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肩こりの予防にも!筋トレ(筋肉トレーニング)で健康づくり

近年の健康志向の高まりから、様々な方法で健康づくりを目指す方が増えています。その1つが筋トレ(筋力トレーニング=筋力(筋肉が発揮できる能力)を高めることを目的に行うトレーニング)です。

トレーニングを続けることで手に入れられるのは見た目的な変化だけに限りません。トレーニングにより分泌される成長ホルモンは体内の組織を修復する効果を持っており、免疫力を高めます。

ただしとにかく鍛えればよいというものではありません。体の状況に合わせて行うトレーニングや食事などを調整していく必要があります。

 

適切に体を鍛えれば、脳や体を活性化できるほか、肩こりだけでなく怪我全般の予防にも繋がりやすくなるでしょう。肩こりというのは、肩のあたりの筋肉の違和感や痛みや圧迫感のことを指しており、主に筋肉の血行不良等や疲労の蓄積等が原因となります。そのためトレーニングにより全身の血行が改善されれば、肩こりの予防や解消を期待できるはずです。血液循環が良くなれば全身に栄養素を行き渡らせることができるため、体にたまった老廃物も回収されやすくなるでしょう。

トレーニングを続けて理想の体を手に入れたり、目に見えて成長を感じたりすることで、自信を持てるようになるかもしれません。自信は精神にも良い方向に働きます。これは心の健康を保つうえでもとても大切なことです。またストレスを感じたときに分泌されやすいコルチゾールという免疫力を低下させるホルモンがあるのですが、このホルモンの発生を抑えることができるとも考えられています。

 

トレーニングをすることで得られるメリットは数えきれないほどたくさんあります。日々の生活にトレーニングを取り入れて、心もカラダも健康体で過ごせるようにしてみてはいかがでしょうか。

 

 

筋トレには休息が必要

「筋トレ」という言葉自体は一般に広く知られるようになりましたが、世間に広まる筋トレに関する情報の中には、必ずしも正しいとは言えないものが少なからず存在します。

その中のひとつに、「筋トレは毎日やらなきゃ意味がない/効果が期待できない」というものがあります。ですが実際には筋トレを毎日行った場合、効果が上がるどころか、逆に効果が下がってしまう場合があります。

 

まず筋トレとはカラダに刺激を与えその刺激に適応していくことで筋肉を成長させていくものです。筋肉に対して負荷をかけることで刺激を与え、その負荷に対して負けないように筋肉がレベルを上げていくのです。

筋トレを行うとエネルギーの源となる糖が筋肉の中から減少し、エネルギーをつくる過程で乳酸や水素イオンなどの廃棄物が増えます。そして、筋肉が損傷するなどの様々な変化が起こり、筋肉はある程度弱った状態になります。そして弱ったままでトレーニングを続けることが筋肉にとっては良くないので、ここで休息が必要になってくるのです。

つまり、毎日筋トレを行うと、筋肉が十分に回復をしていない状態で新たな刺激を与えてしまうことになります。これでは効果を得るどころか疲労が重なり逆効果になる可能性があったり、怪我へのリスクが高くなってしまったりしてしまいます。

 

そのため筋トレをした後は、十分に筋肉を休ませ、同時に必要な栄養素を積極的に摂取することで筋肉をより強くすることが大切です。筋肉を休ませ回復させることにより、元の状態よりも成長させることを超回復と呼びます。この超回復にかかる時間は筋肉の部位や体の状態により異なりますが、大まかに48~72時間と言われています。そのため筋肉を休ませる時間を考えると筋トレの回数は週に2~3回が妥当でしょう。

また今現在全く運動をしていない人やこれまで運動経験がほとんどない人は、いきなり筋トレを始めると筋肉痛が強く出てしまうかと思います。そのような場合はまず慣れるまで週に1~2回、軽めのメニューを行うことから始めてみてください。無理のない範囲でトレーニングを進め、慣れてきたら頻度や強度を少しずつ増やしながら様子を見るのがよいでしょう。

 

 

トレーニングと食事

「『食事における摂取エネルギー』が『一日の消費エネルギー』を超えるとその分体重は増加し、逆であれば体重は減少する」

この簡単なエネルギーの計算が、私たちの体重の増減を左右しています。

そして筋肉・骨・臓器・脂肪・爪等、私たちの体は全て食べた物をもとに作られています。食物に含まれる水分や栄養素が私たちの血となり肉となり、体をつくりあげる最も大切な源であり、食事の量が足りなければ痩せ、多ければ太ることになります。

摂取のバランスを見直すことで、体脂肪現象をはじめダイエット効果も期待できるでしょう。そしてトレーニングで健康的な体づくりを心掛ける場合、この摂取エネルギーのバランス調整は意識しなければいけない要素の1つとなっています。

 

ここでは2つ、食事において大切なポイントを説明しましょう。

1つ目のポイントは「朝食を抜かない」ことです。朝起きた時、体内のエネルギーは不足気味になっています。ここで朝食を食べずにいると体が飢餓を感じ、脂肪を溜め込みやすい状態に入ってしまいます。この状態を避けるためにもしっかりと朝食を摂り体温を上げ、活き活きと一日を始めることが大切です。

2つ目のポイントは「就寝前は食べ過ぎない」ことです。寝ている間はエネルギーを消費することがあまりないので、寝る前に食べ過ぎてしまうと体脂肪になりやすいと言われています。なるべく寝る直前には食べないようにすることを心がけ、少なくとも寝る2~3時間前には食事を終え、また炭水化物は気持ち少なめにすることが太りにくくするためのポイントです。かといって減らし過ぎは体にとってあまり良くないので、無理のない範囲で意識していくことが大切です。

食事というのは、3大欲求のなかの1つとされているほど、私たちにとって大切なものです。また日々の生活の中での大きな楽しみとなっている方も多いでしょう。いつまでも美味しい食事を楽しく食べ続けられるよう、この2つのポイントを意識してみてはいかがでしょうか。

 

 

筋肉痛

久しぶりの運動や激しいトレーニングを行うと次の日あたりにやってくる筋肉痛。朝目覚めたときに身体が痛くてなかなか起きられないという経験をしたことがある人は少なくないことでしょう。

「筋肉痛」というのは、体を動かし筋肉を使用した際、それに伴い発生する筋肉の痛みのことをさしています。

 

筋肉痛には大きく分けて2種類があります。

まずは「筋肉痛(即発性筋痛)」。こちらは運動直後もしくは運動中に起こる筋肉痛です。

そして一般的によく耳にするのは「遅発性筋肉痛(遅発性筋痛)」という、痛みがすぐには現れず少し時間が経ってから痛みが出てくるタイプの筋肉痛です。ではなぜ、体を動かした後すぐには現れず、少し遅れてやってくるのでしょうか。

 

筋肉痛のメカニズムには様々な説があります。中でも現在有力なのは「筋肉痛の痛みは、体を動かしたことで傷ついた筋繊維が修復する際のものである」という説です。

運動を行うと、筋肉は動いた刺激に応じて損傷を負います。日常の運動程度ではこの損傷そのものでは痛みを感じにくいですが、損傷した筋肉を治そうとする時に痛みが発生します。筋肉を修復する際には徹底的な処置を行おうとするため一度損傷した組織を壊しきって、その損傷部の奥深く根本から治そうとします。この時に起こる炎症反応により痛みが発生します。炎症反応が起こるのに少し時間がかかるため、筋肉痛はすぐには起こらず遅れてやってくるという仕組みです。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こりを解消したいなら、まずは毎日の暮らしを見直そう

「こり」というのは筋肉の緊張や血行不良、末梢神経が受けたダメージによるものであることが多いです。そして人間の体の構造上、首や肩周辺は「こり」の症状が出やすくなっています。

一般的には肩周辺の筋肉の腫れが関係していることも多いです。筋肉は高い密度で集まっている組織ですが、それらが入っている膜の内側で腫れてしまうことは珍しくありません。その状態になると「こっている」と感じやすくなります。症状が悪化していくと肩だけでなく背中や腰など広範囲に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

 

 

肩こりが発生する理由としては肩周辺を動かさずに同じ姿勢を取り続けることや、現代人ならではの慢性的な運動不足などが考えられるでしょう。

特にデスクワークや長時間のスマートフォンを操作するといった場合は、長時間姿勢が変わらないことが多く、肩への負担も大きくなるものです。運動不足が肩こりの悪化に拍車を掛けることもあります。十分に肩を動かさない状況で冷やすことになれば、血行不良がひどくなることも。ストレスによる緊張も症状を悪化させる原因となることがあります。

一般的に肩こりを解消するには、ストレッチや運動によって改善を図る方法、市販薬やビタミン剤の服用によって改善を図る方法、温めて血行を促進することにより改善を図る方法などが挙げられます。ここではいくつかピックアップしてご紹介しましょう。

 

 

日常の姿勢の見直し・ストレッチ

デスクワーク中心の生活を送っている方の中には肩こりで悩む方も多いはずです。長時間同じ姿勢をとることで筋肉へ疲労が蓄積したり血行が悪くなったりするだけでなく、パソコンやスマホを見続けて目を酷使することが「こり」に繋がる可能性もあります。

 

とはいえデスクに向かう時間を短くするのはなかなかに難しいもの。そこで重要になるのは、肩の筋肉をできる限りリラックスした状態に保つことです。これにより血行不良や腫れが発生しにくくなります。

 

まずは日常の姿勢を見直してみましょう。いくら楽だからと言って、足を組んだり、肘をついたりしていませんか?

姿勢によっては肩こりだけでなく、骨盤の歪みや腰痛に繋がる可能性もあります。視力が悪いと無意識に顔を画面に近づけやすくなりますが、その姿勢も首と肩のバランスが崩れた状態になりがちのため、注意が必要かもしれません。

 

また同じ姿勢でいると、首から肩にかけて筋肉に大きな負荷がかかり続けてしまいます。そうなると腫れるリスクが高まってしまうため、デスクワークをするときは定期的に肩や首を動かすのが望ましいです。人にもよりますが30分か1時間に1度体を動かすようにするのが理想でしょう。

 

運動

パソコンやスマホが普及した現代では、1日の何割かは、座りっぱなしだという人は多いのではないでしょうか。そんな方は意識的に運動を取り入れてみてください。

まずは運動により緊張してしまった筋肉をほぐし、肩の血流を良くすること。長期的には筋肉を鍛え、体の状態を変えていくことで根本からの改善が期待できます。

 

しかし今まで動かさなかった筋肉に急激に刺激を与えると肩こりをさらに悪化させてしまう可能性や、身体に負担もかけてしまう可能性があります。

負担を軽減するには運動前に入念にストレッチを行うことが重要です。ストレッチで体を温めたりほぐしたりすることで、筋肉が柔軟になり怪我の危険が減るでしょう。

 

また自分にあった方法を選ぶことも大切です。体の状態には個人差がありますし、その日の体調によっても変わってきます。激しい運動をしたからといって即座に改善するわけではありませんから、決して無理をしないようにしてください。

室内にいると、ちょっと外に出る、という行為すら億劫になってしまいますよね。まずは「その場で首をゆっくり回す」等の今すぐ簡単にできる運動から始めてもよいかもしれません。次は「ちょっとそこのお店に。その次は……」と、少しずつ慣らしながら長期的にコツコツと継続していくことが望ましいです。

肩こりの改善には有酸素運動も効果的です。ウォーキング、ヨガ、水泳をはじめ様々な種類がありますから、状況に応じて試してみるのもよいでしょう。

 

揉む・マッサージ

肩こりが筋肉の血行障害や疲労から来ている場合、マッサージや肩揉みでその原因を解消できれば症状の緩和や改善に繋がる可能性があります。

ですが肩こりの原因はケースにより様々であり、血行不良だけとは限りませんし、必ずしも温めたからといって確実に改善するとは限りません。場合によっては原因を根本的に解決しない限り症状の改善は見込めないかもしれません。

 

またマッサージで筋肉を叩いたり揉んだりする力が強すぎた場合、末梢神経を傷つけてしまうなどの理由で逆効果になることもあります。やり方を間違えて悪化するのは避けたいところでしょう。

確実に改善したい場合、我慢できない辛さを感じた場合は専門家への相談を検討しましょう。

 

温める

温感療法では、揉む、マッサージと同様に血流改善効果が期待できます。筋肉収縮の緩和によって痛みがやわらぐ可能性もあるでしょう。温めにはリラックス効果も期待できることから、1日の終わりに頑張った自分の体を労わる意味でも有効です。

手軽に体を温められる方法は、入浴です。十分に湯につかると、全身の血流の改善にもつながります。さらに疲れもとることができるので1日の終わりはシャワーだけで済ませず、湯船に入るようにするとよいでしょう。

またカイロを患部に当てるのも有効かもしれません。その場合は低温やけどに注意し肌に直接カイロを当てないようにしましょう。詳しくは各製品によって異なりますので、記載された用法を確認してください。

 

ここで注意したいのは、肩こりは必ずしも温めることだけが改善方法ではないということ。ケースによっては温めが悪化に繋がる可能性があります。

患部の温めが有効なのは、慢性的な肩こりにお悩みの場合が多いです。

そして突発的な肩こりや、こっている肩が赤くなっている場合は、患部が炎症を起こしている可能性があります。その時は患部を冷やしたほうがよいかもしれません。そうすることにより痛みを抑え、突発的な肩こりの解決に繋がる可能性があります。

 

ストレス解消

実は肩こりはストレスも原因になりやすいです。

ストレスというのは、何らかの刺激を受けた際に生じる緊張状態の事をさしています。ストレスを感じると自律神経の中の交感神経が優位になり、体内の血管が収縮しやすい状態となります。これにより血行が悪化した場合、肩こりをはじめ様々な症状が現れることがあります。

上記でご紹介していたストレッチ、マッサージ、軽い運動、入浴等の改善方法は、実践の仕方によっては体を労わることで疲れをとったり、気分転換になったりできるでしょう。これによりリラックス効果が生まれれば、ストレス解消にもつながる可能性があります。

 

他にも疲労回復ができる方法はいくつもあります。まずは睡眠をとること。または、自分の想いを誰かに話す、書き物に綴ることも大切です。単純作業を無心になってやることがストレス解消につながる人もいます。好きな音楽や映画を見るのもよいでしょう。

ただし過度な飲酒や食事等はかえって重いストレスに変わってしまう可能性や健康を害してしまう可能性もあるため、あまりおすすめできません。

ストレス解消の方法はそれぞれです。自分に合った方法を見つけましょう。

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
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梅雨に肩こり・首こりがひどくなってしまうる理由 〜気圧や気温などの気象条件と体調不良の関係性〜

※画像をhttps://time-sharing.jp/sharing/8476-2から引用させていただきました

梅雨は不調の方が多い

 

春と夏に挟まれた雨の季節、梅雨。街角に咲く、満開の紫陽花が美しく、つい足を止めて眺めてしまいます。

 

この季節ならではの風情がある一方で、しとしと降る雨やどんよりとしたはっきりとしない天気が続き、気持ちが晴れないだけではなく、カラダもなんだか重だるいなという方は少なくないのではないでしょうか。

 

実際、当院でも、毎年春から梅雨にかけて、首や肩の凝りだけでなく、頭痛、めまい、倦怠感、寝ても疲れが取れない などといった、病気ではないけれど生活の質を低下させてしまうような不調を訴えてご来院される方が増える傾向にあります。

 

秋から冬にかけて寒くなる季節なら、なんとなく想像しやすいですが、だんだんと暖かくなるこの時期になぜ不調に見舞われる方が増えてしまうのでしょうか。

 

「五月病」と言われるように、年度変わりの疲れが時間差で出るといった社会的な要因など、様々なことが関係しているとは思います。

 

加えて、春から初夏にかけては、寒い冬からだんだんと暖かくなるとはいえ、ポカポカ暖かくて過ごしやすい日もあれば急に冷え込む日があったり、一日のなかでも朝夕での気温差、外と屋内での気温差など、気圧の変化や寒暖差が大きく天候をはじめとした気象条件が不安定な時期となります。

 

梅雨は特に気圧の変化が著しいため、前述したような気象条件による影響を受けて、身体が不調をきたしてしまっているということもあるのかもしれません。

 

 

天気によって、体調が影響を受けるというのは昔から経験的にいわれてきました。「雨が降る前は古傷が疼く」「頭痛がつらいと思ったら台風がきていた」「自分の身体は天気予報より正確だ」という方はいらっしゃることでしょう。

 

このように、気圧、気温、湿度などといった気象条件に伴って不調が生じるものを「気象病」と総称し、天気が崩れる時に慢性的な痛みや症状が悪化するものを「天気痛」といいます。

 

天気痛の実態を調査するために「ロート製薬」と「ウェザーニューズ」によって、2020年6月15日〜21日に実施された、全国の16,482人を対象にしたアンケートによると、天気痛は平均週2日発症し、5人に1人が生活への支障あるという結果が出ています。

 

当調査では、女性の約8割は天気痛持ちという結果も出ており、日本全国に天気痛で困っている方が多数いることが伺えます。

 

※参考 https://jp.weathernews.com/news/32013/

 

 

 

 

なんで不調になるのか、どうすれば解消の手掛かりになるのか

 

以前から経験的にいわれていた気象条件によって体調が変化するという現象が、単なる気のせいではなく、きちんと理由があったということを医学的に解明したのが、医師で医学博士の佐藤純氏です。

 

佐藤氏は、気圧の変化による影響は内耳にある気圧感受システムが関与し、気温の変化による影響は皮膚に分布する神経の受容変化によって生じていることを明らかにしました。

 

また、慢性的な痛みを抱えている方の一部では、気圧や気温の変化に対して、自律神経が過剰に反応することがあるということを発見しました。

 

 

天気痛をはじめとした気象条件の変化による不調のメカニズムは、耳や皮膚に備わるセンサーが、気圧の変化や気温の変化をキャッチして、気象条件が変化するに伴って自律神経のバランスを変化させることで生じているのです。

 

そして、慢性的な痛みや症状を抱えている方の方が、自律神経のバランスが崩れやすいので、天気痛が生じやすくなります。

 

 

 

さて、天気痛をはじめとした梅雨時の不調に対して何か自分でできる対策はあるのでしょうか。心を込めて、てるてる坊主を量産しても、再現性のある対策にはなりそうもありません。

 

天気や気象条件をどうにかすることはできませんので、影響を受ける自身の身体に着目してみましょう。

 

 

上述しましたように、佐藤氏の研究により、慢性的に痛みを抱えている方の中には、気象条件の変化に伴い自律神経が過剰に反応しやすい(自律神経のバランスが崩れやすい)方がいるということがわかりました。

 

これが改善のための重要なポイントとなります。

 

 

実は、これは私たちも日々の治療のなかでしばしば経験します。

 

慢性的な首こり・肩こりや腰痛といった症状を抱えている方は、気象条件によって不調を訴える方がとても多いのです。

 

そして、このような天気痛を訴える方が、首こり・肩こりや腰痛といった慢性的な症状を改善させていくにつれて、気象条件による体調の変化が出にくくなり、天気痛が改善していくのです。

 

鎮痛剤が手放せない状況だった方が、多少症状は出るが薬に頼らないで過ごすことができるようになったという方は少なくありません。

 

 

 

運動が解消の手段の一つ

 

肩こりや首こり、背中や腰の筋肉のこわばりに伴う重だるさ、なども痛覚神経によって知覚されるわけですので、広義には慢性的な痛みと考えてよいでしょう。

 

肩こり・首こり、腰痛といった生活習慣による諸症状に心当たりがあるという方は、日頃から筋肉の硬直や疲れを溜め込まないようにするということ、蓄積させないで日々解消することが大切です。

 

そのために、オススメなのは身体を動かすことです。マッサージでほぐすのも良いのですが、ほぐすことに加えて、可能ならば是非ストレッチや運動など、能動的に動かしていただきたいのです。

 

 

自らの力で筋肉を使って動かすことで、固くなっている部分の血行も良くなり、筋線維や筋膜も伸びやすくなっていきます。筋肉を動かし、使うことで筋ポンプ作用が働き結構の改善につながります。筋肉がきちんと機能していないから、力が入りにくく、身体が重く感じるということもあります。

 

また、運動には自律神経を整えるはたらきもあります。天気痛をはじめとした気象病の本態は自律神経の乱れですので、日頃から自律神経のバランスを整えるようにすること、そして乱れてしまった時に整える術を体得することは意味のあることです。

 

運動は、体力や体調に応じて行っていただきたいのですが、低負荷の有酸素運動で、可能ならば汗ばむくらい体を動かしてみましょう。

 

日頃運動習慣が無いという方は、いきなりジョギングをするのではなくウォーキングがよいです。息が上がる程度の、できる限り速めのウォーキングにしましょう。はじめは15分程度の短い運動でも良いので、生活習慣の中に組み込んで、無理なく続けられそうなことからはじめていただけたらと思います。

 

 

コロナ禍の影響によって、以前よりも外出する機会や運動量が減ってしまったという方は少なくないでしょう。心身ともに重だるくて動く気がしない・・・という時こそ、是非、積極的に身体を動かして汗をかいてみましょう!!

 

 

身体が重だるく、固まってしまっていて運動などできない・・・という方は、マッサージなど何らかの方法でほぐして、症状を緩和し、身体を動かせる状態に整えたうえで、少しずつでも身体を動かすようにして、運動の習慣をつくっていってみましょう。

 

どうしようもない時以外は、極力セルフケアで対処して自己管理できる術を身につけていっていただけたらと思います。

 

 

 

 

注意!病院に行かないといけないパターンもあります

 

ここまで梅雨時の体調不良対策として、多少体や気持ちが重だるくても、運動をして汗をかくことをおすすめしてきました。

 

ですが、天気痛にお悩みの方の中には、激しい頭痛や眩暈、吐き気で寝込んでしまうという方もいらっしゃいます。このような方の場合は、我慢をして運動することで悪化してしまうこともありますので、無理をしないようにしてください。

 

そのような方は、痛みや不調に耐え、天気が良くなるのをただ待つだけでなく、天気痛外来/気象病外来を一度受診して、きちんと検査をしたうえで、医学的かつ専門的な対策をするようにしてみましょう。

 

 

また、気象病や天気痛はあくまでも慢性的な症状です。急激に、日常生活に支障が出るほどの強い症状が出た場合は、速やかに専門の医療機関を受診するようにしましょう。

 

頭痛の場合は脳神経外科、眩暈や耳鳴りの場合は耳鼻咽喉科、をまずは受診してください。

 

激しい頭痛と共に嘔吐してしまう場合、手足がうまく動かせない、呂律がまわらないといった症状が出る場合は緊急性が高いので、救急車を利用することも考慮して、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

 

併せてこちらの記事もご覧いただけますと幸いです。天気痛対策のセルフケアを記載しています。
低気圧による体調不良の仕組みを知って気象病・天気痛・気圧痛を解消!!病院いくなら何科?という疑問にもお答えします!

 

 

参考文献

1)佐藤純・ 気象変化と痛み 脊椎外科 29:153-156, 2015

2)佐藤純・ 天候変化と慢性疼痛. ペインクリニック 27 : 603-609, 2006

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


東京理科大学オープンカレッジにて講義を行いました④

2021年6月6日(日)、東京理科大学オープンカレッジにて、第4回目となる講義を行いました。

 

テーマ

「ひとりで簡単にできる腰痛の改善方法 
            腰痛改善のための正しいセルフケア方法を身につけましょう」

 

講座概要

カラダの悩み第1位は「腰痛」です。

大変多くの方がお悩みになっている腰痛は、日常生活と深い関係があり、実はセルフケアを行うことで良くなるケースが多いです。

本講座では、慢性的な腰痛を根本から改善するためのセルフケア方法についてご説明、そして受講者の皆さんと実践しました。

セルフケアは、正しい姿勢(座り方・立ち方・歩き方)など、日常生活における動作が中心となっていますので、すぐに実践できるものです。

 

最後に

今回は新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行った上での開催となりました。

受講者の皆さんは身体を良くしようという意識を高く持っており、とても熱心に講義を聞いて下さいました。質問も活発に出て、講義する側も刺激を受け、大変有意義な時間となりました。

本講座でご説明したセルフケアは、身近な人に教えてあげたり、継続して続けてみて下さい。

今回の講座にご参加いただいた皆さん、そして講座の開催にご尽力いただいた東京理科大学のスタッフの皆さん、ありがとうございました。

 

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

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肩こりの原因(2)|どうして肩こり・首こりが発生するの? 凝りが発生する根本的な原因と仕組み

肩こりとは肩の辺りがこわばって重苦しく感じられる自覚症状のことです。以前は年齢が高くなると発生しやすくなるとされていましたが、近年では若年層にも肩こりだという方が増えました。

医学的には「病気ではない」とされていますが、現代人にとって無視できない悩みの1つであり、慢性的につらい不快な症状を抱えている人も少なくありません。

放置していると慢性化し、頭痛や吐き気、耳鳴り、めまい、胃腸の不調、全身倦怠感、自律神経失調症様症状などといった、まるで病気なのではないかと思われるような症状が肩こりに伴って生じてしまう可能性もありますから、「時間が経てば治るかも?」「これぐらいの痛みだったらまだ耐えられるから……」等と我慢せずに、なるべく早い段階で対処するのがよいでしょう。

肩こりには、慢性化しやすいという特徴があります。慢性化すると、マッサージや湿布で一時的に痛みが解消したとしても、すぐにつらい症状が再発してしまうという繰り返しになりやすいです。

肩こりを解消するには、その原因を見つけ出し根本的に対処する必要があります。肩こりを解消したいなら、その原因を把握して対策を行わなければなりません。単純にマッサージを受けただけでは、すぐに再発してしまうことが多いため注意が必要です。

 

肩こりの原因を知ろう

それでは肩こりが発生する原因について考えていきましょう。

 

肩こりの原因は人それぞれですが、中でも多いのが

・運動不足からくる肩こり
・同じ姿勢を長い時間続けたことからくる肩こり
・目の疲れ(眼精疲労)からくる肩こり
・ストレスからくる肩こり

ではないでしょうか。

 

また人によっては原因が1つに絞り切れないことも。何らかの要因で発生した肩こりが別の要因によって悪化するケースも珍しくはありません。複数の要因が重なっている場合、1つを解消しただけでは根本的な対処にならず、改善に繋がらない場合もあります。

まずはご自身の肩こりが何によって発生しているのかを考えてみることが、解消への第一歩なのです。

 

 

運動不足からくる肩こり

体が運動不足状態になると、筋力が低下することにより、筋肉自体の緊張やこわばりが起きます。筋肉の緊張状態が続くと、疲れによって疲労物質が蓄積していきます。これにより筋肉が硬くなってしまうだけでなく、蓄積した疲労物質が血管を圧迫することから末梢神経が傷ついたり、血液の流れが悪くなったりします。このような状況が肩こりに繋がりやすいのです。

そして血行が良くない状態だと栄養分や新鮮な酸素が体全体に届きにくくなります。これも様々な体調不良を引き起こす可能性があるでしょう。

 

肩こりを解消するためには、筋肉が硬くならないよう適度に動かすことが大切です。筋肉が柔軟になると、血液を送るポンプになっている血流も改善されやすくなります。

 

既に凝り固まった筋肉も動かすことで症状を改善できる場合があります。下記のおすすめの運動をぜひ実践してみてください。

・散歩やウォーキング(手を大きく振って行うとより良い効果が期待できます)
・屈伸運動
(膝を伸ばすと同時に、両手を横、前、上に伸ばすとなお良いでしょう)
・肩を上下に動かす運動
・肩甲骨を回す運動
・ラジオ体操
・ストレッチ

 

少しの運動でも筋肉は変わっていくので、定期的に続けていくことが大事です。ただし症状が重い場合や状態によっては、無理に動かすことで悪化してしまう可能性もあります。特にもし不自然な痛みや耐えられないほどのつらさを感じた場合、速やかに医療機関へ相談することをお勧めします。

 

また筋肉の疲労解消のために良いとされることの1つがビタミンをはじめとする栄養をとること。特にビタミンEには血流を促す働きがあるため肩のこりを改善に繋げられるかもしれません。ビタミンEは、かぼちゃ、うなぎ、アーモンド等に多く含まれています。

同時にとっていきたいのがクエン酸。筋肉の疲れを解消する効果が期待できます。クエン酸はみかん等の柑橘類、梅干しに含まれています。果物は特に他のビタミンも摂取できる優れものなので積極的に食べていただきたいですね。

 

 

同じ姿勢を続けたことからくる肩こり

筋肉が集約している首と肩。普通に立っているだけでも腕と重い頭を支える必要があり、かかる負荷はかなりのものです。さらに同じ姿勢を続けることで首から肩の筋肉への負荷が増加します。この疲労が積み重なり、溜まることで肩こりを引き起こす可能性があります。

他に「バッグを常に左の肩にかける」「足を組む」等負荷が偏った姿勢、筋肉が疲労しやすい緊張状態を長く続けると同じような症状を引き起こすことがあります。

 

このタイプの肩こりの予防策は、何と言ってもこまめに体を動かし、筋肉への無理な負荷を軽減すること。例えば以下のような動きを取り入れてみましょう。

・同じ姿勢で長時間座っている場合、意識的に立ち上がってみる
・いつも同じ方向に鞄をかけている場合、鞄をかける方向を変えてみる
・いつも片側の歯だけを使って噛んでいる場合、時々普段とは逆の歯で噛んでみる

 

少しの意識で筋肉への負荷は変わります。

まずは自分の偏りを知り、無理な負荷を減らすことを念頭に置きながら生活してみてはいかがでしょうか。

 

 

目の疲れ(眼精疲労)からくる肩こり

目を酷使すると疲れから「目が痛い」「乾きを感じる」「焦点を合わせるのが難しい」等の症状が現れます。これが眼精疲労です。そして眼精疲労からくる症状は多岐に渡り、その1つが肩こりとなります。

目の疲れと肩こりは、共に自律神経系の状態と密接に関係しています。自律神経系は人の体内の環境を整える神経で、血管や内臓等の働きを制御しています。人を緊張させる交感神経と、安心させる副交感神経に分けることができるのですが、このバランスが崩れることによって体調に影響が出やすくなります。

同じ神経系と関係している症状ということもあり、眼精疲労になると肩こりを引き起こしやすくなります。またストレスで自律神経系が乱れることで、眼精疲労や肩こり等の症状を共に招く可能性もあるでしょう。

 

目の疲れの原因としては、「度が合わないメガネをかけ続ける」「スマホやパソコンを長時間見続ける」「文字を目で追う」「休む時間を取ることができない」等があります。これが疲れとなって目に定着した結果、肩こりにまで響いてしまうことがあるのです。肩こりを治すためにも、まずは目を労わりましょう。

対策方法としては、このようなものが挙げられます。

・睡眠時、充分にリラックスする状態を作り出すこと
・目薬をさす
・数分間目を閉じて休ませる
・こめかみを優しくマッサージする
・遠くを眺める

空き時間に簡単にできるものもあるので、ぜひお試しください。

 

 

ストレスからくる肩こり

ストレスが溜まると、目が疲れた時と同様に自律神経系が乱れ、肩こりが起こりやすくなります。例えストレスが溜まっても短期間で解消できれば肩こり発生のリスクも減るでしょう。ですが常にストレスが溜まった状態だと筋肉が過剰な緊張状態になりやすく、肩こりが慢性化する可能性もあります。

また精神的なストレスがあると睡眠不足に陥ったり、リラックス状態を作り出せなくなったりしてしまいます。この状態が続くと身体的な疲労と精神的な疲労から抜け出すことが困難になってしまいます。

 

ストレスからくる肩こりを治すためには、このような対策が有効かもしれません。

・環境を見直してみる
・軽い運動をする
・気分転換をする
・適度な休息をとる

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こりの原因(1)|肩こりや首こりの原因は血行不良や筋膜の癒着だけではありません。凝りでつらい部分は何がどうなっているのか?

はじめに

肩こりは大きく分けて、症候性肩こりと本態性肩こりの二つに分けられます。

 

症候性肩こりは、病気が元になって生じている肩こりで、この場合は医療機関にて病気の治療が必要となります。例えば、風邪の諸症状としての肩こり、メニエール病に伴う肩こり、肩関節周囲炎に伴う肩こり、うつ病に伴う肩こり、心臓病に伴う肩こり、などがあげられます。しばしば、テレビなどメディアで「肩こりだと思ったら怖い病気だった」などと報道されるのがこれにあたります。

 

一方、病気が元になって生じていないもの、言い換えれば症候性肩こり以外の肩こりを本態性肩こりといいます。本態性肩こりとは、症状は存在するけれど、現代医学的にはその原因が明らかでない肩こりのことを指します。世の中の多くの方が想像し、ご自覚される肩こりは、この本態性肩こりとなります。

 

本稿では、多くの方が該当する本態性肩こりの原因について解説していきます。

 

さて、本態性肩こりの原因は医学的に明らかとされていないのに、なぜ解説できるのかという矛盾を感じる方もいるかもしれません。

 

医学的に原因と言い切れるものは、因果関係が明確となった場合です。ですが、本態性肩こりを考えるうえで非常に難しいのは、ひとつの事象と症状発生の因果関係を見出すことが困難であるという点です。

 

筆者が考察する、本態性肩こりの原因を特定することが難しい理由は以下の4つです。

  1. 痛覚の閾値に個人差があるように、症状を自覚するにも個人差がある
  2. 症状は運動器(主に筋肉)にでるが、発症や症状の増減には自律神経や精神の影響を受ける
  3. 原因は想定できるが、定量化し難いため因果関係を見出すのが困難
  4. 複数ある原因が単一または複数絡み合うことで症状がでるが、この組み合わせに個人差がある

 

ご説明します。

 

たとえば、不良姿勢、柔軟性低下、筋力不足、運動不足などですと肩こりになりやすいイメージがあると思いますが、皆がそうであるかというとそうではありません。

おそらく皆さんの身の回りにも、姿勢が悪くても肩こりを感じない、体が硬くても肩こりを感じない、筋力がなくても肩こりを感じない、運動不足でも肩こりを感じないという方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

肩こりの原因を考える上で、まず一番の難しい点が、姿勢が悪い人が全員肩こりであるかというとそうではないという点です。柔軟性や筋力、運動量なども同様です。

例えばインフルエンザの原因は、インフルエンザウイルスに感染することです。これは因果関係がはっきりしていますが、本態性肩こりの場合は異なります。

症状が発生するわけですので、何らかの原因はあるはずなのですが、それでも因果関係が見出せない理由としてまずあげられるのは、痛みや凝りといった症状はあくまで主観であるという点です。

 

凝りも広い意味では痛みです。痛みに強い、弱いなどといわれるように、痛覚の自覚には個人差があります。貴方が痛いと感じる刺激と貴方の友人が痛いと感じる刺激は異なります。ですので、丸まった姿勢でPC作業をしていて、首肩の筋肉に負担がかかっているのは明白なのにも関わらず、症状の自覚に個人差があるのは、自覚症状の認知の仕方に個人差があるからなのです。

 

また、痛みの認知の仕方も、一個人のなかでも日々変動する様々な要素が関与しています。たとえば、自律神経やホルモンのバランス、精神的ストレス、気象条件 等、様々なことが関わり合い痛みの感じ方がかわってきます。

このように、医学的に因果関係がはっきりとした原因が見出せない理由として、まずは凝りという症状の定量化が難しいということと、認知の仕方が個人で異なるだけでなく、個人単位でも日々異なるという不確定要素が多分にあるからだと考えられます。

 

さらに、頚部の筋肉に負担をかけると考える日常生活動作、姿勢、柔軟性、筋力といった要素も、定量化がとても難しいです。

 

本態性肩こりは、定量化し難い様々な要素が関与しあって、症状が生じているため、医学的には原因が明らかとされていないとされているのです。

 

 

とはいえ、上記でも述べましたが、症状が発生するわけですので、何からの原因があるはずです。

 

 

ここからは、複数の文献や研究を元に、筆者の考察も交えまして、本態性肩こりの原因について解説していきます。尚、以下より本態性肩こりを「肩こり」と表記していきます。

 

 

肩こりの原因を考える上で大切なこと

 

はじめに、何度も繰り返しお伝えしていることですが、肩こりの原因を考える上でとても大切なことなのでここでもお話ししますね。

 

「凝り」はあくまでも「結果」です。

 

 

ですので、肩こりの原因は、二段階で考えると理解しやすいです。

 

二段階とは、

 

①症状を出している原因(凝り=結果の部分)

②「症状を出している原因」の原因

 

です。

 

この「結果=凝り」の部分はどういった状態になっているのか?これを結果因子といいます。

そして、この「結果=凝り」はなぜ生じるのか?これを原因因子といいます。

 

 

このように結果因子と原因因子に分けて考えることで、肩こりの原因が見えてきます。

 

 

 

結果因子とは

 

まずは①の「症状を出している原因」、結果因子から解説します。

 

日本整形外科学会によると、肩こりで凝り固まって症状を出す筋肉は、僧帽筋を中心に、頭半棘筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、棘上筋、菱形筋が例としてあげられています。

 

では、首や肩が凝りでつらいという時には、これらの筋肉にいったいどういったことが起こっているのでしょうか。

 

この症状を出している原因(症状の元)は大きく4段階あります。

 

 

一般的に、1)から4)になるにつれて、重症度が高い状態といえますが、一個人においてもそれぞれが混在しているケースが少なくありません。

 

1) 代謝の異常・疲労

代表的なものは疲労や循環障害(血行不良)です。筋肉を酷使することで、その筋肉が疲労することで生じる違和感や痛みです。

また、疲労した筋肉は縮こまって硬くなるので、血流を阻害し、血行不良を招きます。血行が滞ることでも痛みや違和感が出ますが、血流が滞った状態ですと、疲労も回復しにくくなるので、症状が持続してしまいやすくなります。

ただ、筋肉疲労やそれに伴って血行不良が生じることは、生体として異常ではありません。重い荷物をもったら腕の筋肉がパンパンになって痛くなる、長い階段を登ったら脚の筋肉がパンパンになって痛くなる、ということはご経験があるかと思いますが、これは異常はことではありませんね。

このように代謝障害によって症状が出現している肩こりの場合は、休息をとったり、患部の血行を改善することで解消されます。

ですので、日々の生活の中で「肩がこったなぁ」と感じても、入浴して温めたり、良く寝たら翌日には解消されているという方は、首肩の筋肉が疲労して代謝障害を起こしている状態かもしれません。

この状態の肩こりは、セルフケアでも十分に解消や改善が可能です。肩こりでも比較的軽症なものといえます。

 

 

2) 神経生理学的な異常

 

スパズム(筋緊張亢進状態)

怪我をしたり、痛みがあると、人は無意識に庇ったり動かさないようにします。痛みのある箇所を庇うというのは、その部位を防御するという意味で人に本来備わっている正常な反応です。

その一環として、神経生理学な反応として「スパズム」というものがあります。スパズムとは、傷めたり、炎症が生じた箇所の周囲の筋肉が、意思とは関係なく緊張が高まり、患部を守ろうとする防御機能です。

ですので、痛みが生じたことの反応としてスパズム(筋緊張の亢進)が生じることは正常です。一旦生じたスパズムも、スパズムを引き起こした痛みや炎症が取り除かれたら、自然とスパズムも解消されるというのが正しい流れとなります。

ところが、炎症や痛みが長引くと、スパズム(筋緊張亢進)状態も長引きます。そうなると、筋緊張が高まった状態が続くわけなので、循環障害が生じ、起因となった痛みとは別に、循環障害による痛みが生じてしまいます。

こうなるとスパズムを引き起こした元々の問題が解決しても、循環障害による痛みや違和感が生じることになってしまいます。このように、スパズムは、生じること自体は患部を守り痛みを緩和するための人体に備わった正しい反応ではありますが、スパズムが長期化することで今度は痛みを出す元になってしまうのです。

「痛みが痛みを呼ぶ」という状態になって負のスパイラルに陥ってしまうのは、スパズムという反応が関係しています。

スパズムを解消するためには、まずは早期に起因となった元の痛みを緩和することが大切となります。ですので、対症療法も重要です。

また、スパズムは、筋肉に命令をする神経の興奮によって生じるので、スパズムの解消には、神経の興奮をおさえるための対処が必要です。神経の興奮をおさえるための対処として、誰でもすぐにできることは、温めたりさすったりすることです。アイシングなどの寒冷療法が効果的な場合もあります。

 

 

3) 筋膜の異常

筋肉の筋膜(Myofascia)は物理的に筋肉を保護するためでなく、筋膜内には神経が密に分布しており、感覚のレセプター(受容器)がたくさんあることがわかってきています。そのため、筋膜の異常によって、痛みやしびれ、違和感などが生じるということがわかってきています。

 

筋膜が異常を起こして痛みが生じるものを、筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせい とうつうしょうこうぐん、Myofascial Pain Syndrome:MPS)と呼ばれています。

 

肩こりで、過緊張が起って症状を出す筋肉は、僧帽筋を中心に、頭半棘筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、棘上筋、菱形筋などがありますが、これらの筋膜が異常をおこして症状が出ている場合もあります。

 

筋膜の異常は大きく分けて三つあります。

1, 高密度化(筋膜のシワ)

「筋膜のシワ」とよばれるものです。血行不良の状態が続くことで、筋膜への循環不全が長期化することで、筋膜の水分量が低下してしまっている状態です。構造自体がかわってしまっているわけではないので、改善のためには、患部の血行を増加させて、筋膜への水分補充をすることが必要です。

 

2,滑走性低下(癒着)

筋肉は筋膜で覆われていますので、隣接する筋肉は筋膜で接しています。この筋膜間には潤滑物質であるヒアルロン酸があります。不動の状態(動かさない状態)が続いたり、血行不良が続くことで、ヒアルロン酸の水分量が低下し、隣接する筋膜同士がくっついて動かなくなってしまいます。このように動きが悪い状態(滑走不全)がさらに長期化することで、癒着して完全に動かなくなっていってしまいます。動いていた箇所が動かなくなるわけですから、関節可動域や動作に変化が生じるだけでなく、循環不全にも拍車がかかります。筋膜の滑走不全を改善させるには、筋膜間のヒアルロン酸に水分を与えることが必要です。高密度化を改善させるのと同様、構造自体がかわってしまっているわけではないので、患部の血行改善が必要です。

 

3,線維化

筋膜に対して組織の強度を超える物理的な負担がかかると傷や炎症が生じます。傷や炎症が同様の場所に反復継続的に生じたり、大きな損傷が生じると、きちんと元通りに組織の修復が行われず、「かさぶた」のような状態で治癒が終わってしまいます。この「かさぶた」の様なものは瘢痕組織といって、筋膜とは別に組織になってしまいます。このように、線維化は、スポット的に筋膜が筋膜ではない組織になってしまうことをいいます。線維化してしまった筋膜は、血行を改善しても基本的には元にはもどりません。ですので、この筋膜の線維化は、正しくは機能的変化ではなく、下記の構造的変化に該当しますが、筋膜の異常の一環として、こちらに記載させていただきました。

 

筋膜について詳しくはこちらにまとめましたので併せてご一読ください。

 

 

 

4) 構造的変化

代謝障害や神経生理学的な異常はあくまでも機能の変化でしたので解剖学的な組織の性質や形状が変わってしまうということはありませんでした。一方、構造的変化とは、文字通り構造が変わってしまうので、異常な組織に置き換わってしまう、あるいは異常な組織ができてしまうということです。

 

1,モヤモヤ血管

2012年に奥野祐次医師によって発見された病態です。

慢性炎症部位・慢性疼痛部位には創傷治癒過程で生じた毛細血管が残存増殖して存在していて、この部位を血管造影で観察するモヤモヤした状態に見えることから「モヤモヤ血管」と名づけられました。モヤモヤ血管とは、異常な毛細血管の増殖です。創傷治癒の過程で毛細血管が増殖することは正常な反応なのですが、治癒が長引いたり、反復して損傷することで、本来治癒したら自然と消えるはずの増殖した毛細血管が残存してしまうのです。血管は神経とセットで存在するため、異常毛細血管に血流があるとポリモーダル受容器を刺激して疼痛が発生するというメカニズムです。

モヤモヤ血管について詳しくはこちらにまとめましたので併せてご一読ください。

 

2,硬結(こうけつ)

しばしば肩こりで肩の部分に触知できるシコリの部分のことを硬結といいます。

この硬結は、1843年ドイツの内科医Robert Froriep氏がリウマチ患者の筋肉中に索状に触れる圧痛部位を発見し、結合組織の沈着が原因であることを報告したことがはじまりです。その後、線維性結合組織炎、筋スパズム、酸素欠乏、炎症などの仮説が提唱されてきました。

 

硬結を実際に触診してみると、玉状のものだけでなく、索状だったり扁平な形状をしていることもあり、形状は様々です。

 

近年の病理学研究から、硬結の部位は、上記でご説明しました筋膜の線維化だけでなく、様々な変化が生じていることがわかってきました。

硬結部位は以下の状態になっています。

◆ 代謝異常
→浮腫、エネルギー供給と酸素流入の低下、pH低下

◆炎症反応
→肥満細胞増加(ヒスタミン放出)、血小板増加(セロトニン放出)

◆細胞の変性
→核の増加、ミトコンドリアの異常(赤色ぼろ線維=Regged Red Fiber)、筋原線維の異常(虫食い線維=Moth-Eaten Fiber=収縮フィラメントの溶解とZバンドの破壊)、プロテオグリカン増殖

 

硬結ができる機序はこのように考えられています。

筋損傷・過剰な筋疲労 → 細胞膜・筋小胞体の破壊

カルシウムイオンの過剰流入 → 局所的な筋収縮亢進

筋弛緩のためにATPが必要となり代謝が亢進するが、過剰な筋収縮が局所循環障害を招き酸素欠乏とエネルギー不足を招く

筋収縮状態が恒常的となる

 

硬結部位は、代謝異常と炎症反応という機能上の変化だけでなく、筋細胞自体の構造が変化してしまっているのです。つまり、硬結は、いくら温めたり、ストレッチや揉みほぐしを行っても、解消はされないのです。

ですので、硬結の状態になってしまっている場合、代謝異常という機能上に問題だけでなく、細胞自体が変化してしまっているため、組織を破壊し、再生(リモデリング)を促す対処が必要となります。

 

 

肩こり・首こりの根本的な改善には結果因子だけでなく原因因子を考えることが大切

 

さて、ここまでは凝りの症状を生む元(結果因子)、つまり凝り固まってしまっている筋肉そのものにどのような変化が生じてしまっているかについて解説しました。

 

「こり」を感じているところ(筋肉)をほぐせば、一時的に解消はされますように、結果因子に対して対処を行えば、ひとまず症状は解消します。これを対症療法といいます。

 

たとえば、普通の本態性肩こりならば、僧帽筋の部分がつらいと感じるならば、僧帽筋をほぐせばラクになります。

 

 

ところが、みなさん誰もがご存知のとおり、ほとんどの場合は時間の経過と共に再び症状が生じてきます。また、凝る→ほぐす→凝るの繰り返しによって、慢性化していってもしまいます。

 

「凝ったらほぐす」を繰り返さないためには、そもそもなぜ凝るのか?を知る必要があります。慢性的な肩こりを治すためには、まず原因を知る、その原因を解決できれば根本的な改善につながります。

 

 

 

次に、結果である「凝り」がなぜ生じるのかの部分、原因因子について解説します。原因因子とは、上記でご説明した結果因子の原因です。

 

 

肩こりの原因因子は、様々ありますが、上記でご説明してきた結果因子が生じさせるのは、首や肩の筋肉・筋膜に反復継続的な物理的な負荷が加わることです。

 

これに加えて、環境や何らかの刺激により自律神経のバランスや精神が乱れることで過緊張が生じたり、痛みを感じやすくなることで、症状を自覚するようになります。

 

 

 

次回は、肩こりの根本原因(原因因子)について解説します。

 

 

参考文献

 

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執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


[お知らせ]3 x 3プロバスケットボールチーム BEEFMAN. EXEとスポンサー契約を締結

株式会社肩こり研究所は、3 x 3プロバスケットボールチーム BEEFMAN. EXEと、2021年シーズン ユニフォームスポンサー及びオフィシャルサポート契約を締結しましたことをお知らせいたします。

BEEFMAN.EXE公式Facebookより画像をお借りしました。

BEEFMAN.EXEは、横浜市都筑区を本拠地とし、3x3プロバスケットチームとして活動されています。
2018年2月に男子チーム、7月に女子チームを結成し、これまでに数々の大会に出場され、輝かしい成績を残していらっしゃいます。

BEEFMAN.EXE公式Facebookより画像をお借りしました。

私どもは、オフィシャルサポーターとしても、チームの選手の皆様のパフォーマンスアップ、コンディション管理を含めたサポートをさせていただき、今後は大会等の帯同も行ってまいります。

この度は、素敵な機会をいただき、大変光栄に思います。
BEEFMANの選手の皆様を最大限サポートし、ファンの皆様とともにチームを全力で応援してまいります。

BEEFMAN.EXE 公式ホームページ:http://beefman-3×3.com/
公式Facebook:https://www.facebook.com/beefman3x3/
公式Twitter:@BEEFMAN3x3
公式インスタグラム:@beefman3x3

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クライアントの安全を守る救急処置研修を行いました

2021年3月26日、29日の二日間にわたり、国士舘大学 体育学部 准教授 髙橋宏幸先生を招き「クライアントの安全を守る救急処置」についてご講習いただきました。

 

1日目

●救急システムや現場で起こり得る各疾患の各論を確認

1日目は座学を中心に研修を行いました。

私達は、救急対応を実施出来るのみでなく、1つ1つの行動に対する意味を説明出来なければなりません。
その為に、対応する可能性のある疾患のメカニズムや対応方法について知る必要があります。

今回の研修では、適切な医療機関の選択や、救急隊員に引き継ぐまでの時間に適切な処置を実施するための理論を学びました。

・心肺蘇生法
・窒息
・止血方法
・熱中症対応
・各疾患に対する対応

 

2日目

●現場でのシチュエーションを想定したシナリオ訓練

・スポーツ現場での緊急度・重症度判断について
・SMR (脊椎運動制限:Spinal Motion Restriction)

 

 

肩こり研究所の取り組み

株式会社肩こり研究所は、肩こりラボ 鍼灸マッサージ院での治療、また外部でのアスリート、アーティストのサポート活動を実施しています。

肩こりラボには、基礎疾患をお持ちの方、妊娠中の方など、様々な患者さまがご来院されます。

問診の際には、必ずRed Flag (生命に関わる重篤な疾患を示唆する徴候や症状のこと) 対応疾患か否かの確認を実施しております。

Red Flag 対応疾患では無いと判断した場合には、適切な医療機関への受診をご案内させていただいております。

その際に、緊急性のある疾患を見逃さず、適切な対応を行うためには、知識のアップデートを定期的に行うことが非常に大切であると考えています。

救急対応などのガイドラインは、複数年に一回更新されますので、今回専門家を招いての勉強会を実施することにいたしました。

 

外部でのアスリート、アーティストのサポート活動は、試合やライブの帯同業務を行っております。

試合やライブでは、緊急性の高い疾患、怪我が発生することがあります。

その際の対応として、最悪の状況を想定したシナリオ訓練が必要であると考えております。

 

髙橋先生は、スポーツ現場での対応を専攻されているため、今回の研修では具体的な現場をイメージしたシナリオ訓練を実施することができました。

このような講習やシナリオ訓練は、継続的な学習、訓練が必要と考えておりますので、日々知識のアップデート、シナリオ訓練の実施を行ってまいります。

この度、ご講習いただきました髙橋先生、お忙しい中貴重なお時間をいただき、有難うございました。
引き続きよろしくお願いいたします。

 

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肩こりの原因と分類

「肩こりは血行不良が原因」と聞いたことがあるという方は少なくないでしょう。

たしかに一部の肩こりは血行不良が原因となっている場合があります。この場合は、原因である血行不良を改善したら、結果である「肩こり」という症状も改善されます。

ところが血行を改善してもラクにならない肩こりや、温めている時はいいけれど、すぐに戻ってしまう肩こりもあります。この場合は、血行不良が原因とはいえないでしょう。

ですので、肩こりの原因は血行不良であるという説は間違いではありませんが、血行を改善しても改善しない肩こりがあるように、すべての肩こりが血行不良が原因となっているわけではないのです。

医学的には、肩こりは、その原因ごとに大きく二つに分類されます。症候性肩こりと本態性肩こりです。

 

症候性肩こり

医学的に診断がつく病気が元で、その症状として首や肩の凝りが生じるものを症候性肩こりといいます。よくテレビなどで紹介される「肩こりだと思ったら怖い病気だった」というパターンの肩こりです。

症候性肩こりの原因は、現代医学的に病名がつく疾患で、様々あります。

原因となる疾患は、たとえば、椎間板ヘルニア変形性頚椎症といった頚椎疾患、胸郭出口症候群、四十肩・五十肩やインピンジメント症候群といった肩関節疾患などの整形外科領域だけでなく、肺疾患や心疾患などの内科・外科領域もあます。

また、頚部の緊張を促しやすい耳鼻咽喉科領域(メニエール病、慢性鼻炎 等)、眼科領域(視力障害、眼精疲労 等)、歯科領域(虫歯、歯槽膿漏、顎関節症 等) の疾患に由来する肩こりもあります。

さらに、自立神経や免疫系の過敏状態を招きやすい精神神経科領域の疾患に由来する場合もあります。

たとえば、うつ病の症状として肩こりがある場合と、ひどい肩こりによってうつ病様の症状が出る場合がありますが、両者は異なるものです。前者は、うつ病の治療が必要ですが、後者は肩こりの治療が必要となります。これらは厳密に区切ることは難しいですが、それぞれにマッチした対処が必要となります。

 

症候性肩こりは、病気が元になっているわけなので、凝りの症状を引き起こしている病気の治療をすることが肩こり解消につながります。そのため基本的には病院で治療することになります。

(実際には、症候性肩こりの方の場合も、本態性の要素も含まれている場合が多く、病院で病気の治療や管理をしながら、当院での治療を併用している方が多いです)

 

本態性肩こり

一方、病気が元になっていない肩こりを総称して本態性肩こりといいます。「本態性」という聞き慣れない言葉がついていますが、多くの方がご想像する、一般的にいう「肩こり」とは、この本態性肩こりのことを指します。

 

辞書で「本態性」の意味を調べてみると『医学で、ある症状・疾患は存在するが、その原因が明らかでないものであること』と記されています。

また、定義の説明の際に引用元とした医学生の教科書である標準整形外科には、本態性肩こりは「原因不詳」と記載されています。

原因不詳、つまり、現代医学的な検査所見で目立った異常が見受けられないが、

後頚部から肩および肩甲背部にかけての筋肉の緊張感や疲労感などの一種の不快感、違和感、鈍痛などの症状 出典 標準整形外科学 医学書院 

がある場合に、本態性肩こりとなります。

 

現代医学的な検査所見で目立った異常が見受けられないため「原因不詳」とされているのです。

とはいえ、何らかの原因がなければ症状は生じないはずです。

 

次回は、多くの方が該当する本態性肩こりの原因について掘り下げて解説します。

 

 

 


執筆者:丸山 太地
Taichi Maruyama

日本大学文理学部
体育学科卒業 東京医療専門学校 鍼灸マッサージ科卒業
上海中医薬大学医学部 解剖学実習履修
日本大学医学部/千葉大学医学部 解剖学実習履修

鍼師/灸師/按摩マッサージ指圧師
厚生労働省認定 臨床実習指導者
中学高校保健体育教員免許

病院で「異常がない」といわれても「痛み」や「不調」にお悩みの方は少なくありません。
何事にも理由があります。
「なぜ」をひとつひとつ掘り下げて、探り、慢性的な痛み・不調からの解放、そして負のスパイラルから脱するためのお手伝いができたらと考えております。


肩こりの定義

※画像を日本整形外科学会ホームページから引用させていただきました

 

本稿では、肩こりを論じる上で、前提となる肩こりの定義についてご説明していきます。

 

日本整形外科学会ホームページによると「肩こりの症状」として以下のように記されています。

首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがし、頭痛や吐き気を伴うことがあります。

肩こりに関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉がその中心になります。

 

 

次に、医学生の教科書として用いられている標準医学シリーズの標準整形外科学 医学書院 を開いてみます。標準整形外科学には以下のように記されています。

肩こりについての明確な定義はなされていないが、後頚部から肩および肩甲背部にかけての筋肉の緊張感や疲労感などの一種の不快感、違和感、鈍痛などの症状と考えられる。     出典 標準整形外科学 医学書院

一般的ではない表現があるので説明しますね。

「後頚部(こうけいぶ)」は、首の後ろ側のことです。

「肩甲背部(けんこうはいぶ)」は、肩甲骨を含めた背中のことで比較的広い領域のことです。

簡単にいいますと「首・肩・肩甲骨まわりの筋肉の不快感、違和感、鈍痛などの症状」となります。

 

 

一方、医学大辞典 医学書院にも、このように記されています。

原因を問わず、僧帽筋を中心とした肩甲帯筋群のうっ血・浮腫により生じた同部のこり、はり、こわばり、重圧感、痛みなどの総称           出典 医学大辞典 医学書院

 

 

以上をふまえまして肩こりの定義を現代医学的な観点からまとめますと、

肩こりとは、検査所見や原因によって規定される明確な定義はなく、原因は問わず、首肩から肩甲骨周囲にかけての不快な自覚症状

となります。

 

原因は問わない=複数ある という点からすると、肩こりは「症候群」であるともいえますね。

尚、上述しましたように首の筋肉の過緊張や不快感も含めて肩こりと考えられるため、ここから先は、首こりや肩甲骨こりも含めて「肩こり」と表記させていただきます。

 

 

さて、以上の現代医学的な肩こりの定義をふまえまして、肩こりを考えるにあたって重要なポイントが二つあります。

 

一つ目は、原因は一つではないということです。

世の中には「肩こりの原因は◯◯」というようなキャッチーな言い回しが溢れていますが、肩こりにおいては「インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスに感染すること」というような因果関係がはっきりしたものはありません。

「肩こりの原因は●●である」と、一つに限定できないのです。

肩こりを引き起こしている原因が一つの方もいますが、複数ある方もいます。大切なのは個々によって異なるということです。肩こりの原因は様々あるというのが大前提となります。

ですから、首肩の筋肉が血行不良を起こして不快感が生じるのも肩こりですし、首肩周辺の筋肉の筋膜の状態が低下し、周囲の筋膜との動きが制限されてしまっている(癒着)状態で不快感が生じるのも肩こりなのです。

 

 

二つ目は、自覚症状であるということです。

たとえば、自覚症状は無くとも、美容院や理容室で肩を揉まれ「肩凝っていますね」と言われた記憶はありませんか。

実際当院にも「自覚はないけど触られて肩が硬くて、肩こりだと言われたから治療してほしい」という方がご相談にいらっしゃいます。

肩こりはあくまでも、自覚症状です。

ですから、自覚的な症状が無ければ、それは肩こりではありません。肩こりは人から認定されるものではなく、あくまでも自覚するものです。

 

ただし、肩こりではなかった(症状を自覚していなかった)としても、異常がないかというとそれは必ずしもそうではありません。

筋肉は一定の緊張感を保ちながら伸び縮みすることが正常な機能ですから、縮こまって硬直している状態が続くというのは、正しい機能が失われてしまっているかもしれません。

すると今現在は症状としての自覚的な問題が生じていなかったとしても、機能が低下した状態が続くことで、それを補うためにどこかに皺寄せがいき、それが反復継続的に行われることでどこかに障害が生まれ、痛みが出てしまう可能性があります。

 

一例をあげますね。

僧帽筋の上部は、肩こりで凝り固まってつらくなる代表的な筋肉です。肩こりといえば僧帽筋というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、解剖学に精通していなかったとしても僧帽筋をご存知という方は少なくないでしょう。

肩関節の動きは、インナーマッスルとアウターマッスルのバランス、肩甲骨周囲の筋力バランスや使い方、肩こりでつらくなりやすい僧帽筋の上部が硬直すると、肩関節の動きを妨げてしまいます。

僧帽筋上部が過緊張状態になり、優先的に働いてしまうことで、ぎこちない動きになります。(ほとんどの方は自覚できないレベルのぎこちなさです)

このようなアンバランスな状態が継続することで、負担が蓄積し、肩関節に炎症が生じてしまうということはめずらしいことではありません。

原因不明の慢性的な肩関節痛を引き起こしている原因のひとつが肩こりだったということは珍しいことではないのです。

 

まとめ

虫歯でなければ虫歯の治療はしません。でも歯の汚れなど口腔内環境の低下が継続することで虫歯になり得るため、日々セルフケアとして歯みがきをしますし、定期的に歯科を受診してクリーニングを行うでしょう。

ですので、自覚症状がなければそれは肩こりではないので肩こりの治療は必要ありません。

ただし、虫歯じゃないから歯磨きをしなくていいというわけでないように、異常な状態にならないための対処・セルフケアはすべきです。

具体的には、筋肉の硬直の改善、関節可動域の改善、筋力向上、運動習慣の確立等、筋肉の状態を改善させるために何らかの対処をすることをお勧めいたします。

 

— 続く—

 

 

肩こりラボは、真面目に、世の中から肩こりでお悩みの方を無くしたいと考え、日々活動しています。

 

 

この記事を書いた人

丸山太地

肩こりラボ鍼灸マッサージ院代表。日本大学文理学部体育学科にてスポーツ医学を学び、在学中よりトレーナーとして活動。東京医療専門学校にて国家資格を取得。上海中医薬大学へ留学、解剖学実習修了。人体の構造を理解するために、日本大学医学部、千葉大学医学部の解剖学教室にて人体解剖について学ぶ。 <資格>鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師/厚労省認定臨床実習指導者/NSCA-CSCS/日本体育協会認定 スポーツリーダー/中学・高校保健体育教員免許/パワープレート認定トレーナー