当院は、12月31日(木)から1月6日(水)まで休診とさせていただきます。
ご不便をお掛けしますが、ご理解の程、宜しくお願いいたします。
12/30 | 12/31 | 1/1 | 1/2 | 1/3 | 1/4 | 1/5 | 1/6 | 1/7 |
水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 |
通常通り受付 | 休診 | 通常通り受付 |
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先日投稿したこちらのブログでは、パソコン作業をする上で、首や肩の負担を軽減するために重要な以下の3つのポイントをお伝えしました。
ブログはこちらから↓↓↓
肩こり・首こりが気になる方が意識すべき、パソコン作業時の適切な姿勢とデスク環境とは? 厚生労働省のガイドラインをふまえて解説します。
今回は、その中でも「机と椅子の高さの調整」に関して、少し掘り下げていきたいと思います。
具体的には、自分できる人間工学に基づいた机と椅子の高さの算出方法についてです。
さて、机や椅子に限らず、私たちが普段何気なく使っている様々なインテリアや道具には、多くの人が安全に自然な動作で使えるようデザインされています。
このように人間の骨格や動作の特徴などのデータを集め分析し、より機能的なデザインへ実用化する学問のことを「人間工学」と呼びます。
机や椅子も人間工学に基づきデザインされたものがありますが、個人の体格差により適切な寸法は異なるため、最大限活かすには適切な寸法をご自身で把握し、調節する必要があります。
そこで今回は日本建築学会編集の書籍より、人間工学に基づいた机と椅子の理想の高さの計算方法を、筆者が実際に体験した所感と併せてご紹介します。
以前投稿したブログの内容から、机と椅子の高さの調整方法の目安をおさらいしていきましょう。
椅子の高さは、座って脇を閉じたまま机に手を置いた時に、肘の角度が概ね90°となるようにしましょう。
90°より角度が狭くなると肩がすくみやすくなり、負担が大きくなります。
また、机の高さはJIS規格により、その多くが床から70cmとなっていることが多いです。
これは1971年頃に成人男性の一般的な体格に合うように作られた規格です。
よって小柄な方ですと、前述の方法で椅子の高さを合わせると、足が浮いてしまい不安定になってしまいます。
高さの調節が可能な昇降デスクであればベストですが、そうでない場合、足元に足置き台などを置いて足がしっかり床に付くようにすると安定します。
机の高さが調節できないケースが多いため、机に対して椅子の高さをあわせるという方法をご紹介しました。
しかし、前述のように机の高さに椅子の高さを合わせると、小柄な方だと足が床から浮いてしまいます。
そのため足置きを使い、足底がしっかりと地についた状態を作ることが最も簡易的で誰でも実践しやすい方法となります。
しかしもし仮に、昇降デスクなど高さを自由に調節できる机を持っているとしましょう。
その場合、よりベストなのは、個人の体格に合わせて、まずは最適な椅子を選び、椅子と自分の体格に応じて机の高さをあわせる方法です。
つまり、机→椅子の順ではなく、椅子→机の順に調節をすることで、より一層負担の少ないデスク環境を実現することができます。
適切な座り姿勢(デスクワーク時)を取る上で、以下の3つの寸法を順に導き出します。
それではまず座面高から調節をしていきましょう。
座面高とは床から座面までの高さを表した寸法のことを指します。
まずは足底が踵までしっかりと床に着いた状態で大腿部が水平になるように座ります。
床からもも裏までの距離(=下腿高)を採寸しましょう。
その寸法が理想の座面高となります。
今後新たに椅子を購入される際は、その高さの範囲内で調節可能な椅子を選ぶ必要があります。
次に適切な机の高さを求める上で「差尺」という寸法が重要なポイントとなります。あまり聞き慣れない言葉だと思います。
差尺とは、椅子の高さ(座面高)から机の作業面(机面高)までの垂直距離、つまり机の高さと椅子の高さの差を表した寸法のことです。
差尺は座高(身長)との相関が高く、
差尺=(座高×1/3)-1
の高さに設定することで、最適な机と椅子の高さの差を求めることができます。
ちなみに自分の座高がわからない方は身長×0.55で推定値を導き出すことができます。
最後に机面高を求めます。
机面高は実際に採寸する必要はなく、計算で導き出していきます。
前項で適切な座面高と差尺の寸法が分かったら、その2つを足した数値が作業中の理想的な机面高となります。
机面高=座面高+差尺
では早速例として、実際に筆者の体格を採寸し、理想の机の高さを導き出してみました。
座面高(=下腿高)は履物を含め43cm(①)
座高が99cm(②)なので
(99×1/3)-1
=32
となり、差尺は32cm(③)
座面高(43cm)+差尺(32cm)
=75cm
筆者の理想的な机面高は75cm(④)であることが判明しました。
日本製の一般的な事務用の机はJIS規格により、70cmであることが多いので、5cmも差があるという結果になりました。
実際に導き出した椅子と机の高さに設定し、ノートパソコンを使用してみました。
腕を机に置いた際に肩がすくまない絶妙な高さであり、肩の緊張が抜けた状態でキーボードを使用できている実感がありました。
ただし、姿勢を正した状態でのちょうどいい高さであり、背中が丸まっている不良姿勢では、机が高く感じ、少々肩が上がってしまう状態となりました。
あくまでしっかりと良好姿勢が取れている前提での理想的な高さという印象でした。
またノートパソコンだとどうしてもディスプレイの位置は低くなってしまうため、「パソコン作業をするうえでの適切なデスク環境とは?」の記事でもご紹介した、キーボードに傾斜をつける方法と合わせると、非常に見やすい位置にディスプレイが配置され、格段に疲れにくくなりました。
また、書き仕事を行う際には机面高を更に約5cm高くした方が負担の少ない姿勢で行えるとのことです。
これまでお伝えした方法では、座高と下腿高を採寸しなければなりません。
しかし、自分の身長を把握している方は多いと思いますが、座高や下腿高を把握している方はあまり多くないでしょう。
しかし身長さえ分かれば、略算比により必要な高さや寸法を類推することができます。
以下の表は日本建築学会編集「コンパクト建築設計資料集成 インテリア」より抜粋した略算表となります。
本記事の内容に関わる部分を抜粋します。
事務用机の高さ 0.41
事務用椅子の高さ 0.23
差尺 0.18
身長に履物の高さ(約2〜3cm)を加え、右に記載の数字をかけることで、おおよその理想値を導くことができます。
例えば筆者の身長180cmに履物の厚さ3cmを加え0.41倍すると
183×0.41=75.03
となり、実際に座高と下腿高を計測して導き出した事務用机の高さ75cmとほぼ同じ値となりました。
ただし同じ身長だとしても下腿の長さや座高など、体格に個人差はありますので、あくまで参考値と考えた方が良さそうです。
①椅子の高さを基準に机の高さを調節すると良い。
②座面高、差尺、机面高の順に最適な寸法を導き出す。
・座面高=足底が床についた状態で大腿部が平行となる高さ
・差尺=(座高×1/3)-1
・机面高=座面高+差尺
③あくまで良好姿勢で使う際の理想の寸法である。
たとえ人間工学に基づいて設計された素晴らしい机や椅子だとしても、使い方によってはその効力を十分に発揮することはできません。
正しい調整と正しい座り姿勢をとることがとても重要です。
また、どのくらいの高さが適しているのかを知ることによって、今後机や椅子を購入する際の基準にもなりますのでぜひ参考にしてみてください。。
在宅ワークが普及し、自宅でPC作業をする時間が増えた方も少なくないと思います。
少しの時間であれば問題ないことも、長時間となると身体には大きな負担となります。
この機会に自宅のデスク環境を見直しみてはいかがでしょうか。
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執筆者:須藤 大登
Hiroto Sudo
呉竹鍼灸柔整専門学校 柔整科卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業
鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
柔道整復師
学生の頃、大きな怪我で部活が出来ない時期がありました。
全治2~3ヶ月と診断を受けた時、リハビリ担当の先生が「大丈夫。しっかり治すために一緒に頑張ろう」と声をかけてくれました。
なんでもない言葉ですが、当時の私にはすごく心強く、前向きになれたことを覚えています。
治療する立場となった現在、かつて私がしてもらったように、少しでも前向きに思えるような治療や言葉を届けられる存在となれるよう日々精進いたします。
S様 / 東京都在住 / 33歳 / 女性 / 自営業(技術職)
首こり 肩こり
肩甲骨周りのこり
長い間慢性的な首肩こりや、肩甲骨周りのこりに悩まされており、5年前から鍼灸マッサージ院に通い始めた。
通う以前と比べるとだいぶ良い状態に改善したが、仕事が忙しくなり、座る時間が長くなると、まだこりを感じてしまうため、来院された。
一見すると姿勢は悪くないが、インナーマッスル(脊柱起立筋、腹横筋など)と比較して、アウターマッスル(僧帽筋、広背筋など)が優位に働きやすく、姿勢の維持をアウターマッスルに頼ってしまっている。
アウターマッスルは強い張力を発揮するが、持続性に乏しく筋疲労を起こしやすい。
そのため、長時間同じ姿勢をとっていると、筋疲労や筋緊張が起こりやすい状態となっている。
インナーマッスルを優先的に使えるようにトレーニングをすることで、長時間の姿勢維持が可能となり、現状打破できると考えた。
こりの出やすい首、肩や肩甲骨周りを中心に鍼やマッサージで全体的に筋肉をほぐした。
また、並行してインナーマッスル(腹横筋、脊柱起立筋など)のトレーニングを行なった。
治療頻度は2週間に1回のペース。
治療後はこりから解放され楽になる感覚はあったが、1週間ほどでまたこりを感じてしまう状況で、これ以上短いペースで治療をすることは仕事の都合上難しかった。
だが、日常生活の中でセルフケアとしてトレーニングをすることによっても、こりの緩和を実感されていたため、あえて鍼やマッサージを使わずにトレーニングのみで、筋力強化とこりの緩和を狙う方針に方向転換した。
姿勢を長時間キープするのに必要な要素(腹横筋、脊柱起立筋など)を個別にトレーニングしつつ、徐々にスクワットやデッドリフトなど、それぞれの筋肉を連動させながら動かすトレーニングにステップアップしていった。
また、肩甲骨周りがこりやすいので、こりの解消を目的として、肩甲骨を積極的に動かすトレーニングをセルフケアでも入念に行なっていただいた。
はじめのうちは、うまく連動させることができなかったが、トレーニングを重ねるごとに少しずつ、連動性が増していき、負荷の増量や、回数、セット数も多くこなせるようになった。
トレーニングを重ね、アウターマッスルのみに頼りすぎず、インナーマッスルと協調して姿勢キープができるように改善した。
仕事が立て込んでいる際に、こりはまだ多少感じることはあったが、日々のセルフケアによっておおよそコントロールができるようになり、日常生活や仕事にも支障をきたさなくなってきたため、治療はゴールとなった。
今回のケースのように、鍼治療やマッサージ治療にて、ある程度まで改善したけれど、その状態からなかなか先に進まないという方は少なくありません。
鍼やマッサージは対症療法です。一定の頻度で通い続けていれば、つらさは低い水準で保つことができます。
ですが、S様のように、今まで以上に仕事が忙しくなってしまったり、治療間隔をあけてしまうと、こりがつらくなってしまうという方は、トレーニングを行い身体を支えるのに適した筋肉(多くの場合はインナーマッスル)で、効率的に姿勢を維持する必要があります。
S様は日々のセルフケアでこりがひどくならないように保ちながら、体幹のインナーマッスルを強化することで、徐々に治療の必要がない身体へと改善することができました。
本件は、運動療法によって根本的な改善にいたった例といえます。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。
昨今リモートワークが急激に普及し、パソコンを自宅で使う機会が多くなりました。
通勤時間の減少などメリットも多い一方で、運動不足に陥り、首こり・肩こりなどの慢性的な不調を訴える方が増えてきていると実感しております。当院の患者さんも、自宅でテレワークを行うことで、今まで通勤やオフィス内の移動が運動になっていたことに気がついたとおっしゃる方が少なくありません。
これまでは普段仕事をする環境ではなかった場所で、長時間のデスクワークを余儀無くされているわけですから、負担が増大するのも頷けます。
今回は、首こり・肩こりの予防を目的として、自宅で簡単に実践できる「パソコン作業時の適切なデスク環境」をご紹介していきたいと思います。
是非参考にしていただけたらと思います。
それではまず、首こり・肩こりの予防としてデスク環境を整えることがなぜ大事なのか?
以下3点を理由に挙げます。
座っている姿勢は、立っている姿勢と比べると疲れにくいし、楽に感じる方も多いと思います。
しかし、実際は座り姿勢の方が正しい姿勢を保ちにくく、首肩や腰に関しては負荷がかかりやすい状態となります。
デスクワーカーなど、仕事でパソコンを使う方などにとっては、1日のほぼ大半をデスクで過ごすことになります。
重い物を持つなどの重労働と比べると、短い時間にかかる負担の量は少ないです。
しかし、「塵も積もれば山となる」というように、少しの負担でも1日8時間以上ともなると、蓄積される負荷量はかなりのものになるでしょう。
首こり、肩こりを軽減させるために、トレーニングやストレッチなどの運動は大切です。
しかし、筋力や柔軟性は一朝一夕で改善されるものではなく、効果の実感までに時間を要することが大半です。(今まで使えていなかった筋の使い方を覚えることで、一回のトレーニングで劇的に変化する方も中にはいらっしゃいます。)
その点デスク環境など、環境要因を改善することは、負担の軽減に即効性があり、一度整えてしまえば半永久的にその恩恵が受けられます。
以上の理由からデスク環境を整えることは、治療をすることと同等に首こり・肩こりの軽減に必要なことと考えます。
むしろ環境要因の改善そのものが治療の一部といっても過言ではありません。
厚生労働省では、パソコン等の作業における労働衛生管理のためのガイドラインを公表しています。
平成14年4月5日「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が発表されました。
その後、基本的な考え方は維持しつつ、多様な作業形態に対応するため、改定版として令和元年7月12日「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が発表されました。
情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて(基発0712第3号)[PDF形式:1464KB]
このような公的機関のガイドラインは一定の基準と考えて良いでしょう。
ただ、個々のおかれている状況は異なりますし、作業環境を改善させるにも限界があるというのも実際のところです。
また、公的なガイドラインがあるものの、デスクワークにより、不調をきたす方が多いのも事実です。
今回は厚生労働省のガイドラインをふまえた上で、私たち肩こりラボが、肩こりや首こりの治療に取り組む中で見出した、より実践的なデスク環境をご紹介させていただきます。
一部、ガイドラインに記載されている内容と異なる箇所がありますが、実際をふまえたうえでの肩こりラボ独自のノウハウとなります。
この点をご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
まずは早速、首肩に負担のかかりにくい理想の姿勢をご覧ください。
上記の姿勢を取る上で重要なポイントを大きく3つに分けました。
椅子の高さは、座って脇を閉じたまま机に手を置いた時に、肘の角度が概ね90°となるようにしましょう。
机が高すぎる場合、あるいは椅子が低すぎる場合、多くは肘の角度が90°以下になります。
すると肩がすくんで、腕が力みやすくなるため、負担が大きくなります。
また、机の高さはJIS規格により、多くが床から70cmとなっています。
これは1971年頃に成人男性の一般的な体格に合うように作られた規格です。
小柄な方ですと、前述の方法で机を基準に椅子の高さを合わせると、足が浮いてしまい不安定になってしまいます。
成人男性の平均身長を元にしているので、当然ながら女性には適しにくいです。
昇降デスクであれば高さの調節が可能ですが、そうでない場合、足元に台を置いて足裏が床に付くようにすると安定しやすいです。
こちらの記事で、自分に合った机と椅子の選び方について解説しています。
よろしければ参考にしてみてください。
デスクトップ型のパソコンの場合、ディスプレイとキーボードが分かれています。
そのため、それぞれを最適な位置にセットしやすく、身体への負担は一番かかりにくいです。
●ディスプレイ
上端が目の高さと同じ、もしくはやや下となるように高さを合わせます。
●キーボード
肘や腕を机に乗せるスペースを確保しつつ、なるべく自分に近づけましょう。
肘掛けのある椅子を使用すると、肘を身体の近くに置くことができ、キーボードを身体の近くに置きやすくなります。
ノートパソコンは持ち運びに優れる反面、ディスプレイとキーボードが一体となっています。
ディスプレイを適切な高さに合わせるとキーボードの位置が高すぎてしまい、その逆もまた然りです。
一番良い方法は外付けキーボードかディスプレイを使用し、デスクトップ型と同じ環境にすることです。
このようにすると体への負担は減りますが、用意する物品が増やしたくない方もいらっしゃると思います。
そこで、もう少し手軽な方法を推奨します。
それはキーボードに傾斜をつけることです。
ノートパソコンの奥が高くなるように傾斜をつけると、ディスプレイの高さを出しつつ、快適なキーボード操作が可能となります。
この傾斜をつける方法は、専用のスタンドも市販されていますが、雑誌などで簡易的に対応もできるため、誰でもすぐに実行でき、ディスプレイを高くして首肩の負担を減らすことができる利点があります。
一方で、キーボードを打つ際に、手首の背屈角度(反らす角度)が増すというデメリットもあります。手首の背屈が増すと、腕の甲側の筋肉(前腕伸筋群)の負担が増えることになり、手首や肘の痛みにつながる可能性もあります。
この方法は、外出時やどうしても外付けキーボードやモニターを用意できない場合など、あくまでも短時間の作業時に留めておくことが良いでしょう。
日々ノートパソコンで長時間の作業を行う方は、多少のコストは発生しますが、一回マッサージに行くよりも、肩こりや首こりに対して長期的にプラスにはたらきます。
ぜひ外付けキーボードかモニターをご用意していただけたらと思います。
最後は姿勢、座り方のコツです。
頑張りすぎず、効率的に姿勢を保つために、重心をどこに置くかが重要です。
猫背で丸まってしまっている時は尾骨や仙骨あたりに体重が乗っていることが多いです。
このような座り方が「良くない姿勢」ということはお分かりだと思います。
問題は「良い姿勢」をとった時にどこに重心があるかです。
試しに良い姿勢をとってみましょう。どこに一番体重が乗っているでしょうか。
おそらくですが、多くの方が「坐骨」というお尻の出っ張っている骨の部分に体重が乗っているのではないでしょうか。
実はこの「坐骨座り」は、キープして姿勢を支えるのに、たくさんの筋力が必要です。
ですから良い姿勢をキープしようとしてもすぐに疲れてしまい維持できないのです。
「坐骨座り」でピッと背すじを伸ばしている姿勢は見た目はキレイですが、とても力を必要としますので、長時間のデスクワークを考えると現実的ではありません。良い姿勢をとりたくても、維持できなかったり、かえってつらいという方はこの「坐骨座り」が原因かもしれません。
ではどうすれば良いかといいますと、重心位置を坐骨よりもさらに前方にします。
坐骨よりも前側、太もものつけねです。
首肩に優しい重心のポジションを意識した座り方は「太もも座り」です。
慣れないうちは少し前傾すぎに感じると思いますが、鏡で横から見ると思いのほか姿勢がまっすぐになっているのが確認できると思います。
ただし「太もも座り」にも欠点があります。
それは、反り腰になりやすいことです。
場合によっては腰に痛みや負担感をご自覚する方もいらっしゃるかもしれません。
その場合は無理に「太もも座り」を維持しようとしないでください。
「首肩こりと腰痛のどちらもある…。」という方の場合は、個別に適切な重心位置を調整する必要がありますので、専門家に診てもらうのがいいでしょう。
重心位置が整ったら次は上半身を整えていきます。
ポイントは「胸」です。
胸を前上方に突き出すように意識してみましょう。
良い姿勢を取ろうと無理に「肩を引く」のではなく、「胸を突き出す(引き上げる)」ようにすることで、「脊柱起立筋」という姿勢維持に適した筋肉が収縮しやすくなり、長時間の座り姿勢を少ない負担で支えることができます。
良い姿勢と言うと、肩甲骨をグッと後ろに引いた状態をイメージしがちですが、実は努力して肩を後ろに引こうとすると、アウターマッスルである僧帽筋や広背筋がメインで働きます。
僧帽筋は肩こりで硬直しやすい筋肉であることは多くの方がご存知だと思いますが、その僧帽筋自体に負荷をかけてしまいます。
また、広背筋がたくさん収縮することで、肩関節が内側に巻いてしまい、いわゆる「巻き肩」の状態になりやすくなり、さらに僧帽筋に負荷がかかります。
また、肩甲骨は僧帽筋や肩甲挙筋で、首と連結しています。(首からぶら下がっている様な状態)
広背筋は肩甲骨を下に引っ張るはたらきもありますので、過剰に収縮することで、肩甲骨を上から支えている僧帽筋や肩甲挙筋に負荷をかけることになります。
肩関節を動かしたり体幹を支える上で、僧帽筋や広背筋はとても重要な筋肉ですが、そればかりが過剰に働いてしまうと悪影響もあります。
丸まっているのを直そうとして肩をグッと後ろにひこうとすることで、効果が無いだけでなくかえって状況が悪くなってしまう可能性もありますので、注意をしてくださいね。
上記2つ「太もも座り」と「胸出し」を意識して座ると、大腿部と背部の筋肉を使えるようになり、首肩への負担軽減につながります。
ですが、この姿勢をキープするにもある程度体幹の筋力が必要であり、最初のうちは短い時間で疲れてしまうかと思います。
そこである道具を使うことで、姿勢のキープがとても楽になります。
正しい姿勢を理想論ではなく、今日から実際に活かしていただくためのとっておきの方法です。
それは、クッションです。ただしその使い方が特殊です。
世の中に、姿勢をサポートするクッションなどのグッズはごまんとありますが、その多くは座面や背もたれに設置するタイプのものです。
肩こりラボが推奨するクッションの使い方は、座面や背もたれに挟むのではなく、クッションを太ももの上に置き、お腹と机で挟み込むように座りましょう。
クッションを前方に設置することで、背もたれ側ではなく、お腹の方に寄りかかることができます。このようにすることで、自然と太もも座りや胸出しを促すことになり、無意識に背中が丸まってしまうのを防ぐことができます。
また、ここで使うクッションは、ソファ用クッションや座布団、あるういはタオルや掛け布団を丸めたものでも代用できます。今現在ご自宅にあるもので代用できますので、新たなものも購入する必要はございません。
市販されている、骨盤が立つように座面をサポートしてくれるシートなどと併せて行っていただいてもよいでしょう。
首・肩に負担をかけにくいデスク環境を以下にまとめます。
※足が浮いてしまう場合は足置き台などを使用。
昇降式のデスクと椅子を使用するのがベスト。
※ノートパソコンの場合
外付けのディスプレイかキーボードを使用
もしくはキーボードに傾斜をつける
※長時間キープが疲れてしまう場合
クッションを太ももの上に置き、机とお腹で挟む
現在使用しているパソコンがノートパソコンの場合は上の図のようにサポートアイテムを使うことで、首や肩の負担を減らすことができます。
家にあるもので代用しやすいので、新たに周辺機器を購入する必要がないのがメリットです。
厚生労働省のガイドラインは学術的知見を踏まえて、適切なデスク環境への措置方法が網羅されています。
本記事も厚生労働省のガイドラインに基づいた内容となっておりますが、中には会社の規定や個人的な事情により、ベストな状況にしたくてもできない方も多いと思います。
そのため、家にあるもので代用できる案も、合わせてご紹介をさせていただきました。
まずは簡単に実践できるものから試してみてはいかがでしょうか。
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執筆者:須藤 大登
Hiroto Sudo
呉竹鍼灸柔整専門学校 柔整科卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業
鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
柔道整復師
学生の頃、大きな怪我で部活が出来ない時期がありました。
全治2~3ヶ月と診断を受けた時、リハビリ担当の先生が「大丈夫。しっかり治すために一緒に頑張ろう」と声をかけてくれました。
なんでもない言葉ですが、当時の私にはすごく心強く、前向きになれたことを覚えています。
治療する立場となった現在、かつて私がしてもらったように、少しでも前向きに思えるような治療や言葉を届けられる存在となれるよう日々精進いたします。
肩こりラボでは、HYPERICE社製品の各種機器を、治療で取り入れています。各機器の中でも特に使用頻度が高いのが、HYPERVOLT(ハイパーボルト)とHYPERVOLT PLUS(ハイパーボルトプラス)です。
HYPERICE社製の機器は複数ありますが、中でもHYPERVOLT(ハイパーボルト)とHYPERVOLT PLUS(ハイパーボルトプラス)は、メディアやSNS等で度々紹介されており、治療家やトレーナーに限らず一般の方も「見たことある!」「知っている!」という方はいらっしゃることかと思います。
当院は、HYPERICE社製品の正規取り扱い施設となっております。そのため、HYPERVOLT(ハイパーボルト)とHYPERVOLT PLUS(ハイパーボルトプラス)について、興味をもたれている方や購入を検討しているという方から多数お問い合わせをいただきました。
そこで今回、HYPERVOLT(ハイパーボルト)とHYPERVOLT PLUS(ハイパーボルトプラス)という2つの製品の使用感を比較する動画を製作しました。
動画につきましては、現在、肩こりラボ公式YouTubeチャンネルにて公開中です。
なお、本記事は、公開している動画の内容を文章にて書き起こしたものです。現在公開している動画と合わせてご覧いただけたらと思います。 (動画は最下部からもご覧いただけます)
それでは、さっそく内容に入っていきます。
HYPERVOLT(ハイパーボルト)とHYPERVOLT PLUS(ハイパーボルトプラス)
この2つの使用感について比較、検証していきます。
ご参考になりましたら幸いです。
まず、YouTube動画を製作しようと思った経緯ですが、私たちがハイパーボルトを導入しようと思った時に、ボルトとボルトプラスどちらが良いのか、とても迷いました。
実際に導入した後も、トレーナーさんや治療家さん、あとは患者さんからもどちらが良いのか?違いは何なのか?というお問い合わせを沢山いただきました。
そこで、同じようにどちらを選ぶべきか迷われている方々のお役に立てたらという思いから、ボルトとボルトプラス、この2つの比較検証動画を製作してみようと思い立ったのです。
まずは、今回比較、検証する機種の紹介です。
HYPERVOLT(ハイパーボルト)について
HYPERVOLT (ハイパーボルト)は2018年4月に発売され、2019年6月にリニューアルされています。今回の比較に使用するのはリニューアル後の新しい物となります。
以下、HYPERICE公式HPより引用
HYPERVOLTは、最先端のQuiet Glideテクノロジーを搭載した3段階の強力な振動によって、トレーニング前後の身体のトータルケアや筋膜リリースに最適なアイテムです。セルフケアだけでなくトレーナー、治療家の方もクライアントに使用頂けます。片手で使える約1.1kgの軽量コードレス式で使用する場所を選びません。
強力な振動を生み出しながらも特許取得済みのQuiet Glideテクノロジーにより静かな音で作動します。
5種類のアタッチメントをケアしたい部位、痛み、目的に応じてカスタマイズでき、振動は3段階(毎分約1,800回〜3,180回まで)に調整することができます。
使用する場所を選ばない、持ち運びにも便利なコードレス式で、1回の満充電で最大2時間まで連続使用できるリチウムイオンバッテリーを搭載しています。
どれくらい患部に当てているかの圧力を感知して3段階のLEDライトで確認できる圧力センサーを搭載しています。治療セッションの際のより正確な施術のための視覚的なフィードバックとしてお役立てください。
出典:HYPERICE公式HP
HYPERVOLT PLUS(ハイパーボルトプラス)ついて
HYPERVOLT PLUS(ハイパーボルトプラス)は2019年10月に発売されました。
以下、HYPERICE公式HPより引用
HYPERVOLT PLUSは、HYPERVOLTの1.5倍パワフルなモーターを搭載し、どんな振動機器よりも強力な振動を備えています。パワフルな振動の方が心地よい方や、よりアスリートの方向けにパフォーマンスの向上そして体の機能を改善するために設計されています。
強力な振動を生み出しながらも特許取得済みのQuiet Glideテクノロジーにより静かな音で作動します。
5種類のアタッチメントをケアしたい部位、痛み、目的に応じてカスタマイズでき、振動は3段階(毎分約1,800回〜3,180回まで)に調整することができます。
使用する場所を選ばない、持ち運びにも便利なコードレス式で、1回の満充電で最大2時間まで連続使用できるリチウムイオンバッテリーを搭載しています。
どれくらい患部に当てているかの圧力を感知して3段階のLEDライトで確認できる圧力センサーを搭載しています。治療セッションの際のより正確な施術のための視覚的なフィードバックとしてお役立てください。
出典:HYPERICE公式HP
ここからは、この2機種のスペックの違いを見ていきます。
スペック上の違いとしては、以下の3つの違いがあります。
①モーターの出力
②重量
③バッテリー稼働時間
具体的にみていきましょう。
HYPERVOLT → 60w
HYPERVOLT PLUS → 90w
ボルトが60wであるのに対し、プラスは90wと1.5倍強い出力のモーターを積んでいます。
受けてみると、モーターの出力が大きい方が1回1回の打撃が重く感じ、ずっしり深く刺激が入る感覚です。
HYPERVOLT → 1.1kg
HYPERVOLT PLUS → 1.3kg
機種の重量の差は200gです。ボルトプラスと比べて、ボルトの方が200g軽いです。
200gの目安は、小さめなリンゴ1個分の重さ。一般的なPC用マウスひとつが約100gなので、マウス2個分の重さの違いとなります。
HYPERVOLT → 3時間
HYPERVOLT PLUS→ 2.5時間
ボルトが3時間であるのに対し、プラスは2.5時間と、ボルトプラスの方が30分ばかり短いです。
HYPERVOLT PLUSの方が、W数は大きいので消費電力も当然多くなります。
肩こりラボでは、2機種とも実際の治療に取り入れておりますが、一日で充電が切れてしまうことはほぼありません。
そして、スペック上の連続使用時間の差について、日々使っている上でプラスの方が劣っていると感じることはありません。※どちらも連続2時間は使用できます。
では、ここからは検証に入ります。
実際にボルトとボルトプラスの施術を受け比べてみます。
圧力センサー1、出力レベル1
■受け手の感想
→けっこう強く感じる。十分刺激が入っている感覚がある。
圧力センサー1、出力レベル1
■受け手の感想
→ボルトと比べると、かなりしっかり振動を感じる。でも強すぎるという感覚ではなく、心地のよい刺激の範疇。
2つの機種での施術を実際に受け比べてみましたが、ボルトプラスの方が、パワーが強いと感じるものの、ボルトが明らかに劣っているというわけではありませんでした。
YouTube動画の中ではさらに、水やゴルフボールを使って、振動の大きさの比較を行っています。
特に、ゴルフボールを使って行った検証では、ボルトプラスの方がパワフルであることを視覚的に確認することができました。この検証様子は是非、YouTube動画をご覧になり、お確かめいただけましたら幸いです。
ここで、検証結果を簡単にまとめると・・・
スペックの差からも分かるように、ハイパーボルトプラスの方が全体的なパワーが強いです。
ですが、だからといってハイパーボルトのパワーが弱いという印象も受けませんでした。
では、この検証結果を踏まえて、どちらの機種を選べば良いのか、考察していきたいと思います。
それでは、比較、検証した結果のまとめに入ります。
ボルトプラスの方がモーターとしては1.5倍強いので、確かに強力な印象を受けました。
ボルトで出力を2にすると、ボルトプラスの出力1よりも、体感的な刺激は強くなるようです。
ボルトとボルトプラス両方とも同じ出力1でやると、施術を受けていてボルトプラスの方が強く、太く、奥まで入るような感覚がします。
スペック上、ハイパーボルトはボルトプラスに比べて200g軽いです。
200gという数字ではありますが、実際に操作してみると意外にも大きな差を感じます。
操作している感じではボルトの方が軽くて操作しやすいです。
ボルトプラスの方は重さがある分、扱いが少し大変なのですが、押し付ける時に重さを利用できるので、強い刺激を与えたい場合は操作が楽に感じます。
ですので、ボルトプラスの場合パワーが強いので、押し付けすぎてしまうと、中には強すぎると感じる人もいるかもしれません。
その場合、完全に押し付けずに少し浮かせた状態、ボルトの重み自体もかけない状態で操作する必要があります。
こうなった場合、腕力が弱めの方や一般の方が操作する分には、少し疲れてしまうと思うかもしれません。
スペック上は、ハイパーボルトの方が30分長く稼働するということなのですが、私たちが日常的に1日使用する中で、ボルトプラスの方が早くバッテリーが切れてしまうという印象は今のところ持っておりません。
バッテリー稼働時間に関しては、大差ないと考えていただいて構わないと思います。
それでは、本題のどちらを選ぶか? という部分です。
それは、目的によってかわります。
アスリートの治療施術をすることが多いケースであれば、私たちであればボルトプラスを選びます。
筋肉が多く体格が良い方に対して、しっかり奥まで刺激を与えたいというケースが多いということであれば、ボルトプラスがおすすめです。
また、アスリートではなくとも、かなりの強刺激を求める方を施術する機会が多いのであればボルトプラス、一方でそこまで強い刺激を求めないならばボルトで充分です。
ボルトの方が操作はしやすいので、女性のセラピストやセルフケアで用いる方で、とても強い刺激を求めないということであれば、ボルトがオススメです。
両機種とも必要にして十分なパワーはありますが、
よりパワフルなのがボルトプラス、より操作性が良いのはボルト。
となります。
いかがでしたでしょうか。
HYPERVOLTとHYPERVOLT PLUS
この2つで迷われている方の参考になれば幸いです。
他にも、肩こりラボでは、VYPER2.0、HYPERSPHERE、HYPERSPHERE MINI、こちらも導入しています。
これらの機種も、実際にお手にとって検討していただくことが可能です。
HYPERSPHEREとHYPERSPHERE MINI、こちらで迷われている方も多いと思います。そのような方も是非お気軽にお問い合わせください。
※今回、HYPERVOLTとHYPERVOLT PLUSの検証で使用したアタッチメントはノーマルのもの1つですが、アタッチメントは全部で5種類あります。アタッチメントによって感じ方も変わりますので、さら詳しく比較検討したい場合は、ぜひ実機にてお試しください。
この記事でご紹介したHYPERVOLTとHYPERVOLT PLUSの比較検証動画は、以下のリンクからご覧いただけます。
お時間のある方は、是非動画も合わせてご覧ください。
YouTube動画
HYPERVOLT、HYPERVOLT PLUS「どちらが良いの?」お悩みの方へ
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。
Y様 / 静岡県在住 / 33歳 / 女性 / 会社員
肩こり
首こり
頭痛
肩こり、首こりは高校生の頃からあったが、1年前くらいから特にひどくなってきた。
ひどい時は頭痛や吐き気を伴うこともある。
頭痛外来にて精密検査などを行ったが、これといった異常所見はみられなかった。
はっきりとした原因が特定できないまま、徐々に症状が悪化してきたためご来院された。
頭痛が特にひどいときは痛み止めを飲みながら緩和している。
マッサージや鍼を受けると一時的に緩和するが、数日すると元のつらい状態に戻ってしまう。
仕事はデスクワークが中心で、長時間座りながらパソコン作業をしていることが多い。
まず、首や肩のつらい部分と一致して、頭半棘筋、頭板状筋、肩甲挙筋、僧帽筋に強い筋緊張がみられる。そして頭半棘筋や僧帽筋を圧迫した際に、普段の頭痛に近い痛みが再現された。
このことから、頭痛は首や肩の筋緊張により、引き起こされている可能性が高いと考えた。
そして各関節可動域や筋力を検査したところ、股関節や胸椎の可動域の低さ、姿勢維持のために適した筋(脊柱起立筋、腹横筋、大殿筋)の筋力が十分ではないことがわかった。
上記の関節可動域の低下や筋力低下があると、良い姿勢を長時間キープすることが困難となる。
仕事では長時間座るため、適した筋肉で支えられていないことで首や肩にかなりの負担を強いることとなる。
まずは鍼やマッサージで筋緊張を緩和し、自覚症状をできるだけ少なくするよう努める。
次に根本的な部分の改善として運動療法をメインに進めていき、治療期間をあけても大丈夫な状態を目指すこととなった。
初期治療では通常一週間に一度ほどの頻度で集中的に治療をしていくが、静岡県からご来院されるため、二週間に一度のペースで行っていくこととなった。
そして次回の治療までに、なるべくこりの少ない状態をキープしていただくために、セルフケアとしてストレッチや体操を通常よりも多く行ってもらった。
治療を開始して約3ヶ月、7回の治療でこりや頭痛の程度がNRS3まで落ち着いたため、運動療法がメインとなる中期治療へ移行した。
※NRS:Numeric Rating Scale。痛みを「0:痛みなし」から「10:これ以上ない痛み」までの11段階に分け、痛みの程度を数字で表す評価方法。
まずは治療開始前のような強いこりや頭痛が出ないようにすること。(鍼やマッサージによるほぐし)
そして姿勢改善のため、可動域改善と筋力強化をメイン課題として運動療法を中心に治療を進めた。
まずは脊柱起立筋、腹横筋、大殿筋など姿勢維持のために必要な筋を個々にトレーニング。
それぞれが十分に使えるようになったら、徐々に連動性をもたせるトレーニングへと発展。
トレーニング開始してから間もない頃は、背中の筋を使おうとすると首や肩など、上半身に力が入ってしまっていた。
腹横筋や大殿筋など体幹や下肢の筋肉が使えるようになると、徐々に上半身の余計な力みがなくなり、目的の筋を選択的に収縮できるようになった。
治療を開始してから約1年。治療回数は26回。良好姿勢が定着したため、後期治療へ移行した。
Y様とのご相談により、3ヶ月に一度の治療頻度で良好な状態がキープできるようにすることを目標に、徐々に治療間隔をあけていった。
肩や肩甲骨、鎖骨周りが張ることもしばしばあったが、大きく調子を崩すこともなく、良好姿勢やセルフケアの習慣化なども出来ており、3ヶ月あけても問題ない状態となったため、治療はゴール。
治療期間は約1年9ヶ月。総治療回数は31回。
当院には、北海道から九州までさまざまな地域から治療を受けにいらっしゃいます。
遠方からご来院される方や、さまざまな事情により当院が推奨している頻度で通うことが難しい場合でも、セルフケアや治療内容のカスタマイズにより、根本的改善に向かっていくことは十分可能です。
Y様も静岡県からのご来院ということもあり、平均よりも長期間となることを見据えての治療計画となりました。
セルフケアなど地道に続けていただいた結果、着実に身体が改善していき、ゴールへと到達することができました。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。
M様 / 埼玉県在住 / 27歳 / 男性 / 会社員(営業職)
学生の頃から教科書などをたくさん入れた重い荷物を持ち歩くことが多く、肩から背中にかけて強いこり感があった。この時がピークでつらかった。
その後、配送業に就き、現在は転職し営業の仕事をしている。
外回りで長時間車を運転することが多いのと、週に一度は長時間デスクワークをするため、その際にはこりを強く感じやすい。
また、スーツのジャケットを着用していると窮屈さからどうしても姿勢が丸まってしまい、さらに強いこりを感じやすくなる。
運動は現在あまりしていない。趣味としてダイビングをやっている。酸素ボンベを背負う時も肩や背中はつらくなりやすい。
肩から背中にかけてこりを感じる部分と一致して、筋肉の緊張がみられる(僧帽筋、最長筋、腸肋筋など)。
姿勢を正そうとしても、すぐに崩れやすい主な要因として、股関節と胸椎の柔軟性不足が考えられる。
姿勢を支えることに適している筋(脊柱起立筋、腹横筋、大殿筋など)の筋力低下はあまりみられないが、股関節や胸椎の柔軟性が低いため、相対的に姿勢を支えるために強力な筋力が必要な状態。
治療は、マッサージや鍼で筋緊張を緩和しつつ、柔軟性の改善と筋力強化の両方向から改善を図る。
また、車の運転中などは姿勢に意識を集中させることが難しいため、無意識の状態でも良い姿勢を保てるように、反復継続的にトレーニングを行うことが重要と考えた。
まずはマッサージや鍼を用いて、筋緊張の緩和を優先して治療を進めた。
治療頻度は1週間に一度のペース。
鍼はこれまで受けたことはなかったが、筋の反応がとても良く、1回の治療ごとにこりの自覚症状が改善していき、3回目の治療で NRS 1まで症状改善を実感されたため、中期治療に移行することになった。
※NRS:Numeric Rating Scale。痛みを「0:痛みなし」から「10:これ以上ない痛み」までの11段階に分け、痛みの程度を数字で表す評価方法。
自覚症状をほとんど感じなくなったため、こりが悪化しないように定期的に筋肉は緩めつつ、柔軟性の改善と筋力強化を目的とし、運動療法をメインに治療を行った。
治療頻度は2週間に一度のペース。
中期治療のはじめは個々の関節可動域の改善や、筋肉をそれぞれ個別に使えるようにするストレッチやトレーニングから開始。徐々に連動的に身体が使えるようにトレーニング内容をステップアップさせていった。
10回目の治療で、姿勢の維持をするために必要な柔軟性や筋力が身についてきたため後期治療に移行。
運動療法のペースは保ちつつ、徐々に鍼やマッサージなど、ほぐし治療の頻度をあけていった。
ご相談の上、2ヶ月間肩こり、背中こりに悩まされない状況をキープできたため、ゴールとなった。
治療開始からゴールまでの期間は約10ヶ月間。総治療回数は22回。
そのうち8回は鍼やマッサージをせず、運動療法のみの短い治療。
本ケースは初診からゴールまで、順調な経過をたどったケースです。
肩こりの根本的な改善を目指すにあたって、中期治療以降は自覚症状の変化が緩やかになり、改善の実感を得にくくなりますが、この期間でしっかりと運動療法を重ねていくことにより、より早期にゴールに近づくことができます。
M様は、気持ちの切れやすい中期治療の際に、セルフケアとして日々しっかりとストレッチや筋力トレーニングを行なってくださったことが早期ゴールにもつながったと考察しております。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。
画像を「SQUARE ENIX 」ホームページから引用させていただきました
「 根本治療 」
多くの治療院、整骨院、整体などのホームページや広告などで目にする機会が多い言葉ですね。
「根本治療」や「根本改善」と聞くと、みなさんはどんな印象を持たれていますか?
“なんとなく”良いイメージを持つという方は少なくないでしょうか。
一方、真面目に治療を検討している方であれば、
「根本治療っていうけど、具体的に何をどうするの??」
「根本治療をしたらどのような状態になるの??」
このような疑問を抱く方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
たしかに、患者さんの立場になって考えてみると、
という印象があります。
かく言う私たち肩こりラボも「根本治療」を提言している治療院のひとつです。
私たちは、治療を行うにあたりまして、治療者からの一方向的なものではなく、患者さんと対話をしながら一緒に治していくということを重視しています。
ですので、患者さんには”なんとなく”ではなく、”きちんと”理解し、納得して、治療を受けていただきたいのです。
そのためにも、きちんとした説明をして、前提を共有することは必要不可欠と考えております。
世の中に「根本治療」という言葉が溢れかえっている状況です。
「根本治療」という言葉の「わかりにくさ」「不透明さ」を少しでも解消したい。
また、慢性的な肩こりや首こりにお悩みで、本気で治したいとお考えの方のヒントになればと思い、本記事を執筆いたしました。
治療者によって「根本治療」の捉え方は様々あるかと思いますが、肩こりラボが考え、実践している「肩こり・首こりの根本治療」を、有名テレビゲーム「ドラゴンクエスト」を例にご説明させていただきます。
なお、本記事では、慢性的な肩こり・首こりにお悩みで、施術を受ければ一時的に緩和するが、日常生活をするとすぐに元どおりになってしまい、本質的に状況が改善しないという方が、施術を受けなくても大丈夫な状態(治療を必要としない状態)になるということをゴールと考えてお話いたします。
ご参考になりましたら幸いです。
さて、筆者が幼少時代から愛してやまないゲームがあります。
それは「ドラゴンクエスト」通称ドラクエです。
ドラクエとは、RPGの金字塔とも言える作品で、プレーヤーが主人公=勇者となって、世界を脅かしている魔王を倒すために冒険をします。
その過程でたくさんの手強いモンスターと遭遇し、戦って勝利をしなければなりません。
実はこのドラクエの戦闘において、プレーヤーのとるべき戦略と、首こり・肩こりの根本治療への治療計画には共通する部分があります。
※ドラゴンクエストをご存知でない方は、本項はとばして次項「水漏れの状況を例にご説明いたします」からお読みいただけますと幸いです。
まずはドラクエの戦闘についてお話しします。
ドラクエでは、モンスターに遭遇すると、モンスターはプレーヤーに対して様々な攻撃を仕掛け、ダメージを与えようとしてきます。
そして、プレーヤーのHP(Hit Point=体力)が0になると、戦闘不能になってしまいます。
強敵であるほど受けるダメージが大きいため、戦略が非常に重要となります。
なお、プレーヤーが取る行動の選択肢として、「にげる」というコマンドもありますが、ここでは「たたかう」ことを前提として話を進めさせていただきます。
話をバトルに戻します。
まずこちらのHPに余裕がある時は、モンスターに攻撃する、あるいは強化呪文を使い、守備力などを上げることで次回以降のターンを有利に進めるために備える。
これが強敵と戦う上での定石でしょう。
一方で、モンスターの攻撃を受け、HPが残り少なくなると、戦闘不能とならないように回復呪文でHPを回復する必要があります。
つまり、HPに余裕がある時、とるべき行動の優先順位は
攻撃、強化>回復
そして、HPが残り少ない時、とるべき行動の優先順位は
攻撃、強化<回復
となります。
また、ドラクエでは特殊な装備や呪文などにより、毎ターン自然回復をすることも可能です。
モンスターの攻撃によるダメージ量よりも、自然回復の量が上回ることで、回復呪文を使わずに戦い続けることも可能となります。
このように状況に応じて、戦略を変えていくことによって、ダメージを受けつつも倒されずにモンスターに立ち向かうことができます。
反対に優先順位を間違えるとモンスターを倒すのに時間がかかってしまう。あるいはHPが尽き、戦闘不能(ゲームオーバー)となってしまうのです。
ドラクエに馴染みのない方も多いと思います。
今度はより一般的で誰にでもイメージしやすい例をもう一つご紹介します。
洗面台の排水口が詰まっており、水が流れにくくなった状態のなか、ある時、蛇口が破損して水が止まらなくなってしまったという状況をご想像ください。
排水量よりも漏水量が上回ってしまい、時間の経過と共に徐々に水位が上がり、遂には洗面台から水が溢れ、床が水浸しになってしまっていました。
浸水はどんどんひろがっていきます。家具などが水浸しになって壊れてしまうだけでなく、下層にまで漏水してしまうと大きな損害を与えてしまうことになります。
さて、このような状況で、あなたが最初にとるべき行動は何でしょうか?
対処方法は色々あると思います。
この場合、一番困っているトラブルは床が水浸しとなってしまっているという現象ですが、水浸しとなっている箇所をいくら拭いても、問題解決に至らないのは容易に想像できます。
床が水浸しとなってしまっているという問題を根本的に解決するためには、一番は蛇口から漏れ出ている水を止めることですが、排水口の詰まりを解消することでも漏水自体はひとまずおさえることができるでしょう。
でも、排水口の詰まりの解消や、蛇口の修理に多少なりとも時間がかかるとしたら・・・
水浸しになっている範囲が現在進行形で広がっていく最中、排水口や蛇口の修理に時間をかけてしまうと、その間に被害がどんどん広がってしまう状況が想像できると思います。
このような状況で、被害を最小限にするためには、まずはこれ以上浸水が広がらないように床を拭くこと。そして、洗面台の水をかき出すことで一時的にでも、水位を下げて溢れ出てくる水を減らすという応急処置をすることではないかと思います。
応急処置をして、多少の時間をかせいだうえで、落ち着いて、しっかりと排水口や蛇口を修理することで、水浸しの被害を最小限に抑えながら、問題の根本的な解決に至ることができるでしょう。
https://illust8.com/contents/4358から引用させていただきました
二つの例をご紹介しました。共通点はどこにあるでしょう?
ドラクエ → モンスターを倒し、これ以上ダメージを受けないようにする。
水漏れ → 洗面台の本来の機能を取り戻し、水漏れを止める。
ドラクエ → 攻撃をする、強化呪文を使う。
水漏れ → 排水口、蛇口の修理をする。
ドラクエ → HPが少なくなったら回復をする。
水漏れ → 床を拭く、洗面台の水をかき出す。
どちらも状況に応じて、やるべきことの優先順位があるという点で共通しています。
上記の共通点は首こり、肩こりなどの慢性症状の治療においても、同様のことが言えます。
一つ例をあげます。
Aさんは慢性的な肩こりがあり、日常生活に支障が出ている状態。
その原因はデスクワークにより長時間同じ姿勢でいること。
そして、その姿勢が悪いことにより、首や肩に負担をかけている。
姿勢を正さなければいけないことはわかっているが、凝りがつらくて、日々姿勢を意識することや、筋トレを続けることが難しい。
このようなケースを、上述した例え話に置き換えると以下のようになります。
肩こりのつらさによって日常生活に支障が出ている。
肩に負担をかけない姿勢や身体の使い方を習得すること。
→これを原因療法といいます
ドラクエだと強化呪文、水漏れだと排水口や蛇口の修理をすることです。
肩こりラボでは主にストレッチやトレーニングなどの運動療法が該当します。
不良姿勢の原因筋をほぐすという観点ではIDマッサージや3D鍼などの手技療法も当てはまります。
また、デスク環境を整えるなど、日常生活の工夫をすることも原因療法です。
凝り固まっている所をほぐし、つらさを緩和させること。
→これを対症療法といいます
ドラクエだと回復呪文、水漏れだと床を拭き、洗面台の水をかき出すことです。
肩こりラボでは主にIDマッサージや3D鍼などの手技療法が該当します。
凝り固まっている筋を緩めるためのストレッチや体操などもこれにあたります。
トレーニングや姿勢を正すこと(原因療法)はもちろん非常に重要です。
ですが、こりのつらさによって日常生活に支障が出ている以上、まずは凝り固まっている筋肉をほぐし、こりのつらさから一時的にでも解放されること(対症療法)が、効果的な原因療法を行うためにも重要となります。
対症療法で症状を緩和させながら、原因療法を併せて行い、根本的な改善を目指すのです。
そして、仕事など日常的にかかる負担の量よりも、自己の負荷許容量や、休息による自己回復量が上回った際に、治療をしなくても良い状態となります。
つまり、即効性のある特殊技術を行うこと(対症療法)や、原因療法だけを行うことが根本治療ではございません。
「根本的に解決したい問題」「根本的解決のために必要なこと」「早急に対処しなければいけないこと」これらを整理したうえで、問題を引き起こしている原因を明らかにし、状況によって対症療法と原因療法を組み合わせて対処を行うことが肩こりラボの考える根本治療です。
当院独自の技術である3D鍼、IDマッサージも一つ一つは単なるメソッド(手段)に過ぎません。
鍼をやったら必ず楽になる!肩こりを治すにはトレーニングじゃなきゃ絶対だめ!ということはございません。
解決すべき問題を明らかにし、根本的な解決のために必要なこと、早急に対処が必要なこと、これらをまずはしっかりと整理し(見立て)、最短で問題解決に到るための手順を考える(治療計画)、ということが大切となります。
この「見立て」と「治療計画」があって、次に具体的な対処法(メソッド)の話になるのです。
「根本治療」において大切なことは、特殊技術ではなく、患者さんの抱えている問題やお悩みをきちんと把握して、それに応じて治療計画を立てていくことと私たちは考えています。
根本治療に必要なことを次の5つにまとめました。
難しい表現をしておりますが、一言で言うと「カスタムメイドが大事」ということです。
症状を文字にすると「肩こり」「首こり」と皆同じように思えますが、解決すべき問題、程度、状況は患者さんによって様々なので、原因も様々です。ですので、原因を解消する手段や手順も様々であるのが自然だと思います。
もちろん私たち肩こりラボとしての標準治療は設けておますが、それを強要すること、その手順をいかなる時も遂行することが正解ではないと考えております。
ですので、効果的な方法(施術)を行うことや、唯一のマニュアルがあってそれを遂行すること自体が「根本治療」 というわけではございません。
一つの治療法にこだわるのではなく、患者さんの抱える問題、生活スタイル、考え方に応じて様々なやり方を提示できる治療院こそ、根本治療を望めると考えます。
今回は、治療をし続けなくても良い状態になって治療を卒業することをゴールとし、これを達成するための治療を「根本治療」としてご説明させていただきました。
しかし、治療を卒業することのみが目指すべきゴールではありません。
患者さんの中にはメンテナンスとして定期的に治療を受けることを望んでおり、それにより良い状態を保てている方もいらっしゃいます。
ドラクエの「ゾーマ」級にダメージ量の多いプロジェクトを抱えている方にとっては、回復役が常に回復呪文を唱え続けなければ、戦い続けることはできません。
※ゾーマとはドラクエⅢの魔王(最終ボス)のことです。
個々の抱えている問題やお悩みは人によって千差万別です。
症状をただ治すことを目的とするのではなく、それぞれの問題やお悩みに沿って戦略をカスタマイズし、「問題」を解決すること。
それこそが目指すべき本当のゴールと考えております。
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執筆者:須藤 大登
Hiroto Sudo
呉竹鍼灸柔整専門学校 柔整科卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業
鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
柔道整復師
学生の頃、大きな怪我で部活が出来ない時期がありました。
全治2~3ヶ月と診断を受けた時、リハビリ担当の先生が「大丈夫。しっかり治すために一緒に頑張ろう」と声をかけてくれました。
なんでもない言葉ですが、当時の私にはすごく心強く、前向きになれたことを覚えています。
治療する立場となった現在、かつて私がしてもらったように、少しでも前向きに思えるような治療や言葉を届けられる存在となれるよう日々精進いたします。
K様 / 東京都在住 / 50歳 / 男性 / 自営業
・息苦しい
・呼吸がしづらい
・呼吸が浅い
特に心当たりはないが、1年程前から、ふとした時に息苦しさや呼吸のしづらさを自覚するようになった。
だんだんとひどくなってきたので、循環器内科と呼吸器内科を受診し、心電図、レントゲン、肺機能検査を受けたが心臓や肺に異常はみられなかった。
以前から、慢性的に首肩こりや頭痛があり、今回の症状でも鍼やマッサージを受けてみたところ、施術を受けた直後にすぐにラクになるということはなかったが、3ヶ月ほどするといつの間にか息苦しさは気にならなくなっていた。
数ヶ月間は比較的良い状態が続いたが、2ヶ月前からまた同じ様な症状が出始め、再度医療機関を受診して検査を受けたが、今回も特に異常はみうけられなかったため、当院への来院に至った。
来院時点では常に呼吸が浅くなっている自覚があり、息苦しさを感じている状態。深呼吸すると少し楽になる。そのため、意識的に深呼吸を多く行なってしまう。
息苦しさに影響する要因に心当たりはない。仕事では、主にデスクワークや車の運転など、長時間座っている事が多い。
ジムで週2回、筋力強化のためのトレーニングをしている。
まず医療機関で精密検査を2度行っていたことから、命に関わる呼吸器や循環器の疾患である可能性が低いことを前提として診察を行った。
呼吸のメカニズムの重要な要素として、胸郭の可動性が挙げられる。
※胸郭とは胸椎、肋骨、胸骨で構成されたかご状の骨格。胸郭の内部には胸腔があり、肺や気管、食道、心臓などを収めている。
呼吸では、胸郭が大きく広がることで空気が肺に到達するメカニズムとなっている。胸郭が可動性に富んでおり、拡大することができなければ、肺が空気を取り込んで拡大することが困難となってしまう。
K様のお身体を診察したところ、胸郭に付着している筋肉(胸鎖乳突筋、大胸筋、広背筋、腹筋群など)の緊張が著しく高くなっていた。また、頚部の緊張も非常に高い。姿勢は、猫背で、いわゆる「巻き肩」の状態となっており、筋緊張と姿勢の観点から、胸郭が広がりにくい状態となっていた。
仕事で長時間の座ることが多いとのことで、不良姿勢により胸郭が可動しにくくなっていることが、自覚的な「息苦しさ」や「呼吸の浅さ」につながっていると考えた。
まずは猫背や巻き肩の原因となってしまっている胸郭周囲の筋緊張ならびに関節可動域をマッサージやストレッチで緩め、胸郭が拡大しやすい状態になるようにした。
そして、正しい座り姿勢を習得するために体幹筋(主に上背部の脊柱起立筋と腹横筋)の筋力強化と、体の使い方を練習する方針とした。
一方で、当該症状は、精神的ストレスが起因することもある。(内臓疾患が無いということが確認されているため)
仕事でのストレスやプレッシャー、そして「息苦しい」という症状のつらさ自体が精神的ストレスとなり、さらに息苦しさや呼吸の浅さが気になってしまうという悪循環が起こっている可能性もあると考えた。
そのため治療では、肉体だけでなく心理的なリラクセーションにも重きを置き、処置方法として、K様が心理的に心地よいと感じる治療を優先的に行うことした。このような理由から、鍼ではなく、ほぐす手段は、マッサージとストレッチを主体に処置を行なった。
また、緊張を緩和し可動性を改善させたいターゲット部位は胸郭周囲だが、自律神経のバランス調整のためにも、上肢や下肢へのアプローチも行なった。
猫背や巻き肩など、不良姿勢や胸郭の可動性を制限している要因の解除ため、胸鎖乳突筋、大胸筋、広背筋、脊柱起立筋を中心にマッサージで緩めた。
上肢や下肢への刺激は副交感神経を有意にするため、体幹だけでなく、手や足もほぐした。
治療直後のK様の感想として「呼吸のしづらさ」の目立った改善効果は特に実感できなかった。
セルフケアとして、胸椎や胸郭の可動性を上げるストレッチを毎日セルフケアで行っていただいた。
初回から2週間後のご来院。
初回よりは少し軽減しているが、依然として頚部から上部体幹の筋緊張がとても高い状態となっている。「息苦しい」「呼吸がしづらい」「呼吸が浅い」といって症状も特に変化はない。
処置の内容は、基本方針は初回と同じとして、緊張の高い部位へ処置を行う時間を長くし、それに加えて、頭部と顔面のマッサージを行なった。セルフケアも、同様のメニューを継続とした。
初回同様、直後の改善効果は特に無し。
2週間後のご来院。治療を行って1ヶ月ほど経過。
客観的な視点では、徐々に胸椎の可動性が出始めた。
呼吸もいつの間にかあまり苦しいと感じる頻度が減るようになった。
良い姿勢を長時間キープするために必要な脊柱起立筋のトレーニングも行いつつ、全身の筋緊張を緩めていった。
2週間後のご来院。
たまに深呼吸したいと思うことはあるが、以前のように「息苦しい」「呼吸しづらい」「呼吸が浅い」ということは無くなった。
身体所見としては、巻き肩と猫背姿勢はほぼ改善。
胸椎、胸郭の可動性はまだ改善の余地はあったが、日常生活に支障をきたさない状態となったため、治療はゴールとなった。
総治療回数は4回。治療期間は約1ヶ月半。
呼吸が苦しいなどの症状に関わらず、治療をする上での大前提として、現在起こっている症状が、病気が元になっているか(症候性)か、そうでないか(本態性)かの見極めが重要となります。
症候性とは、医学的に診断のつく疾患など明確な原因が背景にあり、その疾患の一症状として、当該症状が出ているという状態です。
症候性の症状の改善のためには、その原因となっている疾患を専門の医療機関で治療する必要があります。一般的に、呼吸が苦しいというと、呼吸器系、循環器系、血液系などの疾患が背景に隠れている可能性があります。
一方、本態性とは、症候性のように症状を引き起こしている明確な原因が特定できないもの(病院では異常がないとされるもの)を指します。
たとえば、肩こりや首こりの原因は様々ありますが、病気が元になっているわけではなく、筋肉や筋膜の過緊張、体の使い方不良、姿勢不良、自律神経の不調、精神的ストレスなどによって引き起こされる場合は本態性の肩こり・首こりとなります。
当院で治療の適応となるのは、あくまでも本態性の症状となります。
K様は来院前に循環器内科、呼吸器内科の診察を少なくとも2回受けており、検査に異常がなく、症候性の可能性が低いことから、姿勢不良やストレスなどから呼吸に影響を与えていると見立てて、治療を行いました。
そしてその息苦しさを招いていた原因として、胸郭の広がりにくさなど、筋肉や関節の硬さが原因の多くを占めていたため、マッサージや運動療法によって早期の改善に至りました。
自覚的に症候性の可能性が低いと感じている場合でも、症候性の可能性を否定するという意味で、病院への受診はとても重要です。万が一、症候性で、なんらかの病気のサインだった場合、命に関わることがあります。
「息苦しい」「呼吸しづらい」「呼吸が浅い」というような症状がある方は、自己判断せず、まずは必ず医療機関を受診するようにしましょう。
【セルフケア方法をお探しの方へ】
医療機関を受診して異常が無いことを確認したうえで対処法を探しているという方のために、こちらで肩甲骨や胸郭の動きを改善するストレッチをご紹介しています。
このストレッチは治療の中に組み込むこともございます。
必ず痛みや違和感のない範囲で行ってください。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。
新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が、5月25日をもちまして東京都も解除されました。
現在、肩こりラボは、【 10:00~22:00・水曜休診 】にて治療受付を行なっております。
肩こりラボでは、平時から感染症対策をはじめとした環境整備には細心の注意を払って取り組んでおりましたが、この度のコロナ禍により、見直しと強化徹底を行いました。
感染症拡大が収束傾向のため緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルス感染症が終息したわけでありませんので、緊急事態宣言時に行なっておりました下記の感染症対応につきましては継続的に取り組んでまいります。
肩こりラボでは、標準予防策に准ずるできる限りの感染防止対策を行なっております。
詳しくは以下となります。
全スタッフが、毎朝出勤前に自宅で検温を行います。37.5℃以上ある場合は出勤を禁止しております。熱が無くても、体調不良を自覚する場合は出勤を停止します。
全スタッフが常時サージカルマスクを着用しております。
マスクが感染経路とならないよう、マスク脱着の前後は手洗いを行うなど、取り扱いに細心の注意をしています。
原則患者さんもマスクを着用して治療をお受けいただいております。(マスクの提供は行っておりませんのでご了承くださいませ)
これまで同様、手洗いの頻度を高め、丁寧に細部まで時間をかけて洗うようにしています。
ハンドソープでの揉み洗い10秒以上+流水洗浄15秒以上を2クール。その後にエタノールでの消毒を行います。また、患者さんに触れる前にはエタノールにて手指消毒をします。
尚、患者さんにも入念な手洗いをお願いしております。ご来院いただきましたら、お部屋にご案内する前に、まずは手洗いをしていただくようご協力いただいております。
また、各所に70%エタノール消毒液を設置してありますので、随時手指消毒をお願いしております。
ドアノブ、ウォーターサーバーのコック、各スイッチ、各種備品、ベッド、枕、治療器具を、一度使用する度に70%エタノールで消毒しております。
常時換気扇を稼働させており、定期的に窓と扉を開放しての換気を行なっております。
ソーシャルディスタンスに配慮し、極力、患者さん同士、スタッフ同士が密集対面しないよう予約と取り方に配慮し、導線を工夫しています。
通常、ご予約のキャンセルや変更は、予約日前日の午前中までにお願いしておりますが、患者さんが体調不良をご自覚された場合は、当日または直前の場合でもキャンセル料や変更料は無しで承ります。
ご来院いただいた際に、風邪症状が見受けられた場合には、検温をお願いしています。検温の結果、37.5℃以上の発熱が見受けられた場合は、治療を見送らせていただきます。
尚、熱が無く、風邪症状のみの場合でも見送らさせていただく場合がございます。
はじめてご来院される方など、ご不安がある方は、院内の状態を実際にご覧になってから治療を受けるか検討していただくことも可能です。
突然のご来院にも極力お応えいたしますが、ソーシャルディスタンスの配慮や応対スタッフ確保の関係上、すぐのご対応ができないこともございます。
ご来院に際しまして、電話・LINE・メールにて一度お問い合わせいただけますと幸いです。
外出自粛やテレワークにより、不調を自覚している方が少なくないようです。
肩こりや首こりをはじめとした筋肉や筋膜の過緊張は、「病気」ではありません。ですが、一時しのぎを続けることで、慢性化してしまい、まるで病気のような症状が出て不調に陥り、日常生活に支障をきたしてしまうということもございます。
少しほぐしてラクになれば良いのですが、ラクにならなければ、ラクにならない理由があるはずです。そのような場合は、軽視せず、是非きちんとした対処をしていただきたいと思います。
肩こり・首こりなどの筋肉や筋膜の過緊張、肩関節の痛みは肩こりラボの専門領域です。皆様の不調の改善、そして健康増進のお役に立てますよう、当院一同真摯に治療いたします。
まずはお気軽にご相談くださいませ。
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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama
日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修
鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許
病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。