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肩こりの原因(1)|肩こりや首こりの原因は血行不良や筋膜の癒着だけではありません。凝りでつらい部分は何がどうなっているのか?

はじめに

肩こりは大きく分けて、症候性肩こりと本態性肩こりの二つに分けられます。

 

症候性肩こりは、病気が元になって生じている肩こりで、この場合は医療機関にて病気の治療が必要となります。例えば、風邪の諸症状としての肩こり、メニエール病に伴う肩こり、肩関節周囲炎に伴う肩こり、うつ病に伴う肩こり、心臓病に伴う肩こり、などがあげられます。しばしば、テレビなどメディアで「肩こりだと思ったら怖い病気だった」などと報道されるのがこれにあたります。

 

一方、病気が元になって生じていないもの、言い換えれば症候性肩こり以外の肩こりを本態性肩こりといいます。本態性肩こりとは、症状は存在するけれど、現代医学的にはその原因が明らかでない肩こりのことを指します。世の中の多くの方が想像し、ご自覚される肩こりは、この本態性肩こりとなります。

 

本稿では、多くの方が該当する本態性肩こりの原因について解説していきます。

 

さて、本態性肩こりの原因は医学的に明らかとされていないのに、なぜ解説できるのかという矛盾を感じる方もいるかもしれません。

 

医学的に原因と言い切れるものは、因果関係が明確となった場合です。ですが、本態性肩こりを考えるうえで非常に難しいのは、ひとつの事象と症状発生の因果関係を見出すことが困難であるという点です。

 

筆者が考察する、本態性肩こりの原因を特定することが難しい理由は以下の4つです。

  1. 痛覚の閾値に個人差があるように、症状を自覚するにも個人差がある
  2. 症状は運動器(主に筋肉)にでるが、発症や症状の増減には自律神経や精神の影響を受ける
  3. 原因は想定できるが、定量化し難いため因果関係を見出すのが困難
  4. 複数ある原因が単一または複数絡み合うことで症状がでるが、この組み合わせに個人差がある

 

ご説明します。

 

たとえば、不良姿勢、柔軟性低下、筋力不足、運動不足などですと肩こりになりやすいイメージがあると思いますが、皆がそうであるかというとそうではありません。

おそらく皆さんの身の回りにも、姿勢が悪くても肩こりを感じない、体が硬くても肩こりを感じない、筋力がなくても肩こりを感じない、運動不足でも肩こりを感じないという方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

肩こりの原因を考える上で、まず一番の難しい点が、姿勢が悪い人が全員肩こりであるかというとそうではないという点です。柔軟性や筋力、運動量なども同様です。

例えばインフルエンザの原因は、インフルエンザウイルスに感染することです。これは因果関係がはっきりしていますが、本態性肩こりの場合は異なります。

症状が発生するわけですので、何らかの原因はあるはずなのですが、それでも因果関係が見出せない理由としてまずあげられるのは、痛みや凝りといった症状はあくまで主観であるという点です。

 

凝りも広い意味では痛みです。痛みに強い、弱いなどといわれるように、痛覚の自覚には個人差があります。貴方が痛いと感じる刺激と貴方の友人が痛いと感じる刺激は異なります。ですので、丸まった姿勢でPC作業をしていて、首肩の筋肉に負担がかかっているのは明白なのにも関わらず、症状の自覚に個人差があるのは、自覚症状の認知の仕方に個人差があるからなのです。

 

また、痛みの認知の仕方も、一個人のなかでも日々変動する様々な要素が関与しています。たとえば、自律神経やホルモンのバランス、精神的ストレス、気象条件 等、様々なことが関わり合い痛みの感じ方がかわってきます。

このように、医学的に因果関係がはっきりとした原因が見出せない理由として、まずは凝りという症状の定量化が難しいということと、認知の仕方が個人で異なるだけでなく、個人単位でも日々異なるという不確定要素が多分にあるからだと考えられます。

 

さらに、頚部の筋肉に負担をかけると考える日常生活動作、姿勢、柔軟性、筋力といった要素も、定量化がとても難しいです。

 

本態性肩こりは、定量化し難い様々な要素が関与しあって、症状が生じているため、医学的には原因が明らかとされていないとされているのです。

 

 

とはいえ、上記でも述べましたが、症状が発生するわけですので、何からの原因があるはずです。

 

 

ここからは、複数の文献や研究を元に、筆者の考察も交えまして、本態性肩こりの原因について解説していきます。尚、以下より本態性肩こりを「肩こり」と表記していきます。

 

 

肩こりの原因を考える上で大切なこと

 

はじめに、何度も繰り返しお伝えしていることですが、肩こりの原因を考える上でとても大切なことなのでここでもお話ししますね。

 

「凝り」はあくまでも「結果」です。

 

 

ですので、肩こりの原因は、二段階で考えると理解しやすいです。

 

二段階とは、

 

①症状を出している原因(凝り=結果の部分)

②「症状を出している原因」の原因

 

です。

 

この「結果=凝り」の部分はどういった状態になっているのか?これを結果因子といいます。

そして、この「結果=凝り」はなぜ生じるのか?これを原因因子といいます。

 

 

このように結果因子と原因因子に分けて考えることで、肩こりの原因が見えてきます。

 

 

 

結果因子とは

 

まずは①の「症状を出している原因」、結果因子から解説します。

 

日本整形外科学会によると、肩こりで凝り固まって症状を出す筋肉は、僧帽筋を中心に、頭半棘筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、棘上筋、菱形筋が例としてあげられています。

 

では、首や肩が凝りでつらいという時には、これらの筋肉にいったいどういったことが起こっているのでしょうか。

 

この症状を出している原因(症状の元)は大きく4段階あります。

 

 

一般的に、1)から4)になるにつれて、重症度が高い状態といえますが、一個人においてもそれぞれが混在しているケースが少なくありません。

 

1) 代謝の異常・疲労

代表的なものは疲労や循環障害(血行不良)です。筋肉を酷使することで、その筋肉が疲労することで生じる違和感や痛みです。

また、疲労した筋肉は縮こまって硬くなるので、血流を阻害し、血行不良を招きます。血行が滞ることでも痛みや違和感が出ますが、血流が滞った状態ですと、疲労も回復しにくくなるので、症状が持続してしまいやすくなります。

ただ、筋肉疲労やそれに伴って血行不良が生じることは、生体として異常ではありません。重い荷物をもったら腕の筋肉がパンパンになって痛くなる、長い階段を登ったら脚の筋肉がパンパンになって痛くなる、ということはご経験があるかと思いますが、これは異常はことではありませんね。

このように代謝障害によって症状が出現している肩こりの場合は、休息をとったり、患部の血行を改善することで解消されます。

ですので、日々の生活の中で「肩がこったなぁ」と感じても、入浴して温めたり、良く寝たら翌日には解消されているという方は、首肩の筋肉が疲労して代謝障害を起こしている状態かもしれません。

この状態の肩こりは、セルフケアでも十分に解消や改善が可能です。肩こりでも比較的軽症なものといえます。

 

 

2) 神経生理学的な異常

 

スパズム(筋緊張亢進状態)

怪我をしたり、痛みがあると、人は無意識に庇ったり動かさないようにします。痛みのある箇所を庇うというのは、その部位を防御するという意味で人に本来備わっている正常な反応です。

その一環として、神経生理学な反応として「スパズム」というものがあります。スパズムとは、傷めたり、炎症が生じた箇所の周囲の筋肉が、意思とは関係なく緊張が高まり、患部を守ろうとする防御機能です。

ですので、痛みが生じたことの反応としてスパズム(筋緊張の亢進)が生じることは正常です。一旦生じたスパズムも、スパズムを引き起こした痛みや炎症が取り除かれたら、自然とスパズムも解消されるというのが正しい流れとなります。

ところが、炎症や痛みが長引くと、スパズム(筋緊張亢進)状態も長引きます。そうなると、筋緊張が高まった状態が続くわけなので、循環障害が生じ、起因となった痛みとは別に、循環障害による痛みが生じてしまいます。

こうなるとスパズムを引き起こした元々の問題が解決しても、循環障害による痛みや違和感が生じることになってしまいます。このように、スパズムは、生じること自体は患部を守り痛みを緩和するための人体に備わった正しい反応ではありますが、スパズムが長期化することで今度は痛みを出す元になってしまうのです。

「痛みが痛みを呼ぶ」という状態になって負のスパイラルに陥ってしまうのは、スパズムという反応が関係しています。

スパズムを解消するためには、まずは早期に起因となった元の痛みを緩和することが大切となります。ですので、対症療法も重要です。

また、スパズムは、筋肉に命令をする神経の興奮によって生じるので、スパズムの解消には、神経の興奮をおさえるための対処が必要です。神経の興奮をおさえるための対処として、誰でもすぐにできることは、温めたりさすったりすることです。アイシングなどの寒冷療法が効果的な場合もあります。

 

 

3) 筋膜の異常

筋肉の筋膜(Myofascia)は物理的に筋肉を保護するためでなく、筋膜内には神経が密に分布しており、感覚のレセプター(受容器)がたくさんあることがわかってきています。そのため、筋膜の異常によって、痛みやしびれ、違和感などが生じるということがわかってきています。

 

筋膜が異常を起こして痛みが生じるものを、筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせい とうつうしょうこうぐん、Myofascial Pain Syndrome:MPS)と呼ばれています。

 

肩こりで、過緊張が起って症状を出す筋肉は、僧帽筋を中心に、頭半棘筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、棘上筋、菱形筋などがありますが、これらの筋膜が異常をおこして症状が出ている場合もあります。

 

筋膜の異常は大きく分けて三つあります。

1, 高密度化(筋膜のシワ)

「筋膜のシワ」とよばれるものです。血行不良の状態が続くことで、筋膜への循環不全が長期化することで、筋膜の水分量が低下してしまっている状態です。構造自体がかわってしまっているわけではないので、改善のためには、患部の血行を増加させて、筋膜への水分補充をすることが必要です。

 

2,滑走性低下(癒着)

筋肉は筋膜で覆われていますので、隣接する筋肉は筋膜で接しています。この筋膜間には潤滑物質であるヒアルロン酸があります。不動の状態(動かさない状態)が続いたり、血行不良が続くことで、ヒアルロン酸の水分量が低下し、隣接する筋膜同士がくっついて動かなくなってしまいます。このように動きが悪い状態(滑走不全)がさらに長期化することで、癒着して完全に動かなくなっていってしまいます。動いていた箇所が動かなくなるわけですから、関節可動域や動作に変化が生じるだけでなく、循環不全にも拍車がかかります。筋膜の滑走不全を改善させるには、筋膜間のヒアルロン酸に水分を与えることが必要です。高密度化を改善させるのと同様、構造自体がかわってしまっているわけではないので、患部の血行改善が必要です。

 

3,線維化

筋膜に対して組織の強度を超える物理的な負担がかかると傷や炎症が生じます。傷や炎症が同様の場所に反復継続的に生じたり、大きな損傷が生じると、きちんと元通りに組織の修復が行われず、「かさぶた」のような状態で治癒が終わってしまいます。この「かさぶた」の様なものは瘢痕組織といって、筋膜とは別に組織になってしまいます。このように、線維化は、スポット的に筋膜が筋膜ではない組織になってしまうことをいいます。線維化してしまった筋膜は、血行を改善しても基本的には元にはもどりません。ですので、この筋膜の線維化は、正しくは機能的変化ではなく、下記の構造的変化に該当しますが、筋膜の異常の一環として、こちらに記載させていただきました。

 

筋膜について詳しくはこちらにまとめましたので併せてご一読ください。

 

 

 

4) 構造的変化

代謝障害や神経生理学的な異常はあくまでも機能の変化でしたので解剖学的な組織の性質や形状が変わってしまうということはありませんでした。一方、構造的変化とは、文字通り構造が変わってしまうので、異常な組織に置き換わってしまう、あるいは異常な組織ができてしまうということです。

 

1,モヤモヤ血管

2012年に奥野祐次医師によって発見された病態です。

慢性炎症部位・慢性疼痛部位には創傷治癒過程で生じた毛細血管が残存増殖して存在していて、この部位を血管造影で観察するモヤモヤした状態に見えることから「モヤモヤ血管」と名づけられました。モヤモヤ血管とは、異常な毛細血管の増殖です。創傷治癒の過程で毛細血管が増殖することは正常な反応なのですが、治癒が長引いたり、反復して損傷することで、本来治癒したら自然と消えるはずの増殖した毛細血管が残存してしまうのです。血管は神経とセットで存在するため、異常毛細血管に血流があるとポリモーダル受容器を刺激して疼痛が発生するというメカニズムです。

モヤモヤ血管について詳しくはこちらにまとめましたので併せてご一読ください。

 

2,硬結(こうけつ)

しばしば肩こりで肩の部分に触知できるシコリの部分のことを硬結といいます。

この硬結は、1843年ドイツの内科医Robert Froriep氏がリウマチ患者の筋肉中に索状に触れる圧痛部位を発見し、結合組織の沈着が原因であることを報告したことがはじまりです。その後、線維性結合組織炎、筋スパズム、酸素欠乏、炎症などの仮説が提唱されてきました。

 

硬結を実際に触診してみると、玉状のものだけでなく、索状だったり扁平な形状をしていることもあり、形状は様々です。

 

近年の病理学研究から、硬結の部位は、上記でご説明しました筋膜の線維化だけでなく、様々な変化が生じていることがわかってきました。

硬結部位は以下の状態になっています。

◆ 代謝異常
→浮腫、エネルギー供給と酸素流入の低下、pH低下

◆炎症反応
→肥満細胞増加(ヒスタミン放出)、血小板増加(セロトニン放出)

◆細胞の変性
→核の増加、ミトコンドリアの異常(赤色ぼろ線維=Regged Red Fiber)、筋原線維の異常(虫食い線維=Moth-Eaten Fiber=収縮フィラメントの溶解とZバンドの破壊)、プロテオグリカン増殖

 

硬結ができる機序はこのように考えられています。

筋損傷・過剰な筋疲労 → 細胞膜・筋小胞体の破壊

カルシウムイオンの過剰流入 → 局所的な筋収縮亢進

筋弛緩のためにATPが必要となり代謝が亢進するが、過剰な筋収縮が局所循環障害を招き酸素欠乏とエネルギー不足を招く

筋収縮状態が恒常的となる

 

硬結部位は、代謝異常と炎症反応という機能上の変化だけでなく、筋細胞自体の構造が変化してしまっているのです。つまり、硬結は、いくら温めたり、ストレッチや揉みほぐしを行っても、解消はされないのです。

ですので、硬結の状態になってしまっている場合、代謝異常という機能上に問題だけでなく、細胞自体が変化してしまっているため、組織を破壊し、再生(リモデリング)を促す対処が必要となります。

 

 

肩こり・首こりの根本的な改善には結果因子だけでなく原因因子を考えることが大切

 

さて、ここまでは凝りの症状を生む元(結果因子)、つまり凝り固まってしまっている筋肉そのものにどのような変化が生じてしまっているかについて解説しました。

 

「こり」を感じているところ(筋肉)をほぐせば、一時的に解消はされますように、結果因子に対して対処を行えば、ひとまず症状は解消します。これを対症療法といいます。

 

たとえば、普通の本態性肩こりならば、僧帽筋の部分がつらいと感じるならば、僧帽筋をほぐせばラクになります。

 

 

ところが、みなさん誰もがご存知のとおり、ほとんどの場合は時間の経過と共に再び症状が生じてきます。また、凝る→ほぐす→凝るの繰り返しによって、慢性化していってもしまいます。

 

「凝ったらほぐす」を繰り返さないためには、そもそもなぜ凝るのか?を知る必要があります。慢性的な肩こりを治すためには、まず原因を知る、その原因を解決できれば根本的な改善につながります。

 

 

 

次に、結果である「凝り」がなぜ生じるのかの部分、原因因子について解説します。原因因子とは、上記でご説明した結果因子の原因です。

 

 

肩こりの原因因子は、様々ありますが、上記でご説明してきた結果因子が生じさせるのは、首や肩の筋肉・筋膜に反復継続的な物理的な負荷が加わることです。

 

これに加えて、環境や何らかの刺激により自律神経のバランスや精神が乱れることで過緊張が生じたり、痛みを感じやすくなることで、症状を自覚するようになります。

 

 

 

次回は、肩こりの根本原因(原因因子)について解説します。

 

 

参考文献

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


[お知らせ]3 x 3プロバスケットボールチーム BEEFMAN. EXEとスポンサー契約を締結

株式会社肩こり研究所は、3 x 3プロバスケットボールチーム BEEFMAN. EXEと、2021年シーズン ユニフォームスポンサー及びオフィシャルサポート契約を締結しましたことをお知らせいたします。

BEEFMAN.EXE公式Facebookより画像をお借りしました。

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2018年2月に男子チーム、7月に女子チームを結成し、これまでに数々の大会に出場され、輝かしい成績を残していらっしゃいます。

BEEFMAN.EXE公式Facebookより画像をお借りしました。

私どもは、オフィシャルサポーターとしても、チームの選手の皆様のパフォーマンスアップ、コンディション管理を含めたサポートをさせていただき、今後は大会等の帯同も行ってまいります。

この度は、素敵な機会をいただき、大変光栄に思います。
BEEFMANの選手の皆様を最大限サポートし、ファンの皆様とともにチームを全力で応援してまいります。

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クライアントの安全を守る救急処置研修を行いました

2021年3月26日、29日の二日間にわたり、国士舘大学 体育学部 准教授 髙橋宏幸先生を招き「クライアントの安全を守る救急処置」についてご講習いただきました。

 

1日目

●救急システムや現場で起こり得る各疾患の各論を確認

1日目は座学を中心に研修を行いました。

私達は、救急対応を実施出来るのみでなく、1つ1つの行動に対する意味を説明出来なければなりません。
その為に、対応する可能性のある疾患のメカニズムや対応方法について知る必要があります。

今回の研修では、適切な医療機関の選択や、救急隊員に引き継ぐまでの時間に適切な処置を実施するための理論を学びました。

・心肺蘇生法
・窒息
・止血方法
・熱中症対応
・各疾患に対する対応

 

2日目

●現場でのシチュエーションを想定したシナリオ訓練

・スポーツ現場での緊急度・重症度判断について
・SMR (脊椎運動制限:Spinal Motion Restriction)

 

 

肩こり研究所の取り組み

株式会社肩こり研究所は、肩こりラボ 鍼灸マッサージ院での治療、また外部でのアスリート、アーティストのサポート活動を実施しています。

肩こりラボには、基礎疾患をお持ちの方、妊娠中の方など、様々な患者さまがご来院されます。

問診の際には、必ずRed Flag (生命に関わる重篤な疾患を示唆する徴候や症状のこと) 対応疾患か否かの確認を実施しております。

Red Flag 対応疾患では無いと判断した場合には、適切な医療機関への受診をご案内させていただいております。

その際に、緊急性のある疾患を見逃さず、適切な対応を行うためには、知識のアップデートを定期的に行うことが非常に大切であると考えています。

救急対応などのガイドラインは、複数年に一回更新されますので、今回専門家を招いての勉強会を実施することにいたしました。

 

外部でのアスリート、アーティストのサポート活動は、試合やライブの帯同業務を行っております。

試合やライブでは、緊急性の高い疾患、怪我が発生することがあります。

その際の対応として、最悪の状況を想定したシナリオ訓練が必要であると考えております。

 

髙橋先生は、スポーツ現場での対応を専攻されているため、今回の研修では具体的な現場をイメージしたシナリオ訓練を実施することができました。

このような講習やシナリオ訓練は、継続的な学習、訓練が必要と考えておりますので、日々知識のアップデート、シナリオ訓練の実施を行ってまいります。

この度、ご講習いただきました髙橋先生、お忙しい中貴重なお時間をいただき、有難うございました。
引き続きよろしくお願いいたします。

 

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肩こりの原因と分類

「肩こりは血行不良が原因」と聞いたことがあるという方は少なくないでしょう。

たしかに一部の肩こりは血行不良が原因となっている場合があります。この場合は、原因である血行不良を改善したら、結果である「肩こり」という症状も改善されます。

ところが血行を改善してもラクにならない肩こりや、温めている時はいいけれど、すぐに戻ってしまう肩こりもあります。この場合は、血行不良が原因とはいえないでしょう。

ですので、肩こりの原因は血行不良であるという説は間違いではありませんが、血行を改善しても改善しない肩こりがあるように、すべての肩こりが血行不良が原因となっているわけではないのです。

医学的には、肩こりは、その原因ごとに大きく二つに分類されます。症候性肩こりと本態性肩こりです。

 

症候性肩こり

医学的に診断がつく病気が元で、その症状として首や肩の凝りが生じるものを症候性肩こりといいます。よくテレビなどで紹介される「肩こりだと思ったら怖い病気だった」というパターンの肩こりです。

症候性肩こりの原因は、現代医学的に病名がつく疾患で、様々あります。

原因となる疾患は、たとえば、椎間板ヘルニア変形性頚椎症といった頚椎疾患、胸郭出口症候群、四十肩・五十肩やインピンジメント症候群といった肩関節疾患などの整形外科領域だけでなく、肺疾患や心疾患などの内科・外科領域もあます。

また、頚部の緊張を促しやすい耳鼻咽喉科領域(メニエール病、慢性鼻炎 等)、眼科領域(視力障害、眼精疲労 等)、歯科領域(虫歯、歯槽膿漏、顎関節症 等) の疾患に由来する肩こりもあります。

さらに、自立神経や免疫系の過敏状態を招きやすい精神神経科領域の疾患に由来する場合もあります。

たとえば、うつ病の症状として肩こりがある場合と、ひどい肩こりによってうつ病様の症状が出る場合がありますが、両者は異なるものです。前者は、うつ病の治療が必要ですが、後者は肩こりの治療が必要となります。これらは厳密に区切ることは難しいですが、それぞれにマッチした対処が必要となります。

 

症候性肩こりは、病気が元になっているわけなので、凝りの症状を引き起こしている病気の治療をすることが肩こり解消につながります。そのため基本的には病院で治療することになります。

(実際には、症候性肩こりの方の場合も、本態性の要素も含まれている場合が多く、病院で病気の治療や管理をしながら、当院での治療を併用している方が多いです)

 

本態性肩こり

一方、病気が元になっていない肩こりを総称して本態性肩こりといいます。「本態性」という聞き慣れない言葉がついていますが、多くの方がご想像する、一般的にいう「肩こり」とは、この本態性肩こりのことを指します。

 

辞書で「本態性」の意味を調べてみると『医学で、ある症状・疾患は存在するが、その原因が明らかでないものであること』と記されています。

また、定義の説明の際に引用元とした医学生の教科書である標準整形外科には、本態性肩こりは「原因不詳」と記載されています。

原因不詳、つまり、現代医学的な検査所見で目立った異常が見受けられないが、

後頚部から肩および肩甲背部にかけての筋肉の緊張感や疲労感などの一種の不快感、違和感、鈍痛などの症状 出典 標準整形外科学 医学書院 

がある場合に、本態性肩こりとなります。

 

現代医学的な検査所見で目立った異常が見受けられないため「原因不詳」とされているのです。

とはいえ、何らかの原因がなければ症状は生じないはずです。

 

次回は、多くの方が該当する本態性肩こりの原因について掘り下げて解説します。

 

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こりの定義

※画像を日本整形外科学会ホームページから引用させていただきました

 

本稿では、肩こりを論じる上で、前提となる肩こりの定義についてご説明していきます。

 

日本整形外科学会ホームページによると「肩こりの症状」として以下のように記されています。

首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがし、頭痛や吐き気を伴うことがあります。

肩こりに関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉がその中心になります。

 

 

次に、医学生の教科書として用いられている標準医学シリーズの標準整形外科学 医学書院 を開いてみます。標準整形外科学には以下のように記されています。

肩こりについての明確な定義はなされていないが、後頚部から肩および肩甲背部にかけての筋肉の緊張感や疲労感などの一種の不快感、違和感、鈍痛などの症状と考えられる。     出典 標準整形外科学 医学書院

一般的ではない表現があるので説明しますね。

「後頚部(こうけいぶ)」は、首の後ろ側のことです。

「肩甲背部(けんこうはいぶ)」は、肩甲骨を含めた背中のことで比較的広い領域のことです。

簡単にいいますと「首・肩・肩甲骨まわりの筋肉の不快感、違和感、鈍痛などの症状」となります。

 

 

一方、医学大辞典 医学書院にも、このように記されています。

原因を問わず、僧帽筋を中心とした肩甲帯筋群のうっ血・浮腫により生じた同部のこり、はり、こわばり、重圧感、痛みなどの総称           出典 医学大辞典 医学書院

 

 

以上をふまえまして肩こりの定義を現代医学的な観点からまとめますと、

肩こりとは、検査所見や原因によって規定される明確な定義はなく、原因は問わず、首肩から肩甲骨周囲にかけての不快な自覚症状

となります。

 

原因は問わない=複数ある という点からすると、肩こりは「症候群」であるともいえますね。

尚、上述しましたように首の筋肉の過緊張や不快感も含めて肩こりと考えられるため、ここから先は、首こりや肩甲骨こりも含めて「肩こり」と表記させていただきます。

 

 

さて、以上の現代医学的な肩こりの定義をふまえまして、肩こりを考えるにあたって重要なポイントが二つあります。

 

一つ目は、原因は一つではないということです。

世の中には「肩こりの原因は◯◯」というようなキャッチーな言い回しが溢れていますが、肩こりにおいては「インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスに感染すること」というような因果関係がはっきりしたものはありません。

「肩こりの原因は●●である」と、一つに限定できないのです。

肩こりを引き起こしている原因が一つの方もいますが、複数ある方もいます。大切なのは個々によって異なるということです。肩こりの原因は様々あるというのが大前提となります。

ですから、首肩の筋肉が血行不良を起こして不快感が生じるのも肩こりですし、首肩周辺の筋肉の筋膜の状態が低下し、周囲の筋膜との動きが制限されてしまっている(癒着)状態で不快感が生じるのも肩こりなのです。

 

 

二つ目は、自覚症状であるということです。

たとえば、自覚症状は無くとも、美容院や理容室で肩を揉まれ「肩凝っていますね」と言われた記憶はありませんか。

実際当院にも「自覚はないけど触られて肩が硬くて、肩こりだと言われたから治療してほしい」という方がご相談にいらっしゃいます。

肩こりはあくまでも、自覚症状です。

ですから、自覚的な症状が無ければ、それは肩こりではありません。肩こりは人から認定されるものではなく、あくまでも自覚するものです。

 

ただし、肩こりではなかった(症状を自覚していなかった)としても、異常がないかというとそれは必ずしもそうではありません。

筋肉は一定の緊張感を保ちながら伸び縮みすることが正常な機能ですから、縮こまって硬直している状態が続くというのは、正しい機能が失われてしまっているかもしれません。

すると今現在は症状としての自覚的な問題が生じていなかったとしても、機能が低下した状態が続くことで、それを補うためにどこかに皺寄せがいき、それが反復継続的に行われることでどこかに障害が生まれ、痛みが出てしまう可能性があります。

 

一例をあげますね。

僧帽筋の上部は、肩こりで凝り固まってつらくなる代表的な筋肉です。肩こりといえば僧帽筋というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、解剖学に精通していなかったとしても僧帽筋をご存知という方は少なくないでしょう。

肩関節の動きは、インナーマッスルとアウターマッスルのバランス、肩甲骨周囲の筋力バランスや使い方、肩こりでつらくなりやすい僧帽筋の上部が硬直すると、肩関節の動きを妨げてしまいます。

僧帽筋上部が過緊張状態になり、優先的に働いてしまうことで、ぎこちない動きになります。(ほとんどの方は自覚できないレベルのぎこちなさです)

このようなアンバランスな状態が継続することで、負担が蓄積し、肩関節に炎症が生じてしまうということはめずらしいことではありません。

原因不明の慢性的な肩関節痛を引き起こしている原因のひとつが肩こりだったということは珍しいことではないのです。

 

まとめ

虫歯でなければ虫歯の治療はしません。でも歯の汚れなど口腔内環境の低下が継続することで虫歯になり得るため、日々セルフケアとして歯みがきをしますし、定期的に歯科を受診してクリーニングを行うでしょう。

ですので、自覚症状がなければそれは肩こりではないので肩こりの治療は必要ありません。

ただし、虫歯じゃないから歯磨きをしなくていいというわけでないように、異常な状態にならないための対処・セルフケアはすべきです。

具体的には、筋肉の硬直の改善、関節可動域の改善、筋力向上、運動習慣の確立等、筋肉の状態を改善させるために何らかの対処をすることをお勧めいたします。

 

— 続く—

 

 

肩こりラボは、真面目に、世の中から肩こりでお悩みの方を無くしたいと考え、日々活動しています。

 

 

この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー

肩こりの現状

画像を厚生労働省ホームページから引用させていただきました

 

厚労省が行っている国民生活基礎調査によると、肩こりは、日本人が抱える自覚症状のうち腰痛に続いて上位にある症状です。

有訴者率(人口千対)の最も高い症状を性別にみると、男性は「腰痛」、女性は「肩こり」となっており、男女あわせて一位が腰痛で、二位が肩こりという状態が、何年も続いています。

厚労省のサイトで、閲覧することができる過去の国民生活基礎調査をみる限り、少なくとも、平成10年以降、20年間以上、肩こりが日本人の抱える自覚症状の上位3位以内にあるということがわかります。

 

そして、2020年はコロナ禍の影響により、多くの方が急遽テレワークをせざるを得なくなりました。

世の中の流れとして、コロナ禍以前から、東京オリンピック開催に向けてテレワークを推奨するながれになっていたとはいえ、コロナ禍をきっかけに、十分な準備が整わないまま、デスクワークに適した環境が整っていないなか、テレワークにて長時間のPC作業をすることになってしまったという方は少なくでしょう。

 

PC作業自体、首や肩に負担がかかりやすいのですが、適していない環境で作業をすることで今まで以上に負担がかかってしまいます。

加えて、在宅勤務となると外出する機会が極端に減ってしまい、運動不足にも拍車がかかってしまいます。活動量の低下や運動不足が続くことで、筋力低下や体重増加、そして肩こりや首こりにお悩みの方が増えてしまっているように感じます。

あくまで日々の治療を通して感じる体感的なものとなりますが、病気ではないけれど、良い状態ではないという方が増えているように思えます。

 

冒頭でお話したように長年にわたって日本人の多くが自覚症状として抱えている肩こりですが、「肩こり」という言葉や現象自体は知っていても、医学的に、具体的にどのような状態なのか、何をもって肩こりとするのか、ということを理解しているという方はそう多くはないのではないでしょうか。

 

「肩こりは首や肩まわりの血行が悪くなっているんでしょ?」という声が聞こえてきそうですが、残念ながら血行が悪くなっているだけではありません。特に慢性的な場合は。

血行が悪いのが原因ならば、入浴して血行が良くなれば改善するはずです。しかし慢性的な肩こりの場合は、入浴したり温めても改善されない、温めている最中だけ緩和するがその時だけ、ということが少なくありません。この場合、血行をよくしても改善されないわけですから、血行が悪いことだけが原因ではないのです。

一方で、「肩こりの原因は筋膜。筋膜が癒着しているんでしょ?」という声も聞こえてきそうです。これも間違いではありませんが、正解ではありません。ハイドロリリースという、エコーで目視しながら生理食塩水で、癒着している筋膜を物理的に剥がす施術がありますが、これを行っても肩こりが解消されない、あるいはすぐに再びつらくなってしまうという方もいらっしゃいます。

 

もちろん血行改善すれば肩こりが緩和する方、ハイドロリリースで肩こりが改善したという方は一定数いるでしょう。ですが、これらを行っても改善しないという方も一定数いるのです。

たしかに、血行不良や筋膜の癒着によって肩こりの症状がでることがありますので、それぞれは一つの原因として間違ってはいません。たいせつなのは、原因はひとつではないということです。

こう考えることで「なぜ自分は施術を受けているのに肩こりが改善しないのか」ということも腑に落ちてきませんか?

そうです。治療を受けているのに改善しない理由は、あなたの肩こりの原因に対して適切が対処が行われていないからです。

 

世の中には、肩こりにまつわる様々な情報がありますが、ある一部分を切り取って言及しているパターンが多いように感じます。

当記事では、肩こりとはいったい何なのか?何がどうなっているのか?ということを、現代医学的な理論に則り解説します。「肩こりとは  まとめ 」のような形にしていきますので、ご一読いただけましたら幸いです。

 

——  [ 肩こりの定義 ] に続く——

 

【参考】

厚生労働省ホームページ

 

 

肩こりラボは、真面目に、世の中から肩こりでお悩みの方を無くしたいと考え、日々活動しています。

 

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


自分の体に適した机と椅子の高さとは?人間工学に基づいた計算方法をご紹介。デスクワークで肩こり・首こりにお悩みの方は是非ご一読ください。

はじめに

 

先日投稿したこちらのブログでは、パソコン作業をする上で、首や肩の負担を軽減するために重要な以下の3つのポイントをお伝えしました。

  1. 机と椅子の高さの調整
  2. ディスプレイやキーボードの置き方
  3. 姿勢の意識

 

ブログはこちらから↓↓↓

肩こり・首こりが気になる方が意識すべき、パソコン作業時の適切な姿勢とデスク環境とは? 厚生労働省のガイドラインをふまえて解説します。

 

 

今回は、その中でも「机と椅子の高さの調整」に関して、少し掘り下げていきたいと思います。

具体的には、自分できる人間工学に基づいた机と椅子の高さの算出方法についてです。

 

 

さて、机や椅子に限らず、私たちが普段何気なく使っている様々なインテリアや道具には、多くの人が安全に自然な動作で使えるようデザインされています。

 

このように人間の骨格や動作の特徴などのデータを集め分析し、より機能的なデザインへ実用化する学問のことを「人間工学」と呼びます。

 

机や椅子も人間工学に基づきデザインされたものがありますが、個人の体格差により適切な寸法は異なるため、最大限活かすには適切な寸法をご自身で把握し、調節する必要があります。

 

そこで今回は日本建築学会編集の書籍より、人間工学に基づいた机と椅子の理想の高さの計算方法を、筆者が実際に体験した所感と併せてご紹介します。

 

 

机と椅子の高さの調整方法の目安をおさらいします

 

以前投稿したブログの内容から、机と椅子の高さの調整方法の目安をおさらいしていきましょう。

 

椅子の高さは、座って脇を閉じたまま机に手を置いた時に、肘の角度が概ね90°となるようにしましょう。

90°より角度が狭くなると肩がすくみやすくなり、負担が大きくなります。

 

また、机の高さはJIS規格により、その多くが床から70cmとなっていることが多いです。

これは1971年頃に成人男性の一般的な体格に合うように作られた規格です。

 

よって小柄な方ですと、前述の方法で椅子の高さを合わせると、足が浮いてしまい不安定になってしまいます。

 

高さの調節が可能な昇降デスクであればベストですが、そうでない場合、足元に足置き台などを置いて足がしっかり床に付くようにすると安定します。

 

 

机の高さが調節できないケースが多いため、机に対して椅子の高さをあわせるという方法をご紹介しました。

 

しかし、前述のように机の高さに椅子の高さを合わせると、小柄な方だと足が床から浮いてしまいます。

 

そのため足置きを使い、足底がしっかりと地についた状態を作ることが最も簡易的で誰でも実践しやすい方法となります。

 

 

しかしもし仮に、昇降デスクなど高さを自由に調節できる机を持っているとしましょう。

 

その場合、よりベストなのは、個人の体格に合わせて、まずは最適な椅子を選び、椅子と自分の体格に応じて机の高さをあわせる方法です。

 

つまり、机→椅子の順ではなく、椅子→机の順に調節をすることで、より一層負担の少ないデスク環境を実現することができます。

 

 

計測・計算方法

 

適切な座り姿勢(デスクワーク時)を取る上で、以下の3つの寸法を順に導き出します。

 

  • 座面高(下記の図のいすの高さ)
  • 差尺
  • 机面高(下記の図の机の高さ)

 

 

 

 

 

 

理想的な座面高とは?

 

それではまず座面高から調節をしていきましょう。

 

 

座面高とは床から座面までの高さを表した寸法のことを指します。

 

まずは足底が踵までしっかりと床に着いた状態で大腿部が水平になるように座ります。

 

床からもも裏までの距離(=下腿高)を採寸しましょう。

その寸法が理想の座面高となります。

 

今後新たに椅子を購入される際は、その高さの範囲内で調節可能な椅子を選ぶ必要があります。

 

 

差尺とは?

 

次に適切な机の高さを求める上で「差尺」という寸法が重要なポイントとなります。あまり聞き慣れない言葉だと思います。

 

差尺とは、椅子の高さ(座面高)から机の作業面(机面高)までの垂直距離、つまり机の高さと椅子の高さの差を表した寸法のことです。

 

 

差尺は座高(身長)との相関が高く、

差尺=(座高×1/3)-1

の高さに設定することで、最適な机と椅子の高さの差を求めることができます。

 

ちなみに自分の座高がわからない方は身長×0.55で推定値を導き出すことができます。

 

 

机面高を導き出す

 

最後に机面高を求めます。

 

 

机面高は実際に採寸する必要はなく、計算で導き出していきます。

 

前項で適切な座面高と差尺の寸法が分かったら、その2つを足した数値が作業中の理想的な机面高となります。

 

机面高=座面高+差尺

 

 

それでは実践してみましょう

 

では早速例として、実際に筆者の体格を採寸し、理想の机の高さを導き出してみました。

 

 

座面高(=下腿高)は履物を含め43cm(①)

 

座高が99cm(②)なので

(99×1/3)-1

=32

となり、差尺は32cm(③)

 

座面高(43cm)+差尺(32cm)

=75cm

 

筆者の理想的な机面高は75cm(④)であることが判明しました。

 

日本製の一般的な事務用の机はJIS規格により、70cmであることが多いので、5cmも差があるという結果になりました。

 

 

実際の使用感

 

実際に導き出した椅子と机の高さに設定し、ノートパソコンを使用してみました。

 

腕を机に置いた際に肩がすくまない絶妙な高さであり、肩の緊張が抜けた状態でキーボードを使用できている実感がありました。

 

ただし、姿勢を正した状態でのちょうどいい高さであり、背中が丸まっている不良姿勢では、机が高く感じ、少々肩が上がってしまう状態となりました。

 

あくまでしっかりと良好姿勢が取れている前提での理想的な高さという印象でした。

 

またノートパソコンだとどうしてもディスプレイの位置は低くなってしまうため、「パソコン作業をするうえでの適切なデスク環境とは?」の記事でもご紹介した、キーボードに傾斜をつける方法と合わせると、非常に見やすい位置にディスプレイが配置され、格段に疲れにくくなりました。

 

また、書き仕事を行う際には机面高を更に約5cm高くした方が負担の少ない姿勢で行えるとのことです。

 

 

身長から計算する方法

 

これまでお伝えした方法では、座高と下腿高を採寸しなければなりません。

 

しかし、自分の身長を把握している方は多いと思いますが、座高や下腿高を把握している方はあまり多くないでしょう。

 

しかし身長さえ分かれば、略算比により必要な高さや寸法を類推することができます。

 

以下の表は日本建築学会編集「コンパクト建築設計資料集成 インテリア」より抜粋した略算表となります。

 

 

 

 

本記事の内容に関わる部分を抜粋します。

 

事務用机の高さ 0.41

事務用椅子の高さ 0.23

差尺 0.18

 

身長に履物の高さ(約2〜3cm)を加え、右に記載の数字をかけることで、おおよその理想値を導くことができます。

 

例えば筆者の身長180cmに履物の厚さ3cmを加え0.41倍すると

183×0.41=75.03

となり、実際に座高と下腿高を計測して導き出した事務用机の高さ75cmとほぼ同じ値となりました。

 

ただし同じ身長だとしても下腿の長さや座高など、体格に個人差はありますので、あくまで参考値と考えた方が良さそうです。

 

 

まとめ

 

①椅子の高さを基準に机の高さを調節すると良い。

②座面高、差尺、机面高の順に最適な寸法を導き出す。

・座面高=足底が床についた状態で大腿部が平行となる高さ

・差尺=(座高×1/3)-1

・机面高=座面高+差尺

③あくまで良好姿勢で使う際の理想の寸法である。

 

たとえ人間工学に基づいて設計された素晴らしい机や椅子だとしても、使い方によってはその効力を十分に発揮することはできません。

 

正しい調整と正しい座り姿勢をとることがとても重要です。

 

また、どのくらいの高さが適しているのかを知ることによって、今後机や椅子を購入する際の基準にもなりますのでぜひ参考にしてみてください。。

 

在宅ワークが普及し、自宅でPC作業をする時間が増えた方も少なくないと思います。

 

少しの時間であれば問題ないことも、長時間となると身体には大きな負担となります。

 

この機会に自宅のデスク環境を見直しみてはいかがでしょうか。

 

 

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執筆者:須藤 大登
Hiroto Sudo

呉竹鍼灸柔整専門学校 柔整科卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
柔道整復師

学生の頃、大きな怪我で部活が出来ない時期がありました。
全治2~3ヶ月と診断を受けた時、リハビリ担当の先生が「大丈夫。しっかり治すために一緒に頑張ろう」と声をかけてくれました。
なんでもない言葉ですが、当時の私にはすごく心強く、前向きになれたことを覚えています。
治療する立場となった現在、かつて私がしてもらったように、少しでも前向きに思えるような治療や言葉を届けられる存在となれるよう日々精進いたします。


慢性的な首こり・肩こりが体幹の筋力強化によって解消されたケース|ケースレポート

概要

 

S様 / 東京都在住 / 33歳 / 女性 / 自営業(技術職)

 

症状

首こり 肩こり

肩甲骨周りのこり

 

状態

長い間慢性的な首肩こりや、肩甲骨周りのこりに悩まされており、5年前から鍼灸マッサージ院に通い始めた。

通う以前と比べるとだいぶ良い状態に改善したが、仕事が忙しくなり、座る時間が長くなると、まだこりを感じてしまうため、来院された。

 

見立て

一見すると姿勢は悪くないが、インナーマッスル(脊柱起立筋、腹横筋など)と比較して、アウターマッスル(僧帽筋、広背筋など)が優位に働きやすく、姿勢の維持をアウターマッスルに頼ってしまっている。

アウターマッスルは強い張力を発揮するが、持続性に乏しく筋疲労を起こしやすい。

そのため、長時間同じ姿勢をとっていると、筋疲労や筋緊張が起こりやすい状態となっている。

インナーマッスルを優先的に使えるようにトレーニングをすることで、長時間の姿勢維持が可能となり、現状打破できると考えた。

 

治療

1〜3回目

こりの出やすい首、肩や肩甲骨周りを中心に鍼やマッサージで全体的に筋肉をほぐした。

また、並行してインナーマッスル(腹横筋、脊柱起立筋など)のトレーニングを行なった。

治療頻度は2週間に1回のペース。

治療後はこりから解放され楽になる感覚はあったが、1週間ほどでまたこりを感じてしまう状況で、これ以上短いペースで治療をすることは仕事の都合上難しかった。

だが、日常生活の中でセルフケアとしてトレーニングをすることによっても、こりの緩和を実感されていたため、あえて鍼やマッサージを使わずにトレーニングのみで、筋力強化とこりの緩和を狙う方針に方向転換した。

 

4〜7回目

姿勢を長時間キープするのに必要な要素(腹横筋、脊柱起立筋など)を個別にトレーニングしつつ、徐々にスクワットやデッドリフトなど、それぞれの筋肉を連動させながら動かすトレーニングにステップアップしていった。

また、肩甲骨周りがこりやすいので、こりの解消を目的として、肩甲骨を積極的に動かすトレーニングをセルフケアでも入念に行なっていただいた。

はじめのうちは、うまく連動させることができなかったが、トレーニングを重ねるごとに少しずつ、連動性が増していき、負荷の増量や、回数、セット数も多くこなせるようになった。

 

8回目

トレーニングを重ね、アウターマッスルのみに頼りすぎず、インナーマッスルと協調して姿勢キープができるように改善した。

仕事が立て込んでいる際に、こりはまだ多少感じることはあったが、日々のセルフケアによっておおよそコントロールができるようになり、日常生活や仕事にも支障をきたさなくなってきたため、治療はゴールとなった。

 

コメント

今回のケースのように、鍼治療やマッサージ治療にて、ある程度まで改善したけれど、その状態からなかなか先に進まないという方は少なくありません。

鍼やマッサージは対症療法です。一定の頻度で通い続けていれば、つらさは低い水準で保つことができます。

ですが、S様のように、今まで以上に仕事が忙しくなってしまったり、治療間隔をあけてしまうと、こりがつらくなってしまうという方は、トレーニングを行い身体を支えるのに適した筋肉(多くの場合はインナーマッスル)で、効率的に姿勢を維持する必要があります。

S様は日々のセルフケアでこりがひどくならないように保ちながら、体幹のインナーマッスルを強化することで、徐々に治療の必要がない身体へと改善することができました。

本件は、運動療法によって根本的な改善にいたった例といえます。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こり・首こりが気になる方が意識すべき、パソコン作業時の適切な姿勢とデスク環境とは? 厚生労働省のガイドラインをふまえて解説します。

昨今リモートワークが急激に普及し、パソコンを自宅で使う機会が多くなりました。

通勤時間の減少などメリットも多い一方で、運動不足に陥り、首こり・肩こりなどの慢性的な不調を訴える方が増えてきていると実感しております。当院の患者さんも、自宅でテレワークを行うことで、今まで通勤やオフィス内の移動が運動になっていたことに気がついたとおっしゃる方が少なくありません。

これまでは普段仕事をする環境ではなかった場所で、長時間のデスクワークを余儀無くされているわけですから、負担が増大するのも頷けます。

今回は、首こり・肩こりの予防を目的として、自宅で簡単に実践できる「パソコン作業時の適切なデスク環境」をご紹介していきたいと思います。
是非参考にしていただけたらと思います。

なぜデスク環境が大事なのか?

デスク環境

それではまず、首こり・肩こりの予防としてデスク環境を整えることがなぜ大事なのか?
以下3点を理由に挙げます。

  • 首こり・肩こりでお悩みの患者さんは座り仕事の方が圧倒的に多い。
  • 長時間過ごすため、少しの負担がチリツモになりやすい。
  • 首こり・肩こりの軽減として即効性が高い。

首こり・肩こりでお悩みの患者さんは座り仕事の方が圧倒的に多い。

座っている姿勢は、立っている姿勢と比べると疲れにくいし、楽に感じる方も多いと思います。

しかし、実際は座り姿勢の方が正しい姿勢を保ちにくく、首肩や腰に関しては負荷がかかりやすい状態となります。

長時間過ごすため、少しの負担がチリツモになりやすい。

デスクワーカーなど、仕事でパソコンを使う方などにとっては、1日のほぼ大半をデスクで過ごすことになります。

重い物を持つなどの重労働と比べると、短い時間にかかる負担の量は少ないです。

しかし、「塵も積もれば山となる」というように、少しの負担でも1日8時間以上ともなると、蓄積される負荷量はかなりのものになるでしょう。

首こり・肩こりの軽減として即効性が高い。

首こり、肩こりを軽減させるために、トレーニングやストレッチなどの運動は大切です。

しかし、筋力や柔軟性は一朝一夕で改善されるものではなく、効果の実感までに時間を要することが大半です。(今まで使えていなかった筋の使い方を覚えることで、一回のトレーニングで劇的に変化する方も中にはいらっしゃいます。)

その点デスク環境など、環境要因を改善することは、負担の軽減に即効性があり、一度整えてしまえば半永久的にその恩恵が受けられます。

以上の理由からデスク環境を整えることは、治療をすることと同等に首こり・肩こりの軽減に必要なことと考えます。

むしろ環境要因の改善そのものが治療の一部といっても過言ではありません。

厚生労働省のガイドライン

厚生労働省では、パソコン等の作業における労働衛生管理のためのガイドラインを公表しています。

平成14年4月5日「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が発表されました。

その後、基本的な考え方は維持しつつ、多様な作業形態に対応するため、改定版として令和元年7月12日「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が発表されました。

情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて(基発0712第3号)[PDF形式:1464KB]


このような公的機関のガイドラインは一定の基準と考えて良いでしょう。

ただ、個々のおかれている状況は異なりますし、作業環境を改善させるにも限界があるというのも実際のところです。

また、公的なガイドラインがあるものの、デスクワークにより、不調をきたす方が多いのも事実です。

今回は厚生労働省のガイドラインをふまえた上で、私たち肩こりラボが、肩こりや首こりの治療に取り組む中で見出した、より実践的なデスク環境をご紹介させていただきます。

一部、ガイドラインに記載されている内容と異なる箇所がありますが、実際をふまえたうえでの肩こりラボ独自のノウハウとなります。

この点をご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。

肩こりラボ推奨のデスクワーク環境設定

まずは早速、首肩に負担のかかりにくい理想の姿勢をご覧ください。

上記の姿勢を取る上で重要なポイントを大きく3つに分けました。

机と椅子の高さの調整

椅子の高さは、座って脇を閉じたまま机に手を置いた時に、肘の角度が概ね90°となるようにしましょう。

机が高すぎる場合、あるいは椅子が低すぎる場合、多くは肘の角度が90°以下になります。
すると肩がすくんで、腕が力みやすくなるため、負担が大きくなります。

また、机の高さはJIS規格により、多くが床から70cmとなっています。

これは1971年頃に成人男性の一般的な体格に合うように作られた規格です。

小柄な方ですと、前述の方法で机を基準に椅子の高さを合わせると、足が浮いてしまい不安定になってしまいます。
成人男性の平均身長を元にしているので、当然ながら女性には適しにくいです。

昇降デスクであれば高さの調節が可能ですが、そうでない場合、足元に台を置いて足裏が床に付くようにすると安定しやすいです。

こちらの記事で、自分に合った机と椅子の選び方について解説しています。
よろしければ参考にしてみてください。

〜関連記事〜

自分の体に適した机と椅子の高さとは?人間工学に基づいた計算方法をご紹介。デスクワークで肩こり・首こりにお悩みの方は是非ご一読ください。

ディスプレイやキーボードの置き方

デスクトップ型パソコンの場合

デスクトップ型のパソコンの場合、ディスプレイとキーボードが分かれています。
そのため、それぞれを最適な位置にセットしやすく、身体への負担は一番かかりにくいです。

●ディスプレイ
上端が目の高さと同じ、もしくはやや下となるように高さを合わせます。

●キーボード
肘や腕を机に乗せるスペースを確保しつつ、なるべく自分に近づけましょう。
肘掛けのある椅子を使用すると、肘を身体の近くに置くことができ、キーボードを身体の近くに置きやすくなります。

ノートパソコンの場合

ノートパソコンは持ち運びに優れる反面、ディスプレイとキーボードが一体となっています。
ディスプレイを適切な高さに合わせるとキーボードの位置が高すぎてしまい、その逆もまた然りです。

一番良い方法は外付けキーボードかディスプレイを使用し、デスクトップ型と同じ環境にすることです。

このようにすると体への負担は減りますが、用意する物品が増やしたくない方もいらっしゃると思います。
そこで、もう少し手軽な方法を推奨します。

それはキーボードに傾斜をつけることです。

ノートパソコンの奥が高くなるように傾斜をつけると、ディスプレイの高さを出しつつ、快適なキーボード操作が可能となります。

この傾斜をつける方法は、専用のスタンドも市販されていますが、雑誌などで簡易的に対応もできるため、誰でもすぐに実行でき、ディスプレイを高くして首肩の負担を減らすことができる利点があります。

一方で、キーボードを打つ際に、手首の背屈角度(反らす角度)が増すというデメリットもあります。手首の背屈が増すと、腕の甲側の筋肉(前腕伸筋群)の負担が増えることになり、手首や肘の痛みにつながる可能性もあります。

この方法は、外出時やどうしても外付けキーボードやモニターを用意できない場合など、あくまでも短時間の作業時に留めておくことが良いでしょう。

日々ノートパソコンで長時間の作業を行う方は、多少のコストは発生しますが、一回マッサージに行くよりも、肩こりや首こりに対して長期的にプラスにはたらきます。

ぜひ外付けキーボードかモニターをご用意していただけたらと思います。

姿勢の意識

最後は姿勢、座り方のコツです。

重心位置

頑張りすぎず、効率的に姿勢を保つために、重心をどこに置くかが重要です。

猫背で丸まってしまっている時は尾骨や仙骨あたりに体重が乗っていることが多いです。
このような座り方が「良くない姿勢」ということはお分かりだと思います。

問題は「良い姿勢」をとった時にどこに重心があるかです。

試しに良い姿勢をとってみましょう。どこに一番体重が乗っているでしょうか。

おそらくですが、多くの方が「坐骨」というお尻の出っ張っている骨の部分に体重が乗っているのではないでしょうか。

坐骨を示す骨模型

実はこの「坐骨座り」は、キープして姿勢を支えるのに、たくさんの筋力が必要です。
ですから良い姿勢をキープしようとしてもすぐに疲れてしまい維持できないのです。

「坐骨座り」でピッと背すじを伸ばしている姿勢は見た目はキレイですが、とても力を必要としますので、長時間のデスクワークを考えると現実的ではありません。良い姿勢をとりたくても、維持できなかったり、かえってつらいという方はこの「坐骨座り」が原因かもしれません。

ではどうすれば良いかといいますと、重心位置を坐骨よりもさらに前方にします。
坐骨よりも前側、太もものつけねです。


首肩に優しい重心のポジションを意識した座り方は「太もも座り」です。

慣れないうちは少し前傾すぎに感じると思いますが、鏡で横から見ると思いのほか姿勢がまっすぐになっているのが確認できると思います。

ただし「太もも座り」にも欠点があります。
それは、反り腰になりやすいことです。
場合によっては腰に痛みや負担感をご自覚する方もいらっしゃるかもしれません。

その場合は無理に「太もも座り」を維持しようとしないでください。

「首肩こりと腰痛のどちらもある…。」という方の場合は、個別に適切な重心位置を調整する必要がありますので、専門家に診てもらうのがいいでしょう。

肩こりや首こりの解消と改善なら鍼灸マッサージ院の肩こりラボ|学芸大学徒歩1分

上半身の使い方/ポイントは「胸」

重心位置が整ったら次は上半身を整えていきます。

ポイントは「胸」です。
胸を前上方に突き出すように意識してみましょう。

良い姿勢を取ろうと無理に「肩を引く」のではなく、「胸を突き出す(引き上げる)」ようにすることで、「脊柱起立筋」という姿勢維持に適した筋肉が収縮しやすくなり、長時間の座り姿勢を少ない負担で支えることができます。

良い姿勢と言うと、肩甲骨をグッと後ろに引いた状態をイメージしがちですが、実は努力して肩を後ろに引こうとすると、アウターマッスルである僧帽筋や広背筋がメインで働きます。

僧帽筋は肩こりで硬直しやすい筋肉であることは多くの方がご存知だと思いますが、その僧帽筋自体に負荷をかけてしまいます。

また、広背筋がたくさん収縮することで、肩関節が内側に巻いてしまい、いわゆる「巻き肩」の状態になりやすくなり、さらに僧帽筋に負荷がかかります。

また、肩甲骨は僧帽筋や肩甲挙筋で、首と連結しています。(首からぶら下がっている様な状態)

広背筋は肩甲骨を下に引っ張るはたらきもありますので、過剰に収縮することで、肩甲骨を上から支えている僧帽筋や肩甲挙筋に負荷をかけることになります。

肩関節を動かしたり体幹を支える上で、僧帽筋や広背筋はとても重要な筋肉ですが、そればかりが過剰に働いてしまうと悪影響もあります。

丸まっているのを直そうとして肩をグッと後ろにひこうとすることで、効果が無いだけでなくかえって状況が悪くなってしまう可能性もありますので、注意をしてくださいね。

サポートアイテムの利用

上記2つ「太もも座り」と「胸出し」を意識して座ると、大腿部と背部の筋肉を使えるようになり、首肩への負担軽減につながります。

ですが、この姿勢をキープするにもある程度体幹の筋力が必要であり、最初のうちは短い時間で疲れてしまうかと思います。

そこである道具を使うことで、姿勢のキープがとても楽になります。

正しい姿勢を理想論ではなく、今日から実際に活かしていただくためのとっておきの方法です。

それは、クッションです。ただしその使い方が特殊です。

世の中に、姿勢をサポートするクッションなどのグッズはごまんとありますが、その多くは座面や背もたれに設置するタイプのものです。

肩こりラボが推奨するクッションの使い方は、座面や背もたれに挟むのではなく、クッションを太ももの上に置き、お腹と机で挟み込むように座りましょう。

クッションを前方に設置することで、背もたれ側ではなく、お腹の方に寄りかかることができます。このようにすることで、自然と太もも座りや胸出しを促すことになり、無意識に背中が丸まってしまうのを防ぐことができます。

また、ここで使うクッションは、ソファ用クッションや座布団、あるういはタオルや掛け布団を丸めたものでも代用できます。今現在ご自宅にあるもので代用できますので、新たなものも購入する必要はございません。

市販されている、骨盤が立つように座面をサポートしてくれるシートなどと併せて行っていただいてもよいでしょう。

まとめ

首・肩に負担をかけにくいデスク環境を以下にまとめます。

椅子と机の高さは肘が概ね90°になるように調節する。

※足が浮いてしまう場合は足置き台などを使用。

昇降式のデスクと椅子を使用するのがベスト。

ディスプレイ上端が目と同じ高さ、キーボードはなるべく近くに寄せる。

※ノートパソコンの場合
外付けのディスプレイかキーボードを使用
もしくはキーボードに傾斜をつける

理想の姿勢は重心が太もものつけね、胸を突き出した状態。

※長時間キープが疲れてしまう場合

クッションを太ももの上に置き、机とお腹で挟む

現在使用しているパソコンがノートパソコンの場合は上の図のようにサポートアイテムを使うことで、首や肩の負担を減らすことができます。

家にあるもので代用しやすいので、新たに周辺機器を購入する必要がないのがメリットです。

厚生労働省のガイドラインは学術的知見を踏まえて、適切なデスク環境への措置方法が網羅されています。

本記事も厚生労働省のガイドラインに基づいた内容となっておりますが、中には会社の規定や個人的な事情により、ベストな状況にしたくてもできない方も多いと思います。

そのため、家にあるもので代用できる案も、合わせてご紹介をさせていただきました。

まずは簡単に実践できるものから試してみてはいかがでしょうか。

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執筆者:須藤 大登
Hiroto Sudo

呉竹鍼灸柔整専門学校 柔整科卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
柔道整復師

学生の頃、大きな怪我で部活が出来ない時期がありました。
全治2~3ヶ月と診断を受けた時、リハビリ担当の先生が「大丈夫。しっかり治すために一緒に頑張ろう」と声をかけてくれました。
なんでもない言葉ですが、当時の私にはすごく心強く、前向きになれたことを覚えています。
治療する立場となった現在、かつて私がしてもらったように、少しでも前向きに思えるような治療や言葉を届けられる存在となれるよう日々精進いたします。