あなたの目は大丈夫?|首肩こりにつながる“見え方”のセルフチェックとセルフケア

前回のブログでは、長時間のパソコン作業によって「固定視(一点を見続ける状態)」が増え、「周辺視(周囲を見る力)」が低下しやすくなることが、首や肩こりにつながる可能性についてお伝えしました。

ただ、自分の目がどのように使われているのかを普段意識することはあまりありません。

そのため、自分の目の使い方に偏りがあったとしても、気がついていないことが多いです。

そこで今回は、ご自宅で簡単にできる視覚のセルフチェックとセルフケアをご紹介します。

なぜ視覚のセルフチェックが必要なのか

私たちは普段、「ものが見えているかどうか」は気にしていても、「どのように見ているか」を意識することはあまりありません。

いわゆる、視力の良し悪しの部分で、ものがぼやけて見えていないかの部分はわかりやすいです。

そのため、目の使い方に偏りがあっても、自分では気がつきにくいことがあります。

例えば、

・長時間同じ場所を見続けている

・周囲を見る機会が少ない

・目の動きが少なくなっている

といった状態です。

こうした状態が続くと、目だけでなく首や肩にも負担がかかることがあります。

まずは現在の状態を知るために、簡単なセルフチェックを行ってみましょう。

なお、今回ご紹介するチェックは診断を目的としたものではありません。

あくまでも現在の状態を知るための目安として行ってみてください。

周辺視のセルフチェック

まずは、周囲を見る力(周辺視)を確認してみましょう。

周辺視とは、正面を見ている時に、その周囲の情報を捉える力のことです。

私たちは普段、この周辺視を使いながら周囲との距離感や空間の広がりを把握しています。

<やり方>

1. 顔の正面に両手を伸ばし、親指を立ててそろえます

2. 目線は正面に向けたまま、両方の親指をゆっくりと外側に開いていきます。

3. 視野の外側へ移動した親指が、どのくらいまで見えているかを確認します

<チェックポイント>

・左右で見えやすさに差がある

・見えている範囲が狭い

・指を見ようとして首や肩に力が入る、頭が動いてしまう

<チェックの目安>

個人差はありますが、両腕を肩の高さまで開いた状態(180°腕を開いた状態)でも、正面を見たまま親指の存在や動きが分かることが一般的です。

左右差が大きい場合や、腕を少し開いただけで親指が見えなくなる場合は、周辺視が十分に使えていない可能性があります。

※このチェックは診断を目的としたものではなく、その日の疲労や集中状態によっても結果は変化します。

<なぜ大切なのか?>

長時間のパソコン作業では、画面を見る時間が増えることで、周囲の状況を見る機会が少なくなります。

その結果、周辺視野から入る情報を十分に捉えにくくなっていることがあります。

人混みで人とぶつかりやすい方や、最近つまずくことが増えた方は、一度チェックしてみるのも良いかもしれません。

もちろん原因は一つではありませんが、周囲の情報をうまく捉えられていないことが影響している場合もあります。

目で指を追うセルフチェック

次に、目がスムーズに動いているかを確認してみましょう。

私たちは普段、近くのものを見たり遠くのものを見たりしながら生活しています。

その際には、目線を合わせるだけでなく、対象との距離に応じて両目を協調させながら焦点を調整しています。

長時間のパソコン作業では近くを見る時間が増えるため、この働きに偏りが生じることがあります。

<やり方>

1. 顔の前に腕を伸ばして親指を立てます

2. 親指の爪の白い部分に目線を合わせます

3. 顔は動かさずに、親指をゆっくり手前に近づけます

4. その後、元の位置までゆっくり戻します

連続で10回くらい繰り返します。

<チェックポイント>

・親指を1つのものとして見続けられているか

・手前に指を近づけた時に、親指が二重に見える

・親指の動きに合わせて、頭が動いてしまう

・まばたきが増える、涙が出る

・目が疲れる

<チェックの目安>

個人差はありますが、親指をゆっくり手前へ近づけても、鼻先の近くまでは親指を1つのものとして見続けられることが一般的です。

また、親指を遠ざけた際にもスムーズに焦点を合わせ続けることができます。

途中で親指が二重に見えたり、片目だけで見ているような感覚になったりする場合は、目を協調して使う働きが疲れている可能性があります。

※このチェックは視力の良し悪しを確認するものではなく、目の動きや使い方を確認するためのものです。

<なぜ大切なのか>

私たちは日常生活の中で、近くのものと遠くのものを絶えず見分けながら過ごしています。

しかし、長時間のパソコン作業では近くを見る時間が増えるため、目の使い方が偏りやすくなります。

その結果、近くと遠くの距離に応じて目を調整する働きがスムーズに行えなくなっていることがあります。

また、目の働きを補うために首や肩周りの筋肉へ負担がかかり、首こりや肩こりにつながる可能性もあります。

視線を切り替えるセルフチェック

続いて、視線を素早く切り替える力を確認してみましょう。

私たちは日常生活の中で、複数の対象へ視線を移しながら周囲の状況を把握しています。

例えば、

・会話中に相手の顔を見て、視線を少し逸らす

・車の運転中にミラーや周囲を確認した後、前を見る

・歩きながら周囲の人や障害物を確認しながら歩く

といった場面では、視線を素早く切り替える働きが使われています。

長時間のパソコン作業では、同じ場所を見続ける時間が増えるため、この働きに偏りが生じることがあります。

<やり方>

1. 両手を肩幅より少し広めに開き、親指を立てます

2. 顔は正面を向いたままにします

3. 左右の親指の爪を交互に見ます

4. 親指から親指へ、視線を素早く切り替えます

1秒に1回のペースで30〜50回程度繰り返してみましょう。

<チェックポイント>

・左右で見やすさに差がある

・親指にうまく焦点が合わない

・親指を見る時に頭も一緒に動いてしまう

・涙が出る、目が疲れる

・首や肩に力が入る

<チェックの目安>

左右どちらの親指にもスムーズに視線を移すことができ、首や肩に余計な力が入らない状態が理想的です。

左右差が大きかったり、視線を切り替えるだけで目や首が疲れたりする場合は、視線を切り替える働きが十分に使えていない可能性があります。

※このチェックは視力の良し悪しを確認するものではなく、目の動きや使い方を確認するためのものです。

<なぜ大切なのか>

私たちは日常生活の中で、必要な情報へ素早く視線を移しながら周囲の状況を把握しています。

しかし、長時間のパソコン作業では同じ場所を見続ける時間が増えるため、視線を切り替える機会が少なくなります。

その結果、目の動きがぎこちなくなったり、目が疲れやすくなったりすることがあります。

また、目の働きを補うために首や肩周りの筋肉へ負担がかかり、首こりや肩こりにつながる可能性もあります。

デスクワーク中にできる簡単セルフケア

ここまでセルフチェックをご紹介してきました。

気になる項目があった場合でも、過度に心配する必要はありません。

その日の疲労や睡眠不足、長時間の作業などによっても結果は変化します。

ここからは、デスクワーク中でも簡単に行えるセルフケアをご紹介します。

周囲の景色を眺める

長時間のパソコン作業では、画面の一点を見続けることで視野が狭くなりやすくなります。

そんな時は、一度顔を上げて部屋全体や窓の外の景色を眺めてみましょう。

机や壁などを個別に見るのではなく、部屋全体を一枚の写真のように捉えるイメージです。

目の前だけに向いていた意識を周囲へ広げることで、固定視が続いた状態から切り替えるきっかけになります。

動いているものを眺める

長時間のデスクワークでは、目の前の文字や画面を見る時間が長くなり、目を大きく動かす機会が少なくなります。

そこで、窓の外を歩く人や車、電車、風で揺れる木々などをゆっくり目で追いかけてみましょう。

何かをじっと見るのではなく、自然に動いているものを眺めることがポイントです。

デスクワーク中に少なくなりがちな目の動きを取り戻すきっかけになります。

周囲を見渡す時間を作る

パソコン作業に集中している時は、視線が一か所に留まりやすくなります。

そんな時は、部屋の中にある時計、本棚、ドア、窓などを順番に見てみましょう。

一点を見続けるのではなく、視線を様々な場所へ移していくことがポイントです。

周囲の状況を確認するように見渡すことで、デスクワーク中に少なくなりがちな視線の切り替えを促すことができます。

まとめ

長時間のデスクワークでは、

・画面の一点を見続ける

・近くを見る時間が増える

・同じ姿勢が続く

といった状態が起こりやすくなります。

その結果、

・周辺視からの情報が得られにくくなる

・近くと遠くを見るための目の調整が偏る

・視線を切り替える機会が減る

など、目の使い方にも変化が生じることがあります。

今回ご紹介したセルフチェックは、視力の良し悪しを調べるものではなく、「目をどのように使っているか」を確認するためのものです。

チェックの結果に気になる点があったとしても、その日の疲労や睡眠不足、長時間の作業などによって変化することも少なくありません。

まずは現在の状態を知ることが大切です。

また、セルフケアとしてご紹介した

・周囲の景色を眺める

・動いているものを眺める

・周囲を見渡す時間を作る

といった方法は、特別な道具を使わずに取り組むことができます。

デスクワークの合間に数十秒行うだけでも、固定視が続いた状態から切り替えるきっかけになるかもしれません。

首こりや肩こりというと筋肉や姿勢に目を向けていくことは多いのですが、「目の使い方」や「見え方」が関係している可能性もあります。

パソコン作業後に首や肩がつらくなる方は、ぜひ一度ご自身の視覚の使い方にも目を向けてみてください。


執筆者:進藤 孝大
Takahiro Shindo

湘南医療福祉専門学校 アスレティックトレーナー科卒業
東京衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
A-Yoga Movement coach

目の前にいる人の体のお悩み解決に全力を尽くす。
その想いだけで活動してまいりました。
スポーツトレーナーとして培ってきたノウハウと経験を活かして、
運動療法と鍼灸マッサージを組み合わせた治療を提案。
ご自身に合った適切なケア方法等、皆様のお悩み解決に向けて徹底サポートを行います。