・呼吸が浅くなる
・交感神経優位
などが同時に起こりやすくなります。
3時間も集中を維持できること自体は素晴らしいことですが、その間、筋肉や視覚への負担は少しずつ積み重なっていきます。
また、この方は「人混みの中では人とぶつかることが多い」ともおっしゃっていました。
もちろん原因は一つではありませんが、周囲を見る力(周辺視)がうまく使えていない状態では、周囲の人や動きへの反応が遅れやすくなることがあります。
長時間の固定視によって周辺視が狭くなっていることも、その一因になっている可能性があります。
なぜ首や肩に負担が集中するのか
私たちが目を使っている時、実は首の筋肉も同時に働いています。
視線がぶれずに安定させるために、
・頭の位置
・首の角度
・目の向き
を無意識に細かく調整しています。
そのため、
・画面を見続ける
・視線が固定される
・前かがみ姿勢が続く
といった状態では、首まわりの筋肉は長時間働き続けることになります。
特に、画面に顔を近づけるような姿勢では、頭の重さを支える負担が大きくなり、首や肩がこりやすくなります。
さらに、集中状態が続いて周辺視が狭くなると、体は無意識に力が入りやすくなります。
すると、
・肩や首の力が抜けにくい
・呼吸が浅くなる
・体が固まりやすくなる
といった状態につながっていきます。
つまり、デスクワークによる首や肩のこりは、単に姿勢だけではなく、「目を使い続けること」も関係している可能性があります。
まとめ
長時間のデスクワークでは、
・近くを見続ける
・画面に集中し続ける
・同じ姿勢が続く
といった状態が起こりやすくなります。
すると、
・固定視が増える
・周辺視が狭くなる
・呼吸が浅くなる
・首や肩に力が入りやすくなる
など、目だけでなく体全体にも影響が広がっていきます。
私たちは普段、「首こり」「肩こり」というと、筋肉や姿勢だけに原因があるように感じやすいですが、
・どのように目を使っているか
・どれくらい周囲を見られているか
・長時間集中し続けていないか
といった“視覚の使い方”も関係している可能性があります。
特にデスクワークでは、集中力が高い方ほど、気づかないうちに固定視や姿勢の固定が続いていることも少なくありません。
もし、
・パソコン作業後に首肩が固まりやすい
・集中すると呼吸が浅くなる
・人混みでぶつかりやすい
・長時間作業すると疲労感が強い
といった状態がある場合には、「筋肉」だけでなく、「目の使い方」や「見え方」という視点から体を見直してみることも、一つのヒントになるかもしれません。

執筆者:進藤 孝大
Takahiro Shindo
湘南医療福祉専門学校 アスレティックトレーナー科卒業
東京衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業
鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
A-Yoga Movement coach
目の前にいる人の体のお悩み解決に全力を尽くす。
その想いだけで活動してまいりました。
スポーツトレーナーとして培ってきたノウハウと経験を活かして、
運動療法と鍼灸マッサージを組み合わせた治療を提案。
ご自身に合った適切なケア方法等、皆様のお悩み解決に向けて徹底サポートを行います。


































